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859 摂理の宝珠
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「ダン、どうかしたー?」
不思議そうに問いかけてくるニーナの声に答える余裕も無く、俺はルーラーズコアから直接魔力を頭の中に流し込まれる不快感に耐えることしかできない。
青い瞳をしていたティムルが異変に気付いていないあたり、この魔力もどうやら熱視でも見ることは出来ないようだな。
俺の頭に叩き込まれた魔力は情報の波で、どうやら俺は今脳内に直接ルーラーズコアのマニュアルを叩き込まれてしまったらしい。
その情報に引っ張られそうになる意識を、両手と前後から伝わるおっぱいの感触を頼りに手繰り寄せる。
「……大丈夫だよニーナ。勝手に神器の使い方を頭に叩き込まれちゃってさ、少し戸惑っただけ」
「あー。そう言えばダンは神器の正当な所有者だったっけ。ならルーラーズコアにも認められても不思議じゃないのー」
俺に乳首を扱かれながらアウラを抱きしめるニーナは、ルーラーズコアには一切の興味が無さそうだ。
そしてそれは他の家族も同様で、まぁダンならそれくらい当たり前よね、みたいな妙に納得した表情を浮かべていた。
「ほれほれダンよ。妾の乳首も引っ張っていいから、早う説明して欲しいのじゃ。このマジックアイテムはいったいどんな性能をして……こっこれ……、優しくシコシコはダメなのじゃぁ……!」
「上手く説明するのは難しいんだけど、ルーラーズコアはこの世界の根幹を制御するマジックアイテムみたいだね。異界からの魔力の流入量を調整したり、この世界に住む人々の言語を統一してくれたりしてるみたい。異世界から来た俺が問題なく会話できたのもルーラーズコアのおかげみたいだよ」
甘い刺激に身を捩るフラッタの姿を楽しみながら、ルーラーズコアの性能についてみんなに説明していく。
職業の加護やステータスプレートをこの世界の住人全てに付与することも出来て、職業スキルとして使用できる魔法は全てルーラーズコアを通して干渉を制御されているようだ。
攻撃魔法が対人戦で使えない理由は、ルーラーズコアによって危険な魔法を人に向けられないように制限されているからだったのか。
「ルーラーズコアの効果は、この世界に存在する人間であれば例外なく付与されるそうだ。だから湖人族のみんなとも意思の疎通が図れたわけだね。それとルーラーズコアの効果が得られなければ、どんなに魔物を倒しても魔法強化……職業浸透は進まないらしい」
「つまり言葉が通じない全ての生物はルーラーズコアの影響下に無いから、どれだけ魔物を葬っても職業の加護は得られないってわけだ……」
「そして、職業の祝福を司る神器と、祝福の神トライラムが無関係なわけがないわ……。やっぱりここは当初の見立て通り、教会地下の転移魔方陣の転移先だと考えるべきね……」
俺の両脇で真剣な口調で語るティムルとリュートは、武器を手放して自分のおっぱいをゆっさゆっさと揺らして見せてくれている。
これは一応意味のある行為で、ルーラーズコアに意識を引っ張られすぎないように、みんなのおっぱいで俺の意識と視線を繋ぎ止めてもらっているのだ。
「ねぇねぇパパ。私にもママたちにも何も影響が無いのに、パパにだけルーラーズコアが反応したのは何で? もっと言えば神器の具体的な所有条件ってなんなのかなー?」
「あ、それは俺も気になるな。ちょっと待ってねー……ちゅっちゅ」
首を傾げるアウラと唇を重ねながら、意識を引っ張られないように注意してルーラーズコアにアクセスする。
すると途端に膨大な量の情報が頭に流れ込んでくるのを魔力制御でコントロールし、自分の知りたい情報だけを選別する。
知りたい情報と共にアウラの舌を吸い上げて、びくんびくんと震えながら俺にしがみつくアウラの疑問に答えていく。
「……神器に選ばれる条件はいくつかあるみたいだね。1つ目は単純に職業浸透数の多さ。基準とされている数値についての説明は無いけど、我が家ではラトリアとエマまでこの条件は達成してるみたいだよ」
「ラトリアたちなら納得ですが、逆にムーリやターニアが足りていないのは意外ですね? かつて神器の所有者だったノーリッテですが、ムーリやカレン様よりも浸透が進んでいたのでしょうか?」
「ノーリッテに関しては別の条件、『目利きで悪意を感知されないこと』を達成して居たっぽいね。ヴァルゴたちも神器を守っていたけれど、神器自身にも悪用を防ぐセキュリティが施されてたみたいだ」
「あー……。確かにダンも全然悪意が無いもんね。君の場合、悪意は他人じゃなくて自分にぶつけるものだったから……」
おっぱいをばるんばるんと揺らしながら、俺を見て少しだけ心配そうな表情を浮かべるリュート。
だけど今お前がやってるみたいに、俺の周りには魅力的でエロ過ぎる奥さんばっかりだったから、悪意や敵意よりも性欲をぶつけたくなるんだよなぁ。
「ちなみにガルフェリアと言うかガルクーザのアホだけど、アイツは悪意もあった上に職業浸透も進められなかった。だからどんなに望んでも神器の所有者とは認められなかったみたいだね」
「む? その割には神器の力を引き出しておる気がしたのじゃが……。ガルシア陛下がいずれかの条件を満たしておったのか?」
「いや、ガルクーザは死の間際、己に内包した魔力と崩界で打ち込まれた魔力を用いて、神器そのものに自分の悪意を干渉させることに成功したらしい。自分を認めない神器を、ガルクーザもまた認められなかったってわけだ。ちゅーっ」
フラッタの問いに答えた報酬に、フラッタともチュッチュッと唇を重ねさせてもらう。
ガルクーザが行なったのはハッキングと言うかクラッキングに近い行為で、これは女神様たちの想定を上回る行為だったのだろう。
神の如き魔力強化を施された自分たちが扱える以上の膨大な魔力を、この世界の住人が操れるとは思っていなかったんだ。
結局、女神様たちは人の悪意を警戒しながらも、それでもどこかで侮ってしまっていたってことなんだろうな。
「ちゅううううう……っとそうだ。やっぱりここは原初の3女神とトライラム様が住んでいた場所で間違いないみたいだ。ルーラーズコアの使用権限に女神様たちの登録履歴がある。……トライラム様は『メルトレスティ』って名前で登録されてるみたいだけど」
「メルトレスティ……。全く聞き覚えが無いわね。どうしてトライラム様はご自身の名前を後世に残されなかったのかしら?」
ティムルの呟きに意識を向けただけで、それに対する回答が勝手に流し込まれてくる。
くっそ、俺は注ぎ込むのは大好きだけど、注ぎ込まれる趣味は無いんだよっ! 勝手に情報を流し込まれるのはしっかり拒絶しないと……。
「どうやらガルクーザに神器を奪われたらしくて、それを警戒して名前を変えたみたいだ。ほんと碌な事しなかったな、ガルクーザって」
「へぇ。流石は腐っても邪神ですね。職業浸透を進められなくても女神から神器を奪うとは。私でも圧倒出来たガルフェリアを見た後だと少し信じられません」
「ヴァルゴは自分を過小評価しすぎだから。ガルフェリアと戦った時のニーナとフラッタとヴァルゴ、3人とも女神様と同等以上の戦闘力だったと思うよ?」
「旦那様だけには言われたくないですけどねー? ふふ、でもありがとうございますっ」
背後のヴァルゴとキスをして、神器強奪の真相は忘れることにする。
この世界の人々を守るためにと、最も信頼していた息子に預けた神器を自身に振るわれたなんて、そんな悪意に塗れた事実をみんなが知る必要は無いだろう。
数分間ヴァルゴと唾液を交換していると、相変わらず俺に乳首をコネコネされているニーナが思いついたように質問してくる。
「ねぇダン。悪意と職業浸透数だけなら、ダンの他にも神器の所有者になれててもおかしくなくない? フラッタとかアウラとかも条件を満たしてそうな気がするのー」
「えっと、悪意を持たないことと一定の職業浸透数を得ること。それと篤志家の転職条件を満たしていること、不特定多数の人々と魂で信頼し合えていることが条件だそうだよ。かつての女神様たちは、この世界の住人みんなとそれはそれは深く信頼し合っていたってことだね」
「あー。フラッタは篤志家を得ていないし、アウラはまだ交友関係が足りないかー。ティムルは商人として生きてきた時間に、リュートは孤独だった時間に他人への悪意を抱いちゃったんだろうねー」
「あはーっ。私とニーナちゃんのために野盗を殺したりしてるダンが悪意を持ってない方が驚きなのよ。ダンってば野盗すら憎めずに、殺めてしまった自分のことばかり責めていたのねぇ……」
全く仕方ないんだから―と笑いながら、嬉しそうに唇を押し付けてくるティムル。
ティムルもニーナも神器の所有者になれそうなんだけどーと思う俺に、私たちは貴方に出会う前に数えきれないほど世界を呪ったからねーと笑うニーナ。
なら俺と出会った後は? と思った瞬間、ティムルと交代で俺の口の中に舌を差し込んでくるニーナ。
うん。ティムルとニーナのキスリレーは最高に気持ちいいんだけど、俺って今なにも発言してないはずなんだけどなー?
「っぷはぁ。俺だって聖人君子ってわけじゃないし、悪いことの1つや2つには覚えがあるんだけどね。この世界に来る前のことはルーラーズコアにも把握されていないからセーフだったっぽいよ」
「ほほー? ダンがした悪いこととは何なのじゃ? 妾に話してみるがよいのじゃ。どうせ大したことはしておらぬじゃろうがのうっ!」
「嫌だっての。なんで大好きなフラッタにわざわざ自分の恥を晒さなきゃならないんだよ」
「ふははーっ! そんなの、妾だって大好きな人のことをもっと知りたいからに決まっておるのじゃーっ」
真正面から好意と愛情と唇をぶつけてくるフラッタのおかげで、この世界の根幹に触れているという緊張感は大分和らいでくれた。
その後も大好きなみんなとキスを交わしながら、余計な情報を抜かないように注意しつつルーラーズコアの情報だけを読み取っていく。
「ふ~ん。じゃあ世界中の女性が君にメロメロになる、みたいなルールは追加できないんだねー」
「ルーラーズコアは魂に干渉する分、個人個人の意思決定には影響を及ぼせないように厳重に制限されてるみたいだよ。まぁ出来てもやらないけどね? もう手に余るくらい可愛い奥さんを貰ってますんで」
「手に余るはこっちのセリフだよーだ。50人を超える君の奥さん全員で協力しても、いつも君に1人にメロメロのヘロヘロにされちゃうんだもんっ」
アウラ越しに俺とキスをしてくるリュート。
本来ならニーナ1人さえも満足させてあげられない俺も、好色家先生と艶福家大先生のおかげでエロス大明神のリュートを好きなだけ愛することができるんだよなぁ。
「識の水晶はルーラーズコアから情報を読み取る端末だったの? 神器の1つにしては性能が数段落ちてる印象ね。それとガルクーザに識の水晶が乗っ取られたなら、どうしてルーラーズコアは無事だったのかしらぁ?」
「識の水晶は限りなく正確な未来演算って性能があったでしょ。ガルクーザのせいで悪意ある未来に誘導されやすくなってたみたいだけどね」
最早グランドドラゴンアクスも収納して、リュートと交代で俺の唇を奪ってくるティムル。
ルーラーズコアが俺の制御下にある時点で、ここで危険なことが起こるわけないもんな。
「それとルーラーズコアが無事だったのは、識の水晶からルーラーズコアに干渉することができなかったからだ。加えてルーラーズコアの情報は識の水晶でも引き出せなかったみたいだから、この部屋に入ったことが無い者には存在自体知られてないだろうね」
かつてトライラム様……いや、メルトレスティ様の息子として共に過ごしたガルクーザも、職業の加護無しではこの部屋には近づけなかったんだろうな。
息子にも娘にもルーラーズコアのことを伝えずにメルトレスティ様がお隠れになったことで、この世界の根幹を司るシステムのことは永久に忘れられたはずだったんだ。俺が暴かなければ。
「一応伝えておくけど、やっぱり他の3つの神器はガルフェリアと共に失われたみたいだよ。リュートとリーチェの中に微かにその反応の残滓が感じ取れるくらいかな」
「リュートとリーチェの中を感じ取れるって、ダンってばえっちなのーっ」
「パパが中で感じられるのは、リュートとリーチェお姉ちゃんだけじゃないでしょー? みんなの中で気持ち良くなっちゃうくせにーっ」
「……今すぐお前たちの中に突っ込んでそれを証明してもいいけど、まだ大事な話が1つ残ってるんだよねー」
からかい口調のニーナとアウラが、俺がすぐにお仕置きを始めないことで首を傾げている。
俺だって今すぐニーナとアウラを押し倒して、自分の発言を後悔するほど気持ちよくしてあげたいところだけれど、まだ解決すべき問題が残されているようなのだ。
「ただこの話は家族全員で共有したいから、戻ってから全員の前で話していい? 話が終わったらマギーの都合が許す限りひたすらえっちしよっか。食材もあるみたいだし」
「ダンがえっちよりも優先する話かぁ。あんまり聞きたくないけど、聞かなきゃえっちできないなら仕方ないのー」
出来るだけ早く済ませて、いっぱいえっちしようねとキスをねだるニーナ。
そんなニーナに応えるようにキスをしながら、この後話さなければならない事実に頭が痛む想いがした。
……なんなんだよコラプサーって。
4人の女神様たちが逃げることしかできなかった存在に、女神様たち抜きで対処しなきゃならないってなんだよ、まったくもー……。
不思議そうに問いかけてくるニーナの声に答える余裕も無く、俺はルーラーズコアから直接魔力を頭の中に流し込まれる不快感に耐えることしかできない。
青い瞳をしていたティムルが異変に気付いていないあたり、この魔力もどうやら熱視でも見ることは出来ないようだな。
俺の頭に叩き込まれた魔力は情報の波で、どうやら俺は今脳内に直接ルーラーズコアのマニュアルを叩き込まれてしまったらしい。
その情報に引っ張られそうになる意識を、両手と前後から伝わるおっぱいの感触を頼りに手繰り寄せる。
「……大丈夫だよニーナ。勝手に神器の使い方を頭に叩き込まれちゃってさ、少し戸惑っただけ」
「あー。そう言えばダンは神器の正当な所有者だったっけ。ならルーラーズコアにも認められても不思議じゃないのー」
俺に乳首を扱かれながらアウラを抱きしめるニーナは、ルーラーズコアには一切の興味が無さそうだ。
そしてそれは他の家族も同様で、まぁダンならそれくらい当たり前よね、みたいな妙に納得した表情を浮かべていた。
「ほれほれダンよ。妾の乳首も引っ張っていいから、早う説明して欲しいのじゃ。このマジックアイテムはいったいどんな性能をして……こっこれ……、優しくシコシコはダメなのじゃぁ……!」
「上手く説明するのは難しいんだけど、ルーラーズコアはこの世界の根幹を制御するマジックアイテムみたいだね。異界からの魔力の流入量を調整したり、この世界に住む人々の言語を統一してくれたりしてるみたい。異世界から来た俺が問題なく会話できたのもルーラーズコアのおかげみたいだよ」
甘い刺激に身を捩るフラッタの姿を楽しみながら、ルーラーズコアの性能についてみんなに説明していく。
職業の加護やステータスプレートをこの世界の住人全てに付与することも出来て、職業スキルとして使用できる魔法は全てルーラーズコアを通して干渉を制御されているようだ。
攻撃魔法が対人戦で使えない理由は、ルーラーズコアによって危険な魔法を人に向けられないように制限されているからだったのか。
「ルーラーズコアの効果は、この世界に存在する人間であれば例外なく付与されるそうだ。だから湖人族のみんなとも意思の疎通が図れたわけだね。それとルーラーズコアの効果が得られなければ、どんなに魔物を倒しても魔法強化……職業浸透は進まないらしい」
「つまり言葉が通じない全ての生物はルーラーズコアの影響下に無いから、どれだけ魔物を葬っても職業の加護は得られないってわけだ……」
「そして、職業の祝福を司る神器と、祝福の神トライラムが無関係なわけがないわ……。やっぱりここは当初の見立て通り、教会地下の転移魔方陣の転移先だと考えるべきね……」
俺の両脇で真剣な口調で語るティムルとリュートは、武器を手放して自分のおっぱいをゆっさゆっさと揺らして見せてくれている。
これは一応意味のある行為で、ルーラーズコアに意識を引っ張られすぎないように、みんなのおっぱいで俺の意識と視線を繋ぎ止めてもらっているのだ。
「ねぇねぇパパ。私にもママたちにも何も影響が無いのに、パパにだけルーラーズコアが反応したのは何で? もっと言えば神器の具体的な所有条件ってなんなのかなー?」
「あ、それは俺も気になるな。ちょっと待ってねー……ちゅっちゅ」
首を傾げるアウラと唇を重ねながら、意識を引っ張られないように注意してルーラーズコアにアクセスする。
すると途端に膨大な量の情報が頭に流れ込んでくるのを魔力制御でコントロールし、自分の知りたい情報だけを選別する。
知りたい情報と共にアウラの舌を吸い上げて、びくんびくんと震えながら俺にしがみつくアウラの疑問に答えていく。
「……神器に選ばれる条件はいくつかあるみたいだね。1つ目は単純に職業浸透数の多さ。基準とされている数値についての説明は無いけど、我が家ではラトリアとエマまでこの条件は達成してるみたいだよ」
「ラトリアたちなら納得ですが、逆にムーリやターニアが足りていないのは意外ですね? かつて神器の所有者だったノーリッテですが、ムーリやカレン様よりも浸透が進んでいたのでしょうか?」
「ノーリッテに関しては別の条件、『目利きで悪意を感知されないこと』を達成して居たっぽいね。ヴァルゴたちも神器を守っていたけれど、神器自身にも悪用を防ぐセキュリティが施されてたみたいだ」
「あー……。確かにダンも全然悪意が無いもんね。君の場合、悪意は他人じゃなくて自分にぶつけるものだったから……」
おっぱいをばるんばるんと揺らしながら、俺を見て少しだけ心配そうな表情を浮かべるリュート。
だけど今お前がやってるみたいに、俺の周りには魅力的でエロ過ぎる奥さんばっかりだったから、悪意や敵意よりも性欲をぶつけたくなるんだよなぁ。
「ちなみにガルフェリアと言うかガルクーザのアホだけど、アイツは悪意もあった上に職業浸透も進められなかった。だからどんなに望んでも神器の所有者とは認められなかったみたいだね」
「む? その割には神器の力を引き出しておる気がしたのじゃが……。ガルシア陛下がいずれかの条件を満たしておったのか?」
「いや、ガルクーザは死の間際、己に内包した魔力と崩界で打ち込まれた魔力を用いて、神器そのものに自分の悪意を干渉させることに成功したらしい。自分を認めない神器を、ガルクーザもまた認められなかったってわけだ。ちゅーっ」
フラッタの問いに答えた報酬に、フラッタともチュッチュッと唇を重ねさせてもらう。
ガルクーザが行なったのはハッキングと言うかクラッキングに近い行為で、これは女神様たちの想定を上回る行為だったのだろう。
神の如き魔力強化を施された自分たちが扱える以上の膨大な魔力を、この世界の住人が操れるとは思っていなかったんだ。
結局、女神様たちは人の悪意を警戒しながらも、それでもどこかで侮ってしまっていたってことなんだろうな。
「ちゅううううう……っとそうだ。やっぱりここは原初の3女神とトライラム様が住んでいた場所で間違いないみたいだ。ルーラーズコアの使用権限に女神様たちの登録履歴がある。……トライラム様は『メルトレスティ』って名前で登録されてるみたいだけど」
「メルトレスティ……。全く聞き覚えが無いわね。どうしてトライラム様はご自身の名前を後世に残されなかったのかしら?」
ティムルの呟きに意識を向けただけで、それに対する回答が勝手に流し込まれてくる。
くっそ、俺は注ぎ込むのは大好きだけど、注ぎ込まれる趣味は無いんだよっ! 勝手に情報を流し込まれるのはしっかり拒絶しないと……。
「どうやらガルクーザに神器を奪われたらしくて、それを警戒して名前を変えたみたいだ。ほんと碌な事しなかったな、ガルクーザって」
「へぇ。流石は腐っても邪神ですね。職業浸透を進められなくても女神から神器を奪うとは。私でも圧倒出来たガルフェリアを見た後だと少し信じられません」
「ヴァルゴは自分を過小評価しすぎだから。ガルフェリアと戦った時のニーナとフラッタとヴァルゴ、3人とも女神様と同等以上の戦闘力だったと思うよ?」
「旦那様だけには言われたくないですけどねー? ふふ、でもありがとうございますっ」
背後のヴァルゴとキスをして、神器強奪の真相は忘れることにする。
この世界の人々を守るためにと、最も信頼していた息子に預けた神器を自身に振るわれたなんて、そんな悪意に塗れた事実をみんなが知る必要は無いだろう。
数分間ヴァルゴと唾液を交換していると、相変わらず俺に乳首をコネコネされているニーナが思いついたように質問してくる。
「ねぇダン。悪意と職業浸透数だけなら、ダンの他にも神器の所有者になれててもおかしくなくない? フラッタとかアウラとかも条件を満たしてそうな気がするのー」
「えっと、悪意を持たないことと一定の職業浸透数を得ること。それと篤志家の転職条件を満たしていること、不特定多数の人々と魂で信頼し合えていることが条件だそうだよ。かつての女神様たちは、この世界の住人みんなとそれはそれは深く信頼し合っていたってことだね」
「あー。フラッタは篤志家を得ていないし、アウラはまだ交友関係が足りないかー。ティムルは商人として生きてきた時間に、リュートは孤独だった時間に他人への悪意を抱いちゃったんだろうねー」
「あはーっ。私とニーナちゃんのために野盗を殺したりしてるダンが悪意を持ってない方が驚きなのよ。ダンってば野盗すら憎めずに、殺めてしまった自分のことばかり責めていたのねぇ……」
全く仕方ないんだから―と笑いながら、嬉しそうに唇を押し付けてくるティムル。
ティムルもニーナも神器の所有者になれそうなんだけどーと思う俺に、私たちは貴方に出会う前に数えきれないほど世界を呪ったからねーと笑うニーナ。
なら俺と出会った後は? と思った瞬間、ティムルと交代で俺の口の中に舌を差し込んでくるニーナ。
うん。ティムルとニーナのキスリレーは最高に気持ちいいんだけど、俺って今なにも発言してないはずなんだけどなー?
「っぷはぁ。俺だって聖人君子ってわけじゃないし、悪いことの1つや2つには覚えがあるんだけどね。この世界に来る前のことはルーラーズコアにも把握されていないからセーフだったっぽいよ」
「ほほー? ダンがした悪いこととは何なのじゃ? 妾に話してみるがよいのじゃ。どうせ大したことはしておらぬじゃろうがのうっ!」
「嫌だっての。なんで大好きなフラッタにわざわざ自分の恥を晒さなきゃならないんだよ」
「ふははーっ! そんなの、妾だって大好きな人のことをもっと知りたいからに決まっておるのじゃーっ」
真正面から好意と愛情と唇をぶつけてくるフラッタのおかげで、この世界の根幹に触れているという緊張感は大分和らいでくれた。
その後も大好きなみんなとキスを交わしながら、余計な情報を抜かないように注意しつつルーラーズコアの情報だけを読み取っていく。
「ふ~ん。じゃあ世界中の女性が君にメロメロになる、みたいなルールは追加できないんだねー」
「ルーラーズコアは魂に干渉する分、個人個人の意思決定には影響を及ぼせないように厳重に制限されてるみたいだよ。まぁ出来てもやらないけどね? もう手に余るくらい可愛い奥さんを貰ってますんで」
「手に余るはこっちのセリフだよーだ。50人を超える君の奥さん全員で協力しても、いつも君に1人にメロメロのヘロヘロにされちゃうんだもんっ」
アウラ越しに俺とキスをしてくるリュート。
本来ならニーナ1人さえも満足させてあげられない俺も、好色家先生と艶福家大先生のおかげでエロス大明神のリュートを好きなだけ愛することができるんだよなぁ。
「識の水晶はルーラーズコアから情報を読み取る端末だったの? 神器の1つにしては性能が数段落ちてる印象ね。それとガルクーザに識の水晶が乗っ取られたなら、どうしてルーラーズコアは無事だったのかしらぁ?」
「識の水晶は限りなく正確な未来演算って性能があったでしょ。ガルクーザのせいで悪意ある未来に誘導されやすくなってたみたいだけどね」
最早グランドドラゴンアクスも収納して、リュートと交代で俺の唇を奪ってくるティムル。
ルーラーズコアが俺の制御下にある時点で、ここで危険なことが起こるわけないもんな。
「それとルーラーズコアが無事だったのは、識の水晶からルーラーズコアに干渉することができなかったからだ。加えてルーラーズコアの情報は識の水晶でも引き出せなかったみたいだから、この部屋に入ったことが無い者には存在自体知られてないだろうね」
かつてトライラム様……いや、メルトレスティ様の息子として共に過ごしたガルクーザも、職業の加護無しではこの部屋には近づけなかったんだろうな。
息子にも娘にもルーラーズコアのことを伝えずにメルトレスティ様がお隠れになったことで、この世界の根幹を司るシステムのことは永久に忘れられたはずだったんだ。俺が暴かなければ。
「一応伝えておくけど、やっぱり他の3つの神器はガルフェリアと共に失われたみたいだよ。リュートとリーチェの中に微かにその反応の残滓が感じ取れるくらいかな」
「リュートとリーチェの中を感じ取れるって、ダンってばえっちなのーっ」
「パパが中で感じられるのは、リュートとリーチェお姉ちゃんだけじゃないでしょー? みんなの中で気持ち良くなっちゃうくせにーっ」
「……今すぐお前たちの中に突っ込んでそれを証明してもいいけど、まだ大事な話が1つ残ってるんだよねー」
からかい口調のニーナとアウラが、俺がすぐにお仕置きを始めないことで首を傾げている。
俺だって今すぐニーナとアウラを押し倒して、自分の発言を後悔するほど気持ちよくしてあげたいところだけれど、まだ解決すべき問題が残されているようなのだ。
「ただこの話は家族全員で共有したいから、戻ってから全員の前で話していい? 話が終わったらマギーの都合が許す限りひたすらえっちしよっか。食材もあるみたいだし」
「ダンがえっちよりも優先する話かぁ。あんまり聞きたくないけど、聞かなきゃえっちできないなら仕方ないのー」
出来るだけ早く済ませて、いっぱいえっちしようねとキスをねだるニーナ。
そんなニーナに応えるようにキスをしながら、この後話さなければならない事実に頭が痛む想いがした。
……なんなんだよコラプサーって。
4人の女神様たちが逃げることしかできなかった存在に、女神様たち抜きで対処しなきゃならないってなんだよ、まったくもー……。
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こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
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