異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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7章 家族みんなで冒険譚2 聖域に潜む危機

509 続・桃色会議 (改)

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「カカカカカ……カイメン様……!? な、なぜ貴方がこんなところに……!?」


 昨日に引き続きアウター管理局にやってきたのはいいけれど、消沈しているカイメンを見て、局長のタヌークさんが酷く動揺してしまった。


 このままタヌークさんを放置して話を進めることも出来るけれど、この人はアルケミストの話が出るまでは冷静で理知的な印象を受ける人だったからなぁ。

 この人抜きでクラメトーラの将来について話をするのは、やっぱりあまり良くない気がしてきた。


 カイメンの姿に動揺しているタヌークさんを落ち着ける為には、やっぱりカイメンとアルケミストについて先に説明しなきゃ駄目かなぁ?


「落ち着いてタヌークさん。今日はクラメトーラの自立と今後について話をする予定だったでしょ?」

「お、落ち着けと言われても……! クラメトーラの今後を語る場にカイメン様が同席するのは異論無いが、決して表に出てこないはずのアルケミストのカイメン様がいったいどうして……!」

「それを今から説明するから、まずは黙って聞いてくれるかな。レイブンさんたちも昨日のおさらいのつもりで聞いて欲しい」

「頼む。我々にはカイメンと呼ばれるそこの御仁が誰なのかも分かっていないからな」


 レイブンさんたち3人は、俺にしっかりと頷き返してくれた。

 本音で言えば、レイブンさんたちもカイメンのことを知りたかったんだろうね。


 アルケミストとホムンクルス計画の事は昨日説明済みなので、今日はアルケミストが壊滅した事と、ホムンクルス計画が無事に? 終了したこと。カイメンが俺の奴隷として縛られている事を説明する。

 俺の説明にカイメンは特に口を挟むこともなく、タヌークさんを含めたアウター管理局の4人は黙って耳を傾けてくれた。


 だというのに説明している間もずっと抱き寄せていたニーナとリーチェの2人が、俺の手を取って手の平を指先でつつつっとなぞったり、細く柔らかい指を俺の指に絡ませてきたりと悪戯ばかりしてくる。

 手の平や手の甲を指先でゆっくりなぞられているだけなのに、なんでこんなにゾクゾクしちゃうのぉ……!?


 2人の挑発的な表情がまたエロくて、厳ついドワーフのオッサンたちの前だっていうのにめちゃくちゃ興奮しちゃうよぉ……!


「要はドワーフたちの悲願だったホムンクルス計画は無事完了して、アウラは俺に保護されてるから、クラメトーラにはもうアルケミストなんて必要ないんだって言いたいんだよ」

「い、今の話は本当ですかカイメン様!? た、確かアウラの完成にはまだ100年以上かかると言われていたように記憶しておるのですが……!」

「……少なくともアウラの完成は本当だ。少し前に大気中の魔力濃度が跳ね上がった時があってな。その時にアウラの肉体練成が一気に進んだのだ」


 タヌークさんからの問いかけに答えながら、ホムンクルス計画の全容をと語り始めるカイメン。


 アウラを人類最強の存在へと昇華させる為に、彼女の肉体を魔力で改造・強化しようとしたホムンクルス計画。

 だけどノーリッテと共に王国を窮地に陥れた、イントルーダーと化してしまったテロリストたちの例のように、異界から流れ込む膨大な魔力を一気に流し込むとアウラが魔物化してしまう可能性があった。

 なのでアウラの肉体の組成を行なうには、大気中に漂うこの世界に馴染んだ魔力を使う必要があったらしい。


 複数のアウターから常に膨大な魔力が流れ込み続けているこの世界だけど、異界から流れ込んだ魔力はそのままでは人類に破滅を齎す存在なのだ。

 魔物として結晶化し、討伐されて大気に還ることで初めて、この世界の一部として人々に恵みを齎してくれるのだ。


 始まりのアルケミストたちは、暴王のゆりかごから流れ込む異界の魔力を、マジックアイテムを通してこの世界に馴染ませる方法を編み出したらしい。


 しかしそれは例えるなら太陽光発電のように、エネルギーの変換効率が非常に悪いものだった。

 異界からの膨大な魔力を持ってしても、アウラを人類の到達点として作り上げる為には、少なくとも500年を超える歳月が必要だと見込まれていたそうだ。


 そんな時突如大気中の魔力が増大したことで、アウラの完成が100年単位で縮まってしまったらしい。


「……時期を考えると、大気中の魔力が増大したのは私達が世界呪を滅ぼしたことが原因で間違いないと思うの」


 リーチェの能力によって家族同士にしか伝わらない声で、ニーナが俺の説明を補足してくる。


 魔物を生み出すアウターを2つ取り込んだ世界呪を消し飛ばしてやったんだもんなぁ。

 アウター2つを一気に消滅させたのとほぼ同等の、想定外の膨大な魔力が世界に満ちてもしょうがない。


「つまり、ダンの来訪とアウラの完成時期が偶然にも一致したんじゃなくって、ダンが強制的に寝ているアウラを叩き起こしちゃったの。アウラがうちに来たのは、やっぱりダンがアウラの手を握ってくれたからなんだよーっ」

「ふふ。ダンは本当に我が侭だよねっ。自分と出会ってすらいないアウラのことすら不幸にしておけなくって、自分が生きている時代に呼び寄せちゃうんだもの。おかげで姉さんに代わってアウラと共に生きていくことが出来ちゃうよっ」

「……完全に不可抗力なんだけどねぇ」


 くすくすと笑うニーナとリーチェを抱き寄せながら、やれやれとため息をつく。

 過大評価をされるのは心苦しいけれど、ニーナとリーチェの笑顔を否定しても仕方ない。


「でも俺が居ないタイミングでアウラが目覚めてしまった場合、アウラは暴王のゆりかごから離れることもできず、生涯を縛鎖のペンデュラムに縛られるしかなかった。そう考えるなら、世界呪なんて化け物を倒した甲斐も出てくるよ」


 俺が居なくてもアウラは幸せに、そして自由に生活出来ていたかもしれない。

 けれど俺が居るタイミングで目覚めてくれたおかげで、俺の手で確実にアウラを自由にしてやれた。


 100年以上先に目を覚まされてたら、アウラの家族はリーチェしか生き残ってないからな。

 完全に不可抗力だったとしても、俺自身の手でアウラを救い出すことが出来て本当に良かった。


 世界を救った報酬が愛娘アウラとの出会いだったと言うのなら、こんな世界くらい何度だって救ってやろうって気にもなる。


「人類の希望として創造された究極生命体アウラ……。だがそんなアウラが全力でかかっても、この男にはかすり傷1つつけることは出来なかったのだ……」

「そ、そんな馬鹿な……!? アウラは……! アウラは人類の最後の砦となる存在ではなかったのですか……!?」

「才能だけならピカイチだけどね。でも流石にこの世界の強者を舐めすぎだよタヌークさん。竜爵家の剣士たちや断魔の煌きのメンバーだって、今のアウラに不覚を取ったりしないっての」

「……悔しいが、この男が自ら証明して見せたからな。今のアウラは最強でもなんでもないと……。アウラを本当の意味で人類の希望とするには、ここから更に磨き育てねばならぬのだそうだ……」


 がっくりと肩を落として、まるで懺悔か独白のように語るカイメン。


 でもさぁ。最強に至るには努力が必要だなんて、そんなの当たり前だろ?

 完成した直後から100%本来の性能を発揮するとか、アウラは装備品かっての。馬鹿馬鹿しい。


「……アルケミストの壊滅も本当だ。そしてこの男たちが皆を手にかけたわけでもない。我々がアウラを守る為にと、勝手に命を捨てただけだな」

「ほんっとソレなっ!? こっちは別にアルケミストたちを皆殺しにする気なんてなかったのに、みんな勝手に死んじゃってくれちゃってさぁっ!」


 アウラを弄んだアルケミストたちを生かしておく気があったかと言われると微妙だけど、少なくとも話を聞く気はあったはずなんだよ。

 俺達はアルケミストたち本人には殆ど脅威を感じていなかったんだしさぁ。


「……ある意味、あの時命を捨てられた皆は幸せだったのかもしれん。アウラの完成こそ目にすることは出来なかったが、完成したアウラが我々の思い描いていた存在とは程遠いものだったと知らずに逝けたのだからな……」

「……勝手なこと言うねぇ? アウラは間違いなく、人類の到達点として生まれたっていうのにさ」


 俺の言葉にカイメンは小さく、そうだな……、とだけ呟いて、まるで自重するように微かに笑顔を浮かべて見せた。


 完成したアウラも、それを生み出した自分たちの研究も間違っていない。間違っていたのは自分たちの想定だった。

 それを認めたがゆえの、複雑な感情が入り混じった笑顔なのかもな。


 真面目な話をしている脇で、俺の両手をそれぞれの太股でしっかりと捕獲しているニーナとリーチェが左右から手を伸ばしてきて、周囲に気付かれないように俺の大事な部分をさすさすと撫でてくる。

 さっきから2人に手を弄ばれていてとっくに興奮状態の緊張状態のその部位に、2人の長くて細い指がさわさわと触れてくる。


 き、気持ち良いけど時と場所を考えてぇ……!


 と抗議したいところだけど、良く考えたら俺なんか新女王陛下の前でリーチェとティムルを好き放題してしまった前科持ちだった!

 おかげさまで今更なんにも言えないよぉ!


 俺が抵抗も反抗もしないと確認したニーナとリーチェは、俺を見詰めたままでにやりと笑顔を浮かべている。

 嫌な予感というか、イヤらしい予感がビンビンだよぉ!? 物理的にもビンビンしてるけどぉっ!


「ダン、気付かれちゃダメだからねー?」

「ダンったら、すっごく硬くなってるよぉ? ぼくとニーナの手がそんなに気持ちいいんだー?」


 テーブルの下の光景は他の人間からは死角になっている為、俺達3人が桃色空間を構築している事には誰も気付かない。


 俺の両手をしっかりと固定したままで、左右から俺の衣服の中に入り込んでくる2人の細腕。

 身体操作で余分な動きを一切無くしたニーナとリーチェの細くて柔らかい手が、俺の下着の中で縦横無尽に暴れ回り始めた……!


 身体操作性補正を最大限に発揮して、浮き上がりそうになる腰を押さえつけ、暴発しそうになる衝動を押さえ込む。

 その様子を楽しそうに見詰めるニーナとリーチェは、さわさわなでなでもみもみくちゅくちゅと忙しなく動き続け、ご丁寧に風の操作でその全ての卑猥な音をわざわざ俺にだけ聞こえるようにしてくれている。


「どうしたのダン? されるがままなのー? ダンも私達の下着に手を入れて良いんだよー?」

「あはっ。ぴくぴくしてて可愛いねー? あとで滅茶苦茶にしてもらえるように、今はいーっぱい我慢させてあげるからね-」


 拘束している俺の手をわざわざ自分の股間に導いて煽るニーナと、このあとの反撃まで見越して全力で俺を扱き、刺激を与え続けるリーチェ。

 き、気持ちよすぎて頭の中に火花が散っているようだぁっ……!


 2人の太股に挟まれている自分の手を動かす余裕も全く無く、2人から際限なく与えられ続ける極上の快楽を、職業補正に頼って全力で耐え続ける。



 最近はエロいことしてる最中は駄々漏れだったからね! エロいことしてるのに発射できないのがこんなに辛いなんてぇ……!

 なんの我慢もせずにみんなに好き放題流し込んでいただけだったから、我慢するのが気持ちよすぎて辛いよぉっ!


「ア、アルケミストとホムンクルス計画については納得してくれた? ならそろそろクラメトーラの今後の話に移りたいんだけど」


 2人からの快楽を顔と声には一切出さず、タヌークさんたちに会話の進展を提案する。


 頭が真っ白になるくらいに辛いんだけど、俺を見ている2人の瞳が桃色100%だからな!

 ここを乗り切ったら2人はもう何でもしてくれちゃいそうだから、全身全霊でここを乗り切って、このあとエロス成分マシマシの2人を思い切り滅茶苦茶にしてやるんだぁい!


「俺は構わない。局長たちは?」


 なぜかレイブンさんが代表して俺に答えると、タァツネさんとヌゥジーナさんは異議無しと同意を示してくれた。

 しかしこの場のトップであるはずのタヌークさんだけが、不安げな様子でカイメンの様子を窺っている。


「カ、カイメン様……。我々はどうすべきなのでしょうか……」

「……ふ。どうすれば、か」


 タヌークさんに問われたカイメンはやはり苦笑し、力なく首を横に振って見せた。

 俺への怒りも敵愾心も、まるで炎が燃え尽きたかのように完全に消失してしまったように思える。


「その男の話を聞いてみるしかないだろう。ホムンクルス計画が失われた今、我らアルケミストに存在意義など無いのだから」

「カ、カイメン様……」

「アウラさえ完成すれば、ホムンクルス計画さえ成功すれば、後は万事上手くいくと思っていた。思い込んでいた……。その男の言う通り、我等は酔っていた……。舞い上がっていたのだろうな……」


 まさに酔いから覚めたと言わんばかりに、過去の自分の振る舞いに冷静な口調で言及するカイメン。


 カイメンに同情するつもりは無いけれど、今代のアルケミストたちが舞い上がってしまったのは仕方ない部分もあるんじゃないかな。

 向こう100年は未完成だと思われていたアウラが、突如自分たちの代で完成する機会を得たのだ。

 アウラを攫いに来た俺達相手に喜んで命を差し出すくらいには、研究者として高揚感を覚えていたのだろう。


 今の俺も、舌なめずりしながら容赦なく責め立ててくるニーナとリーチェのせいで、かつてないほどの高揚感に包まれていますけどね?


「確か……ダンと言ったか? お前の話、俺にも聞かせてくれないか」


 なんだか憑き物でも落ちたようにすっきりとした顔で、話を聞かせろとせがむカイメン。

 そんなカイメンの姿を見て、タヌークさんもようやく落ち着きを取り戻してくれたようだ。


 俺はニーナとリーチェのせいで、一瞬たりとも落ち着ける瞬間は無いんだけど?


「お前は俺に、アウラのことを忘れろと言った。アウラのことは任せろと言ったのだ。その言葉に責任を持ってもらうぞ」

「んん? 責任って、いったいなんの話さ?」

「俺にアウラのことを忘れて欲しいのなら、アウラのことを託されたいのなら……! 俺に示してみるがいい! ドワーフ族の未来をなっ! ホムンクルス計画を終わらせた責任を持って、アルケミストの俺を納得させてみろぉっ!」


 いや、お前の納得なんてどうでもいいんだが?


 つうかお前、当然のようにドワーフ族の代表みたいに振舞ってるけどさ。

 お前を知らないレイブンさん達が、ちょっと納得いかない顔をしてるからねー?


「悪いけどドワーフ族の未来になんて責任は持てないよ? ドワーフの未来に責任を持つのはあくまでドワーフ族だ。俺は選べる選択肢を増やしてやるくらいしか出来ないね」

「ふんっ! 本当に口の減らん奴だ! いいから話せっ! お前の考えている事をなっ!」


 何をツンデレみたいなことを言い出してるんだコイツは。昨今はツンデレキャラに需要は無いんだよ?

 ツッコミを入れたら話が進まないので、スルーしてあげるけどさぁ。


 暴王のゆりかごが解放され、クラメトーラに道が通った。

 魔人族もエルフ族もスペルド王国と交流し始めた今、ドワーフたちだけがクラメトーラに引きこもっているのは難しい。


 クラメトーラを王国貴族の食い物にされない為に。ドワーフたちの里をこれからも護り続けるために。

 スペルド王国の事情に精通したドワーフが種族の代表に立つ必要性を説いた。


「俺のお勧めは、スペルド王国で商売に成功してクラマイルの人たちの覚えもいいカラソルさんってドワーフの男性だよ。本人はまだ代表になるのを渋ってるけどね」

「クラマイルの民に支援をしてきたドワーフの商人か。確かに先ほどお前が語った、ドワーフ族の代表者に相応しい資質を兼ね備えていると言えなくもないが……」


 カラソルさんを推薦する俺に対して、悩ましげに唸るカイメン。

 なんでお前がこの場を代表して俺と会話してるんだよ。お前、俺の奴隷だからね?


「商人というのが引っかかるな。支援を受けていたクラマイルの民からは支持されるだろうが、クラクラットで支持されるかと言われると……」

「どういうことよ? カラソルさんを知らないクラクラットの人に支持されないのは分かる。けど支持されない理由が商人だからってのは分からないんだけど?」

「それはここがドワーフの里だからだ。ドワーフたちは技術を尊び、職人を敬う種族だ。反面、面倒な金のやり取りを極端に嫌う傾向があるからな。商人というだけで受けが悪いだろう」


 ドワーフ族には商人が嫌われやすいのかぁ。

 それじゃ職員連合の人たちは余計にドンマイだなぁ。


 ドワーフ族の頂点的な存在と言っていい、我が家のエロの伝道師名匠ティムル。

 クラメトーラで蔑視される女性であり、クラメトーラを追放された落ち零れであると言われてきただけでなく、ドワーフの嫌う金勘定に長けた大商人でもあるのだ。


 ……クラメトーラの職人たちの目の節穴感、相当ヤバいな?


「カラソルさんはあくまで候補者の1人だよ。本人も嫌がってるからね」

「……嫌がっている相手を躊躇無く推薦するのはどうかと思うが」

「でも代表者が必要なのは間違いないんだ。だから話そうぜ。ドワーフたちの代表者に相応しいのは誰か、全員で話し合って探っていこう」


 ドワーフ族の未来を託す代表者なんだ。

 人間族の俺が勝手に選出した人物よりも、クラメトーラに住まうお前らが選出する人物の方が代表者に相応しいってこともあるだろ。


 クラメトーラの自治と平和が守られ、ドワーフ族の将来が幸福であるように、カイメンもタヌークさんもレイブンさんも、全員が当事者意識を持って会話に参加してくれよ?


 ……ぶっちゃけ、長々と会話をしてる余裕が全然無いんですけどねぇ!?

 頭が焼ききれそうなほど気持ちいいのに普通に会議も出来ちゃうって、職業補正さん頑張りすぎだよぉ!
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