異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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2章 強さを求めて2 新たに2人

076 フラッタとリーチェ (改)

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 いつも通り1番に目を覚ます。
 今日は3連休の2日目か。遠征の疲れ、あまり残らなくなってきたなぁ。


 さて、昨日は丸1日何もしなかったから、というか何もさせてもらえなかったというか、もうありとあらゆる事をしていただいたというか、いやいやとにかくなにも用事が済ませられなかったので、今日は流石にだらだら過ごす訳にはいかないよね。

 2人が起きたらまた何されるか分からないので、寝ている間に身支度を済ませてしまう。


「ダーンー? ぎゅーってしてー?」


 身支度を整えているとお姫様のおねだりが聞こえてきた。我等がニーナ姫がお目覚めだ。

 昨日は奴隷モード皆無だったから、まだちょっと甘々モードかな?


「おはようニーナ。はい、ぎゅー」

「あふぅ……」


 寝起きのニーナを少し強めに抱きしめる。
 先に服を着た事を少し後悔なんて、してないったらしてないんだいっ。

 ぎゅーっと抱きしめながら、ニーナの柔らかいほっぺたに頬ずりする。


「やぁん。おひげ、くすぐったいよぅ」


 ……まずは髭剃りからか。ナイフで剃るの、未だに怖いんだよなぁ。

 あー、ホットサンドメーカー職人さんに何か作ってもらえないかねぇ?


 目覚めたニーナとティムルとたっぷり唾液を交換してから寝室を出る。



「やぁみんなおはよう。昨日は夕食を用意してくれてて助かったよ」

「出来れば朝食も用意しておいて欲しかったのじゃ。ダンよ。妾は空腹なのじゃ」


 1階に下りると食堂でリーチェとフラッタが待っていた。

 なに当然のようにいるんだお前ら。


「おはよう2人とも。俺の嫁になれば毎食うちで食えるからオススメだぞフラッタ。そんでお前は今日来たの? 昨日来てたの?」

「今朝来たのじゃ。鍵はリーチェに開けてもらってのう。リーチェと一緒に寝るから、今夜は泊めて欲しいのじゃ」


 残念。流石にもう同衾してはくれないか。

 俺の右手が寂しがって……はいないな。大体毎晩塞がってるし。


「別に俺と一緒に寝ても良いけど、滞在は了解した。明後日の朝に帰るのか?」

「うむ。おぬしたちの予定に合わせようと思っての。来月の礼拝日にも参加するつもりなのでよろしくなのじゃ」

「お前の家がある街でも礼拝日あるんじゃねぇの? それとも俺の家がもうお前の家認識なの? 大歓迎するよ?」

「あえて無視しておるのじゃから、延々とぶっこんでくるんじゃないのじゃーーーっ!」


 延々と求婚を繰り返していたら流石にキレられてしまった。


 しっかしほぼ毎回の休息日に来るなぁこいつ。もし遠征の日程を変える場合、ちゃんと連絡しないとダメだな。

 ……ダメなのかな?


 さてと、遠征あがりはいつも俺が朝食作ってるからな。今回も適当に用意しちまおう。


「昨日買出ししてないから余りモノしかないからなー? ニーナとティムルは2人と待っててくれ。俺が適当に用意してくるよ」

「はい、ありがとうございますご主人様。よろしくおねがいしますね」


 フラッタをナデナデしながら俺を見送るニーナ。フラッタがいるとニーナが崩壊するんだよなぁ。


 俺が食事を用意している間、食堂からは和やかな雰囲気が伝わってくる。ティムルとフラッタ、リーチェとフラッタももう完全に打ち解けてくれたみたいだ。


 遠征物資の残りで適当に用意した朝食を配膳し、みんなで食べながら雑談する。


「なぁフラッタ。今回はただ遊びに来ただけなの? それともなにか目的あるの?」

「うむ。遊び半分、情報交換半分といったところじゃな。俺の嫁に来たの? とか言うかと思ったのじゃ」

「それは随時受け付けてるから遠慮なく来てくれ」


 予想されているところに畳み掛けても仕方ないでしょ。お前が油断してるところに奇襲を仕掛けるのが戦術ってもんだ。


「でも情報交換って? 俺たちなんもしてないよ?」

「ああ、フラッタは僕に会いに来たんだよ。君に会いに来たんじゃなくって悪いね」


 フラッタとの会話にリーチェが割り込んでくる。

 そうか。2人とも同じ事件を追ってるんだから、協力したほうが早いね。


「将来的には2人とも俺の女になる訳だし一緒だろ。調査の方針を変えるって言ってたと思うけど、その後どうなの? 危なくない?」

「僕にとっては君と一緒に寝るほうがよほど危険だよ。マルドック商会の過去を調べたりネプトゥコの過去を調べたりとかで、戦う事もないからね。ちょっと退屈かな」

「妾もルーナ竜爵家の歴史や、兄上の過去の仕事などを調べておるのじゃが、妾は調べ物が苦手でのう。はっきり言って上手くいかないのじゃ」


 お前交換する情報持ってないんじゃないの、という言葉を喉元でぎりぎり飲み込んだ。

 一応ちゃんと調べ物はしているらしいんだから、成果が出ていない事に文句を言うのはご法度だよな。


「今回襲撃されるとしたら対人戦になりそうだからさ。万が一にも、俺に貰われる前に死ぬようなことはないようにしてくれよ」

「誰に言うておる。おぬしに貰われた後でも死ぬ気など無いのじゃ」


 ほう!? フラッタの中では既に俺に貰われる予定を立てているのかなっ!?

 テンションの上がる俺に、なんとなく自分の言葉に違和感を覚えたらしいフラッタが、はて? と首を傾げながら聞いてくる。


「……今の言い回し、何か変ではなかったかの?」

「いやいやいや? フラッタが気をつけてくれるならそれでいいんだよ」


 言質は取ったぜ! 別に何も意味はないけど俺の気分は全然違う! ヒャッハー!

 おーっと外野の皆さん。そんなに呆れたような眼差しを送るのはやめてくれないかなぁ?


 さて、フラッタの用事は理解したけど、今日は俺達も色々と動き回らなきゃいけないからな。その間この2人がどうしたいのか確認しておかなきゃ。


「俺たちは今日ちょっと用事回りしなきゃいけないけど、その間2人はどうするの? 一緒に行く? それとも仕事?」

「一緒に行こうかな。君達の休みに合わせて僕も休みたいと思ってるんだ。でもいくら休みでもこのまま1人で家に居ても仕方ないからね」


 いやリーチェはフラッタと情報交換しなよ。なんでフラッタがこっちについてくる前提で話してんの?

 ……まぁ来ると思いますけどぉ?


「それに僕とフラッタの話は出来れば君達にも聞いて欲しいんだよ。それで意見を交換できればってね」

「ええ? 俺たちが聞いても仕方なくない? しかも機密情報とかありそうで嫌なんですけどぉ?」


 少なくともネプトゥコの領主と、ルーナ竜爵家が関わってるからな。機密もりもりじゃないの?


 しかし話を嫌がる俺に向けて、リーチェはからかうような笑顔を見せる。


「おやぁダン。君は自分の女の話も聞けないような男だったのかい?」


 ……は、拝聴させていただきますぅ。

 こういう返しが出来る辺りが、フラッタより1枚上手だよなぁ。


 5人で遠征物資の余りを食べ尽くした後、用事を済ませにみんなで家を出た。



 まずは冒険者ギルドに行ってドロップアイテムを換金すると、今回の報酬は約56000リーフだった。

 前回は4万ちょっとだったっけ? 1万リーフ以上報酬が増えてる。ドロップだけで1魔玉分稼げてるのはかなり良いな。


「へぇ? 君達3人の割には随分稼いでるみたいじゃないか。3人ともインベントリを使えるなんて恵まれてるねぇ」


 一緒にいるリーチェがドロップアイテムの売却額を見て感心したように褒めてくれる。


 だけどリーチェの評価は3人の割には、だ。こんなところで満足するわけにはいかない。

 まだまだ足りない。どんどん強くなってもっともっと稼がないとなぁ。


「インベントリって使える職業結構あるって聞いたけど、他のパーティはそんなにインベントリ持ちがいないのな?」

「うん。インベントリが使える職業は多いけど、そのどれもが戦闘職じゃないからね」


 そっか。どうしたって魔物狩りを志す者だったら戦闘職を優先しがちだもんな。戦闘系の補正がかからない旅人を選択する人ってそんなに多くないのかもしれない。

 俺達は1ヶ月と待たずに転職しているけど、普通の人達は自分の職業が育ちきったことも分からない。転職なんて数年に1度の頻度でしか行われていないそうだからな。
 そりゃあ戦闘補正のある戦闘職を優先するのも無理はないかぁ。


「ダンとティムルは行商人って話だから、旅人のまま長く過ごしたんでしょ? 2人だけでもかなり運が良いのに、ニーナも使えるなんて凄い幸運だよ」

「でもリーチェも使えるんだったよな? ちなみにフラッタはインベントリあるの?」

「いや、妾は使えないのじゃ。妾は戦闘職にしかなったことがないからのう」


 フラッタ……。お前今のところ、リーチェの下位互換になってるぞ……。

 美貌だけは全く負けてないけどさ。


 次は装備のメンテナンスに武器、防具屋へ足を運ぶ。
 メンテナンスをお願いしている間に、装備の更新を視野に入れて店内を見て回った。

 俺とニーナの武器を更新するとなると30万リーフを越えてくる。かと言って防具も厳しいか。革の帽子で9万、革の靴で7万。革の軽鎧は38万リーフ。

 この世界、ほんとに装備品が高いんだよぉ。

 ティムルのダガーも、1つ上の品質である鋼鉄のダガーになると15万か。跳ね上がるなぁ。


 ……あれ? ダガーと言えば鋼鉄のダガーよりも品質が上のはずのブルーメタルダガー、ティムルに査定してもらった時12万とか言われなかったっけ?

 店舗毎に値段が違う? それとももしかして、ティムルなりの心付けだったのか……?


「うん。やっぱり装備品は高いよね。魔物狩りには絶対に必要なものだけど、とても気軽に買える値段じゃないよねぇ」


 ティムルのことを考えていると、装備品の値段で悩んでいると思われてしまったのか、俺に同意を示しながらおかしそうに口元に手を当てて笑いを堪えているリーチェ。

 確かにうちの稼ぎじゃちょっと厳しい値段だけど、一般的にはどうやって装備品を整えてるんだろうな?


「実力のある魔物狩りは各地のアウターを回って、財宝狙いの一攫千金が多いかな? 運が良ければアウターで装備品そのものが手に入る訳だし。スキルジュエルなんて拾ったら好きな装備品が買えちゃうよ」


 なるほど、地道にコツコツ稼いで装備品を更新する奴は少ないのか。

 しかしなんだって装備品はこんなに高いんだ? いくら魔物狩りには必須とはいえ高すぎるだろ。


「えぇ? 装備品が高い理由……って、ダンは記憶喪失になったんだっけ? でもそんなのティムルでも教えられるでしょ? まあいいけど」


 言われてみればティムルに聞いても良かったのか。なんとなく流れでリーチェに聞いてしまった。


「装備品はそれぞれ武器職人、防具職人、宝飾職人のスキルでしか作れないからね。作り手が足りてないんだよ」


 ……へぇ? 装備品ってスキルで作れるのか。だとすれば俺やティムルでも、装備品の作成は可能か?

 武器職人、防具職人、宝飾職人ね。そう言えば職人って職業もあったな。職人から派生する流れかもしれない。


「それにアウター内で死んでしまうと、装備品はアウターに飲み込まれて消滅しちゃうんだ。要は、必要な数に生産が追いついてないのさ」


 アウターで死ぬと装備品は消滅しちゃうのか。偶然死体を見つけてそこから装備品を剝ぎ取り、なんて真似は不可能なんだな。


 しかしリーチェは凄いな。打てば響く鐘のようだ。聞いた事をスラスラ答えてくれる。

 なんだかポンコツ腹ペコ超美人巨乳姫エルフのイメージしかなかったけど、こいつってやっぱり凄い実力者なんだなぁ。


 リーチェに装備品のマメ知識を披露してもらった後は、多分大量に必要になる食料を買いに市場に足を運んだ。


「ダン! ミルクが足りないよ! あとパンも! えっと、あとネルタ! それとキンリでしょ、あとは……!」


 大量の食材、主に甘味の材料に使われそうな果物を大量に買い漁るリーチェ。うちの金なんだけどなぁ? 気にしないけどさ。

 まったく、ちょっと見直したのに市場に着いた途端にこれだよ。やっぱ腹ペコエルフだったわ。


「前回のピリッとしたのも美味しかったのじゃ。妾は甘いモノもしょっぱいモノも全部好きなのじゃ。だからいっぱい作るが良いぞ、ダンよ」


 作るが良いぞ、じゃねぇよ。
 お前は腹ペコっていうよりイナゴかフラッタ。

 夕食への期待に瞳を輝かせているフラッタをよしよしなでなでしながら、ニーナが可愛く首を傾げている。


「んー。もう完全に2人ともご主人様に甘えてますよねぇ。ティムルの時もそうでしたけど、なんでご主人様って女性に甘えられやすいのでしょう?」


 なんででしょうねぇ。この世界に来るまでは女性に甘えられた経験なんて無かったよ?

 ニーナの疑問に、私の話になりますけど……、と前置きしてティムルが答える。


「ご主人様は出来ないことは出来ないってきっぱり断るから、そうでないものは良いのかな? って思っちゃったりするかもですねぇ。変に探ったり勘ぐったりする必要がないと言いますか……」


 ああ、基本的に単刀直入がモットーだからね。駆け引きとか出来る気がしないし、何よりめんどくさいんだよ。


「ん~。その割には出来る確信がないことでも、強引に話を通しちゃったりしますよ? 私の呪いなんかが良い例ですし、ティムルもシュパイン商会と縁切りさせる為にわざと奴隷に落としてますからねぇ」

「え~? それは無理を通すからこそかっこいいんじゃないですかぁ。俺には出来ないなんて言うような人だったら、私たち今頃どうなってたか……」

「ねぇ2人とも。俺への評価は俺のいないとこでやってくれないかなぁ? なんで自分の評価を目の前で聞かされなきゃいけないわけよ?」


 ティムルにかっこいいって言われるのは嬉しいんだけどさぁ。正直目の前で褒められても貶されても困るってーの。


 市場で、普通なら1週間は持ちそうな量の食材を買い込んで家に戻る。流石に足りてくれよぉ……?


 帰宅したら暗くなるまで、リーチェとフラッタによる俺へのボコボコタイムの開始だ。

 ボコボコっていうとマイナスイメージしかないけど、フラッタとリーチェによるかわいがり、って言われるとテンション上がらない?

 上げてる場合じゃない? ボコボコボコボコ。いたい。


 おっぱいを見る。感謝の念が沸き起こる。ボコボコボコボコ。痛いってばぁ。


「ダン。おぬし少し魔物狩りへの慣れを感じるのじゃ。そういう時が最も危険。用心するのじゃぞ」


 稽古を終えた後、フラッタが少し鋭い眼差しで俺に警告してくる。


 魔物への慣れかぁ。必要なものだと思うけど、慣れすぎるのも危険だってワケだ。匙加減、難しいなぁ。


 日が落ちてきて間もなく夕食の時間。

 食に飢えた4匹の美しき獣たちが、そろそろ目を覚ます時間だ。


 ……いや食に飢えたって、それただ腹減ってるだけだよね?

 はぁ~、今日も厨房は戦場になりそうですねぇ……。
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