最後の人生、最後の願い

総帥

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第1章 幼少期

7 可愛い妹は2次元にしか存在しない現実

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 月日は流れ、俺8歳になりました。2ヶ月後には試験です。


 俺が受験予定の学校は、ここクロム王国の王都にある国立アカデミー。この国に国立の学校は全部で3つあるらしい。なぜこのアカデミーにしたかというと、唯一寮があるのであーる。全寮制じゃないけど。

 両親には心配されたが、気にしない気にしない。確かに8歳には自立は早いかもしれんが、このぐらいの時に奉公に出たこともある。ノープロブレムだぜー。


 さて、心配していた勉強だがなんとかなったわ。父さんはほっといて、母さんや近所の兄ちゃん姉ちゃんに教えてもらえた。
 母さんって町の学校で結構成績上位だったらしい。うちで勉強会するのは楽しかったなあ。

 俺はかなり記憶力がいいのである。勉強のほとんどは、暗記してしまえばこっちのもんだ。歴史とか特にそうだよな。
 試験のレベルがどれくらいか知らんけど...もう町の学校は卒業できると言われた(魔法以外)。特待生とはいえ、なんとかなるだろ。後は俺の機転次第だな。



 「おにーちゃーん。」

 「ん?どうした、マル。」

 部屋で読書をしてたところにトテトテと寄ってきたこの女の子、俺の妹マルベリーである。現在4歳、超可愛い。
 
 前世にもひとつ違いの妹がいたが...うん、あいつも小さい頃は可愛かったよ...。
 妹って奴はさ、小さい頃はおにいちゃんって言って慕ってくれるんだ。ところが成長するとだんだん乱暴になるわ、いつのまにか呼び捨てされてるわ、「外で話しかけんな」とか言われるわ...。え、うちだけ?マジか...。
 とにかくマルにはこのまま健やかに成長してほしいものです。


 「ねえおにいちゃん。おにいちゃんは、おうちをでちゃうの?」
 
 「試験に受かったらな。長期休みには帰ってくるし、心配するな?」

 「うー。さみしい...。」


 シャルトルーズに9999のダメージ!やっっべえ!うっかり「やっぱやーめたっ!」とか言いそうになっちまった!!
 言わないけど。

 「泣いたふりしてもダメだからな?」

 「チッ...。」

 舌打ちしおった...。まだ幼いというのに、すでにこの有様ですよ...。やっぱり[お兄ちゃん大好きな可愛い妹]はフィクションだったか...。いや、まだだ。まだ希望は捨てないぞ!


 「さ、今日はどうする?本でも読もうか。」

 「うん!マルもべんきょうするのー!」


 マルを膝に乗せて、絵本を読み始める。母さんに似てくれたのか、マルも勉強は嫌いではないらしい。父さんに似なくて良かった...。
 
 俺の将来の夢はまだまだ未定のままだが、少なくとも家族を守れる男になりたいと思っている今日この頃。
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