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「あああああっ……! 死んじゃっ……死んじゃう、のぉ……! やあああああっ……!」
「まったく……。ニーナのおかげでカレン陛下まで家族に迎える事になったじゃないかぁ」
海岸から一旦迎賓館に戻った俺達は、カレン陛下が身支度を整える僅かな時間を使って早速えっちすることにした。
今回は時間も無いし、更にお仕置きも兼ねているので、メタドラバイブで全力で振動させたモノでニーナの奥を激しく突き上げる。
「別に陛下のことは嫌いじゃないけどさ、俺が大好きなのはニーナたちなんだよ? 新しく家族を増やして大好きなみんなと愛し合う時間が減るようじゃ困るんだよぉ」
「こここっ、こっちの身が持たないのーーーっ! ふ、震えながら出て……あああああっ……!」
直接振動を受けて反射的に窄まるニーナの奥に、震えたままでたっぷりと注ぎ込む。
ニーナの可愛い嬌声を聞く為にキスはお預けして、乳首の根元を甘噛みしながら両手でニーナの脇の下を強く抉る。
身が持たないとか言いながら、いつもいつもえっちをおねだりしてくるくせにー。
俺を他の女の下に送り出そうとする悪い奥さんたちには、たっぷりとえっちなお仕置きをしてあげないとなーっ。
でも残念な事にこのあとはカレン陛下直々の帝国案内が待っているので、全員を1度ずつ失神させるのが限界だな。
メタドラバイブ初体験のチャールとシーズには一応手加減したけど、弱振動バージョンでも思った以上に悦んでくれて何よりだ。
「さっきはありがとうラトリア。ラトリアが綺麗過ぎて、あの場に居た全員が見蕩れてたの分かった? 勿論俺も完全に見蕩れちゃったよ」
「あんっ、ありがとうございます……! ダンさんにそう言ってもらえると、はぁんっ、本当に嬉しいです……!」
「両都市の領主選考会については、キャリア様やカラソルさんを含め、両都市建設の主導メンバーに伝えてきたわよー」
最後に、剣舞を披露してくれたお礼に優しくラトリアの中を往復し、領主任命の件で各地におつかいに行っていたティムルとターニアから報告を受ける。
ティムルにはメインの連絡周りを、ターニアには個人的な連絡回りを頼んだのだ。
おかげで2人ともお仕置きは免除されて、ツヤツヤした顔で膨れたお腹を撫でている。
「条件を満たせばドワーフでも領主になれるかもしれないと聞いて、カラソルさんがひっくり返っていたわよぉ? ま、今のドワーフたちに里の外の領主という身分は魅力的に映らないでしょうけどぉ」
「手を上げないのもまた自由だよ。でもいざ手を上げようとした時に参加資格が無いと困るからさ。常に門戸は開いておかないと」
アルフェッカとメトラトームの領主は、以前も考えていた通り住人から募る事にした。
ラトリアとシャロも新しい領主を選抜しても問題は無いと太鼓判を押してくれたので、ここは思い切ることにしたのだ。
「魔人族、エルフ族の皆さんも興味は無さそうだったけど、クリミナルワークスのご家族たちは結構やる気満々みたい。特に父親が『サーペントポーター』で頑張っているところを見ていた子供達が、父親に負けないようにと奮起してるわぁ」
「サーペントポーターは犯罪奴隷という事もあって、自主的にかなり頑張って職業浸透を進めてくれたもんね。あの背中を見て両親を悪く言う子供なんて流石に居ないさ」
『サーペントポーター』というのは、現在クリミナスワークスメンバーで構成されているグルトヴェーダへの輸送隊のことだ。
今回輸送路がサーペントロードと命名されたことで、輸送隊の名前も正式に命名することにしたのだ。
現時点ではクリミナルワークスのままでも不都合は無いんだけど、将来的には犯罪奴隷ではない参加者も現れるかもしれないからね。
この世界では馬よりも職業浸透が進んだ人間の方が運搬能力が高いので、犯罪労働者という名前は俺のアライアンスの中だけに留めておくべきだろう。
「ティムルちゃんの方はやる気があったんだねー? 私が回った相手はやる気を出してくれる人が少なくて、ちょっと困っちゃったのー」
ティムルの報告を聞いて、ターニアが羨むように口を尖らせている。
どうやら俺が個人的に良いと思っている人たちは、領主という身分をあまり魅力的に捉えてくれていないようだ。
「教会の子たちも流石にいきなり領主になろうとは思ってくれないみたいでねー。かなり嫌がられちゃったかなー。シスターさんたちも領主として住み良い環境を整えるよりも、直接自分の手で人々の力になりたいって人ばっかりでさー」
「んーそっかぁ。1つくらいトライラム教会の教義で運営される都市があっても面白いと思うんだけどなぁ」
「お父様を始め、グラフィム家のみんなも乗り気じゃないの。むしろアルフェッカに負けないようにステイルークを発展させたいって意気込んじゃっててさぁ」
グラフィム家の皆さんは元々半数以上が平民の身分なのだけど、先日の同時多発テロでステイルークも標的にされたことと、その時にペネトレイターの助力が無ければ防衛し切れなかった事を強く恥じ、家族と住人が強いステイルーク作りに熱意を燃やしているところらしい。
ステイルークはアウターに面した都市ではなくなってしまったが、獣爵グラフィム家の本拠地として盛り立てていくつもりのようだ。
「ははっ。こっちの望み通りにはいかないねぇ。それじゃターニアが話をしてきた人たちには、領主にやる気を見せてくれた人って居なかったの?」
「それがさぁ! フロイさんは凄く消極的なんだけど、ラスティが滅茶苦茶張り切っちゃってるのっ! あの勢いだとフロイさんは選考会に参加する事になるだろうなー」
「ああ、ラスティさん自身が領主を目指してるんじゃなくて、夫であるフロイさんが領主になる事に乗り気なのね。押し切られてるフロイさんの姿が目に浮かぶよ」
苦笑しながらラトリアのお腹を満たしてあげると、彼女は気持ちよさそうに夢の世界に旅立っていった。
穏やかな寝息を立てているラトリアから身を離すと、直ぐにティムルがお掃除を開始してくれる。
以前はこんなことされなかったんだけど、シャロを迎えたあとはお掃除が当たり前になってしまったな。
俺も気持ちいいしみんなも楽しそうだから別に構わないんだけど。よしよしなでなで。
「フロイさんが1都市の領主になったら、それはある意味グラフィム家当主だったお父様と肩を並べる事になるわけだからねー。お父様の事を尊敬しているラスティだからこそ、フロイさんにも同じ場所を目指してもらいたいんじゃないかなー?」
「フロイさんは戦闘経験も豊富で真面目、周囲への気配りも出来る人だけど、だからこそ政治には向いてない面もあるかもしれないよ? その辺もちゃんと話し合ってればいいんだけど」
「あっはっは! それがラスティったら、実務や領地運営は自分がやるから、フロイさんは領主としてどーんと構えていればいいんですーっとか言っちゃってさぁ! それを聞いたフロイさんがシュパイン商会が主催してる商人教育に参加し始めちゃったの! 完全にラスティの思う壺だよねーっ!?」
あ~……。フロイさん真面目だから、ラスティさんの言葉で自分の不甲斐無さを恥じてしまったのかぁ……。
それで領主になる気も無いのに商人教育を始めちゃったのね……。それがラスティさんの狙いとも知らずに……。
でも、フロイさんが領主になったら面白そうだと思うし、ラスティさんのサポートがあれば万が一もないだろう。
ということでフロイさんには悪いけど、ここは事態を静観する事に決ーめたっ。
頭の中でフロイさんに軽く謝りつつ、ティムルとターニアと3人で汚してしまった迎賓館を軽く片付け、みんなが起きるのを待ってからゆっくりと帝都フラグニークに足を運んだ。
「お、思ったよりも早かったな? ……全員の腹を完璧に膨らませている割には、あまりにも早すぎるのではないか?」
「余所の家の夫婦生活には口を出さない方が賢明ですよ、カレン陛下」
みんなのお腹がぽっこり膨らんでいるのを見てドン引きしているカレン陛下だけど、速過ぎると言うわりには出掛ける準備は整っているように見えた。
砂浜で押し倒してしまった為か衣装を着替え、恐らく入浴もしたのかもしれない。
ムーリよりも細くて軽そうな金の長髪を揺らしながら、動きやすそうでデザイン性の高い男装に身を包んでいているカレン陛下。
綺麗系の美人だから男装似合うなこの人。
あれ? ていうかこの衣装って……。
「陛下。ひょっとしてそのお召し物、マグエルで販売してる衣装だったりします?」
「ははっ! マグエルに居を構えるダンには見慣れた衣装だったか? ご名答だ!」
カレン陛下が着用しているのは、ファッションショーでシルヴァが着用していたイケメン御用達の衣装だった。
薄青いベストに黒のパンツを合わせたフォーマルスーツのような雰囲気の衣装で、タイこそしていないが執事が着るような衣装を皇帝陛下が着用していいんだろうか?
別にこの世界の執事が着てる服ってわけじゃないし、なにより似合ってるから問題ないかぁ。
「とてもお似合いですね。その服は剣士が着る事を想定して動きやすいようにデザインされた衣装でもありますので、剣士である陛下にもピッタリの衣装だと思います」
「ほほう? なかなか女心を擽ってくるではないか。これも婚約が成立した効果か?」
「そんなつもりはないですーっ。ただ単純に似合ってるから言っただけですーっ。モデルは銀髪の男性でしたけど、陛下の長い金髪にも良くお似合いだと思いますよ」
「はっはっは! 婚約者殿に褒められると気分がいいなっ! このあとのデートの楽しみだっ!」
ダメだ。完全に浮かれてやがるっ。
別に陛下がご機嫌で困ることなんか何もないんだけど、俺と陛下の婚約が既に帝国の城内で普通に話題にあがる事がなんか嫌だっ。
「いやいや、流石に今のはダンが悪いでしょ……」
「へ? 何の話だよリーチェ?」
「慕っていると伝えた後に、その相手から容姿を褒められたんだよ? 女だったら舞い上がるに決まってるよ。周りから見ると、ダンが陛下を落としに掛かってるようにしか見えないからね?」
リーチェの指摘に、はーやれやれと肩を竦める俺の家族。
なんなんだよぉ! 陛下をお嫁さんにしようとしてきたり、褒めたら褒めたで不満そうにしやがってぇ!
そんなに不満なら、今夜も思い切りベッドの上で思い切り解消させてやっちゃうからなー!
って、ニヤァっとした!? ひょっとして作戦通りだった!?
「こらこらダンよ。貴様たちが仲睦まじい事は知っているが、婚約者の前であまり見せ付けるものではないぞ?」
「そもそも婚約を成立させた覚えは無いんですけどねっ!? なんでお城の人たちも涼しい顔して受け入れてんの!?」
「それだけ貴様と私の婚姻が帝国の皆に祝福されているということだっ! では行こうか我が婚約者よ! 婚前旅行と洒落込むぞっ!」
「婚約から婚姻に格上げしてんじゃねー! 少なくともまだ友人だから! 現時点では友人でしかないからねーっ!?」
「そう思っているのは既に貴様だけだっ! こちらは婚前交渉も随時受付中だからな。その気になったらいつでも相手させてもらうぞっ」
不穏な事を言いながら俺の右腕に両腕を絡ませて来るカレン陛下。
くそ……! ティムルサイズはありやがる……! じゃなくてですねぇっ!?
抱き付いてくるカレン陛下を振り解こうにも、左腕にはリーチェが、背後からシャロが抱き付いてきて俺の自由を封じてくる。
様々な方向から押し付けられるそれぞれのおっぱいの感触に、俺の抵抗の意思は瞬く間に制圧されてしまう。
てかこの3人て王女様王女様皇帝陛下で、この世界で最も高貴な女性人陣なんだよーっ!?
俺って割とそういう情報だけでご飯3杯はいける人だから、このロイヤルおっぱい包囲網は非常に不味いんだよーっ!?
「ねーねーカレン様。これから何処に案内してくれるのー? 移動魔法で移動するんだよねー?」
「うむ。その予定だ。ニーナは走るのが好きだと報告を受けているが、貴様たちに走って移動されると私がついていけぬからな。容赦してくれ」
「あはっ。キュールに聞いたの? でも気にしなくていいの。私たちはダンと一緒なら何処でも楽しいから。今のカレン様なら分かるでしょー?」
「はっはっは! 確かになっ! 慕う相手と一緒に過ごす時間のなんと甘美なことか……!」
く、くそ……! ニーナと陛下の会話に口を挟みたいのに、リーチェとシャロが挑発的な表情で俺におっぱいを押し付けてくるから、どうしても意識がそちらに割かれてしまう……!
おかげ様でカレン陛下と俺の家族のノロケ話を延々と効く羽目になってしまったじゃないかぁっ!
「はっはっは! ダンの妻としては新人となる! 皆には色々とご指導賜れたら幸いだっ!」
「んー……。多分私たちが何かを教え込むよりも、ダンさん本人に徹底的に叩き込まれちゃうと思いますよぉ? お前は俺の女だーって」
「それは楽しみだなムーリ! そう実感を込めて告げられると、今から体が昂ってしまいそうだ!」
だからさー! 神器の問題が片付くまでは手を出せないって言ったじゃないですかーっ!
ニーナだってそれには同意してくれたくせに、家族みんなで思い切り猥談で盛り上がってんじゃないよーーっ!?
正面からはムーリ、右腕にはカレン陛下、左腕にはリーチェ、背後からはシャロがおっぱいを押し付けてくる、完全版おっぱい包囲網に封殺されながら、陛下の唱えたポータルでフラグニークを後にする。
俺っておっぱいを押し付けられたら、村人相手にもアッサリ殺されてしまう気がするんだよー……?
「まったく……。ニーナのおかげでカレン陛下まで家族に迎える事になったじゃないかぁ」
海岸から一旦迎賓館に戻った俺達は、カレン陛下が身支度を整える僅かな時間を使って早速えっちすることにした。
今回は時間も無いし、更にお仕置きも兼ねているので、メタドラバイブで全力で振動させたモノでニーナの奥を激しく突き上げる。
「別に陛下のことは嫌いじゃないけどさ、俺が大好きなのはニーナたちなんだよ? 新しく家族を増やして大好きなみんなと愛し合う時間が減るようじゃ困るんだよぉ」
「こここっ、こっちの身が持たないのーーーっ! ふ、震えながら出て……あああああっ……!」
直接振動を受けて反射的に窄まるニーナの奥に、震えたままでたっぷりと注ぎ込む。
ニーナの可愛い嬌声を聞く為にキスはお預けして、乳首の根元を甘噛みしながら両手でニーナの脇の下を強く抉る。
身が持たないとか言いながら、いつもいつもえっちをおねだりしてくるくせにー。
俺を他の女の下に送り出そうとする悪い奥さんたちには、たっぷりとえっちなお仕置きをしてあげないとなーっ。
でも残念な事にこのあとはカレン陛下直々の帝国案内が待っているので、全員を1度ずつ失神させるのが限界だな。
メタドラバイブ初体験のチャールとシーズには一応手加減したけど、弱振動バージョンでも思った以上に悦んでくれて何よりだ。
「さっきはありがとうラトリア。ラトリアが綺麗過ぎて、あの場に居た全員が見蕩れてたの分かった? 勿論俺も完全に見蕩れちゃったよ」
「あんっ、ありがとうございます……! ダンさんにそう言ってもらえると、はぁんっ、本当に嬉しいです……!」
「両都市の領主選考会については、キャリア様やカラソルさんを含め、両都市建設の主導メンバーに伝えてきたわよー」
最後に、剣舞を披露してくれたお礼に優しくラトリアの中を往復し、領主任命の件で各地におつかいに行っていたティムルとターニアから報告を受ける。
ティムルにはメインの連絡周りを、ターニアには個人的な連絡回りを頼んだのだ。
おかげで2人ともお仕置きは免除されて、ツヤツヤした顔で膨れたお腹を撫でている。
「条件を満たせばドワーフでも領主になれるかもしれないと聞いて、カラソルさんがひっくり返っていたわよぉ? ま、今のドワーフたちに里の外の領主という身分は魅力的に映らないでしょうけどぉ」
「手を上げないのもまた自由だよ。でもいざ手を上げようとした時に参加資格が無いと困るからさ。常に門戸は開いておかないと」
アルフェッカとメトラトームの領主は、以前も考えていた通り住人から募る事にした。
ラトリアとシャロも新しい領主を選抜しても問題は無いと太鼓判を押してくれたので、ここは思い切ることにしたのだ。
「魔人族、エルフ族の皆さんも興味は無さそうだったけど、クリミナルワークスのご家族たちは結構やる気満々みたい。特に父親が『サーペントポーター』で頑張っているところを見ていた子供達が、父親に負けないようにと奮起してるわぁ」
「サーペントポーターは犯罪奴隷という事もあって、自主的にかなり頑張って職業浸透を進めてくれたもんね。あの背中を見て両親を悪く言う子供なんて流石に居ないさ」
『サーペントポーター』というのは、現在クリミナスワークスメンバーで構成されているグルトヴェーダへの輸送隊のことだ。
今回輸送路がサーペントロードと命名されたことで、輸送隊の名前も正式に命名することにしたのだ。
現時点ではクリミナルワークスのままでも不都合は無いんだけど、将来的には犯罪奴隷ではない参加者も現れるかもしれないからね。
この世界では馬よりも職業浸透が進んだ人間の方が運搬能力が高いので、犯罪労働者という名前は俺のアライアンスの中だけに留めておくべきだろう。
「ティムルちゃんの方はやる気があったんだねー? 私が回った相手はやる気を出してくれる人が少なくて、ちょっと困っちゃったのー」
ティムルの報告を聞いて、ターニアが羨むように口を尖らせている。
どうやら俺が個人的に良いと思っている人たちは、領主という身分をあまり魅力的に捉えてくれていないようだ。
「教会の子たちも流石にいきなり領主になろうとは思ってくれないみたいでねー。かなり嫌がられちゃったかなー。シスターさんたちも領主として住み良い環境を整えるよりも、直接自分の手で人々の力になりたいって人ばっかりでさー」
「んーそっかぁ。1つくらいトライラム教会の教義で運営される都市があっても面白いと思うんだけどなぁ」
「お父様を始め、グラフィム家のみんなも乗り気じゃないの。むしろアルフェッカに負けないようにステイルークを発展させたいって意気込んじゃっててさぁ」
グラフィム家の皆さんは元々半数以上が平民の身分なのだけど、先日の同時多発テロでステイルークも標的にされたことと、その時にペネトレイターの助力が無ければ防衛し切れなかった事を強く恥じ、家族と住人が強いステイルーク作りに熱意を燃やしているところらしい。
ステイルークはアウターに面した都市ではなくなってしまったが、獣爵グラフィム家の本拠地として盛り立てていくつもりのようだ。
「ははっ。こっちの望み通りにはいかないねぇ。それじゃターニアが話をしてきた人たちには、領主にやる気を見せてくれた人って居なかったの?」
「それがさぁ! フロイさんは凄く消極的なんだけど、ラスティが滅茶苦茶張り切っちゃってるのっ! あの勢いだとフロイさんは選考会に参加する事になるだろうなー」
「ああ、ラスティさん自身が領主を目指してるんじゃなくて、夫であるフロイさんが領主になる事に乗り気なのね。押し切られてるフロイさんの姿が目に浮かぶよ」
苦笑しながらラトリアのお腹を満たしてあげると、彼女は気持ちよさそうに夢の世界に旅立っていった。
穏やかな寝息を立てているラトリアから身を離すと、直ぐにティムルがお掃除を開始してくれる。
以前はこんなことされなかったんだけど、シャロを迎えたあとはお掃除が当たり前になってしまったな。
俺も気持ちいいしみんなも楽しそうだから別に構わないんだけど。よしよしなでなで。
「フロイさんが1都市の領主になったら、それはある意味グラフィム家当主だったお父様と肩を並べる事になるわけだからねー。お父様の事を尊敬しているラスティだからこそ、フロイさんにも同じ場所を目指してもらいたいんじゃないかなー?」
「フロイさんは戦闘経験も豊富で真面目、周囲への気配りも出来る人だけど、だからこそ政治には向いてない面もあるかもしれないよ? その辺もちゃんと話し合ってればいいんだけど」
「あっはっは! それがラスティったら、実務や領地運営は自分がやるから、フロイさんは領主としてどーんと構えていればいいんですーっとか言っちゃってさぁ! それを聞いたフロイさんがシュパイン商会が主催してる商人教育に参加し始めちゃったの! 完全にラスティの思う壺だよねーっ!?」
あ~……。フロイさん真面目だから、ラスティさんの言葉で自分の不甲斐無さを恥じてしまったのかぁ……。
それで領主になる気も無いのに商人教育を始めちゃったのね……。それがラスティさんの狙いとも知らずに……。
でも、フロイさんが領主になったら面白そうだと思うし、ラスティさんのサポートがあれば万が一もないだろう。
ということでフロイさんには悪いけど、ここは事態を静観する事に決ーめたっ。
頭の中でフロイさんに軽く謝りつつ、ティムルとターニアと3人で汚してしまった迎賓館を軽く片付け、みんなが起きるのを待ってからゆっくりと帝都フラグニークに足を運んだ。
「お、思ったよりも早かったな? ……全員の腹を完璧に膨らませている割には、あまりにも早すぎるのではないか?」
「余所の家の夫婦生活には口を出さない方が賢明ですよ、カレン陛下」
みんなのお腹がぽっこり膨らんでいるのを見てドン引きしているカレン陛下だけど、速過ぎると言うわりには出掛ける準備は整っているように見えた。
砂浜で押し倒してしまった為か衣装を着替え、恐らく入浴もしたのかもしれない。
ムーリよりも細くて軽そうな金の長髪を揺らしながら、動きやすそうでデザイン性の高い男装に身を包んでいているカレン陛下。
綺麗系の美人だから男装似合うなこの人。
あれ? ていうかこの衣装って……。
「陛下。ひょっとしてそのお召し物、マグエルで販売してる衣装だったりします?」
「ははっ! マグエルに居を構えるダンには見慣れた衣装だったか? ご名答だ!」
カレン陛下が着用しているのは、ファッションショーでシルヴァが着用していたイケメン御用達の衣装だった。
薄青いベストに黒のパンツを合わせたフォーマルスーツのような雰囲気の衣装で、タイこそしていないが執事が着るような衣装を皇帝陛下が着用していいんだろうか?
別にこの世界の執事が着てる服ってわけじゃないし、なにより似合ってるから問題ないかぁ。
「とてもお似合いですね。その服は剣士が着る事を想定して動きやすいようにデザインされた衣装でもありますので、剣士である陛下にもピッタリの衣装だと思います」
「ほほう? なかなか女心を擽ってくるではないか。これも婚約が成立した効果か?」
「そんなつもりはないですーっ。ただ単純に似合ってるから言っただけですーっ。モデルは銀髪の男性でしたけど、陛下の長い金髪にも良くお似合いだと思いますよ」
「はっはっは! 婚約者殿に褒められると気分がいいなっ! このあとのデートの楽しみだっ!」
ダメだ。完全に浮かれてやがるっ。
別に陛下がご機嫌で困ることなんか何もないんだけど、俺と陛下の婚約が既に帝国の城内で普通に話題にあがる事がなんか嫌だっ。
「いやいや、流石に今のはダンが悪いでしょ……」
「へ? 何の話だよリーチェ?」
「慕っていると伝えた後に、その相手から容姿を褒められたんだよ? 女だったら舞い上がるに決まってるよ。周りから見ると、ダンが陛下を落としに掛かってるようにしか見えないからね?」
リーチェの指摘に、はーやれやれと肩を竦める俺の家族。
なんなんだよぉ! 陛下をお嫁さんにしようとしてきたり、褒めたら褒めたで不満そうにしやがってぇ!
そんなに不満なら、今夜も思い切りベッドの上で思い切り解消させてやっちゃうからなー!
って、ニヤァっとした!? ひょっとして作戦通りだった!?
「こらこらダンよ。貴様たちが仲睦まじい事は知っているが、婚約者の前であまり見せ付けるものではないぞ?」
「そもそも婚約を成立させた覚えは無いんですけどねっ!? なんでお城の人たちも涼しい顔して受け入れてんの!?」
「それだけ貴様と私の婚姻が帝国の皆に祝福されているということだっ! では行こうか我が婚約者よ! 婚前旅行と洒落込むぞっ!」
「婚約から婚姻に格上げしてんじゃねー! 少なくともまだ友人だから! 現時点では友人でしかないからねーっ!?」
「そう思っているのは既に貴様だけだっ! こちらは婚前交渉も随時受付中だからな。その気になったらいつでも相手させてもらうぞっ」
不穏な事を言いながら俺の右腕に両腕を絡ませて来るカレン陛下。
くそ……! ティムルサイズはありやがる……! じゃなくてですねぇっ!?
抱き付いてくるカレン陛下を振り解こうにも、左腕にはリーチェが、背後からシャロが抱き付いてきて俺の自由を封じてくる。
様々な方向から押し付けられるそれぞれのおっぱいの感触に、俺の抵抗の意思は瞬く間に制圧されてしまう。
てかこの3人て王女様王女様皇帝陛下で、この世界で最も高貴な女性人陣なんだよーっ!?
俺って割とそういう情報だけでご飯3杯はいける人だから、このロイヤルおっぱい包囲網は非常に不味いんだよーっ!?
「ねーねーカレン様。これから何処に案内してくれるのー? 移動魔法で移動するんだよねー?」
「うむ。その予定だ。ニーナは走るのが好きだと報告を受けているが、貴様たちに走って移動されると私がついていけぬからな。容赦してくれ」
「あはっ。キュールに聞いたの? でも気にしなくていいの。私たちはダンと一緒なら何処でも楽しいから。今のカレン様なら分かるでしょー?」
「はっはっは! 確かになっ! 慕う相手と一緒に過ごす時間のなんと甘美なことか……!」
く、くそ……! ニーナと陛下の会話に口を挟みたいのに、リーチェとシャロが挑発的な表情で俺におっぱいを押し付けてくるから、どうしても意識がそちらに割かれてしまう……!
おかげ様でカレン陛下と俺の家族のノロケ話を延々と効く羽目になってしまったじゃないかぁっ!
「はっはっは! ダンの妻としては新人となる! 皆には色々とご指導賜れたら幸いだっ!」
「んー……。多分私たちが何かを教え込むよりも、ダンさん本人に徹底的に叩き込まれちゃうと思いますよぉ? お前は俺の女だーって」
「それは楽しみだなムーリ! そう実感を込めて告げられると、今から体が昂ってしまいそうだ!」
だからさー! 神器の問題が片付くまでは手を出せないって言ったじゃないですかーっ!
ニーナだってそれには同意してくれたくせに、家族みんなで思い切り猥談で盛り上がってんじゃないよーーっ!?
正面からはムーリ、右腕にはカレン陛下、左腕にはリーチェ、背後からはシャロがおっぱいを押し付けてくる、完全版おっぱい包囲網に封殺されながら、陛下の唱えたポータルでフラグニークを後にする。
俺っておっぱいを押し付けられたら、村人相手にもアッサリ殺されてしまう気がするんだよー……?
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孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
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