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最初のお客さんは……?
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「それで、マスター。私は、どこで、その、寝泊まりを……」
「ああ、それはですね」
マスターがスッと指差した先に、階段があった。
あれ? あんな所に、さっき階段有ったっけ?
首をひねる私に、マスターは説明を続ける。
「階段を上がった先に、二つ扉があります。手前を使ってください。いいですか? 手前ですよ?」
マスターの言葉に私は素直に肯く。
「部屋の中の物は自由に使ってくださって構いません。ユニットバスも中で繋がっています。さあ、早速着替えてきてもらいましょうか」
「着替える?」
私は、思わず復唱した。
そうか、さすがに、この恰好じゃマズイか。
そして、階段を上がった私が部屋のあまりの可愛さに歓声を上げてマスターを心配させた、十五分後。
「ふわああ」
謎の声を上げた私が喫茶店内に居た。
レトロな、カフェのメイド服だ。
か、可愛すぎる!
携帯に撮っておきたいくらいだ。
「お似合いですよ」
「はい!」
マスターのその言葉に、自画自賛してしまう。
『おきゃくさん、おきゃくさん!』
その時、あの扉の番人が鳴いた。
そして、ぎょろりと目玉を動かして、喋った!
驚いている私の前で、喫茶店の入口の扉が開く。
「……こんにちは」
お客さんだ!
張り切る私の前で、扉が完全に開いた。
コートを着た、帽子を被った髪の長い女性だった。
肩に雪が積もっている。
雪? 降っていたっけ?
今は、何の季節だったろうか……。
考え込む私の横を、女性はサッサと通り過ぎてしまう。
「あ、いらっしゃいませ」
「マスター、マスター……」
慌てて営業スマイルを浮かべるも遅し。
女性は、カウンターの席に着くと、マスターの名前をぶつぶつと呟く。
これは、マズイお客さんじゃあ……?
心配になってきた私がおろおろし始めて、マスターの顔を見る。
大丈夫。マスターの顔には書いてあった。
その途端。
「うわああぁん!」
女性が、泣き出した。
そして、
ぼわん!
「しっぽ‼ 耳が……‼」
煙が立ったような音と共に、女性のコートと帽子が吹っ飛んだ。
そして指を震わして指差す私の先で、獣耳と見事なふさふさのしっぽが揺れていたのだった。
「ああ、それはですね」
マスターがスッと指差した先に、階段があった。
あれ? あんな所に、さっき階段有ったっけ?
首をひねる私に、マスターは説明を続ける。
「階段を上がった先に、二つ扉があります。手前を使ってください。いいですか? 手前ですよ?」
マスターの言葉に私は素直に肯く。
「部屋の中の物は自由に使ってくださって構いません。ユニットバスも中で繋がっています。さあ、早速着替えてきてもらいましょうか」
「着替える?」
私は、思わず復唱した。
そうか、さすがに、この恰好じゃマズイか。
そして、階段を上がった私が部屋のあまりの可愛さに歓声を上げてマスターを心配させた、十五分後。
「ふわああ」
謎の声を上げた私が喫茶店内に居た。
レトロな、カフェのメイド服だ。
か、可愛すぎる!
携帯に撮っておきたいくらいだ。
「お似合いですよ」
「はい!」
マスターのその言葉に、自画自賛してしまう。
『おきゃくさん、おきゃくさん!』
その時、あの扉の番人が鳴いた。
そして、ぎょろりと目玉を動かして、喋った!
驚いている私の前で、喫茶店の入口の扉が開く。
「……こんにちは」
お客さんだ!
張り切る私の前で、扉が完全に開いた。
コートを着た、帽子を被った髪の長い女性だった。
肩に雪が積もっている。
雪? 降っていたっけ?
今は、何の季節だったろうか……。
考え込む私の横を、女性はサッサと通り過ぎてしまう。
「あ、いらっしゃいませ」
「マスター、マスター……」
慌てて営業スマイルを浮かべるも遅し。
女性は、カウンターの席に着くと、マスターの名前をぶつぶつと呟く。
これは、マズイお客さんじゃあ……?
心配になってきた私がおろおろし始めて、マスターの顔を見る。
大丈夫。マスターの顔には書いてあった。
その途端。
「うわああぁん!」
女性が、泣き出した。
そして、
ぼわん!
「しっぽ‼ 耳が……‼」
煙が立ったような音と共に、女性のコートと帽子が吹っ飛んだ。
そして指を震わして指差す私の先で、獣耳と見事なふさふさのしっぽが揺れていたのだった。
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