16 / 28
廃墟屋敷の謎に迫れ①
しおりを挟む
「何ですか此処!?」
馬車――例の如く後ろに馬を引き連れた――にのって王都のはずれに連れて来られた私は、思わず嫌な顔をしてしまう。王子が良い所と言っていたのだが、どう見ても廃墟だ。まさかいい歳して肝試しとか言わないわよね?そういうのは一人で嗜んで貰いたいものだ。
因みに私は幽霊などは信じていない。世の中超能力はあっても、幽霊なんて物が存在する分けないからね。私が嫌なのは怖いからではなく、単純にぼろっちい建物の中に入りたくないだけだ。絶対虫とか誇りだらけなのが目に見えているもの。
「ここは王家所有の屋敷さ。古いし使い道も無いから近く取り壊す予定だったんだが、ある商家の人間から是非譲って欲しいと言われてしまってね」
こんな廃墟みたいな屋敷を欲しがるとか、頭がおかしいとしか思えない。
手直しして転売でもする気なのかしら?
「手直しして利用するには、明らかに老朽化が進み過ぎていて向いていない。にもかかわらず、その男はかなりの額を提示してきているんだ。おかしいだろ?」
ああ、そう言う訳ね。
何となく此処に連れて来られた理由を私は察する。要は何か裏がありそうだから、私にこの場所を調べろと。王子はそう言いたい訳だ。
天気がいいからデートしようと引っ張ってきた先が廃墟みたいな屋敷で、しかも仕事だったと。「私のどきどきを返せ!」って叫びたくなるふざけた話である。
「報酬は弾むよ」
王子の素敵な笑顔――ではなく報酬を弾むという単語にくらッと来る。前2回の仕事の報酬は破格の物だった。今回も報酬はきっといいに違いない。
「分かりました。お引き受けします」
本気で王子と結婚まで行くと考えてはいない身としては、稼げるときに稼いで、親孝行しておきたい所。汚れそうなので余り気乗りはしないが、まあ仕方ないだろう。
「ありがとう。流石ハニーだ」
しかし見れば見る程ぼろい建物である。
入った瞬間崩れたりしないでしょうね?
まあ私は超能力があるからいいけど、王子達は結構危ないんじゃないかしら?
「じゃあ僕は此処で待ってるから、後は頼んだよ 」
えぇ……普通婚約者だけを向かわせる?
「お前は来ないんかい!?」という言葉を喉元で飲み込み、ジト目で睨み付ける。しかしそんな私の視線などどこ吹く風状態。王子はニコニコしながら手を振って、私を送り出そうとしてくる。
この糞王子め……
心の中で王子に悪態を吐きつつ。私は大きく溜息一つ吐いて、屋敷――廃墟――へと一人向かうのだった。
馬車――例の如く後ろに馬を引き連れた――にのって王都のはずれに連れて来られた私は、思わず嫌な顔をしてしまう。王子が良い所と言っていたのだが、どう見ても廃墟だ。まさかいい歳して肝試しとか言わないわよね?そういうのは一人で嗜んで貰いたいものだ。
因みに私は幽霊などは信じていない。世の中超能力はあっても、幽霊なんて物が存在する分けないからね。私が嫌なのは怖いからではなく、単純にぼろっちい建物の中に入りたくないだけだ。絶対虫とか誇りだらけなのが目に見えているもの。
「ここは王家所有の屋敷さ。古いし使い道も無いから近く取り壊す予定だったんだが、ある商家の人間から是非譲って欲しいと言われてしまってね」
こんな廃墟みたいな屋敷を欲しがるとか、頭がおかしいとしか思えない。
手直しして転売でもする気なのかしら?
「手直しして利用するには、明らかに老朽化が進み過ぎていて向いていない。にもかかわらず、その男はかなりの額を提示してきているんだ。おかしいだろ?」
ああ、そう言う訳ね。
何となく此処に連れて来られた理由を私は察する。要は何か裏がありそうだから、私にこの場所を調べろと。王子はそう言いたい訳だ。
天気がいいからデートしようと引っ張ってきた先が廃墟みたいな屋敷で、しかも仕事だったと。「私のどきどきを返せ!」って叫びたくなるふざけた話である。
「報酬は弾むよ」
王子の素敵な笑顔――ではなく報酬を弾むという単語にくらッと来る。前2回の仕事の報酬は破格の物だった。今回も報酬はきっといいに違いない。
「分かりました。お引き受けします」
本気で王子と結婚まで行くと考えてはいない身としては、稼げるときに稼いで、親孝行しておきたい所。汚れそうなので余り気乗りはしないが、まあ仕方ないだろう。
「ありがとう。流石ハニーだ」
しかし見れば見る程ぼろい建物である。
入った瞬間崩れたりしないでしょうね?
まあ私は超能力があるからいいけど、王子達は結構危ないんじゃないかしら?
「じゃあ僕は此処で待ってるから、後は頼んだよ 」
えぇ……普通婚約者だけを向かわせる?
「お前は来ないんかい!?」という言葉を喉元で飲み込み、ジト目で睨み付ける。しかしそんな私の視線などどこ吹く風状態。王子はニコニコしながら手を振って、私を送り出そうとしてくる。
この糞王子め……
心の中で王子に悪態を吐きつつ。私は大きく溜息一つ吐いて、屋敷――廃墟――へと一人向かうのだった。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。
藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」
婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで←
うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
悪役令嬢が残した破滅の種
八代奏多
恋愛
妹を虐げていると噂されていた公爵令嬢のクラウディア。
そんな彼女が婚約破棄され国外追放になった。
その事実に彼女を疎ましく思っていた周囲の人々は喜んだ。
しかし、その日を境に色々なことが上手く回らなくなる。
断罪した者は次々にこう口にした。
「どうか戻ってきてください」
しかし、クラウディアは既に隣国に心地よい居場所を得ていて、戻る気は全く無かった。
何も知らずに私欲のまま断罪した者達が、破滅へと向かうお話し。
※小説家になろう様でも連載中です。
9/27 HOTランキング1位、日間小説ランキング3位に掲載されました。ありがとうございます。
【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!
しずもり
恋愛
ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。
お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?
突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。
そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。
よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。
*なんちゃって異世界モノの緩い設定です。
*登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。
*ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる