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855 転移先
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「……どうやら危険は無さそうだけど。これはまたキュールに見てもらわないとダメかな?」
新たにマギーを家族に迎え入れた俺は、先行して転移した先の光景に思わず苦笑してしまった。
そしてそんな反応を示したのは俺だけではなく、先発隊として一緒に転移したメンバー全員が似たような表情を浮かべていた。
「ぼくたち、間違いなく転移した……よね? その割に周りの風景が変わり映えしてないけど……」
「よく見なさいリュート。他の皆さんが待機していた通路が無くなってるでしょ。間違いなく転移はしてるわ」
「問題は、転移先の部屋に出口らしきものが無いこと、だよね? リーチェお姉ちゃん」
エルフ3姉妹の言う通り、転移魔方陣の出口もまた似たような作りの広い空間で、危険は感じないものの部屋の外に繋がる通路がどこにも見当たらなかった。
警戒の為にムーリとマギーを抱き寄せる手に力を込めて、この先どうするかに思考を巡らせる。
「造魔召喚したイントルーダーたちの反応から察するに、ここはまだ地面よりも遥かに深い場所であることには変わりないけど、アポリトボルボロスの待機している場所からはかなり……数100メートルくらい海面側に移動してるっぽいな」
「つまりキュールの見立てに間違いは無かったってことだねー。移動距離までほぼ正確に当てちゃうなんて、触心は便利な本当に能力なのー」
聖域の樹海でお片付け中のイントルーダーたちとアポリトボルボロスの反応から算出した大雑把な転移距離を共有すると、ニーナが感心したようにウンウンと何度も頷く。
けれどすぐに首を傾げて、自分のほっぺに人差し指を当てながら問いかけてくる。可愛い。
「それで、これからどうするのダン? キュールだけを連れてきたいなら私が行ってくるのー」
「ん、ちょっと待ってねニーナ。キュールとティムルに意見を仰ぐ前に、自分でも少し考えてみるよ」
「キュールは待たされるより呼び出される方が嬉しいと思うよー? 勿論ダンの好きにしていいけどっ」
俺の返答に自分の出番はまだ先だと判断したらしいニーナは、エルフ3姉妹と合流して部屋の外周などをペタペタと触り始めた。触心の真似事かな?
仲良く調査し始める4人の姿に和みつつ、俺はムーリとマギーの服の中を弄りながらどう行動すべきかを検討する。
恐らく超長距離でも一瞬で移動できる転移魔方陣で、たった数100メートルしか転移していない理由はなんだ?
今のところ防衛システム的な存在は一切感じないことから、セキュリティ的な観点で小刻みに転移させられたとは思えないんだけど……。
「仮にここが教会地下からの転移先だとすると、あえて短距離転移を繰り返す必要性は感じられない……。となると、ここはもう目的地の内部にいるってことになるのか?」
「んっ……。す、凄く真剣に悩んでるように見えるのに、乳首を弄る指先の動きが激し……あぅっ……!」
「慣れてくださいマギー様。ダンさんはおっぱいを弄ってないと考え事ができない人なのでっ」
密着しているムーリとマギーの温かさと、耳元で感じる甘い吐息の乱れ。そして指先で感じる硬い感触に意識を集中することで、他のあらゆる雑念が頭の中から排除されていくのが分かる。
いや、今の俺の中は煩悩100%の最低な状態だとは思うけれど、エロいこと以外の全ての思考を排除した集中状態であることは間違いないのだ、多分?
「リュート。また3人で精霊魔法を展開してみてくれる? ただし今回は床じゃなく、周囲の壁に向かって重点的に風を送って欲しいんだ」
「それは構わないけど、今回はティムルとキュールの意見は聞かなくていいの?」
「多分2人の意見を聞いても、とりあえず試そうって答えが返ってくると思うんだ」
さっきまで警戒しすぎなほど警戒していたせいか、今回はそんなにあっさりアクションを起こしていいのかとリュートが問い返してくる。
でもティムルもキュールも、この通路に入った時点でリスクの想定をしても仕方ないって言ってたからな。
「何が起こるか想定できない場所でこれ以上考えても意味は無いでしょ。むしろ危険があるなら、人が少ない今の状況でトライアンドエラーを繰り返す方が理に適ってるしさ。お願いしていい?」
「んっ。ダンが納得してるなら勿論いいよっ。それじゃ姉さん、アウラ、また一緒にやるよーっ」
リュートにとっては大したお願いではないのか、彼女は気軽な調子でアウラとリーチェと再度手を繋ぎ、直ぐに部屋中に精霊魔法の風を巡らせ始める。
そして手持ち無沙汰になったニーナが背後から抱き着いてきて、俺にぶら下がる形で頬ずりしながら3人の作業を一緒に眺めている。ニーナ、相変わらず軽いなー。
「あ、やっぱり壁に反応があるみたい。大丈夫だと思うけど、一応アウラもリュートも警戒してね?」
「オッケーリーチェお姉ちゃん。警戒しつつ、さっきの要領で精霊魔法を流し込んでいこーっ」
「大丈夫だって姉さん。ダンがムーリとマギーの乳首を引っ張ってるうちは安全なんだから」
……3人とも真面目な雰囲気なのに、リュートだけ発言が大分おかしい件について。
エロ発言しかしないリュートには、安全が確保出来たらたっぷり突っ込んで挿れてあげなきゃいけないなっ。
などとエロいことで頭がいっぱいになった俺の目の前で、壁の一部が鈍い音を立てて地面に沈んでいった。
「……想定通り、特に防犯とか防衛システムが起動する気配は無いね」
「海の底からしか来れない場所にそんなものを用意する意味なんてないのーっ。終の神を1人でボッコボコにしたくせに、ダンったら心配性なんだからー」
「大好きなみんなを危険な目に遭わせたくないのっ」
俺からしたら、ニーナが思い切りリラックスしてる方が不思議だっての。
俺の中では、何か1つ対応を誤っただけでも全滅の可能性のある場所だと思ってるんだけど……。
「ここは女神様の領域である可能性が高いから、俺の想像もしていないことが起こりそうで不安なんだよね……。ニーナは不安じゃないの?」
「あはっ。ダンと同じことばっかりしている優しい女神様たちが、そんなに乱暴なことはしてこないと思うのっ。きっといらっしゃーいって笑顔で出迎えてくれるんじゃないかなっ」
「……ははっ。そうだったねニーナ」
ドヤァっという効果音が聞こえそうなほど会心の笑顔で言い切るニーナに、俺はあっさり納得してしまう。
平然と俺を女神様と同列に語る家族のみんなには困ったものだけど、トライラム様も他の女神様たちも、この世界を創った女性達が優しい人たちだったであろう事は俺だって異論は無いのだから。
「この世界の女神様たちは、どこまでも誰かのことを考えられる優しい方ばかりだってことを忘れてた。流石にもうお会いすることは出来ないだろうけど、家に訪ねてきた人を無碍にするような方じゃないよね」
「ダンだったらえっち中はお客さんを無視しちゃいそうだけどねー。そこだけは女神様とは違う点なのっ」
「ぐっ……! さっきから何一つ言い返せない……!」
言い返せない口なんて使い道は無いし、これ以上ニーナに言い負けるのも癪なので、振り返ってぶら下がり状態のニーナとたっぷりと唾液を交換する。
その間に通路の先と転移魔方陣前で待っている家族の元へそれぞれ造魔した魔物を送り出し、通路の先の安全確認と家族たちへの連絡を済ませた。
ホワイトラビットの姿を確認して続々と転移してくる家族たちに、エルフ3姉妹がここであったことを簡単に説明してくれる。
ま、精霊魔法を使ったら通路が開かれましたー、くらいしか報告することも無いけどね。
「ふむ。この部屋に殿の妾たちまで呼んだということは、ダンはもうこの場所に危険は無いと判断したということかのー?」
装備品を外して身軽になったフラッタが、ニーナと並んで俺の背中にぶら下がりながら問いかけてくる。
いくら家族の中でも軽い方の2人とはいえ、ニーナとフラッタの2人をぶら下げてもなんともないなんて、我ながら強くなったもんだ。
「まだ警戒はするつもりだけど、恐らくこの場所は安全じゃないかなって思い始めてるよ。だから家族全員が危険に巻き込まれるリスクよりも、家族が分断されている状況の方を解消したかったんだ」
「んふーっ。殿を命じられた故我慢しておったが、ダンと離れるのは寂しかったのじゃー。この場に危険が無いのであれば、あとはずーっとダンとくっついていたいのじゃーっ」
「あははっ。部屋が狭いからみんな必然的にダンとギューッとなっちゃってるけどのーっ」
俺の耳元で遠慮なく笑うニーナの言う通り、開かれた通路の方にはまだ誰も移動していないため、圧迫感は無いけれど部屋は満員の状態だ。
というかみんなわざと俺に密着してくれるから、女性特有のえっちで甘い香りと柔らかい感触に包まれて警戒心を保てなくなりつつあるんだよ?
「これ以上この部屋に居続けるとエロいことしか考えられなくなりそうだから、そろそろ開かれた通路の先に進もうか」
「別に妾たちはそれでも一向に構わぬのじゃぁ……」
数秒前まで無邪気な好意を向けてくれていたフラッタが、突如凄まじい色気を含んだ甘い声で囁きながら俺の耳たぶをはむはむしてくる。
そして何の打ち合わせもしていないはずなのに、やはり反対側の耳をフラッタの動きに合わせてハムハムしてくるニーナ。
「未だにマギー陛下とムーリのおっぱいを弄っておることじゃし、ダンもえっちしたいのじゃろ……? 何なら妾の方から押し倒してやってもよいのじゃが……?」
「俺はいつだってみんなとえっちしたいとしか思ってないっての。でもそのえっちを気兼ねなく楽しみたいから、まずはここの安全を確保しないとね」
そのまま耳ははむはむしてていいからねと許可を出し、4人の女性と密着したまま先頭に立って歩きだす。
このお団子状態では最早陣形も何もあったものじゃないし、俺自身ここにはもう危険が無いような気がし始めているので、俺の後ろは順番を気にしないことにした。
……自由にしていいと言った瞬間に俺のすぐ後ろを確保するヴァルゴにはちょっと笑ってしまったよ。
ヴァルゴから言わせれば護衛の意味合いも強いんだろうけど、初めに比べると積極的になってくれたよなぁ。
マギーとムーリの乳首をくりくりきゅっきゅと弄って、好色家姉妹の2人に両耳を甘噛みされながら歩くこと3分。
今回の通路は大した長さも無く終わりを迎え、通路の先のドーム状の広い空間に到着する。
「こ……れは……! これは完全に人工物、だよねっ……!?」
「なんとなくだけど、確かにダンの言う通り危険な感じはしないわぁ。なんというか、家の中に入ったみたいな感じがするわねぇ?」
キュールとティムルが、それぞれ通路の先に広がった空間に対する感想を零している。
ドーム状の広い空間は吹き抜けになっていて、天井はかなり高い位置にあるように思えた。
先ほどまでは天然洞窟を歩きやすいように整備したという印象だった内装も様変わりし、白を基調とした清潔感溢れる見た目で、ここを見て人工建築物だと思わない人間はきっと居ないんじゃないかって感じだ。
ドームの外周の壁には緩やかな坂道の通路が設置されていて、その通路の合わせて取っ手の無い扉が無数に存在しているようだ。
あの扉、恐らく自動ドアなんじゃないか? だとしたらファンタジー感の欠片も無いな。多分動力は魔力なんだろうけど。
「かなり広そうだけど、多分キュールの言った通り人の手で作られた空間で、ティムルの言った通り居住空間に入れたんじゃないかな? 油断するのは危険だけど、恐らく安全な空間だと思うよ」
「安全な場所なの? ならダン、早速えっちするー?」
「えっちするー? じゃないよニーナってばっ! エッチしたいのは山々なんだからあんまり誘惑しないでくれないかなっ!?」
「あのねぇダンさん。そのセリフは私とムーリさんの乳首から手を放してか……ひゃうっ!?」
「はぅぅっ……! だ、駄目ですよマギー様ぁ……。ダンさんはダメって言われてから無理やりするのが1番興奮するんですからぁ……」
セリフの途中で強く乳首を引っ張られ、突然の刺激に対応できずに思い切り仰け反るマギーと、駄目ですよとマギーを諭しながらも恍惚とした表情を浮かべるムーリ。
エロ方面に関しては、国王のマギーよりもムーリの方が貫禄があるなぁ。
「ここが居住空間なら寝室もあるだろうし、まずは軽くでも調査を済ませよう。マギーの同行にも数日間の余裕があるみたいだし、あとでひたすらえっちするって約束するからさ」
「約束なんかしなくてもひたすらえっちするくせにー。でも狒々の例もあるし、ここが女神様たちのお家だと何があってもおかしくないもんね。了解なのー」
了解なのーと言いながらも一切離れる気が無いニーナは、調査は任せたとばかりに全力で俺の耳を舐め回してくる。
ニーナとフラッタが思い切り耳の中に舌を差し込んでくるせいで、なんだか俺だけ水中にいるみたいな気分になるな?
「広い空間だし人数も多いし、ここからは各自自由に見て回ろっか。ただし単独行動は仕合わせの暴君、傾国の姫君、双竜の顎のメンバーまで。湖人族のみんなとマギーは最低5人以上で行動すること」
「あら? ラトリア様は分かるけど、私まで単独行動していいなんて珍しいの。でもムーリちゃんもニーナもダンさんにくっついてるから、私も結局ダンさんと一緒に回ることになるかなー?」
俺の耳を全力で舐め回している娘を微笑ましく眺めるターニアが、軽い足取りで俺の背後に立っていたヴァルゴと合流する。
そんなターニアに続いてラトリアとエマも寄って来たので、結局家族一緒に回ることになりそうだな?
それでいいのかなと究明の道標の3人やカレン、湖人族のみんなの様子を確認すると、未知のエリアで単独行動しようという気は無さそうで、誰も不満を抱いていないようだ。
「それじゃみんな一緒に動こうね。何か見つけたら俺かティムルにすぐ報告して。キュールが何か勝手に触ろうとしたら力ずくで止めていいからねー」
「うっ……! 言い返したいけど自分でもやってしまいそうだ……! ごめんヴァルゴさん。私がフラフラと触心を始めないように注意してもらえるかい……?」
「畏まりましたけど、貴女はそれでいいんですかキュール……」
肩を落とすキュールと呆れるヴァルゴのおかげでみんなの緊張もいい感じで解れてくれたので、そのまま和やかな雰囲気でドーム内の探索を始めるとしよう。
まずはここが本当に女神様たちのいた場所なのか、そしてもしもそうだった場合は何か危険なものが残っていないかを調査しないとな。
……流石に神器を超えるヤバい物とか、出てこないよな?
新たにマギーを家族に迎え入れた俺は、先行して転移した先の光景に思わず苦笑してしまった。
そしてそんな反応を示したのは俺だけではなく、先発隊として一緒に転移したメンバー全員が似たような表情を浮かべていた。
「ぼくたち、間違いなく転移した……よね? その割に周りの風景が変わり映えしてないけど……」
「よく見なさいリュート。他の皆さんが待機していた通路が無くなってるでしょ。間違いなく転移はしてるわ」
「問題は、転移先の部屋に出口らしきものが無いこと、だよね? リーチェお姉ちゃん」
エルフ3姉妹の言う通り、転移魔方陣の出口もまた似たような作りの広い空間で、危険は感じないものの部屋の外に繋がる通路がどこにも見当たらなかった。
警戒の為にムーリとマギーを抱き寄せる手に力を込めて、この先どうするかに思考を巡らせる。
「造魔召喚したイントルーダーたちの反応から察するに、ここはまだ地面よりも遥かに深い場所であることには変わりないけど、アポリトボルボロスの待機している場所からはかなり……数100メートルくらい海面側に移動してるっぽいな」
「つまりキュールの見立てに間違いは無かったってことだねー。移動距離までほぼ正確に当てちゃうなんて、触心は便利な本当に能力なのー」
聖域の樹海でお片付け中のイントルーダーたちとアポリトボルボロスの反応から算出した大雑把な転移距離を共有すると、ニーナが感心したようにウンウンと何度も頷く。
けれどすぐに首を傾げて、自分のほっぺに人差し指を当てながら問いかけてくる。可愛い。
「それで、これからどうするのダン? キュールだけを連れてきたいなら私が行ってくるのー」
「ん、ちょっと待ってねニーナ。キュールとティムルに意見を仰ぐ前に、自分でも少し考えてみるよ」
「キュールは待たされるより呼び出される方が嬉しいと思うよー? 勿論ダンの好きにしていいけどっ」
俺の返答に自分の出番はまだ先だと判断したらしいニーナは、エルフ3姉妹と合流して部屋の外周などをペタペタと触り始めた。触心の真似事かな?
仲良く調査し始める4人の姿に和みつつ、俺はムーリとマギーの服の中を弄りながらどう行動すべきかを検討する。
恐らく超長距離でも一瞬で移動できる転移魔方陣で、たった数100メートルしか転移していない理由はなんだ?
今のところ防衛システム的な存在は一切感じないことから、セキュリティ的な観点で小刻みに転移させられたとは思えないんだけど……。
「仮にここが教会地下からの転移先だとすると、あえて短距離転移を繰り返す必要性は感じられない……。となると、ここはもう目的地の内部にいるってことになるのか?」
「んっ……。す、凄く真剣に悩んでるように見えるのに、乳首を弄る指先の動きが激し……あぅっ……!」
「慣れてくださいマギー様。ダンさんはおっぱいを弄ってないと考え事ができない人なのでっ」
密着しているムーリとマギーの温かさと、耳元で感じる甘い吐息の乱れ。そして指先で感じる硬い感触に意識を集中することで、他のあらゆる雑念が頭の中から排除されていくのが分かる。
いや、今の俺の中は煩悩100%の最低な状態だとは思うけれど、エロいこと以外の全ての思考を排除した集中状態であることは間違いないのだ、多分?
「リュート。また3人で精霊魔法を展開してみてくれる? ただし今回は床じゃなく、周囲の壁に向かって重点的に風を送って欲しいんだ」
「それは構わないけど、今回はティムルとキュールの意見は聞かなくていいの?」
「多分2人の意見を聞いても、とりあえず試そうって答えが返ってくると思うんだ」
さっきまで警戒しすぎなほど警戒していたせいか、今回はそんなにあっさりアクションを起こしていいのかとリュートが問い返してくる。
でもティムルもキュールも、この通路に入った時点でリスクの想定をしても仕方ないって言ってたからな。
「何が起こるか想定できない場所でこれ以上考えても意味は無いでしょ。むしろ危険があるなら、人が少ない今の状況でトライアンドエラーを繰り返す方が理に適ってるしさ。お願いしていい?」
「んっ。ダンが納得してるなら勿論いいよっ。それじゃ姉さん、アウラ、また一緒にやるよーっ」
リュートにとっては大したお願いではないのか、彼女は気軽な調子でアウラとリーチェと再度手を繋ぎ、直ぐに部屋中に精霊魔法の風を巡らせ始める。
そして手持ち無沙汰になったニーナが背後から抱き着いてきて、俺にぶら下がる形で頬ずりしながら3人の作業を一緒に眺めている。ニーナ、相変わらず軽いなー。
「あ、やっぱり壁に反応があるみたい。大丈夫だと思うけど、一応アウラもリュートも警戒してね?」
「オッケーリーチェお姉ちゃん。警戒しつつ、さっきの要領で精霊魔法を流し込んでいこーっ」
「大丈夫だって姉さん。ダンがムーリとマギーの乳首を引っ張ってるうちは安全なんだから」
……3人とも真面目な雰囲気なのに、リュートだけ発言が大分おかしい件について。
エロ発言しかしないリュートには、安全が確保出来たらたっぷり突っ込んで挿れてあげなきゃいけないなっ。
などとエロいことで頭がいっぱいになった俺の目の前で、壁の一部が鈍い音を立てて地面に沈んでいった。
「……想定通り、特に防犯とか防衛システムが起動する気配は無いね」
「海の底からしか来れない場所にそんなものを用意する意味なんてないのーっ。終の神を1人でボッコボコにしたくせに、ダンったら心配性なんだからー」
「大好きなみんなを危険な目に遭わせたくないのっ」
俺からしたら、ニーナが思い切りリラックスしてる方が不思議だっての。
俺の中では、何か1つ対応を誤っただけでも全滅の可能性のある場所だと思ってるんだけど……。
「ここは女神様の領域である可能性が高いから、俺の想像もしていないことが起こりそうで不安なんだよね……。ニーナは不安じゃないの?」
「あはっ。ダンと同じことばっかりしている優しい女神様たちが、そんなに乱暴なことはしてこないと思うのっ。きっといらっしゃーいって笑顔で出迎えてくれるんじゃないかなっ」
「……ははっ。そうだったねニーナ」
ドヤァっという効果音が聞こえそうなほど会心の笑顔で言い切るニーナに、俺はあっさり納得してしまう。
平然と俺を女神様と同列に語る家族のみんなには困ったものだけど、トライラム様も他の女神様たちも、この世界を創った女性達が優しい人たちだったであろう事は俺だって異論は無いのだから。
「この世界の女神様たちは、どこまでも誰かのことを考えられる優しい方ばかりだってことを忘れてた。流石にもうお会いすることは出来ないだろうけど、家に訪ねてきた人を無碍にするような方じゃないよね」
「ダンだったらえっち中はお客さんを無視しちゃいそうだけどねー。そこだけは女神様とは違う点なのっ」
「ぐっ……! さっきから何一つ言い返せない……!」
言い返せない口なんて使い道は無いし、これ以上ニーナに言い負けるのも癪なので、振り返ってぶら下がり状態のニーナとたっぷりと唾液を交換する。
その間に通路の先と転移魔方陣前で待っている家族の元へそれぞれ造魔した魔物を送り出し、通路の先の安全確認と家族たちへの連絡を済ませた。
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ま、精霊魔法を使ったら通路が開かれましたー、くらいしか報告することも無いけどね。
「ふむ。この部屋に殿の妾たちまで呼んだということは、ダンはもうこの場所に危険は無いと判断したということかのー?」
装備品を外して身軽になったフラッタが、ニーナと並んで俺の背中にぶら下がりながら問いかけてくる。
いくら家族の中でも軽い方の2人とはいえ、ニーナとフラッタの2人をぶら下げてもなんともないなんて、我ながら強くなったもんだ。
「まだ警戒はするつもりだけど、恐らくこの場所は安全じゃないかなって思い始めてるよ。だから家族全員が危険に巻き込まれるリスクよりも、家族が分断されている状況の方を解消したかったんだ」
「んふーっ。殿を命じられた故我慢しておったが、ダンと離れるのは寂しかったのじゃー。この場に危険が無いのであれば、あとはずーっとダンとくっついていたいのじゃーっ」
「あははっ。部屋が狭いからみんな必然的にダンとギューッとなっちゃってるけどのーっ」
俺の耳元で遠慮なく笑うニーナの言う通り、開かれた通路の方にはまだ誰も移動していないため、圧迫感は無いけれど部屋は満員の状態だ。
というかみんなわざと俺に密着してくれるから、女性特有のえっちで甘い香りと柔らかい感触に包まれて警戒心を保てなくなりつつあるんだよ?
「これ以上この部屋に居続けるとエロいことしか考えられなくなりそうだから、そろそろ開かれた通路の先に進もうか」
「別に妾たちはそれでも一向に構わぬのじゃぁ……」
数秒前まで無邪気な好意を向けてくれていたフラッタが、突如凄まじい色気を含んだ甘い声で囁きながら俺の耳たぶをはむはむしてくる。
そして何の打ち合わせもしていないはずなのに、やはり反対側の耳をフラッタの動きに合わせてハムハムしてくるニーナ。
「未だにマギー陛下とムーリのおっぱいを弄っておることじゃし、ダンもえっちしたいのじゃろ……? 何なら妾の方から押し倒してやってもよいのじゃが……?」
「俺はいつだってみんなとえっちしたいとしか思ってないっての。でもそのえっちを気兼ねなく楽しみたいから、まずはここの安全を確保しないとね」
そのまま耳ははむはむしてていいからねと許可を出し、4人の女性と密着したまま先頭に立って歩きだす。
このお団子状態では最早陣形も何もあったものじゃないし、俺自身ここにはもう危険が無いような気がし始めているので、俺の後ろは順番を気にしないことにした。
……自由にしていいと言った瞬間に俺のすぐ後ろを確保するヴァルゴにはちょっと笑ってしまったよ。
ヴァルゴから言わせれば護衛の意味合いも強いんだろうけど、初めに比べると積極的になってくれたよなぁ。
マギーとムーリの乳首をくりくりきゅっきゅと弄って、好色家姉妹の2人に両耳を甘噛みされながら歩くこと3分。
今回の通路は大した長さも無く終わりを迎え、通路の先のドーム状の広い空間に到着する。
「こ……れは……! これは完全に人工物、だよねっ……!?」
「なんとなくだけど、確かにダンの言う通り危険な感じはしないわぁ。なんというか、家の中に入ったみたいな感じがするわねぇ?」
キュールとティムルが、それぞれ通路の先に広がった空間に対する感想を零している。
ドーム状の広い空間は吹き抜けになっていて、天井はかなり高い位置にあるように思えた。
先ほどまでは天然洞窟を歩きやすいように整備したという印象だった内装も様変わりし、白を基調とした清潔感溢れる見た目で、ここを見て人工建築物だと思わない人間はきっと居ないんじゃないかって感じだ。
ドームの外周の壁には緩やかな坂道の通路が設置されていて、その通路の合わせて取っ手の無い扉が無数に存在しているようだ。
あの扉、恐らく自動ドアなんじゃないか? だとしたらファンタジー感の欠片も無いな。多分動力は魔力なんだろうけど。
「かなり広そうだけど、多分キュールの言った通り人の手で作られた空間で、ティムルの言った通り居住空間に入れたんじゃないかな? 油断するのは危険だけど、恐らく安全な空間だと思うよ」
「安全な場所なの? ならダン、早速えっちするー?」
「えっちするー? じゃないよニーナってばっ! エッチしたいのは山々なんだからあんまり誘惑しないでくれないかなっ!?」
「あのねぇダンさん。そのセリフは私とムーリさんの乳首から手を放してか……ひゃうっ!?」
「はぅぅっ……! だ、駄目ですよマギー様ぁ……。ダンさんはダメって言われてから無理やりするのが1番興奮するんですからぁ……」
セリフの途中で強く乳首を引っ張られ、突然の刺激に対応できずに思い切り仰け反るマギーと、駄目ですよとマギーを諭しながらも恍惚とした表情を浮かべるムーリ。
エロ方面に関しては、国王のマギーよりもムーリの方が貫禄があるなぁ。
「ここが居住空間なら寝室もあるだろうし、まずは軽くでも調査を済ませよう。マギーの同行にも数日間の余裕があるみたいだし、あとでひたすらえっちするって約束するからさ」
「約束なんかしなくてもひたすらえっちするくせにー。でも狒々の例もあるし、ここが女神様たちのお家だと何があってもおかしくないもんね。了解なのー」
了解なのーと言いながらも一切離れる気が無いニーナは、調査は任せたとばかりに全力で俺の耳を舐め回してくる。
ニーナとフラッタが思い切り耳の中に舌を差し込んでくるせいで、なんだか俺だけ水中にいるみたいな気分になるな?
「広い空間だし人数も多いし、ここからは各自自由に見て回ろっか。ただし単独行動は仕合わせの暴君、傾国の姫君、双竜の顎のメンバーまで。湖人族のみんなとマギーは最低5人以上で行動すること」
「あら? ラトリア様は分かるけど、私まで単独行動していいなんて珍しいの。でもムーリちゃんもニーナもダンさんにくっついてるから、私も結局ダンさんと一緒に回ることになるかなー?」
俺の耳を全力で舐め回している娘を微笑ましく眺めるターニアが、軽い足取りで俺の背後に立っていたヴァルゴと合流する。
そんなターニアに続いてラトリアとエマも寄って来たので、結局家族一緒に回ることになりそうだな?
それでいいのかなと究明の道標の3人やカレン、湖人族のみんなの様子を確認すると、未知のエリアで単独行動しようという気は無さそうで、誰も不満を抱いていないようだ。
「それじゃみんな一緒に動こうね。何か見つけたら俺かティムルにすぐ報告して。キュールが何か勝手に触ろうとしたら力ずくで止めていいからねー」
「うっ……! 言い返したいけど自分でもやってしまいそうだ……! ごめんヴァルゴさん。私がフラフラと触心を始めないように注意してもらえるかい……?」
「畏まりましたけど、貴女はそれでいいんですかキュール……」
肩を落とすキュールと呆れるヴァルゴのおかげでみんなの緊張もいい感じで解れてくれたので、そのまま和やかな雰囲気でドーム内の探索を始めるとしよう。
まずはここが本当に女神様たちのいた場所なのか、そしてもしもそうだった場合は何か危険なものが残っていないかを調査しないとな。
……流石に神器を超えるヤバい物とか、出てこないよな?
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