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8章 新たな王と新たな時代1 色狂いの聖女
564 倫理 (改)
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「おはよ~ダン……って、その調子じゃ邪魔できそうにないわねぇ?」
欠伸を噛み殺しながら挨拶してくれたティムルが、俺と楽しげにキスするシャロの姿に苦笑している。
目を覚ましてからずっとシャロとの甘やかしキスをしていると、1人、また1人と愛しいみんなが目を覚まし始める。
けれど肝心のアウラとフラッタが目を覚まさないので俺はまだ身動きが取れず、2人が目を覚ますまでひたすらシャロとキスをし続け、その間に他のメンバーで朝食の準備までしてくれたようだった。
……確か俺が目覚めたのって、まだ夜明け前じゃなかったっけ? いったい何時間シャロとキスをし続けたんだろうなぁ?
というか、よくキスだけで我慢したもんだよ、お互いに?
「んふー。おはようなのじゃ~……」
「ふぁ~……。おはようパパぁ……。でもパパは挨拶が返せなさそうだね~……」
目が覚めたのに俺の腕の中から出て行こうとしないフラッタと、欠伸をしながら俺のほっぺにちゅっとキスをしてくれるアウラ。
シャロとキスをしながら、2人の頭をよしよしなでなでしてあげる。
さて、このまま穏やかに朝の時間を過ごしたいところだけど、流石にアウラへの魔力供給と職業設定をしてしまわなきゃいけない。
それに昨晩はみんなと愛し合えなかったんだから、その分までしっかりと注ぎ込んであげたいところだけど……。シャロの扱いってどうしよう?
「シャロ。そろそろ起きるよ」
「ぷはぁ……っと、お待ちくださいっ」
とりあえずキスを終了して、まだ続けたそうなシャロを抱き締める。
しかしシャロは追い縋るように顔を近づけてきて、まだキスをしたいとおねだりしてる。
シャロの動きを制する意味も込めて、彼女を抱き締める両腕の力を少しだけ強くする。
「あ……ふぅ……」
強く抱き締められたシャロはなんだか心地良さそうに息を吐いて、俺にすりすり頬ずりし始めた。
必死に俺の唇を求めるシャロの姿に興奮しか覚えないけど、このままだと永遠にキスし続けちゃいそうだからな。
ぎゅーっとしてあげるから、今はちょっとだけ落ち着いてねー。
「随分と可愛い反応だねシャロ。そんなに俺とのキスが楽しかった?」
「楽しかった……。そう、楽しかったのかもしれません。私は快楽を得るためにしかキスをしたことがなかったものですから、ダンさんの構ってくれるようなキスがなんだか楽しくて楽しくてっ」
「そっかそっか。俺の可愛いシャロが楽しんでくれたのなら何よりだよ」
「ふふっ。可愛いですか私っ? もう24の年増なんですけどっ」
へぇ~。シャロって24歳なんだ。
第1王女って言うから長女なんだろうに、耄碌ジジイにしか見えなかったシモン前陛下の長女にしては年若くない?
「自分より年下の女性を年増扱いする気はないよ。というか女性の可愛さって年齢はあまり関係ないからね?」
我が家には40を過ぎても可愛さの塊みたいなラトリアもいるし?
というか可愛さって結局、相手へ好意を抱いているかどうかで感じるものだと思うんだよなぁ。
それにしてもひと晩えっちをお預けされている状態だというのに、ベッドの上でシャロを抱きしめながら雑談するのがなんだか楽しくって困っちゃうな。
「……なんだかこそばゆいですね。今まで肌を重ねてきた男たちは私の体ばかり褒めてきたっていうのに、ダンさんは私の体には一切言及しないのですから」
「シャロの体を褒めるのはこのあと予定してるからね。今は俺の可愛いシャロを褒めちぎりたいんだーっ」
「ん、はぁぁぁ……」
ぎゅーっと抱きしめて、シャロのほっぺに何度もキスをする。
ちなみにフラッタもアウラもまだ俺の腕に収まったままなので、2人のことも一緒に抱き締めちゃってるんですけどね。
3人をぎゅーっと抱き締めたまま、我が家の司令官ニーナにこのあとの事を相談する。
「ということでニーナ。今からみんなと愛し合いたいんだけど、シャロの扱いはどうしよっか?」
「どうしようって何が? 別に一緒に抱いちゃえば良くない? ダンが何を迷ってるのか分からないの」
「いや、俺とシャロは同じ人間族だからさ。みんなと同じように抱いちゃったら1発で孕んじゃうでしょ? だからちょっと迷ってるんだよねー……」
シャロとの間に血の繋がった子供を作ろうとは考えていない。
けどえっちしちゃったら避妊なんて絶対にしたくないのだ。最低かもしれないけど生で出してそのまま余韻に浸って、抜かずに何度も中で出したいのだ。
けれど俺としては、俺の娘はアウラだけだと思ってる。
ムーリとの子供という意味ではトライラムフォロワーのことも我が子だと思っているけれど、あいつらはもう自立して自分の足で歩み始めているからな。
俺が居ないと生きていけないアウラとは、俺の中の認識が既に違ってきてるんだよね。
「ん~? 私にはダンが何で悩んでるのか分からないのっ。シャロを孕ませて何か問題があるの?」
「……いや、問題って言うかさぁ。俺にとってはアウラだけが自分の娘のつもりだったから、女性を孕ませるって発想が無くって?」
なんで妻であるニーナのほうがガンガン行こうぜで、孕ませる側の俺の方がしどろもどろになっちゃってるんでしょうね?
俺に孕まされると聞いて、赤くなってモジモジしているシャロ可愛いなぁと暢気な事を考えていると、俺の悩みの本質にティムルがズバッと踏み込んでくる。
「あー……ダン? 貴方もしかして私たちに気を遣ってる? 私たちが貴方の子供を孕めないから、他の女性を孕ませることを躊躇ってるんじゃないでしょうねー?」
「うっ……。そ、そうなの……かな?」
ティムルに指摘されるまで自覚は無かったけど、結局はそういうことなのかもしれない。
もしも誰かを孕ませてしまったら、血の繋がっていないアウラの事を、子供を作れないみんなのことを蔑ろにしてしまうんじゃないか……。
そう思って不安を抱いてしまっているのかもしれないな。
「ふむ。その反応はティムルの言う通りみたいですね? でも旦那様にも自覚は無かったって感じですか」
「あははっ。ヴァルゴもすっかりダンの奥さんらしくなったねっ? そうなんだよー、ダンは自分が1番自分の心を分かってないから困っちゃうのーっ」
腰に両手を当てて呆れるヴァルゴと、腹を抱えて爆笑するニーナ。
妊娠の話って結構重い話題のはずなんですけど、我が家の空気は随分軽いっすねぇ!
「いや、ダンが馬鹿馬鹿しいことで悩んでるからぼくたちは呆れてるんだよ? シャーロット様を孕ませるのを渋ってるのってダンだけじゃないか。シャーロット様本人ですら受け入れてるのにさ」
「あ、はい。リーチェ様の仰る通り、ダン様の御子を授かれるなら望外の喜びですよっ?」
「相変わらずうちの家族は、俺に甘すぎっすねぇ!?」
「なに言ってるんですか。ダンさんが自分に厳しすぎなんですよーだっ」
べーっと舌を出して俺を揶揄してくるムーリ。
って、リーチェと並んでおっぱいぶるんぶるん揺らして見せないでっ! なに煽ってきてるんだよっ!? ああ録画したいっ!
「ダンさんに愛された女性は誰よりも幸せになれるのに、なんでそんなに渋るんですかっ。ちゃーんと1人でも多くの女性を幸せにしてあげなきゃだめですよっ」
「なんで俺の奥さんって、みんなどんどん女を抱けって言ってくるの!? ムーリなんか俺を独り占めにしたいって言ってたのにさぁっ!」
「だって、ダンが抱こうと思ったのじゃから、シャーロット様も人の悪意に飲まれた方なのじゃろう?」
「…………え?」
俺の腕の中から、びっくりするほど真剣な眼差しでフラッタが見詰めてきていた。
その瞳には情欲なんてひと欠片すら含まれていない、俺の内面を見通してくるかのような透明さを感じる澄んだ眼差しだった。
「シャーロット様が誰かの悪意に苦しんでいるなら助けてあげて欲しいのじゃ。妾の時みたいに、ダンならきっと助けてあげられるのじゃから」
「いや、俺はただしゃぶり倒したシャロのおっぱいを独占したかっただけで……」
「は~、相変わらずダンは嘘が下手だねぇ? なんとも思っていない女性のおっぱいを、君がしゃぶり倒す訳ないじゃないか」
「ううんリーチェ。ダンは嘘を吐いてるんじゃなくて、本気で分かってないだけなの。ほんっとうに世話が焼けるんだからーっ」
いやいやニーナ。俺の考えが纏まらないのは、さっきからムーリとリーチェが両手で自分のおっぱいをばるんっばるんって揺らして見せ付けてくるせいもあると思うんだよ?
魅力的過ぎるその光景に、俺の思考能力の大半が持っていかれちゃってるから?
「ダン。心配しなくていいの。貴方が誰を何人孕ませようが私たちの気持ちは変わらないし、何より貴方の気持ちも絶対に変わらないから」
「……そんなの、実際に女性を孕ませたら変わっちゃうかもしれ……」
「ねーえダン? 貴方は自分の不安と私の言葉、いったいどっちを信じるのかなー?」
「あっ……」
……そうだった。
俺の心の中なんて、俺よりもニーナのほうがよっぽど分かってるんだった。
俺なんかが漠然と抱いている不安な心よりも、ニーナが絶対に大丈夫と言い切る俺の心のほうが正しいのか……?
いやでもこれって、妊娠の判断をニーナに丸投げしてるだけじゃないの……?
「ダ~ン~? 私たちと出会う前の貴方の倫理観は、そろそろポイッと捨てちゃいなさいっ」
「え、えぇっ……!? 倫理観を捨てるって、えぇっ……!?」
「この国では複数の女性を同時に愛することも、血の繋がらない子供と繋がっている子供を同時に育てることも、夫婦間でどうやっても妊娠できないことも普通なのっ。貴方の悩みは的外れなんだって気付きなさいっ」
「…………っ」
ニーナの指摘に、自分でも驚くほどの衝撃を受けてしまう。
そうだ……。ここは日本じゃなくて異世界だった。
日本で育んだ俺の常識は、この世界での常識じゃあないんだった……。
いつか俺は、この世界に来て1番異世界を感じる要素は、みんなと自分の性の価値観の違いだと思ったことがあった気がする。
この印象、冗談じゃなくてもっと真剣に考えるべき要素だったんじゃないのか?
この世界では、絶対に子供を作れない異性とも普通に愛し合う事が出来る。
その一方で、生まれた我が子の成長を見届けることなく死んでしまうことも少なくない。
地球とは……日本とはそもそもの環境が違い過ぎるのだ。
そして性の価値観が違うという事は、家族や夫婦の考え方も違って当然だったんだ。
愛する人との子供を作れない人は日本にだって居ただろう。
けれど異種族とは絶対に子を生せないことが常識であるこの世界と、作れるはずなのになかなか出来ないと悩む日本人とでは、悩みの本質が全く変わってくるはずだ。
再婚などで相手の連れ子と親子関係になり、その後その相手と子供を作るべきか悩む日本人は居るだろう。
しかし元々子供が作れない異種族が当たり前のように愛し合えるこの世界では、血の繋がらない親子関係も、子供を産めない夫婦関係も、日本のそれよりずっとずっと一般的で当たり前のことなんだ。
だから、シャロと子供を作ってしまったら、他のみんなが気に病んでしまうんじゃないだろうかとか、アウラが気まずく感じてしまうんじゃないだろうかって俺の悩みは、リーチェの言う通り馬鹿馬鹿しいものとしか思えないわけか……!
「あー……ごめんニーナ。今の今まで、俺って本当に分かってなかったみたいだ……」
「ううん。ダンは謝らなくていいんだよ? きっと貴方がそういう人じゃなかったら、私たちはここまで幸せにはなれなかったから」
「あはーっ。それこそ私なんかは、こんなダンじゃなかったら幸せにはしてもらえなかったかもしれないわー」
この世界の常識に囚われていたら、この世界で当たり前のように食い物にされたティムルを愛してあげることは出来なかったのかもしれない。
だから今までは日本の倫理観を持ち続けていても、それはそれで悪いことじゃなかった。
だけど既に2桁のお嫁さんを貰って、その全員と毎日毎日極限まで愛し合っている今に至っては、日本の倫理観を持ち続けているのは邪魔なだけ、なんだなぁ……。
「……本当はみんなのことを1人残らず孕ませてあげたいけど、それは叶わないことだから……」
努力しても絶対に叶わないことなのだから、望んじゃいけないのだ。
そしてそれをみんなが当たり前だと受け入れているなら、俺が悩んじゃいけないことなのだ……!
「みんなと同じようにシャロを愛した結果子供が出来るなら、俺はそれを受け入れるべき、なんだね……」
「……ねぇねぇダンさん。そんなに悲壮感を漂わせて決意するようなことじゃないんだよ?」
「……へ?」
血を吐く想いで搾り出した俺の決意を、何してんだコイツと言わんばかりに呆れた目で見てくるターニア。
いや、そりゃあみんなにとっては当然の決断かもしれないけど、俺にとっては断腸の……。
「今後シャーロット様を何回孕ませても、お母さんがいっぱい居るから子育てが楽だなー、くらいに考えればいいのっ」
「だだだ台無しだよターニアァァァッ!? みんなが気に病まないならそれに越した事はないけど、それじゃ悩んでた俺が馬鹿みたいじゃん!?」
「だからさっきリーチェさんも馬鹿馬鹿しいって言ったんだよー? たとえ自分が産めなくても、私たちがダンさんの子供を愛せないはずないじゃないっ?」
「うっ……!」
ニーナの母親らしく、自信満々に言い切るターニアに思わず圧倒されてしまう。
たとえ自分が産んであげられなくても、愛する人の子供を愛せないはずがないと、出産経験のあるターニアが言い切ったのだ。
その言葉の持つパワーに圧倒されない男なんて、居るわけがないよ……。
「私が心配してるのは、王女様の妊娠じゃないんだよねー」
そしてターニアに圧倒されて固まる俺に、娘のニーナが追撃を仕掛けてくる。
「王女様が妊娠したら母乳が出るようになるけど、ダンが赤ちゃんの分まで王女様の母乳を飲みつくさないのか心配なのー」
「何の心配してるのニーナァァァ!? さっきのターニアなんて目じゃないくらい色々台無しなんですけどーっ!?」
「だってダンったら、ラトリアの母乳が出なくなるまでひたすら搾るでしょー? そして王女様のおっぱいも既にひと晩中ちゅぱちゅぱしてきたんだよねー? そんな王女様のおっぱいから母乳が出たら、赤ちゃんの分なんて全然残る気がしないのっ」
「くっ、くぅぅ……!」
ふ、不覚にも、昨晩しゃぶり倒したシャロの美乳から母乳が溢れ出る事を想像したら、想像だけでご飯3杯いけるくらいに興奮してきてしまったぞ……!
そう言えば昨晩はラトリアのおっぱい搾ってないし、きっと今ラトリアのおっぱいは沢山ミルクが詰まっているはずだ。
一刻も早く搾り出してあげなきゃいけないなぁっ!
「あはーっ。無事にダンもやる気満々になってくれたみたいねー。初めてのシャロ様にはダンの相手はちょっと辛いかもしれませんけど、好色家を浸透済みなんですよね?」
「あ、皆様。私のことはどうかシャロと呼び捨ててくださいませ。敬語も必要ありません。そして好色家には転職しましたが、浸透が終わっているかは自信がありません」
「そうでしたね。シャーロット様が好色家を知ったのはつい最近でしたので、まだ浸透しきっていなくても仕方ありません。その分はダンさんに手加減してもらいましょうか」
「う、う~ん……。ギラついた目でラトリア様のおっぱいを凝視している今のダンさんに、手加減なんてできるんでしょうか……? シャーロット様の前に、ラトリア様で幾らか発散していただかなくてはいけないのでは……」
「ちょ、ちょっとエマ! 貴女なんて事を……! ああ、ダンさんが完全に私のおっぱいに狙いを定めてるぅぅっ!」
妊娠問題で頭を悩ませていたのが嘘みたいに、すっかりいつも通りの雰囲気になってくれた寝室。
やっぱり女の人って、うちの家族って凄いよ。生涯敵う気がしないなぁ。
ああもう。お祭りのこともみんなに伝えなきゃいけないし、そう言えばキュールさんとノーリッテの研究施設に行く約束もしてたんだったよ!
だけど愛しいみんなを全力で愛してあげないと、寝室から出るわけにはいかないよなぁっ!?
欠伸を噛み殺しながら挨拶してくれたティムルが、俺と楽しげにキスするシャロの姿に苦笑している。
目を覚ましてからずっとシャロとの甘やかしキスをしていると、1人、また1人と愛しいみんなが目を覚まし始める。
けれど肝心のアウラとフラッタが目を覚まさないので俺はまだ身動きが取れず、2人が目を覚ますまでひたすらシャロとキスをし続け、その間に他のメンバーで朝食の準備までしてくれたようだった。
……確か俺が目覚めたのって、まだ夜明け前じゃなかったっけ? いったい何時間シャロとキスをし続けたんだろうなぁ?
というか、よくキスだけで我慢したもんだよ、お互いに?
「んふー。おはようなのじゃ~……」
「ふぁ~……。おはようパパぁ……。でもパパは挨拶が返せなさそうだね~……」
目が覚めたのに俺の腕の中から出て行こうとしないフラッタと、欠伸をしながら俺のほっぺにちゅっとキスをしてくれるアウラ。
シャロとキスをしながら、2人の頭をよしよしなでなでしてあげる。
さて、このまま穏やかに朝の時間を過ごしたいところだけど、流石にアウラへの魔力供給と職業設定をしてしまわなきゃいけない。
それに昨晩はみんなと愛し合えなかったんだから、その分までしっかりと注ぎ込んであげたいところだけど……。シャロの扱いってどうしよう?
「シャロ。そろそろ起きるよ」
「ぷはぁ……っと、お待ちくださいっ」
とりあえずキスを終了して、まだ続けたそうなシャロを抱き締める。
しかしシャロは追い縋るように顔を近づけてきて、まだキスをしたいとおねだりしてる。
シャロの動きを制する意味も込めて、彼女を抱き締める両腕の力を少しだけ強くする。
「あ……ふぅ……」
強く抱き締められたシャロはなんだか心地良さそうに息を吐いて、俺にすりすり頬ずりし始めた。
必死に俺の唇を求めるシャロの姿に興奮しか覚えないけど、このままだと永遠にキスし続けちゃいそうだからな。
ぎゅーっとしてあげるから、今はちょっとだけ落ち着いてねー。
「随分と可愛い反応だねシャロ。そんなに俺とのキスが楽しかった?」
「楽しかった……。そう、楽しかったのかもしれません。私は快楽を得るためにしかキスをしたことがなかったものですから、ダンさんの構ってくれるようなキスがなんだか楽しくて楽しくてっ」
「そっかそっか。俺の可愛いシャロが楽しんでくれたのなら何よりだよ」
「ふふっ。可愛いですか私っ? もう24の年増なんですけどっ」
へぇ~。シャロって24歳なんだ。
第1王女って言うから長女なんだろうに、耄碌ジジイにしか見えなかったシモン前陛下の長女にしては年若くない?
「自分より年下の女性を年増扱いする気はないよ。というか女性の可愛さって年齢はあまり関係ないからね?」
我が家には40を過ぎても可愛さの塊みたいなラトリアもいるし?
というか可愛さって結局、相手へ好意を抱いているかどうかで感じるものだと思うんだよなぁ。
それにしてもひと晩えっちをお預けされている状態だというのに、ベッドの上でシャロを抱きしめながら雑談するのがなんだか楽しくって困っちゃうな。
「……なんだかこそばゆいですね。今まで肌を重ねてきた男たちは私の体ばかり褒めてきたっていうのに、ダンさんは私の体には一切言及しないのですから」
「シャロの体を褒めるのはこのあと予定してるからね。今は俺の可愛いシャロを褒めちぎりたいんだーっ」
「ん、はぁぁぁ……」
ぎゅーっと抱きしめて、シャロのほっぺに何度もキスをする。
ちなみにフラッタもアウラもまだ俺の腕に収まったままなので、2人のことも一緒に抱き締めちゃってるんですけどね。
3人をぎゅーっと抱き締めたまま、我が家の司令官ニーナにこのあとの事を相談する。
「ということでニーナ。今からみんなと愛し合いたいんだけど、シャロの扱いはどうしよっか?」
「どうしようって何が? 別に一緒に抱いちゃえば良くない? ダンが何を迷ってるのか分からないの」
「いや、俺とシャロは同じ人間族だからさ。みんなと同じように抱いちゃったら1発で孕んじゃうでしょ? だからちょっと迷ってるんだよねー……」
シャロとの間に血の繋がった子供を作ろうとは考えていない。
けどえっちしちゃったら避妊なんて絶対にしたくないのだ。最低かもしれないけど生で出してそのまま余韻に浸って、抜かずに何度も中で出したいのだ。
けれど俺としては、俺の娘はアウラだけだと思ってる。
ムーリとの子供という意味ではトライラムフォロワーのことも我が子だと思っているけれど、あいつらはもう自立して自分の足で歩み始めているからな。
俺が居ないと生きていけないアウラとは、俺の中の認識が既に違ってきてるんだよね。
「ん~? 私にはダンが何で悩んでるのか分からないのっ。シャロを孕ませて何か問題があるの?」
「……いや、問題って言うかさぁ。俺にとってはアウラだけが自分の娘のつもりだったから、女性を孕ませるって発想が無くって?」
なんで妻であるニーナのほうがガンガン行こうぜで、孕ませる側の俺の方がしどろもどろになっちゃってるんでしょうね?
俺に孕まされると聞いて、赤くなってモジモジしているシャロ可愛いなぁと暢気な事を考えていると、俺の悩みの本質にティムルがズバッと踏み込んでくる。
「あー……ダン? 貴方もしかして私たちに気を遣ってる? 私たちが貴方の子供を孕めないから、他の女性を孕ませることを躊躇ってるんじゃないでしょうねー?」
「うっ……。そ、そうなの……かな?」
ティムルに指摘されるまで自覚は無かったけど、結局はそういうことなのかもしれない。
もしも誰かを孕ませてしまったら、血の繋がっていないアウラの事を、子供を作れないみんなのことを蔑ろにしてしまうんじゃないか……。
そう思って不安を抱いてしまっているのかもしれないな。
「ふむ。その反応はティムルの言う通りみたいですね? でも旦那様にも自覚は無かったって感じですか」
「あははっ。ヴァルゴもすっかりダンの奥さんらしくなったねっ? そうなんだよー、ダンは自分が1番自分の心を分かってないから困っちゃうのーっ」
腰に両手を当てて呆れるヴァルゴと、腹を抱えて爆笑するニーナ。
妊娠の話って結構重い話題のはずなんですけど、我が家の空気は随分軽いっすねぇ!
「いや、ダンが馬鹿馬鹿しいことで悩んでるからぼくたちは呆れてるんだよ? シャーロット様を孕ませるのを渋ってるのってダンだけじゃないか。シャーロット様本人ですら受け入れてるのにさ」
「あ、はい。リーチェ様の仰る通り、ダン様の御子を授かれるなら望外の喜びですよっ?」
「相変わらずうちの家族は、俺に甘すぎっすねぇ!?」
「なに言ってるんですか。ダンさんが自分に厳しすぎなんですよーだっ」
べーっと舌を出して俺を揶揄してくるムーリ。
って、リーチェと並んでおっぱいぶるんぶるん揺らして見せないでっ! なに煽ってきてるんだよっ!? ああ録画したいっ!
「ダンさんに愛された女性は誰よりも幸せになれるのに、なんでそんなに渋るんですかっ。ちゃーんと1人でも多くの女性を幸せにしてあげなきゃだめですよっ」
「なんで俺の奥さんって、みんなどんどん女を抱けって言ってくるの!? ムーリなんか俺を独り占めにしたいって言ってたのにさぁっ!」
「だって、ダンが抱こうと思ったのじゃから、シャーロット様も人の悪意に飲まれた方なのじゃろう?」
「…………え?」
俺の腕の中から、びっくりするほど真剣な眼差しでフラッタが見詰めてきていた。
その瞳には情欲なんてひと欠片すら含まれていない、俺の内面を見通してくるかのような透明さを感じる澄んだ眼差しだった。
「シャーロット様が誰かの悪意に苦しんでいるなら助けてあげて欲しいのじゃ。妾の時みたいに、ダンならきっと助けてあげられるのじゃから」
「いや、俺はただしゃぶり倒したシャロのおっぱいを独占したかっただけで……」
「は~、相変わらずダンは嘘が下手だねぇ? なんとも思っていない女性のおっぱいを、君がしゃぶり倒す訳ないじゃないか」
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いやいやニーナ。俺の考えが纏まらないのは、さっきからムーリとリーチェが両手で自分のおっぱいをばるんっばるんって揺らして見せ付けてくるせいもあると思うんだよ?
魅力的過ぎるその光景に、俺の思考能力の大半が持っていかれちゃってるから?
「ダン。心配しなくていいの。貴方が誰を何人孕ませようが私たちの気持ちは変わらないし、何より貴方の気持ちも絶対に変わらないから」
「……そんなの、実際に女性を孕ませたら変わっちゃうかもしれ……」
「ねーえダン? 貴方は自分の不安と私の言葉、いったいどっちを信じるのかなー?」
「あっ……」
……そうだった。
俺の心の中なんて、俺よりもニーナのほうがよっぽど分かってるんだった。
俺なんかが漠然と抱いている不安な心よりも、ニーナが絶対に大丈夫と言い切る俺の心のほうが正しいのか……?
いやでもこれって、妊娠の判断をニーナに丸投げしてるだけじゃないの……?
「ダ~ン~? 私たちと出会う前の貴方の倫理観は、そろそろポイッと捨てちゃいなさいっ」
「え、えぇっ……!? 倫理観を捨てるって、えぇっ……!?」
「この国では複数の女性を同時に愛することも、血の繋がらない子供と繋がっている子供を同時に育てることも、夫婦間でどうやっても妊娠できないことも普通なのっ。貴方の悩みは的外れなんだって気付きなさいっ」
「…………っ」
ニーナの指摘に、自分でも驚くほどの衝撃を受けてしまう。
そうだ……。ここは日本じゃなくて異世界だった。
日本で育んだ俺の常識は、この世界での常識じゃあないんだった……。
いつか俺は、この世界に来て1番異世界を感じる要素は、みんなと自分の性の価値観の違いだと思ったことがあった気がする。
この印象、冗談じゃなくてもっと真剣に考えるべき要素だったんじゃないのか?
この世界では、絶対に子供を作れない異性とも普通に愛し合う事が出来る。
その一方で、生まれた我が子の成長を見届けることなく死んでしまうことも少なくない。
地球とは……日本とはそもそもの環境が違い過ぎるのだ。
そして性の価値観が違うという事は、家族や夫婦の考え方も違って当然だったんだ。
愛する人との子供を作れない人は日本にだって居ただろう。
けれど異種族とは絶対に子を生せないことが常識であるこの世界と、作れるはずなのになかなか出来ないと悩む日本人とでは、悩みの本質が全く変わってくるはずだ。
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しかし元々子供が作れない異種族が当たり前のように愛し合えるこの世界では、血の繋がらない親子関係も、子供を産めない夫婦関係も、日本のそれよりずっとずっと一般的で当たり前のことなんだ。
だから、シャロと子供を作ってしまったら、他のみんなが気に病んでしまうんじゃないだろうかとか、アウラが気まずく感じてしまうんじゃないだろうかって俺の悩みは、リーチェの言う通り馬鹿馬鹿しいものとしか思えないわけか……!
「あー……ごめんニーナ。今の今まで、俺って本当に分かってなかったみたいだ……」
「ううん。ダンは謝らなくていいんだよ? きっと貴方がそういう人じゃなかったら、私たちはここまで幸せにはなれなかったから」
「あはーっ。それこそ私なんかは、こんなダンじゃなかったら幸せにはしてもらえなかったかもしれないわー」
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だから今までは日本の倫理観を持ち続けていても、それはそれで悪いことじゃなかった。
だけど既に2桁のお嫁さんを貰って、その全員と毎日毎日極限まで愛し合っている今に至っては、日本の倫理観を持ち続けているのは邪魔なだけ、なんだなぁ……。
「……本当はみんなのことを1人残らず孕ませてあげたいけど、それは叶わないことだから……」
努力しても絶対に叶わないことなのだから、望んじゃいけないのだ。
そしてそれをみんなが当たり前だと受け入れているなら、俺が悩んじゃいけないことなのだ……!
「みんなと同じようにシャロを愛した結果子供が出来るなら、俺はそれを受け入れるべき、なんだね……」
「……ねぇねぇダンさん。そんなに悲壮感を漂わせて決意するようなことじゃないんだよ?」
「……へ?」
血を吐く想いで搾り出した俺の決意を、何してんだコイツと言わんばかりに呆れた目で見てくるターニア。
いや、そりゃあみんなにとっては当然の決断かもしれないけど、俺にとっては断腸の……。
「今後シャーロット様を何回孕ませても、お母さんがいっぱい居るから子育てが楽だなー、くらいに考えればいいのっ」
「だだだ台無しだよターニアァァァッ!? みんなが気に病まないならそれに越した事はないけど、それじゃ悩んでた俺が馬鹿みたいじゃん!?」
「だからさっきリーチェさんも馬鹿馬鹿しいって言ったんだよー? たとえ自分が産めなくても、私たちがダンさんの子供を愛せないはずないじゃないっ?」
「うっ……!」
ニーナの母親らしく、自信満々に言い切るターニアに思わず圧倒されてしまう。
たとえ自分が産んであげられなくても、愛する人の子供を愛せないはずがないと、出産経験のあるターニアが言い切ったのだ。
その言葉の持つパワーに圧倒されない男なんて、居るわけがないよ……。
「私が心配してるのは、王女様の妊娠じゃないんだよねー」
そしてターニアに圧倒されて固まる俺に、娘のニーナが追撃を仕掛けてくる。
「王女様が妊娠したら母乳が出るようになるけど、ダンが赤ちゃんの分まで王女様の母乳を飲みつくさないのか心配なのー」
「何の心配してるのニーナァァァ!? さっきのターニアなんて目じゃないくらい色々台無しなんですけどーっ!?」
「だってダンったら、ラトリアの母乳が出なくなるまでひたすら搾るでしょー? そして王女様のおっぱいも既にひと晩中ちゅぱちゅぱしてきたんだよねー? そんな王女様のおっぱいから母乳が出たら、赤ちゃんの分なんて全然残る気がしないのっ」
「くっ、くぅぅ……!」
ふ、不覚にも、昨晩しゃぶり倒したシャロの美乳から母乳が溢れ出る事を想像したら、想像だけでご飯3杯いけるくらいに興奮してきてしまったぞ……!
そう言えば昨晩はラトリアのおっぱい搾ってないし、きっと今ラトリアのおっぱいは沢山ミルクが詰まっているはずだ。
一刻も早く搾り出してあげなきゃいけないなぁっ!
「あはーっ。無事にダンもやる気満々になってくれたみたいねー。初めてのシャロ様にはダンの相手はちょっと辛いかもしれませんけど、好色家を浸透済みなんですよね?」
「あ、皆様。私のことはどうかシャロと呼び捨ててくださいませ。敬語も必要ありません。そして好色家には転職しましたが、浸透が終わっているかは自信がありません」
「そうでしたね。シャーロット様が好色家を知ったのはつい最近でしたので、まだ浸透しきっていなくても仕方ありません。その分はダンさんに手加減してもらいましょうか」
「う、う~ん……。ギラついた目でラトリア様のおっぱいを凝視している今のダンさんに、手加減なんてできるんでしょうか……? シャーロット様の前に、ラトリア様で幾らか発散していただかなくてはいけないのでは……」
「ちょ、ちょっとエマ! 貴女なんて事を……! ああ、ダンさんが完全に私のおっぱいに狙いを定めてるぅぅっ!」
妊娠問題で頭を悩ませていたのが嘘みたいに、すっかりいつも通りの雰囲気になってくれた寝室。
やっぱり女の人って、うちの家族って凄いよ。生涯敵う気がしないなぁ。
ああもう。お祭りのこともみんなに伝えなきゃいけないし、そう言えばキュールさんとノーリッテの研究施設に行く約束もしてたんだったよ!
だけど愛しいみんなを全力で愛してあげないと、寝室から出るわけにはいかないよなぁっ!?
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しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
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