最後の人生、最後の願い

総帥

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第3章 アカデミー5年生

31 お前大人になったら夜道に気を付けな

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 「…ルカ、久しぶりね。すぐにわたし達だって分かった?」

 「もちろん!しっかし4年ぶりか?」

 「そうだな。…ちょっと来い。
 で、彼女達は?まさか、今日ずっと着いてくるのか…?」

 ルカを呼び寄せ小声で問いかける。大事なことなので確認しました。


 「ん?ああ、みんなは俺の友達に会いたいって言うから来ただけ。顔見たら帰るってさ!」

 「帰んないけど?」

 「ありゃ??」

 ありゃじゃねーわタコ!見ろあれを!女の戦い始まりそうな雰囲気醸し出してますけどー!?
 5人はめっちゃライラを警戒してるし、ライラも負けてねえからすんごい睨みつけてる。
 「やんのか?あ?」「んだとごらあ」「表出ろや」みたいな会話を繰り広げている。ここもう表ですよ、と言ってやりたい。

 
 「彼女達どうにかしろや!」

 「挨拶してるだけだろ?女の子達は仲良くなるの早いな!」

 「目え腐ってんのかテメエは!いや耳もか!?」

 
 だめだこいつ。ここは俺がなんとかしないといけないようだ…。
 意を決して近づく。今の俺は外面マシマシモードだぜ。



 「初めまして。聞いてると思うけど、俺はシャルトルーズだ。こっちはライラ。俺達はルカの友人だよ。」

 キラキラ~のエフェクトがつきそうな爽やかスマイルで話しかける。こうすりゃ大体なんとかなる。このスマイルを会得するのに、どれだけ師匠にしごかれたことか…!
 「こんなもん役に立つかよ!」って反抗してたけど、役に立ちました!ありがとう師匠!

 狙い通り、女の子達は大人しくなった。ただルカとライラの視線が痛い。何やってんのコイツ?みたいな。
 俺だってやりたくねーよ!誰の為にやってると思ってんだバーーーカ!!このアホコンビめ!



 「ルカも隅に置けないなあ。こんなに可愛いガールフレンドが5人もいるんだから。
 そういえばライラも彼氏いるんだろう?そういうのに縁がない俺にしてみれば、羨ましい限りだ。」

 「え?あ、そうよ!夏季休暇に入る前に告白されたんだけど、休暇中も一緒に過ごす約束してるのよ。
 今日だって着いて来る気満々で、大変だったんだから。」

 
 よしよし、ライラは話を合わせてきたな。そうやって彼氏いるからルカは眼中に無いよアピールしとけ。

 「え、ライラちゃん彼氏いるの!?いいな~どんな人??」

 「えっとね~」


 あら?ガールズトーク始まっちゃった?きゃっきゃっと盛り上がってんですけど。
 男2人置いてけぼりだよ。


 「…改めて、久しぶりだな。ルカ。お前あんだけ自信満々だったくせに、よくも試験落ちてくれたな!」

 「ああ~悪かったってー。そっちはおめでとうだな!貴族多くて大変だろ?」

 「まあな、ありがとよ。でも平民仲間もいるし、貴族でも仲良いやつは出来たよ。」

 「そっか。そんで、お前行方不明になったってどういう状況だったんだ!?」

 「ああ、それはライラにも話さないとだな。いい加減、あの子達家に帰せ!」

 あ、忘れてた。じゃねーよ!女の子達から改めて自己紹介され、皆帰ってもらった。
 ライラに対する誤解は解けたようで、すんなり帰ってくれた。だが俺達は今日一泊する予定で、また明日会う約束をした…。めんどい。



 しかしルカ、モテモテだな。しかも王道を押さえてきている。
 幼馴染の女の子、貧乏貴族のお嬢様、ツンデレな不良っ娘、年上のお姉さん、委員長タイプ。揃ってるね~。
 俺はライラに小声で話しかけてみる。

 「なあなあライラ。ルカの本命誰だと思う?俺はやっぱ幼馴染の子だと思うな。」

 「えー、そうねえ。狩人のお姉さんじゃない?やっぱルカには年上がいいと思うのよ。」

 「そうきたかー。」

 「なあ、なんの話だ?」


 なんでもねーよー、と返して移動を開始する。忘れてたけど、俺ら停留所から一歩も動いてねえから!


 まずゆっくり話をしたいということで、村唯一だという食事処に行った。
 そこの看板娘(恐らく年下)も、ルカに秋波を送っているようだ。…羨ましくなんかないからな!マジで。




 改めて俺らは再会を喜び合った。考えてみれば、たった一度会っただけの関係だったよな。

 本来ならそれぞれ住む場所も学校も遠く離れ、接点なんてほぼ無い。たかが学校の試験で一緒になっただけなのに、自然と仲良くなれたな。
 なんか不思議だなー。もちろんアカデミーの友人達もかけがえのない存在だが、この2人はなんか違う。こうして親しくなるのが然るべきというか。
 この2人も、そう思ってくれてればいいな。

 

 それから俺達は語り合った。
 まず俺の話。アカデミーに入学してからの話や、行方不明になった真相。
 俺が大賢者のもとで修行した話をしたら、驚きつつもすんなり信じてくれた。魔法を教えてほしいと言うが、俺だって学校外じゃ使えん。免許を持ってる特魔の3つなら別だけどさあ。
 そしたら、明日ルカの学校で披露してほしいと言われた。ルカの学校も、先生が見てれば使っていいらしい。
 なので、明日の約束をした。

 そしてルカの話。主に俺とライラが質問攻めにした。もちろん、あのガールフレンド達についてだ。
 そしたら「みんな俺の友達だぜ!」とか言いきっちゃうし。看板娘、ガッツポーズしてんぞ。
 もちろん普段の学校生活なんかも聞いてみた。ルカは流石に座学の成績は良いらしく、学年1位だとか。それと剣はともかく弓の腕は自信があるらしい。
 将来何をするか、そろそろ決めないとと言っていた。もう最高学年だもんな。

 最後ライラ。彼氏の惚気を聞かされた。そりゃもう延々と。名前はニック、1つ下の4年生。ルカは半分寝ているのでライラにチョップされてた。
 学校生活は可もなく不可もなく、らしい。でも魔法の授業が楽しいらしく、上の学校を目指すらしい。まあ、王立学校と民間の学校じゃ差が激しいらしいもんな。


 
 「そういや俺は寮があるから王都のアカデミー狙ったけど、2人はなんで?俺と同じ?」

 気になってたことを聞いてみた。王立学校はあと2つ、たしかメイズ地方とこのオルドー地方にあるはず。
 ライミリウム地方に王立学校はないのだが、専門的な学校が数多くあるらしい。

 「俺も寮狙ってた。」

 「わたしは違うよ。王都に親戚が住んでるから、合格したらそこでお世話になる予定だったの。」

 「ほーん。」


 その後も話題は尽きない。気付いたらすっかり暗くなっていて、慌ててルカの家に向かった。今日は家に泊めてもらうのだ。


 ルカのご両親は穏やかそうな人達で、俺達を暖かく迎えてくれた。
 夕飯を食べて風呂に入って、3人で雑魚寝した。ライラは部屋を分ける予定だったのだが、なんか喋ってたら全員寝てたらしい。

 まあまだ子供ですし?気にしなさんな。


 ただしルカの友達に知られたら面倒くさいことになるだろうな…。



 
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