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3章 回り始める物語1 スポットの奥で
154 予定変更 (改)
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少しの間ニーナと2人きりの時間を楽しんでいると、用事を済ませたティムルたちが戻ってきた。
ドロップアイテムの売却額は遠征が終わってからまとめて報告してもらう事にして、まずは1度眠らせてもらう事になった。
女性陣に見張りを任せ、優雅な身分だよなぁまったく。だけど見張りをするくらいなら相手してって言われちゃうから、見張りを担当できないんだよなぁ。
……スポットって実は最高のエロ環境なんじゃ? エロスポット? あれ、なんかエロくない?
なんだか死ぬほど下らない事を考えながら眠った翌日、遠征12日目の朝を迎える。
目が覚めた後もおはようのちゅーからエロエロタイムに移行し、みんなの中をこれでもかと満たしておく。
イチャイチャとエロエロの緩急で、理性という名の俺のブレーキはボロボロだぁいっ!
暴走特急と化した俺のせいで、なんとなくみんなの下っ腹の辺りが膨れている気がする。
いやいや、流石に無いよ、無い無い。気のせいに違いないってば。
いや無いとは思うけどさぁ。スポットの中ではどれだけ続けても誰にも文句言われないんだもん。だから延々と続けちゃうんだよねぇ。
みんなをお腹いっぱいにして準備は万端だ。12日目、今日からまた最深部へのアタックを開始する。
魔物狩りを開始すると、10日目と比べて魔物の殲滅速度が更に上がっているような気がした。
う~ん、やはりニーナが動けるようになったのはかなり大きいっぽいなぁ。
獣人族のニーナは、下手するとフラッタ並みのスピードで戦場を駆け回ることが出来る。だけど呪いのせいでそのスピードを発揮できなかったのだ。今までは。
今まで獣人族の強みを封じられていたのにこの場所で戦えていたんだ。封印が解かれたニーナの遊撃っぷりは目を見張るものがあった。
1つ心配していたスタミナ配分だったけど、艶福家先生のおかげで殆ど気にしなくて良かったようだ。持久力の大補正が2重にかかってるようなものだしね。
その艶福家大先生のレベリングも順調で、補正効果はどんどん伸びていく。もううちのパーティメンバーがスタミナ切れを起こす心配は無さそう。
本日の浸透トップバッターはティムルの防具職人だ。10日目を終えた時点でLV47だったもんね。
ティムルはアイテムやポーションよりも装備製作を優先したいということなので、予定通り宝飾職人に転職してもらった。
宝飾職人LV1
補正 持久力上昇 身体操作性上昇 五感上昇
スキル アクセサリー鑑定 アクセサリー作成 インベントリ
ティムルの宝飾職人が浸透したら、恐らく俺が装備品を作ることは無くなるんじゃないかなぁ。
次に浸透したのは俺の司祭だ。外しても治療魔法が使えるので、LV50で浸透したのは間違い無いはずだ。だけど残念ながら上位職は現れず。
法王ってこのルートじゃないのか? それとも何か特殊な転職条件があるのかな?
いつもなら次の職業の浸透を始める前に好色家を経由するところだけれど、好色家はもう浸透し終わってるので、そのまま冒険者に設定する。
冒険者LV1
補正 体力上昇 持久力上昇 敏捷性上昇-
スキル インベントリ ポータル
インベントリは多ければ多いほどありがたいし、やっぱりアナザーポータルまで使えるようになっておきたいのよね。
このあとはひたすら魔物を虐殺するだけで、面白いことは特に起きなかった。
くぅ~、ニーナとフラッタの紳商のレベルが中々上がんなくてもどかしいよ~!
遠征13日目。
ティムルの宝飾職人を華麗に抜き去って、朝っぱらから俺の冒険者がLV50で浸透する。本当にたった1日であっさりと浸透するからビビるわ。
冒険者と言えば、ヴァルハールに行く時フラッタに冒険者を浸透させてあるって嘘ついたなぁ。今回冒険者を浸透させたことで、ようやくあの時の嘘が本当になってくれたよ。
そしてリーチェに以前教えてもらっていた通り、冒険者の上位職として探索者という職業を得られたようだ。
探索者LV1
補正 体力上昇+ 魔力上昇 持久力上昇+ 敏捷性上昇
全体装備品強度上昇- 全体魔法耐性
スキル インベントリ アナザーポータル
流石は上位職。補正がめちゃくちゃ優秀だな。
装備品の強度を上昇させつつ全員の魔法耐性も上げるとは、突発的な事故がかなり減らせそうだ。このまま探索者にして、アナザーポータルまで浸透させちゃおう。
しかし、やはり13という数字はあまり縁起が良くないのか、この日はなんだか色々ショッキングな事が起こった日だった。
1つ目の事件は艶福家のLVが51を越えたことだ。
まぁあまりにも強力すぎるからね。50で浸透は無いとは思ってたよ。
でもさぁっ! 紳商くんは51迎えちゃダメだってぇぇぇっ! 豪商の上位職だから順当っちゃ順当なんだけどさぁぁぁぁぁっ!
こ、好色家ニーナの夢が、遠のいていくぅぅぅぅっ……!
紳商が50で浸透してくれればぁっ……! ニーナとフラッタの2人を好色家に設定できたっていうのにさぁぁぁぁっ!
そしてそんな憤りをいつも通り魔物にぶつけていると、なんと探索者のLVも51を迎えてしまった。移動系の最上級職なのかもしれないなぁ、探索者って。
上級職の浸透は中々終わらないけれど、新たに追加された全体補正と装備更新による火力上昇、そして封印から解き放たれたニーナが縦横無尽に暴れ回ることで、スポット最深部なのにアホみたいに魔物が狩れてしまう。
今回の遠征では既に700近い魔玉が光っていて、ご休憩日まで1000個でギリギリ足りるかなってレベルだよ、もうっ。
遠征14日目。
この日が終われば明日はみんなに1日中エロいことが出来る。それだけが俺のモチベーションだ。
この遠征が終われば竜爵家に赴くことになるけど、その前にフラッタから1本取る必要がある。少しでも強くなっておかなければいけない。
最早作業感すら漂う最深部での戦闘だけど、漫然とこなすわけにはいかない。1戦1戦を大切にし、常に最高の集中状態を維持しながら己の動きをブラッシュアップさせていくんだ。
全神経を注いで魔物を狩り続けていると、ティムルの宝飾職人がLV50に到達した。
それじゃあさっそくアイテム職人に設定して……、と思ったところで、あれ? っと違和感に気付く。
ティムルの職業設定画面を見返してみると、ティムルが今まで浸透させた職業は村人、戦士、旅人、商人、行商人、豪商、職人、武器職人、防具職人、宝飾職人の計10個だ。
だけどどこを探しても、好事家先生の姿が見当たらない。付与術士は出てるのにな?
あれー? ひょっとして好事家の転職条件、間違ってたのかな? あのタイミングで出現したんだから、職業浸透10個こそが条件だと思ってたんだけど……。
んー、まぁ出てないものは仕方ないね。素直にティムルはアイテム職人に設定、と。
アイテム職人LV1
補正 持久力上昇 身体操作性上昇 五感上昇
スキル アイテム鑑定 アイテム作成 インベントリ
先に付与術士にしてスキルジュエルのドロップ率を上げたい気持ちもあるんだけど、レベルが上がりにくい付与術士の育成を始めてしまうと、当分は他の職業にさせることは出来ないからね。
今転職しても、下手したら今回の遠征で浸透が終わらない可能性すらある。だから生産職を全部上げた後に、集中して浸透を進めていくべきだろう。
15日目の朝を迎えるまでひたすらに魔物を殺しつくした結果、俺は艶福家LV91、探索者LV68。ニーナは紳商LV72。ティムルはアイテム職人LV9。フラッタは紳商LV70になった。
紳商くんはLV100までは諦めたからさぁ。LV100でちゃんと浸透してくれよぉ頼むよぉ?
予定通り最深部から脱出し、衝立も立ててエロエロタイムの準備は万端だ。
だけどまずは食事をしながら打ち合わせタイムだ。打ち合わせを終えてから思う存分エロエロタイムを満喫するのだ。
「それじゃ食べ終わったら、私とフラッタちゃんとリーチェの3人で空魔玉を受け取ってくるわね。今ある発光魔玉732個は、全部ヴァルハールに売ってくればいいのね?」
「うん。お願いねティムル。また大量に仕入れるわけだし、発光魔玉をキープしておく意味もないしさ。魔玉で持っておくよりも王金貨のほうが嵩張らないでしょ?」
売り先をヴァルハールにしたのは経済攻撃を仕掛ける意図があるわけではなく、自宅のあるマグエルで大量の発光魔玉を売却したら悪目立ちしそうで嫌だったからだ。他意はありませんよ?
しっかし、今回はもう発注しちゃったから仕方ないけど、もう絶対空魔玉なんか買わないわ。少なくとも全員に艶福家を浸透させるまではなぁっ!
全員が艶福家になるという夢のような光景に思いを馳せていると、フラッタが少し思案げな様子で話しかけてきた。
「のうダンよ。ニーナが走れるようになったのじゃ。帰りは6日も見る必要はないのではないか?」
「ん? んーそりゃあ往路より全然短い時間で帰れるんじゃない?」
「短い時間というかの。ニーナが全力で走れるのであれば、恐らく丸1日もあればスポットから脱出できると思うのじゃよ」
は? 今までの6倍以上のスピードで移動できるって?
えっと、仮に時速5キロで走っていたとして、時速30キロ以上で走れると? 仮に走れたとしても維持できるのか? そんな速度。
「いやいや、スポットって馬で走って3日くらいの広さなんでしょ? その半分と考えても1日半かかるじゃん。1日で出れたら馬より速い計算になっちゃうよ?」
「何を言っておるのじゃ。妾たちの補正であれば明らかに馬より早いのじゃ」
当然のように馬より早いと言い放つフラッタに面食らってしまう。
う、馬より早いの? 今の俺達って……。
「ダンが艶福家を浸透させ始めてから、3日間最深部で戦っても全く疲労しないのじゃ。体力も問題なかろう。帰りは恐らく1日で足りるじゃろうよ」
あー、職業補正を忘れてたわ。持久力補正に敏捷性補正に、更には多重の全体補正上昇もかかってるもんなぁ。
そういやフラッタが初めてスポットに入った時も、遭難中のくせに相当な距離を移動してたんだなって思ってたけど、今の俺たちなら同じことが出来るようになってるわけかぁ。
「つまり……。次の最深部アタックで切り上げる予定だったのが、もう1回アタックする時間的猶予が出来たってことか」
「それだけじゃなくて、1回の活動も1日ずつ伸ばしてもいいんじゃないかな? フラッタも言ってたけど、3日間の活動くらいじゃぼくたちは全く疲労感を感じなくなってるよ」
魔物狩りの回数を増やすだけではなく、1回の魔物狩りの日程も延ばすべきだというリーチェの提案を受けて、ちょっと日程を計算してみた。
今日は15日目だ。元々の予定では更に16・17・18日目まで探索し、19日目から25日目までを帰還にあてる予定だった。
探索日数と回数を+1するとなると、16・17・18・19日目が探索、20日目が休憩、21・22・23・24日目に探索し、25日目に帰還かよ。ぴったりすぎぃ。
「ダンっ。私、全力で走ってみたいなぁっ! 今まで数日かかって移動した距離を、全力でっ!」
そしてピッタリハマった日程以上に俺を後押ししてくる、眩し過ぎて直視できない笑顔のニーナ。
ぐぅ、ぐあああっ! ニーナがめっちゃキラッキラした眼差しを向けてきなさるわぁっ! こんなの反対できる奴いるわけないってのーっ!
「ニーナは賛成ってことね。フラッタとリーチェも探索期間を増やすのに賛成だとして……。ティムルから見て、なにか問題はあるかな?」
「んー、特に無いんじゃないかしら? 元々物資は多めに持ってきてるし、今やリーチェとダンがアナザーポータルで送ってくれるから、荷物の心配をする必要も無いわけだしね」
ふむ。誰からも反対意見は無いか。大体にして予定の日程で収まるような調整だもんな。問題なんてあるわけないか。
俺としても浸透を進めるのは望むところだからね。
紳商めぇ。覚悟しやがれよぉ……? 絶対浸透させてやるからなぁ……?
だから待っててくださいね、好色家先生!
「俺としても竜爵家に赴く前に少しでも浸透を進めておきたいからね。望むところだよ。ただし全員無理はしないこと。これが条件ね?」
「……結局私たちってさ、ティムルと会う前が1番苦労してた気がするね? スポットの最深部に連日潜ってるのに、全然疲労も感じないものっ」
ニーナの言う通り、結局マグエルまでの2人旅が1番辛かったなぁ……。
死に掛けたのはフラッタとティムルに抱きしめられた時で、1番きつかったのが魔法使いを得るための魔力枯渇を経験した時かな。
……精神的に1番きつかったのが、フラッタを泣かせてしまった時だなぁ。
「それじゃフラッタちゃん、リーチェ、行きましょうか」
夕食を食べ終えたら、俺のアナザーポータルでティムルたちをスポットの外に送り出す。
「なるべく早く戻ってくるから、2人ともいい子にして待ってるのよー?」
はぁい! とティムルお姉さんといい子で待つ約束をしながら、アナザーポータルを詠唱する。
「虚ろな経路。点と線。偽りの庭。妖しの箱。穿ちて抜けよ。アナザーポータル」
アナザーポータルで転移していくティムルたち。
帰りはリーチェの魔法で戻ってこれるので、俺とニーナはまったりと待つことにする。
みんながいなくなってからアナザーポータルに入れるかニーナも試してみたけれど、やっぱり入ることはできなかった。無理かぁ。
「ふふ。なんだか私もスポットが好きになりそうだよぅ。毎回こうやって、ダンと2人っきりになれるんだもんねっ」
「ほんとだよねぇ。みんなのことも大切だけど、2人だけの時間もあっていいよね」
座った状態からのバックハグで密着し、みんなが帰ってくるまでニーナを独占する。
「休暇に入ったら、1人1人デートするのも悪くないかなぁ。ニーナと過ごす時間も最高だから、きっとみんなとも最高の時間を過ごせると思うんだ」
「いいねっ。1人1人デートっ! 帰ったらきっと孤児も増えて忙しくなっちゃうと思うから、全員が動けなくされるよりいいと思うのっ」
ぜ、全員を動けなくなるまでっ……!
しちゃう……、だろうなぁ、うん。
「帰ったら、休暇に入る前にヴァルハールに行ってくるつもりなんだ。それでサクッと問題解決して、みんなで気持ちよく新年を迎えたいと思う」
「うんっ。さっさと片付けて戻ってきてねっ。ティムルとムーリと一緒に待ってるからね。でも、心配するくらいは許してくれる?」
「許すもなにも、心配してくれて嬉しいよ」
出来れば心配をかけたくないけど、心配するなってのは無理な話だよなぁ。たとえ安全な場所に行くのであれ、離れてる時間は心配だ。
「もうポータルも使えるから、日帰りできる場所だからねヴァルハールは。なるべく早く終わらせるし、それでなくてもなるべく帰ってくるからね」
「うん。なるべく早く帰ってきてね。そしてフラッタの家族のこと、お願いね? フラッタの家族は、もう私達の家族と変わらないんだから」
まだスキルジュエルも出てないし、フラッタから1本取る必要もあるのに、気持ちだけはもうヴァルハールに行って、問題を解決する気になっている。
はっ。自分でリーチェにも言ったじゃないか。どうせ解決する問題なら、もう解決した気でいろってね。
フラッタとの手合わせも竜爵家の問題も解決して、みんなでなんの憂いもなく新年を迎えてみせるぞぉ!
ドロップアイテムの売却額は遠征が終わってからまとめて報告してもらう事にして、まずは1度眠らせてもらう事になった。
女性陣に見張りを任せ、優雅な身分だよなぁまったく。だけど見張りをするくらいなら相手してって言われちゃうから、見張りを担当できないんだよなぁ。
……スポットって実は最高のエロ環境なんじゃ? エロスポット? あれ、なんかエロくない?
なんだか死ぬほど下らない事を考えながら眠った翌日、遠征12日目の朝を迎える。
目が覚めた後もおはようのちゅーからエロエロタイムに移行し、みんなの中をこれでもかと満たしておく。
イチャイチャとエロエロの緩急で、理性という名の俺のブレーキはボロボロだぁいっ!
暴走特急と化した俺のせいで、なんとなくみんなの下っ腹の辺りが膨れている気がする。
いやいや、流石に無いよ、無い無い。気のせいに違いないってば。
いや無いとは思うけどさぁ。スポットの中ではどれだけ続けても誰にも文句言われないんだもん。だから延々と続けちゃうんだよねぇ。
みんなをお腹いっぱいにして準備は万端だ。12日目、今日からまた最深部へのアタックを開始する。
魔物狩りを開始すると、10日目と比べて魔物の殲滅速度が更に上がっているような気がした。
う~ん、やはりニーナが動けるようになったのはかなり大きいっぽいなぁ。
獣人族のニーナは、下手するとフラッタ並みのスピードで戦場を駆け回ることが出来る。だけど呪いのせいでそのスピードを発揮できなかったのだ。今までは。
今まで獣人族の強みを封じられていたのにこの場所で戦えていたんだ。封印が解かれたニーナの遊撃っぷりは目を見張るものがあった。
1つ心配していたスタミナ配分だったけど、艶福家先生のおかげで殆ど気にしなくて良かったようだ。持久力の大補正が2重にかかってるようなものだしね。
その艶福家大先生のレベリングも順調で、補正効果はどんどん伸びていく。もううちのパーティメンバーがスタミナ切れを起こす心配は無さそう。
本日の浸透トップバッターはティムルの防具職人だ。10日目を終えた時点でLV47だったもんね。
ティムルはアイテムやポーションよりも装備製作を優先したいということなので、予定通り宝飾職人に転職してもらった。
宝飾職人LV1
補正 持久力上昇 身体操作性上昇 五感上昇
スキル アクセサリー鑑定 アクセサリー作成 インベントリ
ティムルの宝飾職人が浸透したら、恐らく俺が装備品を作ることは無くなるんじゃないかなぁ。
次に浸透したのは俺の司祭だ。外しても治療魔法が使えるので、LV50で浸透したのは間違い無いはずだ。だけど残念ながら上位職は現れず。
法王ってこのルートじゃないのか? それとも何か特殊な転職条件があるのかな?
いつもなら次の職業の浸透を始める前に好色家を経由するところだけれど、好色家はもう浸透し終わってるので、そのまま冒険者に設定する。
冒険者LV1
補正 体力上昇 持久力上昇 敏捷性上昇-
スキル インベントリ ポータル
インベントリは多ければ多いほどありがたいし、やっぱりアナザーポータルまで使えるようになっておきたいのよね。
このあとはひたすら魔物を虐殺するだけで、面白いことは特に起きなかった。
くぅ~、ニーナとフラッタの紳商のレベルが中々上がんなくてもどかしいよ~!
遠征13日目。
ティムルの宝飾職人を華麗に抜き去って、朝っぱらから俺の冒険者がLV50で浸透する。本当にたった1日であっさりと浸透するからビビるわ。
冒険者と言えば、ヴァルハールに行く時フラッタに冒険者を浸透させてあるって嘘ついたなぁ。今回冒険者を浸透させたことで、ようやくあの時の嘘が本当になってくれたよ。
そしてリーチェに以前教えてもらっていた通り、冒険者の上位職として探索者という職業を得られたようだ。
探索者LV1
補正 体力上昇+ 魔力上昇 持久力上昇+ 敏捷性上昇
全体装備品強度上昇- 全体魔法耐性
スキル インベントリ アナザーポータル
流石は上位職。補正がめちゃくちゃ優秀だな。
装備品の強度を上昇させつつ全員の魔法耐性も上げるとは、突発的な事故がかなり減らせそうだ。このまま探索者にして、アナザーポータルまで浸透させちゃおう。
しかし、やはり13という数字はあまり縁起が良くないのか、この日はなんだか色々ショッキングな事が起こった日だった。
1つ目の事件は艶福家のLVが51を越えたことだ。
まぁあまりにも強力すぎるからね。50で浸透は無いとは思ってたよ。
でもさぁっ! 紳商くんは51迎えちゃダメだってぇぇぇっ! 豪商の上位職だから順当っちゃ順当なんだけどさぁぁぁぁぁっ!
こ、好色家ニーナの夢が、遠のいていくぅぅぅぅっ……!
紳商が50で浸透してくれればぁっ……! ニーナとフラッタの2人を好色家に設定できたっていうのにさぁぁぁぁっ!
そしてそんな憤りをいつも通り魔物にぶつけていると、なんと探索者のLVも51を迎えてしまった。移動系の最上級職なのかもしれないなぁ、探索者って。
上級職の浸透は中々終わらないけれど、新たに追加された全体補正と装備更新による火力上昇、そして封印から解き放たれたニーナが縦横無尽に暴れ回ることで、スポット最深部なのにアホみたいに魔物が狩れてしまう。
今回の遠征では既に700近い魔玉が光っていて、ご休憩日まで1000個でギリギリ足りるかなってレベルだよ、もうっ。
遠征14日目。
この日が終われば明日はみんなに1日中エロいことが出来る。それだけが俺のモチベーションだ。
この遠征が終われば竜爵家に赴くことになるけど、その前にフラッタから1本取る必要がある。少しでも強くなっておかなければいけない。
最早作業感すら漂う最深部での戦闘だけど、漫然とこなすわけにはいかない。1戦1戦を大切にし、常に最高の集中状態を維持しながら己の動きをブラッシュアップさせていくんだ。
全神経を注いで魔物を狩り続けていると、ティムルの宝飾職人がLV50に到達した。
それじゃあさっそくアイテム職人に設定して……、と思ったところで、あれ? っと違和感に気付く。
ティムルの職業設定画面を見返してみると、ティムルが今まで浸透させた職業は村人、戦士、旅人、商人、行商人、豪商、職人、武器職人、防具職人、宝飾職人の計10個だ。
だけどどこを探しても、好事家先生の姿が見当たらない。付与術士は出てるのにな?
あれー? ひょっとして好事家の転職条件、間違ってたのかな? あのタイミングで出現したんだから、職業浸透10個こそが条件だと思ってたんだけど……。
んー、まぁ出てないものは仕方ないね。素直にティムルはアイテム職人に設定、と。
アイテム職人LV1
補正 持久力上昇 身体操作性上昇 五感上昇
スキル アイテム鑑定 アイテム作成 インベントリ
先に付与術士にしてスキルジュエルのドロップ率を上げたい気持ちもあるんだけど、レベルが上がりにくい付与術士の育成を始めてしまうと、当分は他の職業にさせることは出来ないからね。
今転職しても、下手したら今回の遠征で浸透が終わらない可能性すらある。だから生産職を全部上げた後に、集中して浸透を進めていくべきだろう。
15日目の朝を迎えるまでひたすらに魔物を殺しつくした結果、俺は艶福家LV91、探索者LV68。ニーナは紳商LV72。ティムルはアイテム職人LV9。フラッタは紳商LV70になった。
紳商くんはLV100までは諦めたからさぁ。LV100でちゃんと浸透してくれよぉ頼むよぉ?
予定通り最深部から脱出し、衝立も立ててエロエロタイムの準備は万端だ。
だけどまずは食事をしながら打ち合わせタイムだ。打ち合わせを終えてから思う存分エロエロタイムを満喫するのだ。
「それじゃ食べ終わったら、私とフラッタちゃんとリーチェの3人で空魔玉を受け取ってくるわね。今ある発光魔玉732個は、全部ヴァルハールに売ってくればいいのね?」
「うん。お願いねティムル。また大量に仕入れるわけだし、発光魔玉をキープしておく意味もないしさ。魔玉で持っておくよりも王金貨のほうが嵩張らないでしょ?」
売り先をヴァルハールにしたのは経済攻撃を仕掛ける意図があるわけではなく、自宅のあるマグエルで大量の発光魔玉を売却したら悪目立ちしそうで嫌だったからだ。他意はありませんよ?
しっかし、今回はもう発注しちゃったから仕方ないけど、もう絶対空魔玉なんか買わないわ。少なくとも全員に艶福家を浸透させるまではなぁっ!
全員が艶福家になるという夢のような光景に思いを馳せていると、フラッタが少し思案げな様子で話しかけてきた。
「のうダンよ。ニーナが走れるようになったのじゃ。帰りは6日も見る必要はないのではないか?」
「ん? んーそりゃあ往路より全然短い時間で帰れるんじゃない?」
「短い時間というかの。ニーナが全力で走れるのであれば、恐らく丸1日もあればスポットから脱出できると思うのじゃよ」
は? 今までの6倍以上のスピードで移動できるって?
えっと、仮に時速5キロで走っていたとして、時速30キロ以上で走れると? 仮に走れたとしても維持できるのか? そんな速度。
「いやいや、スポットって馬で走って3日くらいの広さなんでしょ? その半分と考えても1日半かかるじゃん。1日で出れたら馬より速い計算になっちゃうよ?」
「何を言っておるのじゃ。妾たちの補正であれば明らかに馬より早いのじゃ」
当然のように馬より早いと言い放つフラッタに面食らってしまう。
う、馬より早いの? 今の俺達って……。
「ダンが艶福家を浸透させ始めてから、3日間最深部で戦っても全く疲労しないのじゃ。体力も問題なかろう。帰りは恐らく1日で足りるじゃろうよ」
あー、職業補正を忘れてたわ。持久力補正に敏捷性補正に、更には多重の全体補正上昇もかかってるもんなぁ。
そういやフラッタが初めてスポットに入った時も、遭難中のくせに相当な距離を移動してたんだなって思ってたけど、今の俺たちなら同じことが出来るようになってるわけかぁ。
「つまり……。次の最深部アタックで切り上げる予定だったのが、もう1回アタックする時間的猶予が出来たってことか」
「それだけじゃなくて、1回の活動も1日ずつ伸ばしてもいいんじゃないかな? フラッタも言ってたけど、3日間の活動くらいじゃぼくたちは全く疲労感を感じなくなってるよ」
魔物狩りの回数を増やすだけではなく、1回の魔物狩りの日程も延ばすべきだというリーチェの提案を受けて、ちょっと日程を計算してみた。
今日は15日目だ。元々の予定では更に16・17・18日目まで探索し、19日目から25日目までを帰還にあてる予定だった。
探索日数と回数を+1するとなると、16・17・18・19日目が探索、20日目が休憩、21・22・23・24日目に探索し、25日目に帰還かよ。ぴったりすぎぃ。
「ダンっ。私、全力で走ってみたいなぁっ! 今まで数日かかって移動した距離を、全力でっ!」
そしてピッタリハマった日程以上に俺を後押ししてくる、眩し過ぎて直視できない笑顔のニーナ。
ぐぅ、ぐあああっ! ニーナがめっちゃキラッキラした眼差しを向けてきなさるわぁっ! こんなの反対できる奴いるわけないってのーっ!
「ニーナは賛成ってことね。フラッタとリーチェも探索期間を増やすのに賛成だとして……。ティムルから見て、なにか問題はあるかな?」
「んー、特に無いんじゃないかしら? 元々物資は多めに持ってきてるし、今やリーチェとダンがアナザーポータルで送ってくれるから、荷物の心配をする必要も無いわけだしね」
ふむ。誰からも反対意見は無いか。大体にして予定の日程で収まるような調整だもんな。問題なんてあるわけないか。
俺としても浸透を進めるのは望むところだからね。
紳商めぇ。覚悟しやがれよぉ……? 絶対浸透させてやるからなぁ……?
だから待っててくださいね、好色家先生!
「俺としても竜爵家に赴く前に少しでも浸透を進めておきたいからね。望むところだよ。ただし全員無理はしないこと。これが条件ね?」
「……結局私たちってさ、ティムルと会う前が1番苦労してた気がするね? スポットの最深部に連日潜ってるのに、全然疲労も感じないものっ」
ニーナの言う通り、結局マグエルまでの2人旅が1番辛かったなぁ……。
死に掛けたのはフラッタとティムルに抱きしめられた時で、1番きつかったのが魔法使いを得るための魔力枯渇を経験した時かな。
……精神的に1番きつかったのが、フラッタを泣かせてしまった時だなぁ。
「それじゃフラッタちゃん、リーチェ、行きましょうか」
夕食を食べ終えたら、俺のアナザーポータルでティムルたちをスポットの外に送り出す。
「なるべく早く戻ってくるから、2人ともいい子にして待ってるのよー?」
はぁい! とティムルお姉さんといい子で待つ約束をしながら、アナザーポータルを詠唱する。
「虚ろな経路。点と線。偽りの庭。妖しの箱。穿ちて抜けよ。アナザーポータル」
アナザーポータルで転移していくティムルたち。
帰りはリーチェの魔法で戻ってこれるので、俺とニーナはまったりと待つことにする。
みんながいなくなってからアナザーポータルに入れるかニーナも試してみたけれど、やっぱり入ることはできなかった。無理かぁ。
「ふふ。なんだか私もスポットが好きになりそうだよぅ。毎回こうやって、ダンと2人っきりになれるんだもんねっ」
「ほんとだよねぇ。みんなのことも大切だけど、2人だけの時間もあっていいよね」
座った状態からのバックハグで密着し、みんなが帰ってくるまでニーナを独占する。
「休暇に入ったら、1人1人デートするのも悪くないかなぁ。ニーナと過ごす時間も最高だから、きっとみんなとも最高の時間を過ごせると思うんだ」
「いいねっ。1人1人デートっ! 帰ったらきっと孤児も増えて忙しくなっちゃうと思うから、全員が動けなくされるよりいいと思うのっ」
ぜ、全員を動けなくなるまでっ……!
しちゃう……、だろうなぁ、うん。
「帰ったら、休暇に入る前にヴァルハールに行ってくるつもりなんだ。それでサクッと問題解決して、みんなで気持ちよく新年を迎えたいと思う」
「うんっ。さっさと片付けて戻ってきてねっ。ティムルとムーリと一緒に待ってるからね。でも、心配するくらいは許してくれる?」
「許すもなにも、心配してくれて嬉しいよ」
出来れば心配をかけたくないけど、心配するなってのは無理な話だよなぁ。たとえ安全な場所に行くのであれ、離れてる時間は心配だ。
「もうポータルも使えるから、日帰りできる場所だからねヴァルハールは。なるべく早く終わらせるし、それでなくてもなるべく帰ってくるからね」
「うん。なるべく早く帰ってきてね。そしてフラッタの家族のこと、お願いね? フラッタの家族は、もう私達の家族と変わらないんだから」
まだスキルジュエルも出てないし、フラッタから1本取る必要もあるのに、気持ちだけはもうヴァルハールに行って、問題を解決する気になっている。
はっ。自分でリーチェにも言ったじゃないか。どうせ解決する問題なら、もう解決した気でいろってね。
フラッタとの手合わせも竜爵家の問題も解決して、みんなでなんの憂いもなく新年を迎えてみせるぞぉ!
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しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
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