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785 自棄
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「さぁミレーもそろそろ起きて。みんなもう陸に上がってお茶を飲んでるよ?」
「やぁだぁ……。もっとしてぇ……?」
「ほらほら。ぎゅーっとしてあげるから行こう? お話が終わらないとこの先のこともしてあげられないからさ」
出会ってからひたすら可愛がってあげたせいで、以前のシーズのようにすっかりえっちに溺れてしまった様子のミレー。
シーズの時と違ってニーナが止めに入ってこないのは、湖人族の状況的にエロに溺れる方が都合がいいと思っているのか、自分と同い年のミレーには保護する必要性を感じていないからなのか。
あ、違うわ。多分ミレーは1度本気で俺と敵対したから、ニーナ的にはまだ身内判定が出てないんだ。
俺がコレだけひたすら可愛がっても、ニーナはどこまでもマイペースに俺の心配をしてくれているんだなぁ。
「ん? どうしたのダン?」
「いつもニーナには世話になりっぱなしだなって思ってさ。お話の間はニーナのこともぎゅーっとしていい?」
「勿論いいに決まってるのっ。いつだって好きな時に甘えてくれていいんだよーっ」
腕の中に招待すると、上機嫌になったニーナが直ぐに飛び込んできてくれる。
今日はなんだかミレーとニーナの17歳コンビを一緒に可愛がってしまうなぁ。2人とも可愛いよぉ。
ゴキゲンニーナとめろめろミレーを両側に抱き寄せながら、エマたちが準備してくれた敷物の上に座り、微妙に熱っぽい視線を向けてくる湖人族の女性達と向き合った。
「なんか初っ端から色々というかエロエロあったけど、改めて挨拶させて貰うよ」
「エロエロあったのは全部アンタが原因でしょっ! 完全にミレーを手込めにしてぇ……!」
「クラーさんはお静かに願いまーす。俺はダン、そして同行した女性は全員俺の妻だ。初めまして湖人族の皆さん」
「も、もう初めましてもなにもあったもんじゃないけどねぇ……」
バツが悪そうに上気した頬を掻きながら、戦士然とした雰囲気を纏った女性が答えてくれる。
あまり意識されるとこっちもバツも悪くなっちゃうから、出来ればスルーしてくれません?
「私はルッツ。一応島を束ねさせてもらってるよ。宜しく、東からの来訪者ダンさん」
「東からの来訪者と言われても……って感じだけどね。それじゃまずはこっちの事情から説明させてもらうよ」
夜更かしばかりする我が家的にはまだ寝るには早い時間だけど、互いの話がどの程度かかるか読めないのでとっとと本題に入らせてもらう。
ニーナとミレーをよしよしなでなで愛でながら、俺が海を渡った動機と手段を解説した。
ルッツさんも他の湖人族の皆さんもご静聴してくれたんだけど、クラーだけは俺に歩み寄ってきて、俺の隣でずっとミレーと手を繋いでいた。
「職業の祝福か……。にわかには信じられない話だが、ミレーとクラーの2人を正面から討ち破ったあんたが言うなら真実なんだろうなぁ……」
「こっちに言わせりゃこの環境で生きてた湖人族のほうが信じられないけどねぇ。ま、職業に関しては話が終わったあとにお世話するよ。神様の祝福を受けないのは勿体ないから」
魔物が居ない環境下だから祝福の恩恵は感じられにくいだろうけど、旅人の持久力補正はあっても困らないはずだ。
液化と職業補正が競合でもしない限り、全員を旅人に転職させてしまおう。
「俺達の事情は説明した通りだよ。湖人族との接触は狙い通りだけど、湖人族だと分かってて会いに来たわけじゃないんだ」
「そりゃあそうだろうね。液化が使える私たちですら他の陸地にゃあ辿り着けないんだ。他の種族の連中が私らの事を知ってるはずがない。……だから私らに関わる気は無いってことかい?」
「いや、流石にクラーとミレーのことを弄んじゃったこともあるし、湖人族と距離を置く気は無いよ。ただ……」
「自分は東からの来訪者なんて話は知らない。無関係だ。だから期待するなって言いたいのかい?」
淡々とした口調で、ぶっきらぼうに俺の言葉を遮るルッツさん。
彼女が今どんな感情を抱いて俺と向き合っているのか、正直ちょっと読めないな。
だが彼女たちが俺にどんな幻想を抱いていようとも、俺がそれに応える義務は無い。
「俺には俺の目的があって海を超えてきたんだ。湖人族と敵対する気も無いし、出来る範囲なら協力もする。けど出来ないことは出来ないよ?」
「……子作りの話だね。ったくそこまでミレーを手篭めにしてるんだから、抱ける女は抱いちまえばいいじゃないのさ」
「俺の家族の人数を数えてみなよ。俺が女に困ってるように見える? それに湖人族を受け入れて家族のみんなを蔑ろにするような事はしたくないのさ」
弾丸は無制限でも、それを発射する砲台は1つしか持ってない。
優先すべきはお腹たっぷりに注ぎ込んでおかないと生きていけないアウラで間違いないが、他の家族全員を常に満たしておくのが夫である俺の務めだからな。
いくら湖人族とのハーモニーえっちに興奮を覚えようとも、それとこれとは話が別なのだ。
「それにクラーもミレーも知ってたってことは、ルッツさんだって俺と湖人族の間では子供が作れない事を知っているんでしょ? 子供が出来ないのに俺に身を差し出すのはなんとも思わないの?」
「……ダンはめんどくさい男だねぇ? 男と女が惹かれあったなら、そこに理屈をはさむのは野暮ってモンだ」
「不本意な事に、面倒臭い男って言われるのには慣れてるよ。さ、今度はそっち側の事情を教えてくれるかな」
「ふぅん? 奥さんたちが一斉に笑い出した辺り、どうやら確かに言われ慣れてるみたいだねぇ? ま、確かに今度は私らの事情を説明する番か」
ひと言余計な事を呟きながら、土産に持参したアーティザンズスウィートを呷るルッツさん。
彼女はお茶よりもアーティの方が気に入ったようだ。
でも気をつけてよルッツさん。アーティは飲みやすいし次の日に残りにくいけど、それでもまぁまぁ強いお酒なんだから。
……って、もしかして湖人族のみなさん、お酒を飲むのも初めてだったりするんだろうか?
「私ら湖人族がいつからここに居るのかは、もう誰も憶えちゃいない。それくらい昔から、私ら湖人族はこの島で海に抱かれ生きてきたのさ」
機嫌良さそうに語り始めるルッツさん。もしかしたら少し酔ってるのかもね。
そしてそれ以上に、興味津々に瞳を輝かせる究明の道標の3人の熱意に当てられて、場の雰囲気にも酔っていたりしてな。
祖母の祖母の、それまた祖母の世代も変わりなく過ごしていたらしいという湖人族たちには歴史が感じられて、とても転移してきて日が浅いような種族には思えない。
数百年、数千年前からこの島で暮らしてはいたものの、海獣漂う危険すぎる海にお互いが阻まれていて、帝国や王国側の土地に住む人間たちに認識してもらえていなかっただけっぽいな。
「さっきもチラッと言ってたけど、なんで液化を使っても俺達が住む土地に辿り着けなかったの? クラーとミレーの2人と手を合わせた感じだど、液化の性能を考えれば辿り着けそうなものだけど」
「液化はあまり長時間連続使用出来ないのさ。しかも戦闘や高速移動とか、激しい動きをするたびに帰水化が早まっちまうんだ」
「帰水化って?」
「水と溶け合いすぎて存在が保てなくなっちまう事を帰水化って呼んでるのさ。母なる大海と溶け合うのだから死ともちょっと違うんだけど、少なくとも個人の肉体と意識が喪失しちまうんだよ」
え、それって完全に死んでるんじゃ? と思うのは液化が使えない者の発想でしかないらしく、液化して海に触れると、海に溶けた人たちの存在が確かに感じられるらしい。
怪我や病気で余命幾許も無い状態になると、自ら進んで帰水化を選択する者が出るほどで、少なくとも湖人族の中では帰水化と死の間には決して相容れないほどの大きな溝があるようだ。
勿論帰水化を望まず、生涯の最後を陸上で終える者も当たり前に居るみたいだけど。
「全力戦闘が出来るのは10分かそこらだろ。だからダンがクラーとミレーを即無力化したのはある意味最善手だったと言えるねぇ?」
「マジかよ。もう少しで2人のおっぱいの味も分からず2人を帰水化させちゃうところだったのか。ゾッとするなぁ……」
「アンタ、本当におっぱいのことしか考えてないんだ……? って、ひゃっ!?」
呆れたように呟いたクラーのおっぱいを鷲掴みにして引っ張り寄せ、彼女が驚いて反応が遅れている隙を突いて彼女の口の中にニュルリと舌を侵入させる。
ミレーのおっぱいを執拗に揉み続けた手前、おっぱいのことしか考えていないと言われても無理はないけど、俺はエロいこと全般に興味津々なんだよ。こんな風になぁ!
まだルッツさんとの話の途中なので10秒ほどクラーの口内を満遍なく舐め回し、最後は思い切り舌を絡ませながら彼女の唾液をたっぷりと啜った。
帰水化なんかで海になんて溶けさせるくらいなら、えっちなことで俺に溺れさせてやるからなぁ?
「い、いい……いきなりぃ……。いきなりなにするのよぉ~……」
「ここに来るまではミレーの事を散々可愛がってあげたけど、俺はクラーのこともたっぷり可愛がってあげるつもり満々だよ? 話が終わるまでに覚悟を決めておいてね?」
「……おねぇばっかりキスしてズルいんだけど」
「おっと、ミレーはおねだり上手だね。悪いけどルッツさん、あと数十秒だけ待ってねー?」
ルッツさんの返事を待たずにミレーともキスを始め、姉妹の舌を立て続けに責め立てた。
クラーはぐったりしちゃったけど、ミレーはキスだけで何度もビクンビクン跳ね上がっちゃってるね?
初めてえっちなことをしているのにこの有様なんて、ミレーは将来有望過ぎるよ。
「お話が終わるまで待っててね? お姉ちゃんと一緒にミレーのこと、徹底的に可愛がってあげるから」
「はぁっ……! はぁっ……! や、約束だからね……?」
勿論だよと最後にもう1度軽く唇を合わせてから、姉妹との唾液交換を黙って観察していたルッツさんに視線を向ける。
すると彼女は怒ったり照れたりすることもなく、大きく目を見開いてしきりに感心しだした。
「凄いねぇ? クラーもミレーも完全に堕ちてるじゃないか。2人の事を手篭めにする気満々に見えるけど、私たちの事は袖にしちゃうのかい?」
「袖にするって言うか、俺は人間族だから湖人族と子供を作れないのはルッツさんだって分かってるんでしょ? なのに種族全員で俺と肌を重ねる意味ある?」
「くくっ。アンタ本当に野暮な男だねぇ? どうせ手を拱いていたって私達の滅びは免れないんだ。なら海の教えに流されて最後に楽しんでもいいじゃないか」
「あ~……。その考え方はあんまり良くないと思うよ? 湖人族の状況を考えれば仕方ない部分もあるんだろうけどさぁ」
要するに男性がいなくなって種族の絶滅が確定してしまっているから、自暴自棄というか退廃的な思考に染まりつつあるわけだ。
だから最後に思い切り肉欲に溺れた日々を過ごしたいって、マジでご都合ハーレム種族か湖人族?
「というか割と昔からこの島に住んでるって事は、今まで男性もいたんだよね? クラーもミレーも男の俺を見て特別な反応は見せなかったし」
「この娘らの場合は驚く余裕もなかったんだと思うがね? まぁダンの言っている通り、8年位前まで男もいたんだよ。最年少のドギーは10歳だしね」
最年少は10歳か。
多分俺から距離を取りつつ、赤面しながらおっぱいに手を当ててこっちを見ているあの娘がドギーだろうな。
10歳であのぬるぬるおっぱいマッサージを体験してしまったのはさぞ大変だったことだろう。
もしも彼女があの時の快感を忘れられないというのなら、責任を持って再現してあげるとしよう。
「元々湖人族は男子が生まれにくい種族でね。10人子供が生まれれば男子は1人居ればいいってもんなんだ。その上女子と比べて短命だったんだよ。だから男が女を孕ませられるようになると、なるべく多くの女を孕ませてもらうんだが……。今回は遂に1人の男子も生まれないうちに、ね……」
おおう。湖人族に生まれた男子は生まれた瞬間からハーレム確定か。
湖人族もこの世界の基準に漏れず美人揃いだから、生まれた男たちもさぞや必死に種蒔き作業に勤しんだことだろう。
けれど短命って。もしかしてそれ、種蒔きに熱中しすぎて早死にしてるんじゃね……?
確かめる方法なんてないので口には出さないけど。
「ふむふむ。どうやら全員ダンが貰っちゃっても後腐れなさそうなのっ」
「ぶほぉっ!? まだ話は終わってないのにその結論は早いよニーナ!?」
「問題は、私たちが異種族間でも子供を作ろうって話をした途端にダンと湖人族に出会ってしまったことなの。……ねぇダン。これ、本当に偶然だと思う?」
俺の全力のツッコミを総スルーして、セリフに反して物凄く真剣な眼差しを向けてくるニーナ。
先日ティムルが俺達の出会いには魔力が関係していたんじゃないかと分析してくれて、ニーナもそれに納得してたような気が……。
いや、そうか。俺達の出会いが魔力を介して演出されたものだと信じたからこそ、魔力を弾く性質を持つ海に隔たれた湖人族との出会いに違和感を覚えているのか?
俺の言動が何者かに監視され、誘導されているのではないかって?
東からの来訪者、なんて呼び名も用意されてたくらいだし、ありえないと一蹴するのも難しくはある。
けど、それは考えても分からないことだよニーナ。
「偶然と言えば偶然だし、運命だと思えば運命だと思うよ。でもそんなの確かめる方法なんてないから、自分たちで好きなほうを選べばいいんじゃない?」
「そんなに楽観的で本当に平気? 今回のタイミングは本当に誰かが私たちの会話を聞いていたとしか思えないの」
「……聞いていたのが女神様なら許すけど、男だったら神様でもぶった切らないといけないな。みんなのえっちな声はたとえ神様とだって共有する気はないからね」
「ぷっ。あははっ。そうやって追いかけて見つけた神様が女だったら、ダンったら神様だって押し倒しちゃいそうなのっ! みんなのえっちな声を盗み聞きした分だけ鳴いてもらうよ? とか言っちゃいそうなのーっ」
割と真剣に俺を心配してくれたニーナだったけど、俺の馬鹿話で何とか不安を払拭できたようで何よりだ。
我が家の司令官が本気で心配してくれたおかげで、家族のみんなも結構緊張してたからね。
まるで俺とえっちする為だけに用意されたようにしか思えない湖人族の存在に、なにか超越的な存在の関与を疑いたくなる気持ちも分からなくもない。
でもさニーナ。よく考えてみて欲しいんだ。
もしも自分が自分が神様だったとして、いったいどんな理由で俺にハーレム要員をあてがうんだって。
多分俺達を導く存在って、俺とみんなのえっちを覗き見てはぁはぁするのが趣味のえっちな女神様とかじゃないかな?
俺に何かをして欲しいんじゃなくて、多分俺に沢山ナニをして欲しいんじゃない?
だから俺はその大いなるえっちなおねえさん(予定)の意思に従って、みんなといっぱいえっちするんだよーっ!
一先ず今日は既に眠そうなフラッタとアウラから相手してあげないとねーっ!
「やぁだぁ……。もっとしてぇ……?」
「ほらほら。ぎゅーっとしてあげるから行こう? お話が終わらないとこの先のこともしてあげられないからさ」
出会ってからひたすら可愛がってあげたせいで、以前のシーズのようにすっかりえっちに溺れてしまった様子のミレー。
シーズの時と違ってニーナが止めに入ってこないのは、湖人族の状況的にエロに溺れる方が都合がいいと思っているのか、自分と同い年のミレーには保護する必要性を感じていないからなのか。
あ、違うわ。多分ミレーは1度本気で俺と敵対したから、ニーナ的にはまだ身内判定が出てないんだ。
俺がコレだけひたすら可愛がっても、ニーナはどこまでもマイペースに俺の心配をしてくれているんだなぁ。
「ん? どうしたのダン?」
「いつもニーナには世話になりっぱなしだなって思ってさ。お話の間はニーナのこともぎゅーっとしていい?」
「勿論いいに決まってるのっ。いつだって好きな時に甘えてくれていいんだよーっ」
腕の中に招待すると、上機嫌になったニーナが直ぐに飛び込んできてくれる。
今日はなんだかミレーとニーナの17歳コンビを一緒に可愛がってしまうなぁ。2人とも可愛いよぉ。
ゴキゲンニーナとめろめろミレーを両側に抱き寄せながら、エマたちが準備してくれた敷物の上に座り、微妙に熱っぽい視線を向けてくる湖人族の女性達と向き合った。
「なんか初っ端から色々というかエロエロあったけど、改めて挨拶させて貰うよ」
「エロエロあったのは全部アンタが原因でしょっ! 完全にミレーを手込めにしてぇ……!」
「クラーさんはお静かに願いまーす。俺はダン、そして同行した女性は全員俺の妻だ。初めまして湖人族の皆さん」
「も、もう初めましてもなにもあったもんじゃないけどねぇ……」
バツが悪そうに上気した頬を掻きながら、戦士然とした雰囲気を纏った女性が答えてくれる。
あまり意識されるとこっちもバツも悪くなっちゃうから、出来ればスルーしてくれません?
「私はルッツ。一応島を束ねさせてもらってるよ。宜しく、東からの来訪者ダンさん」
「東からの来訪者と言われても……って感じだけどね。それじゃまずはこっちの事情から説明させてもらうよ」
夜更かしばかりする我が家的にはまだ寝るには早い時間だけど、互いの話がどの程度かかるか読めないのでとっとと本題に入らせてもらう。
ニーナとミレーをよしよしなでなで愛でながら、俺が海を渡った動機と手段を解説した。
ルッツさんも他の湖人族の皆さんもご静聴してくれたんだけど、クラーだけは俺に歩み寄ってきて、俺の隣でずっとミレーと手を繋いでいた。
「職業の祝福か……。にわかには信じられない話だが、ミレーとクラーの2人を正面から討ち破ったあんたが言うなら真実なんだろうなぁ……」
「こっちに言わせりゃこの環境で生きてた湖人族のほうが信じられないけどねぇ。ま、職業に関しては話が終わったあとにお世話するよ。神様の祝福を受けないのは勿体ないから」
魔物が居ない環境下だから祝福の恩恵は感じられにくいだろうけど、旅人の持久力補正はあっても困らないはずだ。
液化と職業補正が競合でもしない限り、全員を旅人に転職させてしまおう。
「俺達の事情は説明した通りだよ。湖人族との接触は狙い通りだけど、湖人族だと分かってて会いに来たわけじゃないんだ」
「そりゃあそうだろうね。液化が使える私たちですら他の陸地にゃあ辿り着けないんだ。他の種族の連中が私らの事を知ってるはずがない。……だから私らに関わる気は無いってことかい?」
「いや、流石にクラーとミレーのことを弄んじゃったこともあるし、湖人族と距離を置く気は無いよ。ただ……」
「自分は東からの来訪者なんて話は知らない。無関係だ。だから期待するなって言いたいのかい?」
淡々とした口調で、ぶっきらぼうに俺の言葉を遮るルッツさん。
彼女が今どんな感情を抱いて俺と向き合っているのか、正直ちょっと読めないな。
だが彼女たちが俺にどんな幻想を抱いていようとも、俺がそれに応える義務は無い。
「俺には俺の目的があって海を超えてきたんだ。湖人族と敵対する気も無いし、出来る範囲なら協力もする。けど出来ないことは出来ないよ?」
「……子作りの話だね。ったくそこまでミレーを手篭めにしてるんだから、抱ける女は抱いちまえばいいじゃないのさ」
「俺の家族の人数を数えてみなよ。俺が女に困ってるように見える? それに湖人族を受け入れて家族のみんなを蔑ろにするような事はしたくないのさ」
弾丸は無制限でも、それを発射する砲台は1つしか持ってない。
優先すべきはお腹たっぷりに注ぎ込んでおかないと生きていけないアウラで間違いないが、他の家族全員を常に満たしておくのが夫である俺の務めだからな。
いくら湖人族とのハーモニーえっちに興奮を覚えようとも、それとこれとは話が別なのだ。
「それにクラーもミレーも知ってたってことは、ルッツさんだって俺と湖人族の間では子供が作れない事を知っているんでしょ? 子供が出来ないのに俺に身を差し出すのはなんとも思わないの?」
「……ダンはめんどくさい男だねぇ? 男と女が惹かれあったなら、そこに理屈をはさむのは野暮ってモンだ」
「不本意な事に、面倒臭い男って言われるのには慣れてるよ。さ、今度はそっち側の事情を教えてくれるかな」
「ふぅん? 奥さんたちが一斉に笑い出した辺り、どうやら確かに言われ慣れてるみたいだねぇ? ま、確かに今度は私らの事情を説明する番か」
ひと言余計な事を呟きながら、土産に持参したアーティザンズスウィートを呷るルッツさん。
彼女はお茶よりもアーティの方が気に入ったようだ。
でも気をつけてよルッツさん。アーティは飲みやすいし次の日に残りにくいけど、それでもまぁまぁ強いお酒なんだから。
……って、もしかして湖人族のみなさん、お酒を飲むのも初めてだったりするんだろうか?
「私ら湖人族がいつからここに居るのかは、もう誰も憶えちゃいない。それくらい昔から、私ら湖人族はこの島で海に抱かれ生きてきたのさ」
機嫌良さそうに語り始めるルッツさん。もしかしたら少し酔ってるのかもね。
そしてそれ以上に、興味津々に瞳を輝かせる究明の道標の3人の熱意に当てられて、場の雰囲気にも酔っていたりしてな。
祖母の祖母の、それまた祖母の世代も変わりなく過ごしていたらしいという湖人族たちには歴史が感じられて、とても転移してきて日が浅いような種族には思えない。
数百年、数千年前からこの島で暮らしてはいたものの、海獣漂う危険すぎる海にお互いが阻まれていて、帝国や王国側の土地に住む人間たちに認識してもらえていなかっただけっぽいな。
「さっきもチラッと言ってたけど、なんで液化を使っても俺達が住む土地に辿り着けなかったの? クラーとミレーの2人と手を合わせた感じだど、液化の性能を考えれば辿り着けそうなものだけど」
「液化はあまり長時間連続使用出来ないのさ。しかも戦闘や高速移動とか、激しい動きをするたびに帰水化が早まっちまうんだ」
「帰水化って?」
「水と溶け合いすぎて存在が保てなくなっちまう事を帰水化って呼んでるのさ。母なる大海と溶け合うのだから死ともちょっと違うんだけど、少なくとも個人の肉体と意識が喪失しちまうんだよ」
え、それって完全に死んでるんじゃ? と思うのは液化が使えない者の発想でしかないらしく、液化して海に触れると、海に溶けた人たちの存在が確かに感じられるらしい。
怪我や病気で余命幾許も無い状態になると、自ら進んで帰水化を選択する者が出るほどで、少なくとも湖人族の中では帰水化と死の間には決して相容れないほどの大きな溝があるようだ。
勿論帰水化を望まず、生涯の最後を陸上で終える者も当たり前に居るみたいだけど。
「全力戦闘が出来るのは10分かそこらだろ。だからダンがクラーとミレーを即無力化したのはある意味最善手だったと言えるねぇ?」
「マジかよ。もう少しで2人のおっぱいの味も分からず2人を帰水化させちゃうところだったのか。ゾッとするなぁ……」
「アンタ、本当におっぱいのことしか考えてないんだ……? って、ひゃっ!?」
呆れたように呟いたクラーのおっぱいを鷲掴みにして引っ張り寄せ、彼女が驚いて反応が遅れている隙を突いて彼女の口の中にニュルリと舌を侵入させる。
ミレーのおっぱいを執拗に揉み続けた手前、おっぱいのことしか考えていないと言われても無理はないけど、俺はエロいこと全般に興味津々なんだよ。こんな風になぁ!
まだルッツさんとの話の途中なので10秒ほどクラーの口内を満遍なく舐め回し、最後は思い切り舌を絡ませながら彼女の唾液をたっぷりと啜った。
帰水化なんかで海になんて溶けさせるくらいなら、えっちなことで俺に溺れさせてやるからなぁ?
「い、いい……いきなりぃ……。いきなりなにするのよぉ~……」
「ここに来るまではミレーの事を散々可愛がってあげたけど、俺はクラーのこともたっぷり可愛がってあげるつもり満々だよ? 話が終わるまでに覚悟を決めておいてね?」
「……おねぇばっかりキスしてズルいんだけど」
「おっと、ミレーはおねだり上手だね。悪いけどルッツさん、あと数十秒だけ待ってねー?」
ルッツさんの返事を待たずにミレーともキスを始め、姉妹の舌を立て続けに責め立てた。
クラーはぐったりしちゃったけど、ミレーはキスだけで何度もビクンビクン跳ね上がっちゃってるね?
初めてえっちなことをしているのにこの有様なんて、ミレーは将来有望過ぎるよ。
「お話が終わるまで待っててね? お姉ちゃんと一緒にミレーのこと、徹底的に可愛がってあげるから」
「はぁっ……! はぁっ……! や、約束だからね……?」
勿論だよと最後にもう1度軽く唇を合わせてから、姉妹との唾液交換を黙って観察していたルッツさんに視線を向ける。
すると彼女は怒ったり照れたりすることもなく、大きく目を見開いてしきりに感心しだした。
「凄いねぇ? クラーもミレーも完全に堕ちてるじゃないか。2人の事を手篭めにする気満々に見えるけど、私たちの事は袖にしちゃうのかい?」
「袖にするって言うか、俺は人間族だから湖人族と子供を作れないのはルッツさんだって分かってるんでしょ? なのに種族全員で俺と肌を重ねる意味ある?」
「くくっ。アンタ本当に野暮な男だねぇ? どうせ手を拱いていたって私達の滅びは免れないんだ。なら海の教えに流されて最後に楽しんでもいいじゃないか」
「あ~……。その考え方はあんまり良くないと思うよ? 湖人族の状況を考えれば仕方ない部分もあるんだろうけどさぁ」
要するに男性がいなくなって種族の絶滅が確定してしまっているから、自暴自棄というか退廃的な思考に染まりつつあるわけだ。
だから最後に思い切り肉欲に溺れた日々を過ごしたいって、マジでご都合ハーレム種族か湖人族?
「というか割と昔からこの島に住んでるって事は、今まで男性もいたんだよね? クラーもミレーも男の俺を見て特別な反応は見せなかったし」
「この娘らの場合は驚く余裕もなかったんだと思うがね? まぁダンの言っている通り、8年位前まで男もいたんだよ。最年少のドギーは10歳だしね」
最年少は10歳か。
多分俺から距離を取りつつ、赤面しながらおっぱいに手を当ててこっちを見ているあの娘がドギーだろうな。
10歳であのぬるぬるおっぱいマッサージを体験してしまったのはさぞ大変だったことだろう。
もしも彼女があの時の快感を忘れられないというのなら、責任を持って再現してあげるとしよう。
「元々湖人族は男子が生まれにくい種族でね。10人子供が生まれれば男子は1人居ればいいってもんなんだ。その上女子と比べて短命だったんだよ。だから男が女を孕ませられるようになると、なるべく多くの女を孕ませてもらうんだが……。今回は遂に1人の男子も生まれないうちに、ね……」
おおう。湖人族に生まれた男子は生まれた瞬間からハーレム確定か。
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けれど短命って。もしかしてそれ、種蒔きに熱中しすぎて早死にしてるんじゃね……?
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「ふむふむ。どうやら全員ダンが貰っちゃっても後腐れなさそうなのっ」
「ぶほぉっ!? まだ話は終わってないのにその結論は早いよニーナ!?」
「問題は、私たちが異種族間でも子供を作ろうって話をした途端にダンと湖人族に出会ってしまったことなの。……ねぇダン。これ、本当に偶然だと思う?」
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いや、そうか。俺達の出会いが魔力を介して演出されたものだと信じたからこそ、魔力を弾く性質を持つ海に隔たれた湖人族との出会いに違和感を覚えているのか?
俺の言動が何者かに監視され、誘導されているのではないかって?
東からの来訪者、なんて呼び名も用意されてたくらいだし、ありえないと一蹴するのも難しくはある。
けど、それは考えても分からないことだよニーナ。
「偶然と言えば偶然だし、運命だと思えば運命だと思うよ。でもそんなの確かめる方法なんてないから、自分たちで好きなほうを選べばいいんじゃない?」
「そんなに楽観的で本当に平気? 今回のタイミングは本当に誰かが私たちの会話を聞いていたとしか思えないの」
「……聞いていたのが女神様なら許すけど、男だったら神様でもぶった切らないといけないな。みんなのえっちな声はたとえ神様とだって共有する気はないからね」
「ぷっ。あははっ。そうやって追いかけて見つけた神様が女だったら、ダンったら神様だって押し倒しちゃいそうなのっ! みんなのえっちな声を盗み聞きした分だけ鳴いてもらうよ? とか言っちゃいそうなのーっ」
割と真剣に俺を心配してくれたニーナだったけど、俺の馬鹿話で何とか不安を払拭できたようで何よりだ。
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まるで俺とえっちする為だけに用意されたようにしか思えない湖人族の存在に、なにか超越的な存在の関与を疑いたくなる気持ちも分からなくもない。
でもさニーナ。よく考えてみて欲しいんだ。
もしも自分が自分が神様だったとして、いったいどんな理由で俺にハーレム要員をあてがうんだって。
多分俺達を導く存在って、俺とみんなのえっちを覗き見てはぁはぁするのが趣味のえっちな女神様とかじゃないかな?
俺に何かをして欲しいんじゃなくて、多分俺に沢山ナニをして欲しいんじゃない?
だから俺はその大いなるえっちなおねえさん(予定)の意思に従って、みんなといっぱいえっちするんだよーっ!
一先ず今日は既に眠そうなフラッタとアウラから相手してあげないとねーっ!
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☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
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