674 / 878
最新章
674 生まれ変わり
しおりを挟む
「それでは行って参りますご主人様。ちゅっ」
「ぼくたちがちゃんと役割をこなせたら、その時はいっぱいご褒美が欲しいなっ。それじゃ行ってくるよ。ちゅっ」
行ってくると口付けをして家を出ようとするシャロとリーチェを捕まえて、口からおっぱいにキスをして、ちゅぱちゅぱ音を立てて乳首をしゃぶり上げながら、余所行きの衣装に身を包んだ2人の中を限界まで満たしてあげた。
ごめんね2人とも。2人がこれから何処に行くかは分かってるんだけど、だからこそお腹いっぱいにしてあげたくて仕方なかったんだ。
「いってらっしゃい2人とも。2人の頑張る姿、みんなと一緒に見てるからね」
「なら2人を解放してあげなさーい! いつまで出し続けるつもりなのっ、もーっ!」
ニーナに怒られてしまったので、諦めて2人を解放する。
みんなが大急ぎでリーチェとシャロの身支度を整え直す様子を、フラッタとアウラに交互に注ぎ込みながら眺める俺、最低すぎるな?
「なんか旦那様って、出かける前にお腹いっぱいにさせるの好きですよね? 何か意味があるんでしょうか?」
「ダンって独占欲の塊でしょ? だから私たちが人前に出る前に、コイツは俺の女なんだーってマーキングしなきゃ落ちつかないみたいなのよねー」
「それじゃ興奮するのも仕方ないですねー。なんせこれからリーチェさんとシャロさんは、多くの王国民の前に出る事になるんですから」
仕方ないですねーと、ニコニコしながら俺の顔をおっぱいで挟み込んでくれるムーリ。
仕方ないですねーって、そういうことされるといつまで経っても興奮が治まらないんだよ?
「ラトリア様とエマさん、キュールさんにも手を出しちゃダメだからねーっ? もう時間が無いんだから我慢しなきゃダメなのっ」
「あっ、母さん! それ逆効果だから! それじゃダンの興奮を煽るだけ……! ラトリア! エマ! キュール! 早く行くのーっ!」
いつも通りの騒がしい朝に、ちょっとだけいつもと違う流れが混ざる。
そう。今日はとうとう新王2人の即位式なのだ。
即位式の様子を精霊魔法で拡散するように頼まれているリーチェと、ここ1ヶ月の祝賀イベントですっかり国民の人気を得てしまい司会進行を任されたシャロ。
竜爵家の人間として、今だ貴族教育の済んでいないシルヴァの妻たちの代わりに参列するラトリアとそのお供のエマ、カレン陛下の付き添いに指名されたキュールがひと足先に家を出て行く。
「まったく……。リーチェさんもシャロさんも嬉しそうにしか見えなかったけど、いくらなんでもやりすぎだよ? 人前に出ない私たちと違って、身嗜みにも気を遣わなくっちゃいけない人たちなんだからねっ?」
「あんなに念入りに注ぎ込まなくても、俺達全員ダンの事が大好きだっつうの。少しは信用しやがれってんだ」
俺を嗜めるチャールに、便乗風の愛の告白をしてくるシーズ。
2人のことも抱きしめて、アウラとフラッタに注ぎ込みながら沢山キスして可愛がる。
「ほらほらダン。キリがないから私たちもさっさと行くのっ! えっちな事がしたいなら、向こうで好きなだけしてくれていいんだからーっ」
「カラソルさんにも羽目を外して良いって言われちゃってるしねーっ。アーティザンスウィートも飲み放題だし、スペルディアに行くのが楽しみだわぁっ」
早くスペルディアに移動しようと急かしてくるニーナとティムル。
今回の即位式は当初スペルディア王城で行われる予定だったのだけれど、より多くの国民に直接新王の即位を目にして欲しいと、スペルディアの中央広場に設けられた特設会場で執り行われる事になった。
そのおかげで、ちょうどその広場を一望できる位置に建てられている夢の一夜亭を貸し切らせていただける事になったのだ。
ただし従業員のサービスはなく、本当に場所をお借りするだけだ。
料理の持ち込みはオーケーで、アーティはいくら飲んでも構わないとカラソルさんから許可をいただいている。
「ささっ。行きますよ旦那様。いくらトライラムフォロワーの職業浸透が進んできているとは言え、子供達だけで孤児全員をスペルディアに転移させるのは無理ですからねっ」
「そうですよーっ。ダンさんが言い出したことなんですから、責任を持って完遂してくれなきゃ困りますーっ」
アウラとフラッタを救出して、2人の身支度を整えるヴァルゴとムーリ。
2人の言っている通り、今回はトライラム教会の孤児たちも夢の一夜亭に招待して、即位式の雰囲気を一緒に楽しもうという話になっている。
まぁ最上階は俺達家族で貸切にして、即位そっちのけで乱痴気騒ぎを起こす予定なんですけどねーっ。
「恐らく既に王都内は人でごった返しになってるはずだから、夢の一夜亭に直接転移させた方が良いよね?」
「そうですね。小さい子もみんな連れて行くとなると、人混みは避けたいところです」
自宅から教会に徒歩で向かいがてら転移についてムーリに問うと、シスターらしく子供の安全を最優先に考えた回答が返って来た。
王都観光をするにしても、即位式が終わった後にスペルディアの教会を拠点にやったほうがいいよな。
「けどそうすると500人規模の転移になりますけど、本当に大丈夫です?」
「転移の方は余裕だねー。むしろ現地で子供達の面倒を見るほうが不安かな。だからシスターたちに協力してもらえたのはほんとありがたいよ」
「いやいや、教主イザベルの出番もありますからシスターたちも喜ぶと思いますよ。むしろ参加できなかった教会関係者の皆さんが悔しがりそうですっ」
今回孤児を招いたのは、新王の即位を一緒に祝いたいというのもあるけれど、教主であるイザベルさんのかっこいい姿を孤児たちにこそ見せてあげたかったからだったりする。
神器を失って王権神授を証明出来ないスペルディア家と、宗教団体であるトライラム教会は今まであまり深い付き合いをしてこなかったそうだけど、今後はそんな関係性も見直していきたいらしい。
トライラム教会もガルシア、マーガレット両陛下のことを、神に選ばれた王ではなく民に選ばれた王として祝福し、共に盛り立てて行きたいようだ。
「さーみんなっ。王都スペルディアの1日体験ツアーに出発するぞーっ!」
「「「わああああっ!」」」
もう待ちきれないとばかりに、元気な歓声を聞かせてくれる子供達。
マグエルの教会を始まりに、各地の教会を回って次々に孤児達を夢の一夜亭に送り込む。
初めて訪れた王都スペルディアの賑わいや、高級宿である夢の一夜亭の装いに圧倒されつつも、引率役のシスターたちに連れられてワイワイと楽しそうにしている。
今まで辛いことばかり体験したこの子たちに、今日の事が楽しい思い出になってくれたらいいんだけどなぁ。
「お疲れ様ですダンさんっ。今の子たちで最後ですよーっ」
「りょーかい。みんなもお疲れ様~」
おっぱいをむぎゅっとしながらガッツポーズを取ったムーリが、孤児の転送が無事に終わったことを報告してくれる。
俺が行ったことがない街の孤児たちは教会側が予め集合させておいてくれたので、魔力枯渇を起こすこともなく全ての孤児を夢の一夜亭に収容することが出来た。
「食事は充分な量を持ち込んだし、広場の様子は窓から見えるはずだよね? 子供達が殺到してもテラスには余裕があるはずだし、後は問題ないかな?」
「疲れたらそのまま床で寝られるくらいの場所だしね。小さい子だけ気をつけてベッドの上に寝させればいいし、問題ないんじゃないかしら?」
「残る問題は、ちゃんとここまで声が届くかってことだねー」
転送を終えて、夫婦の時間を始める前の最終確認。
ティムルに転送のほうは問題無しとオーケーを貰えたけど、式典がちゃんと楽しめるかニーナは少し不安のようだ。
「せっかく教主様の晴れ舞台を見に来たのに、声が届かなかったらきっとがっかりしちゃうのー」
「ニーナの言い分は尤もですけど、リーチェが旦那様の声を拾えない状況に耐えられるとは思いません。旦那様の同行を願わなかった時点で、恐らく大丈夫という確信があるのでしょうね」
「ふははっ! 我が家のお姫様はまっこと甘えん坊で寂しがり屋じゃのうっ! どれ、では早速リーチェにダンの嬌声を届けてやると……」
「ダーン! ちょっといいかーっ!?」
「へ?」
我が家の可愛い無双将軍フラッタがヤる気満々で俺の股間を弄り始めたタイミングで、誰かに名前を呼ばれてしまった。
このタイミングでお預けとか嘘でしょ!? さっさと最上階に引き篭もるべきだったかーーーっ!
誰だよ!? こんな狙ったようなタイミングで話しかけてきた奴はーっ!?
「って、ワンダじゃん。何か用か?」
「ああ。と言っても用があるのは俺じゃないけどなっ」
どうやら俺に声をかけてきたのは、幸福の先端のリーダーワンダのようだ。
問いかけられたワンダは、これが回答だとばかりに1歩下がって、ワンダの後ろに立っていたコットンを指差す。
俺に声をかけて来たのはワンダだったけど、どうやら俺に用があるのはコットンの方らしい。
「ご、ごめんね……? すぐに済むから……」
ワンダと婚姻を結び、既にワンダの子供を身篭っているらしいコットンだけど、未だに年上の男は苦手らしいと聞いている。
そんなコットンがこのタイミングで俺を呼び止めるなんて意外だな。
コットンが怯えることが無いように距離を保ち、更には彼女と親しいニーナを抱き寄せる。
この行為に意味があるかどうかは分からないけれど、俺がニーナを抱き寄せたかったから問題無しっ。
「どうしたのコットン? ニーナじゃなくて俺に用事だなんて珍しいね」
「うん。ニーナにはもう沢山伝えたけど、ダンにはまだ、言えてなかったから……」
「言えてない? って なんのこ……と……」
戸惑う俺の目の前で、コットンが黙って深く深く頭を下げた。
予想だにしていなかったコットンの行動に、思わず思考が停止してしまう。
「ダン。ありがとう。マグエルの教会でひっそり育ててきたお花は、ダンの家からマグエルへ、そしてマグエルから王国中に広がって、新王様を満開のお花で迎える事が出来ちゃったの……!」
「いやいやコットン。その件で俺に感謝するのは筋違いじゃない? お祝いを企画したのはシャロだし、お花のお世話を王国中に広めたのはコットンやニーナだったろ?」
「全然筋違いなんかじゃないよ? だってニーナは、絶対にダンの為にしか行動しない人なんだもん」
む、なかなかに的確な状況分析じゃないか。やるねぇコットン。
コットンがニーナではなく俺に感謝の念を抱くことを、当のニーナが1番嬉しそうにウンウン頷いている。
「私、ずっと生きるのを諦めてたんだ。私が奴隷に落ちずに済むには、今度はちゃんと子供を愛し育ててくれる両親の下に生まれ変わるしかないんだなって……」
「……でも、そうじゃなかった?」
「うん、違ったの。生まれ変わる為に死ぬ必要なんて無かったんだ。ダンがマグエルにやってきて、教会にお庭の手入れを依頼したあの日が、今の人生に生まれ変わった日になったのっ」
ゆっくりと顔を上げたコットンは、眩しいくらいの笑顔を浮かべている。
今までは年上の男性が近くに居るだけで眉間に皺を寄せていたコットンが、俺に向かって微笑みかけている。
「お礼、今まで言えなくってごめんなさいっ。凄く遅れちゃったけど、ありがとうダン。私、今最高に幸せだよっ」
「……そっか。ありがとうコットン。幸せになってくれて、本当にありがとう……!」
「……なんでダンがお礼を言うの?」
なんでだろうね?
いくら首を傾げられても、俺にも上手く説明出来ないよ。
コットンが幸せだと言ってくれたことが嬉しくて、つい何も考えずにお礼を言ってしまった。
だけど、結婚披露宴の時にすら幸せだとは決して口にしなかったコットンが、自分の口から直接俺に幸せだと告げてくれた事が、なんだか嬉しくて仕方ない。
「王国の同胞達よ! 本日は新王の為にご足労いただき、宰相ゴブトゴが心より感謝申し上げる!」
「あっ! ゴブトゴさんの声、ちゃんと届くのっ!」
俺とコットンがなんだか心地良い沈黙に身を置いていると、窓の外からゴブトゴさんの挨拶と思われる声が聞こえてくる。
スピーカーよりもよほど鮮明に聞こえるな? 精霊魔法恐るべし……!
「ダン。コットン。そろそろ……」
「うんっ。引き止めてごめんなさい。だけど新しい王様が決まる前に、どうしてもお礼を言っておきたかったんだ」
ニーナの判断に従い、笑顔で話を切り上げるコットン。
俺を見る優しげな瞳には、もう男性に対する恐怖心などは滲んでいなかった。
「ダン。ニーナ。本当にありがとう。これからも宜しくお願いしますっ」
「……ああっ! コットンこそありがとう! これからも宜しくなっ!」
笑顔のコットンが、ワンダの手を引いて宿の奥に消えていった。
今まで俺には決して笑顔を見せる事が出来なかったコットンだったけど、まるで今回の感謝で何かが吹っ切れたみたいに、とても自然にとびっきりの笑顔を作ってみせてくれたみたいだ。
「コラダンっ! コットンの笑顔に見蕩れないのっ! コットンはもうワンダの奥さんなんだから、絶対に手を出しちゃ駄目なのーっ!」
「出さないよ!? 出す訳ないでしょ!? ちょっとほっこりした気分になってたのに、いつも通り台無しだよニーナァァァッ!?」
「ほっこりなんてさせないのっ! なんの為に最上階を貸切にしたと思ってるのっ!」
「まさかの故意かよ!? あまりの意外さに胸がドキドキしちゃう! これが恋って!? 喧しいっての!!」
「馬鹿なこと言ってないで早く行くよダン! 今夜は寝られると思わないでなの~~~っ……!!」
「それ絶対俺のセリフだからぁぁぁぁっ……!!」
すっかり発情状態になったみんなに引き摺られ、夢の一夜亭の最も高級な部屋に引っ張り込まれた。
部屋に着くと瞬く間に全裸に剥かれ、同じく全裸となったニーナに思い切り咥え込まれてしまった。
その後俺は即位式が進んでいく声を聞きながら、ただひたすらみんなの中に愛情と興奮で出来た子種を注ぎ込み続けたのだった。
「ぼくたちがちゃんと役割をこなせたら、その時はいっぱいご褒美が欲しいなっ。それじゃ行ってくるよ。ちゅっ」
行ってくると口付けをして家を出ようとするシャロとリーチェを捕まえて、口からおっぱいにキスをして、ちゅぱちゅぱ音を立てて乳首をしゃぶり上げながら、余所行きの衣装に身を包んだ2人の中を限界まで満たしてあげた。
ごめんね2人とも。2人がこれから何処に行くかは分かってるんだけど、だからこそお腹いっぱいにしてあげたくて仕方なかったんだ。
「いってらっしゃい2人とも。2人の頑張る姿、みんなと一緒に見てるからね」
「なら2人を解放してあげなさーい! いつまで出し続けるつもりなのっ、もーっ!」
ニーナに怒られてしまったので、諦めて2人を解放する。
みんなが大急ぎでリーチェとシャロの身支度を整え直す様子を、フラッタとアウラに交互に注ぎ込みながら眺める俺、最低すぎるな?
「なんか旦那様って、出かける前にお腹いっぱいにさせるの好きですよね? 何か意味があるんでしょうか?」
「ダンって独占欲の塊でしょ? だから私たちが人前に出る前に、コイツは俺の女なんだーってマーキングしなきゃ落ちつかないみたいなのよねー」
「それじゃ興奮するのも仕方ないですねー。なんせこれからリーチェさんとシャロさんは、多くの王国民の前に出る事になるんですから」
仕方ないですねーと、ニコニコしながら俺の顔をおっぱいで挟み込んでくれるムーリ。
仕方ないですねーって、そういうことされるといつまで経っても興奮が治まらないんだよ?
「ラトリア様とエマさん、キュールさんにも手を出しちゃダメだからねーっ? もう時間が無いんだから我慢しなきゃダメなのっ」
「あっ、母さん! それ逆効果だから! それじゃダンの興奮を煽るだけ……! ラトリア! エマ! キュール! 早く行くのーっ!」
いつも通りの騒がしい朝に、ちょっとだけいつもと違う流れが混ざる。
そう。今日はとうとう新王2人の即位式なのだ。
即位式の様子を精霊魔法で拡散するように頼まれているリーチェと、ここ1ヶ月の祝賀イベントですっかり国民の人気を得てしまい司会進行を任されたシャロ。
竜爵家の人間として、今だ貴族教育の済んでいないシルヴァの妻たちの代わりに参列するラトリアとそのお供のエマ、カレン陛下の付き添いに指名されたキュールがひと足先に家を出て行く。
「まったく……。リーチェさんもシャロさんも嬉しそうにしか見えなかったけど、いくらなんでもやりすぎだよ? 人前に出ない私たちと違って、身嗜みにも気を遣わなくっちゃいけない人たちなんだからねっ?」
「あんなに念入りに注ぎ込まなくても、俺達全員ダンの事が大好きだっつうの。少しは信用しやがれってんだ」
俺を嗜めるチャールに、便乗風の愛の告白をしてくるシーズ。
2人のことも抱きしめて、アウラとフラッタに注ぎ込みながら沢山キスして可愛がる。
「ほらほらダン。キリがないから私たちもさっさと行くのっ! えっちな事がしたいなら、向こうで好きなだけしてくれていいんだからーっ」
「カラソルさんにも羽目を外して良いって言われちゃってるしねーっ。アーティザンスウィートも飲み放題だし、スペルディアに行くのが楽しみだわぁっ」
早くスペルディアに移動しようと急かしてくるニーナとティムル。
今回の即位式は当初スペルディア王城で行われる予定だったのだけれど、より多くの国民に直接新王の即位を目にして欲しいと、スペルディアの中央広場に設けられた特設会場で執り行われる事になった。
そのおかげで、ちょうどその広場を一望できる位置に建てられている夢の一夜亭を貸し切らせていただける事になったのだ。
ただし従業員のサービスはなく、本当に場所をお借りするだけだ。
料理の持ち込みはオーケーで、アーティはいくら飲んでも構わないとカラソルさんから許可をいただいている。
「ささっ。行きますよ旦那様。いくらトライラムフォロワーの職業浸透が進んできているとは言え、子供達だけで孤児全員をスペルディアに転移させるのは無理ですからねっ」
「そうですよーっ。ダンさんが言い出したことなんですから、責任を持って完遂してくれなきゃ困りますーっ」
アウラとフラッタを救出して、2人の身支度を整えるヴァルゴとムーリ。
2人の言っている通り、今回はトライラム教会の孤児たちも夢の一夜亭に招待して、即位式の雰囲気を一緒に楽しもうという話になっている。
まぁ最上階は俺達家族で貸切にして、即位そっちのけで乱痴気騒ぎを起こす予定なんですけどねーっ。
「恐らく既に王都内は人でごった返しになってるはずだから、夢の一夜亭に直接転移させた方が良いよね?」
「そうですね。小さい子もみんな連れて行くとなると、人混みは避けたいところです」
自宅から教会に徒歩で向かいがてら転移についてムーリに問うと、シスターらしく子供の安全を最優先に考えた回答が返って来た。
王都観光をするにしても、即位式が終わった後にスペルディアの教会を拠点にやったほうがいいよな。
「けどそうすると500人規模の転移になりますけど、本当に大丈夫です?」
「転移の方は余裕だねー。むしろ現地で子供達の面倒を見るほうが不安かな。だからシスターたちに協力してもらえたのはほんとありがたいよ」
「いやいや、教主イザベルの出番もありますからシスターたちも喜ぶと思いますよ。むしろ参加できなかった教会関係者の皆さんが悔しがりそうですっ」
今回孤児を招いたのは、新王の即位を一緒に祝いたいというのもあるけれど、教主であるイザベルさんのかっこいい姿を孤児たちにこそ見せてあげたかったからだったりする。
神器を失って王権神授を証明出来ないスペルディア家と、宗教団体であるトライラム教会は今まであまり深い付き合いをしてこなかったそうだけど、今後はそんな関係性も見直していきたいらしい。
トライラム教会もガルシア、マーガレット両陛下のことを、神に選ばれた王ではなく民に選ばれた王として祝福し、共に盛り立てて行きたいようだ。
「さーみんなっ。王都スペルディアの1日体験ツアーに出発するぞーっ!」
「「「わああああっ!」」」
もう待ちきれないとばかりに、元気な歓声を聞かせてくれる子供達。
マグエルの教会を始まりに、各地の教会を回って次々に孤児達を夢の一夜亭に送り込む。
初めて訪れた王都スペルディアの賑わいや、高級宿である夢の一夜亭の装いに圧倒されつつも、引率役のシスターたちに連れられてワイワイと楽しそうにしている。
今まで辛いことばかり体験したこの子たちに、今日の事が楽しい思い出になってくれたらいいんだけどなぁ。
「お疲れ様ですダンさんっ。今の子たちで最後ですよーっ」
「りょーかい。みんなもお疲れ様~」
おっぱいをむぎゅっとしながらガッツポーズを取ったムーリが、孤児の転送が無事に終わったことを報告してくれる。
俺が行ったことがない街の孤児たちは教会側が予め集合させておいてくれたので、魔力枯渇を起こすこともなく全ての孤児を夢の一夜亭に収容することが出来た。
「食事は充分な量を持ち込んだし、広場の様子は窓から見えるはずだよね? 子供達が殺到してもテラスには余裕があるはずだし、後は問題ないかな?」
「疲れたらそのまま床で寝られるくらいの場所だしね。小さい子だけ気をつけてベッドの上に寝させればいいし、問題ないんじゃないかしら?」
「残る問題は、ちゃんとここまで声が届くかってことだねー」
転送を終えて、夫婦の時間を始める前の最終確認。
ティムルに転送のほうは問題無しとオーケーを貰えたけど、式典がちゃんと楽しめるかニーナは少し不安のようだ。
「せっかく教主様の晴れ舞台を見に来たのに、声が届かなかったらきっとがっかりしちゃうのー」
「ニーナの言い分は尤もですけど、リーチェが旦那様の声を拾えない状況に耐えられるとは思いません。旦那様の同行を願わなかった時点で、恐らく大丈夫という確信があるのでしょうね」
「ふははっ! 我が家のお姫様はまっこと甘えん坊で寂しがり屋じゃのうっ! どれ、では早速リーチェにダンの嬌声を届けてやると……」
「ダーン! ちょっといいかーっ!?」
「へ?」
我が家の可愛い無双将軍フラッタがヤる気満々で俺の股間を弄り始めたタイミングで、誰かに名前を呼ばれてしまった。
このタイミングでお預けとか嘘でしょ!? さっさと最上階に引き篭もるべきだったかーーーっ!
誰だよ!? こんな狙ったようなタイミングで話しかけてきた奴はーっ!?
「って、ワンダじゃん。何か用か?」
「ああ。と言っても用があるのは俺じゃないけどなっ」
どうやら俺に声をかけてきたのは、幸福の先端のリーダーワンダのようだ。
問いかけられたワンダは、これが回答だとばかりに1歩下がって、ワンダの後ろに立っていたコットンを指差す。
俺に声をかけて来たのはワンダだったけど、どうやら俺に用があるのはコットンの方らしい。
「ご、ごめんね……? すぐに済むから……」
ワンダと婚姻を結び、既にワンダの子供を身篭っているらしいコットンだけど、未だに年上の男は苦手らしいと聞いている。
そんなコットンがこのタイミングで俺を呼び止めるなんて意外だな。
コットンが怯えることが無いように距離を保ち、更には彼女と親しいニーナを抱き寄せる。
この行為に意味があるかどうかは分からないけれど、俺がニーナを抱き寄せたかったから問題無しっ。
「どうしたのコットン? ニーナじゃなくて俺に用事だなんて珍しいね」
「うん。ニーナにはもう沢山伝えたけど、ダンにはまだ、言えてなかったから……」
「言えてない? って なんのこ……と……」
戸惑う俺の目の前で、コットンが黙って深く深く頭を下げた。
予想だにしていなかったコットンの行動に、思わず思考が停止してしまう。
「ダン。ありがとう。マグエルの教会でひっそり育ててきたお花は、ダンの家からマグエルへ、そしてマグエルから王国中に広がって、新王様を満開のお花で迎える事が出来ちゃったの……!」
「いやいやコットン。その件で俺に感謝するのは筋違いじゃない? お祝いを企画したのはシャロだし、お花のお世話を王国中に広めたのはコットンやニーナだったろ?」
「全然筋違いなんかじゃないよ? だってニーナは、絶対にダンの為にしか行動しない人なんだもん」
む、なかなかに的確な状況分析じゃないか。やるねぇコットン。
コットンがニーナではなく俺に感謝の念を抱くことを、当のニーナが1番嬉しそうにウンウン頷いている。
「私、ずっと生きるのを諦めてたんだ。私が奴隷に落ちずに済むには、今度はちゃんと子供を愛し育ててくれる両親の下に生まれ変わるしかないんだなって……」
「……でも、そうじゃなかった?」
「うん、違ったの。生まれ変わる為に死ぬ必要なんて無かったんだ。ダンがマグエルにやってきて、教会にお庭の手入れを依頼したあの日が、今の人生に生まれ変わった日になったのっ」
ゆっくりと顔を上げたコットンは、眩しいくらいの笑顔を浮かべている。
今までは年上の男性が近くに居るだけで眉間に皺を寄せていたコットンが、俺に向かって微笑みかけている。
「お礼、今まで言えなくってごめんなさいっ。凄く遅れちゃったけど、ありがとうダン。私、今最高に幸せだよっ」
「……そっか。ありがとうコットン。幸せになってくれて、本当にありがとう……!」
「……なんでダンがお礼を言うの?」
なんでだろうね?
いくら首を傾げられても、俺にも上手く説明出来ないよ。
コットンが幸せだと言ってくれたことが嬉しくて、つい何も考えずにお礼を言ってしまった。
だけど、結婚披露宴の時にすら幸せだとは決して口にしなかったコットンが、自分の口から直接俺に幸せだと告げてくれた事が、なんだか嬉しくて仕方ない。
「王国の同胞達よ! 本日は新王の為にご足労いただき、宰相ゴブトゴが心より感謝申し上げる!」
「あっ! ゴブトゴさんの声、ちゃんと届くのっ!」
俺とコットンがなんだか心地良い沈黙に身を置いていると、窓の外からゴブトゴさんの挨拶と思われる声が聞こえてくる。
スピーカーよりもよほど鮮明に聞こえるな? 精霊魔法恐るべし……!
「ダン。コットン。そろそろ……」
「うんっ。引き止めてごめんなさい。だけど新しい王様が決まる前に、どうしてもお礼を言っておきたかったんだ」
ニーナの判断に従い、笑顔で話を切り上げるコットン。
俺を見る優しげな瞳には、もう男性に対する恐怖心などは滲んでいなかった。
「ダン。ニーナ。本当にありがとう。これからも宜しくお願いしますっ」
「……ああっ! コットンこそありがとう! これからも宜しくなっ!」
笑顔のコットンが、ワンダの手を引いて宿の奥に消えていった。
今まで俺には決して笑顔を見せる事が出来なかったコットンだったけど、まるで今回の感謝で何かが吹っ切れたみたいに、とても自然にとびっきりの笑顔を作ってみせてくれたみたいだ。
「コラダンっ! コットンの笑顔に見蕩れないのっ! コットンはもうワンダの奥さんなんだから、絶対に手を出しちゃ駄目なのーっ!」
「出さないよ!? 出す訳ないでしょ!? ちょっとほっこりした気分になってたのに、いつも通り台無しだよニーナァァァッ!?」
「ほっこりなんてさせないのっ! なんの為に最上階を貸切にしたと思ってるのっ!」
「まさかの故意かよ!? あまりの意外さに胸がドキドキしちゃう! これが恋って!? 喧しいっての!!」
「馬鹿なこと言ってないで早く行くよダン! 今夜は寝られると思わないでなの~~~っ……!!」
「それ絶対俺のセリフだからぁぁぁぁっ……!!」
すっかり発情状態になったみんなに引き摺られ、夢の一夜亭の最も高級な部屋に引っ張り込まれた。
部屋に着くと瞬く間に全裸に剥かれ、同じく全裸となったニーナに思い切り咥え込まれてしまった。
その後俺は即位式が進んでいく声を聞きながら、ただひたすらみんなの中に愛情と興奮で出来た子種を注ぎ込み続けたのだった。
1
お気に入りに追加
1,820
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる