異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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1章 巡り会い2 囚われの行商人

056 好色家 (改)

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 シュパイン商会で遠征の物資を調達して帰宅する。

 家に荷物を置いたら、明日からまた10日間留守にする事を連絡しにトライラム教会を訪ねた。


「あの家のお庭に、花壇と畑を、ですか?」

「うん。どうかなムーリさん。畑で取れた食べ物は勿論教会とも共有するつもりだよ」


 いい加減広い庭が勿体無いので、教会のメンバーが管理して活用する方向でムーリさんに提案したのが、花壇と家庭菜園だった。

 どのくらい広い庭かって? 教会の子供達全員とフラッタが暴れても、全然問題ないくらいには広い。

 テニスコート? いいえ、サッカーコートレベルです。豪邸だよなぁほんと。


「すぐに決めなくていいから、教会の子供達で管理できるかとか、どんな食材や植物を育てたいかとか、子供達といっしょに考えてみてくれないかな? 俺たちはちょっと集中的にお金稼ぎしなきゃいけないから、その間あの庭が勿体無くってさ」


 家庭菜園や花壇の仕事が出来れば、小さな子供達にも出来る仕事が増えて、教会の収入を増やすことが出来るんじゃないかな、多分。

 まぁ子供達への賃金を払うのは俺達なんだけど?


「ご提案は嬉しいですし、子供たちとも相談させていただきますけど……」


 大きいおっぱいを押し潰すように腕を組んで考え込むムーリさん。


「私たちには農業や植物栽培の知識も経験もありませんから、どれほどのことができるか自信がないですかね……」

「失敗したって怒らないから、気楽に考えてみてよ」


 失礼にならない程度に押し潰されたおっぱいを凝視し記憶に焼き付けながら、気軽に挑戦して欲しいとお願いする。


「今回は10日間の遠征の予定だから、返事はそのときで良いよ。もしやると決めたなら、ある程度計画を立ててもらったらありがたいかな?」


 完全にビジネストークだなこれ。

 営業? プレゼン? いや事業計画?


「んー、分かりました。お話自体はありがたいですし、前向きに検討させてもらいますね。いつも甘えさせていただいて申し訳ないです。本当にありがとうございます」


 いえいえ、こちらこそムーリさんのおっぱいにはいつも御世話になっております?

 まぁ冗談は抜きにしても、こっちだって教会のみんなには大分お世話になってるから、甘えてるのはお互い様かな。


 家に戻り、3人で夕食の支度に取り掛かる。今日はリーチェ帰ってくるのかね?

 明日から遠征なのは知ってるはずだから戻ってきそうな気はする。


「私達が年末までに稼がなければならない金額は、ご主人さまの人頭税8万リーフ。呪われた奴隷の私の人頭税5万リーフ。普通の奴隷のティムルの人頭税1万リーフ。この家の契約更新料、来年は上がる可能性もありますが、今年の契約料を参考にして2万リーフ。合計で、ええっと、16万リーフを丸々手元に置いておく必要がありますね」


 ニーナが指を折りながら、今後俺達が稼がなければならない金額を改めて確認してくれる。

 料理をしながら家計の相談だ。ティムルも料理が出来るので、3人で仲良く支度出来るのは楽しい。


「あまり心配ない金額じゃないですか? 2人はマグエルに来て2ヶ月くらいで40万リーフを稼いだと言ってましたし。今は8月、年末まで約4ヶ月です。単純計算でも80万リーフは貯められそうですが」

「う~んやっぱりもうちょっと稼ぎたいところだよね。ティムルの装備を揃えつつ、年末に200万リーフくらい持っておきたいんだよ」

「装備代を考えると……、4ヶ月で300万リーフくらいでしょうか? 今のペースでは厳しい金額でしょうね」


 ティムルが大丈夫だと言ってくれているのは心強いんだけど、ティムルの言い分は自分のことを度外視した計算だ。
 俺とニーナはティムルのことも含めた計算なので、ちょっとだけ噛み合っていない。


「何を優先するかで迷うんだよねぇ。戦闘職を育成して殲滅力を上げるか、豪商にして魔玉の儲けを増やすか……」


 殲滅力を上げれば回収できるドロップアイテムも増えるし、よりスポットの奥地で効率よく稼ぐことも出来る。

 逆に魔玉の儲けを増やせば、安全な場所でもローリスクハイリターンが見込めるようになるのだ。


「あ、ニーナは射手になってもらう予定だし、ティムルは行商人を上げきって、旅人、戦士の順で上げてもらおうと思ってるんだ。構わないかな?」

「ご主人様が職業を自由に変えられるという話、未だに信じ切れませんけど……。なんとなく納得もしますね。野盗の件とかもありましたし」


 野盗のときは相手の弱体化のために活用したんだけどね。

 俺の職業設定の話は既にティムルには教えてある。けど思った以上にティムルはすんなりと俺の能力を受け入れてくれた。
 ご主人様が非常識なのはもう諦めました、だってさ。
 


 夕食の支度は終ったけどリーチェはまだ帰ってこない。時間的にもまだ早いし、3人で座って改めて話を続ける。


「私も旅人の能力を引き継ぐことが出来なかったので、それを改めて引き継げるのでしたらありがたいですね」

「射手という職業はあまり私は知らないんですけど、弓の威力が上がるのは嬉しいです」


 右手にニーナ、左手にティムルを抱き寄せながらの雑談は、真面目な話をしてても楽しくてしょうがない。

 こっ、これが女性を侍らすということかっ!


「迷ってるのは俺の職業なんだよねぇ。戦闘力優先なら安定感が増すけど、豪商にしてお金稼ぎを優先すれば、装備の用意とかは早くなるからねぇ」

「ティムルのおかげで運搬能力が格段に上がって、1度の遠征で稼げる額は恐らく跳ね上がるでしょう。私としては戦闘能力を優先してもいいと思いますよ。安全性が増しますから」


 ニーナが勧めてくれる通り、やっぱ戦闘力優先かなぁ。

 ティムルが商人カンストしてるおかげで幸運も上がってるしな。レアドロップ率も少し上がるだろうし、その恩恵を享受する為にも殲滅力を上げるべきか。ってことで戦闘力を優先しよう。


 戦闘力を優先するのであれば、剣士と短剣使いを上げきって、職業2つ分の斬撃上昇を累積するという手もある。

 懸念があるとすれば、3人になってレベリングにどう影響するかだよなぁ。かえって効率が良くなる事は……、ティムルの戦士を上げないと厳しいかな。


「そういやティムルはスキルジュエルって知ってる? もし可能なら入手してみたいんだけど」

「スキルジュエルはアウターの深部で、稀に魔物が落すとされてますね。ここのスポットでも、中央付近でのドロップ報告はそれなりにあるみたいですよ」


 アウターの深部、ここのスポットでも出ることは出るのか。

 確かここのスポットの直線距離は馬で3日くらいの距離って事だった。中心部分となると半径で良いわけだから、馬で1日半の距離くらいか。


「購入はお勧めできません。オークションでしかほぼ流通しませんし、金額は安くても王金貨を超えます」


 安くても王金貨、金貨100枚相当か。そりゃもう自力ドロップを狙うしかないね。


 地球基準で考えるのは危険かもしれないけど、馬の時速は乗用車くらいと聞いた事がある。つまり時速50~60kmくらいか。
 そして俺たちはジョギングレベルの速度でしか進めないので、仮に移動速度は時速7kmくらいだとする。


 う~ん、馬でかかる時間の7~9倍くらいかかるとすると、最悪のケースで半月くらいはかかると思わないとダメなのか。

 往復だけで1ヶ月……。今年のうちにスポットの奥まで行くのは諦めざるを得ないかぁ。


 そんな事を考えていると、玄関のドアが開く音がした。どうやらリーチェが戻ってきたようだ。


「ただいまー! もう何にも進展が無くってさぁ。お腹ばかり空いちゃったよー」


 元気いっぱいに食堂に突撃してくるリーチェ。

 お前、もうちょっと英雄らしく振舞えよなぁ。可愛いのは認めるけどぉ。これじゃただの腹ペコキャラになってるよ、姫エルフなのにさぁ。


 リーチェの前で職業設定の話は出来ないので、依頼が進まないリーチェの愚痴を聞きながら夕食を食べた。

 ティムルが愚痴を言わなくなっても、愚痴要員が補充されることになるとは読めなかった、この俺の目をもってしてもっ。


 そして夕食を終え、地下に降りるリーチェを見送ったら、とうとうやってきました。お待ちかねのベッドタイムです。

 もうウッキウキですよ。寝室まで2人と手を繋いで歩いている時なんて、まるで空を飛んでいるかのような気分だった。


 ニーナとティムル。どっちのほうが大切とか全くない。どっちも大切。どっちも大好き。

 日本じゃクズ男全開の考え方だと思うんだけど、この世界では一夫多妻、多夫一妻は普通なのだ。普通だから仕方ないんだ。

 ……関係ないけど多夫一妻って上手くいくんだろうか? 旦那さんたち大変そうな気が。


 ベッドの上でみんなで服を脱ぐ。

 月明かりに照らされて、ニーナとティムルの裸体が並ぶ。

 おかしいなぁ? ニーナは毎日見てるしティムルも昨日見たばかりなのに、並んでいると拝みたくなるほど神々しい。

 
 ニーナの栗色の髪が月明かりに輝いている。ずっとちゃんと食事をしているおかげか、スレンダーながらもふっくらと丸みを帯びてきている。だけど胸はふっくらしなかったようだ。

 うん。構わない。俺は別に巨乳信者ではない。大きくても小さくてもおっぱいはおっぱいだ。

 フラッタのおっぱいに触れたとき、おっぱいの真理にも触れることが出来たのだ。俺はこの世の全てのおっぱいを否定しない。

 おっぱいにおいて大切なのは、誰のおっぱいか、それだけである。


 そして隣りには黒い裸体を晒すティムル。昨日見たばかりだと言うのにまだまだ新鮮だ。

 日本人っぽい色のニーナと並ぶと、ティムルの肌の黒さが際立っている。そしておっぱいも際立っている。昨日確かめた限りでは、手の平から少し零れる程度の大きさだった。充分では?

 俺の手から零れるということは、今の俺の手には余るということだ。まだまだ俺は精進が足らない。ティムルのおっぱいをこの手中に収めるまで、俺の戦いは終わらないのだ。


「2人とも綺麗過ぎて言葉にならないよ。2人を好きに出来るのも最高だけど、さっさと呪いを解いて奴隷解放して、2人をお嫁さんとして迎えたくて仕方ないね」


 頭の中はおっぱいでいっぱいだけど、流石にそれを口に出す愚行はしない。

 こういうのはムードが大事だ。俺がおっぱいと口にした時、ムードなど木っ端微塵に砕け散るだろう。


「私は一生ダンの奴隷でも構わないんだけどね。今だって最高に幸せだから。でもダンはいっつも私の思ってる最高を塗り替えちゃうんだよね。だからきっと、ダンのお嫁さんになる日が来るって、疑ってないよ」

「私にとって婚姻契約は、用無しの烙印みたいなものだった。ニーナちゃんと一緒にダンと婚姻契約を結べた時に、私の中での婚姻契約の意味は変わると思うの。婚姻契約が素敵なものだってこと、早く私に教えてね」


 笑顔で微笑む裸の2人、俺の2人、俺のニーナ。俺のティムル。


 ああああもうっ、こんなの我慢できるかよぉっ。ヒャッハー! お楽しみの始まりだぁーっ!


 3人で貪るようにベッドの上で絡み合う。もうなにがなにやら分からなくて、まるでベッドで溺れているみたいだった。

 ニーナとティムル。

 俺の奴隷。俺の恋人。そして俺の婚約者。


 明日から10日間の遠征だって? 冗談じゃない。誰がそんなこと決めたんだよ。畜生。俺です。俺だったよ。

 向こう10日間もこの2人と触れ合えないなんて残酷すぎる。そんなの拷問だ。耐えられる気がしない。


 だからもう10日分の想いを込めて、全身全霊を込めて、最後の1滴まで絞り尽くすつもりで、初めての3人での夜を過ごした。



 気絶するように眠り、気付くと夜が明けていた。

 愛しい2人の寝息を聞きながら、なんとなく予感がして、自分自身を鑑定する。



 好色家
 補正 持久力上昇+ 持久力上昇 持久力上昇-
 スキル 精力増進 病気耐性-



 ……うん。なんとなく、あると思ったんだよね。

 そして補正よ。どれだけ持久力上げる気なんだよ。ちょっと笑っちゃったじゃないか。

 精力増進はまぁ、うん。そういうことなんだろうね。そして病気耐性って。まさかの病気耐性って。


 いえ、戦闘に使えそうにないし、育成する予定はないですよ? でも病気耐性は魅力的だよね。健康的な意味で。健康的な意味ですってば。

 そこに邪な気持ちなど一切、一切いいいいい、ああああ邪な気持ちでいっぱいですごめんなさいいいいっ!


 うん。なんというか、好色家と突きつけられても、はいそうです、としか言えないわ。

 ニーナとティムルと、ずーっとイチャイチャだけしていたいなぁ。


 ……その為にもお金、稼がなきゃなぁ。
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