異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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4章 マグエルの外へ1 竜王のカタコンベ

230 不死の竜王 (改)

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 一斉に動き始める不死の大群。

 巨大な骨の大群がガチャガチャと音を立てて迫る様は、見る者の恐怖を煽るような恐ろしい光景だ。


 だけど……悪いね竜王様。そっちの都合に付き合ってあげる気はないよ。なんたってこっちは暴君だからねっ。


「其は悠久の狭間に囚われし、真理と聖賢を司る者。無間の回廊開きし鍵は、無限の覚悟と夢幻の魂。神威の扉解き放ち、今轟くは摂理の衝撃。クルセイドロア」


 詠唱が終わった瞬間、空間全てを駆け抜ける聖属性の衝撃波。


 俺が放ったクルセイドロアによって、骨の軍勢の殆どが粉々に吹き飛んでいった。

 残ったのはブラックカイザードラゴンと、効果範囲外の数体のサーヴァントだけだ。


「サーヴァントはダンに任せるからね! 行っくよー!」


 竜王に駆け寄りながら獣化し、駆け抜けざまに切りつけていくニーナ。

 武器の水準的に、攻撃魔法を使うよりも通常攻撃の方が威力が高いと判断したんだね。それに魔力吸収も付与されてるから、攻撃を続けるほどにニーナの獣化時間は延長されていく。


「竜王ーーっ! 妾は竜爵家当主ゴルディア・モーノ・ソクトルーナが娘、フラッタ・ム・ソクトルーナなのじゃっ! 竜人族を代表して、一時お相手仕るのじゃーっ!」


 フラッタは竜化せずに、そのままバスタードソードで切りかかる。

 先の読めない状況なので、竜化は温存しておくことにしたのかな?


 ニーナもフラッタも、問題なく竜王の肉体を切り裂いているな。


「君に恨みはないけれど、イントルーダーを野放しには出来ないからね。滅ぼさせてもらうよ。確実にねっ!」


 リーチェが放つ魔力で出来た矢が、竜王の体に何本も突き刺さっていく。

 ダメージは通ってるんだろうけれど、リアクションが無くて効果が実感できないな。


 そんなリーチェを横目に見ながら、俺は竜王に両手を翳す。


「神代より誘われし浄命の旋律。精練されし破滅の鉾。純然たる消滅の一矢。汝、我が盟約に応じ、万難砕く神気を孕め。インパクトノヴァ。古の神。大いなる白。聖き光。浄化の奔流。不浄を祓う神雷を成せ。ホーリースパーク」


 いつも通りホーリースパークとインパクトノヴァの多重高速詠唱を行ないながら、歩いて竜王に近づいていく。

 アウターエフェクトだったらもう死んでてもおかしくないんだけど、竜王は涼しい顔をしている。……というか、骨なので表情が分かりにくいなっ!


「せいっ! はぁっ!」


 ティムルもミスリルダガーで切りかかっていて、ちゃんと攻撃が通っているようだ。

 テラーデーモンの時と比べて、名匠の補正がかなり累積してるからな。火力不足には陥っていないようだ。


 よし、今のところ全員が間違いなく戦えている。このまま押し切ってやるっ!


「みんなはこの調子で竜王に集中! ザコは全部俺が引き受けるからね!」 


 残っていたサーヴァントが近寄ってきたので、もう1度クルセイドロアを発動。ドラゴンサーヴァントを全滅させる。

 ザコが片付いたので、インベントリからロングソードを取り出す。


 左手でホーリースパークを連射したままで、右手で握った剣を振るって竜王を切りつけていく。

 竜王さんよ。悪いが俺にも魔力を分けてもらうぜぇっ!


「…………え!?」


 しかし剣から返ってくる手応え異質な手応えに、思わず攻撃の手が止まってしまう。


 骨で出来ている相手を剣で斬ったのに、衝撃が全然返ってこない。何だ、この感触!?

 まるでキューブスライムを斬りつけたような、流動的な感触とでも言えばいいのか。柔らかい物体を斬った感触で、手応えがあまり感じられない?


「ダン、こいつ多分物理耐性持ちよ!」


 俺の困惑を感じ取ったのか、俺と同じように竜王に物理攻撃を仕掛けていて、戦闘経験が豊富なティムルが解説してくれる。


「ぶ、物理耐性って……!?」

「そのまんまの意味よっ! 防御補正なんかと違ってダメージを防ぐ力は無いけど、貫通を含む全ての物理攻撃スキルのダメージを軽減してしまうのっ!」



 障壁や防御補正なら攻撃を弾いて無効化できるけど、耐性は食らうダメージ全てを例外なく軽減できるってワケなのね。

 この世界のバトルシステム的に大型の魔物ほど防御が難しくなる。だからあえて防御を捨てて、全てのダメージの軽減を優先するってか……!


『ヴォオオオオオオオオオッ!』

「くっ……! うっせ……!」


 空間が振動するかのような竜王の咆哮。コイツの声ってかなり不快だな!


 一応自分を鑑定してステータス異常にかかっていないことを確認し、一瞬で全員を確認。

 誰も問題はなさそうだ……、って! 地面からまたドラゴンサーヴァントが沸き始めた。やっぱり無限湧きかなぁ?


 いまチラッと鑑定した感じ、誰の職業浸透は進んでいなかった。つまりドラゴンサーヴァントの方は倒すだけ無駄だ。

 でも放っておくと邪魔だから、魔力の無駄遣いと分かっていても倒さざるを得ない。良くできてるねクソッ!


「このまま行けそうなのっ! コイツ、私たちの動きについてこれてないっ!」


 竜王に何度も切りかかりながら、勝利を確信したようなニーナの言葉が鳴り響く。


 竜王の動き自体はかなり鈍くて、こっちの攻撃を回避する素振りも見せていない。

 背中から生えた長い腕を鞭のように操って攻撃をしてくるけど、これだけなら大した攻撃じゃないね。


「みんな警戒してっ! 攻撃魔法が来るよぉっ!」


 なんて思った瞬間に竜王の足元から魔法陣が出現。リーチェが即座に警戒を促した。

 ちっ、攻撃魔法か? 余計なフラグ立てちゃったなぁ!


 竜王の足元に出現した魔法陣が眩く光ると、戦場の上空に巨大な魔法陣が出現する。これは見覚えが……!


 その魔法の正体に思い当たった瞬間、魔法陣から放たれる雷の雨。上級攻撃魔法、ドラゴンズネストだ。

 自身の周りに対魔法障壁を展開し、ドラゴンズネストから身を守る。


「うああああああっ……!」

「きゃああああああっ!」

「みんなっ!? くっそぉ……!」


 戦場に響き渡るみんなの悲鳴。

 俺自身は魔法障壁で攻撃を防ぐことが出来たけど、他のみんなはドラゴンズネストを防ぐ手立てが無い! どうやらまともに雷撃を浴びてしまっているようだ。

 そしてドラゴンズネストは、術者が止めるまで発動し続ける魔法……。このままじゃみんなが危険だ!


「く……! あ、あぁっ……!」


 しかし、俺が心配した以上にみんなの状態が悪そうだ。

 動かない自分の体をもどかしそうに睨みつけながら、地面に座り込んでもがき続けている。


 くっそ! 感電で体の痺れも引き起こされるんだったなぁ! 敵に使われて初めて分かる、上級魔法の厄介さよぉ!


「慈愛の蒼。自然の緑。癒しの秘蹟。波紋になりて広がり包め。ヒールライトプラス」

「きゃっ……!」


 ヒールライトプラスを連打しながら、近くに居るニーナ、ティムル、フラッタを回収し、体当たりするようにリーチェに抱きついて、ドラゴンズネストの効果範囲外までみんなを避難させる。

 全員職業補正がいっぱい乗ってるのでHPを抜かれることはなかったけど、電気ショックの為に少し休憩が必要そうだ。


 この隙を突こうと集まってくる、無数のドラゴンサーヴァント。

 みんなを背に護りながら竜王たちと対峙し、ドラゴンサーヴァントに両手を翳す。


 やらせる訳ないだろ。死んでろ雑魚どもぉっ!


「其は悠久の狭間に囚われし、真理と聖賢を司る者。無間の回廊開きし鍵は、無限の覚悟と夢幻の魂。神威の扉解き放ち、今轟くは摂理の衝撃。クルセイドロア」


 不死特効の聖属性の衝撃がドラゴンサーヴァントの大群を薙ぎ払……えないっ!?


「なっ、なんで!?」


 ダメージ自体は通ったように見えるけど、1体も倒しきれてない事実に驚愕する。


 これはいったいどういうことなんだっ!?

 開幕のクルセイドロアで大群を粉々に吹き飛ばしたのって、数分前の話だぞ!?


「ダン……! 鑑定……!」

「……そうかっ! ナイスリーチェ!」

 
 痺れた体で搾り出すように発したリーチェのアドバイスが耳に届く。

 敵に何らかの変化が起きているのなら、それは鑑定で見抜ける可能性があるんだ!


 すぐさまドラゴンサーヴァントを鑑定する。



 ドラゴンサーヴァント
 属性付与(聖)



「マジかよっ!? こいつら不死族の癖に、聖属性が付与されてるんだけどっ!?」


 みんなへの情報共有というよりも、驚愕のままに鑑定結果を叫ぶ。


 サーヴァント全体への聖属性付与。つまり竜王は聖騎士の聖属性付与魔法、アニマライザーを使えるってことか!?

 竜騎士の前提条件が聖騎士の浸透なんだから、竜王が聖属性を使えても不思議は無いのかもしれないけどっ!?


 でもこの竜王って魔物だし、間違いなく不死族だろうがよぉ! 聖属性纏ってんじゃねぇぞコラァ!


「白き閃光。不言の万雷。滅紫の衝撃。雷霆響くは界雷の宴。汝、瞬き奔る者よ。サンダースパーク」


 瞬く雷光。崩れ散るドラゴンサーヴァントの大群。

 まぁ聖属性が付与されてるんなら、別の魔法使うだけですけどねーっ! 竜王がドラゴンズネストでこっちのアニマライザーを貫通したのと同じでなっ!


「く、うぅ……! ダンが戦っておるのに、体が思うように動かぬぅ……!」


 悔しそうに地面を掻き続けるフラッタ。

 まだ満足に動けないって、感電状態って厄介なのなっ!


 くそっ……! せっかく状態異常回復魔法のピュリフィケーションを覚えたってのに、感電って状態異常扱いになってないからこれじゃ治せない……!


 ってもしかして……! 感電がステータス異常扱いされてないのは、それが肉体的損傷だからじゃないのか!?


「生命の黒。再生の銀。活力の赤。刻みし針を戻して治せ。流れし時を早めて癒せ。我願うは命の灯火。神意を纏いて轟く福音。キュアライト」


 状態異常を治療するのではなく、体の損傷を癒す方向性で対応を変える。

 治療魔法キュアライトを4連射して、全員に使用してみる。これでどうだっ!?


「みんな、どうかな!? 動けるようになってないか!?」

「痺れが……、無くなってる! うん、動けるよダンっ!」


 ニーナがいち早く答えてくれたけど、他のみんなも武器を握って立ち上がった。

 よし、これで仕切りなお……。


『ヴォオオオオオオオオオッ!』

「さっきから……! うっ、るせぇ……!


 要所要所で戦場に轟く竜王の咆哮。竜王が叫ぶたびに碌なことが起こらないので嫌になるねっ!


 鑑定で状態異常を確認。何も無し。

 ……ってことは、今の咆哮の意味は攻撃魔法か、ドラゴンサーヴァント召喚か?


「みんな下がって! 俺の前にはまだ出ないでねっ!」


 全員の前に立ちはだかって、全力で魔法障壁を展開する。


 遠目に、竜王の足元に魔法陣が出現したのが見える。つまり今の咆哮は攻撃魔法の詠唱だったのだ。

 ドラゴンズネストは設置型だから、竜王が移動しない限りは範囲外のはず。となると、サンダースパーク辺りが来るか……?


「ぐっ!?」


 突如砕ける障壁。そして全身を駆け巡る激痛。

 その激痛は、まるで体内に突然活火山が誕生してしまったのかと思えるほどの痛みだった。


「ああああああああっ!?」

「ダン!? だ、大丈夫!?」


 俺を案じるニーナの声に返事する余裕も無い。


 俺の体内で魔力が膨れ上がっているのが分かる。

 こ、れ……! 恐らくインパクトノヴァだっ……!  ここでまさかの単体魔法かよっ……!


「「慈愛の蒼。自然の緑。癒しの秘蹟。ヒールライト」」


 しかしすぐにニーナとリーチェがヒールライトを唱えてくれたおかげで、インパクトノヴァの激痛はすぐに消え去ってくれた。


「ありがと2人とも! 助かったよ!」


 ヒーラーが多いってのは頼りになるよっ!


 体の痛みも治まり、みんなの体も動くようになった。ここからが反撃だっ!


「引き続きサーヴァントは俺が担当するから、みんなは竜王を頼む!」

「了解っ! 許さないんだからねーっ!」


 獣化しなおしたニーナが疾風の如き速さで、再度竜王に斬りかかる。

 ティムルとフラッタも武器を硬く握り締めてニーナに続く。


 これで勝ったと思うなよ!? 仕切り直しだ骨野郎がっ!


 魔法で一気に殲滅されると学習したのか、1体ずつまばらに復活するドラゴンサーヴァント。

 それら1つ1つにインパクトノヴァを丁寧に撃ちこんでいって、みんなの邪魔はさせない。


「上級攻撃魔法が物凄く厄介だねっ……!」


 高速で何度も弓を放ちながら、悔しそうに歯噛みするリーチェ。


「どうするダン!? 君は魔法障壁で攻撃魔法を防げるけど、その度に僕達を庇ってたらキリがないよ……!?」

「大丈夫だリーチェ。次はもうアイツの好きにはさせないから。不可視の箱。不可侵の聖域。魔で繋がりて乖離せよ。インベントリ」


 聖銀のロングソードをインベントリに収納する。

 その代わりに取り出したのは、使い手が居なくて眠っていた武器、災厄のデーモンスピアだ。


 コイツの付与スキルは魔法妨害+と魔力吸収+。

 まるでこの戦闘の為に用意されたみたいじゃないかなぁ!?


 使い慣れない長柄の得物だけど、これでもこちらは槍手も浸透してるんでねっ! それにこういう時こそ、この世界の歪なバトルシステムは、人間の味方をしてくれるんだよぉっ!


「おっらぁぁぁ! おらおらおらぁっ!」


 敏捷性補正を活かして竜王に一瞬で張り付き、災厄のデーモンスピアで斬り付けることで、魔力を吸収しながら魔法妨害効果も与えていく。


 魔法妨害の効果がどのくらい出ているのかは分からないけれど、少なくとも竜王が攻撃魔法を発動することがなくなって、俺に対する腕の攻撃回数が目に見えて増えた。

 明らかに嫌がってるなぁ竜王さんよぉ!


『ヴォオオオオオオオオオッッ!!』


 怒りに満ちた竜王の咆哮。でも知ったこっちゃないね。

 ステータス異常に頼らない純粋な個としての強さは賞賛に値するけど、こっちだって負けてやるわけにはいかないんだよっ!


 竜王もサーヴァントも、他のみんなを無視して俺に殺到してくる。

 ま、そりゃそうだな。効果の大きかった攻撃魔法を、俺のせいで封じられてる状況だもん。


 だがさっきの1件で、お前に魔法を撃たれるのは危険だってはっきり分かった。だからもう絶対に撃たせてやる気は無いってのっ!


「おっせぇんだよぉっ!」


 竜王の背中の翼も変形し、槍のような形状になって腕の攻撃と共に刺突を放ってくるけれど、そもそも速度に差がありすぎて当たってやれないねぇ。


 俺に当たらないならばと、ティムルやフラッタに標的を変えてみせるけれど、2人だってお前より早いっての。うちのパーテーメンバーを舐めるんじゃないよ。


「いける……! このままいけそうよダン!」


 ミスリルダガーを振るいながら、ティムルが喜びの声を漏らした。


 竜王の足元には何度も魔法陣が現れているけど、その度に災厄のデーモンスピアでザクザク切りつけてやると、魔方陣が千切れるように消えていく。

 この戦いが終わったら、絶対アサシンダガーに魔法妨害-のスキルジュエルつけよう。


「……っと、ようやくかぁっ!」


 サーヴァントを処理しつつ全員で攻撃を続けていると、物理耐性の柔らかい感触ではなく、ガキンと硬い感触が手に返ってきた。

 これは、HPを削りきったってことかなっ! このまま一気にケリを……!


『ヴォオオオアアアアアアアッッ!!』


 その瞬間竜王から発せられる咆哮。

 空間全体がビリビリと震え、俺達に対する凄まじい怒りと殺意が伝わってくる。


 だけど今回の咆哮はこれだけでは終わらなかった。


「なっ……!? こ、これではまるで妾の……!」


 信じられない物を見たように、両目を大きく見開くフラッタ。


 必死に攻撃を続ける俺達に構わず、竜王の体が蒼いオーラに包まれていく。

 そのオーラが濃くなっていく度に、俺に対する攻撃も速度を増して苛烈になっていく。


 ……おいおい、ふざけんなよ竜王さんよぉ。竜人族でもないくせに、竜化を使うのは反則じゃないのかなぁ?


 そして竜王のクソゲー化は竜化使用に留まらない。


「えっ!? ウッソでしょっ……!?」


 ガキンッ! という硬い衝突音が鳴り響く。


 竜王と手元のミスリルダガーを見比べて驚愕しているティムル。

 HPを削りきったのに、本体の骨がめちゃくちゃ硬くて有効打にならないのだ。こんなのありかよっ……!?


 災厄のデーモンスピアでもHPなら削れるけど、慣れない武器で硬い体を貫くのは難しいようだ。

 でも魔法妨害は常に仕掛けなきゃいけないので、ロングソードに持ち変える余裕は無い。面倒だなっ……!


「あっ……! サーヴァントたちが消えていくのっ!」


 ニーナが指摘した通り、どうやら竜王が竜化した代わりに、サーヴァントの無限湧きがストップしたようだ。


 HPが無くなった事で、竜王ブラックカイザードラゴンの発狂モードが解禁されたらしい。

 さっきまで完全にこっちが優勢だったのに、ここで仕切りなおしとは嫌になるねぇ……!


「みんな分かってると思うけど、多分竜王が竜化しちゃったみたいだねっ! つまり竜王戦はここからが本番だってことだよ! 気をつけて!」

「「はいっ!」」


 みんなの集中力が1段深まったのを感じる。


 みんなが油断するとは思っていないし、竜化を見慣れてるみんなだから、竜王が竜化を使用したのはすぐに気付いたはずだ。

 それでもあえて警告したのは、竜化して初めて使える特殊能力、ブレスの存在があるためだ。


 ブレスって魔法とは別枠の攻撃だろうし、魔法妨害スキルで防げないと思うんだよなぁ。

 ブレスの使用で魔力枯渇を起こしてくれるとも思えないし、常に警戒しておかなきゃいけない。

 
 竜王が動きを止めて竜化しているうちに、1度鑑定を仕掛けておく。



 ブラックカイザードラゴン
 属性付与(聖) 竜化



 ……間違いなく竜化状態みたいですねぇ。


 ま、流石はイントルーダーと言っておこうか。瞬殺されるアウターエフェクトとは格が違う相手だよ。


 でも発狂モードの竜王だって、簡単に蹴散らしてみせるさ。

 イントルーダーと深い因縁を持つ、愛しのリーチェを救う為にねっ!
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