470 / 878
7章 家族みんなで冒険譚1 いつもと違うメンバーで
470 貸し (改)
しおりを挟む
「これから出てくるのが仕合わせの暴君が戦うべき相手、オリジナルのイントルーダーだよ」
狙い通りに発生したイントルーダーの発生予兆に、初めて遭遇した5人は固唾を飲んで見入っている。
連日終焉の箱庭の攻略を頑張ってくれた5人へのご褒美の締め括りに、イントルーダーとの接触と、その撃破による職業浸透をプレゼントすることにしたのだ。
上空と地面の巨大魔法陣から黒い稲妻が放たれ、それが交差したところから黒い魔力の球体が膨れ上がっていく。
この辺は竜王やタイニーコロッサスの時と一緒だ。やっぱり召喚演出は共通なのかな?
「アウターエフェクトを飛ばしてイントルーダーの出現予兆が始まっちゃったね。これって狙ってたのダン?」
「まぁね。あのペースの殲滅ならアウターエフェクトは出てこないだろうなとは思ってたよ」
既に複数回イントルーダーと遭遇した経験のある仕合わせの暴君メンバーはのんびりとしたもので、普通に魔法陣から視線を外して俺を見ながら尋ねてくるニーナ。
これは油断してるんじゃなくて、演出が終わらないと何も出来ることがない事を知っているからこその行動だろう。
「確証は無かったけど予想通りではあったかな。劣化アウターエフェクトであるドレイク種を殲滅した反動にアウターエフェクトが出ても、カウンターアタックとして成立しないからさ」
「ん~、それはそうかもしれないけど……。奈落であんなに魔物を滅ぼしてもイントルーダーが出なかったから、終焉の箱庭でも出ないんじゃ……とは思わなかったのー?」
「その心配はしてなかったよ。エンシェントヒュドラは終焉の箱庭で遭遇したって言ってたからね」
「あー、ノーリッテが既に実証してたんだね。じゃあこれは本当に狙い通りだったんだぁ」
納得がいったのか、膨らみ続ける魔力球に視線を戻すニーナ。
しかし屋内型アウターだった竜王のカタコンベと違って、上から降ってきてる黒い稲妻は本当に天から放たれているような迫力があるなぁ。
竜王の時よりも巨大な球体が、やはり雫のように地面に落ちて吸い込まれていく。
さてもうちょっとでイントルーダーが出現かなと思いながらみんなの様子を確認すると、ラトリア、エマ、ターニアは真剣な眼差しで前方を注視しているのに対し、ムーリとアウラが青い顔をして小さく体を震わせているのが目に入った。
ムーリたち2人とラトリアたち3人の違いってなんだ? 戦闘経験? 年齢?
造魔召喚した竜王はムーリだって見たことがあるはずなのに、今更イントルーダーの殺意に気圧されるのか?
……いやそうじゃない。
ラトリアたち3人はヒトから生み出された紛い物とは言え、敵対的なイントルーダーと実際に対峙した経験があるけど、ムーリとアウラは造魔竜王までしか会ったことが無いのか。
アウラはタイニーコロッサスを見ているはずだけど、小さな巨人と敵対していたのは俺達仕合わせの暴君であってアウラではなかった。
つまりムーリとアウラはイントルーダーから放たれる本来の殺意を、今初めてその身に受けた事になるわけだ。
……これはちょっと俺の配慮が足りなかったかもしれないな。
地面からウネウネと突き出される無数の蛇をスルーして、震えるムーリとアウラを抱きしめる。
「大丈夫。怖がらないで2人とも。俺達が絶対に2人を守り抜いてみせるから」
「ダ、ダンさん達のことは信じてますけど……。こっ、こんな魔物が……、造魔された竜王なんて比べ物にならない、こんな禍々しい魔物が居るなんて……!」
「こ、怖がらないのは無理だよぅ……。だけど私は、パパとママ達が暴王のゆりかごで凄くつっ、強い魔物を簡単に倒しちゃったのを見てるから……。しっ、心配はしてない、よ……?」
不安に身を震わせながらも、俺の邪魔をしないようにと抱き付いてこない2人がいじらしい。
ムーリとアウラの頭を優しく撫でながら、2人を安心させたくて語りかける。
「怖がらせてごめん。だけど2人にも見せておきたかったんだ。俺達仕合わせの暴君が戦う相手であり、ラトリアとエマが目指す場所に存在するイントルーダーという魔物をね」
ラトリアとエマはイントルーダーの存在を知ってなお、イントルーダーと戦える力を目指して腕を磨いている。
ターニアはイントルーダーの存在を知って、自分には無理だと身を引いている。
ムーリとアウラがどんな判断をしても受け入れるけれど、判断材料はちゃんと提示してあげなきゃフェアじゃない。
「大好きなムーリ。可愛いアウラ。愛する2人にかっこいいところを見せる為に、ちょっとだけ張り切っちゃおうかな?」
「ダンさん?」「パパ?」
アウラとムーリを寄り添わせるようにして俺は2人から離れ、双剣を構えてニーナたちと合流する。
徐々に地面から這い出しつつあるエンシェントヒュドラは、もう体の半分ほどまで姿を現している。
「全員攻撃準備。鑑定可能になった瞬間に仕掛けるよ」
「……ヴァンダライズを使うの、ダン?」
俺の攻撃指示に、不安そうな表情で聞き返してくるニーナ。
ニーナに向かって頷きを返すと、彼女はいよいよ悲痛な表情を浮かべてしまった。
ヴァンダライズを使用すれば重度の魔力枯渇を引き起こし、魔力枯渇が起きると一時的にとは言え、俺は仮死状態にまで陥ってしまう。
だからニーナはヴァンダライズの発動に反対なのだろう。ヴァンダライズが必要な場面でもないからな。
「ニーナが心配してくれてるのは分かってる。でもだからこそヴァンダライズを使わせて欲しいんだ。使う度に魔力枯渇を起こすような技をそのままにしておきたくないからさ」
ニーナを不安にさせて申し訳ないけれど、こんな不安定な技をそのままにはしておけない。
魔力枯渇を引き起こして動けなくなる程度ならまだしも、使用後に毎回生命維持活動が停止してしまうなんて、何かのきっかけで死んでしまっても不思議は無いのだ。
けれど邪神ガルクーザ級の魔物が普通に出現する可能性が常に残されている以上、ヴァンダイライズを使用しないという選択肢を取る訳にはいかないのだ。
だから余裕のある今のうちに、使用しても問題無いくらいにヴァンダライズのリスクを減らしておかなければいけない。
「……どういうこと? ヴァンダライズのリスクを下げることなんて出来るの?」
「ヴァンダライズは全員と魂から繋がって全身全霊を込めて放つ1撃だけど、その基盤となるのは断空と絶空だ。そして絶空は込める魔力量を任意に調整することが出来るウェポンスキルなんだ。だからヴァンダライズだって魔力量を調整できなきゃおかしいでしょ?」
「……理屈じゃそうかもしれないけど、魔力量を調整した1撃でヴァンダライズは成立するのっ!? 極限まで心血を注ぎ込んだ1撃だからこそ、みんなの魔力が混じり合うような奇跡が起きるんじゃないのっ!?」
「うん。ニーナの言う通り、極限の集中状態じゃないとヴァンダライズは成功しないと思う」
食って掛かるような勢いで俺に詰め寄るニーナ。
極限状態で成立する1撃だからこそ、威力の調整なんて小細工は出来ないと思っているようだ。
そんなニーナの言い分を認めつつも、それでも今回挑戦に踏み切った俺の考えを彼女に伝える。
「……だけどねニーナ、俺って結構前から、その極限の集中状態の魔力コントロールって奴を練習してきているんだよ」
エロ集中から始まって、自分の中に吹き荒れる暴風のような感情を掌握する術を身につけた。
俺の中から湧き上がるみんなへの想いを剣に載せて伝える方法に辿り着いた。
全身全霊で戦いながらもその動きや制御を全て精緻に把握する術を、俺はずっと磨き続けてきたんだよ。
ヴァンダライズは死力を尽くして初めて成立する奇跡の技だ。
だけどこの世界に来てからいつだって俺は、みんなの為に死力を尽くして戦ってきたんだ。
ならきっと、もう制御できるはず……!
「制御できない力なんて無いのと一緒だよ。だから俺はヴァンダライズもちゃんとコントロールできるようになりたいんだ。ニーナやみんなをなんの気兼ねもなく守れるようになりたいから」
「……ヴァンダライズが危険な技だからこそ、制御できるように訓練したいってことだよね?」
俺が冷静な状態であること、そしてヴァンダライズ使用のリスクを下げようと思っている事が伝わったのだろう。
不安げな表情を一変させ、真面目な表情で俺を真っ直ぐに見詰めてくるニーナ。
そんな彼女の後ろでは、もう足首くらいまでエンシェントヒュドラが姿を現している。もうあまり時間が無さそうだ。
だけど他のみんなも急かすことなく、俺とニーナの会話を黙って見守ってくれている。
「ダンの考えは分かったけど、当然失敗する可能性だってあるでしょ? そうなった場合はどうするの?」
「失敗して魔力枯渇を起こしてしまったとしても、今なら頼りになる家族が揃ってるからね。人任せにして申し訳無いけど、むしろ最も安全な状況で練習できる機会だと思ってるよ」
「ん……。確かにみんながいる方が安全……? ティムルは今回から朧逆月で魔力枯渇を起こしちゃうかもしれないけど、私と母さんたち5人は魔力枯渇を起こす心配は無いし……」
「それに俺って毎日みんなに限界を超えて愛してもらっちゃってるからね。極限状態での魔力制御は誰にも負けない自信があるよ?」
悩むニーナの顎を持ち上げて、安心させるように触れる程度のキスをする。
愛するみんなを守る為に大好きなみんなを泣かせるなんて、そんな技をいつまでも放置しておくわけにはいかないよ。
だからニーナ、挑戦させて欲しいんだ。
「…………もしも意識を失くすような事があったら、絶対に許さないの……」
「任せてよニーナ。むしろ今回で改良を成功させて、今後は安心してヴァンダライズを使用できるようにして見せるからね」
「……もしも意識を失くすくらいの重度の魔力枯渇を起こしたら、もう2度と寝室から出させないからね。心配をかけた罰として、ダンにはずーっと寝室でみんなを慰めてもらうんだからっ」
「……うん。ごめんニーナ。その条件は魔力枯渇を起こさなかった時の成功報酬にしてもらっていい?」
挑戦に失敗したら極楽が待っているとか、モチベーションが崩壊しそうなんだよ?
だけどニーナはからかうような笑みを浮かべて俺の要望を却下した。
「ダーメ。ヴァンダライズに失敗したら一生ダンを閉じ込めて、みんなで代わる代わる寝る間もないくらいにダンを愛してあげるの。ダンの言うことをなんでも聞いて、ダンの望む事をなんだってしてあげる。ダンが死ぬまでの数十年間、ダンは1度もベッドから下りる事なく、ここにいるみんなと愛し合うのっ」
「いやいやいやっ!! だからそれってご褒美でしょ!? なんで失敗したらご褒美がもらえ……」
「ダンはもうなにも考えずに生涯私達を愛し続けていいの。それくらいのことを貴方はもうしてくれているの。だからもう全部放り出して、ずーっと好きなことだけして生きてていいんだよ?」
「……ニーナ?」
ニーナのあまりに真剣な表情に、抗議しかけた感情が急速に凪いでいく。
ニーナは俺を真っ直ぐに見詰めながら、嬉しいような悲しいような、不思議な笑みを浮かべて静かに首を横に振った。
「だけど貴方は、決して立ち止まってくれないの。絶対に休んでくれないの。どれだけ私達がもう充分だよって言ってあげても、ダンだけが納得してくれないから……」
そこでニーナは少し背伸びをして、軽く唇を重ねてくる。
俺を見詰める茶色の瞳は潤んでいるけど、笑っているのか泣きそうになっているのか俺には分からなかった。
「大好きなダン。失敗したらみんなでずーっとずーっと愛してあげるからね。だけどダンは絶対に成功させちゃうんだよ? そんなダンがみんな大好きなの」
「……ある意味今までで1番の極限状態かもしれないなぁ。失敗したら天国が待っているのに、それを振り切って成功させなきゃいけないなんてさ。どっちが失敗だか分かったものじゃないよ」
だけど俺が選ぶ道は決まっている。
みんなとひたすら愛し合うだけの日々は常に目指してきた俺の目標ではあるけれど、まだみんなの安全と幸福を守りきれる絶対の自信なんて無い。
「……ありがとうニーナ。今回はヴァンダライズを成功させちゃうけど、ニーナが語ってくれた生活は絶対に辿り着いてみせるから」
優しいみんなに甘えたいけど、頼れるみんなはもう俺が守ってあげる必要なんてないかもしれないけれど……。
俺がまだ不安だから、俺の我が侭でみんなの手を振り切って挑まなければいけないんだ。
「この世界の憂いを全て解決したら、もう寝室から1歩も出ずに時間も忘れるほどひたすらみんなと愛し合う生活を手に入れてみせる。だから……!」
ニーナから体を離し、エンシェントヒュドラに歩み寄る。
いまだ鑑定の対象には選べないけれど、既に全身が露出し、いつ戦闘が始まってもおかしくない状況だ。
「今ニーナが語ってくれた生活は俺が……いや、俺達が目指すべき最終目標地点だ。みんなはもうゴールしていいんだよって思ってくれているかもしれないけれど、やっぱりここはまだゴールじゃないと思う」
ステータスプレートを意識して、家族みんなの反応を、家族みんなとの繋がりを確かめる。
何より大切なみんなを守る為に、今は更なる力を求める時だ!
「愛するみんなとただひたすらエロい事をして生活する、爛れた夫婦生活実現の為に! みんな、今は俺に力を貸して欲しいんだ!」
「……ねぇみんな、力を貸さずにダンを寝室に引きずり込んじゃおっか?」
「ちょっ!? なに言ってんのニーナっ!?」
滅茶苦茶真面目に口上をあげたのに、完全に台無しにしないでよぉ!? 声のトーンが完全に本気だったでしょ今の!?
思わず魔力制御をミスしそうになった俺をニヤニヤと眺めながら、ティムルたちがニーナに答える。
「そうねぇ。もうダンっては24時間ずーっと私達を愛し続けられる体になったんだものねぇ。これ以上強くなって貰わなくってもいいんじゃないかしらぁ?」
「みなで協力して、ダンをベッドに縛り付けておくのじゃなっ。それはそれは楽しそうなのじゃっ!」
「最近はいっつも失神するまで愛してもらっちゃってるからねぇ。ここらで1度協力して、ダンを思いっきり愛し抜いて懲らしめてあげたほうがいい気がするなぁ?」
「ならば逆に旦那様が気を失うほどに愛し続けて、意識の無い旦那様をみんなでひたすらに愛してみるのは如何でしょう? 今まで散々失神中に弄ばれましたし、取り立てと前借りで生涯寝室に篭っても良いのではないですか?」
みんな武器に魔力を込めているのに、俺に流し目を送りながらエロい死刑判決を求刑してくる。
そんなみんなの求刑の意志を受け取ったニーナ裁判官は、俺に宣戦布告をするかのような獰猛な笑みを浮かべて宣言してくる。
「ダン、これは貸しだからね? 早く返済しないとどんどんどんどん利息が膨れ上がって、100回生まれ変わっても足りないくらい愛してもらわないといけなくなっちゃうんだからっ」
「そんな最高すぎる負債、喜んで背負っちゃうよぉっ! この先何回生まれ変わっても足りないくらいにみんなを愛してあげたいから、今回は絶対に成功させようねっ!」
輪廻転生なんてあるかどうか知らないけど、今ここでヴァンダライズを成功させてみんなに貸りを作っておけば、何度生まれ変わってもみんなをひたすら愛し続けることが出来るんだよぉっ!
エロに対する家族の想いは1つだ。全員のモチベーションが最高潮になったことがステータスプレートを介して伝わってくる。
ありがとうエンシェントヒュドラ。
お前のおかげでうちの家族はまた1歩、エロエロで甘々のイチャイチャな爛れた生活に近づくことが出来たようだ。
その感謝の気持ちを双剣に込めて、お前にも全て伝えてやるからなぁっ!
狙い通りに発生したイントルーダーの発生予兆に、初めて遭遇した5人は固唾を飲んで見入っている。
連日終焉の箱庭の攻略を頑張ってくれた5人へのご褒美の締め括りに、イントルーダーとの接触と、その撃破による職業浸透をプレゼントすることにしたのだ。
上空と地面の巨大魔法陣から黒い稲妻が放たれ、それが交差したところから黒い魔力の球体が膨れ上がっていく。
この辺は竜王やタイニーコロッサスの時と一緒だ。やっぱり召喚演出は共通なのかな?
「アウターエフェクトを飛ばしてイントルーダーの出現予兆が始まっちゃったね。これって狙ってたのダン?」
「まぁね。あのペースの殲滅ならアウターエフェクトは出てこないだろうなとは思ってたよ」
既に複数回イントルーダーと遭遇した経験のある仕合わせの暴君メンバーはのんびりとしたもので、普通に魔法陣から視線を外して俺を見ながら尋ねてくるニーナ。
これは油断してるんじゃなくて、演出が終わらないと何も出来ることがない事を知っているからこその行動だろう。
「確証は無かったけど予想通りではあったかな。劣化アウターエフェクトであるドレイク種を殲滅した反動にアウターエフェクトが出ても、カウンターアタックとして成立しないからさ」
「ん~、それはそうかもしれないけど……。奈落であんなに魔物を滅ぼしてもイントルーダーが出なかったから、終焉の箱庭でも出ないんじゃ……とは思わなかったのー?」
「その心配はしてなかったよ。エンシェントヒュドラは終焉の箱庭で遭遇したって言ってたからね」
「あー、ノーリッテが既に実証してたんだね。じゃあこれは本当に狙い通りだったんだぁ」
納得がいったのか、膨らみ続ける魔力球に視線を戻すニーナ。
しかし屋内型アウターだった竜王のカタコンベと違って、上から降ってきてる黒い稲妻は本当に天から放たれているような迫力があるなぁ。
竜王の時よりも巨大な球体が、やはり雫のように地面に落ちて吸い込まれていく。
さてもうちょっとでイントルーダーが出現かなと思いながらみんなの様子を確認すると、ラトリア、エマ、ターニアは真剣な眼差しで前方を注視しているのに対し、ムーリとアウラが青い顔をして小さく体を震わせているのが目に入った。
ムーリたち2人とラトリアたち3人の違いってなんだ? 戦闘経験? 年齢?
造魔召喚した竜王はムーリだって見たことがあるはずなのに、今更イントルーダーの殺意に気圧されるのか?
……いやそうじゃない。
ラトリアたち3人はヒトから生み出された紛い物とは言え、敵対的なイントルーダーと実際に対峙した経験があるけど、ムーリとアウラは造魔竜王までしか会ったことが無いのか。
アウラはタイニーコロッサスを見ているはずだけど、小さな巨人と敵対していたのは俺達仕合わせの暴君であってアウラではなかった。
つまりムーリとアウラはイントルーダーから放たれる本来の殺意を、今初めてその身に受けた事になるわけだ。
……これはちょっと俺の配慮が足りなかったかもしれないな。
地面からウネウネと突き出される無数の蛇をスルーして、震えるムーリとアウラを抱きしめる。
「大丈夫。怖がらないで2人とも。俺達が絶対に2人を守り抜いてみせるから」
「ダ、ダンさん達のことは信じてますけど……。こっ、こんな魔物が……、造魔された竜王なんて比べ物にならない、こんな禍々しい魔物が居るなんて……!」
「こ、怖がらないのは無理だよぅ……。だけど私は、パパとママ達が暴王のゆりかごで凄くつっ、強い魔物を簡単に倒しちゃったのを見てるから……。しっ、心配はしてない、よ……?」
不安に身を震わせながらも、俺の邪魔をしないようにと抱き付いてこない2人がいじらしい。
ムーリとアウラの頭を優しく撫でながら、2人を安心させたくて語りかける。
「怖がらせてごめん。だけど2人にも見せておきたかったんだ。俺達仕合わせの暴君が戦う相手であり、ラトリアとエマが目指す場所に存在するイントルーダーという魔物をね」
ラトリアとエマはイントルーダーの存在を知ってなお、イントルーダーと戦える力を目指して腕を磨いている。
ターニアはイントルーダーの存在を知って、自分には無理だと身を引いている。
ムーリとアウラがどんな判断をしても受け入れるけれど、判断材料はちゃんと提示してあげなきゃフェアじゃない。
「大好きなムーリ。可愛いアウラ。愛する2人にかっこいいところを見せる為に、ちょっとだけ張り切っちゃおうかな?」
「ダンさん?」「パパ?」
アウラとムーリを寄り添わせるようにして俺は2人から離れ、双剣を構えてニーナたちと合流する。
徐々に地面から這い出しつつあるエンシェントヒュドラは、もう体の半分ほどまで姿を現している。
「全員攻撃準備。鑑定可能になった瞬間に仕掛けるよ」
「……ヴァンダライズを使うの、ダン?」
俺の攻撃指示に、不安そうな表情で聞き返してくるニーナ。
ニーナに向かって頷きを返すと、彼女はいよいよ悲痛な表情を浮かべてしまった。
ヴァンダライズを使用すれば重度の魔力枯渇を引き起こし、魔力枯渇が起きると一時的にとは言え、俺は仮死状態にまで陥ってしまう。
だからニーナはヴァンダライズの発動に反対なのだろう。ヴァンダライズが必要な場面でもないからな。
「ニーナが心配してくれてるのは分かってる。でもだからこそヴァンダライズを使わせて欲しいんだ。使う度に魔力枯渇を起こすような技をそのままにしておきたくないからさ」
ニーナを不安にさせて申し訳ないけれど、こんな不安定な技をそのままにはしておけない。
魔力枯渇を引き起こして動けなくなる程度ならまだしも、使用後に毎回生命維持活動が停止してしまうなんて、何かのきっかけで死んでしまっても不思議は無いのだ。
けれど邪神ガルクーザ級の魔物が普通に出現する可能性が常に残されている以上、ヴァンダイライズを使用しないという選択肢を取る訳にはいかないのだ。
だから余裕のある今のうちに、使用しても問題無いくらいにヴァンダライズのリスクを減らしておかなければいけない。
「……どういうこと? ヴァンダライズのリスクを下げることなんて出来るの?」
「ヴァンダライズは全員と魂から繋がって全身全霊を込めて放つ1撃だけど、その基盤となるのは断空と絶空だ。そして絶空は込める魔力量を任意に調整することが出来るウェポンスキルなんだ。だからヴァンダライズだって魔力量を調整できなきゃおかしいでしょ?」
「……理屈じゃそうかもしれないけど、魔力量を調整した1撃でヴァンダライズは成立するのっ!? 極限まで心血を注ぎ込んだ1撃だからこそ、みんなの魔力が混じり合うような奇跡が起きるんじゃないのっ!?」
「うん。ニーナの言う通り、極限の集中状態じゃないとヴァンダライズは成功しないと思う」
食って掛かるような勢いで俺に詰め寄るニーナ。
極限状態で成立する1撃だからこそ、威力の調整なんて小細工は出来ないと思っているようだ。
そんなニーナの言い分を認めつつも、それでも今回挑戦に踏み切った俺の考えを彼女に伝える。
「……だけどねニーナ、俺って結構前から、その極限の集中状態の魔力コントロールって奴を練習してきているんだよ」
エロ集中から始まって、自分の中に吹き荒れる暴風のような感情を掌握する術を身につけた。
俺の中から湧き上がるみんなへの想いを剣に載せて伝える方法に辿り着いた。
全身全霊で戦いながらもその動きや制御を全て精緻に把握する術を、俺はずっと磨き続けてきたんだよ。
ヴァンダライズは死力を尽くして初めて成立する奇跡の技だ。
だけどこの世界に来てからいつだって俺は、みんなの為に死力を尽くして戦ってきたんだ。
ならきっと、もう制御できるはず……!
「制御できない力なんて無いのと一緒だよ。だから俺はヴァンダライズもちゃんとコントロールできるようになりたいんだ。ニーナやみんなをなんの気兼ねもなく守れるようになりたいから」
「……ヴァンダライズが危険な技だからこそ、制御できるように訓練したいってことだよね?」
俺が冷静な状態であること、そしてヴァンダライズ使用のリスクを下げようと思っている事が伝わったのだろう。
不安げな表情を一変させ、真面目な表情で俺を真っ直ぐに見詰めてくるニーナ。
そんな彼女の後ろでは、もう足首くらいまでエンシェントヒュドラが姿を現している。もうあまり時間が無さそうだ。
だけど他のみんなも急かすことなく、俺とニーナの会話を黙って見守ってくれている。
「ダンの考えは分かったけど、当然失敗する可能性だってあるでしょ? そうなった場合はどうするの?」
「失敗して魔力枯渇を起こしてしまったとしても、今なら頼りになる家族が揃ってるからね。人任せにして申し訳無いけど、むしろ最も安全な状況で練習できる機会だと思ってるよ」
「ん……。確かにみんながいる方が安全……? ティムルは今回から朧逆月で魔力枯渇を起こしちゃうかもしれないけど、私と母さんたち5人は魔力枯渇を起こす心配は無いし……」
「それに俺って毎日みんなに限界を超えて愛してもらっちゃってるからね。極限状態での魔力制御は誰にも負けない自信があるよ?」
悩むニーナの顎を持ち上げて、安心させるように触れる程度のキスをする。
愛するみんなを守る為に大好きなみんなを泣かせるなんて、そんな技をいつまでも放置しておくわけにはいかないよ。
だからニーナ、挑戦させて欲しいんだ。
「…………もしも意識を失くすような事があったら、絶対に許さないの……」
「任せてよニーナ。むしろ今回で改良を成功させて、今後は安心してヴァンダライズを使用できるようにして見せるからね」
「……もしも意識を失くすくらいの重度の魔力枯渇を起こしたら、もう2度と寝室から出させないからね。心配をかけた罰として、ダンにはずーっと寝室でみんなを慰めてもらうんだからっ」
「……うん。ごめんニーナ。その条件は魔力枯渇を起こさなかった時の成功報酬にしてもらっていい?」
挑戦に失敗したら極楽が待っているとか、モチベーションが崩壊しそうなんだよ?
だけどニーナはからかうような笑みを浮かべて俺の要望を却下した。
「ダーメ。ヴァンダライズに失敗したら一生ダンを閉じ込めて、みんなで代わる代わる寝る間もないくらいにダンを愛してあげるの。ダンの言うことをなんでも聞いて、ダンの望む事をなんだってしてあげる。ダンが死ぬまでの数十年間、ダンは1度もベッドから下りる事なく、ここにいるみんなと愛し合うのっ」
「いやいやいやっ!! だからそれってご褒美でしょ!? なんで失敗したらご褒美がもらえ……」
「ダンはもうなにも考えずに生涯私達を愛し続けていいの。それくらいのことを貴方はもうしてくれているの。だからもう全部放り出して、ずーっと好きなことだけして生きてていいんだよ?」
「……ニーナ?」
ニーナのあまりに真剣な表情に、抗議しかけた感情が急速に凪いでいく。
ニーナは俺を真っ直ぐに見詰めながら、嬉しいような悲しいような、不思議な笑みを浮かべて静かに首を横に振った。
「だけど貴方は、決して立ち止まってくれないの。絶対に休んでくれないの。どれだけ私達がもう充分だよって言ってあげても、ダンだけが納得してくれないから……」
そこでニーナは少し背伸びをして、軽く唇を重ねてくる。
俺を見詰める茶色の瞳は潤んでいるけど、笑っているのか泣きそうになっているのか俺には分からなかった。
「大好きなダン。失敗したらみんなでずーっとずーっと愛してあげるからね。だけどダンは絶対に成功させちゃうんだよ? そんなダンがみんな大好きなの」
「……ある意味今までで1番の極限状態かもしれないなぁ。失敗したら天国が待っているのに、それを振り切って成功させなきゃいけないなんてさ。どっちが失敗だか分かったものじゃないよ」
だけど俺が選ぶ道は決まっている。
みんなとひたすら愛し合うだけの日々は常に目指してきた俺の目標ではあるけれど、まだみんなの安全と幸福を守りきれる絶対の自信なんて無い。
「……ありがとうニーナ。今回はヴァンダライズを成功させちゃうけど、ニーナが語ってくれた生活は絶対に辿り着いてみせるから」
優しいみんなに甘えたいけど、頼れるみんなはもう俺が守ってあげる必要なんてないかもしれないけれど……。
俺がまだ不安だから、俺の我が侭でみんなの手を振り切って挑まなければいけないんだ。
「この世界の憂いを全て解決したら、もう寝室から1歩も出ずに時間も忘れるほどひたすらみんなと愛し合う生活を手に入れてみせる。だから……!」
ニーナから体を離し、エンシェントヒュドラに歩み寄る。
いまだ鑑定の対象には選べないけれど、既に全身が露出し、いつ戦闘が始まってもおかしくない状況だ。
「今ニーナが語ってくれた生活は俺が……いや、俺達が目指すべき最終目標地点だ。みんなはもうゴールしていいんだよって思ってくれているかもしれないけれど、やっぱりここはまだゴールじゃないと思う」
ステータスプレートを意識して、家族みんなの反応を、家族みんなとの繋がりを確かめる。
何より大切なみんなを守る為に、今は更なる力を求める時だ!
「愛するみんなとただひたすらエロい事をして生活する、爛れた夫婦生活実現の為に! みんな、今は俺に力を貸して欲しいんだ!」
「……ねぇみんな、力を貸さずにダンを寝室に引きずり込んじゃおっか?」
「ちょっ!? なに言ってんのニーナっ!?」
滅茶苦茶真面目に口上をあげたのに、完全に台無しにしないでよぉ!? 声のトーンが完全に本気だったでしょ今の!?
思わず魔力制御をミスしそうになった俺をニヤニヤと眺めながら、ティムルたちがニーナに答える。
「そうねぇ。もうダンっては24時間ずーっと私達を愛し続けられる体になったんだものねぇ。これ以上強くなって貰わなくってもいいんじゃないかしらぁ?」
「みなで協力して、ダンをベッドに縛り付けておくのじゃなっ。それはそれは楽しそうなのじゃっ!」
「最近はいっつも失神するまで愛してもらっちゃってるからねぇ。ここらで1度協力して、ダンを思いっきり愛し抜いて懲らしめてあげたほうがいい気がするなぁ?」
「ならば逆に旦那様が気を失うほどに愛し続けて、意識の無い旦那様をみんなでひたすらに愛してみるのは如何でしょう? 今まで散々失神中に弄ばれましたし、取り立てと前借りで生涯寝室に篭っても良いのではないですか?」
みんな武器に魔力を込めているのに、俺に流し目を送りながらエロい死刑判決を求刑してくる。
そんなみんなの求刑の意志を受け取ったニーナ裁判官は、俺に宣戦布告をするかのような獰猛な笑みを浮かべて宣言してくる。
「ダン、これは貸しだからね? 早く返済しないとどんどんどんどん利息が膨れ上がって、100回生まれ変わっても足りないくらい愛してもらわないといけなくなっちゃうんだからっ」
「そんな最高すぎる負債、喜んで背負っちゃうよぉっ! この先何回生まれ変わっても足りないくらいにみんなを愛してあげたいから、今回は絶対に成功させようねっ!」
輪廻転生なんてあるかどうか知らないけど、今ここでヴァンダライズを成功させてみんなに貸りを作っておけば、何度生まれ変わってもみんなをひたすら愛し続けることが出来るんだよぉっ!
エロに対する家族の想いは1つだ。全員のモチベーションが最高潮になったことがステータスプレートを介して伝わってくる。
ありがとうエンシェントヒュドラ。
お前のおかげでうちの家族はまた1歩、エロエロで甘々のイチャイチャな爛れた生活に近づくことが出来たようだ。
その感謝の気持ちを双剣に込めて、お前にも全て伝えてやるからなぁっ!
0
お気に入りに追加
1,820
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる