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関係各所に顔出してエクスペクトとインデペンデンスの話を終えた後、俺に出来ることは特に無かった。なのでインデペンデンスの採用面接が行なわれるまで、俺はニーナの平らなおっぱいを吸ったりフラッタのちっぱいを吸ったりリュートの巨っぱいを吸ったり、要するにいつも通り寝室で過ごすことにした。
いつもと違うのは、ピロートークでコラプサーが話題に上がるくらいか。
「リュートさん。魔力そのものを食べるというコラプサーに移動魔法だけが通じたのは何故だと思う? 明確な理由があるなら知っておきたいんだけど」
「それは多分、移動魔法は空間に干渉する魔法であって、コラプサーに対して魔力で干渉しているわけじゃないからだと思うよキュール」
俺はルーラーズコアに記録してあった情報……。かつて女神様たちの世界が滅ぼされた際に送り込まれたというコラプサーの情報に提供し、それを聞いたみんなが熱心に話し込んでいる。
俺は話し合いにあまり興味を持たないニーナや、魔法的な話についていけないフラッタなどを中心に種付け行為を楽しみながら、耳と思考だけを話し合いに傾けている。
「移動魔法は空間に干渉した時点で完成しているんだ。コラプサーなら空間に干渉している魔力そのものを食らってしまうと思うけど、成立した移動魔法が破綻するまでに若干の猶予があるんじゃないかな」
「コラプサーは移動魔法を破綻させるために魔力を食べているわけじゃないから、移動魔法が成立する余地が残されているわけか。その一瞬の成立でコラプサーを引き裂くことを目的に開発されたのが崩界ってわけだね」
「うん。ただダンも懸念してる通り、崩界がコラプサーに通じたかと言われると微妙なんだよね~」
フラッタの1番奥をぐりぐりして遊んでいた俺の体を、まるで呼吸するような自然な動きで連れ去って深く繋がってくるリュート。
会話中の奥さんにはキスをしないで欲しいとおねだりされているので、いつも通りリュートのスウィートおっぱいにしゃぶりついておこう。はむはむ。美味しい。
「生物であれば一瞬でも体を引き裂かれれば致命傷だけど、コラプサーが生物である保証は無いし、肉体を持たない魔力の集合体である可能性が高そうなんだよね。それにダン自身がガルフェリアの大崩界に抵抗してみせた例もあるから……」
「あはーっ。ダンったら女神様が授けてくれた策を自分の手で破っちゃうんだものねーっ。インデペンデンスの研究テーマって、ある意味打倒ダンみたいな感じになりそっ」
「打倒旦那様の研究でしたら私も大いに興味ありますね? 最近はベッドの上でもなかなか勝ちを譲ってくださいませんしぃ……?」
リュートとフラッタを抱き寄せて2人のおっぱいを一緒に吸っていたら、そんなのお構いなしにヴァルゴが舌を絡ませてきた。
状況的にはヴァルゴとベロチューしながらフラッタとリュートの乳首を舐め回しているわけで、リュートの中に注ぎ込む勢いが2段階くらい増してしまったぜっ。
「でもさぁ、パパの倒し方なんて全っ然見つかる気がしないよー? パパのデウス・エクス・マキナって、突き詰めれば世界中の魔力を支配できるってことじゃん」
「流石にそれは大袈裟でしょうと言ってあげたいところですけど、スクリームヴァレーに居ながらにしてロストスペクターの皆さんやエルドパスタムに居たマドゥさんたちとまで魔力を繋いじゃいましたからねー。世界中の魔力の掌握、出来るんでしょダンさんっ」
ムーリがおっぱいを寄せてあげながら問いかけてくる。しかしヴァルゴの唇を捕まえられているので、ムーリのおっぱいには視線を向けることしかできない。
くそっ。仕方ないのでヴァルゴの舌と一緒にフラッタとリュートのおっぱいを吸うしかないぜっ。ちゅうちゅう。美味しい。
しっかし世界中の魔力を制御下に置くとか荒唐無稽にもほどがあるんだけど、恐らく女神様たちは出来ていたし、今の俺も間違いなくできるだろう。
女神様たちは変世のタイミングでこの世界の魔力と深く繋がっていたし、俺は液化を理解することで魔力の本質に辿り着いてしまったからな。
液化に辿り着く前に編み出した転移斬撃も魔力制御の極致って感じではあったけど、デウス・エクス・マキナは制御じゃなくて魔力との同化と新たな魔力の発生と言った方が近い気がする。
「う~ん……。ムーリが言う通り、ダンが世界中の魔力を掌握できるとしたら、同じ能力を持つコラプサーが世界を滅ぼして回るのはなんだかちょっと不思議な感じがするのー……」
「あら? 何が引っかかるのかしらニーナちゃん?」
「えっとねティムル。ダンってデウス・エクス・マキナで魔力の回復まで出来ちゃうじゃない? コラプサーも同じ能力を持っているなら、わざわざ他の世界に出向かずに好きなだけ魔力を産み出せばいいのになーって」
「それはどう……なんでしょうね?」
ニーナの疑問に、デウス・エクス・マキナを使えないティムルは答えることが出来ない。
しかし直ぐに何かを思いついたお姉さんは、ニマニマしながら俺に問いかけてくる。
「ね~えダ~ン、貴方の自家発電には限界があるのかしらぁ?」
「悪意しか感じない問いかけですねぇっ!? ニーナと出会ってからは、自家発電したことなんて1度だってないですぅ~」
「あはーっ。そりゃあお姉さんの名にかけて、1人で慰めたりなんて絶対に許しませんからねーっ?」
「許さないなら何の質問だよっ! デウス・エクス・マキナの魔力生成量についてなら分からないとしか言えないかな」
お腹いっぱいになったリュートとフラッタを解放し、ヴァルゴに身を沈めてムーリをおっぱいを舐め回す。
本当は全力で吸い付きたいけど、そうすると喋れなくなるので舐め回すのが精いっぱいだ。くそう。ぺろぺろ。
「ただ、魔力同士を干渉させてより多くの魔力を発生させるって原理を考えるなら、理論上は無限に魔力を産み出せるんじゃないかとは思う。事実として、コラプサーが生み出す魔力は枯渇してないわけだしさ」
「そうそう。そこも変だと思うのー。魔力が大好きで世界すら渡ってくるコラプサーが、どうして自分が生み出した魔力を垂れ流してるのー? デウス・エクス・マキナって世界中の魔力を掌握できるんでしょー?」
「それは……」
誰に問いかけたわけでもないニーナの疑問に反応したのは意外にも、戦えないはずのシャロだった。
戦えずとも地頭の良いシャロは、俺たちと一緒に過ごすうちに議論できるレベルの魔力知識を身に着けてしまったらしい。
「恐らくご自身で魔力を制御されているご主人様と違って、マジックアイテムを取り込んだだけのコラプサーにはご主人様ほどの魔力制御能力が無いのでは……」
「ん、ん~……? シャロ様の仰っていることが本当だとしたら、コラプサーのデウス・エクス・マキナとダンさんのデウス・エクス・マキナって、同じようで微妙に異なる能力ってことになる、の?」
頭にはてなマークを浮かべたターニアが、シャロの導き出した推論を分かりやすく言語化してくれた。
ルーラーコアによるデータ解析でも俺とコラプサーのデウス・エクス・マキナは同様の能力であると結論付けられているけれど、その関係性は少し違うところか?
ヴァルゴとムーリの中を行ったり来たりしていると、我が家の頭脳担当組が議論を白熱させていく。
「魔力制御には確固たる意志と強い集中力が必要だわ。おっぱいリュートは息するように風を操ってるけど、普通は深く集中して行うものなのよ、精霊魔法って」
「鼻歌交じりに風を操る姉さんには言われたくないな―? でも、意識を持たないコラプサーが高度な魔力制御技術は持ち合わせているはずがないって、姉さんはそう言ってるんだ」
「それならせっかくの魔力を垂れ流しにしている理由も、移動魔法を無力化できない理由にも繋がるね。でも逆に、意思を持たないということは生物でない可能性も高まったかもしれない……」
「意思を持たず魔力制御ができないから、コラプサーはデウス・エクス・マキナが生み出した魔力を1度に取り込むことが出来ないのでしょうか? ですが取り込む魔力に限界がある相手のようにも思えないんですよね……」
あー。魔力を吸収するタイプの相手に限界以上に魔力を食わせるのって、ある種定番の倒し方だよな。日本人でもないのによくそこに思い至るなぁシャロは。
かと言って、いくつも世界を滅ぼすほど魔力を食らっても存在しているコラプサーに実行できる作戦じゃないかぁ。
「でも意思を持たないってことは、攻撃される心配も無いってことにならないかしらぁ? コラプサーの襲来によって結果的に私たちは滅びを迎えてしまうわけだけど、敵対者として認識されて狙い撃ちにされる心配はないんじゃない?」
「いやいや、それは楽観的過ぎるぜティムル。自身がやべーって事態に陥ったら、意思が無くたって反撃行為に出てもおかしくねーだろ」
「シーズの言う通りだねー。アウターだってアウターエフェクトやイントルーダーって防衛機能があるんだもん。こちらが撃退に打って出たら反撃は覚悟しないといけないんじゃない?」
チャールの言うアウターは女神様たちが用意したシステムだから、コラプサーと比較するにはちょっと違う気はするな。でも魔力で構成された存在って点では近いとも言えるか?
ティムルの言っていたことも無視はできない。コラプサーは俺たちの滅びを望んでいるわけではないのだ。コラプサーが訪れた結果、俺たちが勝手に滅びてしまうだけで。
とどのつまり、コラプサーってのは自然災害そのものなんだろうな。本来であれば対抗しようなんて考えることも無く、発生しないこと、逸れることを祈るしかできない存在なのだ。
「いやでも、確か以前はアウターエフェクトだって自然災害みたいに扱われていたんだっけ……」
「む、ダン?」
「フラッタごめん。ちょっとキスさせてねー」
「むむー? 好きなだけするが良いのじゃ~」
俺の呟きを拾ったフラッタが心配そうに覗き込んできたので、せっかくなのでイチャイチャしながら考えさせてもらうことにする。
かつては自然災害のように扱われていたアウターエフェクトは、魔物の狩りすぎによるコラプサー召喚を阻止するために女神様たちが設置した防衛システムの1つだ。
イントルーダーも同じで、どれだけこの世界の人々が繁栄しようともコラプサーを呼び寄せないよう、虐殺によって人口を抑制システムなのだ。だからこそ普通は倒せない隔絶した能力に設定されているのだろう。
……ならば、コラプサーはどうなのだろう?
世界をいくつも滅亡させてしまうような自然現象が、果たして自然に発生するものだろうか?
現代日本の知識があれば、巨大隕石の衝突やブラックホールの発生など、世界そのものを消滅させる規模の自然現象が発生しうることは理解できる。
魔力を際限なく食らい尽くすその生態を思えば、ブラックホールに似た現象であると思えなくも無いけれど……。
「……けれどコラプサーは、デウス・エクス・マキナによって魔力を発生させてもいる。それも、自分が食らうよりも速い速度で」
「んふー。コラプサーとデウス・エクス・マキナは別々なのではなかったのじゃ~?」
「コラプサーのデウス・エクス・マキナがマジックアイテムだとするならば、マジックアイテムを稼働させている魔力はコラプサーが提供してるんじゃないかな? なんだか卵が先か、鶏が先かって話になっちゃうけど」
フラッタとのキスを再開し、直ぐに小さな舌を絡め取りながらも、今フラッタと会話した内容が頭に引っかかってしまう。
……なんだろう。何か今、すごく重要なことに気付きかけている気がする。
可愛いフラッタのキスの感触と同じくらいに重要な要素に、今チラッと触れたような――――――。
「……ああそうか。コラプサーって、デウス・エクス・マキナが完成した後に出現したんだっけ」
「うむ。他ならぬダンがそう言っておったのう。無限に魔力を産み出すマジックアイテム、デウス・エクス・マキナを狙って、突如女神様たちが住んでおった世界にコラプサーが襲来してきたのだと」
「そう。女神様たちは、魔力を食らうコラプサーがデウス・エクス・マキナを感知して襲来して来たって認識だったけど……。実はコラプサーって、アウターエフェクトやイントルーダーみたいな存在だったりしないかな?」
「……つまりダンさんは、デウス・エクス・マキナを狙ってコラプサーが現れたのではなく、デウス・エクス・マキナこそがコラプサーを産み出したと言いたいのかい?」
フラッタとキスしながら会話していると、表情を険しくさせたキュールが口を挟んでくる。
「ねぇダンさん。仮にコラプサーが世界の防衛機能の1つだとしても、それを考える意味は無くないかな? アウターエフェクトもイントルーダーも、発生してしまったら倒す以外に手が無いようにね」
「コラプサーに関してだけを考えるならそうだけど……」
もしもコラプサーが、数多の世界の崩壊を導いてでも何かを抑制しているとしたら……。
いや、むしろコラプサーこそが最後の最期の防衛システムを超えた、世界終焉プログラムか何かなのかもしれない。
かつて地球で起こったとされる、ノアの大洪水のように。
「コラプサーを退けても、それだけじゃ自分たちの手でまたコラプサーを生み出してしまうことにもなりかねないよ。恐らくコラプサーを産み出したのはマジックアイテムデウス・エクス・マキナだけど、俺もまたデウス・エクス・マキナという能力を扱えるんだから」
「――――――ダンさんの言い分は分かるけど、数々の世界を滅ぼしているコラプサーが防衛機能だとは私は思わない」
キュールは感情を込めない声で、真っ向から俺の考えを否定する。
この頑なな態度は、キュール自身も俺の言い分に共感するところがあるからだろう。
「コラプサーのような終焉存在がそう簡単に生み出されるとも思ってない。仮に生み出されることがあっても、倒した瞬間に新たなコラプサーが産まれるとも思わない。私たちに残された時間は限られているこの状況で、コラプサーの起源なんて研究してる余裕は無いんじゃない?」
「コラプサーの起源を探るだけじゃないよ。並行してコラプサーを退ける研究も進めればいい」
「だからっ! それを実行するだけの余裕が無いって話をっ……!」
「安心してキュール。研究者を分ける必要は無いよ。だってコラプサーの起源も、その退け方も、結局は同じところに収束するんだから」
コラプサーが発生したきっかけが、マジックアイテムデウス・エクス・マキナなら。
コラプサーを退ける鍵が、俺の辿り着いた魔力制御の極致デウス・エクス・マキナであるなら。
……まったく、いつだって問題の答えは自分の中にあるんだから、いい加減嫌になっちゃうね。
「特別研究機関インデペンデンスの研究テーマはデウス・エクス・マキナだ。俺も全面的に協力するから、デウス・エクス・マキナそのものを1から……」
「なにそれ!? それってダンを研究するってことーっ!? 面白そうっ! 絶対私も参加するのーっ!」
……あ、あのー、ニーナさん?
今世界の存亡に関わる大事な話をしてたんで、そんなにキラッキラした笑顔されると困るんですけどぉ……?
いつもと違うのは、ピロートークでコラプサーが話題に上がるくらいか。
「リュートさん。魔力そのものを食べるというコラプサーに移動魔法だけが通じたのは何故だと思う? 明確な理由があるなら知っておきたいんだけど」
「それは多分、移動魔法は空間に干渉する魔法であって、コラプサーに対して魔力で干渉しているわけじゃないからだと思うよキュール」
俺はルーラーズコアに記録してあった情報……。かつて女神様たちの世界が滅ぼされた際に送り込まれたというコラプサーの情報に提供し、それを聞いたみんなが熱心に話し込んでいる。
俺は話し合いにあまり興味を持たないニーナや、魔法的な話についていけないフラッタなどを中心に種付け行為を楽しみながら、耳と思考だけを話し合いに傾けている。
「移動魔法は空間に干渉した時点で完成しているんだ。コラプサーなら空間に干渉している魔力そのものを食らってしまうと思うけど、成立した移動魔法が破綻するまでに若干の猶予があるんじゃないかな」
「コラプサーは移動魔法を破綻させるために魔力を食べているわけじゃないから、移動魔法が成立する余地が残されているわけか。その一瞬の成立でコラプサーを引き裂くことを目的に開発されたのが崩界ってわけだね」
「うん。ただダンも懸念してる通り、崩界がコラプサーに通じたかと言われると微妙なんだよね~」
フラッタの1番奥をぐりぐりして遊んでいた俺の体を、まるで呼吸するような自然な動きで連れ去って深く繋がってくるリュート。
会話中の奥さんにはキスをしないで欲しいとおねだりされているので、いつも通りリュートのスウィートおっぱいにしゃぶりついておこう。はむはむ。美味しい。
「生物であれば一瞬でも体を引き裂かれれば致命傷だけど、コラプサーが生物である保証は無いし、肉体を持たない魔力の集合体である可能性が高そうなんだよね。それにダン自身がガルフェリアの大崩界に抵抗してみせた例もあるから……」
「あはーっ。ダンったら女神様が授けてくれた策を自分の手で破っちゃうんだものねーっ。インデペンデンスの研究テーマって、ある意味打倒ダンみたいな感じになりそっ」
「打倒旦那様の研究でしたら私も大いに興味ありますね? 最近はベッドの上でもなかなか勝ちを譲ってくださいませんしぃ……?」
リュートとフラッタを抱き寄せて2人のおっぱいを一緒に吸っていたら、そんなのお構いなしにヴァルゴが舌を絡ませてきた。
状況的にはヴァルゴとベロチューしながらフラッタとリュートの乳首を舐め回しているわけで、リュートの中に注ぎ込む勢いが2段階くらい増してしまったぜっ。
「でもさぁ、パパの倒し方なんて全っ然見つかる気がしないよー? パパのデウス・エクス・マキナって、突き詰めれば世界中の魔力を支配できるってことじゃん」
「流石にそれは大袈裟でしょうと言ってあげたいところですけど、スクリームヴァレーに居ながらにしてロストスペクターの皆さんやエルドパスタムに居たマドゥさんたちとまで魔力を繋いじゃいましたからねー。世界中の魔力の掌握、出来るんでしょダンさんっ」
ムーリがおっぱいを寄せてあげながら問いかけてくる。しかしヴァルゴの唇を捕まえられているので、ムーリのおっぱいには視線を向けることしかできない。
くそっ。仕方ないのでヴァルゴの舌と一緒にフラッタとリュートのおっぱいを吸うしかないぜっ。ちゅうちゅう。美味しい。
しっかし世界中の魔力を制御下に置くとか荒唐無稽にもほどがあるんだけど、恐らく女神様たちは出来ていたし、今の俺も間違いなくできるだろう。
女神様たちは変世のタイミングでこの世界の魔力と深く繋がっていたし、俺は液化を理解することで魔力の本質に辿り着いてしまったからな。
液化に辿り着く前に編み出した転移斬撃も魔力制御の極致って感じではあったけど、デウス・エクス・マキナは制御じゃなくて魔力との同化と新たな魔力の発生と言った方が近い気がする。
「う~ん……。ムーリが言う通り、ダンが世界中の魔力を掌握できるとしたら、同じ能力を持つコラプサーが世界を滅ぼして回るのはなんだかちょっと不思議な感じがするのー……」
「あら? 何が引っかかるのかしらニーナちゃん?」
「えっとねティムル。ダンってデウス・エクス・マキナで魔力の回復まで出来ちゃうじゃない? コラプサーも同じ能力を持っているなら、わざわざ他の世界に出向かずに好きなだけ魔力を産み出せばいいのになーって」
「それはどう……なんでしょうね?」
ニーナの疑問に、デウス・エクス・マキナを使えないティムルは答えることが出来ない。
しかし直ぐに何かを思いついたお姉さんは、ニマニマしながら俺に問いかけてくる。
「ね~えダ~ン、貴方の自家発電には限界があるのかしらぁ?」
「悪意しか感じない問いかけですねぇっ!? ニーナと出会ってからは、自家発電したことなんて1度だってないですぅ~」
「あはーっ。そりゃあお姉さんの名にかけて、1人で慰めたりなんて絶対に許しませんからねーっ?」
「許さないなら何の質問だよっ! デウス・エクス・マキナの魔力生成量についてなら分からないとしか言えないかな」
お腹いっぱいになったリュートとフラッタを解放し、ヴァルゴに身を沈めてムーリをおっぱいを舐め回す。
本当は全力で吸い付きたいけど、そうすると喋れなくなるので舐め回すのが精いっぱいだ。くそう。ぺろぺろ。
「ただ、魔力同士を干渉させてより多くの魔力を発生させるって原理を考えるなら、理論上は無限に魔力を産み出せるんじゃないかとは思う。事実として、コラプサーが生み出す魔力は枯渇してないわけだしさ」
「そうそう。そこも変だと思うのー。魔力が大好きで世界すら渡ってくるコラプサーが、どうして自分が生み出した魔力を垂れ流してるのー? デウス・エクス・マキナって世界中の魔力を掌握できるんでしょー?」
「それは……」
誰に問いかけたわけでもないニーナの疑問に反応したのは意外にも、戦えないはずのシャロだった。
戦えずとも地頭の良いシャロは、俺たちと一緒に過ごすうちに議論できるレベルの魔力知識を身に着けてしまったらしい。
「恐らくご自身で魔力を制御されているご主人様と違って、マジックアイテムを取り込んだだけのコラプサーにはご主人様ほどの魔力制御能力が無いのでは……」
「ん、ん~……? シャロ様の仰っていることが本当だとしたら、コラプサーのデウス・エクス・マキナとダンさんのデウス・エクス・マキナって、同じようで微妙に異なる能力ってことになる、の?」
頭にはてなマークを浮かべたターニアが、シャロの導き出した推論を分かりやすく言語化してくれた。
ルーラーコアによるデータ解析でも俺とコラプサーのデウス・エクス・マキナは同様の能力であると結論付けられているけれど、その関係性は少し違うところか?
ヴァルゴとムーリの中を行ったり来たりしていると、我が家の頭脳担当組が議論を白熱させていく。
「魔力制御には確固たる意志と強い集中力が必要だわ。おっぱいリュートは息するように風を操ってるけど、普通は深く集中して行うものなのよ、精霊魔法って」
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「意思を持たず魔力制御ができないから、コラプサーはデウス・エクス・マキナが生み出した魔力を1度に取り込むことが出来ないのでしょうか? ですが取り込む魔力に限界がある相手のようにも思えないんですよね……」
あー。魔力を吸収するタイプの相手に限界以上に魔力を食わせるのって、ある種定番の倒し方だよな。日本人でもないのによくそこに思い至るなぁシャロは。
かと言って、いくつも世界を滅ぼすほど魔力を食らっても存在しているコラプサーに実行できる作戦じゃないかぁ。
「でも意思を持たないってことは、攻撃される心配も無いってことにならないかしらぁ? コラプサーの襲来によって結果的に私たちは滅びを迎えてしまうわけだけど、敵対者として認識されて狙い撃ちにされる心配はないんじゃない?」
「いやいや、それは楽観的過ぎるぜティムル。自身がやべーって事態に陥ったら、意思が無くたって反撃行為に出てもおかしくねーだろ」
「シーズの言う通りだねー。アウターだってアウターエフェクトやイントルーダーって防衛機能があるんだもん。こちらが撃退に打って出たら反撃は覚悟しないといけないんじゃない?」
チャールの言うアウターは女神様たちが用意したシステムだから、コラプサーと比較するにはちょっと違う気はするな。でも魔力で構成された存在って点では近いとも言えるか?
ティムルの言っていたことも無視はできない。コラプサーは俺たちの滅びを望んでいるわけではないのだ。コラプサーが訪れた結果、俺たちが勝手に滅びてしまうだけで。
とどのつまり、コラプサーってのは自然災害そのものなんだろうな。本来であれば対抗しようなんて考えることも無く、発生しないこと、逸れることを祈るしかできない存在なのだ。
「いやでも、確か以前はアウターエフェクトだって自然災害みたいに扱われていたんだっけ……」
「む、ダン?」
「フラッタごめん。ちょっとキスさせてねー」
「むむー? 好きなだけするが良いのじゃ~」
俺の呟きを拾ったフラッタが心配そうに覗き込んできたので、せっかくなのでイチャイチャしながら考えさせてもらうことにする。
かつては自然災害のように扱われていたアウターエフェクトは、魔物の狩りすぎによるコラプサー召喚を阻止するために女神様たちが設置した防衛システムの1つだ。
イントルーダーも同じで、どれだけこの世界の人々が繁栄しようともコラプサーを呼び寄せないよう、虐殺によって人口を抑制システムなのだ。だからこそ普通は倒せない隔絶した能力に設定されているのだろう。
……ならば、コラプサーはどうなのだろう?
世界をいくつも滅亡させてしまうような自然現象が、果たして自然に発生するものだろうか?
現代日本の知識があれば、巨大隕石の衝突やブラックホールの発生など、世界そのものを消滅させる規模の自然現象が発生しうることは理解できる。
魔力を際限なく食らい尽くすその生態を思えば、ブラックホールに似た現象であると思えなくも無いけれど……。
「……けれどコラプサーは、デウス・エクス・マキナによって魔力を発生させてもいる。それも、自分が食らうよりも速い速度で」
「んふー。コラプサーとデウス・エクス・マキナは別々なのではなかったのじゃ~?」
「コラプサーのデウス・エクス・マキナがマジックアイテムだとするならば、マジックアイテムを稼働させている魔力はコラプサーが提供してるんじゃないかな? なんだか卵が先か、鶏が先かって話になっちゃうけど」
フラッタとのキスを再開し、直ぐに小さな舌を絡め取りながらも、今フラッタと会話した内容が頭に引っかかってしまう。
……なんだろう。何か今、すごく重要なことに気付きかけている気がする。
可愛いフラッタのキスの感触と同じくらいに重要な要素に、今チラッと触れたような――――――。
「……ああそうか。コラプサーって、デウス・エクス・マキナが完成した後に出現したんだっけ」
「うむ。他ならぬダンがそう言っておったのう。無限に魔力を産み出すマジックアイテム、デウス・エクス・マキナを狙って、突如女神様たちが住んでおった世界にコラプサーが襲来してきたのだと」
「そう。女神様たちは、魔力を食らうコラプサーがデウス・エクス・マキナを感知して襲来して来たって認識だったけど……。実はコラプサーって、アウターエフェクトやイントルーダーみたいな存在だったりしないかな?」
「……つまりダンさんは、デウス・エクス・マキナを狙ってコラプサーが現れたのではなく、デウス・エクス・マキナこそがコラプサーを産み出したと言いたいのかい?」
フラッタとキスしながら会話していると、表情を険しくさせたキュールが口を挟んでくる。
「ねぇダンさん。仮にコラプサーが世界の防衛機能の1つだとしても、それを考える意味は無くないかな? アウターエフェクトもイントルーダーも、発生してしまったら倒す以外に手が無いようにね」
「コラプサーに関してだけを考えるならそうだけど……」
もしもコラプサーが、数多の世界の崩壊を導いてでも何かを抑制しているとしたら……。
いや、むしろコラプサーこそが最後の最期の防衛システムを超えた、世界終焉プログラムか何かなのかもしれない。
かつて地球で起こったとされる、ノアの大洪水のように。
「コラプサーを退けても、それだけじゃ自分たちの手でまたコラプサーを生み出してしまうことにもなりかねないよ。恐らくコラプサーを産み出したのはマジックアイテムデウス・エクス・マキナだけど、俺もまたデウス・エクス・マキナという能力を扱えるんだから」
「――――――ダンさんの言い分は分かるけど、数々の世界を滅ぼしているコラプサーが防衛機能だとは私は思わない」
キュールは感情を込めない声で、真っ向から俺の考えを否定する。
この頑なな態度は、キュール自身も俺の言い分に共感するところがあるからだろう。
「コラプサーのような終焉存在がそう簡単に生み出されるとも思ってない。仮に生み出されることがあっても、倒した瞬間に新たなコラプサーが産まれるとも思わない。私たちに残された時間は限られているこの状況で、コラプサーの起源なんて研究してる余裕は無いんじゃない?」
「コラプサーの起源を探るだけじゃないよ。並行してコラプサーを退ける研究も進めればいい」
「だからっ! それを実行するだけの余裕が無いって話をっ……!」
「安心してキュール。研究者を分ける必要は無いよ。だってコラプサーの起源も、その退け方も、結局は同じところに収束するんだから」
コラプサーが発生したきっかけが、マジックアイテムデウス・エクス・マキナなら。
コラプサーを退ける鍵が、俺の辿り着いた魔力制御の極致デウス・エクス・マキナであるなら。
……まったく、いつだって問題の答えは自分の中にあるんだから、いい加減嫌になっちゃうね。
「特別研究機関インデペンデンスの研究テーマはデウス・エクス・マキナだ。俺も全面的に協力するから、デウス・エクス・マキナそのものを1から……」
「なにそれ!? それってダンを研究するってことーっ!? 面白そうっ! 絶対私も参加するのーっ!」
……あ、あのー、ニーナさん?
今世界の存亡に関わる大事な話をしてたんで、そんなにキラッキラした笑顔されると困るんですけどぉ……?
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