異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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8章 新たな王と新たな時代2 亡霊と王

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「アウラに関して新たに分かったことは無かった感じかぁ。了解、調査お疲れ様っ」


 元ホムンクルス計画の研究施設で、みんなにたっぷりと注ぎこみながらキュールの調査報告を聞いた結果、新たなホムンクルスが作り出される心配は無いけれど、その一方でアウラに用いられた技術を俺達の子作りに活かすのは難しいという結論に到った。

 まぁいい。道具に頼らず自力で孕ませてみせるよ、全員ねっ!


「それじゃ脱出しようか。もう次の機会は無いと思うけど、未練や心残りは無いかな?」

「心残りと言うなら、ダンさん達が暴れる前に調査に来たかったってくらいだねぇ」


 マジックアイテムや研究資料、何よりアルケミストたちが生きているうちに来たかったと溜め息をつくキュール。


 確かにキュールと知り合ったタイミング的に、キュールを連れてくる未来もあったかもしれない。

 でも仮にキュールを連れて来れたとしても、ゆっくり話や調査が出来たかは微妙かな?


「あとは念入りに触心も行なったし、ティムルさん同様、私にもこれ以上拾える情報は無いと思うよ」

「そっか。キュールでもお姉さんでも拾える情報が無いなら調査終了かなぁ」

「それで構わない。今日は連れてきてくれてありがとうダンさん」


 お礼はコレでいいよとキュールと唇を重ねて、調査の終了が決定する。


 450年も続いたドワーフたちの狂気の研究も、これで完全に幕を閉じる事になるんだなぁ。

 ま、アウラが居る限り、ドワーフたちのやったことは消えないだろうけどね。


 さ、それじゃ最後に念のため、アルケミストの生き残りに話を聞いて締めるとするか。


「一応これからカイメンに話を聞きに行こうと思うんだけど、ここを出たらみんなは先に奈落の前で休んでてくれる? っと、究明の道標の3人には同行してもらおうかな」

「私たちが同行しても役に立てないと思うけど……。あっ、えっちな事がしたいから同行しろって?」

「俺はいつでも大歓迎だぜっ! っていうかここまでやったんだから、普通に抱いてくれたっていいじゃねぇかよ……。みんなばっかりズリぃよ……」

「ハイハイ2人とも。あんまり俺を煽らないでくれる?」


 究明の道標に同行をお願いすると、たった今家族の愛の営みを目の前で見せ付けられたチャールとシーズが顔を赤くして聞いてくる。


 抱いてくれよとぉしょんぼりしているシーズをよしよしなでなで。

 ガサツで男勝りとか言う割に、中身が1番女の子してるんだよなぁシーズは。


「3人を同行させるのは、好奇心の強い3人なら食いつく話じゃないかと思っただけだよ。これから会いにいく男は、アウラを生み出した研究者たちの最後の生き残りだからさ」

「確かに同じ研究者としては興味をそそられるね。是非同行させてもらうよ」

「研究者として……。そっか、そもそも俺だって研究者としてダンに迎えられたんだった……」


 興味津々なキュールの様子を見て、落ち込んでいたシーズも少し調子を取り戻す。

 どうやら研究者として同行させると聞いて、お嫁さんモードから仕事モードに意識を切り換えてくれたようだ。


「他のみんなにはいつも通り奈落で待ってて欲しいんだけど……。シャロが奈落に行っても仕方ないかな? シャロもこっちに来る?」

「勿論ご一緒させていただきますっ。キュールさんたちみたいにお話に加わることは出来ないと思いますが」

「全然構わないよー。カイメンの話なんて念のために確認するだけだからねっ」


 たたたーっと駆け寄ってきたシャロを、シーズと一緒に抱き締める。

 あまり情熱的なところを見せてくれないキュールとチャールの2人は、シーズとシャロを抱き締める俺から1歩離れた位置で移動を待ってくれている。


「それじゃいってくるよ。そっちはお願いねニーナ」

「いってらっしゃーい。こっちは母さんたちの職業浸透を確認しておくのー。あ、そうだ」


 笑顔で俺を送り出してくれるニーナにキスをしようとすると、俺の唇をほっぺで受けたニーナが何かを思い出したように声をあげた。

 そのままニーナのぷにぷにほっぺをちゅうちゅう吸いながら彼女の言葉を待つ。


「ねぇダン。母さんたちもレガリアの残党狩りに参加してもらうのー? もしもダンがその気なら、先に合流して説明しておくよ?」

「んー? 俺は参加してもらうつもりでいたけど、危険だったりする? ムーリもヴァルゴに槍を見てもらってるわけだし、対人技術は充分な水準だと思ってるんだけど」

「ええ。ムーリの槍もかなり上達していますよ。アウターで日々実戦も重ねておりますしね」


 その辺どうなのーとヴァルゴの方を見ると、ヴァルゴも笑顔で頷きを返してくれる。

 最強の槍使いであるヴァルゴが成長を認めるほどにムーリは強くなってくれているようだ。


「ただ未だムーリは訓練でしか対人戦を経験していないはずですから、単独で行動させるのはちょっと危険かもしれません」

「元々単独行動させるつもりはないよ。俺達仕合わせの暴君メンバーも含めてね」


 家族のみんなを侮るつもりはないけれど、未知のマジックアイテムを持っている可能性があるレガリアを侮るのも危険だろう。

 用心と警戒はしすぎるくらいでちょうどいいさ。


「俺はキュールとシャロと一緒に回るつもりだから、他のメンバーで適当にペアを作ってもらえたらありがたいかな?」

「それならニーナちゃんとフラッタちゃんはそれぞれ母娘で、私とアウラがドワーフ繋がり、ムーリとリーチェがおっぱい繋がりペアでいいんじゃないかしらぁ? あとは残ったエマとヴァルゴがペアね」

「他に希望が無ければ、今お姉さんが言った組み合わせで構わないよー」


 一瞬でペアを振り分けてくれたティムルの意見を採用する。


 今言った組み合わせで特に問題は無い、よな?

 特にリーチェとムーリのおっぱいペアには心から賛同したいところだ。


 けどこの組み合わせで行くと、フラッタ、ラトリアペアが微妙に不安……か?

 いや、ラトリアもフラッタもいざって時は躊躇無く人を斬れそうだし、心配するのは過保護すぎるか。


「っと、チャールとシーズが参加する場合は俺と同行してもらおう。もう家族になった2人を除け者にするわけにはいかないしね」

「あはーっ。新妻2人にいーっぱいかっこいいところ見せちゃいなさいねーっ。今のところ、えっちなところしか見せれてないもんねー?」


 いやいやティムル。

 それ以前に、レガリアの残党狩りの件はまだ2人に説明してないんだってば。


 対人戦が予想されるから、2人が参加を希望するかどうかはちょっと読めないな。

 キュールが参加するから一緒に来るかなーとは思うけど、もしも参加を断られたら後方支援にでも回ってもらえばいっか。


「じゃ、またあとでねダン。新妻4人にあまり悪戯しちゃダメだよーっ?」


 からかってくるリーチェのおっぱいを新妻の代わりにたっぷり揉みしだく。

 仕合わせの暴君メンバーをキスで送り出してからシャロとシーズを抱き寄せて、カイメンの反応を頼りにとりあえずアウター管理局に転移した。


 しかし残念ながら、アウター管理局の内部にはカイメンの反応は無さそうだ。


「ありゃ、ハズレか。でもカイメンの反応は行ったことのない場所にあるみたいだから、ここからは徒歩で移動しよっか」

「ちょうどいいね。道すがらチャールとシーズに事情を説明させてもらうよ」


 キュールが2人への説明役を買って出てくれたので、お願いしますと丸投げする。

 既に組織レガリアのことはキュールから聞いていたらしい2人は、残党狩りについてもスムーズに理解が及んだようだ。


「キュールさんが参加するなら私たちも同行させて欲しいな。完全にお荷物で申し訳ないんだけどねー」


 そして案の定、残党狩りへの参加を希望するチャールとシーズ。

 2人ももう家族なんだから、つまらないこと気にしなくていいんだよー。ちゅっちゅっ。


「私たちは同じパーティの仲間だから、なるべくキュールさんと一緒に行動したいんだ。宜しくねダン」

「かっこいいところ見せてくれるんだろー? 期待してっからな、ダンっ!」

「あんまり期待されても困るよー? 作業みたいに淡々と片付けちゃう可能性も高いしね。……っと、ここがカイメンの居る場所みたいだ」


 暴王のゆりかごの入り口から程近い場所にクラクラットの中では大きめの建物が建っており、その建物に無数のドワーフが引っ切り無しに出入りしているようだ。

 カイメンの反応は建物の中にあるんだけど、いったい何の建物なんだろうな?


「俺も初めて入る建物だね。とりあえず中に入ってみよう。もし怒られたら従属魔法でカイメンのほうを呼び出せばいいし」

「ナチュラルに暴君ムーブするご主人様、素敵ですっ」


 俺の存在を全肯定してくれるシャロに褒められながら、ドワーフたちに混じって建物に足を踏み入れる。

 女性を見かけることが少ないクラクラットで、5人の女性を侍らせている俺の姿はかなり目立ち、建物に入った瞬間ちょっとザワついてしまった。


 しかしそんな周囲の注目も何処吹く風と、マイペースに辺りを見渡すチャール。


「んー? 周りの人、それなりに装備が整ってる人が多いかなー?」

「だね。恐らくドワーフ族の魔物狩りが集まっているんだろうけど……。アウター管理局ではなく、別の場所に魔物狩りが来る用事があるのかな?」

「あーーーっ!? また違う女を連れていやがるーーーっ!?」


 突如上がった叫び声。

 ……クラクラットに来ると毎回体験してるよなぁ、このパターン。


 どうせ今回もアイツなんだろうなと視線を向けると、そこには案の定、俺の方を指差して震えているマイスの馬鹿面があった。


「……ようマイス。人の妻を無断で指差すの止めてくれる?」

「全員お前の嫁とかふっざけんなっ!! 来る度来る度違う美人を侍らせやがってぇ!!」


 何気にクラクラットに来る度に顔を合わせてるから、コイツとのやり取りに慣れ始めてる自分が嫌なんだよ?

 柄が悪いだけで根は悪い奴じゃないって分かっちゃったから、あんまりぞんざいにも扱えないし。いや扱ってるか?


「ってか今日はマイス1人なんだ? タリクが居ないなんて珍しい」

「タリクはちょうど今順番が来て呼ばれてっただけだよ!! ダンこそたまには1人で行動してみやがれってんだ!」

「嫌だよ。なんでこんなに可愛い奥さん達がいるのに、モテないマイスみたいに1人で行動しなくっちゃいけないんだよ。マイスこそたまにはタリク以外の人物と行動したら?」

「それが出来んならとっくにやってるっての!! どうやったら婚姻相手が見つかるんだよっ!? くっそーーーっ!!」

「うるせぇぞマイス! ギャーギャー騒いでんじゃねぇ! 周りの人が迷惑してんだろうがぁっ!!」


 自身も怒声を上げて周囲に迷惑を振り撒きながら、ここで満を持しての相方タリクの登場だ。

 流石に周囲の視線も剣呑なものに変わりつつあったので、マイスとタリクを引っ張って壁際に移動して話を聞いた。


「へ? 戦士と旅人の転職施設? ここが?」

「ああ。昨日ダンが帰ったあと、カラソルさんとカイメンさんが最優先で準備してくれてなっ? 転職希望者が殺到してるワケよ」


 見覚えのない建物だとは思ったけれど、今まではあまり使われていなかった建物を急遽整備して転職魔法陣を設置したらしい。

 カラソルさんは出来れば各職業ギルドを誘致したいようだったし、暫定的に用意された施設なわけだ。


「転職に必要な費用もクラクラット持ちだからよ。ご覧の通りごった返してて、まだ希望者全員の転職が追いついてねぇんだわ」


 たった今俺も戦士になって来たぜ! と得意げに語るタリク。

 確かにカイメンにサークルストラクチャーをいくつか渡した覚えはあるけど、昨日の今日で転職魔法陣を起動するとは、思ったより仕事が早いなアイツ。


「ってタリス。お前って職人連合に所属してなかった? 職人崇拝のお前らドワーフが、戦士や旅人になるのに抵抗は無いの?」

「みんな少なからず抵抗はあると思うぜ? だけど転職が無料で解放されてるのはこの2つだけだし、今後は街の外に魔物が出るって話なんだろ? クラクラットを守るためにも若い男衆から率先して転職しにきてんだよ」


 どうやら今までクラメトーラでは魔物が出なかったため、年寄り連中が思った以上に魔物の脅威に怯えているらしい。

 それに職業浸透の話を聞いて魔物を狩るほどに職人としての成長も見込めると知った若い連中たちは、積極的に戦士への転職を希望しているようだ。


「まだクラクラットは石造りの建物も多くて安全だけどよ。クラマイルの奴らは魔物に備える為に必死なんじゃねぇかなぁ」

「あ、転職してるのってクラマイルの人たちなんだ?」

「勿論クラクラットに住んでる奴も戦士になったり旅人になったりしてっけど、メインはクラマイルの奴らだな。魔物に備える為に戦士になる奴も多いけど、どっちかっつうと疲れにくくなってインベントリが使えるようになる旅人が人気らしいぜ」


 魔物が出るようになったからクラマイルの安全を確保する為に戦士に、苛酷な労働環境で働いているから持久力目当てで旅人になるのか。

 流石ワーカーホリック気味のドワーフ族。分かりやすい選択だな。


 本音で言えばみんな職人を目指したいっぽいけど、身の安全や家族たちの命には代えられないもんな。

 始めは半強制的にでも戦闘職の人口が増えて欲しいところだ。


「なにやら注目されていると思ったら、やはりダン様ではないか。昨日の今日で顔を見せるとは流石に予想外だったぞ?」

「あ、カイメン」


 タリクの話を聞いていると、どうやら奴隷契約で繋がった俺の反応を感じ取ったらしいカイメンの方から会いにきてくれた。

 付与術士を浸透させているらしいカイメンの登場に、周囲のドワーフたちからは憧れの視線が集まってくる。


「お前に用があって来たんだ。そっちからきてくれて助かったよ。でも次ダン様って言ったら殴るからね?」

「あ、相変わらず貴様の思考は理解できんなぁ……」


 様付けするなと軽く牽制しておく。

 理解しろよ。ドワーフ族のオッサンに敬われても嬉しくないんだって。


 じゃあなとタリスとマイクに別れを告げて、カイメンにホムンクルス計画について話を聞きたいと伝える。


「話をするのは構わんが、今更何を聞きたいというのだ? ホムンクルスはもう終わったのだと、貴様自身が口にしていたではないか」

「お前らが人間族の魔力だけ付与しなかったせいで、俺とアウラの間に子供が作れないんだよ。だからその解決方法の糸口を探してんの」

「せ、聖女アウラと貴様の子供かぁ……! それは実に心踊る話ではないか……!」


 アウラと俺の間に子供を作る話を聞いたカイメンは、完全に孫の誕生を待ち侘びるお爺ちゃんにしか見えない。

 反対されるかもなーなんて考えていたのに、カイメンは意外にもノリノリで協力してくれそうだ。


 ……お前らアルケミストがしたことって、そんなに長閑な行為じゃないと思うんだけどなぁ?


「だが……。せっかく足を運んでもらっておいて申し訳ないが、俺から貴様の望む答えは返せそうもないな……」

「ふぅむ。流石にそう上手くはいかないかぁ」

「ナーチュアクレイドルがレガリアから提供されたものではないのは間違いないはずだ。でなければレガリアとの取引材料になっている筈がない」


 ションボリと肩を落すカイメンによるとナーチュアクレイドルの出所は不明で、長年研究は続けられていたものの、遂に再現には到らなかったようだ。


 ナーチュアクレイドルのことを調査する為にレガリアに情報を公開し、その見返りに様々な援助をしてもらっていたそうだ。

 クラメトーラの人々が飢えない程度の食糧支援や、偽竜の卵や縛鎖のペンデュラムの提供などなど、その支援は長期的かつ多岐に渡って行なわれたらしいね。


「むしろナーチュアクレイドルが既にその手にあったからこそ、我らの祖先はホムンクルス計画を始めるという発想に到ったのだろうな。ゼロからホムンクルス計画を始めようという発想にはまず到らないだろう」

「研究資料は可能な限り押収したけど、まだ殆ど確認してないんだよね。アルケミストの資料の中にナーチュアクレイドルについての記録は何か無かったかな?」

「研究記録以外の資料は無かったはずだ。俺は元々ドワーフ族に伝わっていたモノなのではないかと思っているが、証明する手立ては無い。ドワーフ族がこの地を目指す前の資料や記録は、その一切が残っておらんからなぁ……」


 過去の資料が失われたとか、ここでもアルフェッカ崩壊が尾を引いてくるのか……。

 ほんっと余計な事をしてくれたもんだよ、ガルクーザさんは。


 カイメンの説明に、これは仕方ないねと肩を竦めてみせるキュール。


「レリックアイテムを人の手で再現するのはほぼ不可能に近いからねぇ。大幅に劣化していたとは言え、似た様な効果の移魂の命石や呼び声の命石を開発した組織レガリアは相当優秀だと思うよ」

「ナーチュアクレイドルがレリックアイテムだったかどうかは分からんがな」


 既に普通に会話しているキュールとカイメン。

 この2人って初対面のはずだけど、研究者同士でシンパシーでも感じているのかね。


「だがマジックアイテムには違いない。だから大サイズのインベントリ持ちも多かったドワーフ族たちが密かに伝えてきた秘宝だったのではないかと睨んでいる」

「大サイズ……。27㎥のインベントリなら、アウラがすっぽり入るような培養槽も余裕で収納可能、かぁ」


 付与術士になるのがアルケミスト加入の最低条件だったらしいから、最短コースで付与術士になったとしたらインベントリはLV150分で、270には届かない。

 けれど研究施設にアナザーポータルで出入りしていたことを踏まえると、最低限旅人分の30と冒険者分の50レベル分インベントリが拡張しているはずなので、そこから更にもう1つ何か生産職を浸透させれば大サイズインベントリが習得できるわけだ。


 一般の魔物狩りにはインベントリが使えない奴もゴロゴロ居たけど、アルケミストの加入基準を満たそうとすると普通に到達しそうだ。

 職業浸透数だけを見るなら本当にエリート集団って感じだったんだな、アルケミストたちって。


「アルフェッカ以前……邪神降臨前の歴史的資料は悉く消失してるからね。これはドワーフ族に限った話でもないし、どうしようもないよ」

「レガリアの設立もアルフェッカが無くなった後だもんな。レガリアにも記録が残ってなくても仕方無いかぁ」

「そういう意味では早く教会の調査を行ないたいところだよっ。即位式、早く終わってくれないかなぁっ」


 ワクワクした様子で身を乗り出すキュールを、よしよしなでなでして落ち着かせる。


 わざわざ話を聞きに足を運んだけど、有益な情報は特に得られなかったな。

 分からない事が不明なままであると確認できただけって感じだ。

 ドワーフ族がゼロから人工生命体を生み出したわけじゃないと知れて、ちょっとだけ安心できたけどね。


 ま、過去に目を向けるのは今回で最後だ。

 過ぎてしまったことはもう割り切って、これから訪れるみんなとの淫靡な未来に目を向けていかなきゃなっ。
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