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3章 回り始める物語1 スポットの奥で
161 遠征最終日 (改)
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リーチェとキスしながら、横になっているフラッタの傍に寄る。
フラッタの隣に腰を下ろし、口を離したリーチェと一緒に、寝ているフラッタをよしよしなでなでする。
「具合はどうだフラッタ? 動けるくらいには魔力回復した?」
「ふふ。あんなに恥ずかしがってたのに、結局竜化しちゃうんだもん。でも無理しちゃダメだよフラッタ?」
「うん。もう大丈夫なのじゃ。ダンもリーチェもごめんなさいなのじゃ。ニーナが獣化したのを見て、羨ましかったのじゃ……」
可愛いフラッタがしょんぼりしてるのは見たくないなぁ。
「怒ってないから心配しないで。ちょっとびっくりしただけだよ」
胡坐の上に抱っこして、更によしよしなでなでの刑にしてやるぅ。
「竜化を見たのは初めてだったけど、フラッタの赤い瞳が綺麗な紫になって、魔物がいるのに思わず見蕩れちゃったよ」
「えへへ。初めてダンに綺麗って言ってもらった気がするのじゃ。なんだか凄く嬉しいのじゃぁ」
なんだこいつ。エロいだけじゃなくて可愛すぎるってば。
そしてそんなフラッタの様子に、傍に居たリーチェも、ドロップアイテムを回収し終えて合流してきたティムルも、既にフラッタにめろめろのニーナも仲良く撃沈して、みんなでひたすらよしよしなでなでしてしまった。
「ニーナももう平気だね? 体調に不安があれば遠慮せず言って」
満面の笑みでフラッタをよしよしなでなでしているニーナに体調不良の欠片も感じないけど、体調不良を隠して大好きなフラッタをよしよしなでなでしている可能性は否定出来ない。フラッタ大好きなニーナなら否定出来ないのだ。
「一応鑑定して、獣化が発現してるのを確認してもいいかな?」
「うん。体調も鑑定も大丈夫だよ」
大丈夫と返答するニーナに誤魔化しは感じられない。
魔力が回復しきるのにはもっと時間がかかるけれど、体調不良はもう完全に抜けてくれているみたいかな?
「なんか私のせいで変な流れになってごめんね? ダンは喜んでるようにしか見えないけど、それでもごめんっ」
ニーナはきっと、魔力枯渇まで止まれなかったことを謝ってるんだろう。
そりゃキスの流れとニーナの獣化発現には喜びしかないけど、ニーナとフラッタの2人も魔力枯渇にしちゃったのは反省しなきゃね。最高だったけどっ。
それじゃ許可も貰ったことだし、ニーナを鑑定しますかね。
ニーナ
女 16歳 獣人族 獣化解放 斥候LV16
装備 ミスリルダガー ミスリルダガー 魔絹のターバン 姫騎士の聖鎧
魔絹のグローブ ウィングブーツ 魔除けのネックレス
状態異常 呪い(移動阻害)
種族表記の隣りに新しく表示された、獣化解放の表示。
「うん。分かってたけど獣化の発現は間違いないよ。あとはちゃんと切り替えできるように練習しようね」
「切り替えは多分もう出来ると思うの。でも獣化すると、ダンのことしか考えられなくなっちゃうみたいなの……」
なにそれ? 勝手に魅了効果? セルフテンプテーション? やばい、チート能力過ぎる。
「魔力枯渇、凄く苦しくて凄く辛かったのに、そんなのどうでもいいくらいにダンのことしか考えられなかったのじゃ……。凄く嫌だったけど、凄く幸せだったのじゃあ」
「俺も可愛いフラッタとキスできて凄く幸せだったけど、次もしたいなら苦しいと辛いをなんとかしてからね? 2人とのキスは幸せな気持ちでしたいからさ」
ニーナとフラッタをよしよしなでなで。ついでにティムルとリーチェもよしよしなでなで。
まったく、俺のことが好きすぎて体調を崩しちゃうなんて、嬉しすぎて参っちゃうよ。でもこれ、もしかしてみんなも俺に思ってることだったりするのかなぁ?
「あ、そう言えばニーナって何の獣人だったの? 自分で分かるものなのかな?」
「あ、ごめん。言うの忘れてたね。私は狐の獣人みたいなの。獣化すると魔力も結構伸びるみたいだよー」
ききききき、狐っ娘ニーナだったのかぁぁぁぁっ!
し、しかも獣化すると魔力が伸びるだとぉっ!? つまりは普通の獣化よりも、長く楽しめるってことじゃないかぁっ!
はっ!? 今回ニーナは魔力枯渇したんだ……。ということは魔法使い……、あったぁっ!
ニーナの希望する職業が全部浸透し終わったら、ガンガン魔力補正伸ばしていっくぞーっ! たっのしみーーーっ!
「狐の獣人なんだね。獣化したニーナ。凄く可愛かったよ」
内心の動揺と興奮はおくびにも出さずに、ニーナのほっぺに静かにキスをする。
「それと魔力枯渇を経験したから、ニーナも魔法使いの資格を得たからね。獣人と魔法使いの相性は分からないけど、選択肢の1つに入れておいてね」
「うんっ。魔力補正が浸透すれば、獣化したままでもずっとダンとくっ付いていられるもんねっ」
隠したのに全部バレテーラ。
いや、バレたんじゃなくて、ニーナも俺と同じこと考えてただけかな? だとしたらなんか嬉しいなぁ。
「ニーナもティムルもフラッタもリーチェも、みんな最高に可愛かったけどそろそろ探索を再開しようか。みんなのおかげでめちゃくちゃやる気出たことだしねっ」
さて、英雄は難しいと思うけど、斥候と魔導師は一気に浸透させちゃいましょうかねぇ。
遠征24日目。今回の遠征の最終日を迎える。
今日を終えたらもう後戻りは出来ない。年内に竜爵家に赴くには、今日中に可能な限り強くなるしかない。
フラッタとキスしながら戦った時に掴んだ感覚。眠っているニーナに悪戯しながら鍛えた感覚。今回の遠征で得た新たな体感覚をおさらいしながら魔物を屠っていく。
漫然と補正に頼って動かすのではなく、補正そのものの効果を精緻に把握して、補正を道具の1つ、装備品の1つのように使いこなすのだ。
補正の恩恵をただ受け取るだけじゃダメだ。補正を理解し、補正を確かめ、補正の効果を最大限引き出すことが重要だ。
補正で自分がどれくらい強くなったのかを確かめるんじゃない。補正がどこまで俺を強くすることが出来るのかを改めて1つ1つ確かめる。
意識せずとも俺を強くしてくれる職業補正だからこそ、意識して効果を掌握していく。
俺の敏捷性補正は、いったいどれだけ俺の動作を速めてくれるんだ?
俺の五感上昇は、いったいどこまでの情報を知覚することが出来るんだ?
俺の身体操作性補正は、いったい何処まで動作と思考についてきてくれるんだ?
魔物を殺しながら、けれど意識は自分の内側に向け、俺の魂に累積した職業補正と向き合った。
今まで以上の集中力と緊張感を持って魔物狩りを続けていると、サンダースパーク、ドラゴンズネストに続いて、3つ目の上級攻撃魔法を習得することが出来た。
「神代より誘われし浄命の旋律。精練されし破滅の鉾。純然たる消滅の一矢。汝、我が盟約に応じ、万難砕く神気を孕め。インパクトノヴァ」
魔導師LV90で覚えた上級攻撃魔法インパクトノヴァ。これはなんと対象指定型の単体魔法だった。
効果対象となった魔物は、俺に撃ち込まれた魔力の光に内側から焼かれて弾け飛ぶ。他の上級魔法と比べると見た目も範囲も地味だけど、未だにこの魔法を耐えられた魔物は1体もいない。
上級魔法に使用される膨大な魔力をたった一点に集中させた、威力特化の単体魔法。それがインパクトノヴァだ。
「インパクトノヴァなんて久しぶりに見たなぁ。エルフでも使い手が少ないくらいだから、旅をするようになってから見たのは初めてかもしれないよ」
「リーチェの初めては俺が全部貰ってやるさ。でもエルフは長命だし、リーチェの知らない使い手が増えている可能性はあるかもね」
魔法使いルートではこれが最強の魔法になるのかな?
結局聖属性を見つけることが出来なかったのは痛いなぁ。特殊な転職条件があるのかもねぇ。
モジモジしているリーチェにちゅっとキスして、魔物狩りを続ける。
ティムルの付与術士もLV50を上回ってきたおかげか、段々とスキルジュエルが普通にドロップするようになってきた。
今回新たに拾えたのは、魔力自動回復-と貫通-という2つのスキルだった。
魔力自動回復-は悩ましいなぁ……! 2人にそれぞれ小効果を与えるか、1人に中効果を与えるのかの究極の選択じゃんかよぉ。
貫通というスキルは、確か転移ボーナスAの異界の剣に付与されていたスキルだったはずだ。いつも通りリーチェがその効果を解説してくれる。
「貫通は魔物の防御補正を無視してダメージを与えるスキルだね。攻撃魔法には適用されないし、防具やアクセサリーに付けても無駄になっちゃうから気をつけてね」
「攻撃力が上がるなら、うちで最強の火力を誇るフラッタのバスタードソードに付与するのが良さそうかな? みんなが良ければ、だけどさ」
ニーナとティムルはどうぞどうぞしている。押すなよ押すなよ?
「それならダンが付けるべきじゃろう? 妾ばかり優遇されても困るのじゃ」
「いや、俺は魔法剣士スタイルだからね。攻撃魔法に適用されないスキルの重要度は高くないよ。フラッタは完全に物理に偏ってる脳き……、前衛だから、貫通スキルの効果が1番大きいと思うんだ」
多分今後はスキルジュエルもボロボロ出るだろうしなぁ。今は貴重だけど、取り置きするより使ってしまうべきだろう。
遠慮するフラッタを全員で説得して、フラッタのバスタードソードにスキルを付与する。
聖銀のバスタードソード
貫通- 無し 無し
「みんな、ありがとうなのじゃあああっ! 最早妾が以前使っていた物より、ずっとずっと良い物なのじゃーっ!」
喜ぶフラッタを全員でよしよしなでなで。
こうなってくると、未だスキル付与をしていないティムルに魔力自動回復を付けるか迷うんだけど、ティムルってメンバー内で1番魔力を使わないから悩ましい。
「ダン。私のことは気にしなくていいわ。今後装備の更新だってするかもしれないんだし、急いで決める必要は無いわよー」
俺の悩みを察したティムルに気を遣わせてしまって、ちょっとだけ申し訳なくなる。
でもティムルの言う事も尤もだし、熱視を発現させて生産職をコンプリートしているティムルなら、ダマスカスやオリハルコン製の装備品が作れるようになるかもしれない。
ここは素直にティムルの意見に甘えておこう。
そして魔導師がLV100に到達する。魔導師を外してもインパクトノヴァまで使えるから、どうやら浸透した模様。しかし残念ながら更なる上級職は現れず。
魔導師の次の職業は、以前英雄と迷った騎士に設定する。
騎士LV1
補正 体力上昇 魔力上昇- 物理攻撃力上昇 物理防御力上昇
敏捷性上昇 身体操作性上昇 五感上昇 装備品強度上昇
スキル 全体補正上昇 対人攻撃力上昇 対人防御力上昇
対人能力の向上はありがたいけど、フラッタの両親を殺すわけにもいかないので悩ましいな。それに帰りは多分戦闘をせずに走り抜けるだろうから、騎士を今回で浸透させるのは難しそうだ。
聖騎士の回復魔法も合わさったらまた回復魔法が進化するかもしれなかったのに、そこまで思い到らなかったよぉ。
続いて俺の斥候と、ニーナの狩人が浸透を終わらせた。
ニーナはそのまま斥候を希望。一方の俺はいい加減上げる職業が無くなってきたなぁ。犯罪職を上げるのは最後の最後にして、ここは賞金稼ぎを上げとくかぁ。
賞金稼ぎLV1
補正 敏捷性上昇
スキル 対人防御力上昇
斥候LV1
補正 体力上昇 魔力上昇 持久力上昇+ 敏捷性上昇+
身体操作性上昇+ 幸運上昇 装備品強度上昇
スキル 魔物察知
呪いが緩和され獣化も発現したニーナには、斥候の補正はかなり合ってるかもしれないなぁ。斥候が浸透したあと魔法使いルートを進めて魔力補正をガンガン積んでもらうのは、エロ抜きでも普通にありかもしれない。
さて、ここまで浸透してくれたのはありがたいけど、これで恐らく打ち止めかな? 賞金稼ぎは最高レベル次第だけど、騎士を上げきるのも恐らくもう無理だ。来年に期待だね。
後は時間の限り魔物を狩り続けて、浸透を進めながら俺の剣の技術を見直すだけだ。
ここから出たら無双将軍との対決がある。フラッタを助ける為には絶対に負けられない戦いだからな。
騎士、英雄、賞金稼ぎの浸透が進む度に、それら全ての補正も強化されていく。強化された補正を掌握し、体感覚の狂いを最小限に抑えつけろ。
しかし魔物を殺し続けていると、突然魔物察知に何の反応も無くなってしまう。
……あれ? もしかして、マジでスポット内の魔物、皆殺しにしちゃったのかな?
なんて思った瞬間、目の前の地面に漆黒の魔法陣が現れる。
なんだこれ? みんなは知ってるのかな?
だけどみんなの方を見る前に、ゾワリとした感覚が背筋を走った。
……この感覚には覚えがある。
絶対に、忘れてたまるものかっ……!
これは、開拓村であいつに出会った時と、同じ強さの死の気配……!
「みんな下がってぇ! これ、アウターエフェクトだぁっ!」
リーチェの言葉に、魔法陣から視線を切らさずに後ろに下がる俺たち。
そして、俺達が距離を取るのを待っていたかのように、魔法陣から半人半獣の魔物が姿を現したのだった。
フラッタの隣に腰を下ろし、口を離したリーチェと一緒に、寝ているフラッタをよしよしなでなでする。
「具合はどうだフラッタ? 動けるくらいには魔力回復した?」
「ふふ。あんなに恥ずかしがってたのに、結局竜化しちゃうんだもん。でも無理しちゃダメだよフラッタ?」
「うん。もう大丈夫なのじゃ。ダンもリーチェもごめんなさいなのじゃ。ニーナが獣化したのを見て、羨ましかったのじゃ……」
可愛いフラッタがしょんぼりしてるのは見たくないなぁ。
「怒ってないから心配しないで。ちょっとびっくりしただけだよ」
胡坐の上に抱っこして、更によしよしなでなでの刑にしてやるぅ。
「竜化を見たのは初めてだったけど、フラッタの赤い瞳が綺麗な紫になって、魔物がいるのに思わず見蕩れちゃったよ」
「えへへ。初めてダンに綺麗って言ってもらった気がするのじゃ。なんだか凄く嬉しいのじゃぁ」
なんだこいつ。エロいだけじゃなくて可愛すぎるってば。
そしてそんなフラッタの様子に、傍に居たリーチェも、ドロップアイテムを回収し終えて合流してきたティムルも、既にフラッタにめろめろのニーナも仲良く撃沈して、みんなでひたすらよしよしなでなでしてしまった。
「ニーナももう平気だね? 体調に不安があれば遠慮せず言って」
満面の笑みでフラッタをよしよしなでなでしているニーナに体調不良の欠片も感じないけど、体調不良を隠して大好きなフラッタをよしよしなでなでしている可能性は否定出来ない。フラッタ大好きなニーナなら否定出来ないのだ。
「一応鑑定して、獣化が発現してるのを確認してもいいかな?」
「うん。体調も鑑定も大丈夫だよ」
大丈夫と返答するニーナに誤魔化しは感じられない。
魔力が回復しきるのにはもっと時間がかかるけれど、体調不良はもう完全に抜けてくれているみたいかな?
「なんか私のせいで変な流れになってごめんね? ダンは喜んでるようにしか見えないけど、それでもごめんっ」
ニーナはきっと、魔力枯渇まで止まれなかったことを謝ってるんだろう。
そりゃキスの流れとニーナの獣化発現には喜びしかないけど、ニーナとフラッタの2人も魔力枯渇にしちゃったのは反省しなきゃね。最高だったけどっ。
それじゃ許可も貰ったことだし、ニーナを鑑定しますかね。
ニーナ
女 16歳 獣人族 獣化解放 斥候LV16
装備 ミスリルダガー ミスリルダガー 魔絹のターバン 姫騎士の聖鎧
魔絹のグローブ ウィングブーツ 魔除けのネックレス
状態異常 呪い(移動阻害)
種族表記の隣りに新しく表示された、獣化解放の表示。
「うん。分かってたけど獣化の発現は間違いないよ。あとはちゃんと切り替えできるように練習しようね」
「切り替えは多分もう出来ると思うの。でも獣化すると、ダンのことしか考えられなくなっちゃうみたいなの……」
なにそれ? 勝手に魅了効果? セルフテンプテーション? やばい、チート能力過ぎる。
「魔力枯渇、凄く苦しくて凄く辛かったのに、そんなのどうでもいいくらいにダンのことしか考えられなかったのじゃ……。凄く嫌だったけど、凄く幸せだったのじゃあ」
「俺も可愛いフラッタとキスできて凄く幸せだったけど、次もしたいなら苦しいと辛いをなんとかしてからね? 2人とのキスは幸せな気持ちでしたいからさ」
ニーナとフラッタをよしよしなでなで。ついでにティムルとリーチェもよしよしなでなで。
まったく、俺のことが好きすぎて体調を崩しちゃうなんて、嬉しすぎて参っちゃうよ。でもこれ、もしかしてみんなも俺に思ってることだったりするのかなぁ?
「あ、そう言えばニーナって何の獣人だったの? 自分で分かるものなのかな?」
「あ、ごめん。言うの忘れてたね。私は狐の獣人みたいなの。獣化すると魔力も結構伸びるみたいだよー」
ききききき、狐っ娘ニーナだったのかぁぁぁぁっ!
し、しかも獣化すると魔力が伸びるだとぉっ!? つまりは普通の獣化よりも、長く楽しめるってことじゃないかぁっ!
はっ!? 今回ニーナは魔力枯渇したんだ……。ということは魔法使い……、あったぁっ!
ニーナの希望する職業が全部浸透し終わったら、ガンガン魔力補正伸ばしていっくぞーっ! たっのしみーーーっ!
「狐の獣人なんだね。獣化したニーナ。凄く可愛かったよ」
内心の動揺と興奮はおくびにも出さずに、ニーナのほっぺに静かにキスをする。
「それと魔力枯渇を経験したから、ニーナも魔法使いの資格を得たからね。獣人と魔法使いの相性は分からないけど、選択肢の1つに入れておいてね」
「うんっ。魔力補正が浸透すれば、獣化したままでもずっとダンとくっ付いていられるもんねっ」
隠したのに全部バレテーラ。
いや、バレたんじゃなくて、ニーナも俺と同じこと考えてただけかな? だとしたらなんか嬉しいなぁ。
「ニーナもティムルもフラッタもリーチェも、みんな最高に可愛かったけどそろそろ探索を再開しようか。みんなのおかげでめちゃくちゃやる気出たことだしねっ」
さて、英雄は難しいと思うけど、斥候と魔導師は一気に浸透させちゃいましょうかねぇ。
遠征24日目。今回の遠征の最終日を迎える。
今日を終えたらもう後戻りは出来ない。年内に竜爵家に赴くには、今日中に可能な限り強くなるしかない。
フラッタとキスしながら戦った時に掴んだ感覚。眠っているニーナに悪戯しながら鍛えた感覚。今回の遠征で得た新たな体感覚をおさらいしながら魔物を屠っていく。
漫然と補正に頼って動かすのではなく、補正そのものの効果を精緻に把握して、補正を道具の1つ、装備品の1つのように使いこなすのだ。
補正の恩恵をただ受け取るだけじゃダメだ。補正を理解し、補正を確かめ、補正の効果を最大限引き出すことが重要だ。
補正で自分がどれくらい強くなったのかを確かめるんじゃない。補正がどこまで俺を強くすることが出来るのかを改めて1つ1つ確かめる。
意識せずとも俺を強くしてくれる職業補正だからこそ、意識して効果を掌握していく。
俺の敏捷性補正は、いったいどれだけ俺の動作を速めてくれるんだ?
俺の五感上昇は、いったいどこまでの情報を知覚することが出来るんだ?
俺の身体操作性補正は、いったい何処まで動作と思考についてきてくれるんだ?
魔物を殺しながら、けれど意識は自分の内側に向け、俺の魂に累積した職業補正と向き合った。
今まで以上の集中力と緊張感を持って魔物狩りを続けていると、サンダースパーク、ドラゴンズネストに続いて、3つ目の上級攻撃魔法を習得することが出来た。
「神代より誘われし浄命の旋律。精練されし破滅の鉾。純然たる消滅の一矢。汝、我が盟約に応じ、万難砕く神気を孕め。インパクトノヴァ」
魔導師LV90で覚えた上級攻撃魔法インパクトノヴァ。これはなんと対象指定型の単体魔法だった。
効果対象となった魔物は、俺に撃ち込まれた魔力の光に内側から焼かれて弾け飛ぶ。他の上級魔法と比べると見た目も範囲も地味だけど、未だにこの魔法を耐えられた魔物は1体もいない。
上級魔法に使用される膨大な魔力をたった一点に集中させた、威力特化の単体魔法。それがインパクトノヴァだ。
「インパクトノヴァなんて久しぶりに見たなぁ。エルフでも使い手が少ないくらいだから、旅をするようになってから見たのは初めてかもしれないよ」
「リーチェの初めては俺が全部貰ってやるさ。でもエルフは長命だし、リーチェの知らない使い手が増えている可能性はあるかもね」
魔法使いルートではこれが最強の魔法になるのかな?
結局聖属性を見つけることが出来なかったのは痛いなぁ。特殊な転職条件があるのかもねぇ。
モジモジしているリーチェにちゅっとキスして、魔物狩りを続ける。
ティムルの付与術士もLV50を上回ってきたおかげか、段々とスキルジュエルが普通にドロップするようになってきた。
今回新たに拾えたのは、魔力自動回復-と貫通-という2つのスキルだった。
魔力自動回復-は悩ましいなぁ……! 2人にそれぞれ小効果を与えるか、1人に中効果を与えるのかの究極の選択じゃんかよぉ。
貫通というスキルは、確か転移ボーナスAの異界の剣に付与されていたスキルだったはずだ。いつも通りリーチェがその効果を解説してくれる。
「貫通は魔物の防御補正を無視してダメージを与えるスキルだね。攻撃魔法には適用されないし、防具やアクセサリーに付けても無駄になっちゃうから気をつけてね」
「攻撃力が上がるなら、うちで最強の火力を誇るフラッタのバスタードソードに付与するのが良さそうかな? みんなが良ければ、だけどさ」
ニーナとティムルはどうぞどうぞしている。押すなよ押すなよ?
「それならダンが付けるべきじゃろう? 妾ばかり優遇されても困るのじゃ」
「いや、俺は魔法剣士スタイルだからね。攻撃魔法に適用されないスキルの重要度は高くないよ。フラッタは完全に物理に偏ってる脳き……、前衛だから、貫通スキルの効果が1番大きいと思うんだ」
多分今後はスキルジュエルもボロボロ出るだろうしなぁ。今は貴重だけど、取り置きするより使ってしまうべきだろう。
遠慮するフラッタを全員で説得して、フラッタのバスタードソードにスキルを付与する。
聖銀のバスタードソード
貫通- 無し 無し
「みんな、ありがとうなのじゃあああっ! 最早妾が以前使っていた物より、ずっとずっと良い物なのじゃーっ!」
喜ぶフラッタを全員でよしよしなでなで。
こうなってくると、未だスキル付与をしていないティムルに魔力自動回復を付けるか迷うんだけど、ティムルってメンバー内で1番魔力を使わないから悩ましい。
「ダン。私のことは気にしなくていいわ。今後装備の更新だってするかもしれないんだし、急いで決める必要は無いわよー」
俺の悩みを察したティムルに気を遣わせてしまって、ちょっとだけ申し訳なくなる。
でもティムルの言う事も尤もだし、熱視を発現させて生産職をコンプリートしているティムルなら、ダマスカスやオリハルコン製の装備品が作れるようになるかもしれない。
ここは素直にティムルの意見に甘えておこう。
そして魔導師がLV100に到達する。魔導師を外してもインパクトノヴァまで使えるから、どうやら浸透した模様。しかし残念ながら更なる上級職は現れず。
魔導師の次の職業は、以前英雄と迷った騎士に設定する。
騎士LV1
補正 体力上昇 魔力上昇- 物理攻撃力上昇 物理防御力上昇
敏捷性上昇 身体操作性上昇 五感上昇 装備品強度上昇
スキル 全体補正上昇 対人攻撃力上昇 対人防御力上昇
対人能力の向上はありがたいけど、フラッタの両親を殺すわけにもいかないので悩ましいな。それに帰りは多分戦闘をせずに走り抜けるだろうから、騎士を今回で浸透させるのは難しそうだ。
聖騎士の回復魔法も合わさったらまた回復魔法が進化するかもしれなかったのに、そこまで思い到らなかったよぉ。
続いて俺の斥候と、ニーナの狩人が浸透を終わらせた。
ニーナはそのまま斥候を希望。一方の俺はいい加減上げる職業が無くなってきたなぁ。犯罪職を上げるのは最後の最後にして、ここは賞金稼ぎを上げとくかぁ。
賞金稼ぎLV1
補正 敏捷性上昇
スキル 対人防御力上昇
斥候LV1
補正 体力上昇 魔力上昇 持久力上昇+ 敏捷性上昇+
身体操作性上昇+ 幸運上昇 装備品強度上昇
スキル 魔物察知
呪いが緩和され獣化も発現したニーナには、斥候の補正はかなり合ってるかもしれないなぁ。斥候が浸透したあと魔法使いルートを進めて魔力補正をガンガン積んでもらうのは、エロ抜きでも普通にありかもしれない。
さて、ここまで浸透してくれたのはありがたいけど、これで恐らく打ち止めかな? 賞金稼ぎは最高レベル次第だけど、騎士を上げきるのも恐らくもう無理だ。来年に期待だね。
後は時間の限り魔物を狩り続けて、浸透を進めながら俺の剣の技術を見直すだけだ。
ここから出たら無双将軍との対決がある。フラッタを助ける為には絶対に負けられない戦いだからな。
騎士、英雄、賞金稼ぎの浸透が進む度に、それら全ての補正も強化されていく。強化された補正を掌握し、体感覚の狂いを最小限に抑えつけろ。
しかし魔物を殺し続けていると、突然魔物察知に何の反応も無くなってしまう。
……あれ? もしかして、マジでスポット内の魔物、皆殺しにしちゃったのかな?
なんて思った瞬間、目の前の地面に漆黒の魔法陣が現れる。
なんだこれ? みんなは知ってるのかな?
だけどみんなの方を見る前に、ゾワリとした感覚が背筋を走った。
……この感覚には覚えがある。
絶対に、忘れてたまるものかっ……!
これは、開拓村であいつに出会った時と、同じ強さの死の気配……!
「みんな下がってぇ! これ、アウターエフェクトだぁっ!」
リーチェの言葉に、魔法陣から視線を切らさずに後ろに下がる俺たち。
そして、俺達が距離を取るのを待っていたかのように、魔法陣から半人半獣の魔物が姿を現したのだった。
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トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
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