異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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739 観光業

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「富裕層向けに、高級旅行プランを提供するだと?」


 カレン陛下が俺と鼻先が触れ合う距離で、デート中とは思えない真剣な表情を浮かべている。

 流石におっぱいをむぎゅむぎゅされててデートじゃないと言い張るのは無理があると思うので、ここはデートである事実を受け入れて陛下のおっぱいの感触を堪能させてもらう事にした。


 皇帝カレン陛下の案内で観光デートを楽しんでいた俺達は、スペルド王国から帝国に移動する為には3万リーフもの国境税を納める必要があると知った。

 しかしそれを逆手にとって、金余りになりつつあるスペルド王国の新たなお金の使い道を創出出来ないかと、陛下に帝国旅行プランを提案してみたのだ。


 しかし陛下は俺の提案がお気に召さなかったのか、険しい表情を崩さず厳しい口調で語りかけてくる。


「貴様はたった今、王国民の消費を促したいと言ったな? だがその為に提案してきたのが富裕層向けのサービスとはどういうことだ? 富裕層以外は王国民では無いとでも言う気じゃないだろうな?」

「考え方が逆ですよ陛下。これもさっき言いましたけど、王国民の年収が現在進行形で跳ね上がってきているんです」


 新王の即位式に合わせて俺自身がばら撒いた金も王国中に流通しているし、職業浸透の知識を広めたことで魔物狩りが爆発的に増えている。

 おかげでアウターに潜る人口も増え、王国の経済が一気に活性化している状態だ。


 一方で多くの人々が魔物狩りを目指した事により、それ以外の仕事の人手が一気に不足し始めて、人材を確保する為に支払われる賃金が一気に上昇していたりする。

 連鎖的に魔物と戦えない人の収入も大幅に引き上げられる事になり、物価は変わらないのに所得だけが跳ね上がってしまったのだ。


 今は収入の増加を一過性のものだと思っている人が多く、まだ消費の拡大には繋がっていないけれど……。

 転職に訪れる人たちや装備品を買い漁る人は激増しているので、自己投資が終わったら娯楽に目を向け始めるはずなんだよ。

 
「現時点での富裕層向けのサービスは、遠くないうちに庶民でも気軽に手が届くようになるんです。一例として、俺があるパーティに1ヶ月で支払った報酬は金貨360枚でした。これが普通になるんですよ」

「いくらなんでも払いすぎだぁっ! 国家事業でもそこまでの報酬じゃないだろうがぁっ!」

「今はまだ信じられないと思いますが、これはもう目の前に迫った報酬の水準だと俺は思ってるんです。だから今のうちに、あえて富裕層向けのサービスであると打ち出したいんですよね」

「なるほどっ、高級感と特別感を演出するってことね……!?」


 はっとした様子でティムルが興奮気味に声をあげる。

 そのまま俺の返事を待たず、すぐにブツブツと独り言を漏らしながら考え込んでしまった。


「確かに王国内で人生が完結していた今までの王国民からしたら、帝国旅行に抱く憧れは相当なものになるかもしれないわ……。カラソルさんも巻き込めれば、宿泊先の案内も容易に……」

「ティムルがここまで食いついたって事は、商人からしたら勝算を見込める話なんだね? ぼくにはいまいちピンと来ないけど……」

「リーチェはお金に困っていなかっただろうし、独りの時に帝国まで旅した経験もあるから分かりにくいかもね。でも自分の中で無意識に作り上げてしまった世界を飛び出すのって、本当に刺激的で楽しいものなんだ」


 リーチェが旅行に魅力を感じていないのは、我が家に迎えるまでにリーチェに居場所が無かったからなのかもしれない。

 だが今回俺が提案しているのは、旅ではなくて旅行なのだ。


 帰る場所があるけれど、一時的に自分の世界の外に飛び出す非日常体験。

 普段味わえない刺激に満ちた数日間を楽しんだ後、帰るべき場所に戻ってきて、やっぱり家が1番だなぁとひと息吐くのだ。


 ティムルの言うようにカラソルさんに協力を仰げるなら、旅行先で死ぬほどえっちできるハネムーンとかも提供出来る気がするなっ!

 水平線に沈む夕日をバックにみんなをバックから激しく……とか考えると、陛下の前だというのに色々滾ってきちゃうんだよーっ!


「なんか流れ的に、陛下が信用しなくてもティムルが勝手に事業を始めそうな流れではあるんですけど、個人的には帝国の国策として観光事業に力を入れてみてはどうかと思ってるんです」

「国策としてだと? たかが観光などにそこまで注力する意義があるというのか?」

「今後は人頭税の負担が軽くなるため、人口の流出は減るんじゃないかと思いますが、それでも帝国に触れて移住を考える者は出てくるはずです。そして旅行先では解放的になって散財しがちですからね。王国に溢れている貨幣を自然に帝国に流入させることが出来ると思うんですよ」

「ダンさんがいつも言っている、新たな流れを生み出すってことか……!」


 ティムルに続いて、興奮気味に語り出したのはキュールだった。

 陛下は未だに半信半疑の様子で、ティムルとキュールの興奮した姿に戸惑いを覚えているみたいだね。


「王国側にも国境税として莫大な税金が納められるし、旅行と銘打っておけば人材の流出を危惧されることも無い……! けれど帝国移住のきっかけ作りには最適ってことだね……!」

「レガリアの連中がごっそり抜けたばかりだし、王国としても国民の流出は避けたい状況だとは思うけどね。既にベビーブーム……人口爆発の兆候は出始めているらしいから、すぐに問題なくなるんじゃない?」

「むしろ人口流出で減った人頭税を、国境税で補える可能性すらありますね……。国境税は年に1度しか払われないわけではないですし、帝国が気に入った方なら何度も足を運ぶかもしれません」

「子供を作る余裕が出来た王国民は、これからどんどん子供を作って人頭税を払ってくれるでしょうからねー。滞納されていた人頭税も解消されていくでしょうし、誰にとってもメリットのある話だと思いますっ」


 シャロとムーリが前後からおっぱいを押し付けてくれる。

 ムーリに至っては俺に跨って、服越しに大事なところを俺の大事な部分に押し付けてきてくれる。


 なんかリーチェが暴走して来た時を思い出す感触だなぁ。

 お前らくらいおっぱいが大きいと、エロい感情も大きく強くなっちゃうの? 気持ちいいよぉ。


「スペルド王国では旅行があまり一般的では無いので、今なら競合相手は殆ど居ないと思われます。なので帝国主導の観光業で王国を巡るツアーを企画してみてもいいかもしれません」

「帝国に迎え入れるだけでは無く、帝国からも人を出す企画を行なうのか?」

「王国にはフォアーク神殿もありますし、各種族が治める都市や煌びやかな王都、各種アウターを外から眺めるだけでも見応えがありますからね。国益に拘らずにサービスを提供したほうが、かえって受けるんじゃないでしょうか」


 今後は帝国にも充分な数の転職魔法陣が敷設されていくと思われるが、転職魔法陣の数は増やせても種類は簡単には増やせないだろう。

 スペルド王国の各地にある転職魔法陣を回るツアーなんかも絶対に需要があるはずだ。


 スポットや終焉の箱庭を外から眺めると圧巻の光景だし、竜人族が治めるヴァルハールや、多種族が混在するアルフェッカも人気を博しそうだ。

 グルトヴェーダを望むメトラトームも観光地になりそうだな。魔法士系の転職魔法陣もあるわけだし。


「魔物狩りは時間に自由な稼業ですからね。旅行は絶対に受けると俺は思ってますよ。移動魔法があるこの世界では長距離移動も苦になりませんし。あー、あえて徒歩で移動するのんびりツアーなんかも需要があるかもしれませんね。これはちょっと自信ないですけど」

「商人であるティムル、学者であるキュール、そして国政に関わっていたシャーロット殿も賛同しているようだが……。ううむ、貴様らの興奮が共有できんのがもどかしいっ」

「いや、こんなことを提案しておいてなんですけど……。実は俺、この世界……王国と帝国の観光業があんまり賑ってないのが不満なんですよねー」


 見るべき景色は多く、国土も広いはずなのに、移動魔法のせいで殆ど地域差が見られないのだ。

 おかげで景色は楽しめるけど散策は微妙で、食材の多くはアウター産の共通食材なので郷土料理みたいなものも殆ど存在しないんだよなぁ。


「移動魔法があるから仕方ないんですけど、各地の特色みたいなのが薄くて残念なんですよねー。帝国は土地も余っている状況みたいですし、地域の特色みたいなもので盛り上げていただけると嬉しいなぁと」

「ふむ、つまりアレか? 不満だから自分の手で盛り上げたいと? あれほど熱心に語っていた国益やら影響は……」

「二の次というか、それらしい理由を取ってつけただけですよ。俺が欲しいものだから自分で動く。それだけの話です」


 嘘ばっかりーと俺を見上げるムーリにキスをして、ついでにリーチェとシャロともたっぷりと唾液を交換し、便乗して迫ってきた陛下の唇を躱す。

 さっき我慢してやってるとか言ってたくせに、なにしれっと迫って来てるんだよ。危ないなぁもう。


「アウターが存在しているおかげで致命的な困窮に陥ることが無いこの世界ですけど、そのせいで生活の根本がアウターに制限され気味なんですよね。だから脱アウターってわけじゃないんですけど、アウターに頼らない新しい生活スタイルっていうのも見つけていきたいなと思ってるんです」

「それの第1歩が第2中継都市に建設予定の大規模農園ってこと? そして次にヴェルモート帝国の観光業への投資?」

「そこまで考えてるわけじゃないよ。ティムルやキャリアさんみたいな人が俺の思いつきを形にしてくれて、それぞれを繋げて大きい事業に育ててくれたってだけ。俺はいつも我が侭に我を通してるだけさ」

「その我が侭でみんなを幸せにしちゃうんですから困った暴君様ですよねっ」


 むちゅーっと押し付けられるムーリの唇の感触を堪能していると、陛下がむむむと考え込み始めた。


 ……考え込むならおっぱいを押し付けるのは止めていただけませんかねぇ?

 皇帝陛下のサイズとか感触とか、おっぱいの詳細情報を把握出来てしまうのでー。


「……未だ半信半疑ではあるが、貴様の我が侭には既に何度も振り回されてきたからな。ここでもまた振り回されてみるのも一興かもしれん」

「振り回されるのをお勧めしますよ陛下。夫の我が侭は本当に刺激的で、今まで知らなかった事を私たちに齎してくれますからね」

「くくく……。知的好奇心の奴隷であるキュールが刺激的と評するなら、かなり期待して良さそうだな? であれば私も愛しの暴君殿に身を委ねるとしようかな?」


 俺に挑発的な流し目を送ってくる陛下だけど、残念ながら今の俺はムーリとのキスで頭がいっぱいだからなっ。

 いくら陛下の流し目と言えども、エロブタムーリの密着キスから意識を引き剥がすことなど出来んのだーっ! ちゅうちゅうれろれろ。


 話はまとまったとばかりに店を出て、改めて帝国各地を案内してもらう。

 しかし先ほどまでの観光目線での案内ではなく、客を迎える目線で各地の希望と印象を報告させられるのが結構大変なんだよっ!?


「地域差というのは一朝一夕で生み出せるものでは無い……。そこで手っ取り早く差別化を図るのに、そこでしか食べられない料理を用意すればいいわけだなっ!」

「食材は一緒ですし限界はあると思いますけど、国を挙げて健闘してみれば妙案も浮かぶんじゃないですかねー?」

「たった1人で妙案をあげておきながら良く言うっ! これでまた貴様と私の婚姻を望む声も強まるだろう。まさに一挙両得だなっ」

「そんな効果は狙ってないですからっ! 俺との関係と帝国の発展を一緒くたにするのは止めてもらえません!?」

「自業自得だ! 貴様と関係を深めるほどに帝国は栄え、潤うのだからなっ! 帝国のためを思うなら、貴様の心を射止めるのが最も確実だろう!」


 カレン陛下が楽しそうで何よりですねぇっ!

 ロイヤルおっぱい包囲網は健在だし、ニーナとかシーズは純粋に各地を見て回って喜んでるし、キュールとシーズはどこをどうして何を用意すればと完全に開発者目線だし、いつも通りカオス過ぎる状況なんだよーっ!?


「ふぅむ。出来れば帝国の国策として進めたいところだが、キュールもティムルに協力を仰いだ方がいいと言うのか?」

「ええ。ティムルさんの所属するシュパイン商会は王国1の大商会ですからね。本腰を入れて観光業に乗り出されれば、帝国と言えども太刀打ちできるか分かりません。相手はプロですし、宿泊業界大手の夢の宿グループとも懇意にしていますから」

「相手取るのは難しい。なら始めから手を取って競合を避けるべしと言いたいわけだ。確かに帝国側には何のノウハウも蓄積されていないし、発案者であるダンを擁するシュパイン教会と競合するのも下策過ぎるか」


 カレン陛下が観光業に乗り気なのは嬉しいんだけど、これって俺も色々させられる流れの気がして仕方ないな?

 出来れば実務は丸投げして、俺は気ままに観光を楽しみたいんだけどー?


「間もなく家族になるのですし、変な遠慮は無用ですよっ。共に手を取り合って、夫の我が侭を実現していきましょーっ!」

「おおっ! 素晴らしい事を言うではないか! 確かにティムルの言う通りだ! ダンの妻として、共に夫を盛り立てていこうではないかぁ! はーっはっはっは!」


 ダメだ、完全に外堀が埋まってしまっている!

 陛下を娶る事に抵抗感があるわけじゃないんだけど、既に断れる状況ではなくなってるな!?


 ここまで歓迎されるとさくっとぺろっと陛下をいただきますしたいところなんだけど……。神器の存在は無視できないよなぁ……。

 今更カレン陛下と神器を巡って争う事になるとは思えない。

 けど暗躍するバルバロイ殿下と、彼の下についてしまったカルナス将軍の存在がキナ臭い。


 ……案外陛下を家族に迎え入れられたら、全ての問題が解決したって事になるのかもね?
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