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7章 家族みんなで冒険譚3 エルフェリアで過ごす夜
547 リュートの扱い (改)
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「あら? これ美味しいわねー。乾燥させると甘くなるなんて知らなかったわぁ」
お土産に持ち帰った乾燥キンリを頬張って、感心した様子のティムル。
ホント可愛いなぁ俺のお姉さんはっ。
行商人歴の長いティムルや、王国貴族であるラトリアも乾燥キンリのことは知らなかったので、やはりエルフェリアの外では食べられていない食べ物なんだろう。
キンリ自体は普通に出回ってる果物だけど、精霊魔法が使えないと作れないんじゃどうしようもない。
アウラとリュートとの外泊を終えてエルフェリアから帰還した俺は、マグエルでみんなと合流して、ライオネルさんと会話した内容を共有しようとした。
けれど偽りの英雄譚に纏わる事をチャールとシーズの前で話をするわけにもいかず、昨晩寂しい想いをしたみんなの相手をしないわけにもいかないということで、家族みんなで別荘扱いのニーナ宅に移動することにした。
お土産の乾燥キンリと、王国内にはあまり出回っていない数々の果物は概ね好評で、この世界では馴染みの無かったドライフルーツの凝縮された旨みにみんな舌鼓を打っている。
「商売っけを出すのもなんだけど、これは売れそうねぇ。保存食や携帯食としても優秀そうだわぁ」
「うん。乾燥させたキンリは数ヶ月は食べられるはずだよ。夏場に作った乾燥果実を冬場に食べたりもしてたしさ」
「あー、でもこれからは冒険者も探索者もどんどん増えてくるだろうから、保存食も携帯食も売れなくなっちゃうかしらぁ……? なら普通におやつとして売り出すのがいいかもねー」
「売るほど作る気は無いよー? ティムルやみんながお腹いっぱい食べられる量は作っておきたいけどねっ」
なぜかリュート……いやもうみんなと一緒だからリーチェって呼ぶか。
リーチェをバックハグして膝の上に乗せたティムルが、膝の上のリーチェと楽しげに話し合っている。
リーチェとティムルは本当に仲良しなんだよなー。
2人とも俺のお嫁さんなのに、なんか俺よりも仲が良さそうなんだよ?
「こーらダンっ。こっちに集中しなさいっ。ちゃーんと昨日の分まで相手してもらうんだからっ」
「好きなだけ取り立てていいよニーナ。でも話はさせてくれたら嬉しいなー?」
「うん、それは構わないのっ。話をしながらで構わないから、いっぱいいっぱい愛して欲しいのーっ」
俺に跨ったニーナが、俺の上で元気に上下運動を繰り返している。
そして俺の両手はターニアとエマのおっぱいをもみもみしていて、口にはヴァルゴの乳首が押し込まれている。
さっきから俺が発言する度にピクピクと反応するヴァルゴが可愛いので、何度かわざと歯を立てて彼女の反応を楽しんでいる。
「ちゃんと全員を満たすまでは、絶対に放さないのじゃーっ」
「ダンさんはなぁんにもしなくていいですからねぇ? 私たちがいーっぱい気持ちよくしてあげますからねぇ?」
ニーナの後ろで順番待ちをしているフラッタとムーリが、エロ度100%の宣戦布告をしてくる。
でもそんなの望む所過ぎて大歓迎なんだよ?
昨晩の分に利子をつけて、いーっぱい注ぎ込んであげるからねーっ。
俺は昨日愛してあげられなかったメンバーと大乱交を繰り広げながらも、ライオネルさんと会話したエルフ族の王族の話をみんなに伝える。
「リーチェさんが子供を生めないと王家エルフェリアは断絶する、けれど王族の血は絶えないんですね。なんだかこんがらがってしまいそうです」
ラトリアが頬に人差し指を当てて、ん~っ……と首を傾げている。
この未亡人、あざと可愛いなぁ。
ちなみにリーチェは、全エルフが王の末裔であることはちゃんと知っていた。
エルフ族の中にとっては常識的なことらしい。
「だからエルフたちは、王家であるエルフェリア家が滅びても別にいいやって感じなんじゃないかなー。じゃなきゃ姉さんやぼくへの扱いに説明がつかないでしょ?」
「ふ~ん……。エルフの王族って、スペルド王国とは随分意識が違うのねぇ。その話を聞いて、納得いった事と納得いかない事があるんだけどぉ……」
「んー? なになにティムル? 君は何が引っかかってるの?」
「あはーっ。聞きたいのリーチェ? なら1つずつ説明させてねー」
ニコニコしながらリーチェに頬ずりするティムル。
ちゃんと全員に向かって説明してくれているんだろうけれど、傍から見ると2人の世界に入っているようにしか見えないんだよ?
そして静かだなぁと思っていたら、アウラがベッドの端でこっくりこっくり舟を漕いでいた。
満年齢9歳のアウラには昨晩の徹夜が少し堪えてしまったようだ。
「ティムル。説明の前にアウラを休ませてあげてくれる? 昨日ひと晩中寝かせてあげられなかったから、ちょっと辛そうなんだ」
「あらら。それじゃアウラ。貴女はリーチェの膝を枕にして休みなさいな。騒がしくてもみんなと一緒がいいでしょ?」
「んー……そうするぅ……」
こしこしと眠そうに目を擦りながら、リーチェのむっちりとした太股を枕に、すぐ寝息を立て始めるアウラ。
そのむちむちした最高の太股も俺のものなんだけど、娘のアウラくらいには貸してあげないとな。
リーチェとティムルはそれぞれ片方ずつアウラと手を繋ぎ、空いている手で優しくアウラをよしよしなでなでしている。
どう見ても母娘です。本当にありがとうございました。
「それじゃまずは納得がいったことから説明するわね」
全員を見渡して、誰も口を挟まないのを確認して小さく頷き、続きを話し始めるティムル。
俺がツッコミを入れないとダメなんだろうけど、俺の口はヴァルゴのおっぱいをしゃぶるのに忙しいんだよなー。はむはむ。
「私が1番不思議だったのは、エルフ族のリーチェに対する扱いなの。お姉さんもご両親も亡くなって他に王位継承者が居ないはずなのに、リーチェをエルフェリアから追放したままなんておかしいなってずっと思ってたのよねー」
「ぼくが旅に出た時点でエルフェリア家の後継者はいなかったんだけど、父さん達は新たな後継者を作る気でもあったのかもしれないね。今となっては確かめる術も無いけど」
「リーチェの両親が新しく子供を作る前に2人を害してしまっていることからも、エルフ族にとって継承される王位なんてとっくに興味なかったのが良く分かるわねぇ。種族全員が王の血を受継いでいるエルフ族にとって、王位継承権の剥奪って里からの追放って意味合いが強いんでしょうねー……」
リーチェを追放し、姉を邪神討伐という死地に追いやり、両親を投獄の上処刑して、エルフェリア家をあっさりと断絶させておきながら、戻ってきたリーチェに子作りを強要する気も無いエルフ族。
エルフ族にとって、王家エルフェリア家が如何に軽い存在だったのかがよく分かるな。
「エルフェリア家が軽んじられていたのは間違いない。そんな中どうしても違和感を覚えてしまうのはリーチェ。貴女の扱いよ」
「え? そうかなぁ?」
「エルフェリア家が軽んじられていたのだとしたら、家格だけで邪神討伐に選出されるとは考えにくいわ。なのに貴女のお姉さんは妹である貴女の邪神討伐参加を確信していた。自分が失敗したら次は必ず妹が駆りだされると、どうしてそんなに思い詰めていたのかしらぁ……?」
確かにティムルの言う通り、ライオネルさんの話とお姉さんの言動に温度差のようなものを感じてしまうんだよなぁ。
お姉さんが蒼穹の盟約に選出されたのは実力や評判などが関係していたのかもしれないけれど、ガルクーザ出現時点で7~8歳だったはずのリュートがそこまでの実力だったはずがない。
なのに次に邪神討伐に駆り出されるのは妹のリュートに違いないと、どうしてそこまで頑なに思い詰めてしまったのか……。
「それに、お姉さんの装備品は蒼穹の盟約のドワーフによって作られたものなんでしょう? 私がみんなの装備を作らせて貰ったみたいに」
「う、うん。そのはずだよ。ディランさんっていうドワーフ族の代表者が、メンバー全員分の装備品を用意したって……」
「それに対して、後に里を追放されて王位を剥奪された貴女にエルフ族に伝わるアウターレア装備を惜しげもなく持たせているわよね? 邪神討伐に向かうはずのお姉さんには渡さなかったエルフ族に伝わる秘宝をよ? これっておかしくないかしらぁ?」
「あっ……。えっと……そ、それは……あれ……?」
ティムルの指摘に自分でも違和感を抱いてしまったのだろう。
リーチェは困惑した様子で、しきりに首を捻っている。
「里が壊滅したのに産声の儀を最優先するようなエルフ族が、赤ん坊扱いされているはずの16歳の貴女を追放したのも違和感があるわ。貴女って最も年若いエルフ族だったんでしょう?」
いつの間にかニーナも上下運動を止めており、ティムルの言葉に真剣な表情で耳を傾けている。
ティムルとリーチェの声以外には、俺がヴァルゴの乳首をしゃぶるちゅうちゅうちゅぱちゅぱれろれろという音しか聞こえない室内に、緊迫感が漂い始めている。
「若い命を何よりも優先するエルフ族が、最も年若いリーチェに重荷を背負わせて里を追放するのもおかしいし、追放するリーチェに種族の秘宝を持たせるのも明らかに変よ。まるで、追放はするけど死ぬことは許さないって言ってるみたいよね?」
「偽りの英雄譚のためにリーチェに死んでもらうわけにはいかなかった……? けど、それにしたってほぼ全身にアウターレア装備を……。武器に至っては2つも持たせているんだよね……。確かに異常、かも……」
俺をぎゅううっときつく締め上げながら、ニーナが慎重な口振りでティムルの言葉を肯定する。
エルフ族とガルクーザ関連の流れで、偽りの英雄リーチェの存在だけが浮いている、そんな風に感じられてしまう。
リーチェは軽んじられていたのか大事にされていたのか、なんだか全体の扱いがチグハグだ。
どうしてこんな現象が起こりえる?
「……これは参るのぅ。せっかく偽りの英雄譚を暴き、リーチェを縛っていた誓約を解消してみせたというのに……。どうやらリーチェには、本人も知らぬ何らかの事情がありそうなのじゃ……」
「待って、待ってよフラッタ! ぼくが知らないにしても、長であるライオネルさんや、建国以前から生きているエルフも何も言ってこないじゃないかっ! ぼくに詐称誓約以外の事情なんて……!」
「……確かにリーチェの言い分にも一理あります。当時まだ幼かったリーチェ本人が事情に疎かったにしても、当時から生きていて現在エルフの長を務めているライオネルさんが何も知らなそうなのは、いったい……?」
ヴァルゴの疑問に、なんだか少し引っかかりを覚えた。
当時赤ん坊扱いだった10代のリーチェがなにも知らなかったとしても、当時から生きていて現在種族の長を務めているライオネルさんが何も知らないのはなんでだ?
王家だけに伝わる何らかの秘密があった?
だけどここまで軽んじられている王家に秘密があったとは考え難いし、王家が長の補佐を務めているところから考えても、エルフ族にとっては王家よりも長の方が立場は上なのだ。
もしも王家に秘密があったとしても、それを長が知らないとは考え難くないか?
王家に何らかの秘密があるなら、いくらなんでも王家の断絶に誰か反対しそうなものだけど……。
「……そうか。ライオネルさんって正規の手順で長を任された人じゃないんだっけ」
「え……?」
ここでもまたお前が絡んでくるのか、邪神ガルクーザ……!
邪神討伐後、建国の英雄譚を発端にしてエルフェリア精霊国で起こった内戦。
その争いの末に長に選出されたライオネルさんは、それまで継承されてきた長の知識を引き継いでいない可能性があるんじゃないのか……?
「エルフ族は偽りの英雄譚を生み出した影響で深刻な少子化に悩まされた。その結果、偽りの英雄譚を生み出した主要人物全員が処刑されたと聞いている」
「……ええそうね。その中にはリーチェのご両親も含まれていたって聞いたけど……」
「その争いの中で長になったライオネルさんには、恐らく正しい引き継ぎが行なわれなかったんじゃないのか? エルフ族の長のみに伝えられている秘伝のようなものがあったとしても、既に失われてしまっているんじゃ……」
「……っ! そ、それを言ったらリーチェの両親も……!?」
俺の呟きに、リーチェを抱きしめているティムルが悲鳴のような声をあげる。
ライオネルさんが正規の手順で長を引き継いでいないのと同じで、リーチェも本来受ける予定だった姫教育を受けていない。
王族として姫教育を受けたお姉さんはガルクーザ戦で斃れてしまったし、エルフの王家に伝わる情報も正しく伝えられなかった可能性が高い。
もしもエルフの王家が特別な存在であるなら、姉のリーチェを失った直後に妹のリュートを放逐するのはおかしいか?
いや、今現在存命中の高齢のエルフが妊娠している事を考えると、2人の娘を失ったリーチェの両親は、落ち着いたらまた世継ぎを作る算段でもしていたのかもしれない。
王家エルフェリアの真相は分からないけれど、リーチェの問題が片付いたと安心するのは少し早いような気がしてくるな……。
「450年前のエルフ族の反応を考えると、エルフの王家には何らかの秘密が隠されているように思えるね。けれど長はクーデターに斃れ、王家の唯一の生き残りのリーチェは姫教育を受ける前に里を出てしまっている。これじゃあもう確認のしようが無いんじゃないかなぁ……」
「そうねぇ。長であるライオネルさんと、王家の生き残りのリーチェが何も知らないんじゃ、他のエルフに期待するだけ無駄よねぇ……」
顎に人差し指を当てて少し考え込んだティムルは、俺に意見を求めるように迷いの篭った視線を向けてくる。
だけど相変わらずヴァルゴの乳首をちゅぱちゅぱしゃぶっている俺の顔を見て、苦笑しながら肩を竦めてみせた。
「確認できないならこれ以上考えても仕方ないわね、忘れましょっ」
「えーーーっ!? 軽くないっ!? ぼくに隠された事情みたいなものの扱い、いくらなんでも軽くないかなーっ!?」
最終的にティムルが導き出した結論に、そのティムルに抱きしめられながら全力でツッコミの声を張り上げるリーチェ。
そんなリーチェをよしよしなでなでしながらニッコリと微笑むティムル。
「あはーっ。貴女の事情なんかどうでもいいわよーっ。私たちにとっては、リーチェ本人以上に大事な物なんて何もないんだからねー?」
「……え、えぇ?」
「もしも貴女にとてつもない秘密が隠されていても、貴女が笑ってればそれでいいのよっ。その為なら私たちは、イントルーダーだってレガリアだって滅ぼして見せた。だからたとえこの先邪神ガルクーザが現れたって、貴女のためなら蹴散らして見せるわよぉ!」
「え、えー……。なんで、なんでティムルが姉さんと同じことを言うのさぁ……」
「あはーっ。そうなの? それじゃ貴女のお姉さんは、私と同じくらい貴女の事が大好きだったのねーっ」
戸惑うリーチェをぎゅーっと抱き締めるティムル。
そんな彼女に続いて、みんながリーチェを抱き締めたりよしよしなでなでをしたりして、その中心にいるリーチェがオロオロしているのが面白い。
繋がっていたニーナも離れちゃったので、俺も体を起こしてリーチェとティムルを一緒に抱き締める。
「考えても答えの出ないことなんか気にしなくていいよ。お前は俺達の大切な家族で、生涯俺達とエロエロで爛れた生活を送りながら笑って暮らすんだ。その為に邪魔な者は俺が全部排除してやるからさ」
「あはっ。そんな当たり前のことよりも、リーチェのお姉さんが私たちと同じくらいリーチェの事が大好きだったのがびっくりなのっ。私たちよりリーチェを好きな人なんて居ないって思ってたのにーっ」
だよねーとニーナと笑い合って、2人でリーチェをぎゅーっと抱き締める。
俺とニーナに抱き締められたリーチェは、困惑した様子でボーっとしているな?
「……なんだか自信無くなっちゃうよぉ。みんながぼくを好きでいてくれるくらいに、ぼくはみんなを好きになれてるのかなぁ……?」
「想いの大小なんて気にすんな。俺はお前に憎まれても嫌われても拒まれても、それでもお前のことを大好きでいる事に変わりないから」
「それってフォローのつもりなのぉ……? なんでみんな、こんなにぼくを愛してくれるのさぁ……」
「そんなのリーチェの事が大好きだからに決まっておるのじゃっ! リーチェの事が大好きだから、このままずーっと大好きでいたいのじゃーっ!」
「このタイミングでそれは反則だよぉ……! これだからぁっ……! これだからフラッタはぁっ……!」
わんわんと泣き始めるリーチェを、笑顔のみんなで抱き締めたりよしよしなでなでしてあげる。
まったく、昨日の分まで可愛がってねーって言ってたみんなまで、俺をほったらかしてリーチェを構っちゃってるよ。
相変わらずうちの家族は皆仲良しでありがたい限りだ。
……恐らく、リーチェにはまだ何か秘密があるのだろう。
けれど、それを知る術は恐らくもう無いのだ。
だから大切なリーチェを守り抜く為に、何が起きても大丈夫なくらいにもっともっと強くならなきゃいけない。
お前のお姉さんが安心してお前の事を任せてくれるくらいに俺は……いや、俺達家族は何処までだって強くなってみせるからなっ。
お土産に持ち帰った乾燥キンリを頬張って、感心した様子のティムル。
ホント可愛いなぁ俺のお姉さんはっ。
行商人歴の長いティムルや、王国貴族であるラトリアも乾燥キンリのことは知らなかったので、やはりエルフェリアの外では食べられていない食べ物なんだろう。
キンリ自体は普通に出回ってる果物だけど、精霊魔法が使えないと作れないんじゃどうしようもない。
アウラとリュートとの外泊を終えてエルフェリアから帰還した俺は、マグエルでみんなと合流して、ライオネルさんと会話した内容を共有しようとした。
けれど偽りの英雄譚に纏わる事をチャールとシーズの前で話をするわけにもいかず、昨晩寂しい想いをしたみんなの相手をしないわけにもいかないということで、家族みんなで別荘扱いのニーナ宅に移動することにした。
お土産の乾燥キンリと、王国内にはあまり出回っていない数々の果物は概ね好評で、この世界では馴染みの無かったドライフルーツの凝縮された旨みにみんな舌鼓を打っている。
「商売っけを出すのもなんだけど、これは売れそうねぇ。保存食や携帯食としても優秀そうだわぁ」
「うん。乾燥させたキンリは数ヶ月は食べられるはずだよ。夏場に作った乾燥果実を冬場に食べたりもしてたしさ」
「あー、でもこれからは冒険者も探索者もどんどん増えてくるだろうから、保存食も携帯食も売れなくなっちゃうかしらぁ……? なら普通におやつとして売り出すのがいいかもねー」
「売るほど作る気は無いよー? ティムルやみんながお腹いっぱい食べられる量は作っておきたいけどねっ」
なぜかリュート……いやもうみんなと一緒だからリーチェって呼ぶか。
リーチェをバックハグして膝の上に乗せたティムルが、膝の上のリーチェと楽しげに話し合っている。
リーチェとティムルは本当に仲良しなんだよなー。
2人とも俺のお嫁さんなのに、なんか俺よりも仲が良さそうなんだよ?
「こーらダンっ。こっちに集中しなさいっ。ちゃーんと昨日の分まで相手してもらうんだからっ」
「好きなだけ取り立てていいよニーナ。でも話はさせてくれたら嬉しいなー?」
「うん、それは構わないのっ。話をしながらで構わないから、いっぱいいっぱい愛して欲しいのーっ」
俺に跨ったニーナが、俺の上で元気に上下運動を繰り返している。
そして俺の両手はターニアとエマのおっぱいをもみもみしていて、口にはヴァルゴの乳首が押し込まれている。
さっきから俺が発言する度にピクピクと反応するヴァルゴが可愛いので、何度かわざと歯を立てて彼女の反応を楽しんでいる。
「ちゃんと全員を満たすまでは、絶対に放さないのじゃーっ」
「ダンさんはなぁんにもしなくていいですからねぇ? 私たちがいーっぱい気持ちよくしてあげますからねぇ?」
ニーナの後ろで順番待ちをしているフラッタとムーリが、エロ度100%の宣戦布告をしてくる。
でもそんなの望む所過ぎて大歓迎なんだよ?
昨晩の分に利子をつけて、いーっぱい注ぎ込んであげるからねーっ。
俺は昨日愛してあげられなかったメンバーと大乱交を繰り広げながらも、ライオネルさんと会話したエルフ族の王族の話をみんなに伝える。
「リーチェさんが子供を生めないと王家エルフェリアは断絶する、けれど王族の血は絶えないんですね。なんだかこんがらがってしまいそうです」
ラトリアが頬に人差し指を当てて、ん~っ……と首を傾げている。
この未亡人、あざと可愛いなぁ。
ちなみにリーチェは、全エルフが王の末裔であることはちゃんと知っていた。
エルフ族の中にとっては常識的なことらしい。
「だからエルフたちは、王家であるエルフェリア家が滅びても別にいいやって感じなんじゃないかなー。じゃなきゃ姉さんやぼくへの扱いに説明がつかないでしょ?」
「ふ~ん……。エルフの王族って、スペルド王国とは随分意識が違うのねぇ。その話を聞いて、納得いった事と納得いかない事があるんだけどぉ……」
「んー? なになにティムル? 君は何が引っかかってるの?」
「あはーっ。聞きたいのリーチェ? なら1つずつ説明させてねー」
ニコニコしながらリーチェに頬ずりするティムル。
ちゃんと全員に向かって説明してくれているんだろうけれど、傍から見ると2人の世界に入っているようにしか見えないんだよ?
そして静かだなぁと思っていたら、アウラがベッドの端でこっくりこっくり舟を漕いでいた。
満年齢9歳のアウラには昨晩の徹夜が少し堪えてしまったようだ。
「ティムル。説明の前にアウラを休ませてあげてくれる? 昨日ひと晩中寝かせてあげられなかったから、ちょっと辛そうなんだ」
「あらら。それじゃアウラ。貴女はリーチェの膝を枕にして休みなさいな。騒がしくてもみんなと一緒がいいでしょ?」
「んー……そうするぅ……」
こしこしと眠そうに目を擦りながら、リーチェのむっちりとした太股を枕に、すぐ寝息を立て始めるアウラ。
そのむちむちした最高の太股も俺のものなんだけど、娘のアウラくらいには貸してあげないとな。
リーチェとティムルはそれぞれ片方ずつアウラと手を繋ぎ、空いている手で優しくアウラをよしよしなでなでしている。
どう見ても母娘です。本当にありがとうございました。
「それじゃまずは納得がいったことから説明するわね」
全員を見渡して、誰も口を挟まないのを確認して小さく頷き、続きを話し始めるティムル。
俺がツッコミを入れないとダメなんだろうけど、俺の口はヴァルゴのおっぱいをしゃぶるのに忙しいんだよなー。はむはむ。
「私が1番不思議だったのは、エルフ族のリーチェに対する扱いなの。お姉さんもご両親も亡くなって他に王位継承者が居ないはずなのに、リーチェをエルフェリアから追放したままなんておかしいなってずっと思ってたのよねー」
「ぼくが旅に出た時点でエルフェリア家の後継者はいなかったんだけど、父さん達は新たな後継者を作る気でもあったのかもしれないね。今となっては確かめる術も無いけど」
「リーチェの両親が新しく子供を作る前に2人を害してしまっていることからも、エルフ族にとって継承される王位なんてとっくに興味なかったのが良く分かるわねぇ。種族全員が王の血を受継いでいるエルフ族にとって、王位継承権の剥奪って里からの追放って意味合いが強いんでしょうねー……」
リーチェを追放し、姉を邪神討伐という死地に追いやり、両親を投獄の上処刑して、エルフェリア家をあっさりと断絶させておきながら、戻ってきたリーチェに子作りを強要する気も無いエルフ族。
エルフ族にとって、王家エルフェリア家が如何に軽い存在だったのかがよく分かるな。
「エルフェリア家が軽んじられていたのは間違いない。そんな中どうしても違和感を覚えてしまうのはリーチェ。貴女の扱いよ」
「え? そうかなぁ?」
「エルフェリア家が軽んじられていたのだとしたら、家格だけで邪神討伐に選出されるとは考えにくいわ。なのに貴女のお姉さんは妹である貴女の邪神討伐参加を確信していた。自分が失敗したら次は必ず妹が駆りだされると、どうしてそんなに思い詰めていたのかしらぁ……?」
確かにティムルの言う通り、ライオネルさんの話とお姉さんの言動に温度差のようなものを感じてしまうんだよなぁ。
お姉さんが蒼穹の盟約に選出されたのは実力や評判などが関係していたのかもしれないけれど、ガルクーザ出現時点で7~8歳だったはずのリュートがそこまでの実力だったはずがない。
なのに次に邪神討伐に駆り出されるのは妹のリュートに違いないと、どうしてそこまで頑なに思い詰めてしまったのか……。
「それに、お姉さんの装備品は蒼穹の盟約のドワーフによって作られたものなんでしょう? 私がみんなの装備を作らせて貰ったみたいに」
「う、うん。そのはずだよ。ディランさんっていうドワーフ族の代表者が、メンバー全員分の装備品を用意したって……」
「それに対して、後に里を追放されて王位を剥奪された貴女にエルフ族に伝わるアウターレア装備を惜しげもなく持たせているわよね? 邪神討伐に向かうはずのお姉さんには渡さなかったエルフ族に伝わる秘宝をよ? これっておかしくないかしらぁ?」
「あっ……。えっと……そ、それは……あれ……?」
ティムルの指摘に自分でも違和感を抱いてしまったのだろう。
リーチェは困惑した様子で、しきりに首を捻っている。
「里が壊滅したのに産声の儀を最優先するようなエルフ族が、赤ん坊扱いされているはずの16歳の貴女を追放したのも違和感があるわ。貴女って最も年若いエルフ族だったんでしょう?」
いつの間にかニーナも上下運動を止めており、ティムルの言葉に真剣な表情で耳を傾けている。
ティムルとリーチェの声以外には、俺がヴァルゴの乳首をしゃぶるちゅうちゅうちゅぱちゅぱれろれろという音しか聞こえない室内に、緊迫感が漂い始めている。
「若い命を何よりも優先するエルフ族が、最も年若いリーチェに重荷を背負わせて里を追放するのもおかしいし、追放するリーチェに種族の秘宝を持たせるのも明らかに変よ。まるで、追放はするけど死ぬことは許さないって言ってるみたいよね?」
「偽りの英雄譚のためにリーチェに死んでもらうわけにはいかなかった……? けど、それにしたってほぼ全身にアウターレア装備を……。武器に至っては2つも持たせているんだよね……。確かに異常、かも……」
俺をぎゅううっときつく締め上げながら、ニーナが慎重な口振りでティムルの言葉を肯定する。
エルフ族とガルクーザ関連の流れで、偽りの英雄リーチェの存在だけが浮いている、そんな風に感じられてしまう。
リーチェは軽んじられていたのか大事にされていたのか、なんだか全体の扱いがチグハグだ。
どうしてこんな現象が起こりえる?
「……これは参るのぅ。せっかく偽りの英雄譚を暴き、リーチェを縛っていた誓約を解消してみせたというのに……。どうやらリーチェには、本人も知らぬ何らかの事情がありそうなのじゃ……」
「待って、待ってよフラッタ! ぼくが知らないにしても、長であるライオネルさんや、建国以前から生きているエルフも何も言ってこないじゃないかっ! ぼくに詐称誓約以外の事情なんて……!」
「……確かにリーチェの言い分にも一理あります。当時まだ幼かったリーチェ本人が事情に疎かったにしても、当時から生きていて現在エルフの長を務めているライオネルさんが何も知らなそうなのは、いったい……?」
ヴァルゴの疑問に、なんだか少し引っかかりを覚えた。
当時赤ん坊扱いだった10代のリーチェがなにも知らなかったとしても、当時から生きていて現在種族の長を務めているライオネルさんが何も知らないのはなんでだ?
王家だけに伝わる何らかの秘密があった?
だけどここまで軽んじられている王家に秘密があったとは考え難いし、王家が長の補佐を務めているところから考えても、エルフ族にとっては王家よりも長の方が立場は上なのだ。
もしも王家に秘密があったとしても、それを長が知らないとは考え難くないか?
王家に何らかの秘密があるなら、いくらなんでも王家の断絶に誰か反対しそうなものだけど……。
「……そうか。ライオネルさんって正規の手順で長を任された人じゃないんだっけ」
「え……?」
ここでもまたお前が絡んでくるのか、邪神ガルクーザ……!
邪神討伐後、建国の英雄譚を発端にしてエルフェリア精霊国で起こった内戦。
その争いの末に長に選出されたライオネルさんは、それまで継承されてきた長の知識を引き継いでいない可能性があるんじゃないのか……?
「エルフ族は偽りの英雄譚を生み出した影響で深刻な少子化に悩まされた。その結果、偽りの英雄譚を生み出した主要人物全員が処刑されたと聞いている」
「……ええそうね。その中にはリーチェのご両親も含まれていたって聞いたけど……」
「その争いの中で長になったライオネルさんには、恐らく正しい引き継ぎが行なわれなかったんじゃないのか? エルフ族の長のみに伝えられている秘伝のようなものがあったとしても、既に失われてしまっているんじゃ……」
「……っ! そ、それを言ったらリーチェの両親も……!?」
俺の呟きに、リーチェを抱きしめているティムルが悲鳴のような声をあげる。
ライオネルさんが正規の手順で長を引き継いでいないのと同じで、リーチェも本来受ける予定だった姫教育を受けていない。
王族として姫教育を受けたお姉さんはガルクーザ戦で斃れてしまったし、エルフの王家に伝わる情報も正しく伝えられなかった可能性が高い。
もしもエルフの王家が特別な存在であるなら、姉のリーチェを失った直後に妹のリュートを放逐するのはおかしいか?
いや、今現在存命中の高齢のエルフが妊娠している事を考えると、2人の娘を失ったリーチェの両親は、落ち着いたらまた世継ぎを作る算段でもしていたのかもしれない。
王家エルフェリアの真相は分からないけれど、リーチェの問題が片付いたと安心するのは少し早いような気がしてくるな……。
「450年前のエルフ族の反応を考えると、エルフの王家には何らかの秘密が隠されているように思えるね。けれど長はクーデターに斃れ、王家の唯一の生き残りのリーチェは姫教育を受ける前に里を出てしまっている。これじゃあもう確認のしようが無いんじゃないかなぁ……」
「そうねぇ。長であるライオネルさんと、王家の生き残りのリーチェが何も知らないんじゃ、他のエルフに期待するだけ無駄よねぇ……」
顎に人差し指を当てて少し考え込んだティムルは、俺に意見を求めるように迷いの篭った視線を向けてくる。
だけど相変わらずヴァルゴの乳首をちゅぱちゅぱしゃぶっている俺の顔を見て、苦笑しながら肩を竦めてみせた。
「確認できないならこれ以上考えても仕方ないわね、忘れましょっ」
「えーーーっ!? 軽くないっ!? ぼくに隠された事情みたいなものの扱い、いくらなんでも軽くないかなーっ!?」
最終的にティムルが導き出した結論に、そのティムルに抱きしめられながら全力でツッコミの声を張り上げるリーチェ。
そんなリーチェをよしよしなでなでしながらニッコリと微笑むティムル。
「あはーっ。貴女の事情なんかどうでもいいわよーっ。私たちにとっては、リーチェ本人以上に大事な物なんて何もないんだからねー?」
「……え、えぇ?」
「もしも貴女にとてつもない秘密が隠されていても、貴女が笑ってればそれでいいのよっ。その為なら私たちは、イントルーダーだってレガリアだって滅ぼして見せた。だからたとえこの先邪神ガルクーザが現れたって、貴女のためなら蹴散らして見せるわよぉ!」
「え、えー……。なんで、なんでティムルが姉さんと同じことを言うのさぁ……」
「あはーっ。そうなの? それじゃ貴女のお姉さんは、私と同じくらい貴女の事が大好きだったのねーっ」
戸惑うリーチェをぎゅーっと抱き締めるティムル。
そんな彼女に続いて、みんながリーチェを抱き締めたりよしよしなでなでをしたりして、その中心にいるリーチェがオロオロしているのが面白い。
繋がっていたニーナも離れちゃったので、俺も体を起こしてリーチェとティムルを一緒に抱き締める。
「考えても答えの出ないことなんか気にしなくていいよ。お前は俺達の大切な家族で、生涯俺達とエロエロで爛れた生活を送りながら笑って暮らすんだ。その為に邪魔な者は俺が全部排除してやるからさ」
「あはっ。そんな当たり前のことよりも、リーチェのお姉さんが私たちと同じくらいリーチェの事が大好きだったのがびっくりなのっ。私たちよりリーチェを好きな人なんて居ないって思ってたのにーっ」
だよねーとニーナと笑い合って、2人でリーチェをぎゅーっと抱き締める。
俺とニーナに抱き締められたリーチェは、困惑した様子でボーっとしているな?
「……なんだか自信無くなっちゃうよぉ。みんながぼくを好きでいてくれるくらいに、ぼくはみんなを好きになれてるのかなぁ……?」
「想いの大小なんて気にすんな。俺はお前に憎まれても嫌われても拒まれても、それでもお前のことを大好きでいる事に変わりないから」
「それってフォローのつもりなのぉ……? なんでみんな、こんなにぼくを愛してくれるのさぁ……」
「そんなのリーチェの事が大好きだからに決まっておるのじゃっ! リーチェの事が大好きだから、このままずーっと大好きでいたいのじゃーっ!」
「このタイミングでそれは反則だよぉ……! これだからぁっ……! これだからフラッタはぁっ……!」
わんわんと泣き始めるリーチェを、笑顔のみんなで抱き締めたりよしよしなでなでしてあげる。
まったく、昨日の分まで可愛がってねーって言ってたみんなまで、俺をほったらかしてリーチェを構っちゃってるよ。
相変わらずうちの家族は皆仲良しでありがたい限りだ。
……恐らく、リーチェにはまだ何か秘密があるのだろう。
けれど、それを知る術は恐らくもう無いのだ。
だから大切なリーチェを守り抜く為に、何が起きても大丈夫なくらいにもっともっと強くならなきゃいけない。
お前のお姉さんが安心してお前の事を任せてくれるくらいに俺は……いや、俺達家族は何処までだって強くなってみせるからなっ。
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