異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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7章 家族みんなで冒険譚1 いつもと違うメンバーで

464 貴族路 (改)

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 何度も話には聞いていたフォアーク神殿に、とうとう訪れることが出来た。

 職業設定がある俺にとっては最も縁遠い施設だと思っていたのに、人生って分からないものだなぁ。


 俺と同じくフォアーク神殿を初めて訪れたアウラと手を繋ぎ、更に残った左手はムーリと繋いで、早く早くと急かすターニアに背中を押されて洞窟の中に足を踏み入れた。


「フォアーク神殿は一応スペルディア王家が管理しておりますが、スペルド王国民に限らずありとあらゆる人間に対して開かれている場所です。なのでヴェルモート帝国の人間なんかも利用している事がありますよ」


 双竜の顎の2人が先導して、ツアーガイドラトリアがまたしても詳しい説明をしてくれる。

 ポンコツのイメージが強いラトリアだけど、生粋の貴族令嬢だけあって教養はあるんだよなぁ。


「フォアーク神殿が特定の勢力に独占されないよう、そして全ての人が気兼ねなく利用できるように、フォアーク神殿の利用者はステータスプレートの提示義務は無いんですよ」

「へぇ? そりゃあいいことだと思うけど危なくない? だってステータスプレートの提示が無ければ、犯罪職の奴らが転職してしまう可能性があるんじゃ?」

「ふふ。それは鑑定と職業設定が使えるダンさんらしい懸念ですねっ。ですけどその心配はまず無いんですよ?」


 左手を腰の後ろに当てて、右手の人差し指をピンと立てて振り返るラトリア。

 なんだこの未亡人。可愛すぎるんだが?


 いいですかー? と得意げに話し始めるラトリアの姿を見て、今晩はラトリアの気分だなと確信する。


「基本的にこの場所に徒歩で来るのは難しいです。魔物との戦いが有利にならない犯罪職ならなおさらですね。そしてポータルを使おうとなれば、冒険者ギルドでパーティを組む時にステータスプレートの提示は義務化されてますから」


 なるほど。フォアーク神殿で職業を隠して転職する事は可能だけど、職業を隠したままフォアーク神殿に訪れることは難しいのか。

 ……でもさぁ。野盗の仲間に冒険者を浸透させている奴が居たら終わりじゃないの~?


「ダンさんはお忘れみたいですけど、そもそも浸透という概念は一般人には知れ渡ってませんからね。せっかく冒険者になっていくらでも稼げる状態になったのに、そこから野盗になるなんてあまりにも馬鹿馬鹿しい選択なんです」

「そっか。浸透を知らなければ、そもそも対人戦で有利になれる犯罪職を捨てようとする野盗が居ないのか……? いや、それにしたって無用心じゃ?」


 俺の例を挙げるとするなら、盗賊や殺人者の職を得た後に相手の財産や命を奪っても、強制的に犯罪職に変更されるようなことは無かったはず。

 あれは相手がそもそも犯罪者だったっていう特殊なケースなのかもしれないけれど、犯罪職から転職してしまえば、自分は無実な人間だと装うことは出来るはず。


 それに冒険者の協力者がいなかったら、冒険者の家族を人質に取るなりして言うことを聞かせるなんて方法もあるだろう。

 何の対策も無しにバーンと解放しちゃってていいわけ?


「無実の人を装って人混みに紛れて犯行を重ねる。それは確かに非常に恐ろしい想定ですけど現実的ではないですね。ダンさんと違って、普通の人の転職には金貨3枚もの大金が必要なんですから」


 エマの言葉に、そう言えば転職ってめちゃくちゃ高額のサービスだったということを思い出した。

 楽して稼ぎたいから犯罪者になったんだろうに、犯罪を誤魔化す為に大金を払っては本末転倒か?


 でもなぁ。大金を払ってでも人に紛れたい快楽殺人者みたいなのがいる可能性だって……。


「フォアーク神殿でステータスプレートが義務付けられていないのは、提示を断るサービスがあるからなんですよ。転職1度に付き追加で金貨10枚ほど払えば、ステータスプレートの提示を断れるんです」

「……へ? それは高すぎて逆に意味が分からないよ? 犯罪職でもないなら、どんな理由でそんな大金を払うのさ?」

「以前のニーナさんやリーチェさんみたいな方々ですね。奴隷である事を隠したい者や、婚姻関係を隠したい貴族や富豪なんかも居るみたいですよ」


 そうか。まさにアウラもなんだけど、ステータスプレートになんらかの異常がある場合は隠したくなるのも分かる。

 しかし奴隷を隠したいのは分かるけど、なんで婚姻関係まで隠したがるんだ?


「あっはっは! ダンさん、貴族なんて表で笑ってて裏ではドロッドロな人たちも珍しくないんだよー? 公式な夫婦関係の裏で誰と婚姻を結んでるかなんて分かったもんじゃないのっ」


 俺の背中を押しているターニアが、愉快で仕方ない様子で笑いながら答えてくれる。

 ふ、不倫かよぉ……。でもそんなの、どっかで提示を求められたら1発でバレるんじゃ? 家族とパーティを組む時だってステータスプレートを伏せたままじゃ不自然だし……。


「ダンさんっ。貴方自分のステータスプレートの事を忘れていません? 重婚契約が認められているこの国では、婚姻契約を略式表示にしている貴族なんて珍しくもないですよー?」


 ラトリアがからかうように説明してくれる。

 いや。俺のステータスプレートは婚姻を略式表示にはしてないからね?


 でもなるほどなぁ。理解したくないけど、金貨10枚の価値は分かった気がするよ……。


「ダンさんの言う通り、少し無用心な気はしますけどねぇ。無用心ではありますけど、犯罪職を隠して転職するハードルの高さみたいなものは分かった気がします」

「はぁ~。私も早くパパと婚姻を結びたいんだけどなぁ。2年は長すぎるよぅ」


 俺と一緒に貴族組の説明を聞いていたムーリとアウラにすりすりと頬ずりをしながら洞窟の中を歩き続けていると、次第に自分たち以外の人間の姿もチラホラと増え始めてくる。


 そして数分間くらいかけてまぁまぁの距離を下ったところに、スペルディアで見た始黒門に良く似た頑丈そうな人工物の扉が姿を現した。サイズ的にはあそこまで大きくなく、人が余裕を持って擦れ違える程度の幅しかないね。

 扉の前には4名ほど武装した男が立っていて、その男が扉に並んでいる人のステータスプレートをチェックし、1人1人扉の奥に通しているようだ。面倒臭そう。


 ツアーガイドラトリアが、右手で前方を指しながら解説してくれる。


「あれが1の門ですよー。フォアーク神殿は人類の最重要施設の1つですから、あのように幾つもの扉で守られているわけですねっ」

「ってことは、あんな扉をこれから幾つも通らないといけないわけかぁ」

「はい。神殿の転職魔方陣に辿り着くためには、あのような門を13ヶ所通過する必要があります」

「じゅ、13ヶ所ぉっ!?」


 ここですら既に微妙に混み合ってるのに、こんなのを更に12ヶ所も通過する必要があるのぉ……?

 しかし辟易した俺に、ちっちっちと立てた人差し指を振って見せるラトリア。


「安心してくださいダンさんっ。私達が通るのはあそこではありませんからねー?」

「へ?」


 得意げな顔をしたラトリアは、1の門を指していた右手を右側の壁の方に向けた。


 そこには1の門とは別の、少し豪華な装飾のされた門が存在していて、そこにもまた4名ほどの武装した人間が立っていた。

 目の前の門に気を取られて気付かなかったな。


「あちらは神殿まで直通で下りれる貴族路ですね。本来は身分が高い者でないと利用できませんが、王国貴族の紹介があれば誰でも利用できるショートカットなんです」

「以前ダンさん達がヴァルハールに滞在していた時、リーチェさんも頻繁に神殿に通っていましたよね? 多分リーチェさんも貴族路を利用して通っていたのだと思いますよ。そうでなければ往復するだけで1日かかりますから……」


 ラトリアの説明を引き継いだエマが、心底ウンザリした顔で頭を振っている。

 エマは貴族路を使わずに神殿まで行った経験があるんだろうなぁ。


「さてっ、早速行きましょうダンさん。あまり遅くなるとフラッタたちにも申し訳ないですしっ」


 両手が塞がっている俺の胸に勢い良く飛び込んでくるラトリアと、一瞬遅れたけどラトリアに続いて飛び込んできてくれたエマ。

 ああ、仕合わせの暴君でお団子になるのは日常茶飯事だけど、別メンバーでのお団子もムニュムニュしてて最高だよぉ。


 1の門の順番待ちをしている方から剣呑な視線が突き刺さる。

 でも多分これ、ショートカットを利用することへの嫉妬じゃないんだろうなぁ。


 6人でお団子になったまま、貴族路を警備していた男に自分のステータスプレートを提示するラトリア。

 男は戸惑いながらもそれを受け取り、ラトリアのステータスプレートと俺達のことを何度も見直した。混乱してるなぁ。


 スペルド王国最強の剣士、竜爵家夫人のラトリアは俺の想像以上に有名人なのだろう。

 だからゴルディアさんではない男と婚姻を結んでいるのが信じられないってことだね。


「た、確かに確認させて頂きました……。ど、どうぞお通りくださいラトリア様……」

「皆様もお勤めご苦労様です。それでは参りましょうっ」


 若干……というかだいぶ引き気味の警備の人に構わず、開け放たれた扉から貴族路に足を踏み入れた。

 当然お団子状態のままである。


 貴族路の中は想像していたものとは全く違っていて、まるでベランダやバルコニーのように突き出した床が屋外に伸びていた。

 そして不思議な事にその床の先は無く、何処に繋がっている様子も見受けられない。


 困惑する俺の胸元から、ラトリアの弾んだ声が聞こえてくる。


「ふふっ、驚いてくれたみたいで嬉しいですっ。貴族路は路なんて言ってますけど、実際はポータル転移用の屋外スペースなんですよっ」

「へ? 転移で行けるの? だったらラトリアかエマが直接飛んじゃえば良かったんじゃ?」

「当然それは禁止されているんですよ。貴族路を守る警備の者達を通さないと、神殿に着いても中に入れてもらえないんです」


 ふ~ん。聞いてみれば当たり前の話なのかぁ。

 貴族路って言うくらいだから、てっきり乗り物か何かで一気に神殿まで連れて行ってくれるものだと思っていたけど、転移魔法のほうが乗り物よりもずっと早いんだもんなぁ。


 ちなみに俺達はほぼ全員がポータルを使えるけれど、ポータルを使える者がいない場合は警備の人が神殿まで送ってくれるらしい。


「最近はすっかり貴族路にも慣れてしまいましたよ。それでは早速参りましょうか。虚ろな経路。点と線。見えざる流れ。空と実。求めし彼方へ繋いで到れ。ポータル」


 俺とアウラを一緒に抱きしめたエマが発動してくれたポータルに入って、俺達は貴族路からフォアーク神殿へと転移した。




 転移先も屋外に突き出したバルコニーのような場所だった。

 一瞬同じ場所に転移してしまったのかと困惑したけど、屋内に戻る扉が10名を超える兵隊さんで警備されているのを見て、ちゃんと別の場所に転移したことを実感する。


 当たり前だけど、神殿側の方が厳しく警備されているようだ。


「お、お待ちしておりましたラトリア様。どうぞお通りください」


 お団子状態で現れた俺達に戸惑いを隠せない様子の兵隊さんだったけど、それでも扉を開放して俺達を通してくれた。


「ありがとうございます。さっ、皆さん。この先がフォアーク神殿ですよーっ」


 上機嫌のラトリアに満面の笑顔でお礼を言われた警備の人たちは、そのあまりの美貌に警備を忘れて見蕩れてしまっている。

 ラトリアって外見も凄まじい美人なんだけど、フラッタみたいに性格も素直で可愛いからなぁ。こんな美人に裏表の無い笑顔を向けられちゃあ魂引っこ抜かれちゃうよねぇ。


 ぼーっとしてしまっている警備の人たちに構わず、貴族路からまた屋内に足を踏み入れた。

 扉の向こうは少し狭い感じの通路が続いていて、神殿らしきものはまだ見当たらない。


「この先を少し歩いた先がフォアーク神殿ですよ。ふふ、貴族路はあんまり人が来ないからってえっちな悪戯をしちゃダメですよー?」


 からかうように釘を刺してくるラトリア。

 でもなラトリア。それって俺のいた世界じゃ前振りって言うんだよ? 押すなよ押すなよって奴?


 確かに彼女の言う通り、周りには誰もいないし生体察知にも魔物察知にも反応がない。

 これはもうラトリアの前振りに全力で乗っかるべきだろうねっ!


 ラトリアの腰に腕を回し、彼女の細い体を抱き上げる。

 そしてラトリアのお腹から服の中に頭を突っ込み、俺の顔と同じ高さになったラトリアのおっぱいに吸い付いて、ちゅぱちゅぱと母乳をいただく事にする。


「ダメって、ダメって言ったのにぃ……! 誰かに、誰かに見られちゃうよぉ……!」

「安心してラトリア。察知スキルも気配遮断も常時発動してるからね。俺のラトリアのえっちな姿も声も、俺以外の男に見せてやる気は一切無いから」


 ラトリアの乳首を口に含んだままで、ラトリアを安心させようとスキルを使用している事を説明する。

 その際に何度か歯を立てちゃったけど、いつもやってることだから問題ないよね?


「噛んじゃ、噛んじゃダメぇぇ……! こんっ……なこと、されて……、どんな顔して神殿にいけばあああんっ! いいっ、んです、かぁっ……!」

「いやいや、今のは流石にラトリア様が悪いと思いますよー? ダンさんって隙あらば私達のおっぱい吸いたがってますからねー?」

「上機嫌になって調子に乗りすぎてしまったようですね。ラトリア様らしいです」


 ターニアとエマが俺の歩行をアシストしながら、ラトリアの言動に呆れたように呟いている。

 そうそう。こんな美人にからかわれたら我慢できるわけ無いじゃん? ちゅぱちゅぱ。


「ですがダンさんもほどほどにしてあげてくださいね? ここで全員を相手してくれるわけにはいかないでしょう?」


 む、確かにエマの言う通りか。

 こんな場所で皆を相手するなんて不可能だし、ラトリアのおっぱいだけをしゃぶっているのは少し不公平かもしれないな。ちゅぱちゅぱ。


「お家に帰ったらみんなのおっぱいを好きなだけ吸っていいですから、今は転職を優先してくださいねー?」

「パパを煽ったラトリアママにも困ったものだけど、それに乗ってこんな場所でおっぱいを吸い始めるパパのおっぱい好きにも困りものだよぉ」


 むにゅむにゅとおっぱいを押し付けながら俺に進言してくるムーリと、困ったものだと言いながらもおっぱいをムニュムニュと押し付けてくれるアウラ。

 うむ。こんなに俺を待ってくれている沢山のおっぱいがあるんだ。早く家に帰って全員を相手してあげないとなっ!


 だけどラトリア。これは俺をからかった罰だからね? もうちょっとだけしゃぶらせてもらうよー。ちゅうううううちゅぱちゅぱれろれろ。
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