異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて2 新たに2人

093 翠の姫エルフ (改)

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 現在は遠征6日目の夜。魔物の襲撃を蹴散らした俺達は束の間の休息を取っている。

 明日の朝を迎えれば帰還を始めるタイミング。次の遠征からはリーチェも参加する予定だ。

 だから、聞いておくなら今しかないだろう。


「ねぇみんな。俺はリーチェの英雄譚を知らないんだ。良かったら聞かせてくれないかな? 休憩中の暇潰しだと思ってさ」

「そうですね。それでは私が父に聞いた話で良ければお話しましょうか」


 俺のお願いに直ぐに応じてくれるニーナ。


 鑑定は絶対にしないし、本人が話したくなるまでは踏み込まないと決めた。

 だけど一般的にも広まっている英雄譚くらいは確認してもいいでしょ。


 英雄譚に語られる人物の割に、あんまり尊敬されてたりチヤホヤされてたりするところ、見たことないんだよねぇ?

 強いのは認めるけど、本当に英雄なの? って疑いたくなるレベルなんだけど。ポンコツだし?


「父から聞いた話ですので誤りがあるかもしれません。フラッタとティムルは補足や訂正をお願いしますね」

「はい。と言ってもドワーフの私はあまりリーチェの英雄譚を知りませんけどね。商人時代に雑談で聞いた程度です」

「妾はスペルドの貴族としてしっかり教えてもらったからの。チェックは任せるがいいのじゃ」


 自信なさげなティムルと、任せろと可愛く胸を張るフラッタ。

 んー? フラッタの言い回しだと、スペルド王国の貴族はリーチェのことを知っていて当然、そう言ってるように聞こえるなぁ。


「それでは始めさせていただきますね。建国の英雄、リーチェ・トル・エルフェリアのお話を」


 け、建国の英雄ぅ? ってマジ? だってリーチェだよ? 腹ペコ風呂好きポンコツエルフだよあの人?

 つうかマジで何歳なんだリーチェって。


「お話の舞台はまだこのスペルド王国が成立する前の時代。正確な年月は分かりませんが、スペルド王国は少なくとも300年以上は続いている国です。それ以前のお話だと思ってください」

「早速補足じゃが、スペルド王国は今年で建国454年のはずなのじゃ。つまり500年近く昔の話だと思うが良いのじゃ」


 ちょうど疑問に思ったリーチェの年齢がいきなり判明してしまった。

 おおう、少なくとも500歳オーバーは確定なのか? そりゃフラッタを子ども扱いするわけだよ。


 そんな年月、リーチェはどんな気持ちで、たった1人で旅を続けていたんだろう?


「この地にスペルド王国が無かった頃、この地は1体の邪神に支配されていました。その邪神の名は『ガルクーザ』」


 邪神……。剣と魔法のファンタジー世界だし、神様も普通に存在していたのかな。


「邪神の視線は生物を石化させ、その吐息は病気を撒き散らし、1歩動けば大地が割れ、腕を振れば大地が抉れ、声を聞けば心が壊れる、そんな恐ろしい死と破滅の神でした」

「ここでも補足じゃ。破滅の邪神と呼ばれているガルクーザであるが、実際は神ではなくて超強力な魔物であったとされている。こことは異なる世界からやってきた、アウターより現れた脅威であると」


 アウターから出現した、神と呼ばれるほどの超強力な魔物かぁ。

 どう考えても厄介事の気配しかしないよね。微妙に俺と縁がありそうなのがさぁ。


「ガルクーザによって滅亡の危機に瀕したこの世界で、それでも諦めずに立ち上がった6人、1つのパーティがありました。人間族のリーダーに、獣人族、ドワーフ族、竜人族、魔人族、そしてエルフ族を加えたそのパーティのことはあまり詳しく伝わってなくて、単純に『6人の英雄』などと呼ばれているそうです」


 ここではフラッタの補足が入らなかった。どうやら本当にパーティ名が伝わっていないようだ。

 パーティ名が分からないから、便宜上6人の英雄と呼ぶわけか。
 適当な呼び名をつけない辺り、もしかしたら正式なパーティ名があったのかもしれないな。


「種族の壁を越えて手を取り合った6人の英雄は、仲間のドワーフが作った装備に身を包み、ガルクーザに戦いを挑みました。そして長い戦いの末に、ついにガルクーザの撃退に成功しました」


 邪神に立ち向かう為の装備はドワーフが製作したのか。職業の育成を進めれば、いつかティムルも装備品を作れるようになるのかな?


 う~ん……。話の流れ的に、リーチェが抱える問題ってのはガルクーザにガッツリ関わってそうだよなぁ。

 でもそれで俺の嫁になれないって流れはおかしくない? 俺の嫁になる資格が無いって、なんだ?


「しかしガルクーザの力は非常に強大で、英雄達も無事では済みませんでした。ガルクーザとの戦いで人間族のリーダーとエルフ族の美しい緑の瞳をした姫を除いた、他の4人の仲間は命を落としてしまったのです」


 パーティリーダーとリーチェを除いた全員が死んでいるのか。これは結構重要な情報かもしれないな。


「しかしガルクーザの脅威が去ったこの世界で、人々は英雄達を大いに称えます。種族の壁を越えて手を取り合った姿に、破滅の神を滅ぼしたその実力に心酔した人々は、口々に彼らを称え、こう望むようになるのです。『英雄に我らの王となってもらいたい』と」


 ふむ。分かりやすいストーリーだな。

 魔王を倒して帰ってきたら英雄と称えられて王になる。ロールプレイングゲームの王道ストーリーみたいだ。


「人間族のリーダーは人々の声に応える道を選び、エルフの姫は人々の前から去ることを選びます。リーダーが人々の上に立って導く道を選ぶなら、自分は人々の隣りで、共に生きる道を選ぶと」


 つまりその時からリーチェは旅をしているという事になるわけだ。

 少なくともガルクーザと戦った時はパーティを組む仲間が居たんだよな。
 だけど人間族のリーダーは生き残ったのに、どうしてリーチェは旅に出る事にしたんだろう?


「こうして人間族のリーダーが作った国が現在のスペルド王国で、王族はその子孫であると言われています。なのでスペルド王国の王族は、みんな人間族なんですよね」

「うむ。後半は特に補足することも無いのじゃ。これがスペルド王国建国の神話であり、建国の英雄リーチェ・トル・エルフェリアの英雄譚じゃ」


 正式に建国史を学んだらしいフラッタからのお墨付きを貰った。

 建国の英雄か。確かに先にこの話を知っていればネプトゥコの警備隊員の態度も頷けるかもしれない。建国の英雄を大泣きさせたとか、国中から糾弾されかねないもんな。恐ろしいわぁ……。


「なにせ大昔のことでな。詳しい記録が残っておらぬ。なぜリーチェがパーティのリーダーと袂を分かったのか、それはリーチェ本人に聞かねばならぬであろうな」


 ……建国史なのに詳しい記録が残ってない? そんなことありえるのか?

 だってこの世界にはエルフという長命種もいる。そもそもの当事者であるリーチェだって生きているのに。記録が失われても聞き直す事はいくらでも可能だろ?


 ……誰かが意図的に失伝させてしまったんじゃないだろうな? そんなことをする理由は思いつかないけど。



 リーチェの抱える事情的には、死んだ4人の仲間ってのが気になるよなぁ。

 でもそれよりも、さっきから物凄く気になって仕方ないんだけど……。


「えっと、リーチェってマジでお姫様なの? 通り名じゃなくて、ガチで?」

「そこは私から。リーチェは間違いなくエルフ族の王の娘だそうですよ」


 はいっと手を挙げてティムルが答えてくれる。

 仲が悪いはずのドワーフがエルフの事を答えるんかーいっ。


「ただし王位継承権は無く、リーチェがエルフの国に帰る事も禁じられているそうです。理由までは分かりませんが」


 ティムルの説明に、またしても首を傾げてしまう。


 ガルクーザを滅ぼしたエルフの姫君。それをなんで追放するようなことをする?

 王位継承権は元々なかったのか? それとも、その戦いが原因で失った……?


 ……なんかステイルークとニーナのことを思い出すな。

 まさかリーチェはガルクーザ戦で、何らかのステータス異常を受けている? だから閉鎖的なエルフ族に、英雄でありながらも追放されることになった、とか?


 ステータス異常が原因であるなら、鑑定やステータスプレートの提示を嫌がることにも説明がつくけど……。

 人々の上に立つ事を嫌ったのも、ステータス異常が原因であるとするなら納得できなくもない。

 
 しかしどうしても、俺と婚姻契約を結べない理由だけが分からないな。

 キスもハグもOK。おっぱいも毎日好きなだけ好き放題にしていいと言っていた。実際に好き放題にしたこともある。
 それは大丈夫なのに、なんで婚姻だけがダメなんだ?


 ニーナのケースで考えると、呪いの継承リスクが思い浮かぶ。

 だけど俺とリーチェの間に子供が出来る事はない。呪いを広める心配は無いはずだ。


 ……そう、契約。契約だけが禁じられている。

 リーチェのステータスプレートには間違いなく、何らかの瑕疵があるんだ。


 だがちょっと待って欲しい。

 今ここにいるフラッタだって、勿論好き合ってはいるけれど、ステータスプレート上ではパーティメンバー以上の繋がりはない。それでも俺の女なのだ。

 と考えればリーチェだってパーティには問題なく加入してるわけだし、別に婚姻契約が結べなくても問題なくない? という結論に至ってしまうんだけどぉ?

 うん。既にキスもめちゃくちゃしてるし、想い合っている自信はある。おっぱいも好き放題にしたし、今後も好き放題にさせてくれると思う。


 あれ? 何も問題なくない? マジで何か問題ある? 婚姻が結べないだけで、イチャイチャできるなら何も問題ないのでは?


 これはとりあえず本人に確認が必要だなっ。

 ニーナの移動阻害みたいに限定的な効果の呪いも存在するし、何か具体的な制約があるのかもしれない。

 事情を話してもらうのはいつでもいい。でも帰ったらリーチェとはなにが出来てなにが出来ないのかを、1度じっくり話し合う必要があるな。ベッドの上でっ!


 出来ることと出来ない事がはっきり分かれば、とりあえず出来る範囲で出来る事を全力でやればいい。

 キスしたり、おっぱい触ったりは問題ないはず。既に検証は充分だ。充分だけど続けよう。

 他に出来ることと出来ない事をしっかりと聞きだして、時間をかけて検証していけばいいのだ。


 あ、やっべぇ。帰ったらフラッタの事もあるっていうのに、リーチェと再会するのもめちゃくちゃ楽しみになってきた。

 ごめんリーチェ。お前の悩みを解決できなかったとしても、俺は生涯お前とイチャイチャ出来ればそれで充分満足なんだっ。


「えっと、ご主人様? なんでそんなにワクワクした表情をしてるんですか? まるでティムルを抱いたあと、私とティムルを同時に相手する姿を想像していた時みたいな顔してますよ?」


 なにその過去の実例を交えた的確すぎる指摘はっ!? ニーナさんったら主人の心を読むのやめてくれませんかねぇっ!?


「遠征から帰ったらフラッタとリーチェを抱けるのかなと思ったら、ワクワクが止まらなくなっちゃったのっ!」

「……ご主人様って、なんでえっち方面にはそんなに正直なんですかねぇ。私とニーナちゃんは、もうお払い箱なんですかぁ?」


 そんなわけないでしょっ! どっかのジジイと一緒にしないでよぉっ!

 ニーナとティムルをお払い箱にするとか、それなんて宝石箱だよっ!?


「フラッタを抱いてリーチェを抱いて、そのあと4人同時とか考えたら、今から心臓破裂しそうなほど興奮してますけどっ!?」

「ダンが、抱いて……、。この遠征から帰ったら、妾もとうとうダンに抱いてもらえるのじゃな……」


 俺の言葉に赤面して俯いたフラッタは、すぐに満面の笑みを浮かべて顔を上げた。


「ダン。妾の初めて、受け取って欲しいのじゃっ!」

「んも~~っ! これだからっ! これだからフラッタはぁっ! 俺が喜ぶセリフをクリティカルに放つのやめてよぉっ!」


 クリティカルヒット過ぎて、勢い余ってフラッタを押し倒すところだったじゃないかぁっ!

 遠征終了までまだ半分もあるんだよっ!? これ以上は我慢できなくなっちゃうじゃないかぁっ!


 以前俺はスポットの中ではピンク思考じゃないと言ったな。だが済まない。あれは嘘だ。嘘って言うか無理だ! こんなに魅力的な3人と一緒に過ごしてエロいことを考えないなんて、そんなの無理に決まってるじゃんっ!

 もうここがスポットだろうがなんだろうが、この場で3人を押し倒してめちゃくちゃにしたいっ! この情熱をどうすればいいんだぁぁぁぁっ!


 あ、ちょうどよく魔物の群れがこっちに近付いている。

 ちょっと君達、俺の欲求不満解消に付き合ってくれたまえ。


 さぁ戦闘だ! このピンク思考を塗りつぶすほどに集中しろっ!

 うおおおおっ! テメェら全員皆殺しにしてやらぁっ! 主に八つ当たりでっ!
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