異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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12章 俺が望んだ異世界生活

513 雪エリアの探索の為に

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 この5人でエリアキーパーを倒すのはかなり難しいと感じてしまう。
 けれどこの5人はエリアキーパーを倒さないと未来がないのだ。

 ならばなんとかこいつらでエリアキーパーを倒してもらわなきゃ困るだろ。

 必要がある奴等ですら倒せないんじゃ、なんとなくでエリアキーパーに挑む冒険者が討伐に成功できるとはとても思えないし。


「別に雪エリアに拘る必要もないが、とりあえず雪エリアを探索する前提で、かつエリアキーパーを倒すのに必要だと思うものを説明したいと……。
 いや、先に祝福の儀を受けてルルとソリスタもスキルの取得に成功しているか確認しよう。取得に失敗していたらまたやり直さないとダメだからな。
 スキルの取得をしている間に、雪エリアの探索に必要なものとか各自考えておいてくれ。
 っとタケルはどうする? お前はここで解散でもいいと思うけど」

「いやいやいや! そりゃねぇだろトーマよ!? ここで帰ったら生殺しもいいとこだぜ!?
 俺自身がエリアキーパーと戦おうとは思っちゃいねぇけどよ。例えばエリアキーパーから家族を守らなきゃいけなくなる可能性だってゼロじゃねぇんだ。備えるって意味でも俺にも話を聞かせてくれよ」


 ということでタケルも居残りする事に。
 俺はスキル神殿に行っても仕方ないので、適当に軽食を用意しておく。

 この世界はミルクも卵もないので、地球産のスイーツが殆ど作れないんだよなぁ。
 マスターがミルクの代替品を見つけられそうな話をしていたので期待したい。

 甘味や酸味は結構あるんだけどなぁ。
 香草とか香辛料についての研究があまり進んでない。
 森林方面の植物とか、もっと研究してくれる人が出てほしいもんだ。

 逆に甘味系は迷宮で出る分使い放題なんだけどねぇ。
 卵、乳製品、植物性の油が殆ど使えないので、スイーツ作っても味気ないんだよな。
 大体ただのパンになっちゃう。そのパンが美味しいからまだ我慢できるんだけど。

 スイーツ枠は蜂蜜と果実で適当にシロップだけ作って終わり。

 その後戻ってきたタケルたちは、全員無事に必要スキルを取得できたようだ。


「さてと、食事を用意したから適当に食ってくれ。
 そんで食いながら話を続けようか。雪エリアの探索が上手くいかない理由と、それを解決する案とか聞きたいな」

「ええ……。何サラッとハンバーガーみたいなの作ってんだよ……。
 果物のジュースに、スイーツまで用意してやがる。しかもうめぇし……」

「もぐもぐ。……そうだね。雪エリアはとにかく視界が悪い事と、目印になるものがなにもなくて思うように探索が進まないんだよね。
 しかも先に進めば進むほどに吹雪は強くなってきちゃって、本当に自分の両手すら見えないような視界状態なんだよ。日本では体験したことなかったけど、まさにホワイトアウトって奴なんだろうねあれは」

「はむはむ。雪エリアを探索するためには、視界の確保と目印の建設が必要なのよ。でも豪雪地帯だから下手に何か目印を建てても埋まってしまうし、そもそもの話視界が奪われているから目印を探す事も出来ないの。
 この世界では天候が変化したりしないから、吹雪が弱まった瞬間を狙って、ということも出来ないみたいだし……」

「ごくごく。スキルのおかげで雪の中で活動すること自体には支障がないのですが……。正直申し上げまして、雪エリアへの進出の目処は立っておりませんわ……」


 ほぼ何も進展していないわけか。
 放っておくとせっかく登山道を整備したのに、グラメダワルケアを狙い始めかねないなこいつら。


「目印に関しちゃサーチの魔導具で解決できる。
 視界の確保については……、常に最大範囲で温風をまとって限定範囲だけでも視界を確保するしかねぇんじゃねぇの?
 最悪5メートルくらいの視界さえ確保できれば戦闘には支障ないだろ?」


 海で採用したサーチシステムの事を簡単に説明する。


「なるほどな。目印がないなら作ればいい、までは考え付いたが……。視界が覆われていてもサーチで感知できるなら問題ないということか。まさに生産技術を持っていないと出ない発想だと思う」

「一定範囲内に生活魔法でクソデカい壁とか建造物を作って雪を遮るのもいいかもな。
 雪の量にもよるけど、数百メートルレベルの壁とか作れば、簡単には埋まらないだろうし」

「……! なるほどな、水魔法で雪を操作して壁を建造することも出来るのか……!
 気候が変動しないなら融ける心配もねぇし、材料はいくらでもあるんだから時間さえかけりゃいくらでも巨大に出来るってことか!」


 雪エリアの探索なんて全くしたことのないタケルの方が察しが良いな。
 ソリスタには感じないけど、4人からは微妙に諦めムードを感じるんだよね。

 どうやって達成すればいいんだ! じゃなくて、こんなの達成できるわけがない! みたいな。


「一定距離ごとに休憩所があれば、お前らの後ろから雪エリアを探索しようって奴も増えるかもしれない。登山道みたいに、整備すれば誰だって上まで登れるようになったのと同じでな。
 この世界にゃスキルも魔法もあるんだよ。なのにこの程度で諦めるなって馬鹿じゃないのか? もっと魔法もスキルも活用して、先に進む方法を模索するべきだろ?
 自分が出来ないと思った事は不可能だなんて思ってんの? お前ら神でもなんでもねぇんだってば。いつまで自分が有能で稀有な人間だって妄信してんのよ?」

「……なるほど。トーマが私に再三言った『甘え』という言葉の意味。私はまだ充分に認識できていなかったみたいね」


 アリスは頭を上げてタケルとソリスタの話に加わった。
 上手くいかないから不可能だって発想から、どうすれば上手くいくのかって考え方に切り替わったのかな?

 諦めたら思考は停止する。思考が停止したら良い案なんて浮かばない。
 状況を打破する為には、諦めてる余裕なんかないんだよなぁ。
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