異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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6章 広がる世界と新たな疑問1 蜜月の日々

381 考察 (改)

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「改めて考えると、俺って職業システムのことを何も理解してないよなぁ……」


 フラッタに職業補正の可能性を広げられて、ちょっとだけ職業について考え直したくなってきた。

 考えながらもフラッタのおっぱいを吸うのは止めず、彼女の奥には俺の愛が直送され続けているわけだが。


 そう。リーチェやフラッタが言うまでもなく、そもそも俺自身の内臓にはとっくに職業の加護が齎されていたのを忘れていた。

 好色家先生と艶福家大先生がいらっしゃらなければ、俺はみんなを平等に愛することなんて到底出来なかったんだ。


「はぁっ……! はぁっ……!」

「気持ち良かったよフラッタ。ゆっくり休んでね。次は大きいおっぱいが食べたいな。ムーリおいで」


 肩で息をするフラッタをよしよしなでなでして解放し、代わりに飛び込んできたムーリの中にお邪魔する。

 ムーリ自身に寄せ上げさせた2つの乳首を同時に口に含んで、俺はまた思考に沈んでいく。


 今でこそ際限なくみんなを愛せるようになったけど、職業補正は無限でも万能でもない。

 好色家の浸透途中にリボルバーで意識を失ったり、ラトリアに舌を入れられた時に魔力枯渇を起こしかけたりしたことから、職業補正も結局魔力で齎されている祝福であり、魔力が尽きれば補正も潰えることは過去に証明済みなのだ。

 先日、俺が丸3日間みんなを抱き続けることが出来たのだって、精力増進のほかに魔力上昇補正が累積しまくっていたおかげでもあるだろうね。


 うーん……。結局のところ、魔力っていったいなんなんだろう?


 職業補正の様に肉体のサポートを行ってくれたりする反面、魔物のような人類の敵対者を生み出す存在。

 ドロップアイテムはこの世界の生活の根幹だし、魔物が人々の生活の為に生み出された存在の様に思えなくもないけれど、それなら始めからアイテムとして用意してくれれば問題ないはずだ。


 それに、狩り過ぎるとアウターエフェクトやイントルーダーが出現し、そいつらはアウターの外に出て積極的に人を狩り始めるっていうし……。

 なんかこう、チグハグな感じがして仕方が無い。


「もう……入りません、よぉ……。おなか、熱くて重い、よぉ……」

「ちょっと注ぎ込みすぎて喉が渇いちゃった。ラトリア、ちょっとおっぱい飲ませてくれる?」


 おっぱいに負けじと下っ腹を大きく膨らませているムーリを解放し、奥を突く度に噴き出すラトリアの母乳をごくごくと飲み下して喉を潤す。

 もしかしたらこの母乳も、精力増進で増幅されたものなのかもしれないなぁ。ちゅうちゅうれろれろ。


 攻撃魔法にしても支援魔法にしても効果は限定的で、フレイムランスとアイスコフィンは例外的に魔物以外にも干渉できるけれど、他の魔法は魔物以外には一切影響を及ぼすことが出来ない。

 フレイムランスとアイスコフィンが例外的に他者に干渉出来るのは、もうそういうもんだと割り切るしかないだろう。


 もしかしたら、炎の槍と氷っていう物質を生み出しているからなのかなと思わなくもないけど、炎の槍ってなんだよって話になっちゃうし、同じく雹を生成して撃ち出すヘイルストームは魔物にしか干渉しないから、深く考えても答えが出ない問題だと思うのよ。

 とにかく、フレイムランスとアイスコフィン以外の攻撃魔法やウェポンスキルは、魔物以外には一切影響を及ぼすことが出来ないのだ。

 魔物から生まれたドロップアイテムにすら干渉できないからねぇ。


 しかしここで1つの疑問が生まれる。それは竜人族のブレスだ。

 マルドック商会を壊滅させた犯人がシルヴァであると言われた根拠は、現場にシルヴァのブレス痕が残されていたからだった。

 ……まぁこれは結局嘘だったわけだけど。


 でも、支配されたラトリアが放ったブレスは訓練場の壁を穿ち、奈落では閉ざされていた扉をフラッタがブレスでぶち抜いている。

 つまり、竜人族のブレスは魔力を使用していながらも、効果範囲が魔物に限定されていないのだ。


「も、おっぱい出て、ないからぁ……! 乳首、離してぇ……!」

「ラトリアがギブしちゃったから、代わりに頑張って貰うよ。覚悟してねエマ?」


 たっぷり歯型をつけたラトリアの真っ白なおっぱいを解放し、代わりに正面から抱き締めたエマとキスをしながら深く繋がった。

 考え事を続ける為にキスで口を塞ぎ続け、キスをしたまま注ぎ込み続ける。


 竜人族のブレスに留まらず、最近グルトヴェーダでマウントサーペントに襲われたとき、巨大な蛇の頭をヴァルゴのダークブリンガーが貫いている。

 リーチェの精霊魔法も魔物以外に干渉しているし、ティムルの熱視も魔物以外に含まれている魔力を捉えることが可能だ。

 そう考えると、恐らくニーナの獣化も職業補正を強化しているのではなく、元々の肉体を強化しているのではないだろうか?


 ハズレ種族の人間族さんにはなんにも無くて泣けてくるけれど、各種族の種族適正ってこの世界のバトルシステムの外側にある能力のような気がしてくる。

 この世界で発現した能力ではなく、各種族が元々持っていた能力なんじゃないだろうか?


「あ……うぅ……。はぁ、ん……」

「あちゃ。竜化させたのは不味かったか。おいでターニア……って、獣化して大丈夫なの?」


 竜化させたおかげで直ぐに失神してしまったエマの無防備なおっぱいに舌を這わせながら、獣化で生えた翼を大きく広げて頬を赤らめるターニアをベッドに呼び寄せる。

 翼のモフモフを味わう為に背後からターニアを貫き、おっぱいを揉みしだきながら後ろを向かせてキスをする。


 トライラム様に職業の祝福を授けるまで、この世界の人類は魔物に虐げられていたらしいけれど、その時は魔人族だって今ほどの戦闘技術を持ち合わせていなかったはず。

 なのに何とか絶滅を回避出来ていたのは、各種族の種族特性があったからなんじゃないかなって思うんだよねぇ。


 ブレスやダークブリンガーが職業補正とは異なる力であったとしても、あの2つが魔物のHPを削っているのは俺もこの目で確認している。

 装備品でなければ魔物のHPは殆ど削れないのは、あれほどの戦闘技術を擁しながらも投石に頼るしかなかった守人たちが証明しているのに。


 ブレスやダークブリンガーは職業補正ではないのに、魔物のHPを削れる理由は1つ。

 あの2つが魔力によって形作られた力だからに違いないだろう。


 職業の加護が無い状況でもブレスや魔技、精霊魔法や獣化を駆使して、大昔の人々は何とか生き抜いていたんじゃないのかなぁ。


「あ、うぅ……」

「獣化が解けちゃったかぁ。おいでヴァルゴ。奥をいっぱい突いてあげるから」


 ターニアのことは背後から愛してあげたので、ヴァルゴとは正面から繋がってヴァルゴの気持ち良いところを徹底的に責めながら、槍のように真っ直ぐ硬く立ったヴァルゴの乳首を俺の口内に招待する。

 出会った時は鈍感だったこの乳首も、今では舐め回すだけでぎゅうぎゅう締め付けてくれる素敵な感度になってくれたみたいだね。べろんべろん。


 で、職業の加護無しで各種族が生き抜いていたとして、やっぱりここで問題になってくるのが、魔力っていったいなんなのさって話なんだよ。


 ノーリッテが言うには、この世界の住人は全て元々は異世界人であったらしい。


 バトルシステムの外側にある各種族の能力は、この世界に来る前から備わっていたものだと考えられる。

 そして各地のアウターや呼び水の鏡は、こことは異なる世界からこの世界に魔力を流し込む存在だ。


 ……それを踏まえると、この世界って元々は魔力が存在しない世界だったのか……?


 ヴァルゴが倒した先代メナスであるゼノンは、神器レガリアは天地開闢の時から存在していると言っていたらしい。

 恐らくこの情報は識の水晶から齎されたものなんだとは思うけど……。


「旦那様ぁ……。もっと、もっとぉ……!」

「慌てなくても何度でもしてあげるよ。だからちょっと休んでね。ティムルかもーん!」


 もっともっとと俺を求めてくるヴァルゴだけど、彼女の容量が物理的に限界を迎えてしまったので、よしよしなでなでと宥めながらお姉さんと交替してもらう。

 俺が考え事をしているのを理解しているお姉さんは、邪魔しないからと言わんばかりに黙ってキスをして、ゆっくり優しく俺を刺激してくれる。


 この世界を作った誰かは、わざわざ外の世界から魔力を引っ張る神器を用意しているんだよなぁ。世界を新たに創造できるような存在であるのなら、始めからこの世界に魔力を満たせばよかったのに。

 そして魔力を引っ張ってきておきながら、トライラム様が現れるまでは職業システムを人々に齎していないっていうのも不思議なんだよねぇ。


 つまり、始めは魔力も無ければ職業の加護も無かった。

 けれど魔力を呼び込む方法を確立させたことで、職業の祝福を知るトライラム様が職業の加護を齎す事が可能になった?


 今の時点では、これ以上のことは推論することさえ難しいか……。


 頭を切り替えて、次は職業という概念が無い状況でトライラム様がどうやって法王になったのかと考える。

 これは一見矛盾しているように見えるけど、トライラム様は何処から突然現れた存在だと伝えられている事から、この世界に現れる前に職業の加護を得ていたと考えるならクリアできる矛盾のはずだ。


 きっとエルフ族は、職業システムが元々存在していた世界からこの世界にやってきた種族なんじゃないんだろうか?

 生まれつき魔法使いの職を得ているということからも、他の種族と比べて職業システムの恩恵を多く受けている印象がある。


 だけどここで矛盾してくるのが、種族専用職業の存在かぁ。

 エルフ族以外の種族が職業システムの概念が無い世界からやってきたとするなら、竜騎士や獣戦士のような種族専用職業ってどうやって生まれたんだろう?

 そして、なんで人間族さんには種族特性も種族専用職業も無いんですかねぇ……?


 改めて考えると、やっぱり人間族さんだけが圧倒的に冷遇されてる気がするんだよ?


 身体能力は最弱、他の種族を見抜くことも出来ず、種族特性も専用職も無し。

 好事家や蒐集家の存在は、職業浸透の存在するこの世界ではそこまで強力な能力とも言えないし……。


 アルフェッカの時代には、獣人族は人間族の庇護無しには生きていけないほどに数を減らしていたと聞いている。

 でも種族的な性能差を考えると逆じゃないのかなと思ってしまう。


 だって獣人族って素の状態でも人間族さんより強くて、更には獣化で身体能力を底上げできるわけでしょ?

 そしてエルフや竜人族のように、子供が生まれにくかったり短命だったり子作りに淡白だという話も聞かない。


 なんで獣人族はそんなに少なくて、逆に人間族さんは繁栄できていたんだろう?


「あ、はぁ……。どうやら考え事は、まとまらなかったみたい、ねぇ……?」

「お姉さんのおかげで随分集中して考え事が出来ちゃったよ。いつもありがとう。そしてお待たせリーチェ。ティムルを愛したばかりのコレで、溢れるまで注ぎこんであげちゃうよーっ」


 ティムルの顔を見て少し恥ずかしそうにしているリーチェに構わず、彼女の中に根元まで身を沈める。

 リーチェもティムルに引き続いて俺の考え事を優先させてくれるようで、両手で俺の前にピンクに乳首を差し出してニッコリと微笑んでくれた。

 気付いた頃にはリーチェの乳首を2つ同時に口に含んで、考え事の続きに没頭してしまったぜぇ……!


 偽りの英雄譚で思い知ったのは、事実は単純でもそこに様々な人の思惑が絡まって、複雑怪奇で雁字搦めな状況が作られてしまうということだ。

 ガルクーザという脅威から始まった偽りの英雄譚は、本当に長い間人類を蝕み、そしてそれは今でも続いているのだ。


 そこにあったのが悪意だけならまだ単純だったのだろうけど、悪意に塗れたスペルディア家、憎悪に染まった組織レガリア、虚栄心に踊らされたエルフェリア家の他に、スペルディア家には神器を任せられないという使命感で呼び水の鏡を持って失踪した魔人族、失われた神器の代わりに次なる脅威に備える方法を模索し狂気に走ったドワーフ族と、各種族の様々な想いが交錯して状況を複雑に練り上げてしまっていた。


 人の数だけ想いがあり、人の数だけ思惑が生まれる。

 もしかしたらこの世界の成り立ちと構造はシンプルで、それを見えにくくしている誰かの思惑が存在しているのかもしれないなぁ。


 でも俺って始めはシルヴァのことを容疑者扱いしてたわけだし、俺の考察なんてアテになるモンでもないよな。

 チャールみたいに情熱を持って調査した上で行き着いた結論と違って、俺の考察はただの当てずっぽうに過ぎないのだから。


「はぁぁ……。ぼくの中、ダンでいっぱいにされちゃったよぉ……!」

「お姉さんと一緒に休んでてね? 今夜は寝かせる気は無いから覚悟してよ。さ、おいでニーナ。いっぱいキスしよう?」


 お腹いっぱいになったリーチェをティムルの隣りに寝かせてあげて、ニーナと深く愛し合う。

 ニーナの温もりと鼓動を感じた瞬間、様々な疑問は雲散霧消してしまう気がした。


 まぁいいか。この世界の深遠になんて興味はない。

 俺が興味があるのはいつだって、このみんなの1番深い部分だけだ。


 この世界の真相や根幹がなんであれ、みんなの中を満たすみたいに俺達に都合の良いもので上書きしてしまえばいいんだよ。


 あ、でもみんなの1番深いところに到達すると凄く気持ちいいんだから、この世界の深遠に辿り着いたらそれはそれで気持ちいい可能性も微粒子レベルで存在している……?


「あ、ぁ……。今日のダン、考え事してるからかいつもより容赦が無くて、直ぐにお腹いっぱいにされちゃったのぉ……」

「ニーナの中が気持ちよすぎて、ついつい張り切りすぎちゃったんだ。まだ終わらせる気は無いから、少し休んでお腹を減らしてねー」


 結局何がどうであれ、俺にとって大切なのは、目の前でぐったりしながら俺の想いを溢れさせている愛する家族の存在だけだ。

 溢れた分を注ぎなおすために、休ませてと懇願するみんなと改めて繋がって、何度も何度も注ぎ込む。


 なんだかまたみんなには負担を掛けてしまっている気がするけど、リュートを迎えることが出来たおかげか、どうにもみんなが愛しくて愛しくて歯止めが利かないんだよなぁ。

 みんなはみんなで、好色家のおかげで体への負担は全く無いって言うから、肌を重ねている時は死にそうになっても、次の日になるともっともっととおねだりしてくるから困っちゃうんだよぉ。


「あんっ! あんっ! あぁんっ……!」


 代わる代わる響くみんなの嬌声が、物思いに耽る俺の耳を楽しませてくれる。


 ノーリッテを……世界呪を滅ぼした俺達にとって、今後脅威になる魔物が現れるとはとても思えない。古の邪神ガルクーザでさえ、みんなと一緒なら怖くないだろう。

 ならば職業補正の適用されない対人戦こそ危険なのかと言えば、ラトリアとヴァルゴに手解きを受けている俺達よりも対人戦闘技術に優れた相手がいるとも考えにくい。


 俺達の脅威になり得る存在を想定することは現時点では難しい。

 ならば今後気をつけるべきは、想定外の何かだろうな。


 ノーリッテとの1件で、マジックアイテムの可能性と危険性は大きく広がってしまった。

 ステータスプレートどころか魂に干渉するもの、異界に干渉するものなど、今後どのような効果のマジックアイテムが現れるかは想像も出来ない。


 幸い組織レガリアは壊滅したようなことをノーリッテが言っていたので、凶悪なマジックアイテムの開発と生産はストップしたとは思うけど……。油断は禁物だ。


 そして想定外と言えば、この世界では野生動物こそが想定外の存在と言える。

 ストームヴァルチャーの様に一刀で切り捨てられる大きさなら問題ないけど、竜王よりも巨大なマウントサーペントみたいな生物も存在しているからね、この世界って。


 今回はヴァルゴのダークブリンガーで脳天を貫くことが出来たけれど、ヴァルゴがいなかったらどうやって倒せばよかったんだろう?

 竜王のブレスで吹き飛ばすくらいしか思いつかないよなぁ……。


 職業補正を蔑ろにするわけではないけれど、職業浸透をほぼ極めてしまった今、職業補正の適用されない戦いにこそ危機感を抱く必要がある。

 もしも世界呪のような巨大な野生動物がいた場合、手も足も出ないのが現状だ。対策を講じておかないと不安で仕方ないってもんだ。


 物理を超えた力を生み出す魔力という概念。

 そしてバトルシステムの外側を考える時に参考にすべきは、愛する家族の種族特性だ。


 ちょっと今は思いつかないけれど、魔力をバトルシステムの外に干渉させる方法を探っていかなきゃいけないねぇ。

 そんなことを考えながら、みんなの中に散々干渉してしまうんですけどね?


「ふぅぅぅ……。流石に出しすぎたかな? 全部受け止めてくれてありがとうニーナ」

「終わった、の……? ふ、ふ……。凄く、気持ちよかったの……。おやすみ、ダン……」

「お休みニーナ……」


 ぐったりしながらも俺を抱きしめてくれるニーナに包まれながら、翌朝までの短い時間にぐっすりと眠った。




「おはようみんな。朝の注入タイムを始めるよーっ」

「あんっ! あんっ! あんっ! あぁんっ!!」


 夜明けと共にみんなの中に何度も注ぎなおしてから、みんなでフラッタの淹れてくれたお茶を飲んで新しい1日が始まる。


 食事と情事で腹と心が完璧に満たされたので、お疲れ気味のみんなを休ませたまま、1人でスペルディアとナビネールにチャールとシーズを迎えに行った。

 ナビネールの子供達も無事に回復してくれていて、チャールとシーズを予定通りマグエルに招待することが出来た。


「こ、ここがマグエルかぁ……。アウターもすぐ近くにあるんだよね……?」

「バイタルポーション代も返さないといけねぇしな。頑張ろうぜチャールっ!」


 王都スペルディア出身の2人は、活気溢れるマグエルを見てもあまり気にした様子はなかった。


「離れにあるものは基本自由に使っていいよ。それじゃまずはマグエルの教会にも顔を出しておこっか」


 2人に住んでもらう予定の離れを簡単に案内した後は、孤児院の子供達に2人の対応を丸薙げしてしまう。

 そもそもが全員トライラム教会の孤児なので知り合いも多く、下手に口を出す必要性を感じなかったのだ。とりあえずチャールとシーズは戦闘訓練に専念してもらうしかないしさ。


「それじゃ今日も行ってくるのーっ!」

「ダンよ! リーチェとヴァルゴに迷惑をかけるでないぞーっ!」


 2人を送り出したあとは、愛する家族を濃厚なキスで送り出す。

 みんないってらっしゃい。今日も頑張ってね。


 みんなと蕩けるほどキスをしたあと、リーチェとヴァルゴと一緒にアルフェッカに向かった。


 アルフェッカに到着した俺達は、3人で手分けしてファミリアとクリミナルワークスのメンバーを可能な限り広場に集める。

 この人たちの将来に関わってくることだから、なるべく早めに伝えておかないとね。


「忙しい中集まってもらって悪いね。今日はみんなに良い話を持ってきたから聞いて欲しいんだ」


 集まったみんなに、先日ゴブトゴさんとした話を伝えていく。


 犯罪奴隷の転職。家族が街の領主になれる可能性。

 そして、既に新しい街作りに着手し始めている事。


 集まったみんなは呟きすら零さず、黙って俺の話に耳を傾けてくれた。


「それでね。クリミナルワークスには将来的に、スペルドからクラメトーラへの物資輸送を担当してもらいたいと思ってるんだ。道が通った今、職業補正があれば数日で踏破出来るようになったはずだからね」


 敏捷性補正と持久力補正、それに所持アイテム重量軽減スキルが合わされば、人力なのに馬車以上の速度と積載量で物流を担うことが出来るだろう。

 だから今は野生動物にも対応できる様に、しっかりと戦闘技術を磨いておくことをお願いする。


「えっ……!? この街の、アルフェッカの領主になれる可能性があるのか……!?」


 加えて、領主志望者は自薦・他薦を問わずに受け付ける事にした。

 流石に犯罪奴隷であるクリミナルワークスは無条件で失格だけど、その家族は自由に立候補して良いものとした。ゴブトゴさんにも確認済みだしね。


 領主になる条件として戦士・旅人・商人・行商人・冒険者の浸透と、更にはシュパイン商会の商人教育をしっかりと完了させることを義務付けた。

 いくら補佐がつくと言っても、領主本人がボンクラなのはいただけないからね。スペルド王国じゃあるまいし?


 俺の話に泣いたり笑ったり叫んだりの大合唱が始まってしまったので、これ以上話を続けるのは無理だと判断して帰宅することにした。

 努力する者に進むべき道を用意してやることが大事だ。道さえ用意してやれば、後は本人が勝手に歩いてくれるだろうさ。頑張れ。


「さぁ今日はもう予定は無いからね。リーチェ、ヴァルゴ。みんなが帰ってくるまで覚悟してよー?」


 と、ワクワクエロエロな気分で自宅に転移すると、自宅にゴブトゴさんの使いの人が訪ねてきていた。


 あ、この人ノリノリで貴族を殴り飛ばしてた人だ。


「唐突な訪問で申し訳ないですが、宰相ゴブトゴより伝言を預かっております」


 お互い軽く挨拶を交わして、ゴブトゴさんからの伝言を聞く。

 ふむふむ? なんでも急な案件があるので、出来るだけ早く登城して欲しい。可能であれば今日にでも顔を出して欲しいと?


 ゴブトゴさんがここまで急かしてくるのは珍しいな?

 しかも城にはなるべく来ないように言ってきたのはゴブトゴさんの方だっていうのに。


「どうするのダン? 完全に寝室に行く流れだったけど」

「個人的には寝室に連れていって欲しいところですけど、私たちは旦那様の指示に従いますよ」


 残念そうな様子だけど、リーチェとヴァルゴが俺に判断を委ねてくれる。


 出来れば無視して2人を思い切り可愛がってあげたいところだけど、ゴブトゴさんが俺達を緊急で呼び出す案件を放置するのは不安だ。

 寝室にいけないのは残念だけど、ここは直ぐに顔を出すべきかぁ……。


「ごめんリーチェ。ヴァルゴ。この埋め合わせは必ずするから」


 謝る俺に、昨夜から今朝にかけての1晩で、埋めるどころか溢れてますよと笑う2人。

 こんな2人を思い切り可愛がるために、些細な不安も解消しておかなきゃな。


 兵士さんに先触れとして動いてもらい、このあと城に顔を出すことをゴブトゴさんに伝えてもらう。

 了解しましたっ、と兵士さんが帰ったのを見計らってリーチェとヴァルゴを自宅に引き込み、時間が惜しいと玄関先で2人を押し倒し、城に向かう前にたっぷり英気を養った。


「う、埋め合わせって……。そもそも予定空ける気、全く無いじゃないかぁ……」

「あぅぅ……。後始末を旦那様1人に任せてしまって済みません~……」


 2人の体力が回復するまで、2人の頭を優しくよしよしなでなでしてあげる。

 くすぐったそうに笑うリーチェとヴァルゴが可愛すぎるぅ。


 さぁて。こんな可愛い2人を守るためにも、ゴブトゴさんの話を聞きに行かなきゃねぇ。
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