538 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活
493 山岳エリアの巨人
しおりを挟む
久しぶりにミルズレンダに足を運んだ訳だけど、まぁびっくりするくらい寂れてしまってるなぁ。
ミルズレンダは殆ど街ぐるみで王国解放軍に参加してしまった過去があるので、現在王国でもかなり浮いた存在となってしまっている。
王の褒美で譲渡される領地になっているのだが、未だミルズレンダを治めたいという人物は現れておらず、ネヴァルドから派遣された代官が都市を運営しているようだ。
まぁ自業自得だな。知らん知らん。
俺が吹き飛ばしてやった狩人ギルドも再建が済んでいるけど、この街の施設は何1つ利用する気にはならないので、そのまま徒歩で国境壁外へ向かう。
流石に動物達の足には及ばないが、今の俺は馬車を引いたアサルトドラゴンよりは速く走れるからな。ストレージもあるしゲートもあるから、狩人の案内は必要ない。
山岳エリアと言うだけあって、リヴァーブ王国の南エリアは高い岩山が連なった苛酷な環境だ。
狩人達は山と山の間を縫って探索し、このエリアの魔物を狩って生計を立てている。
けどまぁ今の俺なら岩山の上に登ることも出来るし、山を縫って移動する必要もない。
山の上まで行ったらジャンプでの転移移動を繰り返すという手もあるし、3次元的な移動を試みるのも一興だ。
「それじゃあ助走をつけて……、っとぉ!」
思い切りジャンプして、目の前の岩山のなるべく高い場所に飛びつく。
足場があれば上に飛び、足場がなければウェブクラフターで即興の足場を用意していく。
これはクライミングとは言わないだろうなぁ。
10分くらい登り続けると、周囲が微妙に霧がかってきた。これってもしかして雲だったりする?
雲の高さって地表から2キロメートルくらいなんだっけ? だとすると既に別荘の高さくらいは追い抜いたのかなぁ。
気にせず登っていくと霧が晴れた。下を見るとやはり雲だったみたいで、岩山に雲が纏わり付いているのがよく分かる。
雲より高い山が連なってるエリアってのもなかなかだなぁ。
そりゃあ国土の拡張が進まなくても仕方なかったのかも。
ようやく山頂が見えた。高いなー。
こんな場所に進出するには、どんな街作りをすればいいんだろ?
いつぞや俺たちが襲撃を受けたような場所を利用して、洞窟に街を作るのがいいのかもしれない。
全員が『暗視』を使えるのであれば、採光を考えなくてもいいんだし。
岩山の天辺に到着する。
頂上は5歩も歩けば転落してしまうくらいの狭さだった。
ま、別に山頂でなにをしようって訳じゃない。単に周りの地形を確認して、可能ならそのまま移動したかったから登っただけだ。
さーてと、周りはどうなって……。
「なん、だ。あれは……?」
景色を確認しようとした俺の視界に、異常なものが飛び込んできた。
周囲も全て雲より高い岩山なのに、更にそれ以上にでかい巨人が、遥か遠くに佇んでいるのだ。
今までの経験で直感する。
あいつが山岳地帯のエリアキーパーに間違いない。
なんだっけ? グラメダワルケア、とか言ったっけ。
でもまぁ……。ユリバファルゴアと比べりゃあ、まだ常識的なサイズしてる気はする。
ちょっと自分の中の魔物の基準がぶっ壊れちまってる気がするけど、そもそもエリアキーパーって存在がバグッてる気がして仕方ない。
ここからだと正確には判断出来ないけれど、周囲の岩山よりも胸から上か出てるあたり、5キロメートル以上はあるんじゃないのかな?
え、スーパーロボットでもあんなに大きな人型ロボットってあんまりいない気がするんだけど。
色は周囲の岩山に溶け込む茶色に近い土色をしてる。
目は多分閉じてるかなー? 『遠見』を使っても良いんだけど、魔力を感知されたくないし自重しておこう。
気になるのは全く動いてないことと、鎧のようなものを身につけているということだ。
そういう魔物だと言われればそれまでなんだろうけど、あいつを倒せばあの鎧の素材とか手に入るのかな?
そして着衣しているということは、下から見上げて目が潰れるような事態も避けられそうではある。
しかし、見れば見るほど人間にしか見えない外見をしている。サイズを考慮しなければ、の話だけどさ。
ある程度の知能があり、一定水準の戦闘技術を備えており、多彩な魔法は使ってくると見た方がいいだろうなぁ。
絶対に戦いたくはないけど、あっちに感知される可能性はあるからな。不慮の事態に備えて、戦闘する時の想定はしておくべきだ。
ただ、姿が常に見れるのはありがたい要素でもある。
所在が常に分かっている上に、感知されたら間違いなくリアクションが見られるだろう。
でも山よりでかいような相手が走ってきたら、逃げ切れるとはとても思えない。
ちょっとコンビニに行ってくる様な感覚でエリアを跨げてしまいそうだ。
とはいえ、ここでビビッてたって何も始まらないんだよな。
俺の目的は動物の捜索と保護。グラメダワルケアさんと戦いに来たわけじゃないんだ。
警戒はしなきゃいけないけど、必要以上にビビる必要だってない。
まずはグラメダワルケアの縄張りの範囲を確認したいな。
そして俺は隣りの岩山に向かって、ジャンプで転移を始めたのだった。
ミルズレンダは殆ど街ぐるみで王国解放軍に参加してしまった過去があるので、現在王国でもかなり浮いた存在となってしまっている。
王の褒美で譲渡される領地になっているのだが、未だミルズレンダを治めたいという人物は現れておらず、ネヴァルドから派遣された代官が都市を運営しているようだ。
まぁ自業自得だな。知らん知らん。
俺が吹き飛ばしてやった狩人ギルドも再建が済んでいるけど、この街の施設は何1つ利用する気にはならないので、そのまま徒歩で国境壁外へ向かう。
流石に動物達の足には及ばないが、今の俺は馬車を引いたアサルトドラゴンよりは速く走れるからな。ストレージもあるしゲートもあるから、狩人の案内は必要ない。
山岳エリアと言うだけあって、リヴァーブ王国の南エリアは高い岩山が連なった苛酷な環境だ。
狩人達は山と山の間を縫って探索し、このエリアの魔物を狩って生計を立てている。
けどまぁ今の俺なら岩山の上に登ることも出来るし、山を縫って移動する必要もない。
山の上まで行ったらジャンプでの転移移動を繰り返すという手もあるし、3次元的な移動を試みるのも一興だ。
「それじゃあ助走をつけて……、っとぉ!」
思い切りジャンプして、目の前の岩山のなるべく高い場所に飛びつく。
足場があれば上に飛び、足場がなければウェブクラフターで即興の足場を用意していく。
これはクライミングとは言わないだろうなぁ。
10分くらい登り続けると、周囲が微妙に霧がかってきた。これってもしかして雲だったりする?
雲の高さって地表から2キロメートルくらいなんだっけ? だとすると既に別荘の高さくらいは追い抜いたのかなぁ。
気にせず登っていくと霧が晴れた。下を見るとやはり雲だったみたいで、岩山に雲が纏わり付いているのがよく分かる。
雲より高い山が連なってるエリアってのもなかなかだなぁ。
そりゃあ国土の拡張が進まなくても仕方なかったのかも。
ようやく山頂が見えた。高いなー。
こんな場所に進出するには、どんな街作りをすればいいんだろ?
いつぞや俺たちが襲撃を受けたような場所を利用して、洞窟に街を作るのがいいのかもしれない。
全員が『暗視』を使えるのであれば、採光を考えなくてもいいんだし。
岩山の天辺に到着する。
頂上は5歩も歩けば転落してしまうくらいの狭さだった。
ま、別に山頂でなにをしようって訳じゃない。単に周りの地形を確認して、可能ならそのまま移動したかったから登っただけだ。
さーてと、周りはどうなって……。
「なん、だ。あれは……?」
景色を確認しようとした俺の視界に、異常なものが飛び込んできた。
周囲も全て雲より高い岩山なのに、更にそれ以上にでかい巨人が、遥か遠くに佇んでいるのだ。
今までの経験で直感する。
あいつが山岳地帯のエリアキーパーに間違いない。
なんだっけ? グラメダワルケア、とか言ったっけ。
でもまぁ……。ユリバファルゴアと比べりゃあ、まだ常識的なサイズしてる気はする。
ちょっと自分の中の魔物の基準がぶっ壊れちまってる気がするけど、そもそもエリアキーパーって存在がバグッてる気がして仕方ない。
ここからだと正確には判断出来ないけれど、周囲の岩山よりも胸から上か出てるあたり、5キロメートル以上はあるんじゃないのかな?
え、スーパーロボットでもあんなに大きな人型ロボットってあんまりいない気がするんだけど。
色は周囲の岩山に溶け込む茶色に近い土色をしてる。
目は多分閉じてるかなー? 『遠見』を使っても良いんだけど、魔力を感知されたくないし自重しておこう。
気になるのは全く動いてないことと、鎧のようなものを身につけているということだ。
そういう魔物だと言われればそれまでなんだろうけど、あいつを倒せばあの鎧の素材とか手に入るのかな?
そして着衣しているということは、下から見上げて目が潰れるような事態も避けられそうではある。
しかし、見れば見るほど人間にしか見えない外見をしている。サイズを考慮しなければ、の話だけどさ。
ある程度の知能があり、一定水準の戦闘技術を備えており、多彩な魔法は使ってくると見た方がいいだろうなぁ。
絶対に戦いたくはないけど、あっちに感知される可能性はあるからな。不慮の事態に備えて、戦闘する時の想定はしておくべきだ。
ただ、姿が常に見れるのはありがたい要素でもある。
所在が常に分かっている上に、感知されたら間違いなくリアクションが見られるだろう。
でも山よりでかいような相手が走ってきたら、逃げ切れるとはとても思えない。
ちょっとコンビニに行ってくる様な感覚でエリアを跨げてしまいそうだ。
とはいえ、ここでビビッてたって何も始まらないんだよな。
俺の目的は動物の捜索と保護。グラメダワルケアさんと戦いに来たわけじゃないんだ。
警戒はしなきゃいけないけど、必要以上にビビる必要だってない。
まずはグラメダワルケアの縄張りの範囲を確認したいな。
そして俺は隣りの岩山に向かって、ジャンプで転移を始めたのだった。
0
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる