異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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5章 王国に潜む悪意1 嵐の前

296 適正 (改)

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 かなり待たされたけど、キャリアさんたちも無事にこの世に戻ってきてくれて、スキルジュエルの受け取りも商人の育成についても了承してもらえた。


「スキルジュエルを受け取っておいて今更だけど、商人の育成も私たちにとってはメリットしかないよ? それなのに報酬なんて支払っていいの?」

「長期的に見ればメリットしかなくても、新人を教育するには時間もかかるし根気も要るでしょ。それは報酬を支払うに値する仕事だと思ってるよ」


 この世界での新人教育って、先輩のやってる仕事を目で見て覚えろって感じだからな。

 その対価としてスキルジュエルを3つも支払うのは、キャリアさん的には貰いすぎに感じるんだろう。


 でも長い目で見たら人材育成って最重要視するポイントだと思うし、ここでケチって将来に禍根を残すよりは、払いすぎるくらいの報酬を渡して次回に繋げる方がいいでしょ。


「それに教育はお願いするけど、教育した全員をシュパイン商会に預けることはしないかもしれないんだから、対価を払って依頼する形の方が後々丸く収まるんじゃないかな」


 新人教育っていうのは非常に大切な要素なんだけど、全くの未経験者を商人として育成するのは簡単じゃないと思うんだよね。

 でも外部からの依頼で任された仕事だという意識があれば、覚えが悪くても理解が遅くても、身内じゃないからと割り切れる部分もあるんじゃないだろうか。


 それに職業浸透を進めさせまくってるけど、戦いを選択しない人の生きる道もちゃんと用意しておきたいんだよね。

 商人だったり大工さんだったり、非戦闘員がいないと生活は成り立たないのだから。


 あっ、もしも大工さんみんなが行商人を浸透させたら、この世界の建築スピードって爆速になるんじゃないか? 面白そう。


「……後々ってのはどういう意味なの?」


 そんな妄想する俺に、キャリアさんが思案顔で聞いてくる。


「そう言えば以前、もう1つ町を作る予定があると言ってたわね。それ関係?」

「だね。この規模の村で手が足りなくなるんじゃ、商人の数が全然足りてないよ。戦闘職の者の中からも、希望者がいれば教育してあげてくれるかな? 商人への転職は後回しでもいいから」


 ま、今はメナスを退けることが最優先なので、他の事を始める気は無いけどね。

 でもネックだった開拓の人手が、造魔スキルを得た事で一気に解消できた気がするんだよなぁ。


 あとは諸問題さえ片付けば、すぐに着手できそうな感じだ。


「シュパイン商会には無理をさせちゃってるみたいだけど、無理をさせるのは本意じゃないんだよ。一応ね」

「あー……。ダンさんにとっては、今回の話も普通の話って認識なわけね……」

「だから適度に休んだり止まったりしながら、無理の無いペースで協力してくれると嬉しい。強制はできないけどさ」

「……まったく、パートナーに気を遣われるなんて商人として恥晒しもいいところよ。心配はありがたいけど、シュパイン商会はこの程度で潰れたりしないから。安心なさい」


 キャリアさんもオディさんもトーレさんも始めこそ戸惑ったけれど、今はもう野心に満ちたギラついた目をしている。

 実に商人らしい表情だぁ。


 ティムルが信用しているみなさんを、俺が信用しない理由はない。

 是非とも俺を最大限に利用して、いくらでも利益をあげて欲しいね。



 開拓村での話し合いもようやく終わって、キャリアさんをマグエルに送り届けた後に奈落に転移して、愛しのみんなと合流した。


「ただいまー。アウターの中でただいまって言うのもどうかと思うけどー」


 俺の帰る場所は家族の居る場所なので、俺の中では違和感無いけどねっ。


 みんなを鑑定してみると、ヴァルゴの豪商が当然のように浸透を終えていた。

 次は武道家にでもなってもらおうかな?



 武道家 最大LV30
 補正 敏捷性上昇-
 スキル 物理攻撃力上昇



「おっけー。ヴァルゴの職業せっ……」

「ダンー! なにこのスキルーっ!? 貴方いったい何を付与しちゃってるのよーっ!?」

「おおっとぉ!?」


 ヴァルゴの職業設定を済ませるとティムルが抱きついてきたので、両手でぎゅーっと捕まえてからスキルの報告を聞く。


「この叫喚静刻ってスキル、ちょっと異常な性能なんだけどっ!? 咆哮の性能にダメージまで付与されてて、しかもダメージが通った相手から体力と魔力が吸収されてくるんだけどっ!?」

「うわっ、確かにエゲツないな。流石は神鉄武器スキルの更に上位のスキルだわ……」

「恐慌も今のところ通らなかった魔物は居ないし……。なんなのこれぇ……?」


 なるほどなるほど。

 即死効果のみでダメージを与えられなかった咆哮にダメージ判定がついて、更には魔力と体力の吸収効果もついていると。


 いやいや、広範囲全周囲ダメージスキルに吸収効果がついてるとか、いくらなんでも強すぎない?

 ダメージ判定があるならイントルーダーにもなんの躊躇いも無く使えるし、現時点だと恐慌成功率も100%とかぶっ壊れスキルでは?


「ティムルが喜んでくれて嬉しいよ。ティムルのオリハルコンダガーはもう、アウターレア武器と比べても遜色がない性能になったんじゃない?」

「ドロップしたてのアウターレア武器よりも明らかに性能が上よぉ! まさかアウターレアを越える装備品を自作できる日が来るなんて、夢にも思ったことがなかったわぁ!」


 ティムルがむちゅーっと唇を押し付けてくれるけど、まだ魔物狩りを終わらせるには早い時間なんだよね。

 ティムルの暗殺者もまだ浸透してないし。


 ということでティムルお姉さんをお姫様抱っこして、久しぶりにキスをしながら魔物狩りをするとしようか。


「其は悠久の狭間に囚われし、真理と聖賢を司る者。無間の回廊開きし鍵は、無限の覚悟と夢幻の魂。神威の扉解き放ち、今轟くは摂理の衝撃。クルセイドロア」


 ……なんて思ったけど、うちのメンバーってヴァルゴですらクルセイドロアが使えちゃうから、アウターエフェクトが100体出てきてもソロで対処できちゃうんだよね。

 うん。俺の出番なんて全く無いわ。大人しくお姉さんとキスしておこう。ちゅっちゅっ。


 ティムルは商人として生きてきたはずなのに、やはりドワーフだからなのか生産系のイベントがあるとメロメロになってくれるんだよなぁ。

 メロメロのティムルお姉さん可愛すぎるぅ。ちゅっちゅっ。


 ティムルの暗殺者を浸透させるために魔物狩りをしているのに、そのティムルがキスしてて戦闘に参加してないのってどうなんだろう?

 そう思ってみんなを見渡すけど、誰1人不満が無さそうですね?


「ダンーっ! 余計な事は考えずに、ダンはティムルに集中してなさーいっ」


 不満が無いどころか、逆にニーナに怒られてしまったんだが?

 うちのメンバーって基本的にティムルへの依存度高いんだよなぁ。ちゅっちゅっ。


 たっぷり舌を絡めあって、キスだけでティムルがびくんびくんと大きく跳ねるようになり、無事お漏らしティムルが完成した頃に職業の浸透も完了してくれた。


「私も鑑定が使えるようになったよっ。ダンのこと鑑定してみてもいいかなっ?」


 分析官を浸透させて総合鑑定スキルが使用可能になったニーナが、興味津々といった様子で俺にお伺いを立ててくる。

 ちゅううううっと舌を吸い上げて、びくんびくんと跳ねるお姉さんの反応を目で楽しみながらニーナに応じる。


「勿論構わないよー。フラッタも興味があれば鑑定していいからねー」

「うむっ。ならばお言葉に甘えて覗かせてもらうのじゃっ」


 フラッタに覗かれるって聞くと、微妙にエロスを感じてしまうねっ。


 しっかし、これでとうとう鑑定持ちも俺1人じゃなくなったのかぁ。

 鑑定スキルってチート能力ってイメージが強いから、ニーナもフラッタもこれでチートキャラの仲間入りだねっ。


 既に戦闘力もチート級だし、出会った頃から可愛さもエロさもチート級だったのは間違いないけどねっ。


「へぇ? 篤志家とか聖者とか、ダンにはあるのに私にはなれない職業も多いんだね?」

「おおっ。これがダンの言っていたレベルというものか。職業浸透が数値化されているなど本当に驚きなのじゃっ」


 お漏らししたティムルを押し倒して栓をしている俺を、楽しげに鑑定している好色家姉妹。

 うん。実にエロスに塗れた空間だなぁ。


「鑑定しながらでいいから、次はなんの職業を浸透させるか教えてねー」

「う~ん。旦那様がアウターでティムルを抱いていることに、最早違和感を感じなくなってきましたねぇ……」


 はっはっは。我が家にとってのアウターとは、エロスに溢れた空間だからねっ!

 むしろヴァルゴ本人だってアウター内でいっぱい可愛がってあげてるんだから、今更違和感抱かれたら逆にびっくりしちゃうんだよ?


 ニーナはまだ上げていなかった武道家に、フラッタは盗賊を選択した。

 ティムルもまだ上げていなかった紳商の浸透に着手する。


 好色家姉妹の分析官が浸透しているので、リーチェの英雄も浸透しているはずだ。

 しかし犯罪職になるとその後の転職が禁じられてしまうので、今回は守護者と竜殺しを狙うようだ。

 守護者はニーナたちにも現れてないので、リーチェもなれるか微妙なんだけどねぇ。


 そして武道家の浸透が終わったヴァルゴは、フラッタと同じく盗賊を選択した。


 ティムルに栓をしたのに俺の栓の方が開いてしまって、ティムルの中に沢山水分を流し込みながら職業設定を行なっていく。



 紳商 最大LV100
 補正 体力上昇 魔力上昇 持久力上昇 敏捷性上昇
    全体幸運上昇+ 五感上昇 装備品強度上昇
 スキル 稀少品出現率上昇


 盗賊 最大LV100
 補正 敏捷性上昇
 スキル 小型武器使用時敏捷性上昇


 竜殺し 最大LV100
 補正 体力上昇+ 魔力上昇+ 物理攻撃力上昇+ 魔法攻撃力上昇+
    敏捷性上昇+ 身体操作性上昇+ 五感上昇+ 装備品強度上昇+
 スキル 対竜族攻撃力上昇+ 対竜族防御力上昇+ 障壁強化



 ティムルを解放して次はヴァルゴを押し倒し、彼女の巫女装束をはだけさせて根元まで繋がりながら、今日聞いた話をみんなに報告していく。


「国中でダンの悪評が広まってるの? でも私達はダンのことが大好きだから、そんなの気にしないでいいのっ」

「魔人族の成長には感嘆する他ないのじゃ。アライアンス単位であれば、現状でもアウターエフェクトの撃退は可能じゃろうなぁ。しかし、今はまだ犠牲者が出るのは避けられぬかぁ……」

「ぼくが被害者扱いされてるのは正直気分が良くないけど、ダンにかどわかされちゃったのは事実だよねぇ? もうダンがいないと生きていけない体にされちゃったよー?」


 こういう時にフラッタが冷静なのが不思議だよなぁ。

 根が真面目だからなのか、それとも脳筋だから新たな脳筋候補生に注目してるだけなのか。


 抱きついてきてくれたニーナとリーチェを抱きしめながら、きつく抱きしめてくれるヴァルゴの中に俺の中身をぶちまけてあげる。

 ティムルとヴァルゴも何か言いたそうだったけど、息が整わずに言葉にならなかった模様。無理しなくていいからねー。


 ニーナとフラッタにも俺の中身をたっぷりお裾分けしてお休みいただいて、リーチェを後ろから抱きしめながら2人で武器を作っていく。


 ダマスカス武器は下の品質の武器が素材として必要になるし、作り出したスキルジュエルによっては何個も作らないといけないからね。

 武器を作ったりリーチェの舌を吸ったり、武器を作ったりリーチェの乳首を扱いたり、武器を作ったりリーチェの乳首をしゃぶったり、武器を作ったりお互いの敏感な部分を舐めあったりした。


「あああああっ! あんっ! あんっ! あぁんっ!」


 相変わらずエルフの体液はほんのり甘くて普通に美味しい。

 あんまり美味しいものだから、啜りすぎてリーチェが脱水症状とか起こさないか心配だなぁ。ジュルジュル。


 両頬に当たるむっちりとした太股の感触を楽しみながら失神したリーチェの蜜をしつこく吸い上げていると、お漏らしティムルお姉さんがようやく復活してきてくれた。

 最後に舌を根元まで差し込んで、彼女の中で思い切り舌を暴れさせてからリーチェを解放し、ティムルを俺の足の上に座らせてバックハグする。


 ムラムラするけどキリがない。宿に戻るまでは悪戯は禁止とする。


「ついついダンとキスし続けちゃったわよぉ。あとでみんなに謝らなきゃ……」

「誰も怒ってなかったけどね。ティムルが可愛すぎて俺も我慢できなかったよ」


 エロいことは禁止だけど、ティムルの体をぎゅーっと抱きしめる。

 心地良さそうに息を吐くティムルが最高に愛おしい。


「ティムルにはダマスカス武器を作ってもらいたいんだけど、まずはスキルジュエル化のほうから試してみようか。武器はリーチェと一緒にいっぱい作っておいたからさ」

「うう、あとでリーチェにはちゃんとお礼を言っておくわ……。でもスキルジュエル作成に立ち会えるなんて、ドワーフとして本当に興奮してるわ……!」


 俺もティムルが可愛すぎて興奮してきちゃうよぉ。


 でもキリがないから心を鬼にして、スキルジュエル作成の手本を見せる。

 1度お手本さえ見せてあげれば、ティムルならすぐに自分でも出来るようになってくれるだろう。


 最低品質である鉄製のロングソードと発光魔玉を触媒に、アイテム作成を使用する。


「紡ぎ合わせ、組み立て創れ。秘蹟の証明。想いの結晶。顕現。スキルジュエル」


 今回生み出されたのは『霞斬り』というウェポンスキルのスキルジュエルだった。


 初めて見るウェポンスキルだったけど、なんの問題もなくあっさりとスキルジュエルの自作は成功した。


「ほ、本当に武器からスキルジュエル、それもウェポンスキルを生み出してしまえるなんて……! こんなに近くで見せられたのに未だに信じられないわ……!」


 スキルジュエル作成を目の前で見せられたティムルは、興奮と感動で体を小さく震わせている。


「やり方は今見せた通りだよ。スキルジュエルを意識しながらアイテム作成スキルを使用するだけさ」


 ティムルの柔らかい耳たぶをハムハムと口で弄びながらインベントリからダガーを取り出し、ティムルの手の上に乗せてあげる。


「はぁぁ……。ダン、これってぇ……」

「さぁ今度はティムルが試してみてくれる? ティムルお姉さんのかっこいいところ、見せてくれるかな?」


 恐る恐る、自分の手に握られたダガーを見詰めるティムル。

 やはり初めて作るなら、自分の使用武器のウェポンスキルのほうがいいでしょ。


「紡ぎ合わせ、組み立て創れ。秘蹟の証明。想いの結晶。顕現。……スキルジュエル」


 ゆっくりとアイテム作成を詠唱するティムル。


 ちなみにアイテム作成スキルの詠唱では、レシピを用いる場合は最後に作り出したいアイテム名を唱えるのだけど、レシピを用いないオリジナルアイテムを作り出す場合は『アイテム作成』と宣言すればいいらしい。

 これは昨晩俺が散々試したから間違いない。


 スキルジュエルはレシピに載っているわけじゃないんだけど、オリジナルアイテムの開発とはまた別の扱いなんだろうね。 


「わ、私にも本当に、本当にスキルジュエルが作れちゃった……!」


 スキルの発動が終わると、ティムルの手には投刃のスキルジュエルが握られていた。

 ふぅん。ナイフとダガーは同じスキルジュエルなのかー。


「しかもこれ、魔力消費が殆ど無いわ……? 物凄くアッサリ作れちゃうわよ……?」

「うん。きっとウェポンスキルの本来の価値って凄く低いんだと思う。トライラムフォロワーくらい駆け出しでも入手できるくらいが適正な価値なんじゃないかな」


 いきなり市場に流すと混乱を招くと思うけど、将来的には誰もがウェポンスキルつきの武器を持って魔物狩りが出来るようになるかもね。

 初級攻撃魔法よりも全然性能が低いんだから、もっと簡単に入手できないとおかしいよ。


「……ダンはこの世界の常識を沢山塗り替えてくれて、なんて規格外な人なんだろうって思ってたけど……。この世界の常識の方が間違ってたの?」


 ぼーっとしながら、ぼそりと呟くティムル。

 そのまま俺に体重をかけて、俺に身を任せてくれる。


「ダンは常識破りなんじゃなくて、色々な物を適正な場所に正してくれていただけだったのかしら……?」

「流石に買い被りが過ぎるよ。俺がしてきたことがこの世界の常識に囚われない行動だったなら、やっぱり俺は常識破りで非常識な男なんでしょ」


 俺が非常識で常識破りだったことを疑っても仕方が無い。

 そのおかげでみんなと幸せになれたのだから、そんなことを気にする必要なんて何処にも無い。


 俺に身を預けてくれるティムルを、背中からぎゅーっと抱き締める。


「でもこの世界を作った誰かは、きっと人々のことが大好きだったんじゃないかな。魔物という脅威に対抗できる術を、ちゃんと用意してくれるくらいにはさ」

「……ふふ。そうなのかもしれないわねぇ」


 この世界を創った存在なんているかどうかは知らないけれど、ゲームっぽいシステムが多いからなんとなくデザイン性を感じるんだよね。


 この世界の人々が仲良く暮らしていけるように、魔物という共通の敵を配置し、魔物からほぼ無限に取れる資源を用意し、魔物に対抗する能力を用意した。

 そのはずなのに職業の知識は秘匿され、弱者を食い物にするのは常に人で、弱者への配慮は忘却されていった。


 きっと今のこの世界の人々の生活を神様が見たら、こんなはずじゃなかったのにーっ! って頭を抱えて叫んじゃいそうだよ。


 この世界はきっと、沢山の人を幸せに出来るようにって用意された場所の気がするんだ。

 だからそれを邪魔する因子は、確実に取り除いていかないといけないよなぁ?
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