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多分地球上には存在していないと思われるほどの深海から、明らかに人工的に作られたとしか思えないドーム状の建造物に到達した俺たちは、50人を超える人数で手分けもせずにみんな一緒に内部の調査を始めることになった。
しかし調査を始める前に、俺はずっとムーリとマギーの乳首しか弄っていないことに気づいてしまった。
「ムーリとマギーはそろそろ交代しようか。ずっとおっぱい触らせてくれてありがとう2人とも」
「「ひゃあああああんっ……!」」
お礼を言いながら硬くなった乳首をしこしこ扱きあげると、2人はとても甘い悲鳴を上げながら脱力してしまった。
ぐったりしている2人のシャツを眠り上げて、今まで沢山弄らせてくれたお礼に2人のおっぱいをちゅうううっと吸い上げてから2人を解放し、新たに抱き寄せたカレンとシャロの服の中に手を突っ込んだ。
「よし、準備完了。それじゃ探索していこうか」
「んっ……。まったく、貴様のおっぱい好きにも困ったものだな。マーガレット女王陛下の次は女帝である私の乳首が弄りたくなったのか?」
「シャロはいつでも歓迎ですよーっ。好きなだけおっぱい弄ってくださいねっ」
「カレンもシャロもありがとね。2人のおっぱい弄るの、最高に楽しいよーっ」
ツンデレ気味のカレンとデレデレ100%のシャロの反応の違いを楽しみながら、とりあえず1階部分のドアを片っ端から開けていくことにする。
どうやら今までと違って、この空間内のドアは精霊魔法が無くても自動で開いてくれるようだ。
「へぇ~。人が近づくと魔力が流れて、自動的にドアが開くのか……。原理的にはリジェクトヴェールに近いものがあるけど、直接触れなくても反応する機構を再現するのは大変そうだなぁっ」
「ちょっとキュールっ。物珍しいのは分かりますけど、目につくもの全てに片っ端から触心するのは止めてくださいっ。旦那様たちに置いていかれちゃいますし、貴女の魔力だって無限じゃないんですからねっ!?」
危険そうなものでない限りはキュールの触心を止める理由も無いと思って放置してるんだけど、そのおかげで監視役のヴァルゴに大分苦労させてしまっている模様。
キュールってば既に魔力枯渇の症状が出始めてるっていうのに、好奇心だけでその症状を無視しちゃうから侮れない……。
お目付け役が足りていないようなので、チャールとシーズにラトリアとエマまで派遣してキュールを監視してもらおう。
そんな風にドタバタしながら各部屋を回ってみると、ここがかつて誰かの生活空間だったのだということがよく分かった。
どうやらティムルとリュートも同じことを思ったようで、仲良く意見を交換している。
「ベッドみたいなものがある部屋がいくつかあるわね。というか長い間誰も居なかった場所のはずなのに、びっくりするくらい汚れていないのはどうしてかしらぁ?」
「原理は分からないけど、それも恐らく精霊魔法の応用なんじゃないかな。なんとなくってレベルだけど、風の流れを意図的に操作している感じはあるよ」
「ふぅん? 熱視では特別な魔力の流れは確認できないわねぇ……。ここまで徹底的に熱視対策を施してるのはなんでなのかしらぁ?」
寝室と思われる小さい部屋は4部屋あって、それぞれ隣り合って並んでいた。
この空間では4名ほどが生活していて、寝室を並べる程度には仲良く暮らしていたということなんだろうか?
4部屋ある寝室のうち、3部屋はベッドが1つずつしか置いていなかったけど、1室だけベッドが2つ設置されていた。
夫婦や兄弟、もしくは親子で一緒に暮らしていたのかもしれない。
「こっちは炊事場で……どうやらお風呂やおトイレなんかも完備してあるみたいですね」
「炊事場や浴室を見るに、ここで生活していた人数はやはり多くは無さそうですね。備え付けてあるマジックアイテムは、私たちの使っているものとは比較できないほど高性能みたいですけど……」
興味深そうに色々なマジックアイテムに気軽に触って回るラトリアと、そんなラトリアをハラハラした様子で見守りつつも自分の抱いた印象を口にするエマ。
見覚えの無いマジックアイテムにおっかなびっくりの様子だけど、侍女として家事全般に精通しているエマには各種マジックアイテムの用途がしっかりイメージできているようだ。
「……ねぇダンさん。炊事場に食材が残っている理由、どう判断する?」
キュールやラトリアのおかげで和やかな雰囲気になりつつある中、炊事場に食べられそうな食材が貯蔵されていることに気付いたターニアが真剣な口調で問いかけてくる。
部屋が汚れていなくてもさほど不思議には思わなかったようだけど、食べられそうな食材が残されているとなると話は変わってくるもんな。
「誰かが立ち入っている雰囲気はないけど……。私たちが気付いてないだけの可能性は否定できないの。本当にここ、安全だと思う?」
「多分大丈夫だターニア。残ってる食材は全部鑑定できる、つまりドロップアイテムだから」
「へ? ここにある食材が全部ドロップアイテムだったとして、それが何で安全って話に繋がるのー?」
「キュールに触心してもらうまでは確定じゃないけどさ。多分この食材貯蔵庫、インベントリと同じ効果があるんじゃない?」
どうやってインベントリを再現しているのかは皆目見当がつかないけど、ドロップアイテムの食材はインベントリに収納している限り時間経過による劣化や腐敗が起こらないからな。
それに見た目よりもたくさんの食材を仕舞っているっぽいし、食材貯蔵庫全体がインベントリと同じ効果を持っていると思っていいんじゃないかな。
使用者しかモノを出し入れできないはずのインベントリを、どうやったら誰でも食材を出し入れできるマジックアイテムとして再現できるのかは想像もつかないけど……。
だけど一応ターニアは納得してくれたようで、ニーナそっくりの笑顔に戻ってくれたのだった。
「ここが海の底だってことも未だに信じられないけど……。こんなに快適に生活できそうな場所なのに、誰かが住んでいた痕跡が殆ど残ってないわ……」
「そうだねおねぇ。長い時間の中で失われたって言うよりは……。整理されて処分されたんじゃ? ってくらい何も残ってない」
クラ―とミレーの湖人族姉妹が言うように、食材はあっても人がいた痕跡は綺麗さっぱり何も見つけることは出来なかった。
ここまで管理が行き届いている空間なら、自然に失われていった場合は痕跡くらい残ってそうだよね。
トイレやキッチンを見ても、この世界はおろか現代日本よりも遥かに進んだ文明のモノに思えるのに、今まで文字のようなものが一切見つかっていないのも気になる。
紙媒体は無かったとしても、文化人の生活空間に文字のようなものが一切残されていないのは違和感しかない。やっぱり誰かに処分されたと考えるのが妥当か?
答えの出ない疑問に悩みながらシャロとカレンのおっぱいをもみもみくりくり楽しんでいると、1階エリアの最後に確認した部屋にとんでもないものを発見してしまった。
「ナッ、ナーチュアクレイドル……!? なんでこれがこんなところにあるのさっ……!?」
「間違いない……ナーチュアクレイドルだ……。けど、私が入っていたものは、私自身で壊してしまったはず、だよね……」
「リュート? アウラ? 2人ともどうしたの? ナーチュアクレイドルって何? この大きい筒みたいなマジックアイテムがどうしたの?」
想像もしていなかったマジックアイテムを目にして動揺するリュートとアウラと、2人の妹に心配そうに問いかけるリーチェ。
リーチェにもアウラの事情は説明してあるけど、まさか目の前のマジックアイテムがアウラの改造、製造に大きく関わっているとは想像できないよな。
リュートとアウラがリーチェに説明する間に、俺はティムルとキュールの2人を呼んで意見を交換することにした。
「鑑定でもしっかりナーチュアクレイドルって出てるけど……。これってアルケミストたちが持ってたものと同じものだと思う?」
「鑑定ができたなら間違いないよっ……! レリックアイテムじゃないかと思われるナーチュアクレイドルが2つある方が重要だけどさっ……!」
「あは~……。たまたまここの住人が、偶然レリックアイテムであるナーチュアクレイドルを見つけたと考えるのは……。流石に無理があるんじゃないかしらぁ……」
神が造ったマジックアイテムだと言われるレリックアイテム。そのレリックアイテムだと思われるナーチュアクレイドルが複数存在する意味。
そして俺たちがずっと追いかけてきたトライラム様の足跡と、イントルーダーを使役しなければ辿り着けない深淵の環境。
様々な状況証拠が頭の中で繋がっていき、ここに住んでいた住人たちが人を超えた存在だったのではないかという確信を強めていく。
……俺も新たに世界樹を生み出したりレリックアイテムを作り出してしまった手前、個人的にはあんまり認めたくないんですけどね?
「つまりここにいた住人たちは、レリックアイテムであるナーチュアクレイドルの製作者……!」
「そしてレリックアイテムを作り出したのは神様……。つまりここはやっぱり神様……いえ、女神様たちが暮らしていた場所なんでしょうねぇ」
生活の跡も文字情報も見つかっていないけれど、ナーチュアクレイドルがある時点でここの住人が常人なはずはない。
キッチンやバス、トイレに設置してあるマジックアイテムも常識外れの性能をしていることから、俺たちでは想像もできないほどの高度な知識と技術を持った人たちだったことは間違いないのだ。
「でもぉ……。生活の痕跡は残していないのに、食材やナーチュアクレイドルをそのままにしていったのはどうしてなのかしらぁ? そういったものも処分されててもいい気がするけどぉ」
「部屋が整理されていて食材が残っているのは、最後に残った誰かが最期までここで生活していたからなんじゃないかな? 勿論風化して失われたものも多いと思うよ」
「……亡くなった人の部屋とか、俺には簡単に片付けられる自信は無いなぁ」
こんなに閉じた環境下で共に暮らした誰かが眠りに就いた時、遺された人はどうやって気持ちに整理をつけて、そして遺品を処分していったんだろう。
女神様たちはきっと仲良しで、ここで楽しく過ごされていたんじゃないのか? そうやって過ごしてきた大切な人が1人、また1人と鬼籍に入られた後、最後の1人はどんな想いで日々を過ごしていたんだろう。
そんな風に感傷に浸る俺に構わず、キュールとティムルは話を進めていく。
「ナーチュアクレイドルがそのままなのは、単純に取り外しが面倒だったのかもね。もしくは最後まで現役で使用中だったとか?」
「使用中って……。アウラみたいな子を生み出そうとしてたってことぉ?」
「いや、ナーチュアクレイドルは肉体の治療にも使えるみたいなんだよティムルさん。あまり詳しい理屈は触心でも分からなかったけど、なんでも体の元となっているモノを常に新鮮な状態に保つ機能もあるみたいだ」
ナーチュアクレイドルを触心しながら、キュールは難しい顔でティムルに答えを返している。
恐らく体組織や細胞を若々しい状態に保つ機能が備わっているんだろう。俺も詳しくはイメージできないけどさ。
「応用すれば怪我の治療や病気の治療も出来るみたいだよ。アウラがドワーフでありながら500年近い時を超えられたのもこれのおかげだろうね」
「……そ。最後に残された人がケガや病気を抱えていたなんて想像もしたくないから、移動が面倒だったってことにしておきましょ。真相を確かめる術なんて無いんだし、ね?」
ティムルが少しだけ悲し気な笑顔で提案した言葉を受け入れ、俺たちはこの部屋の調査を切り上げることにした。
ティムルの言う通り真相を確かめる方法なんて無いし、遺された最後の1人がケガや病気に悩まされる苦悩の日々を送っていたかもなんて、そんな想像するだけ無駄だ。
もしかしたらティムルは、散々他人に弄ばれた果てにネプトゥコの牢獄で独り生涯を終えようとした、ありえたかもしれない自分の結末を連想してしまったのかもしれない。
「は~っ……! アウラに使用されていたものが完全に破壊されていたから、ナーチュアクレイドルを触心出来なかったのは本当に心残りだったんだよね~っ……! もうこれだけで海の底まで来た甲斐があったよぉ……!」
「ふふ。キュールさんは相変わらずですね。ご主人様でさえ乳首弄りを忘れて感傷に浸っていらっしゃるのに」
「あ、これシャロ殿っ、余計なことを言っては……! ひゃんっ……!? お、思い出したように乳首を弄らなくていいからっ……ひひ、引っ掻くなぁっ……!」
両手でシャロとカレンの乳首を引っ張り、逃げ場を亡くした先端を人差し指でカリカリと引っ掻いて、たった独りで過ごす寂しい最期の日々の空虚な想像をエロい思考に塗り替えていく。
どんなに楽しい日々にもいつか終わりが来て、どんなに大切で愛する人ともいつか必ずお別れの時が訪れる。
俺はそんな当たり前の残酷な事実から目を背けるように淫らに善がるシャロとカレンを楽しみながら、ナーチュアクレイドルに背を向けたのだった。
しかし調査を始める前に、俺はずっとムーリとマギーの乳首しか弄っていないことに気づいてしまった。
「ムーリとマギーはそろそろ交代しようか。ずっとおっぱい触らせてくれてありがとう2人とも」
「「ひゃあああああんっ……!」」
お礼を言いながら硬くなった乳首をしこしこ扱きあげると、2人はとても甘い悲鳴を上げながら脱力してしまった。
ぐったりしている2人のシャツを眠り上げて、今まで沢山弄らせてくれたお礼に2人のおっぱいをちゅうううっと吸い上げてから2人を解放し、新たに抱き寄せたカレンとシャロの服の中に手を突っ込んだ。
「よし、準備完了。それじゃ探索していこうか」
「んっ……。まったく、貴様のおっぱい好きにも困ったものだな。マーガレット女王陛下の次は女帝である私の乳首が弄りたくなったのか?」
「シャロはいつでも歓迎ですよーっ。好きなだけおっぱい弄ってくださいねっ」
「カレンもシャロもありがとね。2人のおっぱい弄るの、最高に楽しいよーっ」
ツンデレ気味のカレンとデレデレ100%のシャロの反応の違いを楽しみながら、とりあえず1階部分のドアを片っ端から開けていくことにする。
どうやら今までと違って、この空間内のドアは精霊魔法が無くても自動で開いてくれるようだ。
「へぇ~。人が近づくと魔力が流れて、自動的にドアが開くのか……。原理的にはリジェクトヴェールに近いものがあるけど、直接触れなくても反応する機構を再現するのは大変そうだなぁっ」
「ちょっとキュールっ。物珍しいのは分かりますけど、目につくもの全てに片っ端から触心するのは止めてくださいっ。旦那様たちに置いていかれちゃいますし、貴女の魔力だって無限じゃないんですからねっ!?」
危険そうなものでない限りはキュールの触心を止める理由も無いと思って放置してるんだけど、そのおかげで監視役のヴァルゴに大分苦労させてしまっている模様。
キュールってば既に魔力枯渇の症状が出始めてるっていうのに、好奇心だけでその症状を無視しちゃうから侮れない……。
お目付け役が足りていないようなので、チャールとシーズにラトリアとエマまで派遣してキュールを監視してもらおう。
そんな風にドタバタしながら各部屋を回ってみると、ここがかつて誰かの生活空間だったのだということがよく分かった。
どうやらティムルとリュートも同じことを思ったようで、仲良く意見を交換している。
「ベッドみたいなものがある部屋がいくつかあるわね。というか長い間誰も居なかった場所のはずなのに、びっくりするくらい汚れていないのはどうしてかしらぁ?」
「原理は分からないけど、それも恐らく精霊魔法の応用なんじゃないかな。なんとなくってレベルだけど、風の流れを意図的に操作している感じはあるよ」
「ふぅん? 熱視では特別な魔力の流れは確認できないわねぇ……。ここまで徹底的に熱視対策を施してるのはなんでなのかしらぁ?」
寝室と思われる小さい部屋は4部屋あって、それぞれ隣り合って並んでいた。
この空間では4名ほどが生活していて、寝室を並べる程度には仲良く暮らしていたということなんだろうか?
4部屋ある寝室のうち、3部屋はベッドが1つずつしか置いていなかったけど、1室だけベッドが2つ設置されていた。
夫婦や兄弟、もしくは親子で一緒に暮らしていたのかもしれない。
「こっちは炊事場で……どうやらお風呂やおトイレなんかも完備してあるみたいですね」
「炊事場や浴室を見るに、ここで生活していた人数はやはり多くは無さそうですね。備え付けてあるマジックアイテムは、私たちの使っているものとは比較できないほど高性能みたいですけど……」
興味深そうに色々なマジックアイテムに気軽に触って回るラトリアと、そんなラトリアをハラハラした様子で見守りつつも自分の抱いた印象を口にするエマ。
見覚えの無いマジックアイテムにおっかなびっくりの様子だけど、侍女として家事全般に精通しているエマには各種マジックアイテムの用途がしっかりイメージできているようだ。
「……ねぇダンさん。炊事場に食材が残っている理由、どう判断する?」
キュールやラトリアのおかげで和やかな雰囲気になりつつある中、炊事場に食べられそうな食材が貯蔵されていることに気付いたターニアが真剣な口調で問いかけてくる。
部屋が汚れていなくてもさほど不思議には思わなかったようだけど、食べられそうな食材が残されているとなると話は変わってくるもんな。
「誰かが立ち入っている雰囲気はないけど……。私たちが気付いてないだけの可能性は否定できないの。本当にここ、安全だと思う?」
「多分大丈夫だターニア。残ってる食材は全部鑑定できる、つまりドロップアイテムだから」
「へ? ここにある食材が全部ドロップアイテムだったとして、それが何で安全って話に繋がるのー?」
「キュールに触心してもらうまでは確定じゃないけどさ。多分この食材貯蔵庫、インベントリと同じ効果があるんじゃない?」
どうやってインベントリを再現しているのかは皆目見当がつかないけど、ドロップアイテムの食材はインベントリに収納している限り時間経過による劣化や腐敗が起こらないからな。
それに見た目よりもたくさんの食材を仕舞っているっぽいし、食材貯蔵庫全体がインベントリと同じ効果を持っていると思っていいんじゃないかな。
使用者しかモノを出し入れできないはずのインベントリを、どうやったら誰でも食材を出し入れできるマジックアイテムとして再現できるのかは想像もつかないけど……。
だけど一応ターニアは納得してくれたようで、ニーナそっくりの笑顔に戻ってくれたのだった。
「ここが海の底だってことも未だに信じられないけど……。こんなに快適に生活できそうな場所なのに、誰かが住んでいた痕跡が殆ど残ってないわ……」
「そうだねおねぇ。長い時間の中で失われたって言うよりは……。整理されて処分されたんじゃ? ってくらい何も残ってない」
クラ―とミレーの湖人族姉妹が言うように、食材はあっても人がいた痕跡は綺麗さっぱり何も見つけることは出来なかった。
ここまで管理が行き届いている空間なら、自然に失われていった場合は痕跡くらい残ってそうだよね。
トイレやキッチンを見ても、この世界はおろか現代日本よりも遥かに進んだ文明のモノに思えるのに、今まで文字のようなものが一切見つかっていないのも気になる。
紙媒体は無かったとしても、文化人の生活空間に文字のようなものが一切残されていないのは違和感しかない。やっぱり誰かに処分されたと考えるのが妥当か?
答えの出ない疑問に悩みながらシャロとカレンのおっぱいをもみもみくりくり楽しんでいると、1階エリアの最後に確認した部屋にとんでもないものを発見してしまった。
「ナッ、ナーチュアクレイドル……!? なんでこれがこんなところにあるのさっ……!?」
「間違いない……ナーチュアクレイドルだ……。けど、私が入っていたものは、私自身で壊してしまったはず、だよね……」
「リュート? アウラ? 2人ともどうしたの? ナーチュアクレイドルって何? この大きい筒みたいなマジックアイテムがどうしたの?」
想像もしていなかったマジックアイテムを目にして動揺するリュートとアウラと、2人の妹に心配そうに問いかけるリーチェ。
リーチェにもアウラの事情は説明してあるけど、まさか目の前のマジックアイテムがアウラの改造、製造に大きく関わっているとは想像できないよな。
リュートとアウラがリーチェに説明する間に、俺はティムルとキュールの2人を呼んで意見を交換することにした。
「鑑定でもしっかりナーチュアクレイドルって出てるけど……。これってアルケミストたちが持ってたものと同じものだと思う?」
「鑑定ができたなら間違いないよっ……! レリックアイテムじゃないかと思われるナーチュアクレイドルが2つある方が重要だけどさっ……!」
「あは~……。たまたまここの住人が、偶然レリックアイテムであるナーチュアクレイドルを見つけたと考えるのは……。流石に無理があるんじゃないかしらぁ……」
神が造ったマジックアイテムだと言われるレリックアイテム。そのレリックアイテムだと思われるナーチュアクレイドルが複数存在する意味。
そして俺たちがずっと追いかけてきたトライラム様の足跡と、イントルーダーを使役しなければ辿り着けない深淵の環境。
様々な状況証拠が頭の中で繋がっていき、ここに住んでいた住人たちが人を超えた存在だったのではないかという確信を強めていく。
……俺も新たに世界樹を生み出したりレリックアイテムを作り出してしまった手前、個人的にはあんまり認めたくないんですけどね?
「つまりここにいた住人たちは、レリックアイテムであるナーチュアクレイドルの製作者……!」
「そしてレリックアイテムを作り出したのは神様……。つまりここはやっぱり神様……いえ、女神様たちが暮らしていた場所なんでしょうねぇ」
生活の跡も文字情報も見つかっていないけれど、ナーチュアクレイドルがある時点でここの住人が常人なはずはない。
キッチンやバス、トイレに設置してあるマジックアイテムも常識外れの性能をしていることから、俺たちでは想像もできないほどの高度な知識と技術を持った人たちだったことは間違いないのだ。
「でもぉ……。生活の痕跡は残していないのに、食材やナーチュアクレイドルをそのままにしていったのはどうしてなのかしらぁ? そういったものも処分されててもいい気がするけどぉ」
「部屋が整理されていて食材が残っているのは、最後に残った誰かが最期までここで生活していたからなんじゃないかな? 勿論風化して失われたものも多いと思うよ」
「……亡くなった人の部屋とか、俺には簡単に片付けられる自信は無いなぁ」
こんなに閉じた環境下で共に暮らした誰かが眠りに就いた時、遺された人はどうやって気持ちに整理をつけて、そして遺品を処分していったんだろう。
女神様たちはきっと仲良しで、ここで楽しく過ごされていたんじゃないのか? そうやって過ごしてきた大切な人が1人、また1人と鬼籍に入られた後、最後の1人はどんな想いで日々を過ごしていたんだろう。
そんな風に感傷に浸る俺に構わず、キュールとティムルは話を進めていく。
「ナーチュアクレイドルがそのままなのは、単純に取り外しが面倒だったのかもね。もしくは最後まで現役で使用中だったとか?」
「使用中って……。アウラみたいな子を生み出そうとしてたってことぉ?」
「いや、ナーチュアクレイドルは肉体の治療にも使えるみたいなんだよティムルさん。あまり詳しい理屈は触心でも分からなかったけど、なんでも体の元となっているモノを常に新鮮な状態に保つ機能もあるみたいだ」
ナーチュアクレイドルを触心しながら、キュールは難しい顔でティムルに答えを返している。
恐らく体組織や細胞を若々しい状態に保つ機能が備わっているんだろう。俺も詳しくはイメージできないけどさ。
「応用すれば怪我の治療や病気の治療も出来るみたいだよ。アウラがドワーフでありながら500年近い時を超えられたのもこれのおかげだろうね」
「……そ。最後に残された人がケガや病気を抱えていたなんて想像もしたくないから、移動が面倒だったってことにしておきましょ。真相を確かめる術なんて無いんだし、ね?」
ティムルが少しだけ悲し気な笑顔で提案した言葉を受け入れ、俺たちはこの部屋の調査を切り上げることにした。
ティムルの言う通り真相を確かめる方法なんて無いし、遺された最後の1人がケガや病気に悩まされる苦悩の日々を送っていたかもなんて、そんな想像するだけ無駄だ。
もしかしたらティムルは、散々他人に弄ばれた果てにネプトゥコの牢獄で独り生涯を終えようとした、ありえたかもしれない自分の結末を連想してしまったのかもしれない。
「は~っ……! アウラに使用されていたものが完全に破壊されていたから、ナーチュアクレイドルを触心出来なかったのは本当に心残りだったんだよね~っ……! もうこれだけで海の底まで来た甲斐があったよぉ……!」
「ふふ。キュールさんは相変わらずですね。ご主人様でさえ乳首弄りを忘れて感傷に浸っていらっしゃるのに」
「あ、これシャロ殿っ、余計なことを言っては……! ひゃんっ……!? お、思い出したように乳首を弄らなくていいからっ……ひひ、引っ掻くなぁっ……!」
両手でシャロとカレンの乳首を引っ張り、逃げ場を亡くした先端を人差し指でカリカリと引っ掻いて、たった独りで過ごす寂しい最期の日々の空虚な想像をエロい思考に塗り替えていく。
どんなに楽しい日々にもいつか終わりが来て、どんなに大切で愛する人ともいつか必ずお別れの時が訪れる。
俺はそんな当たり前の残酷な事実から目を背けるように淫らに善がるシャロとカレンを楽しみながら、ナーチュアクレイドルに背を向けたのだった。
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