2 / 4
1.ほうき星と旅の始まり
しおりを挟む
自己紹介をしよう。
わたしはほうき星に乗った宇宙の旅人だ。
……名前?
わたしは”わたし”だ。
それ以外何も言うことが無かろう。
この美しい、とても綺麗なほうき星に出会ったのは遠いとおい昔の事だ。
自慢のわたしの旅の相棒だ。
ある日、宇宙を彷徨っていたわたしを乗せてくれたほうき星。
生まれたばかりのほうき星が、偶然にも弱々しい光を放ちながら、わたしの横を通ったのだ。
何と、泣いていた。
ほうき星が、だ。
くすんくすん、とすすり泣いてそのままどこかへと行ってしまいそうだったので、思わず声をかけたのだ。
「どうしてそんなに泣くんだい?」と。
泣いていたほうき星はこう答えた。
『…………』
星の言葉だ。
皆には分かるまい。
チカチカと光って答える言葉を翻訳するとこう言ったことになる。
「……僕、ひとりぼっちなの。さびしいの」
あまりにも悲しみに満ちた波動が伝わって来て、このわたしでさえも胸が痛んだ。
偶然にも、少し似たような思いでいたからだ。
わたしも孤独だった。
トランクを片手にこうして宇宙を一人旅している。
旅の理由は、探し物があったからだ。
求めるものを探してこの広すぎる宇宙を、銀河を彷徨っていた。
ほうき星の寂しさ。
わたしの孤独感……。
気付いた時にはわたしはこう言っていた。
「なあ、一緒に旅をしないか?」と。
チカリ。
ほうき星は驚いたように光った。
『…………!』
再び翻訳しよう。
「行きたい!」
その声に呼応して、ほうき星の輝きが大きくなった。
力が戻ったかのようにほうき星の尾の光の粒子が美しく辺りに散った。
こうしてわたしとほうき星の旅が始まったのだった。
わたしはほうき星に乗った宇宙の旅人だ。
……名前?
わたしは”わたし”だ。
それ以外何も言うことが無かろう。
この美しい、とても綺麗なほうき星に出会ったのは遠いとおい昔の事だ。
自慢のわたしの旅の相棒だ。
ある日、宇宙を彷徨っていたわたしを乗せてくれたほうき星。
生まれたばかりのほうき星が、偶然にも弱々しい光を放ちながら、わたしの横を通ったのだ。
何と、泣いていた。
ほうき星が、だ。
くすんくすん、とすすり泣いてそのままどこかへと行ってしまいそうだったので、思わず声をかけたのだ。
「どうしてそんなに泣くんだい?」と。
泣いていたほうき星はこう答えた。
『…………』
星の言葉だ。
皆には分かるまい。
チカチカと光って答える言葉を翻訳するとこう言ったことになる。
「……僕、ひとりぼっちなの。さびしいの」
あまりにも悲しみに満ちた波動が伝わって来て、このわたしでさえも胸が痛んだ。
偶然にも、少し似たような思いでいたからだ。
わたしも孤独だった。
トランクを片手にこうして宇宙を一人旅している。
旅の理由は、探し物があったからだ。
求めるものを探してこの広すぎる宇宙を、銀河を彷徨っていた。
ほうき星の寂しさ。
わたしの孤独感……。
気付いた時にはわたしはこう言っていた。
「なあ、一緒に旅をしないか?」と。
チカリ。
ほうき星は驚いたように光った。
『…………!』
再び翻訳しよう。
「行きたい!」
その声に呼応して、ほうき星の輝きが大きくなった。
力が戻ったかのようにほうき星の尾の光の粒子が美しく辺りに散った。
こうしてわたしとほうき星の旅が始まったのだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
『四つ子は異世界を探検する! ~絆のお守り~ 』
時空 まほろ
児童書・童話
晴、雪、雨はしょっちゅう喧嘩もするが仲良しの小学4年生の三つ子。ある日、家の裏手にある神社の鳥居をくぐった途端何と異世界へ!
そしてそこには、三つ子が生まれた時に亡くなった筈のもう一人のきょうだいが生きていた!
そう。三つ子は本当は四つ子だった過去があったのだった……。
異世界でしか会う事が出来ないもう一人のきょうだい。
もどかしい思いを抱えつつも、四つ子は異世界の探検を謳歌する。
「花のカプセル ~私だけの花を咲かそう~ 」
時空 まほろ
児童書・童話
ある日、野原に建っていたテントには、不思議な不思議な「花のカプセル」のガチャガチャがあった……。これは、少女たちが"私だけの花"を咲かす物語です。
❀「小説家になろう」でも投稿されています。
月からの招待状
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
児童書・童話
小学生の宙(そら)とルナのほっこりとしたお話。
🔴YouTubeや音声アプリなどに投稿する際には、次の点を守ってください。
●ルナの正体が分かるような画像や説明はNG
●オチが分かってしまうような画像や説明はNG
●リスナーにも上記2点がNGだということを載せてください。
声劇用台本も別にございます。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
児童小説をどうぞ
小木田十(おぎたみつる)
児童書・童話
児童小説のコーナーです。大人も楽しめるよ。 / 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。
ペンギンのティーティーのお話
スズキヒサシ
児童書・童話
ある日、南極の広い氷原で、小さなペンギンの子どもがひとりぼっちで遊んでいました。
その子の名前はティーティー。
ティーティーは好奇心旺盛で、いつも兄弟たちと一緒に冒険をしていたのですが、今日はひとりで歩いているうちに迷子になってしまったようです。
「みんな、どこにいるの?」
ティーティーが周りを見渡しても、どこにもペンギンの群れの姿が見当たりません。
ティーティーは困ってしまいました。
仲間たちに再び出会えるのでしょうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる