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1.ほうき星と旅の始まり

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 自己紹介をしよう。
わたしはほうき星に乗った宇宙の旅人だ。

 ……名前?
わたしは”わたし”だ。
それ以外何も言うことが無かろう。

 この美しい、とても綺麗なほうき星に出会ったのは遠いとおい昔の事だ。
自慢のわたしの旅の相棒だ。

 ある日、宇宙を彷徨っていたわたしを乗せてくれたほうき星。
生まれたばかりのほうき星が、偶然にも弱々しい光を放ちながら、わたしの横を通ったのだ。

 何と、泣いていた。
ほうき星が、だ。

 くすんくすん、とすすり泣いてそのままどこかへと行ってしまいそうだったので、思わず声をかけたのだ。

「どうしてそんなに泣くんだい?」と。

 泣いていたほうき星はこう答えた。

『…………』

 星の言葉だ。
皆には分かるまい。
チカチカと光って答える言葉を翻訳するとこう言ったことになる。

「……僕、ひとりぼっちなの。さびしいの」

 あまりにも悲しみに満ちた波動が伝わって来て、このわたしでさえも胸が痛んだ。
偶然にも、少し似たような思いでいたからだ。

 わたしも孤独だった。
トランクを片手にこうして宇宙を一人旅している。

 旅の理由は、があったからだ。
求めるものを探してこの広すぎる宇宙を、銀河を彷徨っていた。

 ほうき星の寂しさ。
わたしの孤独感……。
気付いた時にはわたしはこう言っていた。

「なあ、一緒に旅をしないか?」と。

 チカリ。

 ほうき星は驚いたように光った。

『…………!』

 再び翻訳しよう。

「行きたい!」

 その声に呼応して、ほうき星の輝きが大きくなった。
力が戻ったかのようにほうき星の尾の光の粒子が美しく辺りに散った。



こうしてわたしとほうき星の旅が始まったのだった。









 




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