異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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3章 回り始める物語2 ソクトルーナ竜爵家

195 口論 (改)

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 リーチェも大分料理に慣れてきた気がするなぁ。見ていて危なげが無い。
 
 料理の合間に抱き合ったりキスしたりおっぱいを揉んだり、服を捲っておっぱいを吸ったり股座に指を滑り込ませながら夕食の支度をする。


 リーチェの送音能力の精度は分からないけど、お互いの舌を絡め合うねっとりとした音。おっぱいを揉まれて可愛く喘ぐリーチェの声。ちゅぱちゅぱと意識して音を立てながら乳首を吸う音。

 俺の指とリーチェの大切なところが協力して奏でるクチュクチュとした淫らな水音など、全部食堂の2人にお届けしていると思う。

 いやぁ、第三者にお届けしていると思うと興奮しちゃうなぁっ?


「2人とも、いい加減にするのじゃーーーーっ!!」


 フラッタが怒鳴り込んできたので、余すことなくお届けできていたようだ。うん、楽しかった!


 夕食の準備をしていると、やがてニーナたち3人が我が家に向かって来ているのが感じられた。


 調理の仕上げは俺が担当して、リーチェとフラッタに帰宅した3人への報告をお願いする。

 ヴァルハールであった事と、特にラトリアさんが家にいる理由をしっかりと説明してもらう事にした。


 ……気のせいだとは思うんだけど、俺の口からラトリアさんのことを説明すると、二ーナに怒られそうな気がするんだよなぁ。


 俺が夕食を作っている間に、粗方の事情の説明は終えてくれたようだ。

 完成した夕食を食べながら、改めてニーナたちと話し合う。


「まずはおつかれさま。そしてお帰りなさい」

「ただいまニーナ。みんなも礼拝日のお手伝いお疲れ様だよー」

「みんな無事に帰ってきてくれて、本当に良かったよぅ。怪我も無くて良かったぁ……!」


 俺の膝の上のニーナが俺達を労ってくれる。心配かけてごめんね? よしよしなでなで。

 今日はほぼ丸1日離れてたんだから、可能な限りニーナとくっついていたい気分だ。


「お屋敷は荒らされ放題で戦利品は無し。唯一持ち帰ってきたのがフラッタちゃんのお母さんだけかぁ」


 ……ティムル。ラトリアさんを戦利品扱いするのはやめようね?

 フラッタのお母さんを助けることが出来たのは嬉しいんだけど、俺的には面倒事が増えそうで気分的には微妙なんだよぉ。


「犠牲者が出なかったことだけが救いかしらねぇ。救助した人たちも回復してくれるといいけど……」

「街の中にロード種が長期間潜伏していただなんて、とんでもないことですよっ!? それをあっさり解決してくる皆さんもとんでもないんですけどっ……!」


 ムーリ。うちのメンバーは大概とんでもないんだよ。

 そもそも建国の英雄が参加してるパーティだからね。規格外にも程があるでしょ。


「あっそうだムーリ。ラトリアさんが国に報告を上げるらしいから、ムーリもしたいなら教会に報告しても良いよ」

「え? 教会に今回のことを、ですか?」

「トライラム教会に暗躍できる隙は無いかもしれないけど、大きな組織だし、ガリアみたいなこともあったからさ。報告したほうがいいのかなって」

「……そう、ですね。教会に魔物が入り込んでいるとは思いませんが、隠す必要が無いなら報告させていただきますね」


 俺もトライラム教会に魔物が入り込む余地は無いと思うけど……。今回の件はちょっと色々考えさせられたからね。


 今回のルーナ家の騒動。領主である竜爵家の異変に、普通なら外部の人が気付くはずなんだ。

 だけどそこで活きてくるのが散漫って状態異常で、ルーナ家に関わった人たちも変だと思っても、それを記憶に留めることが出来なくて、今まで事が発覚しなかったんだろうなぁ。


 トライラム教会の高潔さは知っているけれど、状態異常攻撃なんて喰らったら話は全く変わってきてしまう。警戒は必要だろう。


「っとそうでした! 教会と言えば、トライラム教会の教主様がダンさんにお会いになりたいそうなんですよ」

「教主って、トライラム教会のトップじゃないの? 俺は構わないけど、そんな人がマグエルに足を運ぶわけ?」


 安定のトライラム教会だねぇ。こっちを呼びつけたりする気、一切無いんだなぁ。人を強制的に呼び出そうとするどっかの国の貴族にも見習って欲しいわぁ。


「14歳の子達の納税処理に立ち会いたいとの事なんですけど、構いませんか?」

「うっわ。トップ自らが孤児の納税を見届けに来るってことか。分かってはいたけど本当に凄いね……」

「教主様には私もお会いしたことないんですけどね。とっても尊敬できる方だと聞いてます」


 ムーリも会ったことないのか。どんな人なんだろう。

 まぁトップ自らがフットワーク軽くマグエルまで来るんだもんな。そりゃ尊敬もされるでしょ。


「それでですね。立会いの為に前もって納税予定日を教えて欲しいと頼まれてるんですよ。子供達の納税、いつにしますか?」

「早い方が良いよね。納税可能になったらすぐに終わらせよう。ティムル。納税の開始日っていつから?」

「12月の16日の朝から、1月15日日没までね。ダンの希望日で言えば16日の早朝って事になるわ」

「だそうだ。16日に子供達の納税を済ませてしまおう」

「16日の早朝ですね。了解しましたっ」

「教主さんが立ち会いたいってんなら早朝じゃなくても良いけど、なるべく16日で調整してもらえるかな」


 分かりましたと頷くムーリ。なんか秘書とかマネージャーにスケジュール管理してもらってるみたいだな。

 30人分の孤児の納税処理と教主との面会。加えて俺達自身の納税だってしなきゃならないんだし、16日は忙しくなりそうだ。


「それじゃ今日から1月の適当な日まで休暇ね。礼拝日まで休むのが良いかな?」

「それだと分かりやすいのう。ちょうど1ヶ月休むことになるのじゃ」

「みんな、今年1年本当にお疲れ様。来月の礼拝日まで、1ヶ月間ゆっくりしようね」


 はぁ~。今年は激動だったなぁ。

 いきなり異世界に来て、いきなりフレイムロードに殺されかけて、ニーナに出会ってティムルに出会って、フラッタに出会ってリーチェに出会ってムーリに出会って。

 教会の孤児と仲良くなったりアウターエフェクトと2回も戦う事になったり……。


 ……ん? 今更だけど、俺がフレイムロードに出会った時って、何で相手がフレイムロードだって分かってたんだろ?

 またこの世界の仕様で、人間族以外は魔物の名前が分かるとかあるのかね?

 素直にみんなに聞いてみるか。


「んー? 王国から討伐隊が組まれてたんでしょ?」

「うん。俺を助けてくれたのも王国騎士団って話だったから」

「フレイムロードが現れたって救援要請があったから、断魔の煌きと王国騎士団が現場に赴いたわけだし、知っていて何かおかしいのかしら?」

「いやティムル。そもそもその救援要請を送った人は、なんでフレイムロードだって判断できたのかな?」

「え?」

「ぼくだってデーモン種もロード種も出会ったことなんて無かったんだよ? ダンならともかく、あの場に現れた魔物がフレイムロードだって、誰がどうやって判断したんだろう……」


 そう。ルーチェが言うように、俺もそこが引っかかってるんだよ。

 鑑定が使える俺なら初見の魔物の名前も分かるんだ。だけどこの世界の人たちに魔物を鑑定する能力は無いはずだ。

 まさかとは思うけど、あのフレイムロードも今回戦ったマインドロードと同じように、人に使役されていた魔物だった、とか……?
 

 ……でも、仮に開拓村襲撃が人為的に起こされたものだったとして、フレイムロードを王国側に排除させる意味ってあるのか?

 開拓村の犠牲者の命で生贄召喚を行ったとしても、フレイムロードが殺されたらプラマイゼロじゃない? フレイムロードを使い捨てにしてでも、開拓村を滅ぼす必要があったとか?


 ……これ以上は、鑑定能力を知らないラトリアさんがいるこの場で考えることじゃないな。


「悪い。今考えることじゃなかったね。忘れていいよ」


 この話は、ムーリにさえ聞かせられないかもしれないからな。パーティメンバーだけで話し合いたい。


「話は変わるけど、ラトリアさんは何日マグエルに滞在する予定なの?」

「えっと、特に何日と決めているわけではありませんが……」

「滞在中は客室を使って良いよ。フラッタが寝る場所は俺と一緒でもラトリアさんと一緒でも、フラッタの自由にしていいからね」

「う、う~……。悩ましいのじゃぁ……! 母上ともご一緒したいが、ダンと離れ離れになるのも……。う~っ!」


 可愛い悩みで苦悶しているフラッタをよしよしなでなで。

 せっかくお母さんと生きて再会することが出来たんだ。遠慮せずに甘えるといいさ。


「お、お部屋が余ってるのでしたら、出来るだけ長く泊めていただけるとありがたいかなー……って?」

「じゃあ最長で5日間くらいで良い?」

「そ、それは短くないですかっ? みなさん1ヶ月はお休みになるんでしょうっ?」

「ヴァルハールの運営もあるでしょ? 数ヶ月間領主が全く機能してなかったヴァルハールを放置するのは感心しないよ。今のヴァルハール、大分荒れてると思うなぁ」


 冒険者ギルドで食事してただけで絡まれるくらいにはね。

 それにラトリアさんがいると、自宅なのに気を使わなきゃいけないことが多くて困るんだよなぁ。何より、みんなと普通に会話できないのが苦痛だ。


「それにシルヴァの起こした凶行全てがブラフだった可能性が出てきて、ルーナ家の取り潰しの話も見直される可能性が高いでしょ」

「可能性というか、兄上の無実はほぼ証明されていると言っていいのじゃっ」

「そう。シルヴァが無実だったのなら、今後もルーナ家がヴァルハールを治めるわけでしょ? 今の無防備なヴァルハールを放置しておくと、今後の運営に差し支えるんじゃないかなぁ」


 シルヴァの無実はほぼ確実みたいだけど、それを証明する物証が無いのは痛いよなぁ。

 そこまで考えて魔物を使役してるんだったら、抜け目なさそうな相手で嫌だなぁ。


 ……しかし、シルヴァって生きてるんだろうか? 既に生贄にされてる可能性、低くないのでは?


 ただ用意周到な犯人だからこそ、罪を被せたシルヴァを保険として生かしてある可能性は低くは無いはず。自分に捜査の手が及んだ時に、目晦ましに使えるからね。

 ネプトゥコ領主のカザラフト家だったか。そこと同じ扱いだな。


「…………そんなに、そんなに邪険に扱わなくてもいいじゃないですかっ!」

「へ?」

「これでも私、被害者なんですよ!? ちょっとくらいゆっくりさせてくれたっていいじゃないですかぁっ!」


 まるで逆ギレしたみたいに、突如大声を張り上げるラトリアさん。

 そんな彼女に反射的に言い返してしまいそうになって、慌てて思い留まる。


 この人ってフラッタの母親だからなぁ。どうにもやりにくい。

 被害者なのは分かってるけど、国への報告と登城を強制して来たのはラトリアさんのほうだ。いまいち味方とは判断しきれないところがあるからなるべく距離を縮めたくないんだよ。


 ……支配状態でもフラッタに警告を行なった、母としての想いだけは信頼に値するけど。


「ダンー……。ダンは母上のこと、嫌いなのかのぅ……?」

「嫌いじゃないんだよフラッタ。だけど俺達家族と同じでもないんだ」

「んー? どういう意味なのじゃ?」

「んーっとね、俺達は家族以外を全部捨ててでもお互いを守れる関係だと思ってるんだけどさ……」


 積極的に誰かを犠牲にするつもりなんてないけど、優先順位はいつだって家族の安全と幸福だ。

 この価値観は俺だけに限った話では無くて、俺の家族はみんな共有してくれていると思う。俺の命と天秤にかけて、家族を諦めようとしたフラッタが良い例だろう。


「でもラトリアさんは国とか竜人族とかを天秤にかけた場合、俺達に不利益を齎しても仕方ないと思って行動しかねないなと思ってるんだ。要するに、価値観の違う相手だと思ってるんだよ」

「価値観の違い……。良く分からないのぅ……?」


 こてんと可愛く首を傾げるフラッタだけど、お前がずっと俺達に示してくれていた価値観だと思うよ?


 きっと俺達の関係は歪で、ラトリアさんの価値観のほうが普通なんだろう。

 俺達家族はもうお互いがいなければ生きていけない、共依存関係、一心同体、運命共同体なのだから。


「じゃあ言わせて貰いますけどーっ! 人妻の中に突っ込んで気持ち良くさせておいて、なんの責任も取らないなんて酷くないですかねーっ!?」

「支配状態にあったくせに自分の意思で竜化して、挙句の果てにブレスまで放った責任はどう取るの? あの時ラトリアさん、めちゃくちゃ楽しそうに俺を殺しにきてたよね?」

「は、母上っ……! ダンに口論をぶつけるのは無謀なのじゃっ……!」


 おいフラッタ。お前の中の俺の評価はどうなってるんだよ。

 別にラトリアさんの責任云々はどうでも良くて、ぶっちゃけ俺のパーソナルスペースに家族以外を入れたくないだけなんだけどね。


「お金も使用人も居なくなって、屋敷に帰ってもゆっくり出来ませんよーっ!」

「だから5日間は滞在を認めるってば。お金はある程度出してもいいよ。発光魔玉100個くらいなら今すぐにでも渡せるし」

「まぁたダンがサラッととんでもないこと言ってるわぁ……」

「使用人に関しては門外漢なので、ノーコメントで」


 呆れるティムルをスルーして、資金的な援助なら直ぐにでも行なえることを提示しておく。


 でもお金に関しては問題ないんじゃないの? ラトリアさん凄まじい実力者だったし、ヴァルハールにはルインがあるんでしょ?

 お金が足りないだったら、1人でルインに潜って稼げばいいじゃんか。


「ダン。それ勘違いだから」

「え、勘違いって?」

「アウターに1人で入って稼げるなんて、うちでもダンとリーチェくらいしかいないの」


 ニーナの言葉にちょっと驚く。流石にそれは無いんじゃ?


「移動制限が緩和されたニーナでも余裕じゃないの?」

「ドロップアイテムを持ち帰れる運搬能力。ポータルとアナザーポータルを使える移動能力。どっちか1つでも欠けてたら、1人でアウターでお金を稼ぐのは無理なの」

「ん……確かに戦闘力だけあっても、ドロップアイテムが持ち帰れないと話にならないのは分かるけど……」

「それに加えて、スポットの最深部はおろか、アウターエフェクトが出ても撃退できる戦闘能力。どれだけ大きな魔物の群れに囲まれても一気に滅ぼせる殲滅力が必要なの。私には無理だと思うなー」


 ニーナの理屈でいくと、ラトリアさんは戦闘力は申し分ないけど、インベントリと移動魔法が使えないのか。魔物を倒すことはできるけど、日帰りで大金を稼ぐのは不可能なわけね。

 俺とニーナが会話していると、ラトリアさんがどんどんヒートアップして発言が過激になっていく。


「気持ちよかったんですーーっ! ダンさんと剣を合わせるの、凄く凄く気持ちよかったんですよーーっ!」


 あ、ヤバ。この流れには嫌な予感しかしないぞぉ?


「その余韻に浸ってる時にあんなことされちゃったら、もうどうしようもないんですよーーっ!」


 でも俺が口を挟む隙もなく、ラトリアさんは捲し立てる。


「私は竜人族なんですっ! 竜人族は強い異性に強烈に惹かれちゃうんですよっ! 私はもう年齢的に子供を産むことも出来ません! だからフラッタと一緒に、私も抱いてくださいよーっ!」

「「「…………は?」」」


 うん。やっぱりこの流れの行き着くところはそこだよね。

 ……ってなんでなんだよ。流石にふざけんなっつうの。思わずみんなでハモっちゃったじゃないかよぉ。


「は、母上……? ど、どうしてそうなるのじゃーーーっ!?」


 よく言ったぞフラッタ。他のみんなは何言ってんだこいつって顔して固まっちゃってるよ。


 竜人族は強者に惹かれるのはいいけど、ラトリアさんって夫婦仲も悪くなさそうだったのに、何でそうなるんだよ?


「ダンさんに抱いてもらえるなんて……、フラッタばっかりずるいですっ!」

「ズ、ズルいとはなんじゃ! 妾はダンのお嫁さんなのじゃっ!」

「ダンさんは竜化した私をいなしながら、あっさりロード種を殺しきっちゃったんですよっ!? そんなの竜人族の女として、惹かれない方が無理なんですってばーっ!」


 ……そんな理由で竜人族の女性に惚れられるなら、対峙した竜人族の女性全員、確実に息を止めろとでもいうのかな?


 うん。以前ヴァルハールに行った時も思ったんだけどさ。

 竜人族って、最高にめんどくさいわぁ……。
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