異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
上 下
578 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活

525 魔導具の改良案

しおりを挟む
 ネヴァルドの冒険者ギルドに、ターミナルの設置報告所を提出して帰宅した。

 夕食を取ってから、家族に今日の出来事を報告する。今日はシンも帰ってきた。


「もう新しいエリアキーパー見つけちゃったの? でも確かに今の飛行速度じゃエリアキーパーと戦うのは厳しいと思う。
 スナネコやグリフォンたちの速度ですら、戦闘を想定したらまだ足りないんじゃないかって思うし」

「ん~。ユリバファルゴアとザルトワシルドアの2体と実際に戦っている兄さんとトーマが2人とも満足してないんだったら、全然性能が足りてないってことかー。
 それにしても面倒だねー。まさかエリアキーパーが門番みたいなことしてくるなんてさー」

「ちっ、まだなんの糸口も掴めてねぇから、もうちょっと時間が欲しいとこなんだけどなぁ。
 雷エリアにはグリフォンも侵入できねぇし、湿地エリアに進入するためにはエリアキーパーとの戦闘が予想されるってか。中々意地が悪いじゃねぇか、神様って奴はよぉ?」


 そうそう。この世界を創った奴は意地が悪いんだよ。
 細かかったり大雑把だったり、なんというか適当な部分が透けて見えるんだよな。

 異邦人の転生先の世界なのは良いんだけど、親切なのか過酷なのかも良く分からねぇもん。


「ん~、異邦人としては加速装置って言われて真っ先に思いつくのが、ロケット系っすかねぇ?
 海中と違って空中なら、爆発を使って加速を得ることは可能なんじゃないっすか?」

「それは科学の発想よアサヒ。魔法には反動がないから、仮に風魔法や火魔法で後方にエネルギーを発生させても、前方向に対する推進力を得ることは出来ないじゃない」

「うん。現在トーマが使ってる魔導具が飛んでるのだって、科学じゃなくて魔法効果だもんね。
 例えばもう1つ同じ魔導具を装着したら、2倍の速度が出せたりしないのかな?」

「う~ん。それは難しいじゃないですかね。試してみる分にはいいかと思うんですけど。
 装備品の話になりますけど、装備品の魔法効果って重複しない場合が多かったと思うんですよ。だから各部位ごとに別々の魔法効果を乗せてるんだと記憶してます。
 というか、こういうのは専門家に聞けばいいんだすよね。どうなんでしょうマーサ?」

「ああ、恐らくトルネが言った通り、魔法グライダーを2つ付けても効果は重複してくれねぇと思う。魔法効果ってのは、装着してる物の中で1番強力なものだけが適用されるはずだ。魔導具とはいえ魔法グライダーも装着型だからな。恐らく複数装着しても意味がないんじゃねぇかな。
 それでも試してみたいってんなら、物は用意すっけどよ」

「いや、可能性が低いのが分かってるならやめとこう。素材にも余裕があるんだろうけど、2度と調達できない素材だし、あまり無駄遣いしてもな。
 つまりは魔法グライダーとは全く違う魔法効果の装備を用意するか、魔法グライダーの魔法効果自体を底上げする必要があるってワケだ。
 ……なるほど。確かに心核を使えば手っ取り早そうな話ではある」


 心核を使えば間違いなく性能は跳ね上がるはずだ。

 だがなぁ……。
 心核を節約したくて王国側に協力を持ちかけたってのに、いきなり魔法グライダーに心核を投入するのはちょっと抵抗がある。


「魔導具の魔法効果を底上げする方法……。
 そう言えばマーサ、中央農地で使われてる魔導具って、魔法よりも少ない魔力で使える、みたいな話をダリッツさんがしてたと思うんだけど……。
 それの応用で、通常の魔力でより高い魔法効果を発揮することとかって出来ないの……?」

「――――『効率化エフィシェント』の術式かっ……!
 あの術式は生活魔法みたいに、魔法効果が小さいものにしか効果はねぇはずなんだが……。それは『任意発動スキル強化』を取得する前の常識か……!
 いや、それ以前に魔法グライダーは攻撃能力を持たない魔導具、下手すると生活魔法に分類される魔導具なのか……!? エフィシェントに加えて『多重マルチプル』を付与すれば、魔法効果が跳ね上がる……!?」


 マーサが突然立ち上がって、リーネを抱きしめた。


「マ、マーサ……! 突然どうしたの……?」

「ははは! 良くやったぜリーネ! こいつは試す価値がある発想だ!
 エフィシェントとマルチプルは生活魔法にしか適用されねぇし、元の魔法効果を多少増幅される程度の効果しか期待できねぇんだけど、ランドビカミウリの飛膜を使った魔法グライダーなら元々の魔法効果も高ぇし、術式の効果も期待できそうだぜっ!」

「……えっとなんだっけな。エフィシェントは消費魔力を抑える『節約セイブ』と、魔法効果を増幅させるマルチプルの両方の効果を持ちながら、その魔法効果はそれぞれよりも低く設定されてるんだったか?
 というか複数術式付与が可能になった今なら、エフィシェントを使う意味なくねぇ? 普通にセイブとマルチプルの術式を付与したほうがいいんじゃねーの?」

「いや! 3つとも付与するべきだ!
 セイブは使用者の消費魔力を抑える効果が、マルチプルは魔力を重ねてより高い魔法効果を発生させる効果が、そしてエフィシェントは、使用された魔力を効率的に魔導具に送り込む効果がある術式なんだよ!
 つまりエフィシェントの術式を付与すれば、出力が上がるだけじゃなくて魔法グライダーの操作性が向上する効果も期待できるってワケだ!
 はははは! 我ながらダサすぎだぜ! リーネに言われるまで全く気付かなかった! なぁにが職人の経験だってんだよなぁ!? その経験で視野を狭めちゃ何の意味もねぇじゃねぇか!」


 凄い勢いで魔法グライダーをひったくって、マーサは大笑いしながら自宅の工房に走っていった。


「……マーサのあの様子を見るに、魔導具の件は解決しそうだね。
 それでトーマ。エリアキーパーと戦うことになるなら僕も行こうか? 僕の旅は急ぐ理由もないものだし」

「いや、とりあえず戦う予定はないから大丈夫だ。
 それに戦いたくはねぇけど、世界中を回るからには1人で戦う覚悟も必要だろ。
 ユリバファルゴアとザルトワシルドアでは、シンに頼りっぱなしだったしな。あの時よりも装備もスキルも戦闘経験も向上してるし、そろそろ1人でも対処できるようになっとかねぇとな」


 積極的に戦うつもりはないけど、湿地エリアみたいに、進入するためにはエリアキーパーとの戦闘が避けられないケースってのは、恐らく今後も増えてくるだろう。
 そしてエリアの調査中に偶発的に戦闘が起こる場合も考えられる。

 ……なら俺1人で対処出来なきゃ、エリア調査を行う資格はないよな。
 マーサの開発の成果次第になるけれど、エリアキーパーの打倒、俺も真剣に考える必要がありそうだ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...