異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて2 新たに2人

109 好事家 (改)

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 しょしょしょしょしょっ、職業、追加ぁぁぁっ!?


「はああああああっ!?」

「うわああっ!? なにっ!? なんなのじゃあっ!?」


 職業追加という文字に思わず絶叫してしまったら、近くにいたフラッタを驚かせてしまった。けどフラッタの声のおかげで我に返れた。


「お、驚かせてごめんね……。でもフラッタ。ちょっと話したい事があるから、みんなを集めてくれるかな?」

「むぅ? なにやら真剣な話のようじゃな。すぐに集めてくるのじゃ」


 フラッタが元気良く走り回って、すぐにみんなを集めてくれた。ありがとうフラッタ。感謝のよしよしなでなで。


「悪いみんな。ちょっと緊急事態だ。休憩がてら話がしたい」

「それは構いませんが……、いったい何があったんですか? なんだか深刻そうですけど……」


 突然の召集と俺の様子に、ニーナが心配そうな眼差しを向けてくる。


「ん。大丈夫。悪いことじゃないんだ。ねぇみんな。好事家っていう職業、聞いたことある?」

「こうずか、ですか? ちょっと聞いた事がないですね」

「えーっと、物好きな人って意味の言葉でしたっけ? 私も聞いたことがないです」

「妾も聞いたことがないのぅ。リーチェは?」

「いや、ぼくも聞いたことないなぁ。そんな職業ギルドも存在しないよ」


 まぁ……、当然のように知らないよな。職業追加なんてスキル、発覚していたら知られていないわけがない。


 しかしなんだこれ? 魔法使いの上位職だとするなら、貴族であるフラッタやリーチェは知っていてもおかしくないはずだ。
 だけどこの2人が知らないなら、魔法使いで派生したわけじゃないだろう。

 なら、なんでこのタイミングで出現した?


 好事家。物好きな人。物好き? 俺的にはむしろ、パトロンだったり、コレクターだったりのイメージの言葉だけど……。

 待てよ? コレクター? そして、職業追加というスキル……。


 ええと、俺の浸透した職業って、村人、戦士、旅人、商人、行商人、剣士、短剣使い、武道家、職人、そして魔法使い。
 魔法使いでちょうど、10個だ……。

 考えられる転職条件はこれしかない。好事家の条件は10の職業を浸透させること。それならば合点がいく……。


「話の流れ的に、その好事家という職業を得られたんですよね? それは分かります。それで、その職業がどうかしたんですか?」

「うん。ちょっとね。好事家のスキルに、職業追加って書いてあるんだ」

「……え?」


 ニーナは言われた意味が良く分かっていないようだ。

 みんなの様子を窺うと、みんなも俺の言葉に困惑している感じかな。


 みんなが混乱している間に、色々試してみようかな。


 まずは好事家になって、職業追加と念じてみる。特に何も起こらない。

 ならばと職業設定を試そうと、もう1度鑑定を発動。



 ダン
 男 25歳 人間族 好事家LV1 追加職業
 装備 鋼鉄のロングソード 魚鱗の盾 皮の帽子 皮の軽鎧 皮の靴



 あった! 追加職業! というかこれ、ステータスプレートではどういう扱いになるんだ?

 追加職業に好色家を設定し、ステータスプレートを出現させる。



 ダン 男 25歳 好事家
 ニーナ ティムル フラッタ リーチェ
 ニーナ(所有) ティムル(所有)



 メインの職業しか表示されない。ということは、追加職業は隠す事が可能ってことか!?


 ……って思わずびっくりしちゃったけど、実はそんなに意味無いのか?

 この世界って浸透した職業は、鑑定がなきゃ見れないわけだし。


 考えられる使い方として、犯罪系職業の恩恵をデメリット無しで受けられる、ってのはあるかもしれないけど。


「今試してみたんだけど、好事家になると、もう1つ同時に職業の浸透を進めることが出来るみたいだね」

「……えっと、それって意味、あるのかな? どっちにしても好事家にならなきゃいけないし。意味、無くない?」


 うん。リーチェのいう事も尤もだ。現状だと職業追加のメリットってほぼ無い。ほぼ無いんだけど。


「リーチェの言う通り、現状では特にメリットは無さそうかな。でも今後のために、これは浸透させておきたいんだ」


 例えばレベル上限の無い強力な職業とかが出てきた場合、好事家を浸透させておくメリットは非常に大きいと言える。

 仮にそんな物が無かったとしても、好事家を浸透させれば常に2つの職業浸透を進めることが出来るようになるはずだ。

 つまり戦闘職の浸透を進めながら、好色家を育成することだってできるようになるのだ。


 ……上げないという選択肢は、無い!


「もしかしたら俺の職業が増えたことで、魔玉の発光やみんなの浸透速度に影響が出るかもしれないから、先に断っておくね」


 追加職業のせいで全員の職業浸透が遅れる可能性も否定出来ないので、こっそり上げるのは止めてちゃんと全員に周知しておく。


「う~ん。普通なら強力なスキルだと思うんですけど、ご主人様の浸透速度を考えると、追加するより浸透させたほうが早い感じになっちゃいますもんねぇ」

「そうじゃのう。聖騎士と豪商の浸透を同時に進められたり出来れば便利なのじゃが、結局は好事家にならねばならぬのじゃからスキルの恩恵があまり無いのじゃ」

「ダンの自由に判断していいと思うよ。はは。このパーティじゃなければ、将来的に相当強力なスキルになったかもしれないけどね」


 いや、恐らく職業浸透が異常に早いこのパーティだからこそ真価を発揮する職業だ。

 よぉっし、なんだかやる気出てきたぞぉっ。


 好事家の事はこれでいいとして、魔法使いの上級職についても聞いておこうかな?


「ちなみに魔法使いが浸透して、攻撃魔法士、支援魔法士、回復魔法士、探索魔法士ってのが出てきたんだけどさ。探索魔法って何か分かる人いる?」

「ええぇ……。魔法使いの浸透が終わってる方がよっぽど驚くんだけど……」


 今回が初めての遠征のリーチェは、まだまだうちのパーティの浸透速度に慣れてくれないらしい。


「えっと、探索魔法だね。探索魔法は主にアウターで使用される魔法でね。トラップの感知や解除、アウターの構造を把握したり、真っ暗なアウターで視界を確保したりできる、アウターの探索に便利な魔法ってことだね」


 え、なにそれ。各地のアウター巡る時に絶対欲しい奴じゃん!

 けどスポットの探索しかしていない現状では必要無いのかな?


「ちなみに冒険者が浸透すると探索者って職業になることが出来てね。こっちはアナザーポータルっていう、アウター内で使えるポータルを使用することが出来るんだよ」


 へぇ。冒険者の上級職に進めば、アウター内で使える移動魔法を習得できるんだ?

 でもそこはアウターポータルで良くない? いや誰に言えばいいのか知らないけどさぁ。


「支援魔法っていうのは?」

「支援魔法は、一時的に職業補正を上げてくれるような魔法が多いね。あとは防御系の魔法とかも支援魔法に含まれるよ。あくまで効果は一時的だけどね」


 支援魔法は戦闘のサポートって感じだね。探索魔法は戦闘外を担当するわけか。


「説明ありがとうリーチェ。分かりやすかったよ」

「ふふ。お役に立てたようでなによりだよ」


 リーチェにお礼を言って、そしてみんなに軽く頭を下げる。


「集まってもらった割に大した話じゃなくてごめん。このまま少し休憩してから遠征を再開しよう」

「謝らないでください。聞いたことのない職業ですし、ご主人様が混乱したのも分かりますよ」

「しかし物好きというと、まさにダンのような職業じゃのう」


 いやいや。俺なんかを好きになってくれたみんなのほうが絶対物好きだからね?

 こんなこと言ったらドロドロにされそうだから、絶対に言わないけどぉ。


 少し長めの休憩を取った後に進軍を再開する。

 ある程度魔物を殲滅して、追加職業の好色家がLV7になった事を確認する。ちゃんと追加職業の浸透も進むらしい。

 次に上げる職業は少し迷ったけれど、追加職業を武器職人に変更する。



 武器職人LV1
 補正 持久力上昇 身体操作性上昇 五感上昇
 スキル 武器鑑定 武器作成 インベントリ
 


 武器鑑定に詠唱は……、必要ないみたいだね。

 それじゃ早速、自分が握っているロングソードに武器鑑定っと。



 鋼鉄のロングソード



 ……は? な、名前、だけ?

 え、ちょっと待って? このロングソードには無しが2つあったはず。なんで表示されてないんだ?


 ロングソードに向かって、今度はただの鑑定を使ってみる。



 鋼鉄のロングソード
 無し 無し



 やっぱ無しが2つある。


 なんだこれ? 効果が限定されている武器鑑定のほうが鑑定よりも効果が低いスキルなの?

 いや、分析官はかなりの上位職業っぽいし、そっちのスキルである鑑定のほうが強いのは当たり前か?


 次に武器作成と念じてみる。

 すると、ドロップアイテムの鉄と皮があれば、ナイフが作れるというのが直感で分かる。


 ナイフしか作れないのは、LVが1のせいかな?

 よし、さっさとレベルアップして確認だ。インベントリも追加されるしね。


 やる気になった俺は、魔物を虐殺して積極的にレベリングする。

 そして武器職人LV3になった時、突然ダガーのレシピが頭に浮上してきた。ピコーンって? 不思議な感覚だなぁ。


 ダガーの製作には鉄が2つと、皮と革が必要だそうな。

 お試しに作ってみたいけど、今更ナイフやダガーを作っても仕方ないしなぁ。もうちょっと育てよう。



 遠征5日目に入る。

 前回6日かけてきた場所を、5日目で通過してしまう。

 前回よりも全然早いなぁ。レベルアップも早まっている。とても順調だ。

 
 武器職人LV15で、鋼鉄系の武器のレシピが頭の中に浮かんでくる。

 俺とフラッタの武器は鋼鉄製だけど、ティムルのダガーは無印だ。試してみるならここ辺りが良さそうかな?


「ねぇねぇ。武器職人のレベルが上がったから武器作成を試してみたいんだ。鉄4個と革と皮、それと岩石が1つ、全部あるよね? できれば2つ分あると嬉しいけど、どうかな?」

「えーっと、2つ分だと鉄が8つですね。ええ、大丈夫です。全部足りますね」


 インベントリの中身を確認したティムルから、鋼鉄のダガー2本分の材料を受け取る。

 さぁてさっそく武器作成に挑戦だっ。


 スキルの使い方はもうほんと、直感で分かるとしか言い様がないんだよなぁ。

 まずは1つ分の材料を並べて、スキルを使用する。


「抗い、戦い、祓い、貫け。力の片鱗。想いの結晶。顕現。鋼鉄のダガー」


 詠唱してスキルを発動すると、地面に並べた材料が光の球体に包まれて見えなくなる。

 数秒して光が収まると、そこには1本の武器が完成していた。すぐさま鑑定する。



 鋼鉄のダガー



 無しは1つも表示されない。どうやらスキルはつけられないようだ。残念。

 続けてもう1度同じ手順を繰り返し、鋼鉄のダガーをもう1本作成した。

 残念ながらこちらもスキルはつけられない模様。


 そして2本目のダガーを作った俺に、微妙に魔力枯渇の兆候が現れる。

 これでも魔法使いを浸透させてあるのになぁ。武器作成は魔力消費が激しいっぽい。


「ほいティムル。この2本はティムルのね」

「あっ、ありがとうございます……! ありがたく使わせていただきますねっ」


 作ったばかりの鋼鉄のダガーを、2本ともティムルに手渡す。

 おっかなびっくり受け取りながらも、嬉しそうにお礼を言ってくれるティムル。


「はぁ~、ようやくティムルも野盗のダガーを卒業させられるよぉ」


 4ヶ月くらい、無印のダガーで戦わせてしまった気がするよぉ。

 済まぬっ! 済まぬぅっ!


「本当に自分で武器作成をしてしまうなんて……。金銭面だけなら、もう魔物狩りをしなくても暮らしていけそうですねぇ」

「金銭面だけ見ればね。ニーナの呪いとフラッタのお兄さんと、そしてリーチェの問題さえ解決できれば、もうずっと寝室に篭ってみんなを可愛がるだけの生活がしたいんだけどぉ」


 現実はそう甘くはないのだ。

 お金だけあっても、俺の欲しいものには手が届かないんだよねぇ。


 4人との爛れた生活を想像しながら、そのイメージを全てエロ集中に費やして魔物を虐殺していると、遠征5日目にして2度目の魔玉発光。

 しかも今度は5人分である。25万リーフである。う、うまぁ……!


「フラッタが豪商になったのと、私とティムルの豪商の浸透が進んでいるおかげですかね。それでもかなり早い発光速度ですが」

「か、かなり奥地に進んできているとはいえ、3日と経たずに5個の魔玉が発光ですか……! 今回の遠征はかなりの報酬が期待できそうです……!」

「妾の武器や税金で、皆には金銭的に負担ばかりかけてしまったからのぅ。妾の職業補正が役に立ったのであれば、これほど嬉しい事はないのじゃっ」

「魔玉発光促進なんてスキルがあること自体知らなかったけど、豪商が3人もいるパーティなんて普通ありえないからねぇ……。本当に規格外だよ、このパーティは」


 3日と待たずに魔玉発光。

 更にこれからもっと奥地に入っていくわけだし……。


 この分なら1回の遠征で300万リーフとか……、期待できたりしちゃうかなぁ?
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