異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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667 ※閑話 不満

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「えっ!? チャールとシーズってダンさんと婚姻しちゃったの!?」


 俺達がダンと婚約したと聞いて、分かりやすく驚くピレーネ。

 お前の方が婚姻結んだの早かったくせに、いくらなんでも驚きすぎだろー?


「ま、ピレ姉みたいに妊娠したりはしてないけどね。そういうのは年内はお預けなんだー」

「えっ? えっ? 婚姻を結んだのに子供は作らないってどういうこと? それじゃなんで婚姻を結んだの? ダンさんも人間族だったよね?」


 チャールの言葉に、ワケが分からないとしきりに首を傾げるピレーネ。


 俺達とダンの関係はちょっと複雑だよなー。

 っていうかこっちは孕んでやる気満々だってのに、ダンの方が勝手に渋ってるだけなんだけどよっ。


「俺達はダンに頼まれた仕事があるんだ。それにダンも今年中は忙しいって言うからさ。年内はお互いの事情を尊重しようって話になったんだよっ」

「うわ~、シーズったら滅茶苦茶不満そうだねぇ……。そんなにダンさんのこと好きなの?」

「へっ! 好きでもない男と婚姻結ぶわけねぇだろ。そして好きな男になら孕まされたいって思うのは普通じゃねーの?」

「ふ、普通かもしれないけど、あのシーズがそんな女の子らしいこと言うのは意外かな……」


 ん、確かにピレーネの言う通り、今まで俺はあんまり男に興味なんて無かったからなぁ。

 これは勿論15歳を超えられるか分からなかったってのもあるけど、男の魅力って奴が俺にはあまり理解出来なかったんだと思うぜ。


「ま、そんなわけでさ。私たちも年が明けたら孕まされる予定なんだー。ということで今後は母親同士としてよろしくね、ピレ姉」

「孕まされる予定ってなに!? あ、っと……。言うのが遅れたけど、2人とも婚姻おめでとう?」

「そこは素直に祝ってくれよ。俺もチャールも、ちゃんと好きな男に嫁いだ形なんだからさー」

「あは、そうだね。おめでとうチャール。おめでとうシーズ。来年からは母親同士、仲良くしようね」


 終始困惑していたピレーネだったけど、ようやく笑顔で祝福してくれたよ。

 ダンがややこしいことを言いやがったせいで、俺達の婚姻を人に説明するのがめんどくせーんだよっ。


「というかダンさんって、こんなに子供を産む気満々の2人を前によく我慢できるね? 子供が生まれたって税金で困るとは思えないし……。まぁダンさんの奥さん、皆びっくりするほど綺麗だからなぁ……」

「ほんとだよねー。翠の姫エルフのリーチェさんを筆頭に、ラトリアさんとかティムルさんとか魅力的な大人の女性も多いんだよー。新しく迎えたシャロさんとかもう色気がヤバイのなんのって」

「俺達と歳が近い女も美人揃いだからなー。フラッタなんて女の俺ですら見蕩れちまうぜ……」


 男に興味を持てなかったからって、別に女に興味があったわけじゃねーんだけどなぁ。

 ウチの家族くらい美人揃いだと、女から見ても普通に憧れちまうっつうか……。


「チャールもシーズも可愛いと思うんだけどねー……。特にマグエルに来てからは身奇麗になってるし、毎日充実してるのか表情だって活き活きしてるよ?」

「あはは……。最近はほぼ毎日お風呂にも入ってるからねー。でも流石にあのメンバーに飛び込んで自分の外見に胸を張るのは無理だってばーっ」

「客観的事実って奴だな。自分の容姿を卑下するつもりなんてねぇけど、ダンの嫁は常軌を逸した美人ばっかだからよー。とても張り合おうとは思えねぇって」

「ふぅん?」


 恐らくは俺達を励まそうとしたピレーネが、普通そうにしている俺達の反応に首を傾げている。

 ま、確かに普通の相手だったら嫉妬してないとおかしいかもしれない。


「2人とも、思ったより平気そうにしてるんだね? 抱いて貰えないのは容姿のせいだ、とか思ったりしないの?」

「無い無い。だってダン、最後までしないだけで私達の体を散々弄んでくれちゃってるからねー」

「本当に最後の一線を越えないだけでさ。そりゃもうエロいことばっかされてるぜ? 俺とチャールの体の中で、ダンの指と舌が触れてない場所なんてもう残ってないくらいだ」

「え、なにその話? ちょっと詳しく聞かせてくれないかしらっ?」


 ふんふんと鼻息荒く俺達を問い詰めてくるピレーネ。

 別に聞かれりゃ答えてやるけど、なにをそんなに興奮してるんだよ?


 ピレーネに聞かれるままに、根掘り葉掘りダンとの情事を話してしまう俺とチャール。

 そんな俺達の話をうんうんと頷きながら楽しそうに聞くピレーネ。


「って言うかチャール! 寝てる間に悪戯されてるなんて聞いてねぇぞ!?」

「あ、やばっ。これってシーズには内緒だったっけ……」

「お前なぁ……! 知ってたんならさっさと教えろよっ! お前、なにダンとグルになってやがんだ!」

「え~? だってすっごい気持ち良さそうにビクビクしてるのに、それでも目を覚まさないシーズが面白くって、つい?」

「道理で朝起きた瞬間から妙にエロい気分になると思ったよ! ひと晩中仕込まれてたんじゃねぇか! ふざけやがってぇ……! そこまでするなら最後までいけってんだ……!」

「そっち!? シーズがダンさんに怒りを覚えるポイントってそっちなの!?」


 俺とチャールのやり取りをハラハラしながら見守っていたピレーネが、思わずといった様子で思い切りツッコミを入れてくる。

 でもそんなに驚くことか? 嫁に貰ってもらったんだし、抱いてもらえねぇ方が腹立つのは当たり前じゃねぇ?


「ん~。2人の話を聞く限り、ダンさんが2人に性的な魅力を感じているのは間違いないよね……。なのに抱いてくれないなんて、体力的な問題とか?」

「へ? いやいや、だからさっき説明したじゃないピレ姉。私たちはお互いにやることもあるし、遅くても年明けには抱いてもらう約束なんだよー。というか体力の問題あったら、私たちのほうがついていけてないからねー?」

「え? え、だってチャールとシーズって、まだ抱いてもらってないんじゃ? それにダンさん、10人以上お嫁さんがいるのに、何で2人の方がって話になるの?」

「ダンの奴はマジで底無しだからなぁ……。職業補正って言ってるけど、それだけじゃ説明できねぇよ。毎日毎日寝る間も惜しんで全員が失神するまで……いや、失神してもひたすら続けやがるんだぜ? だからニーナたちも新しく嫁を増やす事に積極的なんだよ」


 慄くピレーネに、我が家での日常的な寝室の光景を説明する。

 改めて考えると、いくら職業補正があるとは言え、ダンっていつ寝てるんだろうな?


「え、えぇ~……? 男の人って数回もすれば満足するものじゃないの……? 毎日ひと晩中って、えぇ……?」

「いや、ダンを普通の男として語るのは無理があるって。仮に職業補正があるにしても、普通の男の人だったら飽きて止めちゃうと思うんだ」

「ああ。他の男のことなんて知らねぇけど、ダンが言うには1日に1~2回もすれば満足するって言ってたぜ? 毎日数回してる時点で充分じゃねぇの?」

「あっ、そ、そういうものなんだ……? なんだ、じゃあワンダはむしろ多いくらいなのかなぁ……」


 どうやらこの感じだと、ピレーネはワンダとの性生活に満足出来ていないみたいだ。


 でも、う~ん……。あんまり余所の寝室事情なんて聞きたくないんだけどなぁ……?

 あんまりそういう事聞かされると、今度ワンダと会った時に話を思い出して気まずくなりそうじゃねぇかよぉ。


「ねぇねぇピレ姉。確かピレ姉と一緒にワンダのお嫁さんになったコットンって、何か事情があったんじゃなかったっけ」

「あ、うん。昔年上の孤児に無理矢理襲われた事があってね。未だにダンさんにも普通に接することが出来ないって悩んでるんだ……」

「ワンダってもう冒険者の浸透も終わってんだよな? それでもピレーネが満足してねぇってなら、普通にコットンに気を使ってんじゃねぇの?」

「あ~。やっぱりそうなのかなぁ……? ワンダ、優しいもんね……」


 なんだか申し訳無さそうに俯くピレーネ。

 ピレーネとしてはもっと愛し合いたいけれど、コットンの事情を考えると無理も言えなくて悩んでるって感じか。


 ダンに一方的に弄ばれてる俺とチャールからしたらピレーネの不満に共感することは出来そうに無いけど、ピレーネの様子を見る限り結構深刻そうな悩みに思えるなぁ。


「ねぇねぇピレ姉。つまりピレ姉は夜の生活に満足できてないってことで合ってる?」

「えっ……! あ、そのっ……」


 なんて考えていたら、チャールの馬鹿が直球でピレーネに確認しやがった!

 チャールの不躾な問いかけに、ピレーネもどう答えていいかしどろもどろになっちまったじゃねぇか!


「こんの馬鹿チャール! お前、もうちょっと言葉選ぶとかしろよっ!」

「えー? だって今更じゃない? さっきからどれだけえっちな話してると思ってるのよー」

「それにしたって直球過ぎだろっ! 夫婦生活の話なんてデリケートな話題に決まってんだろ! それをお前なぁ……!」

「……ううん。大丈夫だよシーズ。チャールが私を心配して言ってくれてるのが分かってるから」


 チャールを嗜めようとする俺を、ピレーネが大丈夫だよと制止する。


「こんなこと言うのもアレなんだけど……。出来ればもう少し愛し合いたいなって思ってるんだ。でも、ね……」


 やっぱり少し申し訳無さそうに、夜の生活に満足していないと告白するピレーネ。


 どうやらピレーネはワンダともっと愛し合いたいと思っているようなんだけど、今まではワンダに気を使って不満を切り出せなかったらしい。

 けれど今回俺達の話を聞いて、やっぱりもっと愛し合いたいという想いが強くなったみたいだけど、今度はコットンの事情を思い返して悩んでいるようだ。


 ワンダは持久力が上がる職業をいくつか浸透させているはずだけど、それでも満足出来ないなんて大変だなぁ。

 やっぱりダンみたいに好色家を浸透させないと、複数人を満足させるのは難しいんだろうか?


 悩むピレーネには申し訳ないけれど、俺とチャールにはピレーネの悩みを解決する方法は思いつかない。

 うちのみんなみたいに好色家を浸透させるのが1番いいんだろうけど、好色家には転職魔法陣が無いからな……。


 フォアーク神殿に行くって言っても馬鹿みたいに高い利用料金の上に時間も掛かるらしいし、行ったとしても確実に好色家を得られるかどうかは分からないんだよなぁ。

 それに魔物狩りを頑張っているワンダに、夜の生活が不満だからと戦闘にあまり関わりの無い職業についてもらうのには抵抗があるようだ。


 その後も3人で解決策を話し合ってみたものの、結局妙案は思い浮かばなかった。




「……というわけなんだよ。何かいい方法はねぇかなぁ?」

「…………ワンダの性生活の事情とか知りたくなかったぁ」


 俺もチャールも解決策が思いつかなかったので、家に帰ってダンに相談することにした。

 ダンよぉ。お前アレだけエロいことばかりしてくるくせに、今更そんなこと気にしてんじゃねぇっての!


「ねぇダン。ワンダとピレ姉に好色家を設定してあげるわけにはいかないかなぁ?」

「ん~……。それはちょっと慎重に行きたいね」

「はぁ? なんでだよ? 夜の生活に不満があるなら、好色家を浸透させるのが1番手っ取り早いじゃねぇか!」

「いやぁ2人は好色家を軽く考えすぎなんだよ? 性生活に直結する職業スキルって、男女のバランスが取れてないと下手すりゃ死ぬこともありえると思うんだ」


 俺とチャールのお願いに、ダンは自分とニーナたちのエピソードを教えてくれた。


 始めは好色家の浸透が足りなくて、ダンが皆を無理して抱きすぎて意識を失った?

 次に好色家を浸透させたダンの精力にみんなの体が耐えられなくて、みんな好色家を浸透させる事になった?


 けれど更に持久力を上げて精力を増進させたダンについていくのが難しくて、みんな積極的にダンの嫁を増やそうとしているって……。


「チャールとシーズはまだ抱いてあげれていないけど、それでも結構ヘトヘトになってるでしょ?」

「そ、そりゃああんなに長時間、しかも執拗にされたら疲れちゃうのは仕方ないでしょ……?」

「俺さ、アレでも2人の負担が限界を超えないように気を使ってるんだ。女性側が好色家を得るのは問題ないと思うんだけど、男性側が好色家を浸透させるのは少し慎重にならないといけないんだよね」


 なんだよそれ……? その理屈で言ったら、ピレーネには好色家を浸透させられるけど、ワンダには難しいってことじゃねぇか。
 
 夜の生活に満足していないピレーネの方が好色家を浸透させても、なんの意味ねぇじゃねぇかよ……。


「じゃあやっぱピレーネは我慢するしかねぇってのか……?」

「いや。性生活の不一致は割と深刻な問題だと思う。早めに解消しておかないと不味いんじゃないかな」

「なっ……!? じゃあどうしろってんだよ!?」

「ん~、仕方無いかぁ……。悪いけど2人とも、ワンダとアポ取ってくれる? 俺が話をしてみるよ」


 ダンに相談しても解決策が見つからない。

 そんな風に絶望しかけた俺達だったけど、ダンには何か考えがあるみたいだ。


 俺達じゃ好色家以外の解決策なんて思いつかねぇし、ここは大人しくワンダとダンに会ってもらうしかねぇな……。

 俺とチャールはダンを信じて、後日ピレーネと会う約束を取りつけたのだった。






「ありがとう2人とも! おかげですっかり満足出来るようになったわっ!」

「「へ?」」


 数日後、珍しくピレーネの方から訊ねてきたと思えば、性生活の不満がすっかり解消されていた。

 ピレーネもワンダも転職したわけじゃないらしいし、そもそもダンはピレーネに接触していないそうだし、いったいアイツはなにをやったんだ……?


 その日の夜、俺達の中を指で掻き混ぜながらダンが解説してくれた。


「早い話、今2人にしていることをワンダにもするようにお勧めしたんだよ」

「な、んでぇ……? ワンダとピレ姉はぁ、直接愛し合えるのに、いぃ……!」

「ちょっと気が引けたけど、ワンダに普段の性生活の話を聞いてみたんだ。そうしたら案の定前戯が足りてない感じだったからね。本番前にもう少し相手を気持ちよくさせるように言ったんだよ」

「ど、ういうこと、だよぉ……!? ピ、ピピピレーネもぉ、毎回こんなっ、こんな死にそうなほど気持ちよくさせられてんのかぁ……!?」

「……シーズって、無自覚に興奮を煽るの上手いよなぁ。ま、詳しく説明してあげるね」


 俺達の首筋やおっぱいにキスをしながらダンがしてくれた説明によると、男と女が1つに繋がった場合、多くの場合は男性の方が先に果ててしまうらしい。

 ダンが初っ端から根元まで突っ込んで、今みたいにひと晩中ニーナたちの中に出しているのはあくまで職業の祝福によるもので、ニーナと2人きりの時はニーナを満足させるのにかなり苦労していたそうだ。


「女性の体ってデリケートで複雑でさ。何も考えずに突っ込んで腰を振ってもなかなか気持ちよくなってくれないんだ。こうして2人の中をじゅぼじゅぼくちゅくちゅしてるのも、雑に見えてちゃんと2人の反応を窺いながら続けてるんだよ」

「え、えぇ……!? つ、つまりぃ、ただ指を入れられるだけじゃ、普通はこんなに、気持ち良くないのぉ……!?」

「女の人って本当に難しいんだよ。同じことをされても、別の男にされたら感じ方が変わったりね。チャールが気持ちよくなってくれているのは、お前が俺を好きでいてくれているからだよー。ちゅっちゅ」

「ふざっ、ふっざけんな……! ピレーネだっ、てぇ……! ワンダのことを、ちゃんと愛しっ、てぇ……!」

「だから難しいって言ってんの。好きな相手に触れられても、本人がどんなに気持ちよくなろうと望んでいても、それで気持ち良くなれるとは限らないから難しいんだよ」


 俺の乳首をはむはむと甘噛みしながら、ダンが前準備の重要性について懇々と説明してくる。


 なんでも女の体ってのは、触れられれば触れられるほど感度が上がる仕組みらしく、上手く仕込めば全身何処を触れられても気持ちよくして貰えるんだそうだ。

 俺とチャールを頑なに抱かないくせに、それでも執拗にこうして快楽を与えてくるのは、来るべき本番の日に備えて文字通り俺とチャールの体をダン好みに仕込んでいるらしかった。


「し、仕込みって……。本当に文字通り、ダンの手で仕込まれてたのぉ!? 私たちってぇ……!」

「たたた、確かに言われてっ、みればぁっ……! 始めの頃より、どんどん気持ちよくさせられてぇ……!?」

「女性の体って本当に難しいものだけど、だからこそ滅茶苦茶興奮するんだよねーっ。始めは反応の鈍かったチャールとシーズが、おっぱいをちゅぱちゅぱされるだけでぎゅーっと締め付けてくるようになってるみたいに、自分の手で女性を悦ばせる達成感って言うかさー」

「「あっあっあぁぁっ……! か、考え事しながらグチュグチュやめ、てぇっ……!」」


 ダンはまるで自分の説明を実証するように、俺とチャールの体を弄り続ける。

 ダンの説明を裏付けるかのように、ダンに応えてひたすら昂り続ける俺とチャールの体。


 今までコレを知らなかったワンダが、これからこんな風にピレーネとコットンを昂らせるようになったかと思うと……。

 ピレーネに付き合わされるコットンに、俺はちょっとだけ同情してしまうのだった……。
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