577 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活
524 山岳エリアの東側
しおりを挟む
グリフォンのスピードで一気に山岳エリアを通り抜ける。
岩山が途切れたところでグリフォンは止まった。
視線の先には雲が無く、エリアの全体が良く見える。
「これは……、川? いや、湿地帯エリア?」
眼前には広大な川が流れている。
海では無いと分かるのは、ちゃんと両側に陸地も見えているからだ。
見た感じ背の低い植物が多く、上空から見渡す限りでは高低差は感じられない。
川はエリアの中心から山岳エリア側に延びており、エリアの境界には巨大な穴が開いている。いや、谷なのか? 上からじゃ底は確認できないな。
川の水は全て谷に向かって流れ落ちていて、まさに大瀑布と言うに相応しい光景……、なんだけど。
どうもあの谷から嫌な雰囲気が漂っている。
ザルトワシルドアが居た深海への谷を思わせる雰囲気だ。
谷の上には岩で出来た橋がいくつも架かっていて、エリア間の移動は問題なさそうではあるけど。
このまま近寄るのは、ちょっと抵抗あるな……。
「クァ?」
グリフォンがまるで「行かないの?」とでも言わんばかりに首を傾げている。
ということは、谷底から漂う雰囲気には気付いていないということか。
なら俺の気のせい……? いや、それは絶対にない。
これはグラメダワルケアみたいに休眠中のエリアキーパーではなく、ユリバファルゴアやザルトワシルドアのようのな、活動状態のエリアキーパーが放つ雰囲気に感じる。
つまり、まだ敵対状態ではないけれど、エリアキーパーに俺たちの存在が補足されている状態ってことか……。
「……悪い。今は大至急さっき休んだ場所まで戻ってくれないか。ワケはそこで話すから」
「クァァ?」
ちょっと不満そうだけど特に逆らう事も無く、ペルオブジェのある岩山まで戻ってくれた。
流石に見られているような不快さはなくなっている。
「悪い悪い。確証はないんだけど、エリアの境界の大渓谷から危険な雰囲気がしたんだよ。
このエリアの巨人、グラメダワルケア級の魔物が俺達を見ている雰囲気が」
「グルゥ?」
本当? ってか。あれって体験しないと感じ取れないものなのかな?
俺たちもユリバファルゴアと初めて遭遇したときは、スナネコに警告されるまで気付けなかったし。
ネヴァルドで、エリアキーパーの縄張りってひと括りには出来ないって説明しちゃったけど、もしかしてこれも新しいパターンか?
縄張りはエリアの中心ではなくて、エリアの外周。
新しくエリアに侵入してくる存在を感知して襲ってくる……?
縄張りの面積は狭いけど、範囲が凄まじく広いタイプかよ。変なところで個性出さなくていいっつうのに。
「ちょっと安易に踏み込むのはヤバそうだ。俺の方の準備が整うまでは、お前もあっちのエリアには入らないようにしてくれ。
さ、今日のところはこの山の麓にターミナルを設置して帰ろう」
本日の調査はここまでだ。やることやってさっさと帰ろう。
グリフォンと一緒に地面まで降りる。魔物が居る雰囲気はない。
もしかして魔物はエリアキーパーの気配を感じ取ってるのかもな。
充分に距離を取ったつもりだけど、エリアキーパーと戦闘になったら余波は飛んでくるかもしれない範囲だし。
しかしどんな感じに設置しようかな?
今回は俺たちもあまり使わないし、動物たちが近くに居るわけでもない、完全放置状態になる場所だ。
現在周囲に魔物が居ないからと言って、魔物の脅威がない場所なのかは不明だ。
むしろ俺とグリフォンが転移の中継ポイントとして使う事で、魔物を呼び込んでしまう可能性もある。
んー、結構深く岩山を刳り貫かないとダメかな?
有効化するには閉鎖空間ではダメだし、微妙に条件が厳しい。
それに加えて、グリフォンが出入りできないとダメか。
とりあえず外側から進入する事は考えずに、むしろ外側からは侵入し辛い構造にするべきだな。
俺たちは空を飛べるし、魔物の侵入防止が優先だ。
地面から10~20メートル程度の高さの場所に穴を開けて、ターミナルを設置。
ターミナルは閉鎖空間では有効化できないので、正面は格子状にして魔物の侵入を阻み、天井側を更に刳り貫いて広い出入り口を作る。
完全に俺とグリフォンが使用することを前提とした出入り口だけど、もし後から不便に思う人が居たらその人が作り直せば良いだろ。俺たちにはこの出入り口で問題ない。
恐らくだけど、俺たちの家族がこのターミナルを使う機会も殆どないだろうし。
広場が出来たらターミナルを設置する台座も作り、ターミナルを有効化する。
問題なく有効化出来たことを確認して、グリフォンと共に帰還した。
さて俺も自宅に帰る……、っとその前に、ターミナルを設置したんだから報告しないといけないんだったか。
少々面倒だとは思うけど、心核の価値を考えれば安いもんだろう。
このペースでターミナルを設置していくと、1エリアに3つくらいは設置していかなきゃいけないだろうしな。
さてと、何処まで報告すべきか。
正直湿地帯なのか川エリアなのか分からないけれど、あのエリアが解放されてもどの程度の価値があるのか俺には判断出来ないんだよなぁ。地球の湿地って、どんなことに活用されてたんだっけ?
おっと、エリアキーパーの縄張りの多様性についても言及しておかないとな。
というか本当に厄介な問題だ。エリアごとに縄張りの仕様が違うってことは、毎回新エリアでは最大限に警戒を続けなきゃいけないじゃねーかよ。
急ぎじゃないとは思ってたけど、こりゃなるべく早く高速移動方法を開発しなきゃいけないかもしれないなぁ。
岩山が途切れたところでグリフォンは止まった。
視線の先には雲が無く、エリアの全体が良く見える。
「これは……、川? いや、湿地帯エリア?」
眼前には広大な川が流れている。
海では無いと分かるのは、ちゃんと両側に陸地も見えているからだ。
見た感じ背の低い植物が多く、上空から見渡す限りでは高低差は感じられない。
川はエリアの中心から山岳エリア側に延びており、エリアの境界には巨大な穴が開いている。いや、谷なのか? 上からじゃ底は確認できないな。
川の水は全て谷に向かって流れ落ちていて、まさに大瀑布と言うに相応しい光景……、なんだけど。
どうもあの谷から嫌な雰囲気が漂っている。
ザルトワシルドアが居た深海への谷を思わせる雰囲気だ。
谷の上には岩で出来た橋がいくつも架かっていて、エリア間の移動は問題なさそうではあるけど。
このまま近寄るのは、ちょっと抵抗あるな……。
「クァ?」
グリフォンがまるで「行かないの?」とでも言わんばかりに首を傾げている。
ということは、谷底から漂う雰囲気には気付いていないということか。
なら俺の気のせい……? いや、それは絶対にない。
これはグラメダワルケアみたいに休眠中のエリアキーパーではなく、ユリバファルゴアやザルトワシルドアのようのな、活動状態のエリアキーパーが放つ雰囲気に感じる。
つまり、まだ敵対状態ではないけれど、エリアキーパーに俺たちの存在が補足されている状態ってことか……。
「……悪い。今は大至急さっき休んだ場所まで戻ってくれないか。ワケはそこで話すから」
「クァァ?」
ちょっと不満そうだけど特に逆らう事も無く、ペルオブジェのある岩山まで戻ってくれた。
流石に見られているような不快さはなくなっている。
「悪い悪い。確証はないんだけど、エリアの境界の大渓谷から危険な雰囲気がしたんだよ。
このエリアの巨人、グラメダワルケア級の魔物が俺達を見ている雰囲気が」
「グルゥ?」
本当? ってか。あれって体験しないと感じ取れないものなのかな?
俺たちもユリバファルゴアと初めて遭遇したときは、スナネコに警告されるまで気付けなかったし。
ネヴァルドで、エリアキーパーの縄張りってひと括りには出来ないって説明しちゃったけど、もしかしてこれも新しいパターンか?
縄張りはエリアの中心ではなくて、エリアの外周。
新しくエリアに侵入してくる存在を感知して襲ってくる……?
縄張りの面積は狭いけど、範囲が凄まじく広いタイプかよ。変なところで個性出さなくていいっつうのに。
「ちょっと安易に踏み込むのはヤバそうだ。俺の方の準備が整うまでは、お前もあっちのエリアには入らないようにしてくれ。
さ、今日のところはこの山の麓にターミナルを設置して帰ろう」
本日の調査はここまでだ。やることやってさっさと帰ろう。
グリフォンと一緒に地面まで降りる。魔物が居る雰囲気はない。
もしかして魔物はエリアキーパーの気配を感じ取ってるのかもな。
充分に距離を取ったつもりだけど、エリアキーパーと戦闘になったら余波は飛んでくるかもしれない範囲だし。
しかしどんな感じに設置しようかな?
今回は俺たちもあまり使わないし、動物たちが近くに居るわけでもない、完全放置状態になる場所だ。
現在周囲に魔物が居ないからと言って、魔物の脅威がない場所なのかは不明だ。
むしろ俺とグリフォンが転移の中継ポイントとして使う事で、魔物を呼び込んでしまう可能性もある。
んー、結構深く岩山を刳り貫かないとダメかな?
有効化するには閉鎖空間ではダメだし、微妙に条件が厳しい。
それに加えて、グリフォンが出入りできないとダメか。
とりあえず外側から進入する事は考えずに、むしろ外側からは侵入し辛い構造にするべきだな。
俺たちは空を飛べるし、魔物の侵入防止が優先だ。
地面から10~20メートル程度の高さの場所に穴を開けて、ターミナルを設置。
ターミナルは閉鎖空間では有効化できないので、正面は格子状にして魔物の侵入を阻み、天井側を更に刳り貫いて広い出入り口を作る。
完全に俺とグリフォンが使用することを前提とした出入り口だけど、もし後から不便に思う人が居たらその人が作り直せば良いだろ。俺たちにはこの出入り口で問題ない。
恐らくだけど、俺たちの家族がこのターミナルを使う機会も殆どないだろうし。
広場が出来たらターミナルを設置する台座も作り、ターミナルを有効化する。
問題なく有効化出来たことを確認して、グリフォンと共に帰還した。
さて俺も自宅に帰る……、っとその前に、ターミナルを設置したんだから報告しないといけないんだったか。
少々面倒だとは思うけど、心核の価値を考えれば安いもんだろう。
このペースでターミナルを設置していくと、1エリアに3つくらいは設置していかなきゃいけないだろうしな。
さてと、何処まで報告すべきか。
正直湿地帯なのか川エリアなのか分からないけれど、あのエリアが解放されてもどの程度の価値があるのか俺には判断出来ないんだよなぁ。地球の湿地って、どんなことに活用されてたんだっけ?
おっと、エリアキーパーの縄張りの多様性についても言及しておかないとな。
というか本当に厄介な問題だ。エリアごとに縄張りの仕様が違うってことは、毎回新エリアでは最大限に警戒を続けなきゃいけないじゃねーかよ。
急ぎじゃないとは思ってたけど、こりゃなるべく早く高速移動方法を開発しなきゃいけないかもしれないなぁ。
0
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる