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植えてみました、種を
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夜。
お風呂から出た私は、昼間の出来事を思い出しながら日記を書いていた。
恥ずかしいかもしれないけれど、小さい頃からの習慣だからだ。
「……で、花の種を植えました。と」
そこまで書き終えると、窓辺の鉢を見た。
昼間の出来事はどうやら夢ではなかったらしい。
家に帰った私の手には、ガチャガチャのカプセルは変わらずあったし、ピンクの鮮やかな種はコロンとその中で転がっていた。
すぐに私はそのピンクの種を鉢植えに植えた。
水もやった。
「……」
さすがに、芽はすぐには出なかった。
「さすがに、魔法じゃないもんね」
そう言ってから、私はしまったと顔を顰めた。
独り言が多いのは、小さい頃からの癖だった。母親にも、よく注意される。
「香也は本当に独り言多いわよ」
って。
自分の思いを、心の中で呟けないのが、悩みかもしれない。
(いいじゃん別に……)
今度は心の中でしっかりと呟くと、私は鉢植えを自分の部屋の窓辺に置いた。
そして、今に至る。
「それにしても、不思議な出来事だったなー。夢みたい。物語みたい、かな」
一人っ子の私は、勿論一人部屋が用意されている。
ここでなら、独り言をどんなに言っても平気だ。
聞かれる人もいない。
両親ももう寝ているだろう。
「あ、そろそろ寝なきゃ」
夜ももう遅い。
私は、ベッドに入ると明かりを消した。
夢を見た。
あの鉢植えから、にょきにょき芽が出て「ジャックと豆の木」みたいになる夢。
慌てる私に、声がかかる。
「香也―」
お風呂から出た私は、昼間の出来事を思い出しながら日記を書いていた。
恥ずかしいかもしれないけれど、小さい頃からの習慣だからだ。
「……で、花の種を植えました。と」
そこまで書き終えると、窓辺の鉢を見た。
昼間の出来事はどうやら夢ではなかったらしい。
家に帰った私の手には、ガチャガチャのカプセルは変わらずあったし、ピンクの鮮やかな種はコロンとその中で転がっていた。
すぐに私はそのピンクの種を鉢植えに植えた。
水もやった。
「……」
さすがに、芽はすぐには出なかった。
「さすがに、魔法じゃないもんね」
そう言ってから、私はしまったと顔を顰めた。
独り言が多いのは、小さい頃からの癖だった。母親にも、よく注意される。
「香也は本当に独り言多いわよ」
って。
自分の思いを、心の中で呟けないのが、悩みかもしれない。
(いいじゃん別に……)
今度は心の中でしっかりと呟くと、私は鉢植えを自分の部屋の窓辺に置いた。
そして、今に至る。
「それにしても、不思議な出来事だったなー。夢みたい。物語みたい、かな」
一人っ子の私は、勿論一人部屋が用意されている。
ここでなら、独り言をどんなに言っても平気だ。
聞かれる人もいない。
両親ももう寝ているだろう。
「あ、そろそろ寝なきゃ」
夜ももう遅い。
私は、ベッドに入ると明かりを消した。
夢を見た。
あの鉢植えから、にょきにょき芽が出て「ジャックと豆の木」みたいになる夢。
慌てる私に、声がかかる。
「香也―」
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