564 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活
513 雪エリアの探索の為に
しおりを挟む
この5人でエリアキーパーを倒すのはかなり難しいと感じてしまう。
けれどこの5人はエリアキーパーを倒さないと未来がないのだ。
ならばなんとかこいつらでエリアキーパーを倒してもらわなきゃ困るだろ。
必要がある奴等ですら倒せないんじゃ、なんとなくでエリアキーパーに挑む冒険者が討伐に成功できるとはとても思えないし。
「別に雪エリアに拘る必要もないが、とりあえず雪エリアを探索する前提で、かつエリアキーパーを倒すのに必要だと思うものを説明したいと……。
いや、先に祝福の儀を受けてルルとソリスタもスキルの取得に成功しているか確認しよう。取得に失敗していたらまたやり直さないとダメだからな。
スキルの取得をしている間に、雪エリアの探索に必要なものとか各自考えておいてくれ。
っとタケルはどうする? お前はここで解散でもいいと思うけど」
「いやいやいや! そりゃねぇだろトーマよ!? ここで帰ったら生殺しもいいとこだぜ!?
俺自身がエリアキーパーと戦おうとは思っちゃいねぇけどよ。例えばエリアキーパーから家族を守らなきゃいけなくなる可能性だってゼロじゃねぇんだ。備えるって意味でも俺にも話を聞かせてくれよ」
ということでタケルも居残りする事に。
俺はスキル神殿に行っても仕方ないので、適当に軽食を用意しておく。
この世界はミルクも卵もないので、地球産のスイーツが殆ど作れないんだよなぁ。
マスターがミルクの代替品を見つけられそうな話をしていたので期待したい。
甘味や酸味は結構あるんだけどなぁ。
香草とか香辛料についての研究があまり進んでない。
森林方面の植物とか、もっと研究してくれる人が出てほしいもんだ。
逆に甘味系は迷宮で出る分使い放題なんだけどねぇ。
卵、乳製品、植物性の油が殆ど使えないので、スイーツ作っても味気ないんだよな。
大体ただのパンになっちゃう。そのパンが美味しいからまだ我慢できるんだけど。
スイーツ枠は蜂蜜と果実で適当にシロップだけ作って終わり。
その後戻ってきたタケルたちは、全員無事に必要スキルを取得できたようだ。
「さてと、食事を用意したから適当に食ってくれ。
そんで食いながら話を続けようか。雪エリアの探索が上手くいかない理由と、それを解決する案とか聞きたいな」
「ええ……。何サラッとハンバーガーみたいなの作ってんだよ……。
果物のジュースに、スイーツまで用意してやがる。しかもうめぇし……」
「もぐもぐ。……そうだね。雪エリアはとにかく視界が悪い事と、目印になるものがなにもなくて思うように探索が進まないんだよね。
しかも先に進めば進むほどに吹雪は強くなってきちゃって、本当に自分の両手すら見えないような視界状態なんだよ。日本では体験したことなかったけど、まさにホワイトアウトって奴なんだろうねあれは」
「はむはむ。雪エリアを探索するためには、視界の確保と目印の建設が必要なのよ。でも豪雪地帯だから下手に何か目印を建てても埋まってしまうし、そもそもの話視界が奪われているから目印を探す事も出来ないの。
この世界では天候が変化したりしないから、吹雪が弱まった瞬間を狙って、ということも出来ないみたいだし……」
「ごくごく。スキルのおかげで雪の中で活動すること自体には支障がないのですが……。正直申し上げまして、雪エリアへの進出の目処は立っておりませんわ……」
ほぼ何も進展していないわけか。
放っておくとせっかく登山道を整備したのに、グラメダワルケアを狙い始めかねないなこいつら。
「目印に関しちゃサーチの魔導具で解決できる。
視界の確保については……、常に最大範囲で温風をまとって限定範囲だけでも視界を確保するしかねぇんじゃねぇの?
最悪5メートルくらいの視界さえ確保できれば戦闘には支障ないだろ?」
海で採用したサーチシステムの事を簡単に説明する。
「なるほどな。目印がないなら作ればいい、までは考え付いたが……。視界が覆われていてもサーチで感知できるなら問題ないということか。まさに生産技術を持っていないと出ない発想だと思う」
「一定範囲内に生活魔法でクソデカい壁とか建造物を作って雪を遮るのもいいかもな。
雪の量にもよるけど、数百メートルレベルの壁とか作れば、簡単には埋まらないだろうし」
「……! なるほどな、水魔法で雪を操作して壁を建造することも出来るのか……!
気候が変動しないなら融ける心配もねぇし、材料はいくらでもあるんだから時間さえかけりゃいくらでも巨大に出来るってことか!」
雪エリアの探索なんて全くしたことのないタケルの方が察しが良いな。
ソリスタには感じないけど、4人からは微妙に諦めムードを感じるんだよね。
どうやって達成すればいいんだ! じゃなくて、こんなの達成できるわけがない! みたいな。
「一定距離ごとに休憩所があれば、お前らの後ろから雪エリアを探索しようって奴も増えるかもしれない。登山道みたいに、整備すれば誰だって上まで登れるようになったのと同じでな。
この世界にゃスキルも魔法もあるんだよ。なのにこの程度で諦めるなって馬鹿じゃないのか? もっと魔法もスキルも活用して、先に進む方法を模索するべきだろ?
自分が出来ないと思った事は不可能だなんて思ってんの? お前ら神でもなんでもねぇんだってば。いつまで自分が有能で稀有な人間だって妄信してんのよ?」
「……なるほど。トーマが私に再三言った『甘え』という言葉の意味。私はまだ充分に認識できていなかったみたいね」
アリスは頭を上げてタケルとソリスタの話に加わった。
上手くいかないから不可能だって発想から、どうすれば上手くいくのかって考え方に切り替わったのかな?
諦めたら思考は停止する。思考が停止したら良い案なんて浮かばない。
状況を打破する為には、諦めてる余裕なんかないんだよなぁ。
けれどこの5人はエリアキーパーを倒さないと未来がないのだ。
ならばなんとかこいつらでエリアキーパーを倒してもらわなきゃ困るだろ。
必要がある奴等ですら倒せないんじゃ、なんとなくでエリアキーパーに挑む冒険者が討伐に成功できるとはとても思えないし。
「別に雪エリアに拘る必要もないが、とりあえず雪エリアを探索する前提で、かつエリアキーパーを倒すのに必要だと思うものを説明したいと……。
いや、先に祝福の儀を受けてルルとソリスタもスキルの取得に成功しているか確認しよう。取得に失敗していたらまたやり直さないとダメだからな。
スキルの取得をしている間に、雪エリアの探索に必要なものとか各自考えておいてくれ。
っとタケルはどうする? お前はここで解散でもいいと思うけど」
「いやいやいや! そりゃねぇだろトーマよ!? ここで帰ったら生殺しもいいとこだぜ!?
俺自身がエリアキーパーと戦おうとは思っちゃいねぇけどよ。例えばエリアキーパーから家族を守らなきゃいけなくなる可能性だってゼロじゃねぇんだ。備えるって意味でも俺にも話を聞かせてくれよ」
ということでタケルも居残りする事に。
俺はスキル神殿に行っても仕方ないので、適当に軽食を用意しておく。
この世界はミルクも卵もないので、地球産のスイーツが殆ど作れないんだよなぁ。
マスターがミルクの代替品を見つけられそうな話をしていたので期待したい。
甘味や酸味は結構あるんだけどなぁ。
香草とか香辛料についての研究があまり進んでない。
森林方面の植物とか、もっと研究してくれる人が出てほしいもんだ。
逆に甘味系は迷宮で出る分使い放題なんだけどねぇ。
卵、乳製品、植物性の油が殆ど使えないので、スイーツ作っても味気ないんだよな。
大体ただのパンになっちゃう。そのパンが美味しいからまだ我慢できるんだけど。
スイーツ枠は蜂蜜と果実で適当にシロップだけ作って終わり。
その後戻ってきたタケルたちは、全員無事に必要スキルを取得できたようだ。
「さてと、食事を用意したから適当に食ってくれ。
そんで食いながら話を続けようか。雪エリアの探索が上手くいかない理由と、それを解決する案とか聞きたいな」
「ええ……。何サラッとハンバーガーみたいなの作ってんだよ……。
果物のジュースに、スイーツまで用意してやがる。しかもうめぇし……」
「もぐもぐ。……そうだね。雪エリアはとにかく視界が悪い事と、目印になるものがなにもなくて思うように探索が進まないんだよね。
しかも先に進めば進むほどに吹雪は強くなってきちゃって、本当に自分の両手すら見えないような視界状態なんだよ。日本では体験したことなかったけど、まさにホワイトアウトって奴なんだろうねあれは」
「はむはむ。雪エリアを探索するためには、視界の確保と目印の建設が必要なのよ。でも豪雪地帯だから下手に何か目印を建てても埋まってしまうし、そもそもの話視界が奪われているから目印を探す事も出来ないの。
この世界では天候が変化したりしないから、吹雪が弱まった瞬間を狙って、ということも出来ないみたいだし……」
「ごくごく。スキルのおかげで雪の中で活動すること自体には支障がないのですが……。正直申し上げまして、雪エリアへの進出の目処は立っておりませんわ……」
ほぼ何も進展していないわけか。
放っておくとせっかく登山道を整備したのに、グラメダワルケアを狙い始めかねないなこいつら。
「目印に関しちゃサーチの魔導具で解決できる。
視界の確保については……、常に最大範囲で温風をまとって限定範囲だけでも視界を確保するしかねぇんじゃねぇの?
最悪5メートルくらいの視界さえ確保できれば戦闘には支障ないだろ?」
海で採用したサーチシステムの事を簡単に説明する。
「なるほどな。目印がないなら作ればいい、までは考え付いたが……。視界が覆われていてもサーチで感知できるなら問題ないということか。まさに生産技術を持っていないと出ない発想だと思う」
「一定範囲内に生活魔法でクソデカい壁とか建造物を作って雪を遮るのもいいかもな。
雪の量にもよるけど、数百メートルレベルの壁とか作れば、簡単には埋まらないだろうし」
「……! なるほどな、水魔法で雪を操作して壁を建造することも出来るのか……!
気候が変動しないなら融ける心配もねぇし、材料はいくらでもあるんだから時間さえかけりゃいくらでも巨大に出来るってことか!」
雪エリアの探索なんて全くしたことのないタケルの方が察しが良いな。
ソリスタには感じないけど、4人からは微妙に諦めムードを感じるんだよね。
どうやって達成すればいいんだ! じゃなくて、こんなの達成できるわけがない! みたいな。
「一定距離ごとに休憩所があれば、お前らの後ろから雪エリアを探索しようって奴も増えるかもしれない。登山道みたいに、整備すれば誰だって上まで登れるようになったのと同じでな。
この世界にゃスキルも魔法もあるんだよ。なのにこの程度で諦めるなって馬鹿じゃないのか? もっと魔法もスキルも活用して、先に進む方法を模索するべきだろ?
自分が出来ないと思った事は不可能だなんて思ってんの? お前ら神でもなんでもねぇんだってば。いつまで自分が有能で稀有な人間だって妄信してんのよ?」
「……なるほど。トーマが私に再三言った『甘え』という言葉の意味。私はまだ充分に認識できていなかったみたいね」
アリスは頭を上げてタケルとソリスタの話に加わった。
上手くいかないから不可能だって発想から、どうすれば上手くいくのかって考え方に切り替わったのかな?
諦めたら思考は停止する。思考が停止したら良い案なんて浮かばない。
状況を打破する為には、諦めてる余裕なんかないんだよなぁ。
0
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる