異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて3 孤児と修道女

127 国内アウター (改)

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 朝目覚めると4人の美女。何度体験しても素晴らしい。本当に素晴らしい。

 昨日は徹夜禁止でそのまま寝たので、みんな服を着たままだ。だけどなぜか服を着ているほうが新鮮に感じますね?


 それぞれと目覚めのキスを交わし、昨夜そのまま寝た分溜まった愛情をみんなに伝える。

 着衣だったのが珍しくて、なんだかんだと起きるのが遅くなってしまった。


 朝食を取りながら今日の予定を確認する。

 ティムルは風呂掃除、ニーナは洗濯から花壇と畑の世話。俺とフラッタ、リーチェは相変わらず剣の稽古だ。


「タオル関係は大量に発注しましたので、次回の遠征から帰ってきたタイミングでの受け取りです。ついでに冬用の寝具も発注しておきました。帰ってきたら12月の予定ですからね」


 ティムルの報告に季節を感じる。冬は雪も降るらしいねぇ。

 この屋敷は大きいので、もしかしたら雪下ろしとかの必要があるかもしれない。


 ……庭に積もった雪で遊ぶ教会の子供、それに混じるフラッタとリーチェの姿が目に浮かぶなぁ。


「空魔玉も500個ほど発注して、代金は既に支払い済みです。今日冒険者ギルドに行ったタイミングで受け取ります。それとアウターの情報料は金貨5枚だそうですので、忘れずに用意をお願いします」

「うん。何から何までお疲れ様。ありがとね。だけど500個の空魔玉を1度に買えることにびっくりするなぁ」

「ああダン。魔玉は普通、使っても消滅しないのじゃ。どうやら装備品製作など、スキルを用いると消費してしまうみたいじゃがの」


 スキルを使用すると消滅する。

 つまりフラッタの言い分が正しければ、普段はスキルを使用しない使用方法があるってこと?


 今まで気にしてこなかったけど、発光魔玉っていったい何に使ってるの?


「魔導具の燃料とかに使われることが多いんです。照明器具とか暖房器具とかですね。ただ魔導具って高いですから。燃料も発光魔玉ですし、庶民には手が出ません。特権階級が独占状態ですね」


 ふむ。この世界には電気が無いけど、ティムルの説明的に発光魔玉はバッテリーみたいなものだと解釈するのが近いのかな?

 庶民には手が届かない領域で使われているものなら、今まで発光魔玉の使い道に触れてこなかったのも納得がいく話だ。


「魔玉を使った照明器具は持ち運びにも便利で、ヤケドや火事の心配も無くて安全です。暖房器具も火事の心配が無いし、火種も要らずに場所も取らないので、貴族屋敷には必ずあると思います」

「それとマグエルのようにアウターの近くにある街や王都などの主要都市には、緊急時に大規模な魔法障壁が展開される。その魔法障壁の燃料などにも使われるのじゃ」


 おお、魔法障壁っ!? ロマンあるなぁ、都市防衛用魔法障壁って。


「普段はあまり意識することもないが、魔玉は妾たちの生活に根付き、平時でも緊急時でも常に需要のあるアイテムなのじゃ」

「我が家の場合はご主人様が魔導具を作れるようになりそうですし、燃料の魔玉に困ることもなさそうなので、魔導具を積極的に使ってみてもいいかもしれませんね」


 我が家の場合はみんな豪商を浸透させているから、一般的な魔玉発光スピードよりも何倍も早く魔玉が発光してくれるからね。

 たとえ燃費が悪くても、魔導具の燃料費で悩むことは無さそうだ。


「あ、この家の住人登録と、留守中の魔法障壁も魔玉が使われてますよ。シュパイン商会持ちにしてたので知らなかったかもしれませんけど」


 え? 発光魔玉って5万リーフ。この家賃が2万リーフ。それって赤字じゃないの?


「いえ、それがこの屋敷の防衛用魔導具ってかなり高等なもので、魔力消費がかなり抑えられてるんですよね。具体的に言えば、侵入者が触れた時のみ魔力が流れるといった感じで、普段は殆ど魔力を消費しないんです」


 そ、それは凄いなぁ。今まで電気柵みたいなものをイメージしていたから、施錠後は家の表面に常に魔力が張り巡らされているものだとばかり思ってたよ。

 いや、魔力が常に張り巡らされてるのは間違いないのか? 違うのは、侵入者が触れたときだけ大量の魔力が流れるっていう点か。


「この屋敷はかなり古いみたいで記録も残っていないんですけど、恐らく相当な人物が住んでいたんだと思いますよ」


 相当な人物かぁ。

 誰が建ててくれたのかは分からないけれど、この家のおかげで沢山の縁に恵まれた。心から感謝しておこう。



 打ち合わせが終わって、フラッタとペアでリーチェに挑む。

 昨日と違ってリーチェも楽しそうに剣を振ってくれて、3人で踊り続けるように剣を合わせた。


 まだまだ2人には及ばないけれど、2人と一緒に剣を楽しめるくらいにはなってきたのかな?





「ご主人様。そろそろ冒険者ギルドに参りましょう」


 ニーナに声をかけられるまで、ぶっ通しで剣を合わせてしまった。

 流石は好色家先生。ハイパー持久力補正は伊達じゃないっすね!




 5人で冒険者ギルドに行き、まずはティムルが空魔玉をインベントリに詰め込んだ。

 500もの空魔玉を収納しきったティムルに、冒険者ギルドの職員もちょっと驚愕していた。


 魔玉を受け取ったら、改めて冒険者ギルドの受付に問い合わせる。


「アウターの情報提供希望のダンさんね。話は聞いてるよ」


 応対してくれたギルドの職員は、ティムルよりちょっと年下に見える女性職員だった。

 もしも4人がいなかったら興奮したかもしれないと思う程度には美人さんだね。


「提供できる情報は場所くらいのもので、あとは結局現地で調べるしかないけど、それでもいいの?」

「構わないよ。その場所こそが知りたいんだからね。はい、これが料金ね」


 金貨5枚、5万リーフを支払う。

 空魔玉も1つ100リーフなので、これで冒険者ギルドに金貨10枚も支払った計算になる。結構痛いな。


 料金を払うと、そのまま女性職員さんに案内されて個室に通された。

 ネプトゥコでリーチェに初めて会った時を思い出すような、小さめの個室だ。


「それで何が聞きたいのかな? 具体的に質問をして欲しいんだけど」

「えっと、そうだね。まずはここマグエルから近い順に、スペルド王国内の主だったアウターを知りたいかな? 特に知りたいのはルイン。15年前くらいに発見されたルインの事も、知ってたら教えて欲しい」


 確かニーナの話では、まだ手付かずのルインを探索中に呪いを受けたと言っていた。

 その話が本当であれば、ニーナの両親が潜ったルインを特定することが出来ると思うんだけど。


「ごめん。ルインの発見時期なんて知らないわ。でもそんなに最近発見されたアウターなんて無いと思うよ?」


 職員さん曰く、アウターなんて俺達が生まれるずっと前から存在しているはずとのこと。

 つまり近年新たに発見されたアウターは無い? ということは、ニーナのお母さんが呪いを受けた未発見のアウターは、結局世間に公表されていないのか?


 発見時期は分からないけど場所なら分かるわと、指折り数えながら職員さんがスペルド王国内のアウターを列挙する。


「マグエルからって言うと、まずはマグエルの西側の『スポット』でしょ? それとステイルーク以南の森型アウター『侵食の森』。ネプトゥコからずっと西、ヴェルモート帝国の手前にケイブ『奈落』。マグエルの反対側、スペルド王国の東側に大型フィールド『終焉の箱庭』があるわ」


 えーっと、ステイルーク以南の侵食の森、西側の奈落に、東側の終焉の箱庭か。


「王都の北東、ヴァルハールにルイン『竜王のカタコンベ』。王国の北の外れにルイン『暴王のゆりかご』。そして最後。スペルドの中心、王都スペルディアの地下にルイン『始まりの黒』が存在していると言われているわ。これで全部よ」


 ちょちょっ、一気に捲し立てないでよぉ! 情報を把握しきれないじゃん!

 っていうか新しい情報も多いな。ヴェルモート帝国? スペルド以外にも国があるのかぁ。


「まぁ始まりの黒は一般開放されてないから、今回の話には関係ないかなぁ」


 スペルディアのルインは一般開放されていない。つまり残ったルインは竜王のカタコンベと暴王のゆりかごの2つ。

 ニーナの両親は呪いを受けてから、ニーナが4歳の時にスペルド最南端のステイルークの更に先の開拓村の近くに到着している。


 以前フラッタは、マグエルからヴァルハールまでを徒歩で数ヶ月と予測していた。

 妊娠期間、そして乳児、乳幼児を連れての旅なら、暴王のゆりかごがかなり怪しい気がするなぁ。


 だけどさっきの説明を聞く限りだと、現在知れ渡っているアウターはかなり昔から認知されているっぽいから、世間に知られていない場所の可能性のほうがずっと高そうではあるか。


「ちなみにヴェルモート帝国のアウターについて聞くことは可能?」

「それもごめんね。不可能よ。冒険者ギルドは国境を跨ぐ国際機関でね。だからこそ厳格がルールがあるの」


 ん? 冒険者ギルドってスペルド王国が運営している施設ってわけじゃないのか。

 国際機関ってことは、スペルド王国でもヴェルモート帝国でもない、独立した機関って扱いになるわけ?


「今回スペルド王国内のアウターの情報料、高かったでしょ? 私がヴェルモート帝国のアウターの情報を貴方に渡すと、帝国側のギルドから金貨5枚の収入が失われることになるの」

「なるほど。他国の利益を損ねないようにって話ね。ポータルでの移動に制限は無いの?」

「冒険者ギルドのポータルを利用して国境を跨ぐ場合は、必ず両国の指定された街に飛ばされるわ。そこからの移動は自由だけどね。個人でのポータル使用には制限が無いから、面倒なルールだと思うなら自分が冒険者になることね」


 これまた他国の冒険者ギルドの収入を損失しないための措置なのか。

 めんどくさいルールだけど、まぁ当たり前の範囲か。


「もしかして、国を跨ぐとポータルの料金も変わる?」

「ううん、どの冒険者ギルドでもポータルの料金は一律1000リーフよ。だけど国境を跨ぐ場合にだけ、一律1万リーフ払わなきゃいけないから気をつけてね」


 国を跨ぐ時だけ料金が10倍になるのね。

 ま、俺たちが利用する機会があるとも思わないけど。


「暴王のゆりかごだけ北の外れって言ってたけど、近くに人は住んでないの?」

「王国の北側は鉄と火に塗れた不毛の大地なの。ドワーフ族が好んで暮らしているくらいで、他の種族は寄り付かないわねぇ」


 鉄と火に塗れたドワーフ族の住処? それってもしかして、ティムルの生まれ故郷なのかな?

 今更どうでもいい情報ではあるけど、暴王のゆりかごに挑戦するなら寄らざるを得ないか?


「暴王のゆりかごに挑戦する場合、ドワーフ族の生活圏で宿を取ったりはできるのかな?」

「出来ると思うわよ。ドワーフ族は鍛冶の為に不毛の大地に住んでいるだけで、別に排他的な種族思考は持ってないはずだからね」


 ……排他的な思考は持っていない? 何も悪くないティムルを追放しておきながら?

 いや、そんなことをこの人に言っても仕方ない。黙って話を聞こう。


「ただし、本当に不毛の大地なのよあそこって。だから宿泊施設なんて期待出来ないし、食料や水すら満足に買えない可能性を考慮すべきね」


 口調的に、この人はドワーフの生活圏に入った事があるっぽいな。

 ポータルで王国中に人を送る関係上、冒険者ギルド職員は王国中に1度は足を運んだ事があるのかもね。


「水や食料すら賄えないって、どうやって生活してるのさ」

「そりゃ勿論ドロップアイテム頼みでしょ? 近くにルインがあるんだから、自分たちが食べていく食料くらいは賄えてるんじゃない?」


 そっか。この世界にはドロップアイテムが……。

 でも昔から生活に根付いているとしたら、ニーナの両親の話と矛盾するか。暴王のゆりかごで呪いを受けた可能性は限りなく下がったかもなぁ。


「少なくとも野生動物とかがいるとは思えないし、農業だって出来ないと思うわよ、あそこは」


 ウンザリした口調で吐き捨てる職員さん。その口調には実感がこもっているように感じられた。


 ティムルは以前、ドワーフの里は魔物すら出ない不毛の地と言っていた。

 となるとやはり昔からルインに入ってドロップアイテムを確保していたと思うんだけど……、アウターがあるのになんでドワーフ族はそんなに困窮しているんだ?


「暴王のゆりかごの情報とかは貰えるのかな?」

「んー。ルール的には問題ないけど、私が入ったことがないから教えられないわね。冒険者ギルドの職員なんて、冒険者になれた途端に魔物狩りをやめちゃう人も多いから。私もその口なの」


 ポータルによる移動魔法提供サービスを行えるようになれば、わざわざ命の危険を冒して魔物狩りをしなくても安定した収入が得られるそうだ。

 だから冒険者ギルドの多くの職員にとっては、冒険者ギルドに就職することこそがゴールなのだそうだ。


「具体的な情報は現地に行くか、ギルドで依頼を出して知っている人を探すか、じゃないかな。でも現地に行った方がいいと思うよ。ガゼネタ掴まされる確率は下がるはずだから」


 き、金貨5枚の価値あるかなぁこの時間……。

 この人はまぁ、親切に対応してくれてるとは思うんだけどさぁ。


「アウターの情報って儲けに直結するから、隠したがるやつらが多いんだよね。生死にだって直結するのにさぁ」


 これまたウンザリした口調の職員さん。

 情報を隠して一攫千金を狙うよりも、情報を共有して安全性を高めたほうが結局は儲かるのに、魔物狩りって馬鹿ばっかだからさぁ、とか魔物狩りの俺の前でその発言はどうかと思うんだよ? 言ってることには同意するけど。


「貴方のところは5人パーティみたいだし、メンバーが1人空いてるなら現地で案内を雇ってもいいと思う。腕に覚えがあるなら、現地に行って実際に潜ってみるのが手っ取り早いかな?」

「そっかぁ。結局は自分で行って確かめるしかないんだね。了解。今日はありがとう」


 説明してくれた職員さんにお礼を言って、冒険者ギルドを後にした。


 情報は増えたけど、ニーナの両親が入ったアウターの特定には到らなかったなぁ。というか、特定するのがかえって難しくなっただけかもしれない?

 しっかし、王国内には7つのアウターが存在してるのねぇ。多いような、少ないような?
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