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第1章 幼少期
10 試験開始
しおりを挟む試験会場にやってきた。入学金と学費を払えば試験はパスなので、ここにいるのは平民ばかり。...貧乏な貴族とかはどうすんだろ。
「おーい、シャルー。おはよー!」
「ルカ!おはよう。」
へーい、ハイタッチ。
「今日は頑張ろうな!一緒に通いたいし!」
「うん、俺も。そうだルカ、お前いつ村に帰るんだ?俺明日王都観光するつもりだけど、一緒に行かない?」
「明日か。いいな!でも俺、明日の午後には発つ予定なんだ。午前でいいか?」
「そっか、忙しいんだな。じゃあ午前で。」
「あなたたち、もう試験が終わった後の話をしてるの?随分と余裕なのね。」
「「ん?」」
誰かが会話に割り込んできた。この子は...?
「えーっと...。俺はシャルトルーズって言うんだ。キミは?見たところ同じ受験生っぽいけど。」
やっぱ自分から名乗るべきよな。
「わたしはライラ。その通りよ!試験に受かるのはわたしだけなんだからね!」
「俺はルカ!いいや、俺らも受かるぜ!!」
「ふん!できるもんですか!」
「なにをー!」
...この2人相性悪い?ぎゃーぎゃー言い争う彼らをちらっと見てみる。
ライラは水色の髪をハーフアップにしている、なんつーか背伸びしてる感じの女の子。
この2人...あれだな!小学生の女子の中心とガキ大将って感じ!しっくり!
俺が1人で納得しているうちに、試験の案内が始まった。
「見てなさいよー!ぜっっったいに受かってやるんだから!!」
「こっちのセリフだー!!」
「はいはい。わかったから早く行こう。こんなんで落とされちゃたまらん。」
2人を宥めつつ教室に向かう。案内されるがままに席に着き、まずは筆記試験だ。
「制限時間は1教科40分だ。では、始め!」
先生と思われる男性の合図で一斉にスタート!やったるでー!
(...うん、余裕だわ。)
思ったより難易度低かった。まあそれもそうか。読み書きも問題ない。
しっかしこの世界に転生して1番苦労したのはやっぱ言語だった。あきらかに日本語じゃねえ!両親が何言ってんのかサッパリだし、理解するまでに3年以上かかった。あの両親じゃなければ医者に連れていかれたかもしれん。
(苦労の甲斐あってか、今はペラペラだし。俺に死角はないのだよー。ふっふー。)
俺は全ての問題を解いた。ミスがなければ満点のはずだ。
4教科全て終わり、次は面接。特待生ともなれば人となりも重要なようだな。...ルカとライラ大丈夫かな...?
「次。シャルトルーズ君入りなさい。」
呼ばれた。ふー、深呼吸。
コンコンコン。「どうぞ」「失礼します」...就活思い出す。ノック4回のがよかったかな?
...?なんか、部屋に入った瞬間、ピリッとした?んー...気のせいじゃないな。なんかありそう。
面接自体は問題なく進んだ。動機やらこの学校で何がしたいとか趣味特技...概ね予想通りだ。この調子なら合格できそうかな?
「では最後に。君は学校を卒業したのち、この国に身を捧げる覚悟はあるか?」
子供にそんなこん聞くのかよ...。まあ、国の金で通わしてもらうわけだし、その分貢献しろやってことか。
ここは、『この国のために、粉骨砕身お仕えします!』とか言っとけばいい?でも...
「もちろんです。しかし、僕が1番守りたいと思っているのは家族です。
この国に貢献するのは当然ですが、有事の際には家族を優先する可能性もあることをご予め了承ください。」
「...ほう。」
終わったーーー!何言っちゃってんの俺!?いや偽りない俺の本音ですけども!さっきから気になってたんだけど、まさか...
「なるほど。よく分かりました。では君の方から何か質問はありますか?」
「...では1つだけ。僕になんの魔法をかけましたか?」
面接官の表情が変わった。
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