異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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5章 王国に潜む悪意4 戦いの後

370 加工技術 (改)

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 無事にアライアンスを設立したライオネルさんとの話を終えると、夕日も半分以上沈んだ時間帯。

 この時間ならもうみんなも帰っているかな?


「2人とも、今日はありがとう。帰る前にちょっとだけお礼させてねー」


 マグエルに戻る前にリーチェとヴァルゴと沢山キスをして、忙しかった今日のデートは終了した。


 帰宅するとマグエル組のムーリとターニアが夕食を用意してくれていたので、2人にお礼のキスをお見舞いする。

 お礼にもなるしご褒美にもなるし最高だよぉ。


 全員が帰ってきたら、夕食をいただきながら今日の出来事を報告しあった。


「家の改修工事はもう少しかかりそうなの。お休みを貰っちゃったから、せっかくだからもっと頑張ろうかなって思ってー。ダンがどれだけお嫁さんを増やしても大丈夫なお家にするから安心してねっ!」


 嬉しそうに語るニーナには申し訳ないんですけど、全く安心する要素が無い件。

 俺のステータスプレート見てよニーナ。10人だよ10人。2ケタに突入しちゃってるのよ? もうこれ以上増やさなくていいってばぁ。


「明日持っていく分の食料の手配は済んだわよ。お店の人に言えば案内してくれるようにお願いしておいたからね」

「了解。ありがとうお姉さん」

「でも私はまだ少しドワーフの里に行くのは気が進まないから、明日も同行せずにキャリア様のお手伝いをしようと思ってるの。……ごめんね?」


 ごめんねって両手を合わせて小さく謝るティムルお姉さんは最高に可愛いけど、別になにも謝る必要はないよ。人手も足りてるしね。

 お姉さんは自分がしたいことを優先してくれればそれでいいんだよーっ!


「奈落に居た竜人族たちは、幸か不幸か他種族への差別意識は無いのじゃがな。元々の住民の差別意識はまだまだ根強いようじゃ。時間が解決してくれれば良いのじゃが、自然と解決してくれる問題とも思えぬしのう」

「エルフ族や魔人族だって固まって生活しているのに、現在は選民意識のようなものは無いんですよね?」

「無いねー。傲慢だったエルフ族はもう殆ど残ってないみたいだよー」

「……なのに竜人族だけがつまらない意識を持つのは恥ずべきことです。一朝一夕に変えられる問題ではないかもしれませんが……。私の目が黒いうちに何とかしたいものですね……」

「保護した皆さんが協力的なのが救いですね。ラトリア様、フラッタ様だけでなく、シルヴァ様たちも他種族の受け入れには強い意欲を見せてくれていますので、ヴァルハールの未来はきっと明るい物になると思いますよっ」


 フラッタ、ラトリア、エマのヴァルハール組は竜人族の意識改革に全力を注ぐようだ。

 正直な話、あまり心配はしてないんだよね。種族差別をしてヴァルハールに閉じ篭っていたら、置いていかれるのは竜人族のほうだもん。

 これからのスペルド王国では、差別意識なんて保ってる余裕は無くなっていくだろう。


「しかし、まさかイントルーダーを道路工事に使うなんて誰が思う? ダンがいきなり竜王を呼び出した時は正気を疑っちゃったよ? ……ダンの正気を疑うのにもすっかり慣れちゃった気がするけどね」

「こらこらリーチェ。夫の正気を気軽に疑ってるんじゃないよ」


 お仕置きに、リーチェのおっぱいをきゅーっと引っ張ってあげないとね。

 ……あれ? これってご褒美かな? 俺とリーチェ、双方にとっての?


「常識外れではあるんですけど、言われてみると最高効率なんですよねぇ。むしろ人の手で工事したら、行商人が浸透していたとしても、工事は恐らく10分の1も進まなかったでしょうし……」


 ヴァルゴの言う通り、竜王を使役しなかったら工事の難易度は跳ね上がってるだろう。

 竜王の呼び出しに成功したからこそ、今回の工事を着想したと言っても過言じゃないからなー。


「孤児院も教会も、もう殆ど私が見る必要は無い感じですね。ただ責任者としてマグエルを離れるわけにはいきませんけど」

「ああ、その為もあってムーリは俺と婚姻したんだもんね。子供達が想像以上に逞しくなってくれたけど」

「ええっ。ですから私はターニアさんと職業の浸透を優先しようと思っています。発光魔玉や装備品の素材が必要になって来るなら私も協力したいですし」

「私がアナザーポータルを使えるし、ムーリちゃんは攻撃魔法が使えるからね。1ヶ月も休暇をもらえるんだから、その間にスポットの最深部くらいまでは辿り着いてみせるからっ」


 ムーリとターニアの傾国の姫君も順調に成長しているようだ。

 寝室に篭りっきりの俺は見てないけど、ムーリは槍の訓練も真面目に行なっているようで、スポット内での活動にも危なげが無くなってきているらしい。


 うん。やっぱりみんなと先の話をするのは凄く楽しいな。

 一緒に居る時間を削ってでもみんなに自由に行動してもらう価値は充分だ。


 賑やかな夕食を済ませ、全員で賑やかに入浴し、更に寝室で賑やかな夜を過ごす。

 いつも通りみんなを順番に愛してあげる中、リーチェの番になったらみんな嬉しそうにリーチェと俺を撫で続けてくれた。


 ……注目された俺とリーチェは、ただただ恥ずかしかったですけどね?


 リーチェが身体操作性補正を体内にまで作用させた話を聞いて、他のみんなの意識が変わったように思う。

 どこまでも俺を受け入れてくれて、俺を包み込む感触が今までと段違いに気持ち良くなってしまった。

 俺だけ唯一艶福家が浸透してるっていうのに、身の危険を感じるくらいに気持ち良くさせられてしまう。


 みんなは俺の流し込んだ液体を殆ど零さなくなったので、少しお腹が膨らんだみんなを抱きしめて、朝までの短い時間に幸せな眠りについたのだった。





「おはようみんな。さっ、まずは朝の日課を始めよっか」


 短く幸せな眠りから覚めた後は、毎朝のお勤めである朝のちゅうと注入作業を開始する。

 昨晩散々みんなの中を満たしてあげたというのに、たった数時間空けただけでもうみんなと繋がりたくて仕方ないから困るよ。


 根元まで隙間なく繋がって、お互いの頭を抱きしめ合いながらキスをする。

 そしてキスで高まったみんなへの想いを、みんなの1番奥に注ぎ込み続けた。


「はぁぁぁ……。リーチェの問題を解決したおかげで、ダンも何の気兼ねも無くなってくれたみたいなのぉ……」

「……俺としては普段通りのつもりなんだけどねぇ。でもリーチェを愛せるようになったことが嬉しいのは間違いないよ」

「でしょーっ? あはっ。今までで1番気持ち良かったよ、ダンっ」

「……身体操作性補正を活用し始めたみんなを相手してる俺の方が、絶対に気持ちよくさせられてたと思うんだけど?」


 余計なこと言わないのっ、とキスで俺の口を封じてくるニーナ。

 その流れでもう1周みんなと愛し合うことになったのはご愛嬌だ。


 カラソルさんとの待ち合わせ、昼過ぎにしておいて良かったよぉ。

 というかもう午前中に誰かと会うのは無理なんじゃないかな、我が家って。


 食事をしながらも更にみんなの中を満たしてあげて、玄関先でいってらっしゃいと行ってきますのキスの応酬をして、ようやく我が家の別行動が始まる。

 俺が他の誰かを抱いている間にリーチェとティムルが作ってくれたレインメイカー30個を持って、リーチェとヴァルゴと3人でスペルディアに転移した。


「お待ちしておりました。本日はどうぞよろしくお願い致します」


 夢の一夜亭スペルディア店に向かうと、既にカラソルさんが準備万端で待ち構えてくれていた。

 夢の宿グループ所有のアライアンス『ドリームプレイス』に一時的に加入して、クラマイルの村に直接転移で移動した。




「これは……ちょっと想像以上に酷いな……」

「加護を失った守人たちの集落よりも明らかに困窮してますね……。まるで廃墟のようです……」


 案内されたクラマイルの村は、とても人が住んでいられるような環境とは思えなかった。

 水も食べ物も無く、大人も子供も例外なく痩せ細り、不健康そのものだ。


 けれど、現れたカラソルさんをみんなが精一杯歓迎している事だけが伝わってくる。

 この土地を捨てることだけはしないけれど、それでも色々と手配してくれるカラソルさんにみんな感謝はしているようだ。


 一刻も早くレインメイカーを届けるべきだと判断して、カラソルさんと共に村の大人たちを集めた。


「こ……これがあれば……! これがあれば飲み水に事欠く事は無くなるんですか……!?」

「使い方も難しくないですからね。これからご説明させていただきます。試飲しながらでいいので聞いてください」


 なみなみと水の入ったレインメイカーを見て、大人たちが目を丸くしている。

 全員の関心が強く向けられたタイミングを逃さず、直ぐにカラソルさんが使い方の説明に入る。


 ちなみに今回レインメイカーの設置は、カラソルさんがクラマイルの人たちの為に用意したマジックアイテムという事になっている。

 その方がドワーフたちにも受け入れられやすいと思ったからね。


 レインメイカーの実演と説明はカラソルさんたちに任せてしまって、俺達3人はマグエルに用意してもらった食料を8等分して、クラマイルの各集落に配布していく。


「あっ、やっぱり……」


 食料を配布している時に、カラソルさんがドワーフたちに跪かれている姿が目に入った。

 レインメイカーの設置、お願いして良かったわぁ……。


 とりあえず今回はレインメイカーを各村に3つずつ配備し、発光魔玉を20個ずつ配布してあげた。

 今後の発光魔玉の用意はカラソルさんが請け負ってくれることを約束してくれたので、既に俺の手から離れた案件だ。


「ありがとうございます……! 助かります……!」

「お礼はカラソルさんに言ってね。俺達はただ運搬と配布を担当しただけだからさ」

「……ダンは本当に嘘吐きだぁ……」


 何か言いたそうなリーチェのほっぺにキスをして、特に何も言いたそうにしていないヴァルゴにもちゅっとキスをする。


 持ち込んだ食料は、我が家のひと月分くらいの微々たる量だったけれど、それでもクラマイルの人々の感謝は凄まじかった。

 そんなに辛い想いをしてでもこの土地を離れないなんてなぁ……。


 いや、職業浸透すらまともに出来ないクラマイルの人たちには、この土地から逃げ出すという選択肢すら与えられていないのか……。


「慌てなくて大丈夫。今回はいつもよりかなり多めに持ち込みましたからね。落ち着いて順番に並んでください」


 今回運搬に最も苦労する水を運ばなくても良かったおかげで、カラソルさんたちも食料を始めとした生活必需品をたくさん持ち込むことが出来たようだ。

 抜本的な問題の解決には至らないけれど、それでも多少は楽になってくれるだろ。


 レインマイカーの設置と食料の配布が終了したら、ひとまず部外者はお暇しようという事で、カラソルさん一行と共にスペルディアに帰還した。

 宿に戻るなり、俺たちに深々と頭を下げるカラソルさん。


「まだ完全にクラマイルの困窮が解決したわけではありませんが……、それでも間違いなく状況は改善しました。クラマイル出身の者として、全ドワーフを代表してお礼申し上げます。本当にありがとうございました……!」


 はいはい。そういうのもう充分なんで早く顔を上げて欲しいんだよ?

 周り見てよ? 宿の経営者にエントランスで頭を下げられる俺達の身にもなって欲しいわぁ。


「それで……、ダン様は聖銀をお求めなんでしたよね? このカラソル、全身全霊を持ちましてダン様の必要な聖銀を用意して見せます。何なりと仰ってください」

「いや、そんなに気負わなくても平気だよ。作り方さえ聞ければ充分かな。ミスリルの精練方法って、ミスリル装備の素材をレシピを用いずアイテム作成で混ぜ合わせる、で合ってる?」

「――――なっ!? なななな、なんでっ……!?」


 ビンゴかな? まぁそれ以外には考え難いよな。

 オリジナルアイテム作成だって変なものは作れないんだもん。元々のミスリル製品のレシピを元にした製法以外は思いつかないよ。


 カラソルさんの驚愕が収まるまで少し待って、話を続ける。


「俺はむしろ、聖銀を手で加工できるクラマイルの人たちに協力してもらいたいと思ってるんだけど、カラソルさんを通して聖銀の加工作業をお願いしてもいいのかな?」

「……別に私を通さず、ダン様が直接依頼されても良いのではありませんか? それと聖銀の加工を依頼するのは問題ないのですが、元となる聖銀を揃えるのは少し難しくてですね……」


 カラソルさんによると、聖銀の素材である銀が非常に高額で、あまり大量に聖銀を用意することは出来ないそうだ。

 スポットに限った話をすれば、銀は最深部のみでドロップするレアアイテムだったからね。そもそもの産出量が少ないんだろう。


 でも、俺達からすれば問題ないんだよねー。ワンダ達幸福の先端も間もなく最深部に突入するし、何より聖域の樹海でも銀のドロップは確認されているんだから。

 装備品の素材って屋外型アウターから出るものなんだろうか? まぁ今は関係ないことを考えるのはやめておこう。


「製法が分かったから、使用するミスリルはこっちで用意するよ。だけど聖銀の手加工なんて自分たちでやれるとは思えないからさ。その部分を委託したいと思ってるんだ」

「せ、聖銀まで用意してくださるのでしたら問題は無いと思いますが……。ダン様は聖銀をどのように加工されるおつもりなのでしょう?」

「うん。俺がイメージしてるのはトンネル工事の補強材なんだよね」


 メインは木材でも鉄でもいいから、その周囲を強度に優れた聖銀で覆ってあげられれば、トンネルの耐久年数は飛躍的に伸びると思うんだよ。

 それと聖銀の金網みたいなのも欲しいかな。技術的に可能であればの話だけど。


 俺は建築の知識なんてゼロだし、この世界の加工技術についてもまったくの無知だ。

 精々ホットサンドメーカーが作ってもらえる程度のことしか分かってない。


 聖銀の加工に長年携わってきたクラマイルの人たちって、俺にとっては宝物に等しい人材に見えるんだよね。

 スキルに頼らない魔物素材の加工技術って、この世界の発展には欠かせないものだと思うんだよ。


「可能であれば薄く伸ばして鉄板みたいにして、聖銀をそのまま建材にしてしまいたいところだけど、棒状にすれば補強材としては充分で……」

「はいはいダン。ちょっと落ち着いて。カラソルさんがまったくついてこれてないからねー?」


 一方的に捲し立てていると、パンパンと手を叩きながらリーチェが俺の言葉を遮った。

 目の前のカラソルさんは目を白黒させて固まってしまっている。


「旦那様のイメージしている物が私には分かりませんけれど、要するにグルトヴェーダへの輸送路建設に使う建材に聖銀を用いたいということですね。聖銀を建材に使うなんて贅沢すぎますけれど、だからこそ長く使える道が完成するというわけですか」


 あら? この世界では補強材とか金網とかって無いのかな?

 となると結構説明が難しいかもしれない。ヴァルゴも分からないみたいだし。


 ティムルやマグエルの大工さんと話し合って、補強材のイメージを固めてきてから説明した方がいいかもな。その間に銀の回収も進めればちょうど良さそうだ。


「それじゃ固まったままのカラソルさんには悪いけど、一旦帰ろうか」


 またやることが増えちゃったしね。カラソルさんの回復を待つ余裕は無いのだ。

 どれだけやることが増えようと朝と夜の時間だけは削れないんだから、日中は立ち止まってる暇なんてなさそうだよ。




「今日は集まってくれてありがとう。それで皆さんにして貰いたい仕事なんだけど……」


 カラソルさんと別れたあと、ヴィアバタの宿で就職説明会を開催する。

 集まった人数は20名弱で、若者とは言えないような年齢の人も少々混ざっているようだけど、希望者は基本的に全員働いてもらおう。


 希望者には一旦マグエルに来てもらい、スポットで職業浸透を進めてもらうようお願いする。

 戦闘経験の無い人は、戦闘未経験者も多いトライラムフォロワーと一緒に訓練させればいいだろう。


 滞在費と装備代はこちらで持つと告げると、集まった人たちはみんな乗り気になってくれた。

 職業浸透が終われば帰ってこられるわけだし、職業が浸透すれば仕事は思うがままだしな。我ながらかなりの好条件だと思う。


 ヴィアバタの領主さんにみんなのポータル代として王金貨1枚を預け、マグエルのシュパイン商会本店舗に彼らの滞在中のお世話と案内も頼んで、王金貨10枚ほど支払う事にする。

 あとはこの人たちの受け入れのために、マグエルの宿と交渉しないといけないな。


 やれやれ……。せっかくレガリアを壊滅させたっていうのに、なかなか暇にならなくて困るね。

 でも俺が忙しそうにしてるとみんな嬉しそうなんだよなぁ。だから忙しくても頑張り甲斐があるってもんだよ。
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