異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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12章 俺が望んだ異世界生活

496 登山とトイレ

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 作ったばかりの階段を下りていくと、山の中腹を過ぎたあたりの休憩スペースで、会議室に居た一行がキャンプしていてちょっと笑ってしまった。
 場所的には中腹を過ぎて、雲の中に入ったあたりだから、まぁ明日の陽天の報せぐらいには着くんじゃないかな?

 テントの外で見張りに立ってる護衛の兵士に声をかける。


「お疲れ様です。腹減ってたらなんか食います? 俺食料持参してきてるけど」

「ああ、トーマさん。お気遣い感謝しますが大丈夫です。タイデリア家からストレージ持ちの方が数名同行してくれてますので、今のところ食事の量に不安はありませんから。
 えっと、あと何日もかかるようでなければ、ですけど……。今ってどの辺りでしょう?」

「ああそれなら大丈夫ですよ。ここはもう半分は過ぎているはずですから。
 ちょっと俺自身まだ距離関係把握出来てないんで、大雑把なことは言えませんけど、明日の日が落ちる前には間違いなく到着できるでしょう」


 護衛さんはあからさまにホッとしている。
 そりゃあ先が長いにしても、明日着くと言われたらとりあえず安心するよな。


「ここはエリアキーパーを見る為の道なので、出来ればターミナルは置きたくないんですよね。ですが変に大変な道にもしたくはないので、もし何か改善すべき点に気付いたら教えてください。
 現在地の大まかな表示とか、そういうのも必要かどうか聞いてみたいんで」

「そ、そんなにしっかり整備する必要があるのかは分かりませんが、了解しました。
 それにしても、このあたりは魔物が出ないのですかね? 山に登り始める前には何度か襲われたのですが」

「確実なことは言えませんが、雲の上で魔物にはまだ会ってないんですよね。今は晴れてますけど、この辺も既に雲のある高さだと思いますから、そこまで来れる魔物は少ないのかもしれませんね」

「なるほど。それでは明日は護衛は楽かもしれないですね。山頂に到着後、要人の皆さんは先にゲートで帰還してもらうことになるでしょうし、あとは最低限の人員で下に置いてきた馬車を回収するだけですから。
 いや、有意義な情報提供感謝致します。明日エリアキーパーを目にするのは少々不安ですけどね」

「えっと、貴方は王家の方? それともシルグリイド家の?」

「あ、私はシルグリイド家です。『精神安定』は取得しましたし、ウィルスレイアにある迷宮は踏破済みなので、今回護衛に選んで頂いたんです」

「その実力なら問題ないと思いますよ。恐らく深階層域まで潜った経験がないと、錯乱してしまうんじゃないかとは思いますが」


 ベイクでも50階層のグランドドラゴンが、ある意味で境界線みたいな役割を果たしていたからなぁ。
 50階層を過ぎると、どんな魔物が出ても取り乱さなくなる心構えは必須だろう。


「それを聞いて安心しました。
 この世界の頂点であるエリアキーパー……。私が挑む事があるとは思えませんが、この世界にある最大級の脅威を認識しておくのは、護衛を務める上では重要なことだと思います。貴重な経験をさせていただいて感謝致します」

「いえいえ。経験をどう活かすかは本人次第ですから。御礼には及びませんよ。
 それでは護衛の方の実力も充分ですし、俺は1度帰りますね。
 明日また顔を出しますので。おやすみなさい」

「え、ええ……。この距離をそんな気軽に移動できちゃうんですか……。
 エリアキーパーを見るの、ちょっと不安になってきたな……」


 護衛の人も普通に迷宮を踏破する時代になったのは感慨深いな。
 ソロでとは言われてないけど、十分な実力だと思う。


 ゲートで別荘、というかもうこっちが自宅でいいか。ベイクにあるのは実家だな。ということで自宅に戻る。

 魔導具はデザインと構造はイメージ出来たそうなので、後は色々な素材で実験しながら完成を目指したいとの事で、もう少し時間が必要だと言われる。
 いや、昨日の今日で製作が始まってる時点で凄い早いと思うけどな。

 夜泣きする子供達をあやしながら眠りについた。


 次の日ミルズレンダに行って、早速登山中のメンバーと合流しようと思ったところでふと、トイレの魔導具は設置したほうがいいかなと思い至った。
 洗浄が使えない奴が登る場所とも思えないけど、開放的な状況で用を足すよりは、個室で用を足したいと思うだろう。俺だったらそうする。

 ストレージにトイレ魔導具を10個ほど収納し、改めて登山メンバーとの合流を目指す。
 そして1000段くらいの間隔でトイレを設置し、簡易的な個室を作っていく。メンテナンスが面倒なのでドアは取り付けないけどね。

 昨日夜営が行われた場所にはもう誰もいなかったけど、位置的にちょうど良さそうなので、ここには3つほどトイレを設置。
 この魔導具って本当に配管も排水も考えなくていいから、日本で使えたら色んなものが変わりそうだよな。持って帰る方法はないし、今さらこの世界を離れたいとも思わないが。

 6000段を越えた辺りで登山メンバーと合流する。
 普通にトイレを設置しながら下から追いついた俺を見て、昨夜話した護衛がちょっと自信を喪失していた。
 がんばれ。アンタは普通に実力者だから自信持っていいんだ!

 一定距離でトイレの魔導具を設置してきたといったら、先行して次の休憩スペースにトイレを設置しておいて欲しいという要望が凄まじかったので叶えておく。
 7000段付近、最後の休憩スペースでの休憩は、かなり長いものになったとだけ言っておこうか。


 そんなトイレと登山のエピソードを挟みつつ、俺達は山頂に到着したのだった。
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