異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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序章 始まりの日々2 マグエルを目指して

024 ティムルの陰り (改)

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「私は明日にはフォーベアを出るから、今夜は一緒に夕食を食べましょ」


 装備の売却が済むと、ティムルから夕食のお誘いがあった。

 今日フォーベアに到着したばかりだって言うのに明日には発つのか。大商人ってやっぱり慌ただしく動いているもんなんだなぁ。


「私が宿の夕食に合流する形でお願いね。宿に話はつけておくから」


 それじゃあまた後でねと店の奥に消えていったティムルの背中を見送ってからシュパイン商会の店を後にする。

 その足で紹介してもらった防具屋に行き、改めて防具を物色する……が、やっぱり防具も高いなぁ!


 ……高いけど、必要経費と割り切って俺とニーナの装備を見繕う。



 ダン
 男 25歳 人間族 戦士LV11
 装備 鋼鉄のロングソード 魚鱗の盾 皮の帽子 皮の軽鎧 皮の靴


 ニーナ
 女 16歳 獣人族 旅人LV9
 装備 ブルーメタルダガー 魚鱗の盾 皮の帽子 皮の軽鎧 皮の靴 
 状態異常 呪い(移動阻害)



 鋼鉄のロングソード
 無し

 魚鱗の盾(8万5000リーフで購入)

 皮の帽子(4万リーフで購入)

 皮の軽鎧(12万リーフで購入)

 皮の靴


 ブルーメタルダガー
 無し 無し

 魚鱗の盾(8万5000リーフで購入)
 無し

 皮の帽子(4万リーフで購入)

 皮の軽鎧(12万リーフで購入)

 皮の靴(1万8000リーフで購入)

 コンポジットボウ
 無し 無し

 木の矢(50本所持)



 合計48万8000リーフ。来年の税金? そんなのもの年末になってから考えるわ。

 いやいやいや、マジで高いんすよ防具って。特に鎧系ね。皮製品って1番安い品質の装備品でこの値段だからね?
 金欠の理由は、盾を奮発しちゃったせいだったりするんだけど。


 防具の購入でステータスプレートのお金は殆ど飛んでいった。
 残ったお金はギルドで現金化して、ニーナのインベントリに収納。残金は4万リーフ弱。

 フォーベアでの滞在費は5000リーフを上限に設定したし、マグエルでの家賃はある程度余裕を見て、2万リーフもあれば充分でしょ。2人で住む用の家なんだから。


 装備品を揃えた俺達は、もう宿に戻ってゆっくり休む事にした。


「思い切り散財しましたねぇ。でも本当に、来年の税金分を取っておかなくて平気なんですか?」


 思い切り散財したショックからか、宿の個室でも奴隷口調が抜けないニーナ。珍しいね。


「迷ったんだけどねぇ。でもまだ納税までには猶予があるからさ」


 俺たちにとっては税金はマジで死活問題だけど、まだ半年以上時間があるわけだし、ここで出し惜しみしてもなぁ。


「マグエルのスポットで稼ぐのは危険が多いと聞いたし、装備品の充実は急務だと思ってたんだ。今後はニーナも戦ってくれるんだし、収入は増えていくはずだしさ」


 ドロップアイテムだけで稼ぐのはきついかもしれないけど、魔玉だって完成するかもしれない。決して未来は暗いばっかりじゃないはずだ。


「それに回避行動に制限がかかるニーナは、しっかり受ければダメージを大幅に減らせる盾装備を妥協しないほうがいいと思ってさ」

「……なるほど、必要経費ということですね。確かに納税日はまだまだ先ですし、今は命を守ることを優先すべき段階でしょうか」


 ニーナの為と言ったのが効いたのか、ニーナも今回の散在について納得してくれたようだ。


 お互いの職業だって育ってきてるしね。俺の戦士もニーナの旅人も、3ヶ月もあれば最高レベルまで上げられると思う。

 それに職業補正の累積の可能性もある。俺たちにとって、時間は味方になってくれるはずだ。


「それに今までご主人様が1人で稼いでいてくれていたんです。お金が足りないなら私が頑張れば良いだけですね」

「うん。今まで以上に頼りにしてるよ」


 ……あれ、なんだろう。自分がめちゃくちゃ甲斐性無しに聞こえるな? 俺の稼ぎが悪いからニーナに働かせてしまってる、みたいな……。

 いやいや流石に被害妄想が過ぎるよ。


「それじゃ用事も終わったし、夕飯までひと眠りしようか。宿の人に起こしてもらうように頼んでおくね」


 消耗品の補充もフォーベアの散策も今後の育成方針の相談も、そしてフォーベアまでの分の取り立ても全部忘れて、今はただひたすら眠らせてくれー。

 あ、ごめんニーナ。抱きしめていいかな?




 ニーナを抱き枕にして熟睡した後、宿の従業員から夕食の支度が整ったと告げられて食堂に足を運ぶ。

 既に食堂で待っていたティムルと合流し、3人での最後の晩餐が始まった。


「それじゃ、フォーベアに無事辿り着けたことと野盗討伐成功を祝して、かんぱーい!」


 ティムルによる乾杯の音頭に合わせて木製のコップをぶつけ合う。乾杯ってこの世界でもあるのねぇ。

 ファンタジー全開の世界で乾杯の音頭を取られてちょっと戸惑う。
 この世界への転移、ゲーム経由だったからなぁ。どこか日本と繋がってる部分があるのかもしれない。


 乾杯がノンアルじゃかっこつかないかな? 俺も最初の1杯くらいは付き合うことにするかぁ。

 お、甘くて美味いな。これなら俺でも飲める。


「ティムルには世話になったよ。おかげで装備品も充実したし、マグエルでの拠点探しにもアテができたしさ。感謝してる」

「道中も荷物の運搬に戦闘への参加と、ご主人様の負担を大きく軽減してくれていたと思います。私からも改めて感謝を」

「あっはっは。なーに言ってるのよ。どう考えてもお世話になったのはこっちでしょ。無事フォーベアまで辿り着けたうえにガッツリ稼がせてもらったわ! ありがとねー」


 3人でお礼を言い合える関係ってのは悪くないな。

 始めは胡散臭い出会いだったけど、ティムルには凄くお世話になった。野盗の存在に最初に気付いたのもティムルだし、野盗の荷物をほぼ丸々運搬できたのもティムルがいたからこそだ。


「ねーねー2人ともー。どうせ当分マグエルで活動する予定なんでしょー? 私の専属護衛になってくれたら、お姉さん嬉しいんだけどなー?」

「……なにお前、乾杯だけで酔ってんの?」


 楽しく食事を進めていると、ティムルが唐突に俺達を雇いたいと言ってきた。

 軽口で時間を稼ぎながら断る口実を考える。


「申し出はありがたいけど遠慮しておくよ。ある程度の蓄えが出来たら旅を再開することになるからさ。マグエルに定住するわけにはいかないんだ」


 大商会の会長夫人の専属護衛かぁ。安定した収入になりそうだし、もしかしたら人頭税も負担してもらえるかもねぇ。

 率直な感想としては、勿体無くは思う。


 俺の返答に、ティムルは不満げに頬を膨らませる。


「えー私行商人なんだよー? むしろ私の護衛になったほうが世界中回りやすくなると思うけど? 馬車で移動も出来るし、移動魔法を使うことだって出来るんだから」

「はは。確かに条件は良さそうだけど、俺は誰かの下に付く気はないんだ。悪いね」


 移動阻害がなければ最高の条件なんだけどな。
 呪いが解けたらティムルの護衛も出来るようになるんだけどね。

 私たち、出会うのが早すぎたの……! なんちゃって。


「んー。2人が徒歩で旅してる理由。もしかして、ニーナちゃんの方にあるんじゃないの?」

「……っ!」


 ティムルの言葉に、一瞬硬直するニーナ。


 う~ん、流石に勘付かれるかぁ。ニーナはびっくりしてるけど、出会ってから1週間以上一緒にいたんだしね。

 それにティムルの前では意図的にニーナのステータスプレートを見せないようにしていたからね。ずっと不審に思っていたのかもしれない。


 今回ギルドでニーナのステータスプレートを見たとき、ギルド員の反応が不自然だったもんなぁ。


「ティムルには感謝してるし信用もしてるけど、これは俺達の問題だから。お前にも話す気はないよ。悪いね」

「んー。話してくれなきゃ紹介状を取り消す……、とか言っちゃってもダメ?」

「悪いね」


 全く取り合わずに話題を打ち切る。

 ニーナの呪いの話は軽々しく出来る話じゃない。
 というか俺達の旅の目的ではあるけど、ニーナにとっては繊細な問題には違いない。俺の独断で人にベラベラ喋っていいはずがない。


「あー、ご主人様? 私は別に構いません。私からお話させてもらっても?」


 と思ってたら、ニーナからまさかの発言が。


「ん? ニーナが良いなら俺は異論はないけど、なんでまた?」

「はい。今回ティムルさんにも沢山負担を強いてしまいましたから」


 んー。ティムルに負担を強いたのは間違いないけど、そもそも今回の件はティムルの依頼が発端だったんだよ? ニーナが気に病むことじゃないってば。

 と口答えしそうになった俺の思考を遮って、それに……、とニーナが続きを話す。


「思ったよりもずっと早くご主人様と一緒に戦う事が出来るようになったのは、間違いなくティムルさんのおかげですから。お詫びと感謝、その両方の意味を込めて私の事情をお話しようかと」


 ニーナの表情を注意深く観察するけど、無理をしている様子はない、かな?


「……そっか。うん。ニーナが話したいなら構わないよ。俺は少し黙っておくね」

「ありがとうございますご主人様」


 ニーナは、俺が思っている以上に、ティムルに感謝しているみたいだなぁ。

 アッチンについた時、俺は本当にボロボロだった。
 そんな俺を見て、ニーナは凄く歯痒い想いをしていたのかもしれない。


「それではティムルさん、聞いてください。大した話でもありませんが、私達の旅の始まりを」


 静かに語り始めるニーナ。真剣な表情で耳を傾けているティムル。


 ま、ティムルは各地を回る行商人らしいからな。むしろニーナの事情を知って協力してもらえるなら、これ以上頼もしい人間もいないんじゃない?

 こんな打算的な考え方をしているのは、この場には俺しかいないような気もするけどね。





「そこでご主人様は言いました。ニーナ、俺のものになって、俺と共に生きろ、と」

「きゃーきゃー! マジなのそれー!? ほとんど初対面じゃないのー!?」

「ちょっと待ってぇっ!? なんで恋バナみたいな流れになってんの!? 俺のさっきまでのシリアス返して!?」


 ざっけんなっ! めっちゃ軽々しい話になってんじゃねぇかよぉっ!


「ダンはちょっと黙ってて! ねぇねぇニーナちゃん! 続き続きーっ!」

「ご主人様? 先ほど黙っていると言っていませんでしたか?」

「自分の恋バナを目の前で語られたら、前言撤回してでも黙ってられないでしょ!」


 あれ? ニーナの目がちょっと据わってるような……。ひょっとして酔っぱらってる?

 俺とティムルは乾杯以降はノンアルドリンクに移行してたけど、ニーナは1人でアルコール摂取してやがったの?


 あ、もしかしてこれティムルに事情を説明してるんじゃなくて、ティムルに俺のことをノロケてんの? 自分が目の前でノロケられるとか、それなんて拷問? 

 ニーナの呪いが知られるよりも、俺とニーナの出会いを知られる方がダメージでかくないっすかね? 穴を掘って入りたい気分なんですけどぉ……。


 その後、語りたいニーナと聞き取りたいティムルの意見がピッタリ重なって、俺にとっての地獄の時間が延々と続けられたのだった。




「いやーいい話を聞かせてもらっちゃったなー。若いっていいねー。お姉さんも聞いてて恥ずかしくなっちゃったわ」


 恥ずかしい割にニーナを質問責めにしていたのは、いったいどこのティムルだったんだ。


「根掘り葉掘り聞いてんじゃねぇっての、まったく。そういう事で、お前に雇われるのは無理な」

「ん~。移動阻害の呪いは、行商するには致命的過ぎるかぁ……」


 ぐぬぬ……と腕を組んで考え込むティムル。

 そうなんだよなー。行商人であるティムルと移動阻害の呪いは相性最悪なんだよ。ティムルは呪われている事自体は気にせず雇ってくれそうだから、本当に勿体無い話だよぉ。


「ダン、さっさとニーナちゃんの呪い解いてちょうだいよ」

「出来るならとっくにやってるよ! 出来ないから困ってんだろ、ったく」


 めっちゃ軽い感じで言ってきやがってぇ。

 ってそうだ。行商人として王国中を移動しているらしいティムルにも話を聞いてみよう。


「むしろティムルこそなんか知らないか? 解呪のことについてさ」


 ここまで精神的に出血することになったんだから、収穫無しじゃあ採算が合わない。


「そうねぇ……」


 右手の人差し指を頬に当てて斜め上に視線を送るティムル。

 くっ、美人がやると絵になるじゃないか。


「実在してるのかは分からないけど、あらゆる怪我を癒すとされる至高の霊薬エリクシールとか、あらゆる病に効くと言われる万能薬ユニコーンの角。あとは……、最高位の回復魔法なんかがあればもしかしたらって感じ? 悪いけど私にはどれもアテは無いけどね」


 ティムルでも入手するアテが無いくらいの方法しかないのかぁ。実在してるか分からないって、もしかして今挙げた方法全部について言ってるわけじゃないよなぁ……?

 結局有益な情報が無いんじゃ採算が合わないじゃないかよぉ。


 くっそー、この分は元凶のニーナにきっちりと上乗せして払ってもらおう。寝室で。ひと足先に酔って寝やがって。可愛い寝顔しやがってぇ。

 こんなに可愛い悪い子にはあとでいっぱいお仕置きしなきゃっ。


「……呪いは大変なんだけど、それでもちょっと羨ましいわ」


 俺に寄りかかって眠るニーナのほっぺをつついていると、しんみりとした口調でティムルが語り出す。


「故郷を追われて、父親よりも年上の男に買われて、どれだけ肌を重ねても子を生す事もできない。そんなお姉さんには貴方達2人は眩しすぎるわねぇ」


 雰囲気の変わったティムル。きっと彼女は何かを話したいんだろう。

 ……でもニーナでさえ手いっぱいな俺に、ティムルの事情まで背負う力はない。


「……悪いけど俺はティムルの事情を聞いてやる気はないよ。ニーナ1人でさえも手に余るほどだからね」


 だからごめんティムル。今の俺にはお前の力になってやることはできそうもないよ。

 俺の言葉を聞いたティムルは、少し寂しそうな表情を浮かべた後に静かに首を振った。


「ダンは変な人よねぇ。大丈夫。私の人生は不幸だったわけじゃないし、今の生活にも満足してるもの」


 不幸だったわけじゃない。満足している。

 けれど決して幸せだったとは口にしないティムル。


「でも貴方達2人を見ていると、自分が1番欲しかった物を突きつけられてるみたいで、胸の奥がちょっとだけ疼いちゃうのよ」


 さっきまでのドタバタした雰囲気が嘘みたいに、しんみりとした空気が流れる。


「……これは誰に聞かせるでもない、俺の勝手で無責任な独り言だけど。幾つになっても、手遅れって事はないと思う」


 ティムルの事情を聞くことを拒絶しながらも、余計なことを口にしてしまう。

 そんな自分に嫌気が差しながらも俺の口は止まってくれない。


「でもその胸の疼きを静めるためには、本当に欲しいものを手に入れたいなら、今の生活全てを失う覚悟をすることだね。本当に欲しいモノってのは踏み込まないと手に入れられないもんだと、俺は思うよ」


 俺の独り言に、ティムルは小さく笑みを返す。


「ふふ。私が何年商人として生きてきたと思ってるのよ。分かってるわ。貴方の言いたいこと、本当に分かってるの」


 俺なんかよりも遥かに色んな経験をしてきたと思われるティムル。分かっているというのも強がりじゃなくて本当のことなんだろう。


「でもダメね、大人って。今手にしているモノが昔欲しかったモノなんかじゃなくても、今だってこんなもの要らないって思ってるのに……、それでも手放すのは怖いのよ」


 欲しいものじゃなくても手放せない……か。ティムルの言っている事も分かるな。

 俺だって日本にいた時から、今のように生きていたわけじゃない。
 子供の頃の夢なんか思い出すこともなくなって、日々の生活に不満を言いながらも、でもその不満を解消しようっていう熱意もなくて。

 毎日なんとなく過ごして、それでもその生活を失うのが怖くて。


 日本にいた頃の俺がニーナに会っても、きっと俺は遠巻きに見ているだけで、決して近付こうとはしなかったんじゃないか。

 大変そうだな、誰か助けてあげろよって。決して近づかず、遠巻きにして。

 自分が手を伸ばせば変えられることを、自分には関係ないと、目を逸らして生きていた。


「俺もニーナも、全部失ってしまったからこそ今があるんだよ。俺たちは理不尽に全てを失っちゃったけど、自分の意志で全てを捨てるなんて、そんなこと出来ない方が普通だろ」


 ニーナと出会えたのは幸運だった。ニーナと過ごす日々は間違いなく幸せだ。
 だけど俺とニーナの関係はやっぱりどこか歪で、真っ当な関係でも出会いでもないと思う。

 全てを失わないと手に入れられない幸福なんて、それはもう不幸となにも変わらないと思うから。


「ましてティムルは商人なんだ。売買は得意でも、捨てるってことが苦手なのは仕方ないんじゃない?」

「……ふふ。愚痴に付き合わせちゃって悪かったわね。でも、聞いてもらえただけでもちょっと楽になった気がする」


 俺の独り言に特に何か言うわけでもなく、だけど確かにティムルの雰囲気は少し軽くなったように感じられた。


「ありがとうダン。ニーナちゃんにも宜しくね」


 礼の言葉を口にしながら静かに席を立つティムル。

 賑やかな夕食の時間は、どうやらお開きのようだ。


「マグエルについたら教えてくれる? また一緒に食事でもしましょう。また愚痴に付き合わせちゃうかもしれないけど」

「ああ。また会おう。俺もニーナも自分の事で精一杯で、手を貸してやる余裕なんかないけど、耳くらいなら貸してやれるかもしれないからな」


 立ち去ろうとしていた足を1度止めて、楽しそうに笑い出すティムル。


「あっはっは! それで充分よ!」


 屈託なく笑うティムル。その笑い声に周囲の宿泊客の視線が集まり、その美貌に見蕩れている。

 幸せだとは決して口にしてくれなかったけど、そうやって笑えるなら悪い人生じゃないさ、きっとね。


「それじゃまたマグエルで会いましょ。それまで精一杯頑張って、沢山愚痴を貯めておくわね」


 右手を軽くひらひらと振りながら、ティムルは背中を向けてしまう。


 いやいや、別に愚痴が聞きたいわけじゃないんだけど?

 だけど俺が口を開く前に、ティムルは足取り軽く去っていってしまったのだった。
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