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エマのおかげでやる気も殺る気もヤる気も漲った俺は、目的地であるトライラム教会の旧本部跡地だと思われる石造りの廃墟に到着した。
今のところ俺のオーバーウェルミングにも、精霊魔法と熱視のコンボ索敵にも引っかかる個体は現れていない。
教会施設跡地はスペルディアの大聖堂の半分程度の規模しかなく、経年劣化で所々朽ちて崩れてしまっているようだ。
仮に狒々どもがねぐらにしていなかったとしても、危険を伴う調査には違いなかったな。
「ガブリエッタさん。内部の構造は分かる? 教会に記録は残ってた?」
「いえ、残念ながら内部構造に関する資料は見つけられませんでした。邪神の出現で唐突に破棄せざるを得なかった施設でしょうから、資料を持ち出す余裕はなかったのでしょう」
「ボロい施設を闇雲に歩き回ったり、ましてやここで戦闘するなんてゾッとしないけど仕方無いかぁ……」
出来れば効率よく調査をしたかったけど、本部の資料を他の支部に保管しておくのも変だろう。記録が残っていないのも当たり前だ。
狒々たちがここを占拠している事を考えても、多少の振動で崩れたりする事はないと信じたい。
だけどボロさを利用されて、階下から床をぶち抜かれたり、天井を崩されて生き埋めにされる可能性も考慮しないといけないかもしれないな……。
「危険な戦闘フィールド、未知の野生動物、同行する複数の非戦闘員か。こっちに不利な条件が複数揃ってしまっているね」
「屋内に入ると、リーチェの精霊魔法を目視で確認するのも限界があるし……。気が抜けない時間になりそうだわぁ~」
「今回は完全に油断と慢心をしてしまったねぇ……。でもこんな野生動物が存在している事を想定しろってのは流石に無理だよ~っ」
視線が遮られる事に不安を抱くティムルと、反省の言葉を口にするリーチェ。
確かにこんな生物が存在しているのを想定するのは難しいけど、俺達の相手って大体いつも想定を上回ってくるから始末に負えないんだよ?
更には老朽化の進んだ建物を見て、アウラが不安そうに問いかけてくる。
「ねぇパパ……。こんな古い建物の中で風を滅茶苦茶に動かして大丈夫……? 崩れたり、しない……?」
「しない……とも言い切れないのかなぁ……」
索敵の為にめちゃくちゃな精霊魔法を展開するには、建物の倒壊の心配が出てきてしまうわけか……。
理想を言えば、全ての狒々を無駄なく殺しきってしまいたいところだけど……。
「折角アレだけ打ち合わせしたのに、いきなり出鼻を挫かれちゃったね……」
「……ダンよ。無理に今日調査に入らずとも、準備を整え対策を練ってから出直すという手もあるのじゃ。意固地になってはならぬぞ」
「退却の判断かぁ……。確かにフラッタの言う通り、ここは無理するべき場面でも無いな」
無理すべき場面ではないんだけど、ここで帰るわけにもいかないんだよなぁ。
だってここで帰ったら、みんなにかっこいい姿を全然見せられないんだもん。
この状況をスマートに切り抜け、かつみんなにかっこいい俺の姿を見てもらうためには……。
「……ごめんリーチェ。アウラの訓練は別の機会に回してもらっていい?」
「ん? それは勿論構わないけど、ダンはなにをする気なの?」
「応用……いや、合わせ技かな? 鑑定も通じない野生動物の癖に色々やってくる敵のおかげで、俺もちょっとアイディアが浮かんだんだよね」
狒々たちは魔法や職業スキル、種族特性に酷似した能力を行使してくるけど、鑑定が効かない以上、それらは全てバトルシステムのサポート無しで行われていることなのだ。
単純な魔力制御だけで魔法もスキルも特性も再現できるというのなら、俺にだって同じ事が可能なはず……!
「ダーンっ。みんなに気を使わなくていいから、貴方が好きなようにして欲しいのーっ」
「ニーナ? 好きなようにって……」
「何か思いついたんでしょ? なら気にせず試せばいいのっ。私たちはいつだって、貴方の思いつきに助けられてきたんだからねっ」
「え、えぇ~……?」
前半は素敵なセリフだったのに、後半は蛇足じゃないのかなぁ?
そんなに全面的に信用されちゃったら、ただの思いつきでも絶対に失敗出来ないじゃんっ。
信じてくれてありがとうニーナ。背中を押してくれてありがとう。
なら俺はその想いに応える為に、思いつきを全力で実現してみせようじゃないかーっ。
「みんなは特に変更無しで。ティムルたちは索敵を、他のメンバーは護衛に集中して欲しい。ただし建物の崩落や床が抜けることも想定すること」
「ふふっ。なら私達の愛するダンさんは、いったいどんなかっこいい姿を見せてくださるんですか?」
「メタドライブを応用して、全周囲を索敵してみようと思ってる。それ自体は以前既に実現してるから、その燃費と範囲を弄ろうってね」
エマに返事を返しながらメタドライブを身に纏う。
途端に凄まじい勢いで魔力が消費されていくけど、こんな魔力消費じゃ調査中にずっと発動することは出来ないので……。
イメージするのは精霊魔法と触心、それと察知スキルだ。
精霊魔法のように広域に展開する魔力に情報を読み取る性質を付与するなんて、まさに察知スキルそのものだ。
だからメタドライブの魔力を用いて、スキルを用いない察知スキルを発動出来れば……!
大気に自分の魔力を広げ、その全てから情報をフィードバックするイメージ……。
「……掴め。『フルファインダー』」
あえて名前をつけることで、魔力操作を1つの技術として定着させる。
決して中学2年生的なセンスでネーミングしてるわけじゃないんです。きっと。多分。
フルファインダーのイメージはエコーロケーションだ。
魔力の反射、反発を知覚することで、建造物の構造や生体反応、大気中の魔力の流れも掌握していく。
「……ダン。貴方また、とんでもない事を……!」
ティムルの驚愕した声が聞こえるけれど、やってること自体は察知スキルと変わらないんだよ?
だけどメタドライブを発動したままじゃないと使用出来ない察知スキルなんて、燃費が悪すぎて使い道がない。
察知スキルと同じように使用するためには、メタドライブからフルファインダーを独立させる必要がある。
己の身に纏うメタドライブの魔力を解除して、フルファインダー単体だけを発動、維持するように意識する。
フィードバックしてくる情報量が多すぎて頭が割れそうに痛むから、読み取る情報を取捨選択して厳選するんだ……!
「ねぇねぇティムル。メタドライブを解除しちゃったみたいだけど、ダンの魔力は大丈夫なの?」
「大丈夫、みたいね……。魔力枯渇は大丈夫みたいだけど、え~……? 逆になんでこれで魔力消費が抑えられてるの……?」
会話しているニーナとティムルの唇の動きが把握できる。
緊張と興奮でピンと立っているティムルの乳首の形が分かる。
リーチェとアウラがかき乱している周辺の魔力の流れが分かる。
広範囲に展開したフルファインダーから、俺の知りたい情報が流れ込んでくる。
あ、不味い……。ガブリエッタさんの体型まで完全に把握できちゃう……。引き締まったお体にそぐわない、なかなか立派なものをお持ちで……。
って、ルーロさんの体型まで把握しなくていいんだよっ!? 野郎のサイズなんて世界で1番どうでもいい情報なんだよーっ!!
とりあえずルーロさんの立派なブツから意識を逸らす為に、教会跡地の屋根の上からこちらの様子を窺っている狒々たちの首を斬り飛ばした。
「「「なっ……なななななぁっ!?」」」
突然双剣を薙ぎ払った俺の動きと、上から降ってくる無数の狒々たちの首に、後ろのみんなが酷く驚いているのが分かる。
でも俺も思いつきで試したことだから、詳しい説明は出来ないんだよ?
「えぇーっ!? い、今のってまさか、絶影なのーっ!?」
「違うよニーナ。アウターブレイクの応用だよ。フルファインダーの本質は俺が制御している魔力なんだから、俺の斬撃に合わせて魔力を制御しただけなんだ」
「しただけなんだ、じゃないのーっ! 絶対にそんな軽いノリで話していいことじゃないんだからねーっ!?」
全力でツッコミを入れつつも、いつもなら飛びついてくるニーナが傍に寄って来ない。寂しい。
これも全部、今が戦闘中だから悪いんだ。
みんなとイチャイチャするためには、一国も早くコイツらを根絶やしにしてやらなければいけないようだなっ。
「ごめんねニーナ。編み出したばっかりで俺にも詳しく説明出来ないよ。説明出来ないけど、どうやらようやく狒々たちのテリトリーに入る資格を得たみたいだ」
「どんな立ち入り許可証なのっ! 誰でも分け隔て無く受け入れるトライラム教会には相応しくない解決の仕方なのーーっ」
んもーっ! んもーっ! と叫ぶニーナにウィンクを飛ばして、身を隠している狒々たちに斬撃を飛ばしながら教会跡地に足を踏み入れる。
フルファインダーで把握済みの内部では、姿を消した狒々たちが手ぐすね引いて俺達を待ち構えていたので、床が既に血塗れなんだよ?
「これだけ一方的に虐殺しても逃げる気配は一切無いな……。本当に野生動物なのかコイツら……?」
「ダンさんこそ本当に人間族なの……? 私の触心だって、直接触れなきゃ情報を読み取ることなんて出来ないっていうのにさぁ……!」
「そこを疑うのは後にしようかキュール。片っ端から制圧していくから、調査と探索は任せるからね」
広域展開したフルファインダーを制御している為か、逆に目や耳から得られる五感の情報が曖昧に感じられる。
効果範囲内の全てを把握できているはずなのに、特定の情報に注目したりするのがかえって難しく感じられた。
……情報を得る為に興味を分散させられるなんて、識の水晶じゃないんだからさぁ。
嫌な想像を振り切って、片っ端から狒々たちを斬り殺していく。
アウターブレイクの応用をしすぎて魔力が枯渇しそうだったので、転移斬撃は自重して直接双剣で斬って回った。
……だけど、めぼしい物は見つからなかったようだ。
「1階部分は恐らく礼拝堂だったんでしょうね……。仮に資料等が残っているにしても、このフロアでは何も見つからないんじゃないでしょうか?」
安全が確保された場所から調査を進めてくれていたムーリが、おっぱいを強調させるように両腕を組んで首を傾げている。
エロシスタームーリの言葉に、そうそう! と同意を示すチャールとシーズ。
「大勢の人が足を運ぶ礼拝堂に、重要機密を並べておくわけにはいかないもんねー。スペルディアの教会本部でも、大事な資料は地下に保管してるしねー?」
「天井は高いけど、どうやら上の階は存在していないらしいな。となると俺達が探すべきは地下への階段ってわけだっ!」
「それならこっちだよ2人とも」
建物の輪郭をなぞるフルファインダーのおかげで、地下への階段は既に発見していたりする。
2人に声をかけながら、先頭に立ってみんなを案内する。
隠し階段でもなんでもなく普通に設置されている階段の下では、未だに夥しい数の狒々たちの気配を感じ取れる。
「狒々たちも残ってるみたいだから、絶対に迂闊に行動しちゃダメだからね? しかし本当に逃げ出さないねコイツら。いくらここをねぐらにしていたとしても、野生動物が命を捨てて掛かってくるかな?」
「ねぐら以上の価値を見出していて、それを守っているって言うのかい? そんな、ヴェノムクイーンじゃあるまいし……」
「キュール。旦那様が元居た世界では、そういった発言はフラグと呼ばれ、慎むべきものとして扱われていたそうですよ?」
キュールを嗜めてくれるヴァルゴには悪いんだけど、実は俺も同じような予感はしてるんだよなぁ……。
というよりも、祝福の力を職業システム無しで再現する生物なんて、自然に発生するとはどう考えても思えない。
狒々たちの能力の元となる何らかの要素が……。
それこそレリックアイテムが鎮座しててもおかしくないんじゃないかなぁ。
……フルファインダーの性能を信じるなら、さっきから教会の奥で次々に新しい狒々たちが生み出されているようですし?
「少しだけ急ぐね。この先で少し厄介なことが起こっているっぽいから」
「うわぁ……。こんなに圧倒的なご主人様が厄介だと語る問題って……」
「お姉さんたちがフォローするわ。ダンは背中を気にせずにどんどん進んじゃって構わないわよーっ」
未だにしっかり索敵を続けてくれているティムルたちに後押しされ、狒々たちが生み出されている場所に足を運ぶ。
生み出されている時点で野生動物でもなんでもない気がするけど、もしかしたら竜王の従者召喚みたいな能力で、本体が際限なく狒々たちを生み出している可能性もあるかもしれない。
そんな事を考えながら狒々を殺し続ける俺達の目の前に現れたのは、閉ざされた巨大な扉と、その両側の壁に設置された顔のような巨大彫刻だった。
「なんだいあれは……!? 野生動物が……壁から次々と!?」
キュールの言葉通り、真実の口やマーライオンを髣髴とさせる、人なのか獣なのか迷ってしまうような顔型の彫刻から、野生動物であるはずの狒々たちが次々と生み出され続けている。
狒々の母体みたいなのが居ても困るけど、これはこれで困った事態だよ。野生動物が人工的に産み出されていたなんてさぁ……!
……とりあえず鑑定しよう。
狒々を生み出しているあれがマジックアイテムだとするなら、鑑定が通るはず……!
スポーニングチュトラリー
「キュール! ティムル! 壁のでっかい顔はマジックアイテムみたいだけど、どうすればいいかな!? ぶっ壊しちゃっていい!?」
「ままま待って!? 壊すのは待ってくれよーーーっ! これがマジックアイテムだとしたら、まず間違いなくレリックアイテムだよ!? 簡単に壊すとか言わないでーーーっ!?」
「壁に固定されちゃってるから、インベントリに収納するのも無理かしら……!? というかこんな大量の生物を生み出す魔力をいったい何処から……!?」
キュールとティムルが直ぐには結論を出せないようなので、とりあえず生み出される狒々を斬り殺しながらインベントリに収納出来ないかを試してみる。……が、駄目っ!
壁に固定されている以上、それを無視してインベントリに収納することは出来ないようだ。
「ティムル! 魔力の流れはどうなって……! このマジックアイテムは何処から魔力を供給されてるんだ!?」
「熱視で確認できないから……多分扉の向こうからじゃないかしらっ!? つまり扉の外側からは野生動物たちの発生を止める事は……」
「なら悪いけど壊すぜキュール! 流石にみんなの命を危険に晒すわけには……!」
「待ってーーーー!!! その前に私に触心っ! 触心をさせてくれーっ!! もしかしたら触心で止める手立てが見つかるかもーーーっ!!」
「くっ……! ならヴァルゴ! 援護するからキュールを連れてスポーニングチュトラリーまで行ってくれ!」
「了解です。隠密性さえ失われていれば、旦那様の手を煩わせることもありませんよぉっ!」
災厄のデーモンスピアを振り回し、生み出される狒々たちを片っ端から貫いていくヴァルゴと、その背中に慌ててついていくキュール。
もしも触心をしても成果が得られなければ、その時は潔く諦めてもらうからなーっ!
直ぐに壁まで誘導されたキュールが、スポーニングチュトラリーに向かって触心を開始する。
「くっ……! 確かにティムルさんの言う通り、魔力の供給源は扉の向こうか……! でも狒々を生み出すにはそれなりの魔力が必要だから、断空でスポーニングチュトラリーの魔力を切り裂いて……いや!」
触心をやめたキュールが、慌てた様子で振り返って俺達に叫んで指示を飛ばす。
「マインドディプリートだダンさん! マインドディプリートをスポーニングチュトラリーに当てて、野生動物の発生を阻害すれば……」
「ティムル! リーチェ! マインドディプリートを生産して、お誂え向きに開かれてる口の中に入れてきて! 念のため口の中に入るだけ突っ込んじゃって!」
「「了解!」」
直ぐに両側のスポーニングチュトラリーに駆け出す2人と、それを負うニーナとフラッタ。
俺が何も言わなくても、ニーナはティムルを、フラッタはリーチェを護衛してくれるようだ。
俺もフルファインダーによる転移斬撃で、4人の進路をサポートする。
「「『紡ぎ合わせ、組み立て創れ。秘蹟の証明。想いの結晶。顕現。マインドディプリート!!』」」
ティムルとリーチェの詠唱が響き渡り、前方の2点から眩いスキルの光が発せられる。
光が治まると同時に2人はマインドディプリートを素手のままで口の中に突っ込み、そのままもう1度アイテム生成を使用して口の中に直接マインドディプリートを作り出した。
これでどうだっ……!?
「……と、止まっ、た?」
恐る恐る確認するキュールが言う通り、新たな狒々が発生してこなくなった。
キュールの読み通り、口内に突っ込んだマインドディプリートが、狒々の生成の為に必要な魔力を奪ってくれているようだ。
残った狒々を一気に刈り取り、念のため更に3個ずつマインドディプリートを突っ込んで、ようやく俺達はこの場所の制圧に成功したのだった。
今のところ俺のオーバーウェルミングにも、精霊魔法と熱視のコンボ索敵にも引っかかる個体は現れていない。
教会施設跡地はスペルディアの大聖堂の半分程度の規模しかなく、経年劣化で所々朽ちて崩れてしまっているようだ。
仮に狒々どもがねぐらにしていなかったとしても、危険を伴う調査には違いなかったな。
「ガブリエッタさん。内部の構造は分かる? 教会に記録は残ってた?」
「いえ、残念ながら内部構造に関する資料は見つけられませんでした。邪神の出現で唐突に破棄せざるを得なかった施設でしょうから、資料を持ち出す余裕はなかったのでしょう」
「ボロい施設を闇雲に歩き回ったり、ましてやここで戦闘するなんてゾッとしないけど仕方無いかぁ……」
出来れば効率よく調査をしたかったけど、本部の資料を他の支部に保管しておくのも変だろう。記録が残っていないのも当たり前だ。
狒々たちがここを占拠している事を考えても、多少の振動で崩れたりする事はないと信じたい。
だけどボロさを利用されて、階下から床をぶち抜かれたり、天井を崩されて生き埋めにされる可能性も考慮しないといけないかもしれないな……。
「危険な戦闘フィールド、未知の野生動物、同行する複数の非戦闘員か。こっちに不利な条件が複数揃ってしまっているね」
「屋内に入ると、リーチェの精霊魔法を目視で確認するのも限界があるし……。気が抜けない時間になりそうだわぁ~」
「今回は完全に油断と慢心をしてしまったねぇ……。でもこんな野生動物が存在している事を想定しろってのは流石に無理だよ~っ」
視線が遮られる事に不安を抱くティムルと、反省の言葉を口にするリーチェ。
確かにこんな生物が存在しているのを想定するのは難しいけど、俺達の相手って大体いつも想定を上回ってくるから始末に負えないんだよ?
更には老朽化の進んだ建物を見て、アウラが不安そうに問いかけてくる。
「ねぇパパ……。こんな古い建物の中で風を滅茶苦茶に動かして大丈夫……? 崩れたり、しない……?」
「しない……とも言い切れないのかなぁ……」
索敵の為にめちゃくちゃな精霊魔法を展開するには、建物の倒壊の心配が出てきてしまうわけか……。
理想を言えば、全ての狒々を無駄なく殺しきってしまいたいところだけど……。
「折角アレだけ打ち合わせしたのに、いきなり出鼻を挫かれちゃったね……」
「……ダンよ。無理に今日調査に入らずとも、準備を整え対策を練ってから出直すという手もあるのじゃ。意固地になってはならぬぞ」
「退却の判断かぁ……。確かにフラッタの言う通り、ここは無理するべき場面でも無いな」
無理すべき場面ではないんだけど、ここで帰るわけにもいかないんだよなぁ。
だってここで帰ったら、みんなにかっこいい姿を全然見せられないんだもん。
この状況をスマートに切り抜け、かつみんなにかっこいい俺の姿を見てもらうためには……。
「……ごめんリーチェ。アウラの訓練は別の機会に回してもらっていい?」
「ん? それは勿論構わないけど、ダンはなにをする気なの?」
「応用……いや、合わせ技かな? 鑑定も通じない野生動物の癖に色々やってくる敵のおかげで、俺もちょっとアイディアが浮かんだんだよね」
狒々たちは魔法や職業スキル、種族特性に酷似した能力を行使してくるけど、鑑定が効かない以上、それらは全てバトルシステムのサポート無しで行われていることなのだ。
単純な魔力制御だけで魔法もスキルも特性も再現できるというのなら、俺にだって同じ事が可能なはず……!
「ダーンっ。みんなに気を使わなくていいから、貴方が好きなようにして欲しいのーっ」
「ニーナ? 好きなようにって……」
「何か思いついたんでしょ? なら気にせず試せばいいのっ。私たちはいつだって、貴方の思いつきに助けられてきたんだからねっ」
「え、えぇ~……?」
前半は素敵なセリフだったのに、後半は蛇足じゃないのかなぁ?
そんなに全面的に信用されちゃったら、ただの思いつきでも絶対に失敗出来ないじゃんっ。
信じてくれてありがとうニーナ。背中を押してくれてありがとう。
なら俺はその想いに応える為に、思いつきを全力で実現してみせようじゃないかーっ。
「みんなは特に変更無しで。ティムルたちは索敵を、他のメンバーは護衛に集中して欲しい。ただし建物の崩落や床が抜けることも想定すること」
「ふふっ。なら私達の愛するダンさんは、いったいどんなかっこいい姿を見せてくださるんですか?」
「メタドライブを応用して、全周囲を索敵してみようと思ってる。それ自体は以前既に実現してるから、その燃費と範囲を弄ろうってね」
エマに返事を返しながらメタドライブを身に纏う。
途端に凄まじい勢いで魔力が消費されていくけど、こんな魔力消費じゃ調査中にずっと発動することは出来ないので……。
イメージするのは精霊魔法と触心、それと察知スキルだ。
精霊魔法のように広域に展開する魔力に情報を読み取る性質を付与するなんて、まさに察知スキルそのものだ。
だからメタドライブの魔力を用いて、スキルを用いない察知スキルを発動出来れば……!
大気に自分の魔力を広げ、その全てから情報をフィードバックするイメージ……。
「……掴め。『フルファインダー』」
あえて名前をつけることで、魔力操作を1つの技術として定着させる。
決して中学2年生的なセンスでネーミングしてるわけじゃないんです。きっと。多分。
フルファインダーのイメージはエコーロケーションだ。
魔力の反射、反発を知覚することで、建造物の構造や生体反応、大気中の魔力の流れも掌握していく。
「……ダン。貴方また、とんでもない事を……!」
ティムルの驚愕した声が聞こえるけれど、やってること自体は察知スキルと変わらないんだよ?
だけどメタドライブを発動したままじゃないと使用出来ない察知スキルなんて、燃費が悪すぎて使い道がない。
察知スキルと同じように使用するためには、メタドライブからフルファインダーを独立させる必要がある。
己の身に纏うメタドライブの魔力を解除して、フルファインダー単体だけを発動、維持するように意識する。
フィードバックしてくる情報量が多すぎて頭が割れそうに痛むから、読み取る情報を取捨選択して厳選するんだ……!
「ねぇねぇティムル。メタドライブを解除しちゃったみたいだけど、ダンの魔力は大丈夫なの?」
「大丈夫、みたいね……。魔力枯渇は大丈夫みたいだけど、え~……? 逆になんでこれで魔力消費が抑えられてるの……?」
会話しているニーナとティムルの唇の動きが把握できる。
緊張と興奮でピンと立っているティムルの乳首の形が分かる。
リーチェとアウラがかき乱している周辺の魔力の流れが分かる。
広範囲に展開したフルファインダーから、俺の知りたい情報が流れ込んでくる。
あ、不味い……。ガブリエッタさんの体型まで完全に把握できちゃう……。引き締まったお体にそぐわない、なかなか立派なものをお持ちで……。
って、ルーロさんの体型まで把握しなくていいんだよっ!? 野郎のサイズなんて世界で1番どうでもいい情報なんだよーっ!!
とりあえずルーロさんの立派なブツから意識を逸らす為に、教会跡地の屋根の上からこちらの様子を窺っている狒々たちの首を斬り飛ばした。
「「「なっ……なななななぁっ!?」」」
突然双剣を薙ぎ払った俺の動きと、上から降ってくる無数の狒々たちの首に、後ろのみんなが酷く驚いているのが分かる。
でも俺も思いつきで試したことだから、詳しい説明は出来ないんだよ?
「えぇーっ!? い、今のってまさか、絶影なのーっ!?」
「違うよニーナ。アウターブレイクの応用だよ。フルファインダーの本質は俺が制御している魔力なんだから、俺の斬撃に合わせて魔力を制御しただけなんだ」
「しただけなんだ、じゃないのーっ! 絶対にそんな軽いノリで話していいことじゃないんだからねーっ!?」
全力でツッコミを入れつつも、いつもなら飛びついてくるニーナが傍に寄って来ない。寂しい。
これも全部、今が戦闘中だから悪いんだ。
みんなとイチャイチャするためには、一国も早くコイツらを根絶やしにしてやらなければいけないようだなっ。
「ごめんねニーナ。編み出したばっかりで俺にも詳しく説明出来ないよ。説明出来ないけど、どうやらようやく狒々たちのテリトリーに入る資格を得たみたいだ」
「どんな立ち入り許可証なのっ! 誰でも分け隔て無く受け入れるトライラム教会には相応しくない解決の仕方なのーーっ」
んもーっ! んもーっ! と叫ぶニーナにウィンクを飛ばして、身を隠している狒々たちに斬撃を飛ばしながら教会跡地に足を踏み入れる。
フルファインダーで把握済みの内部では、姿を消した狒々たちが手ぐすね引いて俺達を待ち構えていたので、床が既に血塗れなんだよ?
「これだけ一方的に虐殺しても逃げる気配は一切無いな……。本当に野生動物なのかコイツら……?」
「ダンさんこそ本当に人間族なの……? 私の触心だって、直接触れなきゃ情報を読み取ることなんて出来ないっていうのにさぁ……!」
「そこを疑うのは後にしようかキュール。片っ端から制圧していくから、調査と探索は任せるからね」
広域展開したフルファインダーを制御している為か、逆に目や耳から得られる五感の情報が曖昧に感じられる。
効果範囲内の全てを把握できているはずなのに、特定の情報に注目したりするのがかえって難しく感じられた。
……情報を得る為に興味を分散させられるなんて、識の水晶じゃないんだからさぁ。
嫌な想像を振り切って、片っ端から狒々たちを斬り殺していく。
アウターブレイクの応用をしすぎて魔力が枯渇しそうだったので、転移斬撃は自重して直接双剣で斬って回った。
……だけど、めぼしい物は見つからなかったようだ。
「1階部分は恐らく礼拝堂だったんでしょうね……。仮に資料等が残っているにしても、このフロアでは何も見つからないんじゃないでしょうか?」
安全が確保された場所から調査を進めてくれていたムーリが、おっぱいを強調させるように両腕を組んで首を傾げている。
エロシスタームーリの言葉に、そうそう! と同意を示すチャールとシーズ。
「大勢の人が足を運ぶ礼拝堂に、重要機密を並べておくわけにはいかないもんねー。スペルディアの教会本部でも、大事な資料は地下に保管してるしねー?」
「天井は高いけど、どうやら上の階は存在していないらしいな。となると俺達が探すべきは地下への階段ってわけだっ!」
「それならこっちだよ2人とも」
建物の輪郭をなぞるフルファインダーのおかげで、地下への階段は既に発見していたりする。
2人に声をかけながら、先頭に立ってみんなを案内する。
隠し階段でもなんでもなく普通に設置されている階段の下では、未だに夥しい数の狒々たちの気配を感じ取れる。
「狒々たちも残ってるみたいだから、絶対に迂闊に行動しちゃダメだからね? しかし本当に逃げ出さないねコイツら。いくらここをねぐらにしていたとしても、野生動物が命を捨てて掛かってくるかな?」
「ねぐら以上の価値を見出していて、それを守っているって言うのかい? そんな、ヴェノムクイーンじゃあるまいし……」
「キュール。旦那様が元居た世界では、そういった発言はフラグと呼ばれ、慎むべきものとして扱われていたそうですよ?」
キュールを嗜めてくれるヴァルゴには悪いんだけど、実は俺も同じような予感はしてるんだよなぁ……。
というよりも、祝福の力を職業システム無しで再現する生物なんて、自然に発生するとはどう考えても思えない。
狒々たちの能力の元となる何らかの要素が……。
それこそレリックアイテムが鎮座しててもおかしくないんじゃないかなぁ。
……フルファインダーの性能を信じるなら、さっきから教会の奥で次々に新しい狒々たちが生み出されているようですし?
「少しだけ急ぐね。この先で少し厄介なことが起こっているっぽいから」
「うわぁ……。こんなに圧倒的なご主人様が厄介だと語る問題って……」
「お姉さんたちがフォローするわ。ダンは背中を気にせずにどんどん進んじゃって構わないわよーっ」
未だにしっかり索敵を続けてくれているティムルたちに後押しされ、狒々たちが生み出されている場所に足を運ぶ。
生み出されている時点で野生動物でもなんでもない気がするけど、もしかしたら竜王の従者召喚みたいな能力で、本体が際限なく狒々たちを生み出している可能性もあるかもしれない。
そんな事を考えながら狒々を殺し続ける俺達の目の前に現れたのは、閉ざされた巨大な扉と、その両側の壁に設置された顔のような巨大彫刻だった。
「なんだいあれは……!? 野生動物が……壁から次々と!?」
キュールの言葉通り、真実の口やマーライオンを髣髴とさせる、人なのか獣なのか迷ってしまうような顔型の彫刻から、野生動物であるはずの狒々たちが次々と生み出され続けている。
狒々の母体みたいなのが居ても困るけど、これはこれで困った事態だよ。野生動物が人工的に産み出されていたなんてさぁ……!
……とりあえず鑑定しよう。
狒々を生み出しているあれがマジックアイテムだとするなら、鑑定が通るはず……!
スポーニングチュトラリー
「キュール! ティムル! 壁のでっかい顔はマジックアイテムみたいだけど、どうすればいいかな!? ぶっ壊しちゃっていい!?」
「ままま待って!? 壊すのは待ってくれよーーーっ! これがマジックアイテムだとしたら、まず間違いなくレリックアイテムだよ!? 簡単に壊すとか言わないでーーーっ!?」
「壁に固定されちゃってるから、インベントリに収納するのも無理かしら……!? というかこんな大量の生物を生み出す魔力をいったい何処から……!?」
キュールとティムルが直ぐには結論を出せないようなので、とりあえず生み出される狒々を斬り殺しながらインベントリに収納出来ないかを試してみる。……が、駄目っ!
壁に固定されている以上、それを無視してインベントリに収納することは出来ないようだ。
「ティムル! 魔力の流れはどうなって……! このマジックアイテムは何処から魔力を供給されてるんだ!?」
「熱視で確認できないから……多分扉の向こうからじゃないかしらっ!? つまり扉の外側からは野生動物たちの発生を止める事は……」
「なら悪いけど壊すぜキュール! 流石にみんなの命を危険に晒すわけには……!」
「待ってーーーー!!! その前に私に触心っ! 触心をさせてくれーっ!! もしかしたら触心で止める手立てが見つかるかもーーーっ!!」
「くっ……! ならヴァルゴ! 援護するからキュールを連れてスポーニングチュトラリーまで行ってくれ!」
「了解です。隠密性さえ失われていれば、旦那様の手を煩わせることもありませんよぉっ!」
災厄のデーモンスピアを振り回し、生み出される狒々たちを片っ端から貫いていくヴァルゴと、その背中に慌ててついていくキュール。
もしも触心をしても成果が得られなければ、その時は潔く諦めてもらうからなーっ!
直ぐに壁まで誘導されたキュールが、スポーニングチュトラリーに向かって触心を開始する。
「くっ……! 確かにティムルさんの言う通り、魔力の供給源は扉の向こうか……! でも狒々を生み出すにはそれなりの魔力が必要だから、断空でスポーニングチュトラリーの魔力を切り裂いて……いや!」
触心をやめたキュールが、慌てた様子で振り返って俺達に叫んで指示を飛ばす。
「マインドディプリートだダンさん! マインドディプリートをスポーニングチュトラリーに当てて、野生動物の発生を阻害すれば……」
「ティムル! リーチェ! マインドディプリートを生産して、お誂え向きに開かれてる口の中に入れてきて! 念のため口の中に入るだけ突っ込んじゃって!」
「「了解!」」
直ぐに両側のスポーニングチュトラリーに駆け出す2人と、それを負うニーナとフラッタ。
俺が何も言わなくても、ニーナはティムルを、フラッタはリーチェを護衛してくれるようだ。
俺もフルファインダーによる転移斬撃で、4人の進路をサポートする。
「「『紡ぎ合わせ、組み立て創れ。秘蹟の証明。想いの結晶。顕現。マインドディプリート!!』」」
ティムルとリーチェの詠唱が響き渡り、前方の2点から眩いスキルの光が発せられる。
光が治まると同時に2人はマインドディプリートを素手のままで口の中に突っ込み、そのままもう1度アイテム生成を使用して口の中に直接マインドディプリートを作り出した。
これでどうだっ……!?
「……と、止まっ、た?」
恐る恐る確認するキュールが言う通り、新たな狒々が発生してこなくなった。
キュールの読み通り、口内に突っ込んだマインドディプリートが、狒々の生成の為に必要な魔力を奪ってくれているようだ。
残った狒々を一気に刈り取り、念のため更に3個ずつマインドディプリートを突っ込んで、ようやく俺達はこの場所の制圧に成功したのだった。
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