異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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824 慟哭の最終決戦⑯ 保護

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「ティムルはリュートをお願いね。アウラはリーチェさんについていてあげて」


 バルバロイの下に向かう前に、みんなに簡単な指示を出しておく。


 リーチェさんとリュートにはティムルとアウラを付き添いに残し、スウィートスクリームの俺達の部屋で休んでもらう。

 ニーナ、フラッタ、ヴァルゴの3人は、夜が明けるまでスクリームヴァレーの周辺を警戒することになった。


 被害状況の確認と対応に追われるカレンにはラトリアとエマを補佐に付け、他のメンバーにはスウィートスクリームで警戒中のみんなに説明をしてもらって、俺が戻るまでは自室で待機してもらう事にした。


「アウラ。魔力枯渇の心配は無いね?」

「あ、うん……。今回は精霊魔法を使ったくらいだったから余裕かな……。ティムルママに用意してもらった装備も凄いし、最悪の時はアウターに行けば魔物から魔力を奪えちゃうしね……」

「うんうん。アウラはもう俺とえっちしなくて生きていけるようになったみたいだね? そんなの関係無く今まで以上に注ぎ込んでやるつもりだけどっ」

「パパとえっちしなくちゃ生きていけないよ~って言わせたいんでしょ? まったくパパは変態で困っちゃうな~」


 まだリーチェさんもリュートも目を覚ましていないせいか、いつもと比べるとちょっとえっちな気分になってない様子のアウラ。

 リーチェお姉ちゃんとリュートの事を頼んだよとキスをして、さっそくバルバロイの下へ……。


「あ、ダンっ。バルバロイと決着をつけたら、直ぐにエルドパスタムに行って器巫女の3人を隷属化してもらえるか?」

「カレン? え、でも俺、3人の顔も知らないんだけど」

「カルナスをエルドパスタムに先行させておくから、捜索兼顔確認に使ってくれ」


 みんなに指示を出し終えてバルバロイを殺しに行こうとした俺に、カレンが少し焦ったように声をかけてくる。

 んもぅ、なかなか出発出来ないなー。


 でもシャロもマギーもどうぞどうぞと譲ってくれるので、ここは2人に甘えてカレンに応じよう。


「顔確認が終わったら、カルナスにはローファの下で大人しくしていろとでも命令しておけ。ローファには事情を説明しておく」

「って言うかさカレン。身柄の保護もしないで速攻で隷属させちゃっていいの? そんなに急ぐ必要が……」

「出来ればバルバロイと決着を着ける前に隷属化して欲しいくらい状況は悪いぞ? なんたってあの3人もガルフェリアとの戦いを見ていたはずだからな」

「あっ……!」


 流石にバルバロイの殺害とかカルナスの隷属化は知られていないはずだけど、識の水晶を預かってきた器巫女の3人なら、自分たちが識の水晶を持ち去った結果ガルフェリアが生み出されたと考えて、思い詰めてしまう可能性があるのかっ!?

 だから短絡的な行動に走る前に、その身柄を隷属化という名の保護をしてあげる必要が……!?


 しかし俺の様子を見たカレンが、多分お前の想定は的外れだぞと首を振る。


「バルバロイのことだ。敗北した時のことまで織り込み済みで器巫女の処分に走る可能性が高い。3人とも私に似てなかなかの器量良しだから、無関係な者に情報をリークするだけでも危険だしな」

「……確かに若い女性が3人だけでいる状況は危険か。その情報だけで部屋に押し入る奴が居てもおかしくは……」

「うむ。下手をすれば、識の水晶強奪の実行犯として捕らえられかねないのだ」


 ティムルなんてギルドに紹介された魔物狩りに襲われかけた事があるらしいからな。

 10代の少女3人が識の水晶強奪の実行犯なんてレッテルを貼られた日には、下種な男共のいいように弄ばれてしまうだろう。


「本音を言えばバルバロイより3人の保護を優先してもらいたいが……。そこは貴様に任せるよ」

「そんなこと言われたら無視出来ないだろーっ! ごめんシャロ! マギー! 先にエルドパスタムに行くよ! 生首入れるから適当なボロ布でも無いかなっ!?」


 バルバロイの生首を布で包み、ソレをリュックに背負ってエルドパスタムに転移する。


 パーテーかアライアンスを組んでいないと一緒に転移は出来ないはずだけど、バルバロイの生首は荷物だと判定されたのか、普通にリュックに入れたまま転移する事とが出来た。

 流石はこの世界のお荷物野郎だけはあるな。


 1度開封して馬鹿面を確認して、再度梱包し直してから、エルドパスタムで待機していたカルナスと合流する。

 余計な問答はせずに真っ直ぐに器巫女の下に案内させると、なんとガルシアさんの名前で取った部屋に器巫女の3人は宿泊していたようだ。


 カルナスと共に入室すると、3人のうち最も年上に見える少女が急いでカルナスの元に駆け寄ってくる。


「カルナス様!? 先ほどの光景は一体なんだったのですか!? 終の神って……いったい識の水晶はどうなって……!」

「君がルチネかな? あっちの2人がエルラとマドゥだね? 初めまして。カレンの夫です」

「…………は?」


 問いかけたカルナスはなにも答えてくれず、初対面の男から皇帝の夫ですと言われて固まるルチネ。

 うん。同じシチュエーションなら俺も固まってしまいそうだ。


「えと……。カ、カルナス様、こちらの方は……?」

「悪いけど問答無用だよ。君達が人類を滅ぼそうとした大罪人として辱められる前に、3人とも俺の性奴隷になってもらうからねー」

「はっ!? えっ、な、なに言ってっ……!?」

「『縛鎖の呪言。制約の檻。幾千束ねし干渉の糸。ここに支配の剣を掲げ、神魂繋ぎて権利を剥がせ。奴隷契約』」


 戸惑っている3人に構わず、強化従属魔法で性奴隷の契約を結ぶ。

 いくら強化された従属魔法とは言え、何の抵抗もなく性奴隷契約が結べたという事は、もしかしたら薄々自分たちのしてしまった事の重大さに気付いて罪悪感を抱いていたのかもしれない。


 そんな彼女たちの事をはっきりと性奴隷と明言し、実際に性奴隷として扱わなければならないのは流石に抵抗がある。

 彼女たち3人はバルバロイとガルシアさんの私怨に巻き込まれた、言ってしまえば被害者なのだから。


 けれどこの3人は俺の慰み者として酷い扱いを受けているということにしないといけないのだと、転移前にしっかりとカレンに釘を刺されてしまった。


 ガルフェリアの姿を世界中に晒してしまった以上、識の水晶の存在を知っている人たちに識の水晶との関連を疑われないはずはない。

 下手をすれば一族郎党皆殺しになるところを、実行犯の3人が生涯を俺の性奴隷として過ごすという事実を持って全てを終わらせるのが最も穏便な解決方法なのだと、カレンに力説されてしまったからなぁ……。


「君達3人は自傷行為、逃亡禁止ね。その状態でスウィートスクリームの俺の部屋で大人しくしていてもらうよ」


 性奴隷契約が成立して唖然としている3人に軽く事情を説明する。

 居ても邪魔なだけのカルナスには先に帰ってもらった。


「なるべく悪いようにはしないから、短絡的な行動には走らないでね? 一応制限はしておくけど」

「なんで……。なんでこんなことに……?」

「君達が識の水晶を持ち去ったせいで、結果的に終の神ガルフェリアが呼び出されてしまったからね。君達に選択権が無くて申し訳無いけど、君達の命を救うにはこの方法しかないんだってさ」

「……少女の私達が色狂いバルバロイ殿下に誑かされて……って話にして決着をつけたいんだね」


 膝から崩れ落ち放心しているルチネと違って、最も年下の15歳のマドゥという少女が思ったよりも冷静に現実を受け止めている。

 そして俺の前に跪いて、懇願するように問いかけてくる。


「……ねぇご主人様。貴方に服従すれば、私の家族に迷惑はかからない?」

「悪いけど、それを決める権限は俺は持ち合わせていないよ。ただガルフェリアによる人的被害は恐らく皆無だっただろうから、その分君達への責任追及の手は緩むと思う」

「……そっか。全く悪影響を及ぼさないのは無理でも、国外追放だったり極刑にされる事はないならそれでいい」

「マドゥが良くても私は良くないよぉ~……。器巫女の使命を果たして、カレンお姉様の次の皇帝を継ぐつもりだったのにぃ~……」


 尊敬するカレンの皇帝の座を狙っていたというエルラという少女は、現実を受け止めつつもその夢が閉ざされてしまった事にしくしくと泣き続けている。

 ちなみに俺の性奴隷になった事実は、カレンの夫に貰われると解釈してあまり気にしていないようだ。強い。


「さぁ3人とも移動するよ。ここはまだ安全じゃない。君達の責任を追及して襲ってくるものがいないとも限らないからね。大人しくついてきてくれるかな?」

「……うん。行こうルチネ。エルラ。多分この人、私たちの事を助けようとしてくれてるから」

「……マドゥがそう言うならそうなのね。分かりました。案内をお願いします」


 最も年少だと思われるマドゥが促すと、ルチネもエルラも素直についてきてくれた。

 マドゥって確か、何事にもあまりやる気を見せない少女だってカレンが言ってた気がするけど、随分信頼されてるみたいだな?


 1度スウィートスクリームに転移して、俺に気付いて外まで迎えに来てくれたターニアとキュールに3人の事を引き渡す。

 どうやら3人はキュールとも面識があるらしく、明らかに安心したような表情を浮かべていた。


 キュールとターニアと、大人しく2人についていくマドゥたち3人を見送って、付き合ってくれたマギーとシャロに頭を下げる。


「ごめんマギー。我が家のゴタゴタに巻き込んじゃって。ごめんシャロ。あの馬鹿を一刻も早く八つ裂きにしたいだろうに時間取っちゃって」

「あら? あの3人は性奴隷にしたんじゃなかったかしらぁ? 我が家のゴタゴタだなんて、その口振りだととても奴隷として扱うようには聞こえないわねー?」

「3人の顛末を見ることが出来たおかげで、あの馬鹿に対する認識を再確認出来ましたよ。やはりあの馬鹿を生かしておくわけにはいきませんね……!」


 俺への敵対心、対抗心で無関係の人々を巻き込み、3人の少女の未来を閉ざしてバルバロイにかつての自分の記憶も呼び起こされたのか、シャロが静かに怒りに震えている。


 どうやら3人の貞操は本当に守られていたそうだけど、それでも俺に無理矢理奪われるのが確定しているので、あの3人にはもう救いなどないのだ。

 かつての自分のようにバルバロイによって運命を歪められた少女たちの姿に、決して人と敵対しないはずのシャロが本気で殺意を抱いている。


「行こう2人とも。俺にはバルバロイの居る場所に見当がついてる。今夜中に決着をつけよう」

「ええ。私の愛する夫にしてくれたこと、王国民に愛されるガルにしてくれたこと、実の兄でも流石に許せないわ……!」

「私に言わせれば、実の兄だからこそ許せないという感じですよ……! 絶対に、あの男だけは許せません……!」


 ……実の妹2人に本気で殺意を向けられるって嫌だなぁ。

 特にシャロとマギーのような魅力的な妹に嫌われると、割とマジで絶望しそうだよぉ。


 ……なんて考えていたら、ある日突然血の繋がらない妹が押しかけてきたりしませんかね?


「転移先はバルバロイの本拠地だ。マギーが居るのは心強いけど、何が起こるか分からない。充分注意してね」

「え、私? 何で私が居ると心強いの? 私、あんまり役に立てる気がしてないんだけど……」

「転移先を見れば分かるよ。『虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし彼方へ繋いで到れ。ポータル』」


 シャロを真ん中にして3人で手を繋ぎ、俺の発動したポータルに3人で飛び込む。

 そして転移先を目の辺りにしたシャロとマギーは一瞬目を丸くしたあと、直ぐに納得のいった表情を浮かべ始めた。


「……なるほど。あの男が考えそうなことね。私が居れば心強いっていう意味も分かったわ」

「実際どうなんですかご主人様? あの汚らわしい首に繋がっている魔力、やはりここから……?」

「うん。ビンゴみたいだよ。首に繋がってる魔力は間違いなくこの中から放たれ……」

「マーガレット陛下!? このような時間に……しかもあのようなことがあった後にどうして城にお戻りにっ!?」


 俺達の……というか国王であるマギーの転移に気付いた数名の兵士が慌てて駆け寄ってくる。

 そりゃそうだ。人間族代表として出かけている国王が深夜に帰ってきたら驚くに決まってる。


 そう。俺達がバルバロイと決着をつける為に訪れたのは、スペルディア王城だ。

 負ける気が無かったバルバロイならここで高みの見物を決め込んでいそうだし、不測の事態が起こっても本拠地であるこの場所ならばどうとでも対応できると思ったんだろうな。


「そ、そうだ! ガルシア陛下はっ!? ガルシア陛下は本当に無事なのですかっ!?」

「大丈夫。偉大なる国王ガルシアは無事に帰還を果たしました。今は疲れてお休みしているので、妻として着替えくらい用意してあげたいと思いこんな時間に帰ってきてしまいました」

「ははっ! 両陛下はいつも仲睦まじいですなっ! しかしなぜシャーロット様とダンさんがご一緒してるんですか?」

「姉様は付き添い、ダンさんは護衛ですよ。先ほどのような事があったばかりですから、城に戻るのにも一応護衛をお願いしたんです」


 兵士の皆さんとにこやかに会話するマギー。

 国王になったあとも、兵士さんたちとはしっかりコミュニケーションを取ってるんだなぁ。


「ややっ! お引止めしてしまって申し訳ありませんっ! ガルシア陛下の御身が心配でついっ……!」

「ふふ。ガルは幸せ者ですね? それでは失礼します。皆様も引き続き職務を全うなさってください」

「「「はっ! ありがとうございますっ!!」」」


 本気で嬉しそうに返事をして、スキップしそうな軽い足取りで去っていく警備の兵士さんたち。

 マギーもシャロに似て美人だし、優しい女王に直接労われたらテンションが上がっても仕方ない。


「今度は私が時間を取らせちゃったわね。ごめんなさい2人とも」

「いや大丈夫。バルバロイにも動きは無いしね。むしろ兵士さんたちと仲良さそうで安心したよ」

「流石に以前はこんなに距離が近くなかったけどね。ダンさんの方が彼らと親しいって聞いて、なんだとー! って対抗心をむき出しにしちゃったのよっ」


 なーんてねっ、と笑うマギーに、今の言葉は本当なのだろうなとなんとなく直感する。


 こんな感じで、対抗心を抱くって悪いことばっかりじゃないんだけどなぁ。

 なぁんでガルシアさん、バルバロイなんかの口車に乗っちゃったんだか……。


 3人並んで城内を進み、背中に背負っている生首の魔力を辿っていく。

 するとバルバロイの私室とはかなり離れた1室から、首と繋がっている魔力が放たれているのが分かった。


「うっわぁ……。途中から嫌な予感がしてましたけど、やっぱりここですかぁ……」

「姉様は知ってるんだ? 私はここ、把握してないなぁ」

「あ~……。ここはあの馬鹿の遊び場ですよ………。犯罪奴隷の女を連れ込んで、妻には出来ないような行為を楽しむ部屋ですねぇ……」


 部屋のドアの前に立つと、シャロが本気で嫌悪感を示している。

 というか王も把握していない部屋が城内にあるのがおかしいだろっ! 歴代の王はなんとも思わなかったんだろうけどさっ!


「私も何度か連れ込まれた事はありますが……。その時に見せられた行為は私でもちょっと受け入れられませんでしたね……」

「姉様でも受け入れられないと行為って……。詳しく聞くのはやめておくね……」

「流石に今はそんな行為中ってことは無いでしょ。開けるよー?」


 ドアノブに手をかけるも普通に鍵がかかっていたので、非常時と言うことでマギーに許可を貰いアウタードライブで鍵を切断して入室する。

 こういう時に最高責任者に同行して貰うと、緊急措置が簡単に行えて話が早いんだよね。


 部屋の中は思ったより広く、区切りのない大きな1室になっている。

 部屋の壁には無数の道具が並べられていて、一見すると嫌な使い方しか想像出来ないような道具や、どうやって使うのか想像もつかない形状の道具も数多い。


 そして部屋の中央にはキングサイズのベッドが1つ設置してあり、そこには傷とアザだらけの全裸の少女と、その少女の膝の上に頭を乗せて眠っているバルバロイの姿があるのだった。
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