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12章 俺が望んだ異世界生活
504 子守りアニマル
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「わんっ」
「みゃあ?」
「きゅきゅい」
ふわわとつららとちびグリ2匹がなにやら打ち合わせをしている。
短くやり取りを済ませると、4匹は改めて子供達の相手をし始めた。
「だぁだぁ!」
1番大きい娘もまだハイハイすら出来ないからなぁ。
最近ようやく寝返りを打てそうな気配がしてきたー、ってくらいだ。
我が家ではハルも含めて母親が7人も居るので、子守に困る事はあまりないのだけど、さらにはふわわとつららが率先して子供達の相手をしてくれるので、申し訳なくなるレベルで育児に手がかからない。
スキルを結構取得している2匹は赤ん坊特有の容赦のない扱いにも耐えてくれるし、2匹の尻尾は子供達に大人気だ。
たまに両親が構ってもらえなくて困るくらいなんだよな。
親よりふわわとつらら抱いて寝るし……。
ちびグリたちも生き物としてのスペックが高いのか、ビタビタと叩かれようが、噛み付かれて涎でびちょびちょにされようが、全力で尻尾を引っ張られようがビクともしていない。
……あれ? 俺って今日初めてきたお客さんよりも育児の役に立ってなくね?
せ、せめてオムツくらい替えようじゃないか! 洗浄使うだけだけど!
ちなみにこの世界にもオムツ換えだったり洗濯だったりの概念はある。皆が魔法使えるわけじゃないからね。
でも冒険者達の迷宮探索率が跳ね上がったおかげで、とうとうスクロールの値段も下がり始めているようだ。
面白いのはそんな状況の中で、音魔法の値段がちょっとずつ上がり始めていることだ。
魔力増加訓練にも使いやすいし、音感知センサーの有用性が認知されつつあるのだ。
音魔法先生にもこれで少しは恩を返せたかな?
「あの子達が山岳エリアで生きてる動物なんだよねー? 連れてきちゃった良かったのー?」
「ああ、本人も保護者も了承してくれてるからな。むしろ連れて行ってくれって感じだったし?」
「保護者がいるということは、この子たちは子供なんですね? 大人になるとどのくらいの大きさになるんですか?」
「んっと、スナネコよりもひと回り大きいくらいかな? ターミナル設置したら今度はみんなで会いに行こう。
子供達用の寝具関係だけ簡単に用意しておいてくれ」
「わかりました。楽しみにしていますね」
子供達と遊ぶちびグリフォンを見て思うのが、この世界の動物の人に対する友好度の高さと危険性の低さだな。
動物同士ももっと積極的に交流していけたらと思うけど、各動物たちって生息域が離れすぎてて、そう簡単に交流って訳にもいかないんだよね。せめてゲートでも使えればなぁ……。
……って待てよ? フィールダーとゲイザーたちは魔導具の使い方を理解できたよな?
動物達が魔導具を使用できるのであれば、もしかしたら動物同士でゲートを使うことも、あるいは可能か?
もしも動物達だけでゲートの行き来が可能になるのであれば、鳥獣保護区のターミナル辺りで皆が交流することも可能になるんじゃないだろうか?
「トーマ……? 何か思いついたって顔してるよ……?
何してもいいけど、動物さんに迷惑をかけちゃダメだからね……?」
「分かってるよリーネ。こいつらは大切な友達なんだ。迷惑かけるつもりなんてないさ。
ただもっと、動物同士で気軽に交流できる方法があるんじゃないかって考えただけだよ」
「ははっ、動物同士で交流ってのはいいな! 今のところ全動物と交流があるのって、ふわわとつららだけだよな?
動物同士で絡んでんの見るのがまた可愛くて好きなんだよなぁ~!」
「あ、マーサ。明日山岳エリアにもっていくからトイレ用魔導具が2つと、水の魔導具が1つ欲しい。
水の魔導具は魔力自動吸引式で頼んだ」
俺がいないと水の補充が出来ないって言ったけど、魔導具を理解できるのを忘れていた。
自動吸引式ならグリフォンだけでも水場を維持できるはず。
「うん。これってグリフォンって奴だよね? その子供って、こんなに可愛いんだね。
尻尾が蛇だったらちょっとだけ引いてたかもしれないけど、そんなこともなくて良かったかな」
「完全にふわわとつららの同系統の動物にしか見えないっすよ。靴下柄がほんと完璧っす。これで魔物を狩ってるなんて信じられないくらいの可愛さっすねぇ!」
「愛想もいいし頭もいいわよね。赤ちゃんの相手なんて成人した人間だって大変なのに、むしろ積極的に関わってくれてるし、そして赤ちゃんと動物ってだけでもう可愛いし、リンカーズって本当にいい世界ねぇ。
私もう日本に帰れると言われても、向こうで暮らしていける自信ないかも」
「同感だなぁ。魔法が便利すぎるよな。
これほどの便利さに対して普及率が低すぎて、逆にびっくりしたもんだぜ」
生活魔法って覚えるデメリットが特にないんだから、全人類が全種類覚えてるくらいでもいいと思うんだけどね。
戦闘面でも応用次第でいくらでも活用できるし、戦闘外での活用の幅は無限大と言っていいだろう。
この国もどんどん子供が生まれ始めていて、人口爆発の予兆みたいなものが出始めてる。
でも迷宮資源っていうほぼ枯渇しない資源で肉や小麦が取れる以上、食糧問題みたいな事はかなり発生しにくいはずだ。
ひょっとしたら今後、想定もしていなかった重大な問題とかが発生する可能性もあるけれど、現時点ではこの国の将来は明るいとしか思えない。
とても順調に発展している今のうちに、動物達の生き方も模索していけたらいいんだけどね。
「みゃあ?」
「きゅきゅい」
ふわわとつららとちびグリ2匹がなにやら打ち合わせをしている。
短くやり取りを済ませると、4匹は改めて子供達の相手をし始めた。
「だぁだぁ!」
1番大きい娘もまだハイハイすら出来ないからなぁ。
最近ようやく寝返りを打てそうな気配がしてきたー、ってくらいだ。
我が家ではハルも含めて母親が7人も居るので、子守に困る事はあまりないのだけど、さらにはふわわとつららが率先して子供達の相手をしてくれるので、申し訳なくなるレベルで育児に手がかからない。
スキルを結構取得している2匹は赤ん坊特有の容赦のない扱いにも耐えてくれるし、2匹の尻尾は子供達に大人気だ。
たまに両親が構ってもらえなくて困るくらいなんだよな。
親よりふわわとつらら抱いて寝るし……。
ちびグリたちも生き物としてのスペックが高いのか、ビタビタと叩かれようが、噛み付かれて涎でびちょびちょにされようが、全力で尻尾を引っ張られようがビクともしていない。
……あれ? 俺って今日初めてきたお客さんよりも育児の役に立ってなくね?
せ、せめてオムツくらい替えようじゃないか! 洗浄使うだけだけど!
ちなみにこの世界にもオムツ換えだったり洗濯だったりの概念はある。皆が魔法使えるわけじゃないからね。
でも冒険者達の迷宮探索率が跳ね上がったおかげで、とうとうスクロールの値段も下がり始めているようだ。
面白いのはそんな状況の中で、音魔法の値段がちょっとずつ上がり始めていることだ。
魔力増加訓練にも使いやすいし、音感知センサーの有用性が認知されつつあるのだ。
音魔法先生にもこれで少しは恩を返せたかな?
「あの子達が山岳エリアで生きてる動物なんだよねー? 連れてきちゃった良かったのー?」
「ああ、本人も保護者も了承してくれてるからな。むしろ連れて行ってくれって感じだったし?」
「保護者がいるということは、この子たちは子供なんですね? 大人になるとどのくらいの大きさになるんですか?」
「んっと、スナネコよりもひと回り大きいくらいかな? ターミナル設置したら今度はみんなで会いに行こう。
子供達用の寝具関係だけ簡単に用意しておいてくれ」
「わかりました。楽しみにしていますね」
子供達と遊ぶちびグリフォンを見て思うのが、この世界の動物の人に対する友好度の高さと危険性の低さだな。
動物同士ももっと積極的に交流していけたらと思うけど、各動物たちって生息域が離れすぎてて、そう簡単に交流って訳にもいかないんだよね。せめてゲートでも使えればなぁ……。
……って待てよ? フィールダーとゲイザーたちは魔導具の使い方を理解できたよな?
動物達が魔導具を使用できるのであれば、もしかしたら動物同士でゲートを使うことも、あるいは可能か?
もしも動物達だけでゲートの行き来が可能になるのであれば、鳥獣保護区のターミナル辺りで皆が交流することも可能になるんじゃないだろうか?
「トーマ……? 何か思いついたって顔してるよ……?
何してもいいけど、動物さんに迷惑をかけちゃダメだからね……?」
「分かってるよリーネ。こいつらは大切な友達なんだ。迷惑かけるつもりなんてないさ。
ただもっと、動物同士で気軽に交流できる方法があるんじゃないかって考えただけだよ」
「ははっ、動物同士で交流ってのはいいな! 今のところ全動物と交流があるのって、ふわわとつららだけだよな?
動物同士で絡んでんの見るのがまた可愛くて好きなんだよなぁ~!」
「あ、マーサ。明日山岳エリアにもっていくからトイレ用魔導具が2つと、水の魔導具が1つ欲しい。
水の魔導具は魔力自動吸引式で頼んだ」
俺がいないと水の補充が出来ないって言ったけど、魔導具を理解できるのを忘れていた。
自動吸引式ならグリフォンだけでも水場を維持できるはず。
「うん。これってグリフォンって奴だよね? その子供って、こんなに可愛いんだね。
尻尾が蛇だったらちょっとだけ引いてたかもしれないけど、そんなこともなくて良かったかな」
「完全にふわわとつららの同系統の動物にしか見えないっすよ。靴下柄がほんと完璧っす。これで魔物を狩ってるなんて信じられないくらいの可愛さっすねぇ!」
「愛想もいいし頭もいいわよね。赤ちゃんの相手なんて成人した人間だって大変なのに、むしろ積極的に関わってくれてるし、そして赤ちゃんと動物ってだけでもう可愛いし、リンカーズって本当にいい世界ねぇ。
私もう日本に帰れると言われても、向こうで暮らしていける自信ないかも」
「同感だなぁ。魔法が便利すぎるよな。
これほどの便利さに対して普及率が低すぎて、逆にびっくりしたもんだぜ」
生活魔法って覚えるデメリットが特にないんだから、全人類が全種類覚えてるくらいでもいいと思うんだけどね。
戦闘面でも応用次第でいくらでも活用できるし、戦闘外での活用の幅は無限大と言っていいだろう。
この国もどんどん子供が生まれ始めていて、人口爆発の予兆みたいなものが出始めてる。
でも迷宮資源っていうほぼ枯渇しない資源で肉や小麦が取れる以上、食糧問題みたいな事はかなり発生しにくいはずだ。
ひょっとしたら今後、想定もしていなかった重大な問題とかが発生する可能性もあるけれど、現時点ではこの国の将来は明るいとしか思えない。
とても順調に発展している今のうちに、動物達の生き方も模索していけたらいいんだけどね。
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