異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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8章 新たな王と新たな時代1 色狂いの聖女

563 帰宅 (改)

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「ふむふむ。それで王女様を連れて帰ってきたんだねー」


 俺にひしっと抱きつくラズ殿下を見て、納得したように呟くニーナ。

 旦那がラズ殿下をお持ち帰りしてきても全く動じることがなくて、我が家の奥さんズは頼もしすぎるんだよ?


「ま、まさか本当に単独行動したその日に新しい女性を迎えられるとは……。しかもその方、恋人がいると仰っておりましたよね……?」


 聖域の樹海で1度窘めてしまったヴァルゴが、話が違うじゃないですかと問いかけてくる。

 でもなヴァルゴ。話が違うじゃないですかは俺のセリフでもあるんだわ。


「それがさぁ……聞いてよヴァルゴ。実は15人もいたラズ殿下の恋人全員に、ラズ殿下のことをよろしくって笑顔で送り出されてしまったんだよねー……」

「え、えぇ? そちらの女性が旦那様を慕っているのは疑いようもないですが、この女性を愛していた男性にも祝福されてるんですか……? い、意味が分かりませんね……?」


 ヴァルゴの言う通り、俺と2人っきりで城を出てからは、なんだかポーっとした表情で俺にしがみ付いたままのラズ殿下。

 なんかこの人、さっきおっぱいをしゃぶり倒した時よりもポーっとしてない?



 城でラズ殿下の男娼という名の恋人たちに見送られて、俺はラズ殿下を伴って深夜にようやく帰宅することが出来た。

 しかしヴァルゴから俺の行動を聞いていたみんなは、ラズ殿下の恋人たちと違って既にぐっすりと眠っており、俺の帰宅の気配を感じてからのそのそと起きだしてきたようだった。


 フラッタとアウラがちょっと眠そうにしてて可哀想だけど、眠そうな2人が滅茶苦茶可愛いなぁ。


「色狂いって評判のラズ殿下がダンを求めるのは分かるけど……。ラズ殿下の所有する奴隷にも祝福されてきたってのが良く分からないね? じゅ、15人もいても満足できなかったのかな……?」


 まーたリーチェは、直ぐにエロい発想に結びつけるんだもんなー。

 ……リーチェ本人が、15人程度相手したくらいじゃ満足できそうもないエロ女だから仕方ないのか。


 毎日数百人分注ぎ込んでようやく満足してくれるんだもんなぁ……。

 15人どころか、150人居ても枯れるまで絞り尽くしそうで困るよ、我が家のエロス大明神は。


「ラズ殿下と奴隷たちの関係は良好そうに見えたよ。ただ良好だからこそ、この人をお願いしますと送り出されちゃってさぁ」

「……良好だからこそ、か。つまりラズ殿下は、何らかの事情を抱えているって事なのかな」

「それもわかんないんだよねー。本人には全く自覚が無いみたいだしさ。ですよね、ラズ殿下?」

「…………」


 俺の呼びかけに応えることなく、ただ少しだけ朱の混じった顔で俺の顔を見詰め続けるラズ殿下。

 そんなに穴が空くほど見詰められても、いきなりイケメンに変わったりはしないんだよ?


「んー。その様子を見るに、王女様はもうダンにゾッコンみたいなの。好色家も浸透してるって言うし、始めっからみんな一緒で構わないかなー?」

「ちょっ!? なんでそんなにあっさり受け入れてるのニーナ!」

「え? だってもう王女様のおっぱいしゃぶっちゃったんでしょ? ダンがおっぱいに惹かれた女を受け入れなかったことって今まで1度も無いじゃない?」

「ぐっ……! そ、それは……!」


 至極当然のように言い放たれたニーナの指摘に、俺は一切の反論が出来ずに言葉を詰まらせる。


 おっぱいを凝視したムーリといい、陽炎でおっぱいに触っちゃったフラッタといい、フラッタと一緒に散々乳首を弄り倒しちゃったリーチェといい、確かにおっぱいに気を向けた相手はみんな貰っちゃってるわ!

 でも性質が悪いのは、おっぱいに惹かれたエピソードが無い相手も満遍なく貰っちゃってることだなっ!


「それに恋人の言い分を考えると、きっと王女様もダンが幸せにしてあげなきゃいけない人なんだと思うの。恋人たちは自分では幸せに出来ないからって、自分の愛する人をダンに送り出してくれたんだろうから」

「……愛する人を送り出す、かぁ。自分でたった今経験してきても信じられないよ。俺には到底出来そうもないなぁ」

「そうかしらねぇ? ダンは私たちの幸せのためなら、あっさりと私たちを手放してしまいそうだから困るのよねー?」


 ティムルがからかい混じりで俺に流し目を向けてくる。

 けど流石にみんなを手放すなんてことはもうありえないよ。断言できる。


 ……以前の俺だったら、もしかしたら有り得たかもしれないけど。


「今はもう、たとえみんなを不幸にしてでも絶対に手放す気はないよ。絶対に手放さないけど、どんな手を使っても幸せになってもらうけどね?」

「あはーっ。ダンの傍に居られることが私達の1番の幸せなんだけどっ」


 く、くっそぉ! からかいからの直球ストレートをぶち込んできやがってぇ……!

 こんな可愛いお姉さんは、あとで徹底的に可愛がってあげないといけないなぁっ。


「ふむぅ……。妾としてもシャーロット殿下を迎える事に異論は無いのじゃがぁ……。流石にちょっと性急過ぎるのではないかの~……?」

「「えっ?」」


 すっかり受け入れモードが整いつつあった流れに待ったをかけたのは、少し眠たそうにしているフラッタだった。

 っていうか眠たそうなフラッタが可愛すぎて、こっちの眠気は木っ端微塵に吹き飛ばされてしまう件。


「シャーロット殿下とダン、そして殿下の恋人達が了承しておるとは言ってものぅ……。この方は間違いなく王族に連なる方なのじゃぞぉ……? しかも今度即位するマーガレット新女王陛下の実の姉君なのじゃぁ……。勢いだけで娶っては後々面倒な事になると思うのじゃ……ふ、わぁぁ……」


 コシコシ目を擦りながら眠たそうにくぁ~っと欠伸をしているのに、とても聞き流せない真面目な事を口にするフラッタ。

 確かに王女様を家族に迎えようなんて、感情のままに決めていい話じゃないよな……。


 獣爵家の血筋のニーナとターニアは身分を失っていたし、竜爵家の令嬢と当主夫人だったフラッタとラトリアは没落寸前だった上に、2人とも相手が不在の状態だった。

 エルフの姫君リーチェはそもそも追放されていたから、家族に迎えるのに何の問題も無かった。


 しかしラズ殿下は今までのケースとは異なり、現役の王女様で新王の姉なのだ。

 他のみんなと比べて圧倒的に難しい立場にいらっしゃる方だと言える。


「え、どうしよう? 俺もう完全にラズ殿下を貰う気満々だったんだけどなぁ」

「そ、それでしたら私のことは、是非シャーロットとお呼びいただけませんかっ? ラズと呼ばれるとあの馬鹿を思い出すので、あまり好きではないんです……」

「あ、そうなの? でもシャーロットってアンクも言ってたし、他の男と同じ呼び方ってなんとなく嫌だな……」


 我ながら下らない拘りなんだけど、やっぱり自分の女は独占したい。


 ラトリアやターニアのように既に相手が居なかったり、ティムルのように相手と敵対しているケースとは違って、ラズ殿下の恋人たちは邪険に扱えない存在だ。

 排除するわけにはいかないなら、彼らとは違う呼び名を考える必要があるなぁ。


「……シャロ、とかどうかな? ねぇ殿下、シャロって呼んじゃだめ?」

「シャ、シャロ……ですか?」

「うん。マーガレット殿下、いや新王陛下もマギーって略されてたでしょ? だからシャーロットのこともシャロって略そうかなと思って。勿論シャーロットが嫌なら諦めるけど」

「い、嫌じゃないですっ。嫌なんかじゃないですよっ。シャロ、ですか……。ふふ、シャロっ。シャロっ」


 俺の腕にしがみ付いて顔を隠しながら、小さくも弾んだ声でシャロシャロと連呼しているシャーロット殿下改めシャロ。

 この人って色狂いって評判の割に、反応が少女みたいなんだよなぁ。可愛い。


「うわぁ……。あのシャーロット様がデレッデレですよ……。ダンさん、本当におっぱいを吸っただけなんですか?」

「おっぱい吸っただけなんですか? ってどんな問いかけだよっ! 竜人族のラトリアと違って、決闘で打ち負かしたりはしてませーん」

「なななっ……! 手合わせはきっかけでしかありませんよっ! 私がこんなにダンさんを愛しているのは、打ち負かされたこととは一切関係ないですからーっ!」

「……落ち着いてくださいラトリア様。テンパって全力で愛を叫んでいらっしゃいますよ?」

「あっ……! あうあうぅ……!」


 エマからのツッコミで自分の発言の意味に気付いたラトリアは、赤面しながら自分の顔を隠し、あうあう言いながら何度も首を横に振ってみせる。

 お前、本当に未亡人か? 反応が可愛すぎるんだけど?


 しかしそんなあうあうラトリアの後ろで眠そうに目をこするフラッタと、またしても舟をこぎ始めているアウラの姿が目に入った。

 これ以上話を続けるのは年少組には良くなさそうだ。


「フラッタ。アウラ。おいでおいで。ぎゅーっとしてあげるから俺の腕の中で寝ていいよ」

「むぅ……済まぬのじゃぁ……。我慢出来なくもないが、それでもやはり眠くてのう……」

「お話の途中でごめんねパパぁ……。おやすみなさぁい……」


 目を擦りながらとてとてと寄って来た2人は、広げた俺の腕の中に収まってぎゅーっと抱き付いてくる。

 ああもう2人とも可愛いよぉ。おやすみなさーい。


「アウラの魔力補給と、みんなの職業設定は明日になってからでいいかな? アウラの魔力、まだ持つよね?」

「大丈夫だと思うわよぉ。アウラの職業浸透も進んできてるからねー。でもダンこそ、まだ家族に迎えてないシャロ様の前で職業設定の話をしてもいいのかしらぁ?」


 ティムルに指摘されるまで、シャロがまだ家族ではなかった事を完全に失念していた。

 我ながら珍しい気がするけど、俺はもうシャロに対して一切警戒心を抱いていないようだった。


「ん……。なんかシャロをこのまま手放す気にはなれなくってさ……。その理由までは、まだ分からないんだけど……」

「旦那様がそう仰るのであれば、私たちに異論などありませんよ。ただこの流れだと、今宵は愛してもらえなさそうですかぁ……?」


 俺の左耳をべろんとゆっくり舐め上げながら、確認という名のおねだりをしてくるヴァルゴ。

 でも俺の腕の中ではフラッタとアウラが気持ちよさそうに眠ってるし、俺の腕にはシャロがしがみ付いているしで、ちょっと運動する流れじゃないんじゃないかなー?


「ヴァルゴには申し訳ないけど、今夜はこのまま休もう。そして明日の朝はシャロを交えて、みんなでいっぱいえっちしようね」

「ふふ。えっちな旦那様が今宵は抱きたくないと仰るシャロを、旦那様は何処まで幸せにしてあげられるんでしょうねっ?」


 するりと俺の背後に回って、俺を背中からベッドに引き込み自分の上に寝かせるヴァルゴ。

 無駄に対人戦闘技術を活用するんじゃないよ、もう。


「シャロ。お前もしがみ付いてないで、俺の腕の中においで」

「えっ……?」

「今夜はこのまま一緒に寝よう。えっちなことは朝起きてから。まずはお互いゆっくり寝ような?」


 俺と一緒に引き倒されてしまったシャロの頬にキスをして、腕の中に招待する。

 しずしずと俺の腕の中に入ってきたシャロは、なんだか借りてきた猫のように固まってしまっているな?


「と、殿方と同じベッドに入って肌を重ねなかった記憶が無いので、なんだか緊張してしまいます……」

「緊張しなくていいんだよ。ちゃんとシャロのことも貰ってあげるから、何にも心配しないでゆっくりお休み」

「あっ……」


 頭をゆっくり撫でてあげると、少しずつ体から力を抜いていくシャロ。


 その間にみんなもベッドに上がってきて、いつも通りの密着具合……ではないな?

 人間族で戦闘経験があるのか分からないシャロに配慮して、いつもより気持ち密着度を下げてくれているみたいだ。


 ふふ。俺の愛する家族は最高に可愛いだけじゃなく、この世界の誰よりも優しいから困っちゃうよ。

 俺の腕の中の寝息が3つになったことを確認して、俺も静かに意識を落としていったのだった。





「……う、ん? なんだぁ……?」


 まだ夜明け前くらいの時間、下半身が微妙に気持ちよくて目が覚めてしまった。

 どうやら俺の股間に誰かがおっぱいをムニュムニュと押し付けてくれているようだ。


 サイズ的にティムル辺りかな? と思って視線を下げると、そこにははぁはぁと呼吸を乱し、上気した笑顔を浮かべて俺におっぱいを押し付けるシャロの姿があった。

 流石は色狂い。自主的におっぱじめるとは予想してなかった。


「……おはようシャロ」

「あっ! おはようございますっ、ダンさんっ」


 声をかけると、むにゅむにゅとおっぱいを押し付けるのは決して止めずに、けれど弾ける様な笑顔で挨拶を返してくれるシャロ。


 そう言えばしゃぶり倒した感じ、シャロとティムルは同じくらいのサイズだったっけ。

 しかし微妙に汗をかきながら声を弾ませておっぱいを押し付けてるシャロを見ると、どう見ても寝起きには見えなかった。


「すっごく気持ちいいから文句なんか無いんだけどさ。……もしかしてシャロ、昨日寝てない?」

「いいえ? びっくりするくらい熟睡させていただきました。それでなんだか早く目が覚めてしまったので、朝のご奉仕をさせてもらっていたんですっ」


 昨日城で再会した気だるげなシャロとは別人のように、ニコニコ上機嫌で声もおっぱいも弾んでいるシャロ。

 無理している様子は無い、かな?


「朝からご奉仕なんて必要ないよ? 気持ちいいからやめなくてもいいけど」

「……えーっと? 結局どっちでしょう? 続けた方がいいのかやめたほうがいいのか、ダンさんはどっちをお望みですか?」

「俺の好きにしていいなら、一旦中断していいからおいでシャロ。まずはおはようのちゅーをしよう?」

「中断、という事はあとで再開したほうがいいですか?」


 首を傾げながらも寄ってきたシャロを抱きしめて、今日の始まりのキスをする。

 俺に覆い被さるようにして唇を重ねているシャロは、とても積極的に舌を絡めて情熱的なキスをしてきてくれるけど、なんとなく俺はシャロを甘やかしたくなったので、情熱的なキスには応じずゆっくりマイペースに舌を動かす。


「ん……。んふぅ……」


 力いっぱい俺に抱き付いて貪るようなキスをしていたシャロだったけれど、次第に俺の舌の動きにつられるように肩の力を抜き始め、ゆっくりと寄り添うような優しいキスに変わっていく。


 どうやらシャロは激しいキスよりも穏やかなキスのほうが好みに合ったようで、リラックスしながらも楽しそうに舌を絡めて、目を閉じていながらもなんだか笑顔を浮かべている。

 色事が好きなのも嘘じゃないんだろうけど、この甘えん坊の姿の方がシャロの本質に思えて仕方ない。


 家族全員がまだ寝ている中で、まだ家族として迎え入れていないシャロとひたすらキスを交わすことにかなりの興奮を覚えているんだけど、なんだか楽しそうにキスをしてくるシャロに水を差したくなくて、このまま暫く彼女の好きにさせてあげることにした。

 その結果、始めにヴァルゴが目を覚ますまで、ひたすらシャロの甘々キスに付き合わされる事になってしまった。


 俺とのキスなんかでそんなに楽しそうにしちゃってくれてさぁ。

 こんなに可愛いシャロの何処が色狂いなんだって話だよ、まったく。
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