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未開の地で
64 召魔獣② (改)
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呆然と立ち尽くす俺の目の前で、モンスターの波と攻撃魔法のぶつかり合いが続いている。
1分経ち、2分経ってもモンスターの勢いは止まらない。
しかし流石と言うべきか、Bクラス以上の冒険者で構成された討伐隊も負けておらず、攻撃魔法の勢いも緩むことなくモンスターを殲滅し続けている。
「長ぇな……。いったいいつまで続くんだよこれ……?」
「短ければ1分、長くて5分くらいだな今のところは。こうやってモンスターの殲滅に攻撃魔法を割かれてるからよ。亀野郎に攻撃魔法を用いる判断が出来る奴が居ねぇんだわ」
ウェットの解説に、攻撃魔法を温存している状況に得心がいった。
凄まじい勢いで生み出されるモンスターを剣や槍で1体ずつ倒していたらキリがない、と言うか追いつかない。だから攻撃魔法は温存せざるを得ないんだな。
かと言って亀を倒さなければジリ貧だ。だからどこかで決断して、攻撃魔法を亀にぶつけて突破を図る必要がある。
しかしフラストという指揮官を失った今の討伐隊には、そんなリスクある判断を下せる者がいないのだ。
「亀の能力はこれで全部か? それなら早速聖騎士様に報告しに戻るがよ。聖騎士様の到着前に壊滅したりする心配は無ぇだろうな?」
「流石に1時間も2時間もかけられちゃ困るがな。報告と指示出しくらいの時間は持ち堪えれるだろうぜ。ここにゃ高クラス冒険者しか居ねぇんだからよ」
ウェットの言葉には確信があった。
3ヶ月近く行動を共にした討伐隊のメンバーの実力を信用しているようだな。
どう見てもジリ貧ではあるけど、討伐隊にはまだまだ余力があると見て良さそうだ。
「しかし、今の状況ってどう見てもジリ貧じゃねぇのか? 覆らない戦況を見て逃げ出す奴が出たりしねぇか?」
「はっ! まさに万年Cクラスのテメェらしい発想だがよ。そんなことしてなんの意味があるってんだぁ?」
討伐隊を勘ぐる俺に、ウェットは心底呆れたような口調で言い返してくる。
「未開領域で単独で逃げたって、生き残れる可能性は低いんだ。しかも逃げ出してここが崩れたら、あの夥しい数のモンスターが背後から迫ってくるんだぜぇ?」
「む、確かにお前の言う通りか……」
「ここは未開地域。しかも馬車で数日かかるほどの場所だ。単独で逃げ出したって、待ってるのは避けられない死の結末だけなんだよぉ!」
ウェットの言う通り、ここは王国内ではなくて未開領域、モンスターたちの領域だ。
通常の依頼や任務とは、そもそも前提が違う場所なんだ。
この亀と交戦して消耗した体で逃げ出しても、防衛拠点まで無事辿り着くのは至難の業。
しかも連日の無理な行軍で恐らく馬もかなり疲弊していることだろう。
命惜しさに逃げ出しても、誰も逃げ切れるとは思ってないわけだ。
絶望的な状況だけれど、少しでも生存率の高い方にベットして全員で協力する、か……。
はっ、高ランク冒険者らしい冷静な判断だな。
今まで討伐隊にゃあまり良い印象を持ってなかったが、ここにいる奴等の実力は信用できそうだ。
「じゃあ一旦報告に下がるぜ? 万年Cクラスの俺を失望させないでくれよ、高クラス冒険者殿?」
「お前こそ下がったついでに逃げ出したらどうだ? 聖騎士様さえいてくれりゃあ、万年Cクラスの誰かさん1人くらい逃げ出しても、だぁれも気にも留めねぇぜ?」
ウェットと下らない掛け合いをして笑い会う。
大丈夫。俺にも討伐隊にもまだ笑い合う余裕がある。絶望するにはまだ早いはずだ。
モンスターの召喚と攻撃魔法のぶつかり合いが終わったのを確認して、俺はミシェルたちと合流する為に一旦後ろに下がった。
馬車のある場所まで戻る途中に、横目で後衛の冒険者達の様子を窺う。
5分弱の間全力で魔法を行使したために肩で息をしている者が多いが、魔力量的にはもう少し余裕はありそうだった。
高クラス冒険者の地力の高さって奴を見せ付けられる思いだぜ。
「っと、ちょうどいいタイミングだったみてぇだな」
馬車による包囲陣形の端、先ほどスティーブと別れたところまで戻ってくると、ちょうど同じタイミングで2台の馬車もこの場にやってきたところだった。
しかし馬車の停車を待たずにスティーブが声をかけてくる。
「ソイルよ。先ほどの冒険者には聖騎士の到着を周知するよう頼んでおいたぞ。これで恐らくフラストに代わってパメラ殿に指揮権を任されるはずだ」
「ああ。現場の奴らは指揮官の不在を最も不安視していたからな。聖騎士様に指揮を執ってもらうのは恐らく歓迎してくれるはずだ」
「ソイル! スティーブ! 状況を説明してちょうだい!」
停車した馬車からミシェルとパメラが弾かれたように飛び出してくる。
ひと息遅れて他のメンバーもこちらに集まって来てくれた。
全員が集まったところで、全員に情報を共有する。
「モンスターを生み出す巨大な亀……。やはり召魔の門より生まれた存在、召魔獣であることは間違いないようだな……!」
「召魔獣、ねぇ……」
パメラはあの亀を召魔の門から現れた存在だと断定したようだ。
移動しながらモンスターを生み出し続けるバケモンなんて厄介すぎるぜ。そりゃ渦の間に徹底して破壊するわけだ。
「フラスト将軍が姿を消したことも気になるけど……。指揮権をこっちに渡されても困るんじゃない? 大丈夫なの? パメラ、ソイル」
いきなり俺達に指揮を丸投げされたと聞いて、ミシェルが不安げに確認してくる。
ミシェルは俺達のパーティの責任者だって自覚があるからな。討伐隊の指揮も自分が執らないと、と思っているのかもしれない。
でも流石に、討伐隊の指揮までお前に執れとは誰も言ってないっつうの。
「指揮権については恐らく問題ない。他ならぬ討伐隊の奴らが指揮官を求めている状態だからな。聖騎士であるパメラの言う事に逆らう奴は居ないだろ」
「となると、問題はやはり召魔獣の討伐という事になるな」
ミシェルと違って、討伐隊の指揮を任される事に何の不安もなさそうなパメラ。
聖騎士のパメラは、突発的に指示を出さなければいけない場面にも慣れているんだろう。
「本当ならフラスト将軍のことも気にかかるところだが、この場に居ない者に思考を割く余裕は無い状況だ。将軍のことは一旦忘れよう」
「……だな。了解だ」
パメラの言い分は至極真っ当なんだが……。
フラストの野郎をこのまま放置しておいて平気なのか? なんだか嫌な予感がとまらねぇぜ……。
「ソイルの話を聞いた限りだと、やはり召魔獣の討伐には攻撃魔法が不可欠であると思われる。しかし生半可な火力では傷も付けられないと。やはりここはミシェル様の呪文詠唱で一気に滅ぼすしかないだろうな」
「うん。覚悟は出来てるよ。1撃で滅ぼせないなら2発、3発って、確実に滅ぼすまで呪文詠唱を続けてみせるから」
ミシェルの表情に強い決意が宿った気がした。
莫大な魔力を必要とする呪文詠唱。それをこんなに簡単に何度でも放つと言えるのがすげぇよ。
実際に短時間で複数回呪文詠唱をしたこともあるんだから、ミシェルの言葉を疑う余地はない。
「幸い、討伐隊のメンバーだけで召魔の波は押さえ込めているからな。ミシェル様は召魔獣本体への呪文詠唱に専念していただいて大丈夫だろう」
「大魔法使いであるミシェルが魔法を温存してたら、討伐隊に不信感を持たれねぇか?」
「本体を倒さねば事態が解決しないことは、討伐隊の者たちも分かっているだろうからな。ミシェル様の事をしっかり周知しておけば問題ないだろう」
ミシェルが後方から呪文詠唱で召魔獣とか言われる亀野郎に攻撃、パメラは全体指揮、スティーブは前線に加わって戦線の維持を担当する。
俺とウィルはミシェルの護衛としてミシェルの傍で待機。レオナは攻撃魔法部隊に協力する事になった。
「エマ、ちょっといいか?」
「ん? なんですかソイルさん、そんなにコソコソして」
「ちょっとな。お前たちに頼みたいことがあるんだ」
指示を言い渡された者たちが戦闘準備に終われる中、今回指示を出されなかったエマたち低クラス冒険者に指示を出しておいた。
確かに余計な事を考えている余力は無いが、役割を与えられていないコイツらなら、ある程度自由に動いても誰にも迷惑はかけずに済むはずだ。
「お待たせソイル。それじゃ早速行きましょう」
エマたちに指示を出し終えると、戦闘準備を済ませたミシェルがちょうど馬車から降りてきた。
ウィルと一緒にミシェルの両脇を固めながら、召魔獣の暴れる最前線まで移動する。
さぁ覚悟しろよ亀野郎。俺の師匠は世界有数の大魔法使い様なんだからなぁ?
1分経ち、2分経ってもモンスターの勢いは止まらない。
しかし流石と言うべきか、Bクラス以上の冒険者で構成された討伐隊も負けておらず、攻撃魔法の勢いも緩むことなくモンスターを殲滅し続けている。
「長ぇな……。いったいいつまで続くんだよこれ……?」
「短ければ1分、長くて5分くらいだな今のところは。こうやってモンスターの殲滅に攻撃魔法を割かれてるからよ。亀野郎に攻撃魔法を用いる判断が出来る奴が居ねぇんだわ」
ウェットの解説に、攻撃魔法を温存している状況に得心がいった。
凄まじい勢いで生み出されるモンスターを剣や槍で1体ずつ倒していたらキリがない、と言うか追いつかない。だから攻撃魔法は温存せざるを得ないんだな。
かと言って亀を倒さなければジリ貧だ。だからどこかで決断して、攻撃魔法を亀にぶつけて突破を図る必要がある。
しかしフラストという指揮官を失った今の討伐隊には、そんなリスクある判断を下せる者がいないのだ。
「亀の能力はこれで全部か? それなら早速聖騎士様に報告しに戻るがよ。聖騎士様の到着前に壊滅したりする心配は無ぇだろうな?」
「流石に1時間も2時間もかけられちゃ困るがな。報告と指示出しくらいの時間は持ち堪えれるだろうぜ。ここにゃ高クラス冒険者しか居ねぇんだからよ」
ウェットの言葉には確信があった。
3ヶ月近く行動を共にした討伐隊のメンバーの実力を信用しているようだな。
どう見てもジリ貧ではあるけど、討伐隊にはまだまだ余力があると見て良さそうだ。
「しかし、今の状況ってどう見てもジリ貧じゃねぇのか? 覆らない戦況を見て逃げ出す奴が出たりしねぇか?」
「はっ! まさに万年Cクラスのテメェらしい発想だがよ。そんなことしてなんの意味があるってんだぁ?」
討伐隊を勘ぐる俺に、ウェットは心底呆れたような口調で言い返してくる。
「未開領域で単独で逃げたって、生き残れる可能性は低いんだ。しかも逃げ出してここが崩れたら、あの夥しい数のモンスターが背後から迫ってくるんだぜぇ?」
「む、確かにお前の言う通りか……」
「ここは未開地域。しかも馬車で数日かかるほどの場所だ。単独で逃げ出したって、待ってるのは避けられない死の結末だけなんだよぉ!」
ウェットの言う通り、ここは王国内ではなくて未開領域、モンスターたちの領域だ。
通常の依頼や任務とは、そもそも前提が違う場所なんだ。
この亀と交戦して消耗した体で逃げ出しても、防衛拠点まで無事辿り着くのは至難の業。
しかも連日の無理な行軍で恐らく馬もかなり疲弊していることだろう。
命惜しさに逃げ出しても、誰も逃げ切れるとは思ってないわけだ。
絶望的な状況だけれど、少しでも生存率の高い方にベットして全員で協力する、か……。
はっ、高ランク冒険者らしい冷静な判断だな。
今まで討伐隊にゃあまり良い印象を持ってなかったが、ここにいる奴等の実力は信用できそうだ。
「じゃあ一旦報告に下がるぜ? 万年Cクラスの俺を失望させないでくれよ、高クラス冒険者殿?」
「お前こそ下がったついでに逃げ出したらどうだ? 聖騎士様さえいてくれりゃあ、万年Cクラスの誰かさん1人くらい逃げ出しても、だぁれも気にも留めねぇぜ?」
ウェットと下らない掛け合いをして笑い会う。
大丈夫。俺にも討伐隊にもまだ笑い合う余裕がある。絶望するにはまだ早いはずだ。
モンスターの召喚と攻撃魔法のぶつかり合いが終わったのを確認して、俺はミシェルたちと合流する為に一旦後ろに下がった。
馬車のある場所まで戻る途中に、横目で後衛の冒険者達の様子を窺う。
5分弱の間全力で魔法を行使したために肩で息をしている者が多いが、魔力量的にはもう少し余裕はありそうだった。
高クラス冒険者の地力の高さって奴を見せ付けられる思いだぜ。
「っと、ちょうどいいタイミングだったみてぇだな」
馬車による包囲陣形の端、先ほどスティーブと別れたところまで戻ってくると、ちょうど同じタイミングで2台の馬車もこの場にやってきたところだった。
しかし馬車の停車を待たずにスティーブが声をかけてくる。
「ソイルよ。先ほどの冒険者には聖騎士の到着を周知するよう頼んでおいたぞ。これで恐らくフラストに代わってパメラ殿に指揮権を任されるはずだ」
「ああ。現場の奴らは指揮官の不在を最も不安視していたからな。聖騎士様に指揮を執ってもらうのは恐らく歓迎してくれるはずだ」
「ソイル! スティーブ! 状況を説明してちょうだい!」
停車した馬車からミシェルとパメラが弾かれたように飛び出してくる。
ひと息遅れて他のメンバーもこちらに集まって来てくれた。
全員が集まったところで、全員に情報を共有する。
「モンスターを生み出す巨大な亀……。やはり召魔の門より生まれた存在、召魔獣であることは間違いないようだな……!」
「召魔獣、ねぇ……」
パメラはあの亀を召魔の門から現れた存在だと断定したようだ。
移動しながらモンスターを生み出し続けるバケモンなんて厄介すぎるぜ。そりゃ渦の間に徹底して破壊するわけだ。
「フラスト将軍が姿を消したことも気になるけど……。指揮権をこっちに渡されても困るんじゃない? 大丈夫なの? パメラ、ソイル」
いきなり俺達に指揮を丸投げされたと聞いて、ミシェルが不安げに確認してくる。
ミシェルは俺達のパーティの責任者だって自覚があるからな。討伐隊の指揮も自分が執らないと、と思っているのかもしれない。
でも流石に、討伐隊の指揮までお前に執れとは誰も言ってないっつうの。
「指揮権については恐らく問題ない。他ならぬ討伐隊の奴らが指揮官を求めている状態だからな。聖騎士であるパメラの言う事に逆らう奴は居ないだろ」
「となると、問題はやはり召魔獣の討伐という事になるな」
ミシェルと違って、討伐隊の指揮を任される事に何の不安もなさそうなパメラ。
聖騎士のパメラは、突発的に指示を出さなければいけない場面にも慣れているんだろう。
「本当ならフラスト将軍のことも気にかかるところだが、この場に居ない者に思考を割く余裕は無い状況だ。将軍のことは一旦忘れよう」
「……だな。了解だ」
パメラの言い分は至極真っ当なんだが……。
フラストの野郎をこのまま放置しておいて平気なのか? なんだか嫌な予感がとまらねぇぜ……。
「ソイルの話を聞いた限りだと、やはり召魔獣の討伐には攻撃魔法が不可欠であると思われる。しかし生半可な火力では傷も付けられないと。やはりここはミシェル様の呪文詠唱で一気に滅ぼすしかないだろうな」
「うん。覚悟は出来てるよ。1撃で滅ぼせないなら2発、3発って、確実に滅ぼすまで呪文詠唱を続けてみせるから」
ミシェルの表情に強い決意が宿った気がした。
莫大な魔力を必要とする呪文詠唱。それをこんなに簡単に何度でも放つと言えるのがすげぇよ。
実際に短時間で複数回呪文詠唱をしたこともあるんだから、ミシェルの言葉を疑う余地はない。
「幸い、討伐隊のメンバーだけで召魔の波は押さえ込めているからな。ミシェル様は召魔獣本体への呪文詠唱に専念していただいて大丈夫だろう」
「大魔法使いであるミシェルが魔法を温存してたら、討伐隊に不信感を持たれねぇか?」
「本体を倒さねば事態が解決しないことは、討伐隊の者たちも分かっているだろうからな。ミシェル様の事をしっかり周知しておけば問題ないだろう」
ミシェルが後方から呪文詠唱で召魔獣とか言われる亀野郎に攻撃、パメラは全体指揮、スティーブは前線に加わって戦線の維持を担当する。
俺とウィルはミシェルの護衛としてミシェルの傍で待機。レオナは攻撃魔法部隊に協力する事になった。
「エマ、ちょっといいか?」
「ん? なんですかソイルさん、そんなにコソコソして」
「ちょっとな。お前たちに頼みたいことがあるんだ」
指示を言い渡された者たちが戦闘準備に終われる中、今回指示を出されなかったエマたち低クラス冒険者に指示を出しておいた。
確かに余計な事を考えている余力は無いが、役割を与えられていないコイツらなら、ある程度自由に動いても誰にも迷惑はかけずに済むはずだ。
「お待たせソイル。それじゃ早速行きましょう」
エマたちに指示を出し終えると、戦闘準備を済ませたミシェルがちょうど馬車から降りてきた。
ウィルと一緒にミシェルの両脇を固めながら、召魔獣の暴れる最前線まで移動する。
さぁ覚悟しろよ亀野郎。俺の師匠は世界有数の大魔法使い様なんだからなぁ?
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