異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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755 真実

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「8、9、10……どうやらトッティさんたちが戻ってきたみたいだ。続きは話の後にしようか」


 ベッドにも使えるような大きいソファに押し倒され、両方の乳首を歯型だらけにされたティムルとシャロに一時中断を宣言する。

 けれど宣言された2人は力なく抱き付いてきて、俺の股間を擦りながら耳元で甘く誘惑してくる。


「ぜ、絶対よぉ……? 絶対続きをしてくれなきゃ許さないんだからぁ……」

「こんなに硬くしてるのに、本当に挿れなくていいんですかぁ……? ティムルさんもシャロも、ご主人様のが欲しくて涎が止まらないんですけどぉ……」

「今我慢した分は利子をつけて2人の中に注いであげるって約束する。あとでいっぱいえっちする為に、今は俺専用のこのおっぱいを他人に見せないように仕舞ってくれるかな? 仕舞ってくれたらまた弄ってあげるから」


 抱きついてきた2人をこちらからも抱きしめて、シャツを下ろす2人の頭をよしよしなでなで。

 ティムルもシャロも可愛すぎるよー。ちゅっちゅっ。2人とも大好きー。ちゅっちゅっ。


 部屋に置いてあった焼き菓子と水差しを用意し、改めて3人で座り直して2人の乳首を摘んだあたりで部屋のドアがノックされた。

 準備は万端なのでトッティさんに入室を許可して、焼き菓子をあ~んしてもらいながら全ての生体反応が入室してくるのを待った。


「お待たせしましたダン様。これが諜報部の全メンバーです」


 入室してきた生体反応は部屋の入り口付近で横並びになったかと思うと、全員で一斉に姿を現した。

 その中でトッティさんが1歩前に出て口を開く。


「ダン様には申し訳ありませんが、1人1人の紹介は組織の性質上割愛させてください。ご理解いただけますか?」

「ん、了解。こちらとしてはお話を伺えれば充分だよ」

「ここからは私も後ろに控え、代わりに諜報部隊長のユーゴーに引き継がせていただきます。では隊長、後は宜しく」


 そう言ってトッティさんが後ろに下がり、代わって1人の男性エルフが前に出た。

 エルフにしては肩幅広めで線が太い印象で、肩まで伸びた金髪がよく似合っているナイスミドルだ。


「お初にお目にかかります。ヴェルモート帝国諜報部で部隊長を務めているユーゴーと申します。ダン様のお役に立てるか分かりませんが、なんなりとご質問ください」

「仕合わせの暴君のダンと、その妻ティムルとシャーロットだ。雑談だと思って気楽に応じてくれたら嬉しいよ」


 両手が塞がっているので口頭で着席を促すと、失礼しますとあっさりと着席してくれた。

 これは部隊長だから報告なんかで人と話す機会が多いためか、それともトッティさんから事前に言われていたからなのか分からないな。

 別にどっちでも変わんないけどさ。


 話を始める前に、言えない事は無理に答えなくて良いことや、自分たちの立場を悪くしてまで俺達への回答を優先する必要は無いことなどを明言しておく。


「そもそもの話、諜報部全員で俺に会いに来て良かったの? 今カレンとか無防備の状態だと思うけど。俺に内緒で他にも隊員が残ってるのかな?」

「いえ、諜報部隊員はここに居る者で全員です。我々の立場は厳密には陛下の配下ではなく友人という立場で、本来は皇帝陛下を警護する義務も無いのです。警護を怠った事はありませんが」

「あくまで善意で協力している対等な関係ってことか。でもなんで今まで継続していた警護を放ってまで全員で会いに来てくれたの?」

「今のカレン陛下の護衛は我々には務まりません。我等はカルナスにも及びませんからね。それにラトリア様とエマ様が会議室に滞在してくれている間は我々の警護は必要ないでしょう」


 俺達に協力することでユーゴーさんたちの立場が悪くなる事を危惧したけれど、どうやらその心配は必要無さそうだ。

 なら遠慮なく聞き込み開始ー、といきたいところだけど、聞きたい事が多すぎて何から聞けばいいか迷ってしまうな。


 ならいっそ、全然関係ないことから聞いてみよう。


「これはただの好奇心で聞くんだけど、ユーゴーさんたちは俺達の事をどの程度把握してるの? スペルド王国やエルフェリア精霊国でやっている事とかも知られてるのかな?」

「そうですね……。分かりやすく説明するのであれば、カレン陛下と同程度の知識に加えて、エルフェリア精霊国にも独自のパイプを持っているとご認識ください。皆様が新たな世界樹の創造に着手しているという話も伺っております」

「お、その話も知ってるんだ? でも着手って言うか、もう既に生み出しちゃった感じだねー」

「なっ!? そ、そうなんですかっ!? ほ、本当に世界樹を新たに生み出してしまわれたのですか……!」


 どうやらユニの誕生はまだ伝わっていなかったらしく、思わずソファから立ち上がりかけるユーゴーさん。

 後ろに立っている諜報部の皆さんもざわざわと少し色めき立っている。


 エルフ族にとって、世界樹とはそれほどまでに重要な存在なんだろうね。

 里と同胞を見限り、新天地を求めたあとでも忘れられないほどに。


「エルフェリアにも周知したばかりだから、間もなく連絡が来るんじゃないかな? 朝方から昼にかけては俺達もいるけど、それ以降なら好きに会いに行けばいいと思うよ。人懐っこい子だから喜ぶはずだ」

「そ、それは大変ありがたい申し出なのですが……。かつて里を捨てた我等が、今更どのような顔をして里に戻ればいいのか……」

「そんなこと気にしてるエルフなんて居ないよ。300人にも満たないような人口で詰まんないこと言ってないで、気軽に会いに行ってやってよ。生まれたばかりのあの子は色々な人と会わせてあげた方がいいだろうし」

「せ、世界樹の話ですよね……? な、なんだか子育ての話のように聞こえてしまいますが……」

「俺にとってはユニは世界樹と言うよりも娘なんで。後ろに立ってる皆さんも気軽に会いに行ってあげてねー」


 もしかしたら世界樹に性別なんてないかもしれないけど、娘ったら娘なんですー。

 ウチのユニをどうぞ宜しくお願いしますー?


 もしも過去の蟠りが邪魔してユニに会いに行くことが出来ないようなら、直接ライオネルさんと話させる機会でも設けよう。


「ちょっと脱線したけど、俺達に関する説明は特に必要なさそうなことは理解した。それじゃまずはガルクーザについて聞かせてもらうとしようかな」

「あの邪神についてですか……。正直我々に答えられることがあるか疑問ですが……」

「勿論答えられなくても気にしなくて良いよ。答えられる範囲で充分充分」


 ガルクーザと実際に対峙した人が無事ではいられなかったのはもう知ってる。

 だから当時を知る人からもガルクーザの情報を引き出すのは普通に無理なのだ。


 それに当時の人たち、今の俺よりよっぽどガルクーザに対して無知なんだもん。


「ガルクーザ自体の話より当時の状況を聞きたい。ガルクーザはある日突然現れたと聞いてるんだけど、これは本当? 前触れや予兆は一切無かった? 噂レベルでも全然構わないんだけど」

「……少なくとも我々は存じ上げません。我らは幾度となくアルフェッカでの暮らしと、その崩壊について語り合ったものですが、邪神の出現は本当に唐突であったと記憶しております」


 少し俯きながら語るユーゴーさんの言葉に、後ろに立っている人たちも異論は無いようだ。


 確かにアルフェッカのことを語るなら、どうしてもガルクーザの話にも繋がっちゃうだろうな。

 スペルド王国とエルフェリア精霊国に不満を抱いていたならなおさらだ。


「ならガルクーザが出現した時のことを聞かせて欲しい。ガルクーザが出現した際には甚大な被害が出たと思うんだけど、被害の内訳とか憶えてないかな?」

「えと……どうでしたかね……? 凄まじい被害が出たことは憶えているのですが……」

「質問が曖昧過ぎたかな。ならその時の人的被害、ガルクーザに出現によって亡くなった人の人数とか、大体でも分からない?」

「そう、ですね。具体的な犠牲者の数を把握している者などいなかったのではないでしょうか。それほど壊滅的な被害だったんです……!」


 恐怖からか、あるいは怒りからなのか、微かに震える声で語り始めるユーゴーさん。


 ガルクーザが出現したと言われているのがフォアーク神殿とトライラム教会旧本部施設の近く。

 つまり転職を望む魔物狩りや協会関係者で常に賑わっている場所だったため、ガルクーザの出現と共に沢山の命が奪われてしまったらしい。


 不幸中の幸いに、当時最も賑わっていたアルフェッカからは遠く離れていたものの、当時の人達の絶望感と喪失感といったら筆舌に尽くしがたいものがあったそうだ。


「少なくとも数千……ひょっとしたら万に届く命が一瞬にして奪われてしまったかもしれません。その後長く続くことになる邪神の脅威に、更なる犠牲者が積み上がっていくわけですが……」

「んー、犠牲者が不自然に多かった、とかはないかな? 例えばガルクーザの出現前に何らかの催し物があったとかさ」

「ど、どういう意味でそんなことをお聞きになるかは置いておくとして……。何か憶えている者は?」


 俺の質問の意味を察したらしいユーゴーさんは、俺の質問から逃げるように背後の部下達に声をかける。

 しかし当時は特に何も行われていなかったという回答しか得られなかった。


「先ほども申し上げた通り、トライラム教会とフォアーク神殿は普段から非常に賑わっていた場所でした。そこに更に人を集めるようなことはまずなかったと思いますよ……?」

「そんなに警戒しなくて良いってば。単なる確認だから深い意味はナイナイ」

「……邪神の出現に人の意思が介在していたことを疑っているようにしか思えませんが?」


 気にしない気にしないと適当に誤魔化しておく。

 ガルクーザ人為的召喚説はあまり広めるべき話じゃないからな。

 真偽を確かめようもないし、本当でも今更どうしようもないことだから。


 しかし特別人を集めなくても万に届く程の犠牲者が出たなんて、本当に人が多い場所だったようだ。

 そんな人気が多い場所で事を起こすのはかなりのリスクがあるはず。

 何の意味もなく召喚場所に選定するとは考えにくい。



 やはり始めの犠牲者たちは、邪神召喚の贄に捧げられてしまったということなのだろうか?


「……あ、違うわ。ガルクーザの召喚は事故だった可能性もあったんだ。なら始めから邪神召喚のための生贄を用意するのは辻褄が合わない」

「全部聞こえてますからね!? たった今誤魔化したのはなんだっだんですか!?」

「誤魔化す……。邪神召喚を行なう気がなかったのなら取り繕う必要なんて……いや、神器の使用は大々的に行なう訳にはいかないか……」

「なんですって……!? 神器を邪神召喚に……!?」


 んもうユーゴーさん。今ちょっと考え事してるから静かにしてくれる?

 シャロとティムルはもっとぎゅーっとしてくれるかなー?


 呼び水の鏡の起動に生贄が必要かどうかもまだ検証していないし、邪神召喚の最初の犠牲者を召喚に必要な生贄だったと決め付けるのは早計だったのかもしれない。

 けれど人通りが多い場所で神器を使用するのリスクが高い。

 そしてそのリスクに見合った理由が思い当たらないのだ。


 仮に生贄なんて必要無かったとしたら、どうしてあえて人の多い場所で神器を使用したんだ?

 500年後の今でさえ土地余りなのだから、当時だった人里離れた場所はいくらでおあったはずなのに。


 俺が始まりの黒でやったように、神器呼び水の鏡の使用をお披露目する意図でもあったのか?

 いや、それならここに居る10人が誰も覚えていないとは考え難いし、流石に何らかの記録には残されているはずだ。


 当時10歳にも満たなかったリュートが憶えていないのは仕方ないかもしれないけど……。


 ……お披露目と言えば、新王の即位式も凄い人だかりだったなぁ。

 だから神器のお披露目を告知すれば、それ相応の人は集まるはずなんだよね。

 でもその告知があった痕跡は見受けられない以上、呼び水の鏡はテロに近い行為……いや、使用者たちも邪神を召喚する気は無かったとすれば、テロ的と言うよりはゲリラ的に行われた突発イベントだったってことだろうか?


 ……日本でもたまに行われていたゲリラライブみたいに、あえて人の賑う場所で突発的に神器を使用し、人々の関心と注目を集めるのが目的だった……?


「……人々の支配を望んでいたスペルディア家。常軌を逸した魔力を集める呼び水の鏡。実績と信仰……。当時のスペルディア家は呼び水の鏡で邪神ではない何かを呼び出し、それを人々に見せ付けることで自分たちの権威を裏付ける実績を作ろうとした……?」

「……なるほど。もしその想像が正しければ、邪神討伐後のスペルディア家の動きにも納得が行くかも……」


 知らず口から漏れ出た俺の考えに、ぎゅーっと抱き付いてくれているティムルが反応する。


「邪神討伐後も、スペルディア家は自分たちの権威を裏付けるものが無くて悩んでいたんでしょ? 神器を得られなかったスペルディア家が、邪神を滅ぼしたという実績が欲しかったからエルフェリア家と手を組んだという一連の流れは、スペルディア家が元々権威や実績に拘っていたからこそ生み出されたものだったんじゃないかしら?」

「……もしもティムルさんの言っている事が本当だったとしたら。私たちスペルディア家の祖先は王族どころか、邪神を呼び出し多くの人を絶望の底に……」

「シャロ。は考えても仕方ないし、確かめようもないことだよ。俺の可愛いシャロは俺のことだけ考えてればいいからね」

「……ご主人様。ありがとうございます、そうさせていただきますね……」


 シャロが思考を放棄するように俺の体に顔を埋めてくる。

 そんな彼女の頭を抱き寄せて、寄り添うつもりで優しく頭を撫でてあげる。


 かつてのスペルディア家が何を画策し、その結果どんなことが起こってしまったとしても、それを500年も後に生まれたシャロが責任を負う必要なんてないよ。

 仮に邪神の召喚をしたのが本当にスペルディア家だったとしても、それはシャロには一切関わりの無いことだからね。


 ……しかし、ガルクーザの出現まではイントルーダーなんて存在すら確認されていなかったはずなんだよな。

 邪神を呼び出してしまったのは偶然だったとして、ならば本来は何を呼び出すつもりだったんだろう?


 使用された神器とフォアーク神殿。

 そして祝福の神トライラムを信仰するトライラム教会……。


 この世界の人々の厚い信仰心を参考に、人心を掌握して支配する術を求めたのだとしたら……。


「……まさか、『神』か?」

「え?」

「変世の3女神様と祝福の神トライラム様に代わる新たなる神を降ろして、自らの権威の裏付けを図った……? 王権神授を自らの手で起こそうと……?」


 この世界で最も人々に慕われているのは変世の3女神と祝福の神トライラム様で間違いない。

 だからこそ当時ガルクーザを召喚士てしまった者たちは、あえてトライラム教会の本部施設で神降ろしを行なうことで人心を鷲掴みにしようと目論んだ……!?


 チャールとシーズと話した会話の内容がフラッシュバックする。


『自分たちの信者を増やすために既存の宗教を否定するのは、割と自然な流れじゃない?』


 邪神召喚の真相って、正にこれだったんじゃないのか……!?


「……だけどかつての誰かの私欲が混じり込んだせいで、その邪な心が邪神を呼び寄せる事になってしまったってわけか……」

「ダン……? 何か分かった、のね……?」


 俺を見詰めるティムルの瞳が不安げに揺れている。

 きっと心配性のお姉さんは、俺の心に負担がかかってしまう事を懸念してくれているのだろう。


 心配しなくても、ちゃんとお姉さんにも共有するってば。

 ただ1つだけ確実なのは、心によってどんなことでも実現できる魔力というエネルギーを私利私欲の為に利用すると、ろくでもないことしか起こらないってことだけだぁね……。
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