107 / 878
2章 強さを求めて2 新たに2人
107 ホットサンドメーカー無双 (改)
しおりを挟む
なんだか分からないうちに好色家先生が公認になって、夕食での話は終わってしまった。
待て。結局俺に都合良過ぎる流れで終わってない? 作為的なものを感じる?
いや、今回に関してはエロいことしか感じない。俺はみんなとイチャイチャしたくて、みんなも俺とイチャイチャしたい。だから早く好色家をあげてね?(はぁと)。
これだけの話だ。作為もクソもない。
夕食のあとは寝るだけの予定だったのに、ティムルの話で盛り上がってしまって、ニーナに注いでティムルに注いで、フラッタに注いでニーナに注いで、ティムルに注いでフラッタに注いで、その間ずっとリーチェを可愛がって、全員を2回ずつ相手してから裸で寄り添って眠りについた。
むにゅむにゅでふかふかで最高だ。
むにゅむにゅふかふかは最高だったのだけど、あまりに最高すぎて、遠征出発日だというのに朝から色々漲ってしまい、おはようのちゅーをしながらニーナに注ぎ込んでティムルに注ぎ込んでフラッタに注ぎ込んで、おはようのちゅーの第2ラウンドを開始して、また3人に1度ずつ注ぎこんでしまった。
回転式拳銃だから弾数が6発なのは仕方ないね。
最後に2回分のおはようのちゅーをしながら、リーチェのおっぱいを玩具にする。
しかし昨日は凄いな。夜から夜明けまでずっとしてて、休憩挟んで夕食までずっとして、夜は6回、朝は6回って、性豪とか絶倫とかってレベルじゃないなぁ我ながら。
そりゃあティムルも心配しますわ。
でもさぁ。やっぱり4人がエロ過ぎるのも悪いと思うのよ?
今キスされながらミルクラインを愛撫されて、ぴくんぴくんと跳ねてるエロス創世神を筆頭に、俺の内面全てを覗き込んで俺の心を丸裸にしちゃうニーナとか、元々大分エロかったのに技術と愛情が上乗せされちゃって、相乗効果でもはや最強に見えるティムルとか、俺を常に全肯定して、細かいこととかどうでも良くなるくらいに可愛いフラッタとか、社会的に許されるなら、ずーっとこの4人とエロいことだけして生きていきたい。
リーチェを解放し、みんなの頭をそれぞれなでなでしてから身支度を整えて、俺だけ先に寝室を出る。
睡眠も取ったしやることもやったし、今の俺の体調はパーフェクトだ。
みんなには感謝とお礼を兼ねて、今日の朝食くらいは用意しなきゃね。
遠征前の朝食は、食材を全て使い切らないといけない為に少し面倒だ。
でも次に帰ってくるの24日後の予定だし、冷蔵庫があっても厳しそうな日数を、冷蔵庫無しで放置など出来ないからね。ちゃんと使い切らないと。
それにしても、年内のうちにスポットのほぼ中央まで行けるとは思ってなかったな。
行けるとしたら来年以降、ニーナの呪いを解いて移動阻害が無くなってからじゃないと無理だと思っていた。
ティムルとフラッタとリーチェに話を聞くと、中央付近ではそこでしか出会えない強力な魔物も多いらしいので、いくらフラッタとリーチェが加入するとしても油断するわけにはいかない。
出来れば今回の遠征で、その強力な魔物を1人でも倒せるくらいの実力を身につけたいけど……。まずは出会えるかどうかだもんなぁ。
食堂に山のように料理を並べていると、4人が身支度を整えてやってきた。
さっきまで裸の4人を見ていたのに、服を着て遠征に赴く心構えが出来ている4人の姿も、やっぱり魅力的だと思う。
夜にベッドの上で裸に剥こうとも、明るい時間に衣服に身を包まれていようとも、彼女たちが魅力的であることは変わらないのだ。
「「「「ん、んん~~~っ!!」」」」
ひと口料理を頬張って、着席ダンスを躍っている4人が魅力的なのは変わら……、いや変わるか? めっちゃ可愛くない?
常時最高に魅力的なくせに、最大瞬間風速で更に可愛くなる女の子ってズルいわぁ。男なんか美味しいもの食べても大して魅力的に見えないでしょ。
「ダンっ! これ食べたことないよっ!? 美味しいっ! すっごく美味しいよっ!」
「ズルいぃぃ~。もうダンに掴まれてないものなんてないのにぃぃ。なんで貴方、胃袋まで掴みにくるのよぉぉっ」
「ニーナとティムルに気に入ってもらえて嬉しいよ。あとで作り方は教えるね。まぁ結局はホットサンドメーカー様頼りなんだけどさ」
2人が食べてるのはただのチーズハンバーグなんだけどね。ホットサンドメーカーで焼いただけで。
チーズはちょっとお高いけど普通に流通しているので、チーズを肉だねに突っ込んで、更には上にもチーズを乗せて焼いただけだ。
工夫と呼べるのは、乗せる用のチーズを別に焼いておいて、カリカリチーズを最後に乗せたことくらいかな?
カリカリにしたチーズ、好きなんだよねぇ。
「これは凄いっ! これは美味いのじゃっ! 何で今まで作ってくれなかったのじゃあっ!」
「美味しいよぅ。美味しいよぅ。なんでぼく、料理出来ないのかなぁ」
「何でも何も、今適当に作ったからだよ。リーチェは料理覚えたいなら教えるよ? ずっと一緒に過ごすんだからね」
フラッタとリーチェが食べているのは即席の惣菜パンだ。
ハンバーグ用に作った肉だねを半分にして、そこに香辛料と果物を摩り下ろして甘辛のピリ辛に味付ける。
それを適度な厚さに切ったパンに挟んで、最後はホットサンドメーカー様に焼いていただいた。
イメージ的には餃子パンかなぁ? 甘辛だし。
この世界は日本と比べて食材の価格がアベコベだ。
魔物から取れる素材は基本的に安価で流通しているけど、野菜や果物なんかは高額になりやすい。
なのでみんな放っておくと肉中心の食生活になってしまう。
上手に美味しく野菜や果物も食べて、健康な食生活と爛れた生活を送りたい。
デザートというわけでもないけど、細かく切ったパンに砂糖を塗して弱火で炒めてラスクモドキを作り、パンの切れ端に卵と砂糖だけ絡めて焼いた、1味足りないフレンチトーストも出してやる。
ミルクは流石に在庫が無かったのよ。足が早いからね。
「いつものとはちょっと違うけど、これはこれで美味しいねっ」
「なにこの食感。サクサクって……。軽いのに結構お腹に溜まる……? なんで?」
「美味いのじゃぁぁぁっ! 妾たちが起きるまでの間に、なんでこんなものが出来るのじゃあああっ」
「太っちゃうぅぅ。今でさえむっちりって言われてるのにぃぃぃ」
やっぱり甘い物のほうが反応がいい気がするなぁ。
お菓子作りなんて手を出したことがないけど、こんなに喜んでもらえるなら色々試して再現していきたいなぁ。
でもお菓子作りって、適当にやったらダメなんだっけ? 難しいかぁ。
そしてリーチェ。お前が摂取したカロリーはどうせ全部おっぱいとお尻に集中するから。遠慮なく食って大丈夫だからね。
みんなが食堂で食休みしている間にシーツを取替え、家中の戸締りを確認し、朝食の洗いものを済ませる。
食堂でのんびりごろごろしている4人が可愛くて仕方ないんだけど、君らこれから魔物狩りに行くって覚えてる? 大丈夫?
「さぁそろそろ行くよみんな。なるべく奥まで行って、なるべく浸透を進めたいからね。それにのんびりしすぎてると大工さんたちも来ちゃうよ」
「ごめんなさい。ダンに全部やってもらっちゃったね。ありがと。女4人もいて、ダンに全部やらせちゃった……」
「別にこんなのなんでもないよ。他にやる事があるわけでもないしね。みんながゆっくり出来てたのならそれでいいんだよ」
しょんぼりニーナをよしよしなでなで。隣りでやっぱりしょんぼりしているティムルもよしよしなでなで。
家事技能が壊滅してて、話に参加出来ないフラッタとリーチェにもよしよしなでなでしておく。俺がしたいから。
俺とティムルの2人で、1ヶ月分を想定した物資を持ち上げ家を出る。
「ティムルとフラッタとリーチェは、知ってるアウターとかあったら教えて欲しい」
スポットに着くまで無言というのも寂しいので、到着までは雑談タイムだ。
到着したあとも、ある程度進むまでは雑談タイムかもしれないけど。
「ひょっとしたらニーナの問題の解決の糸口があるかもしれないしさ。単純にアウターに興味もあるんだよね」
「んー、私は戦闘職ではないので、殆ど知識が無いですね。ということでフラッタちゃんとリーチェに譲ります」
「ふむ。残念じゃが妾もそこまで詳しくないのじゃ。ヴァルハールの地下には『竜王の地下墓地』と呼ばれるルインがあっての。そこくらいしか知らぬ」
へぇ? ヴァルハールには地下にルイン型のアウターが存在してるのね。
つまりフラッタの職業浸透はヴァルハールの中で進められたわけかぁ。
「ぼくもそんなに詳しいわけじゃないんだよね。 ぼくの旅って目的があったわけじゃなくて、定住する場所が無かっただけだしさ」
あら? 本命のリーチェもアウターについては良く知らないのか。ちょっとアテが外れちゃったな。
「ぼくは腕に覚えがあるけれど、それでもアウターに1人で挑むのは危険すぎるからね。ここみたいにフィールド型アウターならトラップとかもないし、さほど危険でもないんだけど」
げっ。トラップとかあるのかよ、ってニーナの呪いも元はトラップだったんだっけ。
屋外型のアウターにはトラップが無いとか今初めて知ったわ。危ういなぁ俺。
「トラップってのは、ルインにもケイブにもあるわけ?」
「うん。屋内系のアウターなら何処にでもトラップはあるはずだよ。入り口付近にそれほど強力なトラップは無いはずだけどね」
「なるほど。ありがとうリーチェ」
ん? 屋内型のアウターなら何処にでもトラップはある?
となるとルイン、遺跡型アウターの竜王のカタコンベにもトラップって存在してるんじゃ?
「フラッタは竜王のカタコンベで浸透を進めてたのか? もしそうなら、トラップとか大丈夫だったの?」
「うむ。察しの通り、妾は竜王のカタコンベで浸透を進めたのじゃ。トラップに関してじゃが、妾は遭遇したことがないのじゃ」
へぇ? 9歳から5年間探索していたんだろうに、それでもトラップに遭遇したことは無いのか。
確か屋内型アウターは常に内部が変化するとか聞いた気がするけど、トラップの現れ方に何か法則でもあるのかな?
「そこまで深い場所に潜れていなかったというのもあるじゃろうし、竜王のカタコンベはヴァルハールの多くの住人が活動している場所じゃからのう。トラップとの遭遇率は他より低いかも知れぬな」
なるほど? 沢山人が入ってるから、トラップがあったとしても自分に当たる可能性は低いってことか?
なかなか殺伐としたトラップ回避術だなぁ。
「その竜王のカタコンベにも入ってみたいところだけどな。ヴァルハールって、徒歩だとどれくらいかかるのかねぇ?」
「んー、かなり遠いのじゃ。徒歩での時間は計算したことがないが、マグエルから見るとスペルドの王都であるスペルディアを挟んで反対側じゃからのぅ。数ヶ月くらいは覚悟する必要があろうな」
ちっ、流石に遠すぎるな。
各地のアウターを回りながら、最終的に目指す場所、くらいの距離がある。
「各地のアウターの場所と距離って、調べる方法は無いかなぁ?」
「ああ。それなら冒険者ギルドに問い合わせればいいんじゃないかな? ギルドのポータル担当者は各都市に行けるわけだしね。ただし、お金は取られると思うよ」
情報料が取られるのは仕方ないかぁ。
んー、正直フラッタとリーチェの知識をアテにしてた部分もあるから、ちょっと困ったなぁ。
しかしフラッタ。思った以上に何も知らなかったな。
……そう言えばこいつ、初対面の時に俺とニーナに子供が、とか言ってたよな? あれって冗談だったのか本気だったのか分からないんだけど。
「ねぇフラッタ。お前さ、うちに初めて来た時、俺とニーナに子供がいるとか勘違いしたことあったよね? アレって本気だったの? 冗談だったの?」
「むぅ? 言っている意味が分からぬのじゃ。ダンは妾に何を聞きたいのじゃ?」
「いや、俺が人間族でニーナが獣人族だって分かってて、なんで子供云々言ってきたのかと思ってさ。異種族間では子供は出来ないってことを知ってたのか知らないのか、そこが聞きたい」
もし俺の子供を産むつもりだったのなら大歓迎だけど、絶対に出来ないらしいし。
「ああそういうことか。流石に妾もそのくらいは知っておるのじゃ」
良かった。俺の子供を産めずに泣くフラッタなんて居なかったんだ。
「じゃがのダン。この世界では異種族の子供を引き取るケースはそこまで珍しくないのじゃ。パーティメンバーが死んでしまって、その子供を引き取ったりとかのぅ」
へ? 異種族間のパーティって珍しいんじゃ……、ってそうか。人間と獣人の混成パーティくらいまでなら普通にあるのか。人口的な意味で。
思いのほか雑談が盛り上がってしまって、気付くともうスポットの前に到着していた。
「よし。それじゃ今回の遠征から帰ったら、アウターの情報も集めよう。フラッタもリーチェも、旅にも一緒に来てくれるって思っていいんだよね?」
「無論じゃっ」
「ダメって言ってもついてくからねっ」
好色家は上げていいし、風呂は出来上がってるし、マグエルの外に目を向けることになるしと、今回の遠征から帰ったら新しい展開が待っていそうだな。
実際に動き出すのは来年になってからとはいえ、少しどきどきしてくる。
まずはニーナの呪い。
次にフラッタの兄、シルヴァの行方。
そして、リーチェの抱える事情。
まったく、来年は今よりもずっとずっと大変な年になりそうだなぁ。
待て。結局俺に都合良過ぎる流れで終わってない? 作為的なものを感じる?
いや、今回に関してはエロいことしか感じない。俺はみんなとイチャイチャしたくて、みんなも俺とイチャイチャしたい。だから早く好色家をあげてね?(はぁと)。
これだけの話だ。作為もクソもない。
夕食のあとは寝るだけの予定だったのに、ティムルの話で盛り上がってしまって、ニーナに注いでティムルに注いで、フラッタに注いでニーナに注いで、ティムルに注いでフラッタに注いで、その間ずっとリーチェを可愛がって、全員を2回ずつ相手してから裸で寄り添って眠りについた。
むにゅむにゅでふかふかで最高だ。
むにゅむにゅふかふかは最高だったのだけど、あまりに最高すぎて、遠征出発日だというのに朝から色々漲ってしまい、おはようのちゅーをしながらニーナに注ぎ込んでティムルに注ぎ込んでフラッタに注ぎ込んで、おはようのちゅーの第2ラウンドを開始して、また3人に1度ずつ注ぎこんでしまった。
回転式拳銃だから弾数が6発なのは仕方ないね。
最後に2回分のおはようのちゅーをしながら、リーチェのおっぱいを玩具にする。
しかし昨日は凄いな。夜から夜明けまでずっとしてて、休憩挟んで夕食までずっとして、夜は6回、朝は6回って、性豪とか絶倫とかってレベルじゃないなぁ我ながら。
そりゃあティムルも心配しますわ。
でもさぁ。やっぱり4人がエロ過ぎるのも悪いと思うのよ?
今キスされながらミルクラインを愛撫されて、ぴくんぴくんと跳ねてるエロス創世神を筆頭に、俺の内面全てを覗き込んで俺の心を丸裸にしちゃうニーナとか、元々大分エロかったのに技術と愛情が上乗せされちゃって、相乗効果でもはや最強に見えるティムルとか、俺を常に全肯定して、細かいこととかどうでも良くなるくらいに可愛いフラッタとか、社会的に許されるなら、ずーっとこの4人とエロいことだけして生きていきたい。
リーチェを解放し、みんなの頭をそれぞれなでなでしてから身支度を整えて、俺だけ先に寝室を出る。
睡眠も取ったしやることもやったし、今の俺の体調はパーフェクトだ。
みんなには感謝とお礼を兼ねて、今日の朝食くらいは用意しなきゃね。
遠征前の朝食は、食材を全て使い切らないといけない為に少し面倒だ。
でも次に帰ってくるの24日後の予定だし、冷蔵庫があっても厳しそうな日数を、冷蔵庫無しで放置など出来ないからね。ちゃんと使い切らないと。
それにしても、年内のうちにスポットのほぼ中央まで行けるとは思ってなかったな。
行けるとしたら来年以降、ニーナの呪いを解いて移動阻害が無くなってからじゃないと無理だと思っていた。
ティムルとフラッタとリーチェに話を聞くと、中央付近ではそこでしか出会えない強力な魔物も多いらしいので、いくらフラッタとリーチェが加入するとしても油断するわけにはいかない。
出来れば今回の遠征で、その強力な魔物を1人でも倒せるくらいの実力を身につけたいけど……。まずは出会えるかどうかだもんなぁ。
食堂に山のように料理を並べていると、4人が身支度を整えてやってきた。
さっきまで裸の4人を見ていたのに、服を着て遠征に赴く心構えが出来ている4人の姿も、やっぱり魅力的だと思う。
夜にベッドの上で裸に剥こうとも、明るい時間に衣服に身を包まれていようとも、彼女たちが魅力的であることは変わらないのだ。
「「「「ん、んん~~~っ!!」」」」
ひと口料理を頬張って、着席ダンスを躍っている4人が魅力的なのは変わら……、いや変わるか? めっちゃ可愛くない?
常時最高に魅力的なくせに、最大瞬間風速で更に可愛くなる女の子ってズルいわぁ。男なんか美味しいもの食べても大して魅力的に見えないでしょ。
「ダンっ! これ食べたことないよっ!? 美味しいっ! すっごく美味しいよっ!」
「ズルいぃぃ~。もうダンに掴まれてないものなんてないのにぃぃ。なんで貴方、胃袋まで掴みにくるのよぉぉっ」
「ニーナとティムルに気に入ってもらえて嬉しいよ。あとで作り方は教えるね。まぁ結局はホットサンドメーカー様頼りなんだけどさ」
2人が食べてるのはただのチーズハンバーグなんだけどね。ホットサンドメーカーで焼いただけで。
チーズはちょっとお高いけど普通に流通しているので、チーズを肉だねに突っ込んで、更には上にもチーズを乗せて焼いただけだ。
工夫と呼べるのは、乗せる用のチーズを別に焼いておいて、カリカリチーズを最後に乗せたことくらいかな?
カリカリにしたチーズ、好きなんだよねぇ。
「これは凄いっ! これは美味いのじゃっ! 何で今まで作ってくれなかったのじゃあっ!」
「美味しいよぅ。美味しいよぅ。なんでぼく、料理出来ないのかなぁ」
「何でも何も、今適当に作ったからだよ。リーチェは料理覚えたいなら教えるよ? ずっと一緒に過ごすんだからね」
フラッタとリーチェが食べているのは即席の惣菜パンだ。
ハンバーグ用に作った肉だねを半分にして、そこに香辛料と果物を摩り下ろして甘辛のピリ辛に味付ける。
それを適度な厚さに切ったパンに挟んで、最後はホットサンドメーカー様に焼いていただいた。
イメージ的には餃子パンかなぁ? 甘辛だし。
この世界は日本と比べて食材の価格がアベコベだ。
魔物から取れる素材は基本的に安価で流通しているけど、野菜や果物なんかは高額になりやすい。
なのでみんな放っておくと肉中心の食生活になってしまう。
上手に美味しく野菜や果物も食べて、健康な食生活と爛れた生活を送りたい。
デザートというわけでもないけど、細かく切ったパンに砂糖を塗して弱火で炒めてラスクモドキを作り、パンの切れ端に卵と砂糖だけ絡めて焼いた、1味足りないフレンチトーストも出してやる。
ミルクは流石に在庫が無かったのよ。足が早いからね。
「いつものとはちょっと違うけど、これはこれで美味しいねっ」
「なにこの食感。サクサクって……。軽いのに結構お腹に溜まる……? なんで?」
「美味いのじゃぁぁぁっ! 妾たちが起きるまでの間に、なんでこんなものが出来るのじゃあああっ」
「太っちゃうぅぅ。今でさえむっちりって言われてるのにぃぃぃ」
やっぱり甘い物のほうが反応がいい気がするなぁ。
お菓子作りなんて手を出したことがないけど、こんなに喜んでもらえるなら色々試して再現していきたいなぁ。
でもお菓子作りって、適当にやったらダメなんだっけ? 難しいかぁ。
そしてリーチェ。お前が摂取したカロリーはどうせ全部おっぱいとお尻に集中するから。遠慮なく食って大丈夫だからね。
みんなが食堂で食休みしている間にシーツを取替え、家中の戸締りを確認し、朝食の洗いものを済ませる。
食堂でのんびりごろごろしている4人が可愛くて仕方ないんだけど、君らこれから魔物狩りに行くって覚えてる? 大丈夫?
「さぁそろそろ行くよみんな。なるべく奥まで行って、なるべく浸透を進めたいからね。それにのんびりしすぎてると大工さんたちも来ちゃうよ」
「ごめんなさい。ダンに全部やってもらっちゃったね。ありがと。女4人もいて、ダンに全部やらせちゃった……」
「別にこんなのなんでもないよ。他にやる事があるわけでもないしね。みんながゆっくり出来てたのならそれでいいんだよ」
しょんぼりニーナをよしよしなでなで。隣りでやっぱりしょんぼりしているティムルもよしよしなでなで。
家事技能が壊滅してて、話に参加出来ないフラッタとリーチェにもよしよしなでなでしておく。俺がしたいから。
俺とティムルの2人で、1ヶ月分を想定した物資を持ち上げ家を出る。
「ティムルとフラッタとリーチェは、知ってるアウターとかあったら教えて欲しい」
スポットに着くまで無言というのも寂しいので、到着までは雑談タイムだ。
到着したあとも、ある程度進むまでは雑談タイムかもしれないけど。
「ひょっとしたらニーナの問題の解決の糸口があるかもしれないしさ。単純にアウターに興味もあるんだよね」
「んー、私は戦闘職ではないので、殆ど知識が無いですね。ということでフラッタちゃんとリーチェに譲ります」
「ふむ。残念じゃが妾もそこまで詳しくないのじゃ。ヴァルハールの地下には『竜王の地下墓地』と呼ばれるルインがあっての。そこくらいしか知らぬ」
へぇ? ヴァルハールには地下にルイン型のアウターが存在してるのね。
つまりフラッタの職業浸透はヴァルハールの中で進められたわけかぁ。
「ぼくもそんなに詳しいわけじゃないんだよね。 ぼくの旅って目的があったわけじゃなくて、定住する場所が無かっただけだしさ」
あら? 本命のリーチェもアウターについては良く知らないのか。ちょっとアテが外れちゃったな。
「ぼくは腕に覚えがあるけれど、それでもアウターに1人で挑むのは危険すぎるからね。ここみたいにフィールド型アウターならトラップとかもないし、さほど危険でもないんだけど」
げっ。トラップとかあるのかよ、ってニーナの呪いも元はトラップだったんだっけ。
屋外型のアウターにはトラップが無いとか今初めて知ったわ。危ういなぁ俺。
「トラップってのは、ルインにもケイブにもあるわけ?」
「うん。屋内系のアウターなら何処にでもトラップはあるはずだよ。入り口付近にそれほど強力なトラップは無いはずだけどね」
「なるほど。ありがとうリーチェ」
ん? 屋内型のアウターなら何処にでもトラップはある?
となるとルイン、遺跡型アウターの竜王のカタコンベにもトラップって存在してるんじゃ?
「フラッタは竜王のカタコンベで浸透を進めてたのか? もしそうなら、トラップとか大丈夫だったの?」
「うむ。察しの通り、妾は竜王のカタコンベで浸透を進めたのじゃ。トラップに関してじゃが、妾は遭遇したことがないのじゃ」
へぇ? 9歳から5年間探索していたんだろうに、それでもトラップに遭遇したことは無いのか。
確か屋内型アウターは常に内部が変化するとか聞いた気がするけど、トラップの現れ方に何か法則でもあるのかな?
「そこまで深い場所に潜れていなかったというのもあるじゃろうし、竜王のカタコンベはヴァルハールの多くの住人が活動している場所じゃからのう。トラップとの遭遇率は他より低いかも知れぬな」
なるほど? 沢山人が入ってるから、トラップがあったとしても自分に当たる可能性は低いってことか?
なかなか殺伐としたトラップ回避術だなぁ。
「その竜王のカタコンベにも入ってみたいところだけどな。ヴァルハールって、徒歩だとどれくらいかかるのかねぇ?」
「んー、かなり遠いのじゃ。徒歩での時間は計算したことがないが、マグエルから見るとスペルドの王都であるスペルディアを挟んで反対側じゃからのぅ。数ヶ月くらいは覚悟する必要があろうな」
ちっ、流石に遠すぎるな。
各地のアウターを回りながら、最終的に目指す場所、くらいの距離がある。
「各地のアウターの場所と距離って、調べる方法は無いかなぁ?」
「ああ。それなら冒険者ギルドに問い合わせればいいんじゃないかな? ギルドのポータル担当者は各都市に行けるわけだしね。ただし、お金は取られると思うよ」
情報料が取られるのは仕方ないかぁ。
んー、正直フラッタとリーチェの知識をアテにしてた部分もあるから、ちょっと困ったなぁ。
しかしフラッタ。思った以上に何も知らなかったな。
……そう言えばこいつ、初対面の時に俺とニーナに子供が、とか言ってたよな? あれって冗談だったのか本気だったのか分からないんだけど。
「ねぇフラッタ。お前さ、うちに初めて来た時、俺とニーナに子供がいるとか勘違いしたことあったよね? アレって本気だったの? 冗談だったの?」
「むぅ? 言っている意味が分からぬのじゃ。ダンは妾に何を聞きたいのじゃ?」
「いや、俺が人間族でニーナが獣人族だって分かってて、なんで子供云々言ってきたのかと思ってさ。異種族間では子供は出来ないってことを知ってたのか知らないのか、そこが聞きたい」
もし俺の子供を産むつもりだったのなら大歓迎だけど、絶対に出来ないらしいし。
「ああそういうことか。流石に妾もそのくらいは知っておるのじゃ」
良かった。俺の子供を産めずに泣くフラッタなんて居なかったんだ。
「じゃがのダン。この世界では異種族の子供を引き取るケースはそこまで珍しくないのじゃ。パーティメンバーが死んでしまって、その子供を引き取ったりとかのぅ」
へ? 異種族間のパーティって珍しいんじゃ……、ってそうか。人間と獣人の混成パーティくらいまでなら普通にあるのか。人口的な意味で。
思いのほか雑談が盛り上がってしまって、気付くともうスポットの前に到着していた。
「よし。それじゃ今回の遠征から帰ったら、アウターの情報も集めよう。フラッタもリーチェも、旅にも一緒に来てくれるって思っていいんだよね?」
「無論じゃっ」
「ダメって言ってもついてくからねっ」
好色家は上げていいし、風呂は出来上がってるし、マグエルの外に目を向けることになるしと、今回の遠征から帰ったら新しい展開が待っていそうだな。
実際に動き出すのは来年になってからとはいえ、少しどきどきしてくる。
まずはニーナの呪い。
次にフラッタの兄、シルヴァの行方。
そして、リーチェの抱える事情。
まったく、来年は今よりもずっとずっと大変な年になりそうだなぁ。
11
お気に入りに追加
1,820
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる