異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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7章 家族みんなで冒険譚1 いつもと違うメンバーで

479 肩揉み (改)

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「まさか触心で、情報を読みきれない相手がいるなんてぇ……」


 触心に絶対の自信を持っていたのか、青い顔をしながらも悔しそうに地団駄を踏んでいるキュールさん。

 俺の情報を読み取ろうとしたキュールさんだったけど、俺の情報料が多すぎたせいで残念ながら魔力枯渇を引き起こしてしまったようだ。


「大丈夫キュールさん? 顔色的にマジで魔力が空っぽになる寸前に見えるけど……」

「くぅ~……! 悔しすぎて魔力枯渇どころじゃないよ……! まさか触心で情報を読み取りきれないなんてぇ……!」

「落ち着いてってば。キュールさんの触心の凄さは充分理解できたからさ」

「……なんだって? 今のやり取りのどこに触心の真髄が伝わる要素があったというのかなぁ……?」


 よほど失態を犯してしまった自覚があるのか、訝しげな視線を向けてくるキュールさん。


 いやいや、ステータスプレートに記載されている契約と鑑定で読み取る情報の両方を読み取ったんだから、充分な読み取り具合だったと思うけどね。

 俺が追加職業というスキルを浸透させている事も、理解は出来なかったみたいだけど読み取ることは出来ていたようだったし、鑑定スキル以上の情報収集能力と言っていい。


「今のやりとりで、触心はステータスプレートに記載されている情報以上のことを読み取れる能力なんだなってのは伝わってきたよ。俺のステータスプレートの情報が多すぎただけで、触心が凄い能力であることに違いはないさ」

「ほほう。確かに触心のことをほぼ正確に理解してもらえたようだね?」


 触心を褒めたからか、或いは触心の価値を正しく理解できたからか、態度を軟化させるキュールさん。

 俺は人物鑑定が使えたから触心の性能を把握しやすかったけれど、鑑定が使えない人に触心を理解してもらうのは難しいのかもしれない。


 ともかく、落ち着いてくれたキュールさんにフォローをしておくとしよう。


「俺はレガリアの連中の尻拭いをしたせいで、奴隷契約が滅茶苦茶多いんだよ。アライアンスプレートが埋まるくらいの奴隷と契約してるからね。触心で読み取るには膨大すぎたんでしょ」

「ア、アライアンスプレートが埋まる人数と奴隷契約ぅ……?」


 いやいや、そんなにドン引きされても困るよ。俺だって好きで契約したわけじゃないんだからさ。

 レガリアの馬鹿共が長い年月をかけて少しずつ狂わせていったこの世界の常識を正す為に、どうしても必要だったから契約せざるを得なかったんだって。


 今の王国法だとファミリアの参加者は奴隷解放できるけど、クリミナルワークスの連中とは生涯契約したままで過ごさなきゃいけないんだよね。

 解放したくても出来ないんだから、この大量の奴隷契約は俺のせいじゃないと思うんだよ?


「メナスがキュールさんを重宝した理由が分かったよ。魔力を介して対象の情報を得るなんて、ある意味では識の水晶と同じ能力とも言えるもんね。研究者として有用すぎるよ」

「流石に神器と同列に語られてしまうのは恐縮だけど、概ねその通りだ。おかげで歴史とは関係のないマジックアイテム開発にも駆り出されてしまったからねぇ」

「歴史関係だけじゃなくて、マジックアイテム開発にも造詣が深いとは優秀だねぇ。こりゃあ頼りになりそうだ」


 ちょうどアウラのために魔力回復アイテムの開発に着手しようと思っていたところだ。

 アウラの事情を隠す必要もないキュールさんがマジックアイテム開発にも精通しているなら、協力を仰がない手は無いな。


 1つ心配があるとすれば、キュールさんに伝わった情報は漏れなく帝国にも伝わると思わなければいけないことだ。


 けど魔力が全てのこの世界で、魔力回復アイテムの開発に協力してくれない人なんて居ないだろう。なら隠す意味はあまり無いんじゃないか?

 開発後に権利や販売に関して揉める事はあるかもしれないけど、それは俺の知ったことじゃない。それよりもアウラの安全を優先すべきだ。


「とりあえず今日のところは一旦帰ろうか。キュールさんにも休む時間は必要だし、聖域の樹海の異変に緊急性も無いはずだからね」


 今日の目標だったディロームの里には到着できたし、キュールさんは肉体的にも精神的にかなり疲弊したはずだ。今日のところは引き上げよう。


 明日は他の2つの集落にも話を聞きに行こうかな?

 ルドルさんから聞けた以上の情報が得られる可能性は限りなく低いけど。


「魔物の世話なんて頼んで申し訳ないけど、お願いした魔物は俺達の足に使う予定なんだ。場所だけ用意してもらえれば充分だから、悪いけどお願いね」

「確かに引き受けましたぞ。今更あの程度の魔物に怯える者も居らぬはず、安心してお任せくだされ」


 使役した魔物の世話を快く引き受けてくれるルドルさん。


 魔物に対する忌避感とかあるんじゃないかと心配したんだけど、あの程度の魔物に怯える者はいない、かぁ。

 職業の加護を得て、すっかり脳筋思考に染まっちゃってないですかぁ?


「カランさんもごめんね。わざわざ戻ってきてもらったのに大した話も出来なくて」

「はははっ! こちらこそ大した情報は持ち合わせておらんからな! 聖域の外で暮らしていた魔人族の同胞が順調に繁栄してくれていたと知れただけでも嬉しかったぞ!」


 未だ青い顔をしているキュールさんを見ながら、本当に嬉しそうに笑うカランさん。


 職業の加護を失った守人たちは、緩やかな滅びを迎えつつあったもんね。

 今まで一切接点が無かった相手でも、自分と同じ魔人族が人知れず繁栄していたというだけでも嬉しいんだろうなぁ。


 ルドルさんとカランさんに別れの挨拶をして、今日のところは帰宅した。




「さっき食事したばかりだし、今日は夕食は要らないよね? その分長めに休みを取ろうか。キュールさんやチャールたちも疲れてるでしょ」


 カランさんを待っている間にお弁当を食べたばかりなので、今日は夕食は必要ないとお風呂の準備を始める事にした。

 しかし今晩の夕食は無しと聞いてフラッタとリーチェがちょっと残念そうな表情を浮かべていたので、リーチェに軽く摘めるモノを作ってもらう事にした。


 まっかせてー! と大きなおっぱいと声を弾ませて炊事場に向かうリーチェと、あわよくば味見と称したつまみ食いをしようとその背を追うフラッタ。

 最近はあの2人がコンビを組むことも減ってきたけど、食事の事となるとすーぐ意気投合するんだよなぁ。


 ニーナとティムルの2人でお風呂の準備を進めてくれる事になり、ヴァルゴはキュールさんに触心について詳しく話を聞いているようだ。


 ダークブリンガーで情報を読み取りながら槍を振るうイメージでもしてるのかな?

 でもかえって効率悪そうだな、その戦い方。


「俺は手が空いているから、少しサービスしようかな? 順番においでー」


 今日も丸1日頑張ってくれた5人には、よしよしなでなでしたり肩を揉んであげたりして心と体をマッサージしてあげる。

 肩に留まらずにおっぱいとかもマッサージしてあげたいところだけど、これは労いが目的だからエロ行為は自重しよう。


「はぁ……んっ。気持ち、気持ちいいですぅ……。もっと強めにぐりぐりしてくれますかぁ……?」

「あっ……んんっ。だ、だめぇ……。肩だけで、肩だけでもぉ……!」 

「あははっ。パパの手、くすぐったいよぉ。でも気持ちいいからもっとして欲しいなっ」


 ……うん。アウラの反応は可愛いんだけど、他のメンバーの反応がちょっと卑猥ですね?

 ムーリは相変わらずぐりぐりされるのが大好きだし、ラトリアは全身が性感帯みたいに過敏になってて、エロくない行為をする方が難しいんだよ?


 しかし、特大級のおっぱいを持つムーリも肩が凝っている様子は無いな。これも職業補正の恩恵なのか、種族的に強靭だからなのか分からない。


 ……そう言えばこの世界に来てからは、俺も肩凝りを意識することが無くなった気がするなぁ。

 そんなことを気にしている余裕が無かっただけなのかもしれないけれど。


「あうぅ……。きっ、気持ち良いけど、ダンさんに肩を揉ませてしまって良いんでしょうかっ……? 私って侍女でもあるのにぃ……! はぁ、ん……」

「気持ちいいなら気にしないで楽しんで。これはご奉仕じゃなくてご褒美なんだしさ」


 エマの柔らかい体を揉んでるだけで結構楽しいから、俺にとってもご褒美でしかない。

 というか遠慮がちなエマにあえて奉仕するっていうのも、そういうプレイみたいでなんだかとても興奮しますね?


「気持ちいいよダンさんっ。さっすが毎日毎日私達のおっぱいを好き放題揉みしだいてるだけあって、私達の体を揉み込むのはお手の物なのっ」

「んー……。喜んでもらえて嬉しいけど、ターニアの言葉にはちょっと同意しにくいなぁ?」


 だって俺がいつも揉んでいる場所って、揉めば揉むほど硬くなる場所ばっかりなんだよ? だからいつもと勝手が違うくらいなんだけどなぁ。


 そろそろいつも揉み込んでいるところに手を伸ばしたいところだけれど、まだ夫婦の時間には少し早い。

 5人の体を解しながらもエロい気持ちを紛らわせる為に、チャールとシーズに戦士と商人の情報を伝えていく。


「戦士になると装備品に職業補正が乗るようになって、こちらから魔物への攻撃の威力が増して、逆に魔物からの攻撃は軽減してくれるんだね。なるほどなるほど……」

「商人は人間の悪意を可視化する目利きスキルが使えて、魔物から得られるドロップアイテムの質が良くなるんだな。スキルはともかくとして、補正の方はちょっと信じられねぇけど……」

「幸運補正は分かりにくいんだけど、魔物狩りをしていれば間違いなく体感できるくらいには差があるからね。魔物狩りで稼ぐならパーティに1人は欲しい職業なんだよ、商人って」

「ははっ。言われなくても分かってるって。今日の探索で嫌ってほど目にしたからな。それでも信じられない気持ちってだけだよ」


 頭を掻きながら苦笑するシーズ。

 本日初めて仕合わせの暴君に同行したチャールとシーズは、レアドロップ率の高さと魔玉の発光速度に驚きっぱなしだったもんねー。


 俺から職業の情報を開示された2人は、早く資料作りに着手したいからとリーチェの軽食を待たずに離れに引っ込んでしまった。


 ……2人にはキュールさんの案内も頼みたかったんだけど、普通に置いてかれちゃったな。

 あとでリーチェの料理を差し入れがてら、俺が案内するかぁ。


「興味深いお話をありがとうございました。私達魔人族の能力は、私達自身が思っている以上に柔軟で多様性に満ちたものなのかもしれませんね」

「ヴァルゴさんのダークブリンガーも凄まじい……。凄まじいし興味深いよっ。魔人族の種族特性である魔技には、まだまだ色んな可能性が秘められていそうだねぇ」


 チャールたちが去ったタイミングで、ヴァルゴとキュールさんの魔技談義もひと段落ついたようだ。


 種族特性であることは変わらないのに、個人によってその能力を大きく変化させる魔技。

 別の能力の話を聞いたことで新たにその能力を獲得する、なんて可能性もあったりするのかな?


「ねぇねぇヴァルゴ。魔技の多様性は言うに及ばずって感じだけどさ。話を聞いただけで能力を再現できたりするものなの?」

「そういうことが出来る者もいるかもしれませんが……。少なくとも私が触心を再現するのは無理そうですね」


 残念そうに小さく息を吐くヴァルゴ。

 ヴァルゴのことだから試行錯誤して習得に挑むものだと思ってたけど、思ったよりあっさりと触心の習得を諦めたな?


「キュールさんにお話を伺う限り、触心ってダークブリンガーとは真逆の魔力操作なんですよ」

「逆……って、どういうこと?」

「えっとですね。ダークブリンガーは己の魔力をまとって相手に放つ技ですが、触心は己の魔力を相手と同調させて、相手の魔力を受け入れる能力のようなんですよ。魔力の流れが完全に反対なんです」


 身振り手振りを交えて、必死に解説をしてくれるヴァルゴ。可愛い。


 ヴァルゴの解説によるとダークブリンガーは魔力を放つ技で、キュールさんの触心は情報という名の魔力を相手から奪う能力なのか。

 そう考えると確かに魔力の流れる方向は逆なのかもしれない。


「私がダークブリンガーや魔迅を習得できないのは、単に戦闘能力の問題でもあるけどね。この歳までほぼ戦闘経験を積んでこなかったから、魔力をまとって闘うなんて出来そうもないなぁ」

「その辺は訓練とやる気次第だとは思うけど……、キュールさん本人が納得してるなら別にいいか」

「おっまたせー! この前教えてもらったパンケーキに挑戦してみたんだーっ」


 ちょうど話題が途切れたタイミングで、パンケーキの載った皿を両手に持ったリーチェが食堂に姿を現した。

 つうかパンケーキって、これからがっつり食事する気なのリーチェ? 全然軽食じゃなくない?


「それじゃ夜食も出来たようだし、チャールたちに差し入れがてらキュールさんを離れに案内してくるよ。飲み物もあるかな?」

「安心せい、小分けにしたアーティザンズスウィートを用意したのじゃっ。差し入れの手抜かりは無いのじゃっ」


 3つのコップと大きめの水瓶を持ったフラッタが、控えめのおっぱいをエッヘンと張ってドヤ顔を見せてくれる。

 俺の感覚からすると、10代前半の2人にあまり飲酒を勧めたくはないんだけど……。


 でもこのお酒は本当に飲みやすい上に、次の日に全然残らないからな。飲酒の悪影響はほぼ無いはずだ。

 それに今日の2人は夜通し語り合いそうだからな。酔い潰してでも寝てもらったほうがいいかもね。


 フラッタと一緒にキュールさんを離れに案内し、案の定大声で語り合っていたチャールとシーズに夜食とキュールさんをお届けした。


「2人ともまた明日。だけど明日も調査だからほどほどにねー?」


 2人にキュールさんのお世話をお願いして、フラッタと手を繋いで自宅に戻った。


 自宅に戻るとニーナとティムルも食堂に合流しており、4人でもっちもっちと頬を膨らませながらパンケーキを頬張っていた。

 出遅れてしまってちょっと悔しそうなフラッタを抱っこしたまま椅子に座り、幸せそうにパンケーキに齧りついているフラッタをよしよしなでなでしてあげる。


「みんな結構がっつり食べてるね? お腹減ってたなら言ってくれたら良かったのにぃ」

「んー、夕食は要らないけど甘いものは別なの。お腹は減ってないけど食べたくなっちゃったのっ」

「ニーナちゃんに同じー。せっかくリーチェが作ってくれたお菓子を食べないなんてありえないしー?」


 俺に返事をしながらも食事の手は止めないニーナとティムル。

 甘いものは別腹って言うけど、この食事の勢いを見てると甘いものが本腹になってないかなぁ?


「んふふー。リーチェの作るお菓子は美味しいのじゃー。リーチェは果実の扱いが上手なのじゃー」

「リーチェの作る料理は優しい味がしてとても食べやすいです。これでまだ炊事場に立つようになって1年も経っていないというのですから驚きますよ」

「えへへーっ。大好きなみんなに食べてもらいたくって張り切っちゃったんだっ。いっぱい食べてねっ」


 む、そんなことを言われてしまっては俺も食べないわけにはいかないじゃないか。


 でもパンケーキよりも、目の前で蕩けているリーチェのほうがずっと甘く感じるなぁ。

 リーチェって自分が食べるの大好きだけど、家族のみんなに食べさせるのもすっごく好きなんだよね。


 幸せそうにみんなを眺めて、ふにゃ~っとした表情を浮かべているリーチェを見詰めていると、もぐもぐとパンケーキを頬張っているニーナが話しかけてくる。


「あ、そうだダン。なんだか朝から忙しくて忘れちゃってたけど、エンシェントヒュドラから得られたひと振りの剣、そろそろ確認してくれるかなぁ?」

「……あ~ごめん、普通に忘れてたよその話。お風呂に入っちゃったらまた忘れちゃいそうだし、今確認させてもらおうかな」


 パンケーキを口に運ぶ右手の動きを一切止めず、パンケーキを咀嚼している口で詠唱してインベントリを発動したニーナは、空いてる左手に少し仰々しい片手剣を握り締めている。


 アウターレア製の片手剣かぁ。貴重なものなんだろうけれど、今更うちのパーティには全く必要とされていないよなぁ。

 なんて暢気に構えながら鑑定したら、表示された情報に度肝を抜かれてしまった。



 異界の剣
 異天断魔 無し 無し 無し 無し



 おおおお!? 異界の剣! 異界の剣じゃないっすかぁぁ! まさかのタイミングで転移ボーナスAを手に入れてしまったぞぉ?


 だけど、転移ボーナスで得られる異界の剣とは性能が少し異なるようだ。

 いったいなんだろうね? この見覚えの無いスキルは。
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