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6章 広がる世界と新たな疑問1 蜜月の日々
399 混ざり合い (改)
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「みんな、お待たせなのじゃーっ」
フラッタの元気な声と共に、竜人族3人がお茶を淹れて戻ってきた。
3人とも本当に美人だから、笑顔の3人のおかげで場が一気に華やいだように感じられるね。
しかしフラッタが淹れてくれたお茶を飲みたいんだけど、俺の両手はリーチェとヴァルゴのおっぱいから手を離す気はなさそうだ。
しかも俺の口はティムルに塞がれてしまっているので、どうしようも無いんだよ?
というかティムルのおかげで説明も出来ないんだけど、俺に説明を迫ったニーナはティムルを止める気が無さそうだな?
そう言えばさっき寝室でもティムルを念入りにって言ってたし、なんだか今日のニーナはティムルに甘く感じるね。
「どうしたのダン。不思議そうな顔……って、私がティムルに好きにさせているのが不思議なの?」
少し不思議に思いながらニーナを見ていたのが本人に伝わってしまったようだ。
一切口に出していない俺の思考を毎度正確に読み取ってしまうニーナは、もうエスパーってレベルですらないな。
ニーナって俺本人じゃないのって言いたくなるレベルだよ。
「ティムルの好きにさせてるのはね、私にはティムルの気持ちが分かるからなの。ううん、多分ティムルはあの時の私以上にショックを受けてると思う」
あの時? あの時って、どの時のことを言ってるのニーナ?
相変わらず舌はティムルに掴まったままで全く言葉を発していないんだけど、視線だけで俺の疑問を読み取ったニーナが言葉を続ける。
「ダンが初めて魔力枯渇を起こした時の話なの。初めてフラッタと会ったあの時、フラッタから魔法使いの条件を聞いたダンは、転職の条件を満たす為に限界まで陽炎を使ったじゃない?」
うわ、めちゃくちゃ懐かしい話だなぁ。
あの時のニーナって確かまだ奴隷で、だけど陽炎を使うたびに憔悴していく俺の姿を見て泣き出して……。
って、そうか。そうだったのか……!
肝心な時に意識が落ちていたとは言え、ここまで言われないとティムルの気持ちに気付けないなんて、俺ってどれだけ馬鹿野郎なんだよ……!
「そうだよダン。ティムルはもうすぐ自分の手で貴方を殺してしまうところだったと感じているの。知らなかったんだからしょうがないけど、ダンにはもう少し重く考えて欲しいかな」
今までに無く強い口調で俺を責めてくるニーナ。
俺の全てを肯定してくれると言っていたニーナにしては本当に珍しく、完全に怒って俺を責めてくる。
けどそれも当然だ……! 俺はそれだけのことをしてしまったのだからっ……!
「ううんダン。怒ってるわけでも責めてるわけでもないの。私達はただ心配で、そして怖かっただけ。もう少しで貴方を喪っていたかもしれないなんて、想像するのも嫌なくらいに恐ろしいの」
ニーナの言葉を肯定するかのように激しく動くティムルの舌。
危うくティムルに俺を殺させてしまうところだったなんて……。俺はなんてことをしてしまったんだよ。
ごめんねティムル。大丈夫、お姉さんは何にも悪くないし、俺は何にも心配要らないからね。
せっかくフラッタが淹れてくれたお茶がすっかり冷めてしまうまで、ティムルと舌で抱き合い続けた。
「さぁティムル。ダンの話を聞こう? 同じ事を繰り返すわけにはいかないの」
なんかこのまま永遠にティムルと舌を絡ませたまま生きていくのだろうかと思い始めた頃、ニーナがティムルの頭を撫でてあげた。
するとティムルは素直に俺の口から舌を抜き、だけどそのままぎゅっと抱きついてきた。
「大丈夫だよお姉さん。ティムルの気持ちに気付いてあげられなくてごめんね? でももう何も心配いらないからね……」
俺の首に抱き付いているティムルに頬ずりする。
だけどなんでニーナにはそんなに素直に従うのか、あとでちょっと追求したい気分なんだよ?
すっかり冷めてしまったお茶を一気に飲み干して、改めて説明を始める。
「まず前提として、俺の考えが正解かどうか分からないこと、そして恐らく今後も改善する見込みがないことは頭に入れておいてね?」
俺の言葉に一瞬ティムルの体が強張ったけれど、スリスリと頬ずりしてあげたらすぐに落ち着いてくれたみたいだ。
他のみんなも真剣な表情で頷きを返してくれる。もう覚悟は出来てるとでも言いたげだ。
みんな本当に逞しくなってくれたと思う。
「今回の件はひと言で言うなら、職業補正の使いすぎなんだよ」
「職業補正の使いすぎ……って、何?」
「恐らくだけど、俺の体内には職業補正が浸透しすぎていて、もう身体操作性補正無しには呼吸すら出来ない体になっちゃったんだと思う」
「馬鹿なっ!? そんな話は聞いたことがっ……!」
俺の説明に声をあげそうになるフラッタを、右手を翳して制止するニーナ。
興奮を止められたフラッタは落ち着きを取り戻したのか、深く息を吐いて椅子に座り直した。
フラッタの着席を確認してから、ニーナがこちらに視線を戻す。
その視線で俺に話を続きを催促してくる。
「前々から俺の職業補正だけ異質だって、みんな言ってたでしょ? 多分その通りなんだよ」
「異質って、具体的には?」
「俺の体は職業補正と混ざり合いすぎて、もう職業補正無しじゃ生きていけないんだ。だから魔力が枯渇し職業補正の恩恵が得られないと、呼吸することすら出来なくなっちゃったんだと思うよ」
「……いつからなのじゃ? そして、なんで改善する見込みが無いなんて言えるのじゃっ……!?」
今度は取り乱すこともなく、けれど悲痛な表情で俺に問いかけてくるフラッタ。
そんなフラッタのことを今度は制止しないニーナも、同じことを聞きたいんだろう。
「直接の引き金は、やっぱりエルフェリアでヴァンダライズを放った時だと思う。あの時はステータスプレートの繋がりすら感じられなかったからね。今思えばあの時も、今と同じ状態になっちゃってたんだと思うよ」
「あの時、ですか……。確かにあの時の旦那様の魔力枯渇の症状は異常だと感じましたが……」
俺に寄り添っているヴァルゴが呟く。
流石にもうおっぱいからは手を離して、彼女の腰に腕を回して抱き寄せている状態ですよ?
「……待ってよダン。あの時は確か君、自分の足で歩いてたよね? ぼく達が合流するまでに多少時間があったにしても、今回のほうが症状が重いんじゃないのかい?」
ヴァルゴに続いて反対側に抱き寄せられているリーチェが、不安そうに俺を見上げながら発言する。
そして1度言葉を切って、青い顔をして続きを口にする。
「まさか、悪化……、してるの?」
「悪化はしてないと思う。恐らくだけど、今回と前回の違いは魔力枯渇の原因にあると思うんだよ」
リーチェを安心させるために、彼女の言葉を即座にきっぱりと否定する。
前回の重い魔力枯渇が起こったときは、俺が自分の意思で全ての魔力をヴァンダライズに込めた結果魔力枯渇が発生した。
けれど今回は朧逆月の魔力吸収が原因で、俺の意思に関係なく魔力を奪い取られてしまったわけだ。
つまり自分の意思で放たれたヴァンダライズの時は、自分でも無意識のうちに最低限の魔力を確保していたんだと思うんだよね。
だけど今回は他者に魔力を奪われる形だったから、その最低限の魔力すら残すことが出来なかったと。
「ティムルは何も気にしなくて大丈夫だからね? お前は何にも悪くないし、実際何も問題は起こってないんだから」
朧逆月によって俺を殺しかけてしまったとティムルが思い悩まないように、頬ずりしながら何度もティムルは何も悪くないんだよと伝えてあげる。
大体にして、朧逆月をティムルに贈ったのは俺自身だしな。
仮に朧逆月で死ぬような事があったら、ただの自業自得でしかない。
「それで、治る見込みが無いって話だけど……。単純に俺がどうやったら改善するか全く思いつかないって話なんだよ。もう職業補正無しで生きていくのは無理だし、今までの戦い方を変えるのも難しいと思うから」
俺の強さは職業補正に頼りきったものだ。
だからもしも職業補正の浸透具合を薄める方法があったとしても、それをしてしまうと戦闘力が大幅に落ちてしまう可能性は否定出来ない。
だからもしも治せる方法があったとしても……。俺はきっとその選択をしないんじゃないだろうか。
「……でも今まで気付かなかったって事は、日常生活に支障も違和感も無いってことなんですよね? だったら魔力枯渇さえしなければ問題ないんじゃ?」
ムーリが少し首を傾げながら俺に質問を投げかける。
うん。この重苦しい雰囲気の中でようやく前向きな発言が聞けたよ。
「ムーリの言う通り、実は俺も問題無いと思ってるんだ。今回の事は知らなかったために起こってしまった事故だけど、知ってさえいれば防ぐのは容易いでしょ? 俺の魔力はそう簡単に尽きる量でもないしね」
ムーリの前向きな発言を俺が肯定したことで、みんなにも少し安心が広がってくれたみたいだ。
ニーナはまだ少し心配そうにしてるけど、それでも少し表情が和らいでくれたように感じる。
「魔力さえ枯渇しなければ問題ないんだ。つまり聖者が浸透してるティムルのおかげで、俺の安全性はぐっと高まっているんだよー?」
聖者の職業スキル、『全体魔力自動回復』。
これを俺以外の人間、ティムルが使える事によって、俺自身の魔力が枯渇してもスキル効果が期待できるのだ。
ティムルの頬にちゅっと口付けをして、言葉を続ける。
「ティムルお姉さんのおかげで俺は生かされてるんだ。自信持ってティムル。俺はティムルが注いでくれる愛情で生きていけるんだ」
「うんっ……! うんっ……! 私の魔力、全部持ってっていいからぁ……! だから死んじゃっ、死んじゃ嫌なのぉ……!」
「死なないよ。絶対に死なないから。こんなに可愛いティムルを置いて死んでなんてやらないよ。死ぬのは何十年先までみんなと愛し合ってから老衰で、って決めてるんだ」
ティムルの頬に何度もキスをする。
びっくりさせてごめん。怖い想いをさせてごめん。
でも大丈夫。絶対にティムルより先に死んだりしないからね。
「んー……。ダンの魔力枯渇を防止するには、私たち全員が聖者を浸透させるのがいいと思うけど……。篤志家の転職条件が分からないの~……」
「確かにのう……。ダンとティムルだけが転職出来ておるのは何故なのじゃ? 慈善家は全員が浸透しているというのに」
ニーナとフラッタが、魔力自動回復スキルを持つ聖者を目指したいけど、篤志家の条件が分からずに悩んでいるようだ。
正直に言えば、俺も篤志家の条件は曖昧なところがあるんだよなぁ。
恐らくは一定人数の他人を助ける必要があるとは思うけれど、明確な基準は全く分からないままだ。
「……うん。ダンの言う通り、今回発覚したのが不幸中の幸いだったね。ダンとムーリが言っていた通り、気をつければ魔力枯渇は防げるはずだ」
「ですね。職業補正が浸透しすぎていると言っても、職業補正を使っても魔力枯渇が起きるわけではありませんし、確かに気にしすぎることではないかもしれません」
俺を挟んで、ヴァルゴとリーチェが言葉を交わしている。
2人も落ち着いたようなので、改めて2人の服の中に手を入れて2人の体を弄り始める。
気が抜けない話が続いて、すっかり柔らかくなっちゃってるね……。
いっぱい弄って、直ぐにコリコリにしてあげちゃうよーっ。
「う~ん。レガリアもメナスももう滅ぼしたあとですし、普通のイントルーダーなんか1人でも簡単に蹴散らしちゃいますからね。知ってさえいれば確かに問題ないかも?」
「今回のことも、結局はティムルさんレベルの実力が無ければ起きていませんからね。そう考えると、想定するのも馬鹿馬鹿しいほど低い危険性の話のように思えてきますよ」
ラトリアとエマも問題ないと認識してくれたようだ。
ティムルレベルの実力者なんて、今のところ仕合わせの暴君のメンバー内にしか居ないからね。
つまりは全員が味方、全員が身内だ。なんら問題ないってことだ。
「結論から言えば、ダンさんさえ気をつけてれば何の問題ないのかな?」
みんなの意見をまとめてくれたターニアが、咎めるような口調で釘を刺してくる。
そう。今回はみんなは何も悪くなくて、自分の状態を把握していなかった俺の責任なのだ。
「それじゃダンさん、ちゃーんと気をつけて欲しいの。ここにいる女全員を不幸にしたくなかったらねっ?」
「俺だってこんなに大好きなみんなを残して死にたくなんてないってば。出来る限り長生きして、みんなといっぱいイチャイチャしてからじゃないと死に切れないっての」
宜しい、と満足げに頷くターニア。
愛する夫を亡くしてしまったターニアに、同じ想いは絶対にさせないさ。
みんなの雰囲気に緊張感が無くなったところで、ニーナがパンパンと軽く手を叩いて注目を集めた。
「今日のところはこれ以上出来る事はないから、この辺で終わりにしたいの。みんなもそれでいい?」
ニーナの問いかけに、みんなはーいと頷いてみせる。
今後何か対策を取るにしても、現時点できることはない。だから今日のところは話は終わりだ。
「それじゃダン、お風呂に行くよっ! 明日は私の家に招待したいんだから、その前にいっぱいいっぱい愛して欲しいのっ」
言いながら俺の背後に立って、椅子に座る俺の頭を上向きにして覆い被さるようにキスをしてくるニーナ。
今日はニーナだけまだ抱いてあげれていないからか、いつも以上に積極的に舌を絡めてきてくれる。
「ぷはぁっ! さぁみんなもお風呂にいこっ! 今日は心配させられた分、みんなでダンにいっぱいお仕置きしてあげるのっ。ティムルもリーチェもヴァルゴも協力してねっ」
ニーナ司令官の鶴のひと声で、家族全員が戦闘モードに切り替わったのが分かった。
あ、あれぇ? みんななんでそんな肉食獣みたいな視線を俺に送ってくるかなぁ?
ティムル、リーチェ、ヴァルゴの3人に持ち上げられて、お風呂場に連行される俺。
咄嗟にリーチェとヴァルゴの乳首を高速で扱き上げ、ティムルには高速詠唱キスをお見舞いして3人の動きを阻害するけど、よいしょっと可愛い声と共にフラッタが背中から俺達を軽々と持ち上げて、浴室まで運び込んでしまった。
反撃も脱出も失敗。
あとはみんなの気が済むまで、天国のようなお仕置きの時間を過ごすしかないようだ。
楽しみすぎるけど、お手柔らかにお願いしたいんだよ?
お仕置きが原因で魔力が枯渇しちゃったら、流石に困っちゃうからね?
フラッタの元気な声と共に、竜人族3人がお茶を淹れて戻ってきた。
3人とも本当に美人だから、笑顔の3人のおかげで場が一気に華やいだように感じられるね。
しかしフラッタが淹れてくれたお茶を飲みたいんだけど、俺の両手はリーチェとヴァルゴのおっぱいから手を離す気はなさそうだ。
しかも俺の口はティムルに塞がれてしまっているので、どうしようも無いんだよ?
というかティムルのおかげで説明も出来ないんだけど、俺に説明を迫ったニーナはティムルを止める気が無さそうだな?
そう言えばさっき寝室でもティムルを念入りにって言ってたし、なんだか今日のニーナはティムルに甘く感じるね。
「どうしたのダン。不思議そうな顔……って、私がティムルに好きにさせているのが不思議なの?」
少し不思議に思いながらニーナを見ていたのが本人に伝わってしまったようだ。
一切口に出していない俺の思考を毎度正確に読み取ってしまうニーナは、もうエスパーってレベルですらないな。
ニーナって俺本人じゃないのって言いたくなるレベルだよ。
「ティムルの好きにさせてるのはね、私にはティムルの気持ちが分かるからなの。ううん、多分ティムルはあの時の私以上にショックを受けてると思う」
あの時? あの時って、どの時のことを言ってるのニーナ?
相変わらず舌はティムルに掴まったままで全く言葉を発していないんだけど、視線だけで俺の疑問を読み取ったニーナが言葉を続ける。
「ダンが初めて魔力枯渇を起こした時の話なの。初めてフラッタと会ったあの時、フラッタから魔法使いの条件を聞いたダンは、転職の条件を満たす為に限界まで陽炎を使ったじゃない?」
うわ、めちゃくちゃ懐かしい話だなぁ。
あの時のニーナって確かまだ奴隷で、だけど陽炎を使うたびに憔悴していく俺の姿を見て泣き出して……。
って、そうか。そうだったのか……!
肝心な時に意識が落ちていたとは言え、ここまで言われないとティムルの気持ちに気付けないなんて、俺ってどれだけ馬鹿野郎なんだよ……!
「そうだよダン。ティムルはもうすぐ自分の手で貴方を殺してしまうところだったと感じているの。知らなかったんだからしょうがないけど、ダンにはもう少し重く考えて欲しいかな」
今までに無く強い口調で俺を責めてくるニーナ。
俺の全てを肯定してくれると言っていたニーナにしては本当に珍しく、完全に怒って俺を責めてくる。
けどそれも当然だ……! 俺はそれだけのことをしてしまったのだからっ……!
「ううんダン。怒ってるわけでも責めてるわけでもないの。私達はただ心配で、そして怖かっただけ。もう少しで貴方を喪っていたかもしれないなんて、想像するのも嫌なくらいに恐ろしいの」
ニーナの言葉を肯定するかのように激しく動くティムルの舌。
危うくティムルに俺を殺させてしまうところだったなんて……。俺はなんてことをしてしまったんだよ。
ごめんねティムル。大丈夫、お姉さんは何にも悪くないし、俺は何にも心配要らないからね。
せっかくフラッタが淹れてくれたお茶がすっかり冷めてしまうまで、ティムルと舌で抱き合い続けた。
「さぁティムル。ダンの話を聞こう? 同じ事を繰り返すわけにはいかないの」
なんかこのまま永遠にティムルと舌を絡ませたまま生きていくのだろうかと思い始めた頃、ニーナがティムルの頭を撫でてあげた。
するとティムルは素直に俺の口から舌を抜き、だけどそのままぎゅっと抱きついてきた。
「大丈夫だよお姉さん。ティムルの気持ちに気付いてあげられなくてごめんね? でももう何も心配いらないからね……」
俺の首に抱き付いているティムルに頬ずりする。
だけどなんでニーナにはそんなに素直に従うのか、あとでちょっと追求したい気分なんだよ?
すっかり冷めてしまったお茶を一気に飲み干して、改めて説明を始める。
「まず前提として、俺の考えが正解かどうか分からないこと、そして恐らく今後も改善する見込みがないことは頭に入れておいてね?」
俺の言葉に一瞬ティムルの体が強張ったけれど、スリスリと頬ずりしてあげたらすぐに落ち着いてくれたみたいだ。
他のみんなも真剣な表情で頷きを返してくれる。もう覚悟は出来てるとでも言いたげだ。
みんな本当に逞しくなってくれたと思う。
「今回の件はひと言で言うなら、職業補正の使いすぎなんだよ」
「職業補正の使いすぎ……って、何?」
「恐らくだけど、俺の体内には職業補正が浸透しすぎていて、もう身体操作性補正無しには呼吸すら出来ない体になっちゃったんだと思う」
「馬鹿なっ!? そんな話は聞いたことがっ……!」
俺の説明に声をあげそうになるフラッタを、右手を翳して制止するニーナ。
興奮を止められたフラッタは落ち着きを取り戻したのか、深く息を吐いて椅子に座り直した。
フラッタの着席を確認してから、ニーナがこちらに視線を戻す。
その視線で俺に話を続きを催促してくる。
「前々から俺の職業補正だけ異質だって、みんな言ってたでしょ? 多分その通りなんだよ」
「異質って、具体的には?」
「俺の体は職業補正と混ざり合いすぎて、もう職業補正無しじゃ生きていけないんだ。だから魔力が枯渇し職業補正の恩恵が得られないと、呼吸することすら出来なくなっちゃったんだと思うよ」
「……いつからなのじゃ? そして、なんで改善する見込みが無いなんて言えるのじゃっ……!?」
今度は取り乱すこともなく、けれど悲痛な表情で俺に問いかけてくるフラッタ。
そんなフラッタのことを今度は制止しないニーナも、同じことを聞きたいんだろう。
「直接の引き金は、やっぱりエルフェリアでヴァンダライズを放った時だと思う。あの時はステータスプレートの繋がりすら感じられなかったからね。今思えばあの時も、今と同じ状態になっちゃってたんだと思うよ」
「あの時、ですか……。確かにあの時の旦那様の魔力枯渇の症状は異常だと感じましたが……」
俺に寄り添っているヴァルゴが呟く。
流石にもうおっぱいからは手を離して、彼女の腰に腕を回して抱き寄せている状態ですよ?
「……待ってよダン。あの時は確か君、自分の足で歩いてたよね? ぼく達が合流するまでに多少時間があったにしても、今回のほうが症状が重いんじゃないのかい?」
ヴァルゴに続いて反対側に抱き寄せられているリーチェが、不安そうに俺を見上げながら発言する。
そして1度言葉を切って、青い顔をして続きを口にする。
「まさか、悪化……、してるの?」
「悪化はしてないと思う。恐らくだけど、今回と前回の違いは魔力枯渇の原因にあると思うんだよ」
リーチェを安心させるために、彼女の言葉を即座にきっぱりと否定する。
前回の重い魔力枯渇が起こったときは、俺が自分の意思で全ての魔力をヴァンダライズに込めた結果魔力枯渇が発生した。
けれど今回は朧逆月の魔力吸収が原因で、俺の意思に関係なく魔力を奪い取られてしまったわけだ。
つまり自分の意思で放たれたヴァンダライズの時は、自分でも無意識のうちに最低限の魔力を確保していたんだと思うんだよね。
だけど今回は他者に魔力を奪われる形だったから、その最低限の魔力すら残すことが出来なかったと。
「ティムルは何も気にしなくて大丈夫だからね? お前は何にも悪くないし、実際何も問題は起こってないんだから」
朧逆月によって俺を殺しかけてしまったとティムルが思い悩まないように、頬ずりしながら何度もティムルは何も悪くないんだよと伝えてあげる。
大体にして、朧逆月をティムルに贈ったのは俺自身だしな。
仮に朧逆月で死ぬような事があったら、ただの自業自得でしかない。
「それで、治る見込みが無いって話だけど……。単純に俺がどうやったら改善するか全く思いつかないって話なんだよ。もう職業補正無しで生きていくのは無理だし、今までの戦い方を変えるのも難しいと思うから」
俺の強さは職業補正に頼りきったものだ。
だからもしも職業補正の浸透具合を薄める方法があったとしても、それをしてしまうと戦闘力が大幅に落ちてしまう可能性は否定出来ない。
だからもしも治せる方法があったとしても……。俺はきっとその選択をしないんじゃないだろうか。
「……でも今まで気付かなかったって事は、日常生活に支障も違和感も無いってことなんですよね? だったら魔力枯渇さえしなければ問題ないんじゃ?」
ムーリが少し首を傾げながら俺に質問を投げかける。
うん。この重苦しい雰囲気の中でようやく前向きな発言が聞けたよ。
「ムーリの言う通り、実は俺も問題無いと思ってるんだ。今回の事は知らなかったために起こってしまった事故だけど、知ってさえいれば防ぐのは容易いでしょ? 俺の魔力はそう簡単に尽きる量でもないしね」
ムーリの前向きな発言を俺が肯定したことで、みんなにも少し安心が広がってくれたみたいだ。
ニーナはまだ少し心配そうにしてるけど、それでも少し表情が和らいでくれたように感じる。
「魔力さえ枯渇しなければ問題ないんだ。つまり聖者が浸透してるティムルのおかげで、俺の安全性はぐっと高まっているんだよー?」
聖者の職業スキル、『全体魔力自動回復』。
これを俺以外の人間、ティムルが使える事によって、俺自身の魔力が枯渇してもスキル効果が期待できるのだ。
ティムルの頬にちゅっと口付けをして、言葉を続ける。
「ティムルお姉さんのおかげで俺は生かされてるんだ。自信持ってティムル。俺はティムルが注いでくれる愛情で生きていけるんだ」
「うんっ……! うんっ……! 私の魔力、全部持ってっていいからぁ……! だから死んじゃっ、死んじゃ嫌なのぉ……!」
「死なないよ。絶対に死なないから。こんなに可愛いティムルを置いて死んでなんてやらないよ。死ぬのは何十年先までみんなと愛し合ってから老衰で、って決めてるんだ」
ティムルの頬に何度もキスをする。
びっくりさせてごめん。怖い想いをさせてごめん。
でも大丈夫。絶対にティムルより先に死んだりしないからね。
「んー……。ダンの魔力枯渇を防止するには、私たち全員が聖者を浸透させるのがいいと思うけど……。篤志家の転職条件が分からないの~……」
「確かにのう……。ダンとティムルだけが転職出来ておるのは何故なのじゃ? 慈善家は全員が浸透しているというのに」
ニーナとフラッタが、魔力自動回復スキルを持つ聖者を目指したいけど、篤志家の条件が分からずに悩んでいるようだ。
正直に言えば、俺も篤志家の条件は曖昧なところがあるんだよなぁ。
恐らくは一定人数の他人を助ける必要があるとは思うけれど、明確な基準は全く分からないままだ。
「……うん。ダンの言う通り、今回発覚したのが不幸中の幸いだったね。ダンとムーリが言っていた通り、気をつければ魔力枯渇は防げるはずだ」
「ですね。職業補正が浸透しすぎていると言っても、職業補正を使っても魔力枯渇が起きるわけではありませんし、確かに気にしすぎることではないかもしれません」
俺を挟んで、ヴァルゴとリーチェが言葉を交わしている。
2人も落ち着いたようなので、改めて2人の服の中に手を入れて2人の体を弄り始める。
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いっぱい弄って、直ぐにコリコリにしてあげちゃうよーっ。
「う~ん。レガリアもメナスももう滅ぼしたあとですし、普通のイントルーダーなんか1人でも簡単に蹴散らしちゃいますからね。知ってさえいれば確かに問題ないかも?」
「今回のことも、結局はティムルさんレベルの実力が無ければ起きていませんからね。そう考えると、想定するのも馬鹿馬鹿しいほど低い危険性の話のように思えてきますよ」
ラトリアとエマも問題ないと認識してくれたようだ。
ティムルレベルの実力者なんて、今のところ仕合わせの暴君のメンバー内にしか居ないからね。
つまりは全員が味方、全員が身内だ。なんら問題ないってことだ。
「結論から言えば、ダンさんさえ気をつけてれば何の問題ないのかな?」
みんなの意見をまとめてくれたターニアが、咎めるような口調で釘を刺してくる。
そう。今回はみんなは何も悪くなくて、自分の状態を把握していなかった俺の責任なのだ。
「それじゃダンさん、ちゃーんと気をつけて欲しいの。ここにいる女全員を不幸にしたくなかったらねっ?」
「俺だってこんなに大好きなみんなを残して死にたくなんてないってば。出来る限り長生きして、みんなといっぱいイチャイチャしてからじゃないと死に切れないっての」
宜しい、と満足げに頷くターニア。
愛する夫を亡くしてしまったターニアに、同じ想いは絶対にさせないさ。
みんなの雰囲気に緊張感が無くなったところで、ニーナがパンパンと軽く手を叩いて注目を集めた。
「今日のところはこれ以上出来る事はないから、この辺で終わりにしたいの。みんなもそれでいい?」
ニーナの問いかけに、みんなはーいと頷いてみせる。
今後何か対策を取るにしても、現時点できることはない。だから今日のところは話は終わりだ。
「それじゃダン、お風呂に行くよっ! 明日は私の家に招待したいんだから、その前にいっぱいいっぱい愛して欲しいのっ」
言いながら俺の背後に立って、椅子に座る俺の頭を上向きにして覆い被さるようにキスをしてくるニーナ。
今日はニーナだけまだ抱いてあげれていないからか、いつも以上に積極的に舌を絡めてきてくれる。
「ぷはぁっ! さぁみんなもお風呂にいこっ! 今日は心配させられた分、みんなでダンにいっぱいお仕置きしてあげるのっ。ティムルもリーチェもヴァルゴも協力してねっ」
ニーナ司令官の鶴のひと声で、家族全員が戦闘モードに切り替わったのが分かった。
あ、あれぇ? みんななんでそんな肉食獣みたいな視線を俺に送ってくるかなぁ?
ティムル、リーチェ、ヴァルゴの3人に持ち上げられて、お風呂場に連行される俺。
咄嗟にリーチェとヴァルゴの乳首を高速で扱き上げ、ティムルには高速詠唱キスをお見舞いして3人の動きを阻害するけど、よいしょっと可愛い声と共にフラッタが背中から俺達を軽々と持ち上げて、浴室まで運び込んでしまった。
反撃も脱出も失敗。
あとはみんなの気が済むまで、天国のようなお仕置きの時間を過ごすしかないようだ。
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『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
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クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
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孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
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