104 / 111
第3章 アカデミー5年生
31 お前大人になったら夜道に気を付けな
しおりを挟む「…ルカ、久しぶりね。すぐにわたし達だって分かった?」
「もちろん!しっかし4年ぶりか?」
「そうだな。…ちょっと来い。
で、彼女達は?まさか、今日ずっと着いてくるのか…?」
ルカを呼び寄せ小声で問いかける。大事なことなので確認しました。
「ん?ああ、みんなは俺の友達に会いたいって言うから来ただけ。顔見たら帰るってさ!」
「帰んないけど?」
「ありゃ??」
ありゃじゃねーわタコ!見ろあれを!女の戦い始まりそうな雰囲気醸し出してますけどー!?
5人はめっちゃライラを警戒してるし、ライラも負けてねえからすんごい睨みつけてる。
「やんのか?あ?」「んだとごらあ」「表出ろや」みたいな会話を繰り広げている。ここもう表ですよ、と言ってやりたい。
「彼女達どうにかしろや!」
「挨拶してるだけだろ?女の子達は仲良くなるの早いな!」
「目え腐ってんのかテメエは!いや耳もか!?」
だめだこいつ。ここは俺がなんとかしないといけないようだ…。
意を決して近づく。今の俺は外面マシマシモードだぜ。
「初めまして。聞いてると思うけど、俺はシャルトルーズだ。こっちはライラ。俺達はルカの友人だよ。」
キラキラ~のエフェクトがつきそうな爽やかスマイルで話しかける。こうすりゃ大体なんとかなる。このスマイルを会得するのに、どれだけ師匠にしごかれたことか…!
「こんなもん役に立つかよ!」って反抗してたけど、役に立ちました!ありがとう師匠!
狙い通り、女の子達は大人しくなった。ただルカとライラの視線が痛い。何やってんのコイツ?みたいな。
俺だってやりたくねーよ!誰の為にやってると思ってんだバーーーカ!!このアホコンビめ!
「ルカも隅に置けないなあ。こんなに可愛いガールフレンドが5人もいるんだから。
そういえばライラも彼氏いるんだろう?そういうのに縁がない俺にしてみれば、羨ましい限りだ。」
「え?あ、そうよ!夏季休暇に入る前に告白されたんだけど、休暇中も一緒に過ごす約束してるのよ。
今日だって着いて来る気満々で、大変だったんだから。」
よしよし、ライラは話を合わせてきたな。そうやって彼氏いるからルカは眼中に無いよアピールしとけ。
「え、ライラちゃん彼氏いるの!?いいな~どんな人??」
「えっとね~」
あら?ガールズトーク始まっちゃった?きゃっきゃっと盛り上がってんですけど。
男2人置いてけぼりだよ。
「…改めて、久しぶりだな。ルカ。お前あんだけ自信満々だったくせに、よくも試験落ちてくれたな!」
「ああ~悪かったってー。そっちはおめでとうだな!貴族多くて大変だろ?」
「まあな、ありがとよ。でも平民仲間もいるし、貴族でも仲良いやつは出来たよ。」
「そっか。そんで、お前行方不明になったってどういう状況だったんだ!?」
「ああ、それはライラにも話さないとだな。いい加減、あの子達家に帰せ!」
あ、忘れてた。じゃねーよ!女の子達から改めて自己紹介され、皆帰ってもらった。
ライラに対する誤解は解けたようで、すんなり帰ってくれた。だが俺達は今日一泊する予定で、また明日会う約束をした…。めんどい。
しかしルカ、モテモテだな。しかも王道を押さえてきている。
幼馴染の女の子、貧乏貴族のお嬢様、ツンデレな不良っ娘、年上のお姉さん、委員長タイプ。揃ってるね~。
俺はライラに小声で話しかけてみる。
「なあなあライラ。ルカの本命誰だと思う?俺はやっぱ幼馴染の子だと思うな。」
「えー、そうねえ。狩人のお姉さんじゃない?やっぱルカには年上がいいと思うのよ。」
「そうきたかー。」
「なあ、なんの話だ?」
なんでもねーよー、と返して移動を開始する。忘れてたけど、俺ら停留所から一歩も動いてねえから!
まずゆっくり話をしたいということで、村唯一だという食事処に行った。
そこの看板娘(恐らく年下)も、ルカに秋波を送っているようだ。…羨ましくなんかないからな!マジで。
改めて俺らは再会を喜び合った。考えてみれば、たった一度会っただけの関係だったよな。
本来ならそれぞれ住む場所も学校も遠く離れ、接点なんてほぼ無い。たかが学校の試験で一緒になっただけなのに、自然と仲良くなれたな。
なんか不思議だなー。もちろんアカデミーの友人達もかけがえのない存在だが、この2人はなんか違う。こうして親しくなるのが然るべきというか。
この2人も、そう思ってくれてればいいな。
それから俺達は語り合った。
まず俺の話。アカデミーに入学してからの話や、行方不明になった真相。
俺が大賢者のもとで修行した話をしたら、驚きつつもすんなり信じてくれた。魔法を教えてほしいと言うが、俺だって学校外じゃ使えん。免許を持ってる特魔の3つなら別だけどさあ。
そしたら、明日ルカの学校で披露してほしいと言われた。ルカの学校も、先生が見てれば使っていいらしい。
なので、明日の約束をした。
そしてルカの話。主に俺とライラが質問攻めにした。もちろん、あのガールフレンド達についてだ。
そしたら「みんな俺の友達だぜ!」とか言いきっちゃうし。看板娘、ガッツポーズしてんぞ。
もちろん普段の学校生活なんかも聞いてみた。ルカは流石に座学の成績は良いらしく、学年1位だとか。それと剣はともかく弓の腕は自信があるらしい。
将来何をするか、そろそろ決めないとと言っていた。もう最高学年だもんな。
最後ライラ。彼氏の惚気を聞かされた。そりゃもう延々と。名前はニック、1つ下の4年生。ルカは半分寝ているのでライラにチョップされてた。
学校生活は可もなく不可もなく、らしい。でも魔法の授業が楽しいらしく、上の学校を目指すらしい。まあ、王立学校と民間の学校じゃ差が激しいらしいもんな。
「そういや俺は寮があるから王都のアカデミー狙ったけど、2人はなんで?俺と同じ?」
気になってたことを聞いてみた。王立学校はあと2つ、たしかメイズ地方とこのオルドー地方にあるはず。
ライミリウム地方に王立学校はないのだが、専門的な学校が数多くあるらしい。
「俺も寮狙ってた。」
「わたしは違うよ。王都に親戚が住んでるから、合格したらそこでお世話になる予定だったの。」
「ほーん。」
その後も話題は尽きない。気付いたらすっかり暗くなっていて、慌ててルカの家に向かった。今日は家に泊めてもらうのだ。
ルカのご両親は穏やかそうな人達で、俺達を暖かく迎えてくれた。
夕飯を食べて風呂に入って、3人で雑魚寝した。ライラは部屋を分ける予定だったのだが、なんか喋ってたら全員寝てたらしい。
まあまだ子供ですし?気にしなさんな。
ただしルカの友達に知られたら面倒くさいことになるだろうな…。
0
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる