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7章 家族みんなで冒険譚2 聖域に潜む危機
523 悪意の女王⑦ 逆転 (改)
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ジジジジジジジジ!! と不快な騒音が鳴り響く聖域の樹海。
その耳を劈くような轟音に、俺も家族も身動きが取れなくされてしまった。
くっそ……! 日本に居た頃は、蝉しぐれなんて風流だとしか思わなかったのになぁ……!
まさか虫の鳴き声がここまで厄介な攻撃方法になるとは想像もしていなかったぜ……!
ティムルの竜鱗甲光に加えて、家族全員でありったけの魔法障壁を展開し、更にはリーチェに音を遮断してもらっているってのに、それでも煩く感じるほどの音量だ。
障壁の外がどうなってるかなんて、確認するのも嫌になるねぇ……。
「俺達の魔力にも限界があるし、急いで作戦を立てるよ!」
このまま手を拱いていては敗北は必至。
状況を打破する為に、まずは現状で分かっている事を再確認する。
この騒音の出所はヴェノムデバイスたちでまず間違いが無い。
毒も効かず、包囲攻撃をものともしない俺達に有効な手段を模索した結果、辿り着いた結論なのだろう。
そしてこの騒音は肉体の器官から発せられる鳴き声なので、魔力で干渉することが出来ない。
リーチェの精霊魔法のように、魔力で干渉して拡散している音なら断空で打ち消せるんだけどな……!
更に絶望的なのが、ヴェノムデバイスたちも野生動物なので、魔法やウェポンスキルで一気に殲滅することも出来ないという点だ。
この鳴き声は数万を超えると思われるヴェノムデバイスが全周囲から放ってきているものだから、それを阻止しようとするならある程度の長時間、この騒音の中に身を晒さなければならないということだ。
ヤバいなヴェノムデバイス……。
この状況、既に結構詰んでる気がするんだよ?
「この騒音に身を晒すのは厳しいの……! 今だってかなり不快なのに……!」
ニーナが心底不快そうに吐き捨てる。
獣人の3人と竜人の3人、それにアウラがそれぞれ耳を塞いで辛そうにしている。
種族的に五感が鋭敏な7人はかなり辛そうだ……。
早く何とかしてあげないと……!
「最終的には撤退を選べるとは思うけど……。この状況を放置して撤退したせいで守人に被害が出ても不味いのよね……」
「流石にこれをやられたら守人では対処できませんね……。最悪聖域を放棄する事になりかねません……!」
ティムルとヴァルゴが、この状況を放置して撤退を選んだ場合の危険性を憂慮している。
今回の件で、完全に人間を脅威だと認識させてしまったからな……。
聖域で生活している守人たちが標的にされる可能性は充分にありえる話だろう。
「1発逆転を狙うならヴァンダライズを試してみたいところだけど……。ヴァンダライズって、恐らく殲滅には向いてないよね……!」
「……多分ね。最大限上手くいったとしても、一方向のヴェノムデバイスを滅ぼすのが関の山だろ」
リーチェの指摘通り、ヴァンダライズは威力に特化した単体攻撃スキルみたいなものだからな。
単体相手であればマグナトネリコのような巨大な魔物でも滅ぼしてしまえると思うけど、数を誇る相手とは絶望的に相性が悪い。連射も出来ないしね。
「くっ、野生動物ってのが厄介よね……! 攻撃魔法かウェポンスキルが通じるなら、一気に殲滅で来ちゃうのに……!」
「野生動物を殲滅する方法なら、竜人族のブレスが候補に挙がるけど……。この状態じゃ無理そうだし、仮に撃てても殲滅しきるのは無理そうだよね……」
「……ブレス! そうだ、ブレスですよ! 旦那様! 竜王を召喚してヴェノムデバイスたちを蹴散らしてはっ!?」
ヴァルゴが造魔竜王での殲滅を提案してくる。
確かに竜王なら騒音も気にしないだろうし、上手く行けばヴェノムデバイスの毒すら気にせず暴れ回ってくれるかもしれない。
拡散ブレスは包囲殲滅にピッタリだし、造魔竜王による害虫駆除、一考の余地ありか?
「……悪くはないんだけど、いくつが問題点があるわ」
本気で造魔召喚を検討し始めた俺に、慎重な声色でティムルが警告を発する。
俺は彼女の言葉の続きを促す為に、彼女に黙って頷いて見せた。
「1つは言うまでもなくダンの魔力の問題。竜王の拡散ブレスは殲滅に向いているけど、ダンの魔力を消費してしまうわけだから連射は出来ないわ。そもそも造魔召喚で拡散ブレスって出来なかったんじゃなかった?」
「あ、確かにそうだったわ……」
「2つ目は、竜王ではヴェノムデバイスの動きを捉えるのは難しいんじゃないかって点ね。竜化で誤魔化してはいたけれど、竜王って移動速度が速い魔物じゃなかったから」
う、確かにそうだったかも……。
骨を伸ばしてきたり攻撃魔法を扱ったりドラゴンサーヴァントを嗾けてきたりと、本体は割と動かないタイプの魔物だったな、竜王って。
うわっ、造魔竜王による害虫駆除は良い案だと思ったんだけど、問題点がいっぱい出てくるな。
イントルーダー召喚は大量の魔力を消費してしまうのに、殲滅に役立たないんじゃ逆に窮地に陥ってしまうよ。
「3つめに、竜王がヴェノムデバイスの毒に耐え切れる保証が無いこと。せっかく造魔召喚しても、毒で一瞬で滅ぼされてしまっては意味が無いわ」
「骨だけの竜王に毒が効くとも思えないけど……。とりあえず試すっていうには、いくらなんでもコストが大きすぎるか……!」
「でもねみんな。1番の問題は、竜王の殲滅を待てるほどの時間的な猶予が無いってことなのよ……!」
悔しそうに下唇を噛みながら、聖域の奥を睨みつけるティムル。
その額には玉のような汗が滲んでいて、少し息遣いも荒くなって……ってなんで!? これって魔力枯渇じゃ!?
「外の音がどんどん大きく近づいているみたいでね。竜鱗甲光への負担が増大してるの。そのせいでスキルの維持がちょーっとだけ厳しそうなのよねー……」
「ティムルの竜鱗甲光は1番外側の障壁を担当しています……! つまりティムルの負担が1番大きいということですか……!」
「説明ありがとヴァルゴ。あと10分は持たせてみせるけど、それ以上はちょーっと自信無いかしらぁ……? だからダン、結論は早めにねー……?」
隠し切れない疲労を顔に滲ませながらも、俺に笑顔を見せてくれるティムル。
魔力枯渇に苦しんでる時まで俺に気を使わなくってもいいんだってば……!
「くっそ……! いったいどうすれば……!」
ヴェノムデバイスを一瞬で殲滅する方法なんて思いつかない。
騒音のせいで、戦えそうなのが俺とリーチェ、そしてヴァルゴしか残っていない状況。
更にはあと10分で魔法障壁すら維持できなくなるなんて……!
「……悔しいけど、ここは撤退するしかないんじゃないかな……」
「リーチェ!? 撤退って、そんな……!」
思い悩む俺に、諦め混じりにリーチェが提案してくる。
撤退の危険性を考慮した上でも、もう俺達には打てる手段は無い。リーチェはそう判断してしまったらしい。
「悔しいけれど準備不足が過ぎたよ。攻撃魔法もウェポンスキルも通じない相手だって分かってたら、もうちょっと手の打ちようはあったかもしれないけど……」
準備不足って、こんな相手を想定しろって方が無茶だよ……。
確かに事前に分かっていれば、召喚可能なイントルーダーを揃えて戦闘を始めることも出来たかもしれないけど……!
「今のぼく達に、逆転の目は無い、よ……」
悔しそうに俯きながら、リーチェが敗北を宣言する。
しかしリーチェのその言葉が、焦って空回っていた俺の思考を導いてくれる。
「逆転……。そうか、逆転か……」
「……え? ぼくの話、ちゃんと聞いてるダン?」
「聞いてるに決まってるだろ! 流石リーチェだ!」
「へっ……? んんっ……!?」
戸惑うリーチェを正面から力いっぱい抱きしめて、その唇を奪いながら思考を巡らせる。
そうだよ。逆転だよ。視点を変えるんだよ……!
この騒音に晒されないようにヴェノムデバイスを一気に殲滅する方法を考えるんじゃなく、さっきまでみたいに殺して回れるように、この騒音にも長時間耐えられる方法を考えてみよう!
「んーっ! んんーっ! んーっ!」
逆転の発想。それは職業補正の捉え方も同じだ。
今はリーチェの舌の感覚を最大限に味わう為に、俺に累積している五感補正を最大限に適用しているけれど、職業補正を応用すれば聴覚を可能な限り鈍化させることも出来るんじゃないだろうか?
俺は今まで五感補正を五感全てに張り巡らせてきたし、敏捷性補正を全身の神経に走らせてきたんだ。
身体操作性補正を駆使して、この不快な騒音を全てシャットアウトすることも可能なんじゃないのか……?
「はぁ……。んんっ……。はむ……。ぁむ……」
口の中のリーチェの感触を全力で堪能しながら、全身から伝わってくる外界からの音を全てシャットアウトしていく。
次第にちゅうちゅうれろれろという感覚は間違いなく続いているのに、リーチェの甘い吐息も、互いの口から漏れ出る淫らな水音も認識できなくなっていく。
目を開ければ確かに頬を上気させて喘ぐリーチェは存在しているのに、俺の世界から音だけが消失していく。
「……。……。……」
リーチェの甘い唾液の味はいつも以上にはっきりと分かるのに、彼女の呼吸音もキスの音も、抱きしめているリーチェのおっぱいから鼓動の音さえ伝わってこない。
……いける。今の俺は無音の世界に生きている……!
リーチェを解放して地面に座らせる。
お漏らし状態のリーチェのほっぺにちゅっとキスをしたら、アナザーポータルを使って竜鱗甲光の外側に転移した。
「……!? ……! …………!!」
視界に入ったティムルとヴァルゴが慌てた様子で何かを叫んでいるけど、残念ながら認識できない。
おかげさまで肌はビリビリと震えているけれど、ヴェノムデバイスどもの鳴き声も無事認識できなくなっている。
知らない間に鼓膜が破けてるって事はないよなぁ……?
騒音が肌を打つ感覚は失われていないから、痛覚はちゃんと機能してると思うけど。
さぁて、みんなの可愛い声を聞けない人生なんて真っ平ごめんだ。
だからそれを阻害している邪魔者は、さっさと排除してやらないとなぁっ!?
「……っ」
自分の声すら認識できない無音の世界を走り抜け、一気に距離を詰めてヴェノムデバイスを殺していく。
未だ続く轟音に、肌はおろか眼球すら振動しているような気がするけど、どうやら目が潰れるようなことは無さそうだ。なら問題ない。
無音の世界で音を置き去りにするつもりで走り続け、生体察知に従いヴェノムデバイスを皆殺しにしていく。
耳を塞いで蹲るニーナ、ターニア、ムーリの姿を思い出す。
両耳を押さえて青い顔をしていたフラッタ、ラトリア、エマ、アウラを思い出す。
魔力枯渇寸前なのに気丈に笑ってくれたティムルの姿を、自分に出来ることがないと悔しそうに歯噛みしていたヴァルゴの姿を思い出す。
メロメロになりながら俺に舌を弄ばれるリーチェの姿を……いや、これは思い出さなくていいか。
みんなの苦しむ姿を思い出すたびに、俺の体を怒りと共に職業補正が駆け巡る。
俺の愛する家族にここまでのことをしてくれたんだ。
聖域の異常なんて関係なく、1匹だって逃してやらないからなぁ……!
無詠唱で浄化魔法ピュリフィケーションを唱え続け、猛毒の霧すら無視してひたすらにヴェノムデバイスを殺し続ける。
たかが虫けらの分際で、俺の女に手を出しやがって……!!
1億居ようが1兆居ようが関係ない。
ティムルの魔力が枯渇する前に、テメェら全員皆殺しにしてやるぜぇ!!
「……! …………!! ……!」
ひたすらにヴェノムデバイスを殺し続けていたら、突然ヴェノムデバイスたちが距離を取ることをやめて俺に向かって一斉に襲い掛かってきた。
その行動に自分の肌の感覚を確かめると、先ほどまでビリビリと肌を叩いていたような感覚が無くなっている事に気付いた。
どうやら鳴き声を発するのはやめたようだな。
鳴き声が止まっているなら聴覚を遮断する意味は無い。
身体操作性補正を解除して、愛するみんなの声を聞かないと。
「ダンーっ! ダンーっ! お願いっ、ダンったらーー!」
「なぁにニーナ? 聞こえ……」
「ああっ……! ダンっ! ダンなのっ……!?」
ニーナの声を皮切りに、愛する家族が代わる代わる俺を呼ぶ。
そんなみんなの声が聞こえる度に、俺の魂が震えるほどに喜んでいるようだ。
「突然出てったから心配したのーーっ! 大丈夫なのダン!? 音は止まったみたいだけど!」
「勿論平気だよ。心配かけてごめんねみんな。またみんなの声が聞けて最高に幸せだよ」
「ダ、ダン? 貴方今高速で戦闘中じゃないの……? なんだか声が蕩けきってるわよ……?」
「そりゃ蕩けもするよ。大好きなみんなが俺の名前を呼んでくれてるんだから」
さっきまでヴェノムデバイスを滅ぼすことしか考えられなかったのに、みんなの声を聞いただけでみんなのことしか考えられなくなってしまう。
ああ、幸せだ……。みんなの声を聞くことが出来て幸せ過ぎるよ……。
こんな幸せなことを邪魔しやがったクソ虫共は、1匹残らず排除してやらなきゃいけないねぇ?
「リーチェ。動ける? 頼みたいことがあるんだけど」
「ダンのせいで腰砕けだよっ! 戦闘中なのに意識飛んじゃったよ! 大好きだよダン! 頼みごとって何っ!?」
「俺も大好きだよリーチェ。それで、出来れば精霊憑依をして、俺に向かって全力でジュエルバラージを放ってくれないかな?」
「え、ええーーっ!?」
俺のお願いに、リーチェが素っ頓狂な声をあげる。
ああもう、耳元で叫ばれるのすら愛おしくって堪らないよ。
この世界はなんて素敵な音で満ちているんだろう。
「な、なんで愛するダンにぼくの最大の攻撃を放たなきゃいけないのさっ! 大好きなダンにそんなこと出来るわけないじゃないかっ!」
「愛するリーチェの想いを受け止めるのは慣れてるよ。俺を大好きな気持ちを魔力に載せて、全力で俺に放って欲しいんだ。それで決着をつけようと思う」
ぶっつけ本番で、今まで練習はおろかイメージすらしたことがなかったけど、なぜか出来る確信だけはある。
フラッタとリーチェの2人とは、この世界に来てから1番剣を合わせてきたんだ。
2人の想いを受け止めるのには絶対の自信がある。
だからフラッタと成功していることを、リーチェと失敗するわけがないんだよなぁ!
「愛してるよリーチェ。リュートの分も一緒に、お前を2人分愛してる」
「ダ、ダン……?」
「だからリーチェも2人分の大好きを込めて、俺に想いを届けてくれるかい? 大好きなお前の気持ち、受け止めたいんだ」
視界は不快な害虫と赤い毒の空間に覆われ、毒で蝕まれた全身には激痛が走り続けている。
けれど先ほどまで聞くことが出来なかったみんなの声を聞くことが出来たおかげで、俺の頭の中はみんなへの想いでいっぱいだ!
数秒ほどしてから、慌てたようにリーチェが返事を返してくれた。
「ととっ届けますっ……! 愛するダンにぼくの全力の気持ち、1滴残らず全部届けますぅ……!」
「待ってるよリーチェ。それと、このあと俺とリーチェは魔力枯渇に近い状態になるかもしれない。その時はみんなに頼らせてね?」
「「「は、はいぃぃ……!!」」」
ふふ、なんだかみんなの声が甘く聞こえちゃうなぁ?
もう声だけで興奮しちゃって仕方ないよ。負ける気がしないねっ。
「行くよダン! 準備はいいっ!?」
おっと、もう準備できたのか。早いな。流石リーチェだ。
両手の双剣の感触と、生体察知の反応を確認しながら返事を返す。
「いつでもおいで、リーチェの気持ち、全部受け止めてあげるから」
「うんっ!! それじゃいくねーーーっ! リーチェもリュートも、ダンのことが大好きだよーーーーーっ!!」
愛の告白と共に、全属性を纏ったリーチェの矢が放たれた。
光のような速さで俺に届けられたリーチェの愛を双剣をクロスすることで受け止めて、即座に魔力制御でリーチェの愛を受け取った。
「ははっ……! 流石はリュートの魔力だ……! 暴走気味なくらいの勢いを感じるよ……!」
アウターブレイクを応用し、双剣で受け止めたリーチェの魔力と俺の魔力を混ぜ合わせていく。
イメージするのはフラッタとの合成技。
合体型ウェポンスキルのドラゴンインフェルノだ。
全属性を纏った拡散型の魔力に俺の魔力を上乗せし、生体察知の反応を追尾するつもりで魔力を解き放つ。
「撃ち抜けぇ! ジェードテンペストーーーーっっ!!」
頭上に掲げて交差した双剣の先から、森中に向けて翠色の光線が放たれていく。
その光線は生体察知の反応目掛けて光の速さで飛んでいき、射抜いたヴェノムデバイスとヴェノムコマンダーを体の内側から風の刃で切り裂いていく。
リーチェの放ったジュエルバラージを俺の魔力で1度全力で圧縮し、生体察知でロックオンした相手を目掛けて一気に解き放つ新合成技『ジェードテンペスト』。
精霊魔法で風を纏った薄青い魔力の光線は超高速で敵を貫き、その内部から風の刃で敵を引き裂く広範囲殲滅技だ。
どうやら毒の霧さえ翠の暴風が全て吹き払ってくれたようで、周囲には毒の反応も無い。
ジェードテンペストを放って5秒もしないうちに生体察知の反応は全て消え去り、聖域の樹海には恐ろしいほどの静けさだけが漂っていた。
その耳を劈くような轟音に、俺も家族も身動きが取れなくされてしまった。
くっそ……! 日本に居た頃は、蝉しぐれなんて風流だとしか思わなかったのになぁ……!
まさか虫の鳴き声がここまで厄介な攻撃方法になるとは想像もしていなかったぜ……!
ティムルの竜鱗甲光に加えて、家族全員でありったけの魔法障壁を展開し、更にはリーチェに音を遮断してもらっているってのに、それでも煩く感じるほどの音量だ。
障壁の外がどうなってるかなんて、確認するのも嫌になるねぇ……。
「俺達の魔力にも限界があるし、急いで作戦を立てるよ!」
このまま手を拱いていては敗北は必至。
状況を打破する為に、まずは現状で分かっている事を再確認する。
この騒音の出所はヴェノムデバイスたちでまず間違いが無い。
毒も効かず、包囲攻撃をものともしない俺達に有効な手段を模索した結果、辿り着いた結論なのだろう。
そしてこの騒音は肉体の器官から発せられる鳴き声なので、魔力で干渉することが出来ない。
リーチェの精霊魔法のように、魔力で干渉して拡散している音なら断空で打ち消せるんだけどな……!
更に絶望的なのが、ヴェノムデバイスたちも野生動物なので、魔法やウェポンスキルで一気に殲滅することも出来ないという点だ。
この鳴き声は数万を超えると思われるヴェノムデバイスが全周囲から放ってきているものだから、それを阻止しようとするならある程度の長時間、この騒音の中に身を晒さなければならないということだ。
ヤバいなヴェノムデバイス……。
この状況、既に結構詰んでる気がするんだよ?
「この騒音に身を晒すのは厳しいの……! 今だってかなり不快なのに……!」
ニーナが心底不快そうに吐き捨てる。
獣人の3人と竜人の3人、それにアウラがそれぞれ耳を塞いで辛そうにしている。
種族的に五感が鋭敏な7人はかなり辛そうだ……。
早く何とかしてあげないと……!
「最終的には撤退を選べるとは思うけど……。この状況を放置して撤退したせいで守人に被害が出ても不味いのよね……」
「流石にこれをやられたら守人では対処できませんね……。最悪聖域を放棄する事になりかねません……!」
ティムルとヴァルゴが、この状況を放置して撤退を選んだ場合の危険性を憂慮している。
今回の件で、完全に人間を脅威だと認識させてしまったからな……。
聖域で生活している守人たちが標的にされる可能性は充分にありえる話だろう。
「1発逆転を狙うならヴァンダライズを試してみたいところだけど……。ヴァンダライズって、恐らく殲滅には向いてないよね……!」
「……多分ね。最大限上手くいったとしても、一方向のヴェノムデバイスを滅ぼすのが関の山だろ」
リーチェの指摘通り、ヴァンダライズは威力に特化した単体攻撃スキルみたいなものだからな。
単体相手であればマグナトネリコのような巨大な魔物でも滅ぼしてしまえると思うけど、数を誇る相手とは絶望的に相性が悪い。連射も出来ないしね。
「くっ、野生動物ってのが厄介よね……! 攻撃魔法かウェポンスキルが通じるなら、一気に殲滅で来ちゃうのに……!」
「野生動物を殲滅する方法なら、竜人族のブレスが候補に挙がるけど……。この状態じゃ無理そうだし、仮に撃てても殲滅しきるのは無理そうだよね……」
「……ブレス! そうだ、ブレスですよ! 旦那様! 竜王を召喚してヴェノムデバイスたちを蹴散らしてはっ!?」
ヴァルゴが造魔竜王での殲滅を提案してくる。
確かに竜王なら騒音も気にしないだろうし、上手く行けばヴェノムデバイスの毒すら気にせず暴れ回ってくれるかもしれない。
拡散ブレスは包囲殲滅にピッタリだし、造魔竜王による害虫駆除、一考の余地ありか?
「……悪くはないんだけど、いくつが問題点があるわ」
本気で造魔召喚を検討し始めた俺に、慎重な声色でティムルが警告を発する。
俺は彼女の言葉の続きを促す為に、彼女に黙って頷いて見せた。
「1つは言うまでもなくダンの魔力の問題。竜王の拡散ブレスは殲滅に向いているけど、ダンの魔力を消費してしまうわけだから連射は出来ないわ。そもそも造魔召喚で拡散ブレスって出来なかったんじゃなかった?」
「あ、確かにそうだったわ……」
「2つ目は、竜王ではヴェノムデバイスの動きを捉えるのは難しいんじゃないかって点ね。竜化で誤魔化してはいたけれど、竜王って移動速度が速い魔物じゃなかったから」
う、確かにそうだったかも……。
骨を伸ばしてきたり攻撃魔法を扱ったりドラゴンサーヴァントを嗾けてきたりと、本体は割と動かないタイプの魔物だったな、竜王って。
うわっ、造魔竜王による害虫駆除は良い案だと思ったんだけど、問題点がいっぱい出てくるな。
イントルーダー召喚は大量の魔力を消費してしまうのに、殲滅に役立たないんじゃ逆に窮地に陥ってしまうよ。
「3つめに、竜王がヴェノムデバイスの毒に耐え切れる保証が無いこと。せっかく造魔召喚しても、毒で一瞬で滅ぼされてしまっては意味が無いわ」
「骨だけの竜王に毒が効くとも思えないけど……。とりあえず試すっていうには、いくらなんでもコストが大きすぎるか……!」
「でもねみんな。1番の問題は、竜王の殲滅を待てるほどの時間的な猶予が無いってことなのよ……!」
悔しそうに下唇を噛みながら、聖域の奥を睨みつけるティムル。
その額には玉のような汗が滲んでいて、少し息遣いも荒くなって……ってなんで!? これって魔力枯渇じゃ!?
「外の音がどんどん大きく近づいているみたいでね。竜鱗甲光への負担が増大してるの。そのせいでスキルの維持がちょーっとだけ厳しそうなのよねー……」
「ティムルの竜鱗甲光は1番外側の障壁を担当しています……! つまりティムルの負担が1番大きいということですか……!」
「説明ありがとヴァルゴ。あと10分は持たせてみせるけど、それ以上はちょーっと自信無いかしらぁ……? だからダン、結論は早めにねー……?」
隠し切れない疲労を顔に滲ませながらも、俺に笑顔を見せてくれるティムル。
魔力枯渇に苦しんでる時まで俺に気を使わなくってもいいんだってば……!
「くっそ……! いったいどうすれば……!」
ヴェノムデバイスを一瞬で殲滅する方法なんて思いつかない。
騒音のせいで、戦えそうなのが俺とリーチェ、そしてヴァルゴしか残っていない状況。
更にはあと10分で魔法障壁すら維持できなくなるなんて……!
「……悔しいけど、ここは撤退するしかないんじゃないかな……」
「リーチェ!? 撤退って、そんな……!」
思い悩む俺に、諦め混じりにリーチェが提案してくる。
撤退の危険性を考慮した上でも、もう俺達には打てる手段は無い。リーチェはそう判断してしまったらしい。
「悔しいけれど準備不足が過ぎたよ。攻撃魔法もウェポンスキルも通じない相手だって分かってたら、もうちょっと手の打ちようはあったかもしれないけど……」
準備不足って、こんな相手を想定しろって方が無茶だよ……。
確かに事前に分かっていれば、召喚可能なイントルーダーを揃えて戦闘を始めることも出来たかもしれないけど……!
「今のぼく達に、逆転の目は無い、よ……」
悔しそうに俯きながら、リーチェが敗北を宣言する。
しかしリーチェのその言葉が、焦って空回っていた俺の思考を導いてくれる。
「逆転……。そうか、逆転か……」
「……え? ぼくの話、ちゃんと聞いてるダン?」
「聞いてるに決まってるだろ! 流石リーチェだ!」
「へっ……? んんっ……!?」
戸惑うリーチェを正面から力いっぱい抱きしめて、その唇を奪いながら思考を巡らせる。
そうだよ。逆転だよ。視点を変えるんだよ……!
この騒音に晒されないようにヴェノムデバイスを一気に殲滅する方法を考えるんじゃなく、さっきまでみたいに殺して回れるように、この騒音にも長時間耐えられる方法を考えてみよう!
「んーっ! んんーっ! んーっ!」
逆転の発想。それは職業補正の捉え方も同じだ。
今はリーチェの舌の感覚を最大限に味わう為に、俺に累積している五感補正を最大限に適用しているけれど、職業補正を応用すれば聴覚を可能な限り鈍化させることも出来るんじゃないだろうか?
俺は今まで五感補正を五感全てに張り巡らせてきたし、敏捷性補正を全身の神経に走らせてきたんだ。
身体操作性補正を駆使して、この不快な騒音を全てシャットアウトすることも可能なんじゃないのか……?
「はぁ……。んんっ……。はむ……。ぁむ……」
口の中のリーチェの感触を全力で堪能しながら、全身から伝わってくる外界からの音を全てシャットアウトしていく。
次第にちゅうちゅうれろれろという感覚は間違いなく続いているのに、リーチェの甘い吐息も、互いの口から漏れ出る淫らな水音も認識できなくなっていく。
目を開ければ確かに頬を上気させて喘ぐリーチェは存在しているのに、俺の世界から音だけが消失していく。
「……。……。……」
リーチェの甘い唾液の味はいつも以上にはっきりと分かるのに、彼女の呼吸音もキスの音も、抱きしめているリーチェのおっぱいから鼓動の音さえ伝わってこない。
……いける。今の俺は無音の世界に生きている……!
リーチェを解放して地面に座らせる。
お漏らし状態のリーチェのほっぺにちゅっとキスをしたら、アナザーポータルを使って竜鱗甲光の外側に転移した。
「……!? ……! …………!!」
視界に入ったティムルとヴァルゴが慌てた様子で何かを叫んでいるけど、残念ながら認識できない。
おかげさまで肌はビリビリと震えているけれど、ヴェノムデバイスどもの鳴き声も無事認識できなくなっている。
知らない間に鼓膜が破けてるって事はないよなぁ……?
騒音が肌を打つ感覚は失われていないから、痛覚はちゃんと機能してると思うけど。
さぁて、みんなの可愛い声を聞けない人生なんて真っ平ごめんだ。
だからそれを阻害している邪魔者は、さっさと排除してやらないとなぁっ!?
「……っ」
自分の声すら認識できない無音の世界を走り抜け、一気に距離を詰めてヴェノムデバイスを殺していく。
未だ続く轟音に、肌はおろか眼球すら振動しているような気がするけど、どうやら目が潰れるようなことは無さそうだ。なら問題ない。
無音の世界で音を置き去りにするつもりで走り続け、生体察知に従いヴェノムデバイスを皆殺しにしていく。
耳を塞いで蹲るニーナ、ターニア、ムーリの姿を思い出す。
両耳を押さえて青い顔をしていたフラッタ、ラトリア、エマ、アウラを思い出す。
魔力枯渇寸前なのに気丈に笑ってくれたティムルの姿を、自分に出来ることがないと悔しそうに歯噛みしていたヴァルゴの姿を思い出す。
メロメロになりながら俺に舌を弄ばれるリーチェの姿を……いや、これは思い出さなくていいか。
みんなの苦しむ姿を思い出すたびに、俺の体を怒りと共に職業補正が駆け巡る。
俺の愛する家族にここまでのことをしてくれたんだ。
聖域の異常なんて関係なく、1匹だって逃してやらないからなぁ……!
無詠唱で浄化魔法ピュリフィケーションを唱え続け、猛毒の霧すら無視してひたすらにヴェノムデバイスを殺し続ける。
たかが虫けらの分際で、俺の女に手を出しやがって……!!
1億居ようが1兆居ようが関係ない。
ティムルの魔力が枯渇する前に、テメェら全員皆殺しにしてやるぜぇ!!
「……! …………!! ……!」
ひたすらにヴェノムデバイスを殺し続けていたら、突然ヴェノムデバイスたちが距離を取ることをやめて俺に向かって一斉に襲い掛かってきた。
その行動に自分の肌の感覚を確かめると、先ほどまでビリビリと肌を叩いていたような感覚が無くなっている事に気付いた。
どうやら鳴き声を発するのはやめたようだな。
鳴き声が止まっているなら聴覚を遮断する意味は無い。
身体操作性補正を解除して、愛するみんなの声を聞かないと。
「ダンーっ! ダンーっ! お願いっ、ダンったらーー!」
「なぁにニーナ? 聞こえ……」
「ああっ……! ダンっ! ダンなのっ……!?」
ニーナの声を皮切りに、愛する家族が代わる代わる俺を呼ぶ。
そんなみんなの声が聞こえる度に、俺の魂が震えるほどに喜んでいるようだ。
「突然出てったから心配したのーーっ! 大丈夫なのダン!? 音は止まったみたいだけど!」
「勿論平気だよ。心配かけてごめんねみんな。またみんなの声が聞けて最高に幸せだよ」
「ダ、ダン? 貴方今高速で戦闘中じゃないの……? なんだか声が蕩けきってるわよ……?」
「そりゃ蕩けもするよ。大好きなみんなが俺の名前を呼んでくれてるんだから」
さっきまでヴェノムデバイスを滅ぼすことしか考えられなかったのに、みんなの声を聞いただけでみんなのことしか考えられなくなってしまう。
ああ、幸せだ……。みんなの声を聞くことが出来て幸せ過ぎるよ……。
こんな幸せなことを邪魔しやがったクソ虫共は、1匹残らず排除してやらなきゃいけないねぇ?
「リーチェ。動ける? 頼みたいことがあるんだけど」
「ダンのせいで腰砕けだよっ! 戦闘中なのに意識飛んじゃったよ! 大好きだよダン! 頼みごとって何っ!?」
「俺も大好きだよリーチェ。それで、出来れば精霊憑依をして、俺に向かって全力でジュエルバラージを放ってくれないかな?」
「え、ええーーっ!?」
俺のお願いに、リーチェが素っ頓狂な声をあげる。
ああもう、耳元で叫ばれるのすら愛おしくって堪らないよ。
この世界はなんて素敵な音で満ちているんだろう。
「な、なんで愛するダンにぼくの最大の攻撃を放たなきゃいけないのさっ! 大好きなダンにそんなこと出来るわけないじゃないかっ!」
「愛するリーチェの想いを受け止めるのは慣れてるよ。俺を大好きな気持ちを魔力に載せて、全力で俺に放って欲しいんだ。それで決着をつけようと思う」
ぶっつけ本番で、今まで練習はおろかイメージすらしたことがなかったけど、なぜか出来る確信だけはある。
フラッタとリーチェの2人とは、この世界に来てから1番剣を合わせてきたんだ。
2人の想いを受け止めるのには絶対の自信がある。
だからフラッタと成功していることを、リーチェと失敗するわけがないんだよなぁ!
「愛してるよリーチェ。リュートの分も一緒に、お前を2人分愛してる」
「ダ、ダン……?」
「だからリーチェも2人分の大好きを込めて、俺に想いを届けてくれるかい? 大好きなお前の気持ち、受け止めたいんだ」
視界は不快な害虫と赤い毒の空間に覆われ、毒で蝕まれた全身には激痛が走り続けている。
けれど先ほどまで聞くことが出来なかったみんなの声を聞くことが出来たおかげで、俺の頭の中はみんなへの想いでいっぱいだ!
数秒ほどしてから、慌てたようにリーチェが返事を返してくれた。
「ととっ届けますっ……! 愛するダンにぼくの全力の気持ち、1滴残らず全部届けますぅ……!」
「待ってるよリーチェ。それと、このあと俺とリーチェは魔力枯渇に近い状態になるかもしれない。その時はみんなに頼らせてね?」
「「「は、はいぃぃ……!!」」」
ふふ、なんだかみんなの声が甘く聞こえちゃうなぁ?
もう声だけで興奮しちゃって仕方ないよ。負ける気がしないねっ。
「行くよダン! 準備はいいっ!?」
おっと、もう準備できたのか。早いな。流石リーチェだ。
両手の双剣の感触と、生体察知の反応を確認しながら返事を返す。
「いつでもおいで、リーチェの気持ち、全部受け止めてあげるから」
「うんっ!! それじゃいくねーーーっ! リーチェもリュートも、ダンのことが大好きだよーーーーーっ!!」
愛の告白と共に、全属性を纏ったリーチェの矢が放たれた。
光のような速さで俺に届けられたリーチェの愛を双剣をクロスすることで受け止めて、即座に魔力制御でリーチェの愛を受け取った。
「ははっ……! 流石はリュートの魔力だ……! 暴走気味なくらいの勢いを感じるよ……!」
アウターブレイクを応用し、双剣で受け止めたリーチェの魔力と俺の魔力を混ぜ合わせていく。
イメージするのはフラッタとの合成技。
合体型ウェポンスキルのドラゴンインフェルノだ。
全属性を纏った拡散型の魔力に俺の魔力を上乗せし、生体察知の反応を追尾するつもりで魔力を解き放つ。
「撃ち抜けぇ! ジェードテンペストーーーーっっ!!」
頭上に掲げて交差した双剣の先から、森中に向けて翠色の光線が放たれていく。
その光線は生体察知の反応目掛けて光の速さで飛んでいき、射抜いたヴェノムデバイスとヴェノムコマンダーを体の内側から風の刃で切り裂いていく。
リーチェの放ったジュエルバラージを俺の魔力で1度全力で圧縮し、生体察知でロックオンした相手を目掛けて一気に解き放つ新合成技『ジェードテンペスト』。
精霊魔法で風を纏った薄青い魔力の光線は超高速で敵を貫き、その内部から風の刃で敵を引き裂く広範囲殲滅技だ。
どうやら毒の霧さえ翠の暴風が全て吹き払ってくれたようで、周囲には毒の反応も無い。
ジェードテンペストを放って5秒もしないうちに生体察知の反応は全て消え去り、聖域の樹海には恐ろしいほどの静けさだけが漂っていた。
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